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タイトル:特許公報(B2)_可溶性の高度に分枝したグルコースポリマーおよびその製造方法
出願番号:2003161125
年次:2010
IPC分類:C08B 31/00,A23L 1/09,A23L 1/30,A61K 8/73,A61K 9/08,A61K 31/718,A61K 47/36,A61P 3/10,A61P 7/08,C08L 3/04,A61M 1/28


特許情報キャッシュ

ダニエル・ベッカー マリ−エレーヌ・サニエ JP 4476566 特許公報(B2) 20100319 2003161125 20030605 可溶性の高度に分枝したグルコースポリマーおよびその製造方法 ロケット・フルーレ 592097428 志賀 正武 100064908 高橋 詔男 100108578 渡邊 隆 100089037 青山 正和 100101465 鈴木 三義 100094400 西 和哉 100107836 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 ダニエル・ベッカー マリ−エレーヌ・サニエ FR 0206952 20020606 20100609 C08B 31/00 20060101AFI20100520BHJP A23L 1/09 20060101ALI20100520BHJP A23L 1/30 20060101ALI20100520BHJP A61K 8/73 20060101ALI20100520BHJP A61K 9/08 20060101ALI20100520BHJP A61K 31/718 20060101ALI20100520BHJP A61K 47/36 20060101ALI20100520BHJP A61P 3/10 20060101ALI20100520BHJP A61P 7/08 20060101ALI20100520BHJP C08L 3/04 20060101ALI20100520BHJP A61M 1/28 20060101ALN20100520BHJP JPC08B31/00A23L1/09A23L1/30 ZA61K8/73A61K9/08A61K31/718A61K47/36A61P3/10A61P7/08C08L3/04A61M1/28 C08B 1/00-37/18 A23L 1/09 A23L 1/30 A61K 31/718 A61K 47/36 C08L 3/04 特開2000−169502(JP,A) 特開2001−294601(JP,A) 特表2002−543248(JP,A) 特開平06−209784(JP,A) 特表平09−511266(JP,A) 特表2005−501930(JP,A) 16 2004161998 20040610 24 20060406 福井 悟 本発明は、0.3×l05〜2×105ダルトンの間の非常に狭い分子量分布、および1〜15mOsm/kgの間の非常に低い浸透圧重量モル濃度(osmolality)に対して、1%未満の含量の還元糖を有し、10%より多くの極めて高い含量のα-1,6グルコシド結合を有する、可溶性の高度分枝状グルコースポリマーに関する。 さらに、これらの可溶性の分枝状グルコースポリマーは、低粘度であり、長期間の低温貯蔵後ですら劣化が無い。 本発明はまた、前記可溶性の高度分枝状グルコースポリマーの製造方法に関する。 また、多数の工業用途、詳細には食品業およびに特に製薬業で使用することが可能な、こうした可溶性の分枝状グルコースポリマーを含む組成物に関する。 工業的に利用可能なグルコースポリマーは、詳細には天然またはハイブリッドデンプンおよびその誘導体の加水分解によって調製される。 すなわち、標準的なデンプン水解物は、穀類または塊茎からのデンプンの酸または酵素加水分解によって生成される。それは、グルコースおよび実際は非常に多様な分子量のグルコースポリマーの混合物である。 (ある重合度、すなわち平均DPで)工業界で製造される、これらのデンプン水解物(デキストリン、マルデキストリン、等)は、直鎖状構造(α-l,4グルコシド結合)および枝分かれ構造(α-l,6グルコシド結合)を共に含む糖類の広範な分布からなる。 これらのデンプン水解物、詳細にはマルトデキストリンは、輸送体または充填剤として、テクスチャ剤として、噴霧乾燥支持体として、代用脂肪として、フィルム形成材として、凍結調整剤として、結晶防止剤として、またはその栄養上の価値のために使用される。 さらに、マルトデキストリンの糖類組成が、その物理的および生物学的特性の両方を決定することが、当業者には知られている。 したがって、その吸湿性、食品中でのその発酵性、その粘度、その甘味料特性、その安定性、そのゲル化特性、およびその浸透圧重量モル濃度が、通常その様々な用途分野を決める基準となる。 すなわち、これら糖類の物理化学的挙動の基礎知識により、それらは、たとえば競技者用飲料、溶解度が限定された液体飲料、非経口および経腸液体、または糖尿病患者用食品中に取り込まれる。 その結果、その様々な用途に対して、様々な物理的および生物学的特性が必要となる。 たとえば、これら糖類の吸着速度は、胃の内容排出速度および腸の吸着速度によって決定され、その調節が前記糖類の浸透圧重量モル濃度によってもたらされることが知られている。 腸のレベルで、マルトデキストリンが膵臓のαアミラーゼによって加水分解され、それによりそのサイズが限界デキストリンまで減少し、腸の粘膜に結合したいくつかの酵素(マルターゼ、スクラーゼ、およびαデキストリナーゼ)が直鎖状および分枝状糖類をグルコースまで加水分解を続ける。 グルコースは腸の障壁(受動拡散)を容易に超えるが、同じことが低いDPを有する糖類には当てはまらない。したがって、マルトースおよびマルトトリオースはグルコースより速く吸収されるが、直鎖状オリゴサッカライドは分枝状オリゴサッカライドより速く吸着される。 結腸バクテリアは、小腸で吸着されなかったすべての炭化水素を発酵させる。これらのバクテリアによる過剰な発酵は、痙攣および鼓腸など腸の障害を生じさせる。 浸透圧重量モル濃度は、小腸内の水の吸収/分泌速度に影響を与えることも知られている。化合物の浸透圧重量モル濃度が高いほど、小腸中への流体の移行を誘発し、流体および電解質の減少が付随する、重大な胃の不調(浸透圧性下痢)を引き起こす。 溶液の浸透圧重量モル濃度とは、水1kg当たりに溶解したモル数に等しく、これは、乾燥重量では同じ濃度でも、通常のマルトデキストリンの浸透圧重量モル濃度は、そのDPが減少すると増加することを意味する。 通常、マルトデキストリンは人の体に良く吸収されるが、スポーツの訓練または疾病など極度の身体的な条件下では、炭水化物をより多く供給するべきである。 たとえば、競技者の場合、多くの労力を要する身体的な活動の間消費された飲料は、エネルギーと発汗によって失った流体を補償するの必要な水を直ちに与えるべきである。 上述のことは、こうした結果を得るためには、炭水化物に関してバランスのとれた組成物が必須であるということに帰着する。 1つの解決方法は、従来提案された最適飲料であり、3〜6のDPを有する短い直鎖状オリゴサッカライドを選択することである。なぜなら、これらは最も速いい速度で吸収され、同時に浸透圧重量モル濃度を適度のレベルに維持し、それによって流体の損失、および下痢や痙攣などの副作用を防止するからである。 しかし、これらの組成物は、あまりにも即時に体によって同化されるエネルギー源で構成されているという欠点を有しており、これにより長い期間にわたり定常的なエネルギーの供給を維持するのが困難になる。 したがって、特許WO 95/22,562(特許文献1)により、身体的な活動に備えてまたはその後に対するエネルギーの供給を意図した新規のデンプン誘導体が提案されている。 それらは、その分子量が15×lO3〜107ダルトンの間、1,6グルコシド枝分かれの程度が2〜8%の間,好ましくは3〜7%の間であることを特徴とするデキストリンであり、これによってエネルギーの蓄えの更新をグリコーゲンの形態で補償する。 これらの特定のデキストリンは、その液体の形態で、急速な胃内容物排出後に小腸内に通過して行く。さらに、この経路は、前記デキストリンの浸透圧重量モル濃度によって調整される。 本明細書では、高浸透圧重量モル濃度とは、低分子量の物質が水と結合し、それが、水および栄養素を細胞に輸送するのを困難にすることを意味する。血液の浸透圧重量モル濃度は約300mOsm/lであり、栄養素の輸送を促進する目的では、この物質の浸透圧重量モル濃度が、この値よりかなり低いことが望ましい。 約720,000の平均分子量、および約4%の枝分かれ度を有する、WO 95/22,562(特許文献1)によるデキストリンは、20mOsm/kg溶液の浸透圧重量モル濃度を有することが記載されている。 しかし、これらのデキストリンは、天然デンプン、より詳細にはジャガイモデンプンを、高温条件、すなわち110〜140℃、および1〜15時間の反応時間の下、酸で処理することにより調製され、これは1,6の枝分かれ度をもたらし、α-1,6およびβ-1,6グルコシド結合の両方に該当する。 これらの非定型グルコシド結合は、腸の酵素系によっては消化されず、消化できない残留物の蓄積をたらし、これをある種の望ましくないバクテリアが同化する。 別の用途の分野では、マルトデキストリンが飲料の粘度を増加させるためにしばしば加えられる。しかし、アルコールを含むものの中では、高いDPを有するMDを供給すると、混合物の安定性の問題が生じることがある。 マルトースまたはグルコースを加える別の溶液は、やはり混合物にさらに甘味を加えることになり、このことは常に望ましくない。さらに、これらのわずかなオリゴサッカライドが、望ましくない微生物に対して発酵基質として働き得る。 したがって、この用途分野に最も適したマルトデキストリンは、「非甘味」、粘度、および安定性のパラメータを組み合わせ、バランスを取らなければならない。 非経口溶液の分野では、栄養素溶液とは、患者を良好な健康に維持し、栄養素を患者の正常な消化系により摂取することができない場合は、それを彼らに提供することを意味する。 この溶液は、直接静脈経路によって供給されるので、これは等張性でなければならず、グルコースの供給は限定される。 MARCHAL等による、FOOD Science Technology、1999年、345〜355頁、の論文(非特許文献1)に述べられている、1日に10,000kJのエネルギーを提供するためには、等張性グルコース溶液(グルコースの5%重量/体積)を14リットル注入する必要があり、これはヒトの受容能力を大幅に超えている。 より濃厚なグルコースまたはフルクトース溶液(10〜20%重量/体積)を摂取ことは可能であるが、長い時間は不可能である。 2〜5の間のDPを有する直鎖状糖類を投与することは可能である。なぜなら、これらの糖類は、腎臓中のマルターゼによって加水分解され、次いで放出されるグルコースが再吸収されるからである。したがって、短鎖の直鎖状オリゴサッカライドを使用すると、患者を水分過剰にせずに、等張性溶液中で十分なエネルギー供給することが可能になる。 さらに、7未満のDPを有する直鎖状オリゴサッカライドは、溶液中で長い期間にわたり安定であるので、患者にすべての必要なエネルギーを長期間にわたり定常的に供給することを可能にするために、通常DPを2〜7の間で変化させることが選択される。 しかし、この溶液は、完全に満足なものではなく、単に直鎖状グルコシド構造の利用を考えることができるだけである。 経腸栄養については、経口注入するか、またはチューブを通して胃または小腸に投与する飲料が含まれる。 これらの経腸液体に対する主な問題は、過剰に高い浸透圧重量モル濃度のための下痢である。原則として、競技者に供給するような同様の溶液にもこのことが言える。 したがって通常、10〜20のDEを有する、直鎖状および分枝状糖類の複合混合物を含むマルトデキストリンを使用するが、完全に満足は得られていない。 この分野の用途の専門家は、デンプンから誘導された枝分かれ構造物の製造における技術的問題の解決法を探索する。 デンプンの主成分であるアミロペクチンは、それと架橋結合する直鎖状α-l,4結合およびα-1,6結合を核として組織化される。微細構造の知識により、これらの2種類の結合は均一に分布しておらず、非常に高密度なα-1,6結合を有する領域が、単独でα-l,4結合からなる領域と共存することが実証されている。 米国特許第4,840,807号(特許文献2)、または日本特許11/187,708(特許文献3)では、緩除に吸収される炭水化物として、高密度のα-1,6結合を有する領域のみを抽出することが提案されている。なぜなら、α-1,6結合は、α-l,4結合より分解するのがより困難であるからである。 したがって、2つの系列の生成物が開発されてきた。第1系列は、α-l,4結合を有する領域をαアミラーゼのみで分解することによって調製した限界デキストリンを含み、ならびにα-l,4結合を有する領域を、αアミラーゼおよびβアミラーゼの同時作用により分解することによって調製したデキストリン。 これらの限界デキストリンのヒト消化酵素に対する抵抗性により、消化を調整するためのみならず、血糖(糖尿病食の用途)を制御するためにもそれを使用することができる。この効果は、消化吸着速度を緩除化することに起因する。 しかし、これらの化合物は、非常に低分子量(10000〜55000ダルトンの間)であり、その他の分野の用途への利用を制限するという欠点を有する。 EP207,676(特許文献4)は、持続的外来腹膜透析に使用するためには、5×103〜106ダルトンのMwおよび低い多分散性指数、すなわちIpを有する、10%水溶液で透明な無色溶液を生成するデンプン水解物が好ましいことを教示している。 このことは、主に高分子量(5×l03および5×105ダルトンの間)のグルコースポリマーを含み、3以下のDPを有するグルコースまたはオリゴサッカライドを含まないか、ごくわずかしか含まず、また106ダルトンを超えるMwを有するグルコースポリマーを含まないか、ごくわずかしか含まない組成物となる。 この用途のためには、低分子量のモノマーまたはポリマーは迅速に腹膜壁を通過し、したがって、浸透圧の勾配を創造するための継続的な利点はなく、また、浸透力を持たない、非常に高分子量のポリマーは、その劣化に続いて沈殿が生じた場合には潜在的に危険であるので、避けるべきか、またはむしろ禁止すべきであることが容易に理解できる。 腹膜透析は、カテーテルによって透析溶液を腹膜腔に導入することからなる。一定の時間後に、透析物および血液の間で溶質の変換が生じる。適当な浸透剤を使用すると、血液から過剰な水を透析物に排水することを可能にする。 腎不全の場合、体から過剰の水(限外濾過)および溶質を除去するための、腹膜透析の標準方法は、浸透圧剤としてグルコースを加えることによって、血漿に比べて高張性にした透析溶液を使用することにある。理想的な半透膜を通過する流動は、主に溶液中に存在する溶質粒子、そのサイズにはかかわらず、その合計数(浸透圧重量モル濃度)によって決定される。それに対して、腹膜など生物学的膜の場合は、流動は、もっぱら膜を通過しない、あるいはわずかしか通過しない溶質に依存し、したがって必ずしも溶液の合計浸透圧重量モル濃度には関連づけられない。さらに、膜を通過する溶質の容量は、その分子の形状およびそのイオン電荷、あるいはそのサイズによって特徴づけられる。 理想的な浸透圧剤の選択には細心の注意を要する。浸透圧剤は、血液からの水および有毒物質を腹膜を通して透析溶液に移すように、浸透圧勾配を可能にするべきである。さらに、それは無毒および生物学上不活性であり、同時に体によって代謝が可能であり、その一部分が血液中に同化されるべきである。それは、血液中に望ましくない物質が蓄積されずに、限外濾過勾配を永続的に維持するように、腹膜をあまりに急速に通過するべきでない。 本出願人の会社は、そのEP 667,356(特許文献5)で、水に完全に可溶性であり、2.8未満の低い多分散値、および5×103〜1×106ダルトンの間のMwを有するデンプン水解物を、ワックス状デンプンから製造する方法を提案した。 この方法は、酸の経路によって、もっぱらアミロペクチンからなるデンプン乳を加水分解し、次いで、この酸加水分解を細菌性のαアミラーゼを用いた酵素的加水分解で補い、アルカリまたはアルカリ土類金属の形態のマクロ多孔性強カチオン樹脂上でクロマトグラフにかけることである。 その時点で、本出願会社は、前記方法中で原材料としては、ほとんどもっぱらアミロペクチンからなる、通常ワックス状デンプンと呼ばれるデンプンのみを使用することを推奨し、アミロースを無視できない比率で含むデンプンは適していないとしたことに留意されたい。 このデンプン水解物は、イコデキストリンとも呼ばれ、透析溶液中の浸透圧剤として以前は使用したグルコースの1日の吸収量の有意の低下を可能にし、それによって、カロリーの供給がクリテカル要因である、糖尿病および肥満の患者の治療に対して潜在的な利点となる。しかし、このことは、血糖がより少なく、その浸透圧力を持続する浸透圧剤を使用することによってさらに改善することができ、これによって透析治療の手順が有意に軽減される。実際、透析物の歩留まりを改善すると、透析バッグの交換速度が低下して、これにより患者の生活の質の明確な改善となる。 したがって、腹膜透析の理想的な炭水化物は、 水溶性であり、 浸透圧を及ぼし、 低粘度を有し、 劣化を受けず、 システム循環中のグルコース出現速度を低くし、 持続的な浸透圧を及ぼすように、アミラーゼによってゆっくり加水分解される ものである。 実際、後者の点に関して、腎不全の患者の腹腔中に溶液で投与した浸透圧剤の運命は、腹膜液中でのその安定性、システム循環中での吸収度、およびアミラーゼによる加水分解速度によって決定される。しかし、従来技術の浸透圧剤は急速に加水分解されるという欠点を有する。 同様に、血糖調整剤としていわゆる抵抗性デンプンが提案されてきた。しかし、これらは、一般に組成物中で安定ではなく、滅菌することができず、そのため最終的には生成物の損失が起こり、また発酵されることがあり、したがって期待したカロリー量が供給されない。特許WO 95/22,562MARCHAL等、FOOD Science Technology、1999年、345〜355頁米国特許第4,840,807号日本特許11/187,708EP 207,676EP 667,356特許WO 00/18,893 したがって、これまでの記述から、特に安定性、溶解度に関して優れた特性を示し、粘度に関しても優れた特性を示す可能性がある、グルコースポリマーを得て、それによってそれを含む生成物に、有効期間、制御された消化性により高い能力を与え、それによって、腹膜透析、経腸または非経口栄養素として、血糖阻害剤および/または調整剤として、身体的活動中のエネルギーの供給として、消化調整剤として、様々の分野でのその使用を可能にするという、満足されていないニーズが存在することは明らかである。 本出願人の会社は、多くの調査研究の末に、新規の可溶性の高度分枝状グルコースポリマーを発明し、製造することによって、今まで両立させるのが困難であると称されてきた、すべてのこれらの目的を両立させるということができた。 本発明による、1%未満の含量の還元糖を含む、可溶性の高度分枝状グルコースポリマーは、それらが10%を超える、好ましくは12〜30%の間のレベルのα-1,6グルコシド結合を有し、0.3×105〜2×105ダルトンの間の値の光散乱で決定されるMwを有し、1〜15mOsm/kgの間の値の試験Aにより決定される浸透圧重量モル濃度を有することを特徴とする。 本発明による可溶性の分枝状グルコースポリマーは、低い還元糖含量を有する。 本発明による分枝状グルコースポリマーの還元力の決定をすると、当業者にさらに知られている任意の方法により、1%未満の値となる。 本発明による可溶性の分枝状グルコースポリマーの、α-1,6グルコシド結合のレベルは、プロトンNMR分析によって測定する。この場合、枝分かれレベルをパーセントで表わすと、前記可溶性グルコースポリマーのグルコース残基のすべてのC1原子が持つプロトンのすべてのシグナルを100の値にした場合、別の無水グルコース単位とα-1,6結合によって結合している無水グルコース単位のC1が持つプロトンシグナル量に対応している。 これらの条件の下で、本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーは、10%を超える、好ましくは12〜30%の間にあるα-1,6結合の含量を有することが測定される。 α-1,6結合のこの含量は、本発明によるいかなる高度分枝状グルコースポリマーにも、このポリマーがそれから誘導されたデンプンまたはデンプン誘導体に関して、枝分かれ、および/または分枝状鎖の長さに関して特別な構造を与える。 このα-1,6グルコシド結合の含量が特に高いことは、本発明による高度分枝状グルコースポリマーの消化を困難にしており、これが、上述のようにそれらを消化調整剤として、および血糖阻害剤として使用ができるのに寄与している。 したがって、それらは、血糖の上昇を阻害するのに役立つ食品、飲料、または栄養助剤として、糖尿病患者または病気に罹った被検者に提供するのが有用である。 本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーはまた、水溶液中での劣化がなく、注目すべき安定性を示す。 この特性により、本発明の分枝状グルコースポリマーを、食品工業で使用することができる組成物に最も当然なこととして予定させ、これによって貯蔵中に高安定性を示す。 本発明の他の利点は、たとえば冷蔵または急速冷凍製品中の瞬間結合剤として使用することができる完成品の製造を可能にする。 本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーの分子質量の決定は、重量平均分子質量(Mw)の測定によって実施される。 この値は、直列に取りつけ、光散乱検出器と連動させたPSS SUPREMA 100およびPSS SUPREMA 1000カラム上の立体排除クロマトグラフィーによって得られる。 本発明による分枝状グルコースポリマーは、これによって0.3×l05〜2×l05ダルトンの間のMw値を有する。 本発明による可溶性のグルコースポリマーはまた、極めて低い浸透圧重量モル濃度を有する。 試験Aにより、本発明による高度分枝状グルコースポリマーを、水1kg中に乾燥ベースで100g含む溶液の浸透圧重量モル濃度を測定する。 次いで、この溶液の浸透圧重量モル濃度測定を、FISKE((登録商標)ASSOCIATES MARK 3浸透圧計で、製造者の仕様書に従って実施する。 本発明による分枝状グルコースポリマーは、それによって1〜15mOsm/kgの間の極めて低い浸透圧重量モル濃度値を有する。 本出願会社の知る限りでは、定義したような枝分かれ、および分子量のレベルを有する生成物に対して、こうした浸透圧重量モル濃度値を有するグルコースポリマーは存在しない。 実際、5〜20の間のデキストロース当量(DE)を有する、従来のマルトデキストリンについて行った比較測定では、25〜85mOsm/kgの間の浸透圧重量モル濃度を示す。 αアミラーゼで液化したデンプンを処理することによる上記定義の限界デキストリンは、SANMATSUによりBLD 8の商品名で市販されているがそれに対して実施したその他の測定では、0.4〜0.5×105ダルトンの間の分子量および8〜9%の間のα-1,6枝分かれ含量に対して、35mOsm/kgを超える値の浸透圧重量モル濃度が得られている。 この非常に低い浸透圧重量モル濃度値により、本発明による高度分枝状可溶性グルコースポリマーに、長時間にわたる身体的な活動の代わりに必要とするエネルギー源を置き換えるために、競技者向けの調製物にそれを使用することを可能にする特性が付与される。 しかし、これらの組成物はまた、経腸および非経口栄養素との関連で、もはや正常に食品を摂取することができない患者に使用することが特に有利である。 さらに、この浸透圧重量モル濃度が低いという特性と相まって、それには劣化がないこと、その分子量プロファイル、およびその低い多分散性値により、これら高度に分枝した本発明によるグルコースポリマーを、以下に例示するように、腹膜透析への用途のための浸透圧剤としての完全な候補にしている。さらに、本出願人は、本発明によるこれらのポリマーが、αアミラーゼに対して耐性を有し、これが同様の分子量を持つ従来技術のポリマーに比較して、かなりの利点を提供することを実証する。なぜなら、それらは血糖が少なく、かつより長く継続する浸透力を有し、したがって長時間の透析治療にそれを使用することを可能にしている。 本発明による高度分枝状グルコースポリマーを、その浸透圧重量モル濃度によって、3つのサブファミリーに分類することが有利である。 第1のサブファミリーは、光散乱によって決定される0.5×105〜1.5×l05ダルトンの間の値のMwに対して、試験Aにより決定される少なくとも1mOsm/kgに等しく、2mOsm/kg未満の浸透圧重量モル濃度を有する、高度分枝状ポリマーを包含する。 第2のサブファミリーは、光散乱によって決定される0.5×105〜0.8×l05ダルトンの間の値のMwに対して、試験Aにより決定される少なくとも2mOsm/kgに等しく、5mOsm/kg未満の浸透圧重量モル濃度を有する、高度分枝状ポリマーを包含する。 本出願会社はさらに、この2つのサブファミリーに属し、極めて高い、すなわち15〜30%の間のα-1,6分枝レベルをさらに有する分枝状グルコースポリマーを見出した。 第3のサブファミリーは、光散乱によって決定される0.3×105〜0.7×l05ダルトンの間の値のMwに対して、試験Aにより決定される少なくとも5mOsm/kgに等しく、15mOsm/kg未満の浸透圧重量モル濃度を有する、高度分枝状ポリマーを包含する。 本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーを調製するために、以下のことからなる一連のステップを実施する。 a.少なくとも1重量%以上、好ましくは10〜50重量%の乾燥含量を有する、水性デンプン懸濁液またはデンプン誘導体溶液を調製すること、 b.前記懸濁液または前記溶液を、25〜80℃の間で1〜24時間、少なくとも1種類の分枝酵素で処理すること、 c.αアミラーゼ、βアミラーゼ、アミログルコシダーゼおよびαトランスグルコシダーゼからなる群から選択した少なくとも1種類の酵素を、こうして得られた懸濁液または溶液に作用させること、 d.高分子量の分画を回収するように、膜分離またはクロマトグラフィーからなる群から選択した少なくとも1つの技法を用いて分別を実施すること、 e.こうして得られた分枝状グルコースポリマーを回収すること。 デンプンを懸濁液中に、またはデンプン誘導体を水溶液中に、乾燥物含量で少なくとも1重量%、好ましくは10〜50重量%導入する。 デンプンもしくはその特別な誘導体の供給源または品質の選択には、相対的な重要度しかない。 実際、本出願会社は、本発明による高度分枝状グルコースポリマーを得ることを可能にし、たとえば腹膜透析に適用が可能な、新規の方法を開発してきたが、それは、特別な種類のデンプンに限定する必要はなく、この場合、デンプンにはアミロペクチンが多く含まれている。 したがって、ジャガイモ、アミロペクチン含量の高いジャガイモ(ワックス状デンプン)、エンドウマメ、コメ、キャッサバ、コムギ、トウモロコシ、アミロペクチンに富むトウモロコシまたはコムギ(モチトウモロコシまたはモチコムギ)、アミロース含量の高いトウモロコシ、アミロース、アミロペクチン、コムギデンプン「A」およびコムギデンプン「B」の用語により当業者に知られている粒子サイズ分画などのデンプンから作製または得ることのできる分離物ないしは分画、および上記生成物のいずれかの少なくとも2種類の混合物から得られる天然またはハイブリッドデンプンを選択することが可能である。 デンプン誘導体とは、このデンプンを、1つまたは複数のステップで、酵素的、化学的、および/または物理的に改変して得られた加工デンプンを意味するものと理解されたい。 デンプン誘導体は、詳細には、エステル化、エーテル化、架橋化、酸化、アルカリ処理、酸および/または酵素的加水分解(マルトデキストリンおよびデキストリンを担う)の知られている技法の少なくともの1つにより改変したデンプンにすることができる。 本出願会社は、本発明による高度分枝状グルコースポリマーは、すでに少なくとも1%の枝分かれレベルを有する、デンプンからまたはその誘導体から容易に合成することができることを発見した。 次に、このデンプン懸濁液またはこのデンプン誘導体溶液を、任意選択で特別なクッキング処理にかけることができ、これは、130℃を超える、好ましくは140〜150℃の間の温度で、3.5barを超える、好ましくは4〜5barの間の圧力で、30秒〜15分間、好ましくは1〜5分間それを処理することである。 この処理は、熱流体によって加熱されたジャケット管式の釜中で実施するのが有利であり、この装置は、当業者により容易に入手できる。 本発明による方法の第2ステップは、前記デンプン懸濁液または前記デンプン誘導体溶液を、分枝酵素で処理することである。 デンプンまたはデンプン誘導体乾燥基準で100gにつき、精製分枝酵素50,000〜500,000Uを、25〜95℃の間、好ましくは70〜95℃の間の温度で、1〜24時間使用することが有利である。 本発明の目的では、分枝酵素という表現は、グリコーゲン分枝酵素、デンプン分枝酵素、およびこれらの酵素の任意の混合物からなる群から選択した分枝酵素を意味するものと理解されたい。 より詳細には、これらの分枝酵素は、グリコーゲン分枝酵素、デンプン分枝酵素、およびこれらの酵素の任意の混合物からなる群から選択した生物体および/または微生物から抽出する。 本出願会社は、この分枝酵素による処理を実施するために、その特許WO 00/18,893(特許文献6)の教示に従うことを優先させる。 このステップにより、可溶性の分枝状グルコースポリマーが製造されるが、α-1,6グルコシド結合の含量は最良でも10%に等しい。 この値を増加させて、α-1,6結合のレベルを30%までに達するようにするためには、本出願会社は、追加の酵素処理を実施する必要があり、本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーを製造する方法の第3ステップを構成するものであることを発見した。 この第3ステップは、αアミラーゼ、βアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、およびαトランスグルコシダーゼからなる群から選択した少なくとも1種類の酵素を、分枝酵素で処理されそれによって得られた懸濁液または溶液に作用させることである。 本発明による方法で使用した様々な酵素が作用するための条件(温度およびpH)は、以下から選択される(各条件値は、以下に例示するように検討した基質との関係で決定される): αアミラーゼ:GENENCORからのLYSASE 2000タイプ、55〜65℃の温度、6.5〜6.7のpH、30分〜1時間; βアミラーゼ:GENENCORからのSPEZYME BBAタイプ、40℃の温度、4.9〜5のpH、1時間30分〜2時間; アミログルコシダーゼ:GENENCORからのOPTIDEX L300 Aタイプ、55℃の温度、4.7のpH、あるいはSIGMAからのA-7420タイプ、50〜60℃の温度、4.7〜4.9のpH、で1時間30分〜2時間; αトランスグルコシダーゼ:L-AMANOからのαTGaseタイプ、55℃の温度、5〜5.2のpH、1時間。 使用する酵素は、細菌または真菌起源でもよい。 この追加処理の最後に、可溶性の高度分枝状グルコースポリマーが、酵素分解生成物との混合物の形態で得られ、以下に例示するように、主にグルコース、マルトース、および/またはイソマルトースからなる。 この方法の第4ステップは、高分子量分画および低分子量分画を回収するように、膜分離およびクロマトグラフィーからなる群から選択した技法を用いて分別を実施することである。 高分子量分画は、本発明による高度分枝状グルコースポリマーに対応し、一方低分子量分画は、マルトースおよび/またはイソマルトースに富んだ組成物を、高収率で得ることができる。 分別技法は、限外濾過膜分離技法、およびゲルタイプの支持体上のクロマトグラフ分離技法からなる群から選択することが有利である。 この方法の第4ステップの第1の実施形態では、少なくとも3000ダルトンに等しい、好ましくは5000ダルトンに等しいカットオフを有する膜を用いた、限外濾過膜分離技法を用いて分別を行う。 高度分枝状グルコースポリマーに対応している高分子量分画は、限外濾過濃縮水に等しく、この場合使用した乾燥物含量は約60%を示す。 この方法の第4ステップの第2の実施形態では、ゲル型樹脂上で行うクロマトグラフィー技法を用いて、分別を実施する。 得られたプロファイルは、最適収率が40〜45%の間で、高度分枝状グルコースポリマーを含む分画を分離することを可能にする。 使用した方法にかかわらず、得られたプロファイルは、本発明による可溶性の高度分枝状グルコースポリマーに相当する、高分子量多糖類分画を、実質上グルコースおよびマルトース、および/またはイソマルトースからなる、低分子量オリゴサッカライド分画から分離することを可能にする。 したがって、本発明による方法の最終ステップは、一方では高度分枝状グルコースポリマーに対応する高分子量分画を、他方ではグルコースおよびイソマルトースおよび/またはマルトースに富んだ低分子量分画を回収することである。 高分子量生成物をそのままで組み合わせるか、または3倍の容量のエタノールで沈殿させ、精製し、真空下で24時間乾燥するか、あるいは、当業者に知られている任意の技法によって噴霧乾燥する。 本発明の方法のステップdの低分子量分画を含むことを特徴とする、マルトースおよび/またはイソマルトースに富む組成物については、それらをそのまま使用するか、またはさらに当業者に知られている任意の水素化技法により水素化する。 本発明によるポリマーの特別な物理化学的特性により、特にボール箱、繊維、化粧品と、さらに製薬および食品工業、ならびにより詳細には、経腸および非経口の栄養素の分野、浸透圧剤として腹膜透析、血糖阻害剤として、身体活動中のエネルギー源として、および消化調整剤として、それを工業的に応用することができる。 腹膜透析の特別な分野に関しては、本出願人は、αアミラーゼに対する抵抗性試験を用いて、本発明によるポリマーのファミリーは、後に例示するように、腹膜透析用の溶液を調製するのに特に適していることを発見した。これらのポリマーは浸透圧剤としてその中に使用される。 したがって、本発明は、浸透圧剤として、1%未満の含量の還元糖を有し、以下のものを有する、可溶性の高度分枝状ポリマーを少なくとも1種類含むことを特徴とする、腹膜透析用の組成物に関する。 - 8%を超え、好ましくは10〜30%の間のα-1,6グルコシド結合の含量、 - 0.3×105〜2×105ダルトンの間の値を有する、光散乱によって決定されるMw、 - 1〜15mOsm/kgの間の値を有する、試験Aによって決定される浸透圧重量モル濃度。 本発明の好ましい変形形態によると、前記ポリマーは以下のものを有する。 - 0.3×105〜0.7×105ダルトンの間の値を有する、光散乱によって決定されるMw、 - 5に等しく〜15未満mOsm/kgの値を有する、試験Aによって決定される浸透圧重量モル濃度。 本発明による腹膜透析用組成物は、電解質が血清から腹膜に移行することによる損失を避けるように、さらにナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩素などの、生理的に許容される電解質を含んでもよい。 この組成物を、使用直前に調製するための固体の形態で、または液体の形態、たとえば水溶液で提供してもよい。後者の場合、本発明による高度分枝状ポリマーを水に溶解することにより得られた溶液は、透明で無色であるべきである。この溶液は、原材料から、またはその製造に使用する酵素調製物から生じる菌体内毒素、ペプチドグルカンおよびβグルカン、あるいは窒素性汚染物を含まないのが好ましい。 これを果たすためには、前記溶液中に使用する高度分枝状ポリマーを、いかなる色、またはタンパク質、細菌、細菌性毒素、繊維、金属の痕跡等などのいかなる望ましくない汚染物も除去するように、好ましくは精製にかける。 この精製ステップは、当業者に知られている技法により実施される。 本発明による透析溶液はまた、緩衝溶液(詳細には、乳酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩)、およびアミノ酸、インシュリン、たとえばソルビトール、エリトリトール、マンニトール、およびキシリトールなどポリオールなどのその他の添加剤を含んでもよい。 組成物にポリオール、好ましくは非発熱性であり、上記の不純物(特に、菌体内毒素、およびその他の細菌性起源の残基)を含まないポリオールを添加すると、その発熱量が低く、その浸透力が高く、それは還元性がないので、グルコースまたはマルトースより有利に溶液の浸透圧重量モル濃度可能を増加することが可能になる。 本発明による透析組成物は、従来技術の製品に比較して有利である。なぜなら、含まれる浸透圧剤は、持続的な浸透圧を発揮し、またグルコースの出現速度を小さくすることを可能にし、一方、劣化に対して安定であり、すなわち上記に定義した基準を満たしている。 本発明のその他の特徴および利点は、以下に述べる非限定的な実施例を読めば理解できよう。実施例1 25重量%の乾燥物含量を有するデンプン誘導体溶液を、緩やかに連続的に攪拌しながら、80℃に加熱することによって調製する。 この場合、GLUCIDEX(登録商標)2(基質A)、およびGLUCIDEX(登録商標)6(基質B)の商品名で本出願会社から市販されている、2種類のマルトデキストリンを250g/lを使用する。 この溶液を30℃に冷却し、1N NaOHでpHを6.8に合わせる。 次いで、これらの溶液を、微生物B.stearothermophilusから抽出した精製グリコーゲン分枝酵素で処理する。 分枝酵素を基質の1600U/gの量で加え、温度を緩やかに65℃に合わせる。 適度に攪拌しながら、4時間インキュベーションを行う。次いで、pHを5の値に低下させ、6分間沸騰させて反応を停止させる。 以下の表1に、α-1,6グルコシド結合の含量、Mw値、還元糖含量、および浸透圧重量モル濃度に関して得られた結果を試験した両基質および得られた生成物に対して(基質Aからは生成物C、および基質Bからは生成物D)整理する。 α-1,6グルコシド結合の含量は、実質上増加はしているが、所望の値までには達していない。 本出願会社は、α-l,4グルコシド結合を特異的に加水分解する酵素(αアミラーゼ、βアミラーゼ、またはアミログリコシダーゼなど)の作用によって、あるいはα-1,6結合中の枝分かれを完成させる酵素(αトランスグルコシダーゼなど)を使用することによって追加の処理を実施するべきであることを発見した。このことは以下の通りである。 追加の酵素処理のために、分枝状マルトデキストリンCおよびDの溶液を、まず最初に、選択した酵素に対応する温度およびpHに合わせた。 1)αアミラーゼ(酵素抽出物のLYSASE 2000から2444 BRU/g)による追加処理のために、前記溶液CまたはDを、60℃の温度および6.5〜6.7のpHに合わせ、g基質当たり6Uのαアミラーゼを加える。 インキュベーションを30分間行い、6分間沸騰させて反応を停止させる。 2)βアミラーゼ(GENENCORからのBBA SPEZYME)による追加処理のために、前記溶液CまたはDを40℃の温度および4.9〜5のpHに合わせ、g基質当たり30Uのβアミラーゼを加える。 インキュベーションを2時間行い、6分間沸騰させて反応を停止させる。 3)アミログリコシダーゼ(SIGMA社製A.niger AMG AA-7420、40U/mgのタンパク質活性)による追加処理のために、前記溶液CまたはDを55℃の温度および4.7〜4.9のpHに合わせ、g基質当たり20UのAMGを加える。 適度に攪拌しながら、インキュベーションを2時間行い、6分間沸騰させて反応を停止させる。 4)αトランスグリコシダーゼ(L-AMANO α-TGase、グルコース27.7μmolの活性度)による追加処理のために、前記溶液CまたはDを55℃の温度および5〜5.2のpHに合わせ、g基質当たり2Uのα-TGaseを加える。 インキュベーションを、1時間行い、6分間沸騰させて反応を停止させる。 次に、以下の物理化学的特性を測定する。 生成物EおよびF(生成物CおよびDを、それぞれαアミラーゼで追加処理して得た)、 生成物GおよびH(生成物CおよびDを、それぞれβアミラーゼで追加処理して得た)、 生成物IおよびJ(生成物CおよびDを、それぞれAMGで追加処理して得た)、および 生成物KおよびL(生成物CおよびDを、それぞれα-TGaseで追加処理して得た)。 浸透圧重量モル濃度および還元糖含量が増加することは、ここでは付随するグルコースが主体のDP2(マルトースおよびイソマルトース)が生成したことを示し、したがって本発明による高度分枝状グルコースポリマーを得るためには、それを除去しなければならない。 5000ダルトンでカットオフする膜で限外濾過することによって(AMICON 5K膜)、分別を使用することを選択する。 一方で化合物E、G、I、およびKの限外濾過生成物それぞれM、0、Q、S(すなわち、GLUCIDEX(登録商標)2から誘導された)、および化合物F、H、J、およびLの限外濾過生成物それぞれN、P、R、T(すなわち、GLUCIDEX(登録商標)6から誘導された)に対して得られた結果を以下の表3に示す。 これらの結果は、こうして得られた高度分枝状グルコースポリマーは、そのようなMw値およびそのように低い浸透圧重量モル濃度値を有する生成物に対して、極めて高い(最高で18%)レベルのα-1,6グルコシド結合間で完全な平衡を示すという事実を示している。 これらの高度分枝状グルコースポリマーは、他の電解質と容易に混合して、浸透圧剤を与えることができ、このことは腹膜透析で極めて効率的であり、あるいは消化の調整、非経口および経腸栄養素向けの組成物、糖尿病患者向けの組成物、または長期の身体的活動中の競技者用のエネルギーの蓄積を再構築するための液体飲料中にそのまま使用することができる。 これらの高度分枝状グルコースポリマーに加えて、この方法により、マルトースおよび/またはイソマルトースに富む分画と一緒にすることもまた可能になることに留意されたい。 たとえば、生成物SおよびT(分枝酵素およびα-TGaseによる処理の組合せから得られた)の調製の場合、イソマルトースおよびグルコースは、製造された唯一の副産物である(それぞれの濃度は、25〜30g/lおよび75〜80g/l)。 同様に、生成物0およびP(分枝酵素およびβアミラーゼによる処理の組合から得られた)の調製場合、マルトースは製造された唯一の副産物である(130g/lの濃度)。 したがって、これらの低分子量分画は、マルトースおよび/またはイソマルトースに富む組成物の好都合な供給源である。実施例2本発明による高度分枝状グルコースポリマーはまた、標準トウモロコシデンプンから調製してもよい。この場合は、乾燥基準で110gのデンプンを、室温で緩やかに連続的に攪拌しながら水1リットルに懸濁させる。 pHを6.8〜7に合わせて、媒体を15分間これらの条件下に置き、必要ならpHを調製する。B.stearothermophilusから精製したグリコーゲン分枝酵素を、基質の4000U/gの量だけ加え、温度をしだいに72〜75℃に合わせる。 30分間適度に攪拌しながらインキュベーションを行い、続いて65〜68℃の温度に冷却する。酵素反応を4時間行う。次いで、pHを4.5〜5の値に低下させて、この反応を停止させ、この媒体を沸点で6分加熱する。 実施例1と同様に、この反応にアミラーゼまたはアミログルコシダーゼによる処理、および次の5000ダルトンでカットオフをする膜による、実施例1に挙げた条件下での限外濾過を追加する。 表4に得られた結果をまとめる。 標準トウモロコシデンプンを参照U;分枝酵素で処理した生成物を参照V;βアミラーゼで追加処理をしたものを参照W;AMGで処理をしたものを参照X;限外濾過した最終生成物を参照YおよびZで表わす。 得られた生成物YおよびZは、実施例1で述べたのと同様に、バランスのとれたプロファイルを示す。したがって、同様の用途の分野で有利に使用できる。実施例3 その他の2種の高度分枝状グルコースポリマーを、アミロペクチンに富んだ2種類のデンプンから工業条件の下で調製する。それらは、WF約90の流動化レベルを有する酸性流動化モチトウモロコシデンプンの2種類のサンプルであり、また本出願会社からCLEARGUM(登録商標)CB 90の商品名で市販されている。 表5に、本発明による高度に枝分されたグルコースポリマー得るために使用した操作条件を示す。 表6に、得られた生成物に対して、α-1,6グルコシド結合の含量、Mw値、還元糖の含量、および浸透圧重量モル濃度に関して得られた結果を示す。 「a」は、CLEARGUM(登録商標)CB 90から、分枝酵素およびアミログルコシダーゼで処理した後に得られた生成物に関する。 「b」は、CLEARGUM(登録商標)CB 90から、分枝酵素およびβアミラーゼで処理した後に得られた生成物に関する。 これらの結果は、実際使用したデンプンまたはデンプン誘導体にかかわらず、使用した方法により本発明による高度分枝状グルコースポリマーが得られることを示す。実施例4 本発明による高度分枝状ポリマーの水溶液を調製し、膵臓起源のアミラーゼと接触させる。アミラーゼ加水分解を、生成した還元糖の測定、および反応媒体中に出現したグルコースの測定により、長時間にわたってモニターする。この試験により、透析溶液のための浸透圧剤を選択する際重要な基準となる、このポリマーのアミラーゼ加水分解に対する耐性を評価することができる。 いくつかの本発明によるポリマーを、イコデキストリン(従来技術の浸透圧剤)と比較して試験した。ポリマーは後者に近い分子量を持つように選択する: 生成物AおよびBは、実施例3に従って調製し、生成物Zは、実施例2に従って調製する。 イコデキストリンは、説明で引用した特許EP 667,356に従って作製する。 マルトース対照を、酵素的消化のin vitroモデルを確認するために調製する。 アミラーゼ消化の操作条件は以下のとおりである。 試験する生成物約0.6gを正確に秤量し、 pH7の0.1mol/lマレイン酸Na緩衝液150mlを加え、 生成物が溶解するまで攪拌し、 得られた溶液の1.5mlを取り(最初の溶液=si)、 容器を水浴上に15分間置き、溶液の温度を37℃にし、 ブタパンクレアチン(動物起源のαアミラーゼ)0.15gを加え、 サーモスタット制御のバス上で、37℃で、攪拌しながら300分間インキュベートし、 時間15、30、45、60、90、120、180、240、300分に、試料1.5mlを採取し、 試料を100℃のバス中で10分間乾燥するまで置くことにより、酵素反応を停止させ、 血糖について研究する生成物の影響をシミュレートするために、試料のグルコースを分析し、 加水分解速度を調べるために、試料の還元糖を分析する。 グルコースの分析には、HITACHI 704自動測定器(ROCHE)で実施する比色法を使用する。使用した試薬は、酵素GOD/PAP(グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ)を含む試薬である。使用した試薬の体積は、500マイクロリットルであり、試料の体積は5マイクロリットルであり、反応温度は30℃である。 還元糖の分析に使用した方法は、SOMOGYI NELSON法である。試料200マイクロリットルをふた付きの試験管に入れ、使用液(酒石酸ナトリウムおよび硫酸銅試薬)200マイクロリットルを加える。媒体を沸騰温度まで加熱し、冷却後ヒモリブデン酸試薬、続いて水を加える。得られた溶液をマイクロプレート上に置き、マイクロプレートリーダーを用いて520ナノメートルの波長で、吸収度を測定する。 結果を以下の表に示す。 得られた結果から、枝分かれのレベル(α-1,6結合のレベル)が高いほど、アミラーゼ加水分解が少ない事が観察される。 後者は、一般に分子量に依存する。したがって、枝分かれのレベルが高く、分子量が低いほど、分子がアミラーゼによって攻撃され難い。 腹膜透析に使用するためには、生成物AおよびZが特に適しており、これらはイコデキストリンより明らかに高い耐性を有し、これは、これらの生成物が浸透力、および血糖に対する作用の持続性に関して、同等の分子量として明確な利点を有することを意味する。実施例5 本発明による高度分枝状ポリマーの水溶液を調製し、膵臓起源のアミラーゼ、および腸のアミログルコシダーゼ(アセトン性腸粉末)と接触させる。加水分解を、反応媒体中に出現したグルコースの測定により、長時間にわたってモニターする。この試験により、食物の炭水化物の消化に関与した酵素による加水分解に対する、このポリマーの耐性を評価することができる。これは、競技者が使用するための、または経腸および非経口栄養素を意図した配合物組成中に入れる食品成分を選択する際重要な基準となる。 本発明によるいくつかのポリマーを、イコデキストリン、グリコーゲン、および標準マルトデキストリンと比較して試験する。選択したポリマーは以下のものである。 生成物Aを実施例3に従って調製し、生成物Yを実施例2に従って調製し、また生成物Y'を、分枝酵素および限外濾過により処理されたアミロペクチンに富むデンプンから、実施例2に従って調製する。 イコデキストリンを、本説明に引用されている特許EP 667,356に従って作製する。グリコーゲンは、SIGMA-ALDRICHにより販売されているウシ肝臓グリコーゲンである。 標準マルトデキストリン対照を、酵素的消化のin vitroモデルを確認するために調製する。 酵素消化の操作条件は以下のとおりである。 試験する生成物約0.6gを正確に秤量し、 pH7の0.1mol/lマレイン酸Na緩衝液150mlを加え、 生成物が溶解するまで攪拌し、 得られた溶液の1.5mlを取り、 容器を水浴上に15分間置き、溶液の温度を37℃に合わせ、 ブタパンクレアチン0.15gを加え、 サーモスタット制御のバス上で、37℃で、攪拌しながら300分間インキュベートし、 時間0、時間30分に試料1.5mlを採取し、 試料を100℃のバス中で10分間乾燥するまで置くことにより,酵素反応を停止させ、 ラットの腸の粘膜0.15gを加え、 サーモスタット制御のバス上で、37℃で、攪拌しながら5時間30分間インキュベートし、 試料1.5mlを60分ごと、60;120;180;240;300;330;および360分に採取し、 試料を100℃のバス中で10分間乾燥するまで置くことにより、酵素反応を停止させ、 調査する生成物の加水分解百分率を計算するために、試料のグルコースを分析し、 グルコースの分析には、実施例4と同じ方法を使用する。 結果を以下の表に示す。 本発明によるマルトデキストリンは、特に競技者用の栄養素、または血糖調整用に使用するのに適している。本発明による生成物AおよびYは、50〜70%の間のグルコース放出百分率を得ることができ、すなわち加水分解に対して耐性があり、従来のマルトデキストリンより明らかに高く、グリコーゲンに匹敵する。このことは、これらの生成物が、血糖値に関して明確な利点を有し、したがって、これらはグリコーゲンと類似の消化特性を示すので、有利にその代替物を構成することができることを意味する。 1%未満の含量の還元糖を有する、可溶性の高度分枝状グルコースポリマーであって、 10%を超えるα-1,6グルコシド結合の含量、 0.3×105〜2×105ダルトンの間の、光散乱によって決定されるMw値、 1〜15mOsm/kgの間の値の、試験Aによって決定される浸透圧重量モル濃度 を有することを特徴とするポリマーであって、 前記試験Aが、FISKE(登録商標)ASSOCIATES MARK 3浸透圧計を用いて、水1kg中に高度分枝状グルコースポリマーを乾燥ベースで100g含む溶液の浸透圧重量モル濃度を測定することからなる、ポリマー。 α-1,6グルコシド結合の含量が、12〜30%の間である、請求項1に記載のポリマー。 0.5×105〜1.5×l05ダルトンの間の値の、光散乱によって決定されるMw、 1mOsm/kg〜2mOsm/kgの間の、試験Aにより決定される浸透圧重量モル濃度 を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。 0.5×105〜0.8×l05ダルトンの間の、光散乱によって決定されるMw値、 2mOsm/kg〜5mOsm/kgの間の、試験Aにより決定される浸透圧重量モル濃度 を有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー。 15〜30%の間のα-1,6グルコシド結合を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の可溶性の高度分枝状グルコースポリマー。 0.3×105〜0.7×105ダルトンの間の、光散乱によって決定されるMw値、 5mOsm/kg〜15mOsm/kgの間の、試験Aによって決定される浸透圧重量モル濃度 を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。 少なくとも1重量%と等しい乾燥含量を有する、水性デンプン懸濁液またはデンプン誘導体溶液が調製されること、 前記懸濁液または前記溶液が、25〜80℃の間で1〜24時間、少なくとも1種類の分枝酵素で処理されること、 αアミラーゼ、βアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、およびαトランスグルコシダーゼからなる群から選択した少なくとも1種類の酵素を、こうして得られた懸濁液または溶液に作用させること、 高分子量分画および低分子量分画を回収するように、膜分離またはクロマトグラフィーからなる群から選択した少なくとも1つの技法を用いて分別を実施すること、 こうして得られた高分子量分画に対応する、高度分枝状グルコースポリマーを回収すること を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマーを調製する方法。 調製された水性デンプン懸濁液またはデンプン誘導体溶液が、10〜50重量%の乾燥含量を有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 分枝酵素が、グリコーゲン分枝酵素、デンプン分枝酵素、およびこれらの酵素の任意の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。 分別技法が、限外濾過膜分離技法およびゲル型支持体上のクロマトグラフィー分離技法からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。 請求項1から6のいずれか一項に記載の、または請求項7から10のいずれか一項に記載の方法により得ることができる高度分枝状グルコースポリマーを含むことを特徴とする、ボール箱産業、繊維産業、化粧品産業、製薬業および食品業で使用することを意図した組成物。 経腸および非経口栄養素の分野で、血糖阻害剤および調整剤として、身体活動中のエネルギー源として、および消化調整剤として使用することを意図した、請求項11に記載の組成物。 浸透圧剤として、請求項1に記載の少なくとも1種の可溶性の高度分枝状ポリマーを含むことを特徴とする、腹膜透析のための溶液。 前記可溶性の高度分枝状ポリマーが、 0.3×105〜0.7×105ダルトンの間の、光散乱によって決定されるMw値、 5mOsm/kg〜15mOsm/kgの間の、試験Aによって決定される浸透圧重量モル濃度 を有することを特徴とする、請求項13に記載の透析溶液。 ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、およびエリトリトールからなる群から選択したポリオールをさらに含むことを特徴とする、請求項13および14のいずれかに記載の腹膜透析のための溶液。 乳酸塩、酢酸塩、およびグルコン酸塩などの緩衝液をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の溶液。


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