生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_DNAハイブリッド及びDNAハイブリッドを用いた環境浄化システム
出願番号:2003152619
年次:2011
IPC分類:C02F 1/28,C07H 21/04


特許情報キャッシュ

張 祖依 小谷 佳範 榊原 悌互 西 則雄 JP 4612789 特許公報(B2) 20101022 2003152619 20030529 DNAハイブリッド及びDNAハイブリッドを用いた環境浄化システム キヤノン株式会社 000001007 宮崎 昭夫 100123788 伊藤 克博 100106297 石橋 政幸 100106138 張 祖依 小谷 佳範 榊原 悌互 西 則雄 20110112 C02F 1/28 20060101AFI20101216BHJP C07H 21/04 20060101ALI20101216BHJP JPC02F1/28 AC07H21/04 Z C02F 1/28 C07H 1/00-99/00 C12Q 1/00-3/00 JSTPlus(JDreamII) 特開平02−286100(JP,A) 特開平10−175994(JP,A) YAMADA M ET AL.,UV-irradiated DNA matrix selectively accumulates heavy metal ions, BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,2002年,vol. 75,no. 7,pp. 1627-1632 YAMADA M ET AL.,UV-irradiation-induced DNA immobilization and functional utilization of DNA on nonwoven cellulose fabric,BIOMATERIALS,2001年12月,vol. 22, no. 23,pp. 3121-3126 西則雄,サケ白子DNAの機能性素材への利用,機能材料,1999年 6月,Vol. 19,No. 6,pp. 5-12 8 2004351336 20041216 8 20060529 川島 明子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、DNAハイブリッドに関し、特にDNAを酸化物マトリックスに強力に担持し、耐水性を発現させ、且つDNAの選択的な認識機能や二重らせんへのインターカレート能力が保持されるDNAハイブリッド及びその製造方法に関する。また、このDNAハイブリッドを用いた環境浄化システムにも関する。【0002】【従来の技術】DNA(デオキシリボ核酸)は生体内で遺伝情報を担う役割を果しており、生命現象にとって最も重要な物質の一つでる。DNAでは、1本鎖のDNAが相補的な1本鎖DNAに対して塩基対が多数形成されるために、きわめて精巧な分子認識能を持つ。この原理に基づき、DNAチップを用い、遺伝子診断技術が開発されている。また、バイオセンサー・分子デバイスへの応用が期待されている。更に、DNAの二重らせんが平面的な化学構造をもつ芳香族系化合物を選択的にインターカレーションするため、発ガン性化合物などを除去するに有用で、空気中又は水中の有害物質を除去する環境浄化材料として有望視されている(非特許文献1)。【0003】前者の用途において、スライドグラスなどの基材の表面に多数のDNA断片(DNAプローブ)等の遺伝子を載せたチップが開発されている。DNAは本来水溶性であり、これらの応用では基材担体に固定化させる技術が必要とされている。生体物質を基板に固定するには、従来より、有機架橋反応が利用されている。例えば、特開2002−211954公報(特許文献1)においては、炭層系物質層の表面層を形成した粗面化されたスライドガラスにDNAグループ等の遺伝子、蛋白質、ペプチドなどの生体物質を担持する方法が開示されている。固定化法として、まず、カーボン表面をカルボキシル化した後、カルボジイミド及びN−ヒドロキシスクシンイミドと脱水縮重合することにより、アミド結合を介して炭化水素の末端にN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基等の活性エステル基を設け、表面を活性化させる。このように活性化した後、生体物質を担持させている手法が使われている。特開平11−148935公報(特許文献2)には、核酸の定量的検出法及び核酸の定量的検出キットが開示されている。【0004】また、特開2002−218976公報(特許文献3)には、基板上に核酸を固定化する核酸固定化方法として、基板を原子状酸素プラズマで処理して活性化し、担持する技術が開示されている。これらの技術は何れも担持が基材表面に限定されており、担時プロセスも複雑であるという問題がある。【0005】有機架橋反応の他に、金属イオンによる架橋反応なども提案されている。特開平7−41494公報(特許文献4)においては、デオキシリボ核酸の固定化方法として、デオキシリボ核酸のアルカリ金属塩とアルギン酸のアルカリ金属塩を2価の金属含有化合物で凝固させることによるデオキシリボ酢酸の固定化方法が開示されている。特開2001−81098号公報(特許文献5)には、DNAを環境浄化材料とする際に、支持体上の水溶液もしくはその液膜、又は支持体上の水溶性DNAの薄層に、波長が250〜270nmの範囲の紫外線を照射することによってDNAを硬化させ、支持体にDNAを固定化させる点が開示されている。特開平10−175994公報(特許文献6)には、DNAが固定化されている複合体として、無機質固体への固体化担体が開示されている。これらの方法より、DNA間の架橋をもたらし、耐水性を発現させているが、DNAの露出面積が小さく、DNAの機能が完全に引き出されていないという問題がある。【0006】【非特許文献1】機能材料、Vol.19、1999年【特許文献1】特開2002−211954公報【特許文献2】特開平11−148935公報【特許文献3】特開2002−218976公報【特許文献4】特開平7−41494公報【特許文献5】特開2001−81098号公報【特許文献6】特開平10−175994公報【0007】【発明が解決しようとする課題】上述した担持法で得られたDNA担持体はDNAの担持強度が強く、且つ効率的に選択吸収や環境浄化などに適用できるDNA複合材料としては十分でない場合が多い。本発明は、このような従来技術における問題を解消するためになされたものであり、DNAを効率的に担持体に担持し、且つ、担持された状態のDNAの機能が効率的に発現するDNA複合酸化物およびその製造方法、さらにそのDNA複合酸化物を用いた環境浄化システムを提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】 本発明には、次に記載する各態様が含まれる。(1) 酸化物コロイドのゲル体からなる多孔質酸化物のマトリックスに、DNAが担持されたDNAハイブリッドであって、 前記酸化物コロイドが、シリカコロイドと、価数が3価又は4価である金属の酸化物の少なくとも1種のコロイドとの混合物であることを特徴とするDNAハイブリッド。(2) DNAの含有量が質量換算で0.01%〜15%である上記(1)項記載のDNAハイブリッド。(3) 前記金属の酸化物が、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタニウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含む上記(1)項または(2)項に記載のDNAハイブリッド。(4) DNAハイブリッドの製造方法であって、 酸化物コロイドとDNAとを含む分散液を調製する工程と、 該分散液をゲル化して、前記酸化物コロイドのゲル体としての多孔質酸化物のマトリックスに、DNAを固定化する工程と、を有し、 前記酸化物コロイドが、シリカコロイドと、価数が3価又は4価である金属の酸化物の少なくとも1種のコロイドとの混合物であることを特徴とするDNAハイブリッドの製造方法。(5) DNAの含有量が質量換算で0.01%〜15%である上記(4)項記載の製造方法。(6) 前記金属の酸化物が、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタニウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含む上記(4)項記載の製造方法。(7) 水中の有害物質を除去するための環境浄化システムにおいて、上記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のDNAハイブリッドと、該DNAハイブリッドを有害物質を含む水と接触させるための手段と、を有することを特徴とする環境浄化システム。(8) 水中の有害物質を除去することによる環境浄化方法において、上記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のDNAハイブリッドと有害物質を含む水と接触させて、有害物質を該DNAハイブリッドに吸着させる工程を有することを特徴とする環境浄化方法。【0009】本発明に係わるDNAハイブリッドは、酸化物コロイドより酸化物多孔質マトリックスを形成すると共に、DNAは酸化物多孔質マトリックスに強く担時させる。これによって、DNAに耐水性を発現させると共に、比表面積が高いというDNA担持材料を可能とした。【0010】【発明の実施の形態】本発明に用いられる酸化物コロイド分散液は分散媒の揮発、又は第三成分によってコロイド間の凝集又はゲル化が起こり、最終的に分散媒の除去につれて多孔質の酸化物のゲル体が形成する。DNAが分散液からゲル化までの段階で、酸化物コロイドの間に取り込まれ、担持される。【0011】本発明に使用するDNAとしては、担持体に担持させた状態での使用目的を達成できるものであれば、DNAの大きさおよびその種類は特に制限されない。一本鎖のDNA又は二本鎖DNA例えば魚類の精巣又は動物の胸腺から得られるDNAが挙げられる。例えば、サケ、ニシンまたはタラの白子(精巣)から得られるものが好ましい。又、哺乳動物もしくは鳥類、例えばウシ、ブタ、ニワトリ等の胸腺から得られるものが好ましい。他の水溶性DNAの例としては、合成DNA特に(dA)−(dT)の塩基対を持つDNA配列、特に例えばpoly(dA)−poly(dT)型の配列を持つDNAであってもよい。DNAの分子量として、好ましくは10万以上、より好ましく50万である。【0012】本発明のDNAハイブリッドにおいて、DNAの含有量(質量基準)が0.01%〜15%、より好ましく0.1%〜10%することが望ましい。DNAの含有量が0.01%以上であると、DNA由来の性質の発現効率をより良好とすることができる。一方、含有量が15%以下であると、経済性の問題も無くなり、DNAハイブリッド中の細孔が形成される。これによって、DNAハイブリッド中へのガスや水溶液の移動が速く、表面層のDNAの他に、細孔内部のDNAにおいてもDNA本来の性質が発現することが可能となる。【0013】 本発明に用いられる酸化物コロイドとして、例えば、コロイダルシリカ、コロイダル酸化アルミニウム、コロイダル酸化鉄、コロイダル酸化ガリウム、コロイダル酸化ランタン、コロイダル酸化チタニウム、コロイダル酸化セリウム、コロイダル酸化ジルコニウム、コロイダル酸化すず及びコロイダル酸化ハフニウム等を挙げることができる。マトリックスの安定性及び経済性から、入手しやすいシリカコロイドをマトリックスの主成分とすることが好ましい。本発明では、コロイドダルシリカと、1種以上の価数が3価又は4価の金属酸化物コロイドを併用する。価数が3価又は4価である金属コロイドを加えると、DNAのリン酸官能基と金属イオンとの結合が形成され、DNAのマトリックスへの担持能が強くなり、通常の水系の環境下で脱離恐れが無くなる。コロイド中の固形分換算で、3価または4価の金属酸化物の含有量が0.1〜50質量%であることが好ましい。その中、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタニウム及び酸化ジルコニウムが特に好ましい。これらのコロイドは水熱反応より合成できる。又、水分散酸化物コロイドは市場で入手が可能である。【0014】 コロイダルシリカの具体例として、日産化学工業株式会社からスノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックスN、スノーテックスO、スノーテックスC等の水系ゾル銘柄、メタノール系ゾル、IPA−ST、EG−ST、MEK−STなどの溶剤系ゾル銘柄や触媒化成工業株式会社からOSCAL−1132、OSCAL−1432、OSCAL−1232等の溶剤系ゾル銘柄等が提供されている。コロイダル酸化アルミニウムの具体例としては、日産化学工業株式会社が市販しているアルミナゾル100、アルミナゾル520などの銘柄をあげることができる。【0015】DNAの担持法としては、DNA溶液と酸化物コロイド分散液との混合液とDNAを分散状態で含む分散液から、分散媒を除去してDNAを酸化物マトリックスに固定化する。分散液の段階において、DNAとの凝集またはコロイドの凝集を抑えるために、予め酸化物コロイド表面を修飾してもよい。修飾法としては、界面活性剤、チタニウムの化合物、シランカップリング剤、β−ジケトン等のキレート剤及び酢酸などの有機酸をコロイド分散液に適宜に添加し、これらのコロイドの表面を部分的に改質する。このように得たコロイド分散液とDNA水溶液との複合化を行い、DNAハイブリッドを得る。固定化する工程では、分散媒を加熱、噴霧乾燥、真空乾燥などの方法で除去し、酸化物のマトリックスを形成させる。マトリックスの強度を上げるために、得られたDNA担持の酸化物ゲルにDNAの分解が起こらない程度の熱を与えることが好ましい。DNAハイブリッドの熱処理温度として、200℃以下、より好ましくは150℃以下である。更に、必要に応じ、酸化物コロイド間の結合を強化するために、第三成分を加えてもよい。第三成分は特に限定されない。コロイドの凝集を促進する酸及び塩基、水溶性金属化合物、金属アルコキシドなどを挙げることができる。【0016】DNAハイブリッドの形態としては、必要に応じて、粉末及びバルクの他に、板、管状体、繊維、織布及び不織布などの基体表面へのコーティング膜などを挙げることができる。粉末の場合では、酸化物コロイドとDNAを含む分散液から噴霧乾燥することによって、DNAハイブリッドの粉末を形成させることができる。また、DNAハイブリッドのバルクを形成させた後、得られたバルク体を粉砕して粉末を得る方法を用いることができる。【0017】更に、上記したDNAハイブリッド粉末、DNAハイブリッドを被覆した板、管状体、繊維、織布及び不織布などを用い、モジュール化することできる。例えば、DNAハイブリッド粉末をカラムに充填し、気体又は液体中の特殊の物質を抽出するという形態を採ることができる。また、牛乳や母乳の濾過材として、DNAハイブリッド担持繊維、織布をフィルタとしたモジュール化への応用も可能である。【0018】このモジュールは、各種の排水や廃水、河川、湖沼などの水から有害物質を除去するための環境浄化システムに応用することもできる。例えば、上記のように、DNAハイブリッド粉末、又はDNAハイブリッドを被覆した板、管状体、繊維、織布及び不織布を充填したカラムを、有害物質を含む水とDNA複合酸化物との接触手段として用い、カラム中に水を通してこれを浄化処理することができる。【0019】【実施例】(実施例1)5質量部のサケの白子から得られた二本鎖DNA(分子量,6×106)を1000質量部のイオン交換水に1日間かけて溶かし、DNAの水溶液を得た。30%(質量)のシリカゾル(日産化学工業(株)、スノーテックスCM)70質量部にアルミナゾル(日産化学工業(株)、アルミナゾル520)20質量部を攪拌ながら、添加した。得られた混合ゾルにDNA水溶液100質量部を加え、10分間ゆっくり攪拌した。その後、得られたDNAの分散液を50℃で24時間乾燥し、DNAの含有量が約2質量%のDNAハイブリッド1を得た。【0020】このDNAハイブリッドの溶出実験を行った。20質量部のイオン交換水に0.05質量部のDNAハイブリッドの塊を加えた。密閉条件下で室温で48時間静置し、その上澄みの液を分光光度計(日立、U−3310)を用いて、260nmにおけるDNAによる吸光度を測定したところ、吸光度が0.05以下であった。95質量%以上のDNAが担持されていることがわかった。0.5質量部のDNAハイブリッドを60ppmの臭化エチジウム水溶液に浸漬し、3時間経過したところ、上澄み中の臭化エチジウムによる着色が低下し、DNAハイブリッドが赤くなった。366nmの紫外線を当てたところ、DANハイブリッドがオレンジの蛍光色を示し、平面構造を有する有害物化合物に対してインターカレーション機能が保たれていることを確認した。【0021】更に、このDNAハイブリッドを窒素吸着法で比表面積を測定したところ、比表面積が135m2/gであった。【0022】(実施例2)30%(質量)のシリカゾル(日産化学工業(株)、スノーテックスCM)70質量部に20質量%のアルミナゾル(日産化学工業(株)、アルミナゾル520)40質量部を攪拌しながら、添加した。得られた混合ゾルに実施例1のDNA水溶液100質量部を加え、10分間ゆっくり攪拌した。その後、得られたDNAの分散液を50℃で24時間乾燥し、DNAの含有量が約1.7質量%のDNAハイブリッド2を得た。【0023】このDNAハイブリッドの溶出実験を行った。20質量部のイオン交換水に0.1質量部のDNAハイブリッドの塊を加えた。密閉条件下で48時間静置し、その上澄みの液を分光光度計(日立、U−3310)を用いて、260nmにおけるDNAによる吸光度を測定したところ、吸光度が約0.02であった。98質量%以上のDNAが担持されていることがわかった。【0024】(実施例3)30%(質量)のシリカゾル(日産化学工業(株)、スノーテックスCM)70質量部に酸化チタンゾル(多木化学(株)、M−6、6質量%)60質量部を攪拌しながら、添加した。得られた混合ゾルに実施例1のDNA水溶液50質量部を加え、10分間ゆっくり攪拌した。その後、得られたDNAの分散液を50℃で24時間乾燥し、DNAの含有量が約1質量%のDNAハイブリッド3を得た。【0025】このDNAハイブリッドの溶出実験を行った。20質量部のイオン交換水に0.1質量部のDNAハイブリッドの塊を加えた。密閉条件下で48時間静置し、その上澄みの液を分光光度計(日立、U−3310)を用いて、260nmにおけるDNAによる吸光度を測定したところ、吸光度が約0.05であった。95質量%のDNAが担持されていることがわかった。【0026】(実施例4)30%(質量)のシリカゾル(日産化学工業(株)、スノーテックスCM)70質量部に酸化チタンゾル(多木化学(株)、M−6、6質量%)100質量部を攪拌しながら、添加した。得られた混合ゾルに実施例1のDNA水溶液100質量部を加え、10分間ゆっくり攪拌した。その後、得られたDNAの分散液を50℃で24時間乾燥し、DNAの含有量が約1.8質量%のDNAハイブリッド4を得た。【0027】このDNAハイブリッドの溶出実験を行った。20質量部のイオン交換水に0.1質量部のDNAハイブリッドの塊を加えた。密閉条件下で48時間静置し、その上澄み液のDNA濃度を分光光度計(日立、U−3310)を用いて調べた。260nmにおけるDNAによる吸光度が約0.07であった。96質量%のDNAが担持されていることがわかった。【0028】(実施例5)30%(質量)のシリカゾル(日産化学工業(株)、スノーテックスCM)100質量部に酸化チタンゾル(多木化学(株)、M−6、6質量%)50質量部を攪拌しながら、添加した。得られた混合ゾルに実施例1のDNA水溶液20質量部を加え、10分間ゆっくり攪拌した。その後、得られたDNAの分散液を50℃で24時間乾燥し、DNAの含有量が約0.3質量%のDNAハイブリッド5を得た。【0029】このDNAハイブリッドの溶出実験を行った。20質量部のイオン交換水に0.1質量部のDNAハイブリッドの塊を加えた。密閉条件下で48時間静置し、その上澄み液のDNA濃度を分光光度計(日立、U−3310)を用いて調べた。260nmにおけるDNAによる吸収が確認できなかった。DNAが殆ど担持されていることがわかった。【0030】(比較例1)粒径0.063〜0.2mmのシリカ粉末5質量部に実施例1のDNA溶液5.6質量部を加え、均一に塗らすように混ぜた。得られたペーストを50℃で24時間乾燥し、DNAの担持濃度が0.56質量%のシリカ粉末を得た。得られたシリカ粉末0.040質量部を5質量部のイオン交換水に入れ、溶出実験を行った。その上澄み液の260nmでの吸光度が0.56であった。約61質量%のDNAが溶出したことがわかった。【0031】【発明の効果】本発明によれば、DNAを強固に酸化物マトリックスに担持させ、DNAハイブリッドが得られる。DNAが水に対して不溶になるが、多孔質の酸化物の細孔が保たれる。これによって、DNA由来の吸着特性を最大限に生かすことができる。このようなDNAハイブリッドを環境浄化材料とし、環境浄化システムが可能となり、従来技術を上回る効果を達成することができる。 酸化物コロイドのゲル体からなる多孔質酸化物のマトリックスに、DNAが担持されたDNAハイブリッドであって、 前記酸化物コロイドが、シリカコロイドと、価数が3価又は4価である金属の酸化物の少なくとも1種のコロイドとの混合物であることを特徴とするDNAハイブリッド。 DNAの含有量が質量換算で0.01%〜15%である請求項1記載のDNAハイブリッド。 前記金属の酸化物が、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタニウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項1または2に記載のDNAハイブリッド。 DNAハイブリッドの製造方法であって、 酸化物コロイドとDNAとを含む分散液を調製する工程と、 該分散液をゲル化して、前記酸化物コロイドのゲル体としての多孔質酸化物のマトリックスに、DNAを固定化する工程と、を有し、 前記酸化物コロイドが、シリカコロイドと、価数が3価又は4価である金属の酸化物の少なくとも1種のコロイドとの混合物であることを特徴とするDNAハイブリッドの製造方法。 DNAの含有量が質量換算で0.01%〜15%である請求項4記載の製造方法。 前記金属の酸化物が、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタニウム及び酸化ジルコニウムからなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項4に記載の製造方法。 水中の有害物質を除去するための環境浄化システムにおいて、請求項1乃至3のいずれかに記載のDNAハイブリッドと、該DNAハイブリッドを有害物質を含む水と接触させるための手段と、を有することを特徴とする環境浄化システム。 水中の有害物質を除去することによる環境浄化方法において、請求項1乃至3のいずれかに記載のDNAハイブリッドと有害物質を含む水と接触させて、有害物質を該DNAハイブリッドに吸着させる工程を有することを特徴とする環境浄化方法。


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