生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_窒化珪素粉末の製造方法
出願番号:2003147562
年次:2007
IPC分類:C01B 21/068,A61C 5/00,A61K 6/00


特許情報キャッシュ

善場 研也 松田 幸一 吉田 昭夫 JP 3891959 特許公報(B2) 20061215 2003147562 20030526 窒化珪素粉末の製造方法 電気化学工業株式会社 000003296 善場 研也 松田 幸一 吉田 昭夫 20070314 C01B 21/068 20060101AFI20070222BHJP A61C 5/00 20060101ALI20070222BHJP A61K 6/00 20060101ALI20070222BHJP JPC01B21/068 TA61C5/00A61K6/00 Z C01B 21/068 特公平03−053242(JP,B2) 特開平06−340404(JP,A) 2 2004345929 20041209 8 20040401 大工原 大二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用に好適な色調を有する窒化珪素粉末の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、歯科用窒化珪素粉末は白色であることが好ましいとされ、それは窒化珪素粉末を塩素ガス雰囲気下で、1100℃以上で加熱処理した後、更に窒素雰囲気下、1200℃以上で加熱処理して製造する方法が知られている(特許文献1)。【0003】【特許文献1】特公平03−53242号公報。【0004】しかしながら、上記方法の場合、塩素ガスを使用するので、設備腐食や環境問題の対策が必要であり、窒化珪素粉末はコストアップとならざるを得なかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記に鑑み、歯科材料として相応しい色調を持つ窒化珪素粉末の製造方法を提供することである。【0006】本発明の目的は、窒化珪素微粉末を、窒素を含む雰囲気下、所定温度で加熱処理した後、酸素を含む雰囲気下で熱処理することによって達成することができる。【0007】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、窒化珪素微粉末原料を、窒素を含む非酸化性雰囲気中、1500〜1800℃で加熱処理してハンター白度を向上させた後、酸素を含む雰囲気中、600〜800℃で熱処理してイエローインデックス(黄色度)を増加させることを特徴とするハンター白度80以上、イエローインデックスが1〜6である窒化珪素粉末の製造方法である。この場合において、窒化珪素微粉末原料の平均粒径が1〜3μmで、最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。【0008】【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について説明する。【0009】本発明者らの調査結果によれば、歯科用に適した窒化珪素粉末の色調は、ハンター白度が80以上で、イエローインデックス(黄色度)が1〜6である。また、粒径については、平均粒径が1〜3μmで、最大粒子径が20μm以下であり、粒子形状は粒状であることが好まれる。【0010】すなわち、窒化珪素粉末のハンター白度が80未満では、歯科用として白さの面で不適となる。好ましいハンター白度は80〜90である。イエローインデックスが1未満では、黄色みが不足となり、6を超えると逆に黄色みが増し過ぎのため、歯科用としての色調が不適となる。好ましいイエローインデックスは2〜5である。ハンター白度は、本発明の窒化珪素粉末の製造方法において、非酸化性雰囲気下での熱処理温度によって調整することができ、またイエローインデックスは酸素を含む雰囲気下での熱処理温度によって調整することができる。【0011】ハンター白度(WB)とイエローインデックス(YI)は、三刺激値X、Y、Z(Xは主に色の三原色(赤、緑、青)の赤を感じる値、Yは緑を感じる値、Zは青を感じる値)にもとづいて次式によって算出される。このようなハンター白度及びイエローインデックスの測定は、色差計(例えば日本電色工業社製、Z−300A型)を用いて自動測定することができる。ハンター白度の数値が高いほど、白色度が高いことを表し、またイエローインデックスの数値が高いほど、黄色度(黄色み)が増すことを表している。ハンター白度(WB)=Z/1.1823イエローインデックス(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y【0012】窒化珪素粉末の粒度は、粒度分布測定機(例えばMICROTRAC−II、LEEDS&NORTHRUP社製、SPA:MODEL 7997−20)によって測定することができる。【0013】本発明で用いられる窒化珪素微粉末原料の一例を示せば、金属シリコン粉末に、必要に応じて窒化珪素粉末を骨材として混合し、成形後、窒素雰囲気下で窒化させてインゴットを製造し、それを粉砕・分級されたものである。【0014】窒化珪素微粉末原料の粒度については、歯科用として使用される窒化珪素粉末の平均粒径が1〜3μm以下、最大粒子径が20μm以下であること、窒化珪素微粉末原料を、窒素を含む非酸化性雰囲気下で熱処理した後に上記粒度まで粉砕するよりは、熱処理前に粒度調整をしておく方が、短時間で粉砕を行うことができ、しかも粉砕媒体からのコンタミによる色調低下を防ぐことができること、容易にハンター白度を80以上とすることのために、平均粒径が1〜3μm、最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。【0015】本発明において、窒化珪素微粉末原料は、窒素を含む非酸化性雰囲気下、1500〜1800℃で熱処理してハンター白度を50程度から80以上にまで向上させる。この処理によってハンター白度が向上する理由は定かではないが、これ以外の熱処理温度ではハンター白度が80以上にはならない。しかも、1800℃を超える温度では粒成長が激しくなり、形状が柱状になる。そこで、本発明においては、1550〜1650℃で0.5〜3時間、一旦保持(温度キープ)してから、1700〜1800℃で0.5〜3時間熱処理することが好ましい。【0016】非酸化性雰囲気は、窒素単独、又は窒素とアルゴン等との混合雰囲気によって形成させることができる。また、このような非酸化性雰囲気のかわりに酸化性雰囲気で熱処理をすると、白度が上がらないどころか、窒化珪素自体の酸化が進み、歯科用として本来の窒化珪素自体の性能が損なわれる。【0017】この熱処理を終えた段階の窒化珪素粉末のイエローインデックス(黄色度)はマイナス値であるので、黄味の色調を帯びさせるため、酸素を含む雰囲気下、600〜800℃で熱処理を行い、イエローインデックスを1〜6とする。この熱処理によってイエローインデックスが上昇するメカニズムはまだ明白にはなっていない。熱処理温度が600℃未満であると、イエローインデックスはマイナス値のままであり、また800℃を超えるとイエローインデックスが6をこえ、またハンター白度も80未満となる。この600〜800℃は凝集による粗粒が発生しにくい温度でもある。特に好ましい熱処理温度は、600〜700℃である。この熱処理を窒素ガス等の非酸化性雰囲気で実施しても、イエローインデックスを1以上にすることはできない。【0018】得られた窒化珪素粉末を歯科用途に供するには、平均粒径1〜3μm、最大粒子径20μm以下に調整されることが好ましい。この粒度調整は、最終段階で行うこともできるが、以下の理由から、窒素を含む非酸化雰囲気下における熱処理が終わった後に(酸素を含む雰囲気下における熱処理前に)行うことが望ましい。すなわち、窒化珪素粉末は加水分解するが、最終段階で粉砕・分級すると、窒化珪素表面に新生面が現れてしまい、加水分解の起こしやすい状態となるので、これを回避するためである。窒素を含む非酸化性雰囲気下における熱処理が終わった後に粒度調整を行っておくと、続いて行われる酸素を含む雰囲気下における熱処理によって、イエローインデックスが増加するのみならず、窒化珪素表面に薄い酸化膜が形成され、耐加水分解性が助長される。そのために、熱処理の際の雰囲気としては、酸素を含むことが望ましい。【0019】【実施例】以下、本発明を実施例、比較例をあげて、更に具体的に説明する。【0020】実施例1〜7 比較例1〜4金属シリコン粉末100質量部に対し、骨材として窒化珪素粉末30質量部を配合し、成形後、窒素雰囲気中で窒化して窒化珪素インゴット製造した後、粉砕・分級して表1に示される窒化珪素微粉末原料を製造した。【0021】これを窒化ホウ素製耐熱性容器に充填し、真空中、1200℃までは600℃/h、1200℃以降は400℃/hの速度で、表1に示される加熱処理温度まで昇温し、その温度で4時間保持してから冷却した。窒素ガスは、900℃から導入し、炉内圧力を0.02〜0.04MPaとして加熱処理を行った。実施例3では、1550℃で2時間保持した後、再度1750℃で2時間保持した。比較例4では、窒化珪素微粉末原料を高アルミナ質製耐熱性容器に充填し、大気中にて1200℃までは200℃/h、1200℃以降は100℃/hの速度で1650℃まで昇温し、4時間保持してから冷却した。この段階における窒化珪素粉末のハンター白度及びイエローインデックスを、色差計(日本電色工業社製、Z−300A型)を用いて測定した。その結果を表1に示す。【0022】【表1】表1から次のことがわかる。実施例1〜7では、窒化珪素微粉末原料を窒素雰囲気中で加熱処理をしたので、窒化珪素粉末のハンター白度は著しく上昇しており、見た目も顕著であった。また、粒子形状も角張っていない粒状であった。しかし、イエローインデックスについては総じてマイナス値であり、歯科用途としては黄色みが不足していた。とくに、窒化珪素微粉末原料の平均粒径を1〜3μm、最大粒子径を20μm以下にすることによって、このような粒度範囲にない実施例5〜7に比べて、ハンター白度は高くなった。【0023】これに対し、比較例1では1500℃よりも低い温度、比較例2では1800℃よりも高い温度で処理したので、ハンター白度はいずれも80未満であった。また、比較例2では粒子形状は柱状であった。 比較例3ではハンター白度は80以上にはなるが、粒子形状はやや柱状であった。比較例4では、窒化珪素微粉末原料を大気中で加熱処理したので、ハンター白度は上昇しなかった。【0024】実施例8〜10 比較例5〜7ついで、窒素雰囲気下で加熱処理して得られた実施例2の窒化珪素粉末をボールトンミルで平均粒径約1.5μmに粉砕した後、炭化珪素製セラミックス容器に充填し、大気中、シリコニット炉で表2に示される熱処理温度まで昇温し、その温度で3時間保持してから冷却し、得られた窒化珪素粉末のハンター白度及びイエローインデックスを測定した。その結果を表2に示す。なお、比較例7は、大気中における熱処理のかわりに窒素雰囲気中で熱処理したものである。【0025】【表2】【0026】表2から次のことがわかる。実施例6〜8では大気中600〜800℃で処理した結果、イエローインデックスは上昇し、いずれも歯科用途に適した色調であった。また、窒化珪素粉末の粒度も処理前とほぼ同じであり、凝集等による粗粒発生もなかった。これに対し、比較例5では600℃よりも低い温度で処理したので、イエローインデックスは1未満であった。比較例6では800℃よりも高い温度で熱処理したので、イエローインデックスは6をこえ、ハンター白度も80未満に低下し、見た目も黄色みが増していた。また、窒化珪素粉末の粒度は粗めに推移し、凝集による粗粒発生が見受けられた。窒素雰囲気中で熱処理をした比較例7では、イエローインデックスはマイナス値となった。【0027】【発明の効果】本発明によれば、歯科用途に適した色調を有する窒化珪素粉末の製造方法が提供される。 窒化珪素微粉末原料を、窒素を含む非酸化性雰囲気中、1500〜1800℃で加熱処理してハンター白度を向上させた後、酸素を含む雰囲気中、600〜800℃で熱処理してイエローインデックス(黄色度)を増加させることを特徴とするハンター白度80以上、イエローインデックスが1〜6である窒化珪素粉末の製造方法。 窒化珪素微粉末原料が、平均粒径が1〜3μm、最大粒子径が20μm以下であることを特徴とする請求項1記載の窒化珪素粉末の製造方法。


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