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タイトル:特許公報(B2)_低μ路判定装置及び4輪駆動車の駆動力配分制御装置
出願番号:2003140941
年次:2008
IPC分類:B60K 17/348,G01N 19/02


特許情報キャッシュ

繁田 良平 村上 剛 JP 4186701 特許公報(B2) 20080919 2003140941 20030519 低μ路判定装置及び4輪駆動車の駆動力配分制御装置 株式会社ジェイテクト 000001247 恩田 博宣 100068755 恩田 誠 100105957 繁田 良平 村上 剛 20081126 B60K 17/348 20060101AFI20081106BHJP G01N 19/02 20060101ALI20081106BHJP JPB60K17/348 BG01N19/02 B B60K 17/34-17/36 G01N 19/02 特開平03−249340(JP,A) 特開2003−136992(JP,A) 特開昭62−155134(JP,A) 2 2004338685 20041202 11 20050629 鈴木 充 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、低μ路判定装置及び4輪駆動車の駆動力配分制御装置に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、低μ路判定を行うために、例えば、車輪速を検出して、同車輪速から車輪のスリップ率を演算し、そのスリップ率に基づいて路面の摩擦係数を推定し、摩擦係数に基づいて低μ路判定をするようにしたものがある(以下、従来構成1という)。又、運転者のアクセル操作量のみに基づいて路面の摩擦係数を推定し、同路面摩擦係数に基づいて低μ路判定を推定するようにしたものもある(以下、従来構成2という)。なお、μは摩擦係数のことである。【0003】又、スリップ率とアクセル開度に基づいて、低μ路判定を行う技術としては、特許文献1(以下、従来構成3という)がある。この技術では、アクセル開度毎に、スリップ率が所定値を超えるスリップ回数をカウントし、このアクセル開度毎にカウントしたカウント値がアクセル開度毎に設定された所定閾値よりも大きいと低μ路判定を行うようにしている。【0004】【特許文献1】特開平11−148395号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】しかし、従来構成1のように単にスリップ率でのみ、低μ路判定を行うものは、例えば、乾いた路面にて、スロットル全開を行うべく急アクセル操作した場合にも、低μ路判定をしてしまい、誤判定をしてしまう。【0006】又、従来構成2のように運転者のアクセル操作量のみに基づいて路面の摩擦係数を推定する場合には、運転者の操アクセル作量にばらつきがあるため、誤判定となる場合がある。【0007】ところで、従来から、4輪駆動車には、スタンバイ方式の4輪駆動車が知られている。このスタンバイ方式は、必要に応じて4輪駆動状態と2輪駆動状態を遷移するもので、内燃機関に直結された主駆動輪と、カップリングを介して内燃機関に接続された副駆動輪(従動輪ともいう)とを備えている。そして、副駆動輪側への駆動力配分を路面状況や走行状態などに応じてカップリングの締結力(係合力)を変化させることで最適になるよう調整している。【0008】一方、低μ路判定装置を搭載した上記のような4輪駆動車では、低μ路判定の場合には4輪駆動傾向の制御が行われ、高μ路判定の場合には2輪駆動傾向の制御が行われるようにされている。【0009】しかし、例えば、乾燥路から積雪路に変わる道路のように、低μ路の路面がところどころに存在する道路上を走行している場合、低μ路判定と高μ路判定が短時間の内に頻繁に切り替わると、4輪駆動傾向の制御と2輪駆動傾向の制御もそれに応じておこなうため、制御が安定しない問題がある。【0010】従来構成3では、この問題を解決するために、スリップ率が所定値を超えないスリップが所定回数連続した場合、低μ路判定を解除する(解除方法1という)ようにしたり、或いは、所定時間、スリップ率が所定値を超えないスリップが継続した場合、低μ路判定を解除する(解除方法2という)ようにしている。【0011】しかし、この従来構成3の低μ路判定の解除方法1及び解除方法2は、摩擦係数の大きさに応じて行っていないため、例えば、摩擦係数の大小にかかわらず、低μ路判定が解除されてしまう問題がある。【0012】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、低μ路判定の精度が向上でき、低μの路面と高μの路面が交互に連続しても、低μ路判定と高μ路判定とが頻繁に切り替わることがなく、低μ路の摩擦係数に応じて、低μ路判定の解除を行うことができる低μ路判定装置を提供することにある。【0013】又、上記低μ路判定装置を備えることにより、低μ路の摩擦係数に応じて安定して4輪駆動の制御を行うことができる4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することにある。【0014】【課題を解決するための手段】 前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車体の加速操作量を検出する加速操作量検出手段と、制御周期毎に車輪と路面のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、前記スリップ率と、車体の加速操作量に基づいて、路面の摩擦係数に関する可変値の低μ情報量を制御周期毎に演算する低μ情報量演算手段と、演算された前記低μ情報量と、加算判定閾値とを制御周期毎に比較判定する比較判定手段と、前記比較判定手段が、前記低μ情報量が加算判定閾値を超えていると判定したとき、前記低μ情報量に応じた値を制御周期毎に積算する加算手段と、前記比較判定手段が、前記低μ情報量が加算判定閾値以下と判定したとき、予め設定された値の所定量を前記加算手段が加算した値から減算する減算手段と、前記加算手段又は前記減算手段が算出した値と低μ路判定閾値とを制御周期毎に比較して、前記算出した値が低μ路判定閾値を超えている場合に低μ路判定する低μ路判定手段とを備えたことを特徴とする低μ路判定装置を要旨としている。【0016】 請求項2の発明は、内燃機関の発生する駆動力をカップリングを介して前輪及び後輪に分配して伝達し、車両の走行状態に対応して前記カップリングの係合力を制御する制御手段を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、請求項1に記載の低μ路判定装置を備え、前記制御手段は、前記低μ路判定装置が低μ路判定したときは、4輪駆動傾向のトルク配分を行うように前記カップリングを制御することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置を要旨とするものである。【0017】なお、本明細書において、4輪駆動傾向のトルク配分を行うとは、カップリングの係合力を現在の結合力より強める方向にカップリングを制御することをいう。又、2輪駆動傾向のトルク配分を行うとは、カップリングの係合力を現在の結合力より弱める方向にカップリングを制御することをいう。【0018】【発明の実施の形態】以下、本発明を前輪駆動ベースでマニュアルトランスミッションの4輪駆動車に具体化した一実施の形態を図1〜図4に従って説明する。【0019】図1は本実施形態における4輪駆動車の概略構成図を示す。図1に示すように、4輪駆動車11は、内燃機関としてのエンジン12及びトランスアクスル13を備えている。トランスアクスル13はトランスミッション及びトランスファ等を有している。トランスアクスル13には一対のフロントアクスル14, 14及びプロペラシャフト15が連結されている。両フロントアクスル14, 14にはそれぞれ前輪16, 16が連結されている。プロペラシャフト15には駆動力伝達装置(カップリング)17が連結されており、同駆動力伝達装置17にはドライブピニオンシャフト(図示略)を介してリヤディファレンシャル19が連結されている。リヤディファレンシャル19には一対のリヤアクスル20, 20を介して後輪21, 21が連結されている。【0020】エンジン12の駆動力はトランスアクスル13及び両フロントアクスル14, 14を介して両前輪16, 16に伝達される。また、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフトとが駆動力伝達装置17にてトルク伝達可能に連結された場合、エンジン12の駆動力はプロペラシャフト15、ドライブピニオンシャフト、リヤディファレンシャル19及び両リヤアクスル20, 20を介して両後輪21, 21に伝達される。【0021】駆動力伝達装置17は湿式多板式の電磁クラッチ機構18を備えており、同電磁クラッチ機構18は互いに摩擦係合又は離間する複数のクラッチ板(図示略)を有している。電磁クラッチ機構18に内蔵された電磁コイル(図示略)に電流指令値に応じた電流を供給すると各クラッチ板は互いに摩擦係合し、後輪21へのトルクの伝達が行われる。電磁クラッチ機構18への電流指令値に応じた電流の供給を遮断すると各クラッチ板は互いに離間し、後輪21へのトルクの伝達も遮断される。【0022】4輪駆動車11は、制御手段としての駆動力配分制御装置(4WD−ECU)42を備えている。各クラッチ板の摩擦係合力は電磁クラッチ機構18の電磁コイルに供給される電流の量(電流の強さ)に応じて増減し、これにより後輪21への伝達トルク、即ち後輪21への拘束力(電磁クラッチ機構18の摩擦係合力)を任意に調整可能となっている。電磁クラッチ機構18の電磁コイルへの電流の供給、遮断及び電流供給量の調整は駆動力配分制御装置42により制御される。言い換えると、駆動力配分制御装置42は、4輪駆動状態又は2輪駆動状態のいずれかを選択すると共に、4輪駆動状態において前輪16と後輪21との駆動力配分率(トルク配分率)を制御する。【0023】トルク配分率は、電磁クラッチ機構18のトルク伝達が遮断された状態では前輪:後輪=100:0となる。また、電磁クラッチ機構18が所定の値以上にて締結された直結状態では接地荷重に応じたトルク配分、即ち、接地荷重が前輪:後輪=50:50の配分比率で4輪のいずれもスリップしていない状態の場合には、トルク配分率は前輪:後輪=50:50となる。そして、駆動力配分制御装置42の制御指令により、前輪16と後輪21に伝達されるトルク配分率は、前輪:後輪=100〜50:0〜50の範囲内で可変とされている。【0024】駆動力配分制御装置42はCPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェイス等を備えたマイクロコンピュータを中心として構成されている。ROMには駆動力配分制御装置42が実行する各種の制御プログラム、各種のデータ及び各種マップ等が格納されている。前記各種マップは車両モデルによる実験データ及び周知の理論計算等によって予め求められたものである。RAMはROMに書き込まれた制御プログラムを展開してCPUが各種の演算処理を実行するためのデータ作業領域である。【0025】4輪駆動車11には、車輪速度検出手段としての第1車輪速センサ43a、第2車輪速センサ43b、及び加速操作量検出手段としてのスロットル開度センサ47が取り付けられている。駆動力配分制御装置42の入力側(I/Oインターフェイスの入力端子)には、各第1、第2車輪速センサ43a,43b、及びスロットル開度センサ47それぞれ接続されている。駆動力配分制御装置42の出力側(I/Oインターフェイスの出力端子)には駆動力伝達装置17及びエンジン制御装置(図示略)が接続されている。【0026】第1車輪速センサ43aは各前輪16毎に設けられ、第2車輪速センサ43bは各後輪21毎に設けられており、各車輪の速度(以下、車輪速度という)を個別に検出する。スロットル開度センサ47は、スロットルバルブ(図示略)に接続されており、スロットルバルブの開度を検出する。スロットルバルブの開度はドライバによるアクセルペダル(図示略)の操作量(アクセル操作量)に相当する。【0027】駆動力配分制御装置42は、各第1、第2車輪速センサ43a,43bからの検出信号に基づいて車速Vを演算し、スロットル開度センサ47からの検出信号基づいてスロットル開度Od(加速操作量)を演算する。【0028】又、4輪駆動傾向のトルク配分をどの程度高めるかは、車両の走行状態に対応して予めROMに駆動力配分マップとして記憶されているデータに基づいて、駆動力配分制御装置42が決定する。【0029】ROMに格納された制御プログラムには、2輪駆動モードと複数の4輪駆動モードとがある。そして、4輪駆動モードでは、そのときの走行状態によって駆動力伝達装置17による駆動力の配分が変更されるようにされている。ROMには各走行状態に対する電磁クラッチ機構18の電磁コイルに供給する電流量(電流値)を算出するための駆動力配分マップが格納されている。該マップのデータは、その時の走行状態に対して適正な駆動力配分比とするための摩擦係合力を得るために、前記電磁コイルに通電する電流量を決定するためのデータである。走行状態は、この実施形態では、左右一対の前輪16の平均車輪速度と左右一対の後輪21の平均車輪速度の差ΔN、スロットル開度Od及び車速Vをパラメータとした走行状態である。又、前記マップのデータは加速時と定速走行時とでは、加速時の方が4輪駆動傾向のトルク配分を高めるようになっている。【0030】次に、上記のように構成した4輪駆動車の駆動力配分制御装置42の作用を、図4のフローチャートに従って説明する。図4の制御プログラムは駆動力配分制御装置42のCPUが所定制御周期毎に実行する。【0031】ステップS10において、駆動力配分制御装置42は、各第1車輪速センサ43aから前輪16の車輪速度(駆動車輪速度)を読み込み、各第2車輪速センサ43bから後輪21の車輪速度(従動車輪速度)を読み込む。また、駆動力配分制御装置42はスロットル開度センサ47により、加速操作量としてスロットル開度Odを読み込む。【0032】ステップS20において、駆動力配分制御装置42は、ステップS10で読み込んだ前輪16,後輪21の各車輪速センサからの車輪速度を入力し、左右の前輪16における車輪速度の平均値Va,左右の後輪21における車輪速度の平均値Vbを算出する。平均値Vaは、以下、駆動車輪速度といい、平均値Vbは、以下従動車輪速度という。なお、車速Vは、平均値Vbに相当する。【0033】又、前輪の平均車輪速度(左右前輪車輪速度の平均値)と後輪の平均車輪速度(左右後輪車輪速度の平均値)との差ΔN(以下、前後車輪間の車輪速度の偏差)を演算する。【0034】ステップ30では、スリップ率Rの演算を行う。具体的には、下記の式にてスリップ率を算出する。スリップ率R=(駆動車輪速度−従動車輪速度)/従動車輪速度ステップ40では、低μ情報量をROMに予め格納した低μ情報量マップにて演算する。低μ情報量マップは、図3に示すように加速操作量(本実施形態では、スロットル開度Od)、スリップ率、及び路面の摩擦係数に関する低μ情報量Qからなる3次元マップである。本実施形態では、加速操作量が小の場合、スリップ率が大きいほど、低μ情報量Qを大きくしている。又、スリップ率が、一定値の場合、加速操作量が、小、中、大のうち、中の場合に、小及び大の場合に比して、低μ情報量Qを大きくしている。この低μ情報量マップを使用して、S20にて演算したスリップ率と、S10にて入力したスロットル開度Od(加速操作量)に基づいて、低μ情報量Qを算出する。【0035】S50では、S40で演算された低μ情報量Qと加算判定閾値E1と比較する。加算判定閾値E1は予めROMに格納されている。加算判定閾値E1は、S40にて得られた今回の低μ情報量が、加算判定閾値E1より小なる低μ情報量を、次のS60において加算しないように排除するためのものである。加算判定閾値E1より小なる低μ情報量は、例えばスリップ率及び加速操作量がともに小であるような、低μ路と判定するに足りない情報量である。【0036】S50において、低μ情報量Qが加算判定閾値E1よりも超えていると判定すると、S60において、低μカウンタのカウント値Pに低μ情報量Qを加算する。又、S50において、低μ情報量Qが加算判定閾値E1以下であると判定すると、S70において、低μカウンタのカウント値Pから定数Kを減算する。定数Kは、予め設定された値であり、ROMに格納されている。【0037】次に、S80において、S60で加算又はS70で減算された低μカウンタのカウント値Pと低μ路判定閾値E2とを比較する。低μ路判定閾値E2は予めROMに格納されている。低μ路判定閾値E2は、S60又はS70にて得られた今回のカウント値Pが、低μ路判定閾値E2を超える積算値となっているか否かを判定するためのものである。【0038】S80において、カウント値Pが低μ路判定閾値E2よりも超えていると判定すると、低μ路であると判定し、S90に移行する。又、S80において、カウント値Pが低μ路判定閾値E2以下であると判定すると、高μ路であると判定し、S100に移行する。【0039】S90では、S80で低μ路判定が行われたため、操縦安定性重視のために、4輪駆動傾向の制御を行う。すなわち、駆動力配分マップとして記憶されているデータに基づいて、かつ走行状態に応じて、駆動力配分制御装置42が決定した電流指令値を駆動力配分制御装置42は駆動力伝達装置17に出力する。この結果、カップリングの係合力を現在の結合力より強める方向にカップリングが制御される。【0040】又、S100では、S80で高μ路判定が行われたため、燃費重視のために、2輪駆動傾向の制御を行う。すなわち、駆動力配分マップとして記憶されているデータに基づいて、かつ走行状態に応じて、駆動力配分制御装置42が決定した電流指令値を駆動力配分制御装置42は駆動力伝達装置17に出力する。この結果、カップリングの係合力を現在の結合力より弱める方向にカップリングが制御される。【0041】これらの演算及び指令は、起動後、運転終了時まで連続して繰り返される。本実施形態の駆動力配分制御装置42は、低μ路判定装置を構成し、スリップ率演算手段、低μ情報量演算手段、比較判定手段、加算手段、減算手段、及び低μ路判定手段に相当する。具体的には、S30の処理はスリップ率演算手段、S40の処理は低μ情報量演算手段、S50の処理は比較判定手段、S60の処理は加算手段、S70の処理は減算手段、及びS80の処理は低μ路判定手段に相当する。【0042】図4(a),(b)のタイムチャートを参照して、具体的に本実施形態の作用を説明する。図4(a)は、横軸が時間軸T、縦軸が低μ情報量Qを示し、図4(b)は、横軸が時間軸T、縦軸が低μカウンタのカウント値Pである。なお、横軸のT1,T2等は、各制御周期に前記フローチャートが実行された時を示している。【0043】図4(a)に示すように、T1〜T5時にそれぞれ低μ情報量QとしてQ1〜Q5(Q1>Q2>Q3>Q4>E1>Q5)が得られたとすると、図4(b)では、カウント値Pは、T1時にQ1,T2時に「Q1+Q2」、T3時に「Q1+Q2+Q3」、T4時に「Q1+Q2+Q3+Q4」となる。しかし、T5時には、E1>Q5のため、カウント値Pは「Q1+Q2+Q3+Q4−K」となる。なお、Q1〜Q5は、それぞれスリップ率及び加速操作量に応じて得られた値であり、可変値である。【0044】T5時からTn時までの間に得られる低μ情報量Qが加算判定閾値E1以下の場合は、図4(b)に示すようにカウント値Pは、定数K分が各制御周期毎に減算されていく。そして、Tn〜Tn+2時において、それぞれ低μ情報量QとしてQn〜Qn+2(Qn>Qn+1>E1>Qn+2)が得られたとし、このTn時には、カウント値PがQr(>E2)まで減算されたとする。【0045】すると、図4(b)ではカウント値Pは、Tn時に「Qr+Qn」,Tn+1時に「Qr+Qn+Qn+1」、Tn+2時に「Qr+Qn+Qn+1 −K」となる。以後の制御周期において、継続して低μ情報量が0であったとすると、カウント値Pは、Tm時以後において、E2以下となり、低μ路判定がリセットされて、高μ路判定となる。【0046】従って、図4(b)に示すように、低μ情報量Qが、加算判定閾値E1を超える大きな値として瞬時に得られた場合(例えば、T1時、Tn時)や、連続的、或いは断続的に複数回数、加算判定閾値E1を超えた値が得られた場合、カウント値Pは、加算されていくので、積算値が大きくなる。そして、この積算値(カウント値P)が大きく積算されると、その後、低μ情報量Qが,加算判定閾値E1以下の値として連続したとしても、低μ路判定を保持する時間は、長くなる。逆に、1回の低μ情報量Qが小さいほど、積算量(カウント値)合計が小さくなり、その後、低μ路判定をリセットするまでの、低μ路判定保持時間を短くすることができる。【0047】特に、低μ情報量Qが、加算判定閾値E1が瞬時に大きな値として得られた場合(例えば、T1時、Tn時)でも、低μ路判定を保持する時間が長くなる。本実施形態によれば、以下のような効果を有する。【0048】(1) 本実施形態の駆動力配分制御装置42は、車輪と路面のスリップ率を演算するようにし、スリップ率と、車体の加速操作量に基づいて、路面の摩擦係数に関する低μ情報量Qを演算するようにした。又、駆動力配分制御装置42は演算された低μ情報量Qと、加算判定閾値E1とを比較判定し、低μ情報量Qが加算判定閾値E1を超えている場合、低μ情報量Qを加算するようにした。さらに、駆動力配分制御装置42は、低μ情報量Qが加算判定閾値E1以下と判定したとき、定数K(所定量)をカウント値Pから減算するようにした。そして、駆動力配分制御装置42は、カウント値Pが、低μ路判定閾値E2と比較して、低μ路判定閾値E2を超えている場合に低μ路判定するようにした。【0049】この結果、スリップ率と、車体の加速操作量に基づいて、路面の摩擦係数に関する低μ情報量Qに基づいて、低μ路判定を行うため、スリップ率のみで、或いは、加速操作量のみで低μ路判定を行う場合と異なり誤判定がなく、低μ路判定を精密に行うことができる。【0050】又、低μの路面と高μの路面が交互に連続しても、低μ路判定と高μ路判定とが頻繁に切り替わることがなく、低μ路の摩擦係数に応じて、低μ路判定の解除を行うことができる効果がある。特に、前述したように低μ情報量Qが、加算判定閾値E1が瞬時に大きな値として得られた場合(例えば、T1時、Tn時)でも、低μ路判定を保持する時間が長くなることに大きな特徴的な効果がある。【0051】又、1回の低μ情報量Qが大きいほど、積算量(カウント値)合計が大きくなり、その後、低μ路判定をリセットするまでの、低μ路判定保持時間を長くすることができる。逆に、1回の低μ情報量Qが小さいほど、積算量(カウント値)合計が小さくなり、その後、低μ路判定をリセットするまでの、低μ路判定保持時間を短くすることができる。【0052】すなわち、低μ情報量に応じて、低μ路判定保持時間が可変となり、低μ情報量に応じた低μ路判定を継続することができる。なお、従来構成3では、スリップ率が所定値を超えないスリップが所定回数連続した場合、低μ路判定をリセットしてしまう。このため、従来構成3では低μ路判定保持時間は、このスリップ率が所定値を超えないスリップ回数が所定回数までの時間であり、低μ路の摩擦係数に応じていないため、低μ路判定保持時間が長くなったり、短くなったりすることはない。【0053】又、駆動力配分制御装置42は低μ路判定装置を備えることにより、低μ路の摩擦係数に応じて安定して4輪駆動の制御を行うことができる効果がある。(2) 本実施形態では、S50において、低μ情報量Qが加算判定閾値E1以下が連続する場合、S70で、カウント値Pを定数Kにて減算するため、低μ路判定が一旦行われた後、その低μ路判定を保持する時間(遅延時間)を長くする、すなわち、低μ路判定のリセットを遅延する遅延手段として機能するようにした。この結果、遅延時間内において、低μ路判定が保持され、低μ路判定から高μ路判定の切換がなく、低μ路が、連続的又は断続的に続く場合に、運転者に制御応答遅れ感を持たせることがない。すなわち、低μ路が連続的又は断続的に続く場合に、低μ路判定の精度が高い効果がある。【0054】なお、実施の形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変更してもよい。(1) 前記実施形態では、加速操作量をスロットル開度Odとしたが、アクセル操作量、例えば、アクセル踏み込み量としてもよい。【0055】(2) 前記実施形態では、低μ情報量Qそのものをカウント値Pに加算するようにしたが、これに限定するものではない。低μ情報量Qに応じた値、例えば比例関係にある値をカウント値に加算する値としてもよく、低μ情報量が大きいほど、加算する値が大きくなる関係の値をカウント値Pに加算するようにしてもよい。【0056】(3) 駆動力伝達装置17の差動制御装置として電磁クラッチ機構18を使用したが、電子制御可能なカップリングであれば他の形式(例えば油圧クラッチ機構)でもよい。【0057】(4) 本発明を差動制御装置としてのセンタディファレンシャルを備えた4輪駆動車に適用してもよい。(5) 後輪駆動ベースの4輪駆動車に応用してもよい。この場合、エンジン12の駆動力は後輪21側から前輪16側に伝達される。【0058】(6) また、RRベースの4輪駆動車に応用してもよい。この場合、エンジン12の駆動力は後輪21側から前輪16側に伝達される。(7) トランスミッションはオートマチックトランスミッションであってもよい。【0059】(8) トルク配分率は、前輪:後輪=100:0と、前輪:後輪=50:50の間で制御することに限らず、後輪の配分率が0より大きい場合、例えば前輪:後輪=80:20と前輪:後輪=50:50の間で制御してもよい。【0060】(9) 各種センサ情報は車両の多重通信ネットワーク(CAN等)により入手してもよい。(10) 本発明を電気モータ等で従動輪を駆動する駆動力配分制御装置に適用してもよい。【0061】【発明の効果】 以上詳述したように、請求項1に記載の低μ路判定装置によれば、低μ路判定の精度が向上でき、低μの路面と高μの路面が交互に連続しても、低μ路判定と高μ路判定とが頻繁に切り替わることがなく、低μ路の摩擦係数に応じて、低μ路判定の解除を行うことができる。【0062】 請求項2の駆動力配分制御装置によれば、上記請求項1に記載の低μ路判定装置を備えることにより、低μ路の摩擦係数に応じて安定して4輪駆動の制御を行うことができる優れた効果を奏する。【図面の簡単な説明】【図1】 本実施形態における4輪駆動車の概略構成図。【図2】 作用を示すフローチャート。【図3】 スリップ率、加速操作量、及び低μ情報量のマップ。【図4】 (a),(b)はタイミングチャート。【符号の説明】11…4輪駆動車12…内燃機関としてのエンジン13…トランスアクスル16…前輪17…カップリングとしての駆動力伝達装置18…電磁クラッチ機構21…後輪42…駆動力配分制御装置(制御手段、スリップ率演算手段、低μ情報量演算手段、加算手段、減算手段、低μ路判定手段)43a…第1車輪速センサ43b…第2車輪速センサ47…スロットル開度センサ(加速操作量検出手段) 車体の加速操作量を検出する加速操作量検出手段と、 制御周期毎に車輪と路面のスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、 前記スリップ率と、車体の加速操作量に基づいて、路面の摩擦係数に関する可変値の低μ情報量を制御周期毎に演算する低μ情報量演算手段と、 演算された前記低μ情報量と、加算判定閾値とを制御周期毎に比較判定する比較判定手段と、 前記比較判定手段が、前記低μ情報量が加算判定閾値を超えていると判定したとき、前記低μ情報量に応じた値を制御周期毎に積算する加算手段と、 前記比較判定手段が、前記低μ情報量が加算判定閾値以下と判定したとき、予め設定された値の所定量を前記加算手段が加算した値から減算する減算手段と、 前記加算手段又は前記減算手段が算出した値と低μ路判定閾値とを制御周期毎に比較して、前記算出した値が低μ路判定閾値を超えている場合に低μ路判定する低μ路判定手段とを備えたことを特徴とする低μ路判定装置。 内燃機関の発生する駆動力をカップリングを介して前輪及び後輪に分配して伝達し、車両の走行状態に対応して前記カップリングの係合力を制御する制御手段を備えた4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、 請求項1に記載の低μ路判定装置を備え、 前記制御手段は、前記低μ路判定装置が低μ路判定したときは、4輪駆動傾向のトルク配分を行うように前記カップリングを制御することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。


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