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タイトル:特許公報(B2)_アルデヒドの分析方法
出願番号:2003139576
年次:2009
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/06,G01N 30/26,G01N 31/00,G01N 27/62,G01N 30/56,G01N 30/72,G01N 30/74


特許情報キャッシュ

谷川 征男 平川 叙夫 JP 4306324 特許公報(B2) 20090515 2003139576 20030516 アルデヒドの分析方法 東洋製罐株式会社 000003768 小野 尚純 100075177 奥貫 佐知子 100113217 谷川 征男 平川 叙夫 20090729 G01N 30/88 20060101AFI20090709BHJP G01N 30/06 20060101ALI20090709BHJP G01N 30/26 20060101ALI20090709BHJP G01N 31/00 20060101ALI20090709BHJP G01N 27/62 20060101ALI20090709BHJP G01N 30/56 20060101ALI20090709BHJP G01N 30/72 20060101ALI20090709BHJP G01N 30/74 20060101ALI20090709BHJP JPG01N30/88 CG01N30/06 EG01N30/26 AG01N31/00 VG01N27/62 CG01N27/62 VG01N30/88 101BG01N30/56 EG01N30/72 AG01N30/74 E G01N 30/88 G01N 30/06 G01N 30/26 G01N 30/56 G01N 30/72 G01N 30/74 G01N 31/00 -31/22 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平04−350555(JP,A) 特開平04−040363(JP,A) 特開平02−193067(JP,A) 特開平04−120462(JP,A) 特開平06−263689(JP,A) 特開平03−246465(JP,A) 特開平05−256831(JP,A) 特開平04−022845(JP,A) 特開昭63−171678(JP,A) 特開2002−168790(JP,A) 特開2000−290218(JP,A) 特開2003−344383(JP,A) 特開2000−329744(JP,A) 特開2002−265405(JP,A) 国際公開第03/008096(WO,A1) 8 2004340835 20041202 16 20060510 河野 隆一朗 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、空気中ないし水中ないしは工業製品中の揮発性アルデヒド類を分析する分析方法に関し、より詳細には、従来から実施されている比色分析法、化学誘導体化物質のガスクロマトグラフィーないし液体クロマトグラフィー定量分析法による分析手段に比較し、操作の容易さと安定性をそなえた揮発性アルデヒド類の新規高感度分析法に関する。【0002】【従来の技術】低級アルデヒド分析はこれらの物質が気体であり、かつ不安定な理由で、水に吸収させ、クロモトロープ酸比色法や2,4ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)、ペンタフルオロベンジルオキシアミン(PFBOA)で誘導体化してGC、HPLC法で定量する方法が環境ガスや水道水の公定分析法として用いられている。これらの方法は試料採取段階から煩雑で経験を要する作業であり、分析法自体も微量域では熟練のいる不安定なものである。少量のガスの直接注入、水吸収法溶液の直接注入など、簡便かつ確実な直接的分析法が望まれている。直接分析法の試みはいくつか行われ、FID−GCを高感度機器とするいくつかの分析方法は実用化された。アセトアルデヒド以上の炭素数以上では実務で使用できる優れた方法があり、例えばセラニーズ法なる樹脂加熱脱着法はPET樹脂アセトアルデヒド副生量の管理で使用される。しかしホルムアルデヒドの場合はカラムで分離されても、その不燃焼性からFID検出感度が悪く、ホルムアルデヒド分析がより重要な一般的環境分析においては使用されていない。ホルムアルデヒドのための改良法としてポストカラム誘導体化FID/GC分析法が検討された。この誘導体化方法にはパラジウム水素添加法(日立法)が採られ、カラム出口にメタナイザーの名称で商品化されている接触還元式水素化装置を付加し、ホルムアルデヒドは炭酸ガスや一酸化炭素とともにメタンに還元して分析される。これらのうち無機ガス類はガスクロマトグラフィーカラムで分離されているので、可燃性物質に変わったホルムアルデヒドがFID検出感度の向上をもって定量される。ホルムアルデヒド分析操作において特に注意を要する点は、ホルムアルデヒドが環境から混入汚染し易いことと、容易に酸化されて正しい濃度が維持し難い性質があることである。採取検液への還元剤添加による保存はアルデヒド類がアルコール化する危険があり不可能なので、できれば安定な酸化体であるカルボン酸ないしはカルボン酸塩として採取保存し、その後アルデヒド換算量を分析したいとの希望は強い。しかしこの酸化処理では共存するかもしれない同一炭素数のアルコール類のアルデヒドへの転換があれば分析法としては成り立たないのは明らかであり、またカルボン酸類は微量分析が困難であることとあわせて、このような試みは従来行われなかった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は積極的にアルデヒド類の酸化安定化をはかり、反応で誘導されるカルボン酸の高感度分析の実現を図ったものである。(揮発性アルデヒド類の気相酸化方法)揮発性アルデヒド類の気相酸化方法は限定範囲内の酸化反応でなくてはならないが、酸化反応は制御のきかない分解反応の側面がある。叢書「新実験化学講座」(参考文献1)中にもアルデヒド基のみをカルボキシル基に限定酸化する酸化剤の例は少なく、空気酸化と酸化銀が目にとまった程度である。ヨウ素や過酸化水素など温和な酸化剤でも副反応が多く、大気中や食品に混在するアルコールまでカルボン酸や炭酸ガスにしてしまうものが多く、酸化銅もその例外ではない。上記叢書にアルデヒドから酸を合成する方法の記載が少ないのは、石油ガス原料の流れからは、アルデヒドを出発物質とする酸化反応の優位性が高くないためと思われた。貴金属は通性として金属状態に還元されやすい基本的性質から酸化銀の温和な酸化力に注目したが、非特許文献1に銀塩による揮発性アルデヒド類をカルボン酸等に酸化するなどの直接参考となる事例の記載は見られなかった。しかし銀塩による酸化ではアルコール媒体中で行う例も見られ、試料中のアルコール類が酸化してカルボン酸までに至る可能性が低い酸化剤と判断された。酸化銀については加熱条件による酸化力や副反応の検討をした。また、弱塩基の水酸化銀と強酸の硝酸との塩である硝酸銀、同種の塩である硫酸第一銀やリン酸第一銀などの酸素酸塩、塩化第一銀等は酸性の酸化剤の利点が期待され、カルボン酸塩類の副生を防止し、生成したカルボン酸の遊離率を高める効果があると考えられた。【0004】(参考文献1)新実験化学講座15 酸化と還元I―1日本化学会編 1976.6.20発行 丸善(株)新実験化学講座15 酸化と還元I―2日本化学会編 1976.9.20発行 丸善(株)【0005】(酸化生成物質としてのカルボン酸類の微量分析法)一般的な気−液ガスクロマトグラフィーでは、その原理から言って、熱に不安定な化合物や蒸気圧の極めて低い化合物、或いは固定相物質に対して吸着性の強い化合物の分析は困難であり、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの遊離カルボキシル基を含む低級カルボン酸化合物類はその代表的な化合物とされる。これらは水素結合により固定相物質に対し吸着性が強く、クロマトグラフ分析における保持時間が極端に長く、かつピーク再現性も不安定で微量分析が困難な物質に属する。従って分析機器流路内で吸着損失や脱着遅延現象を生じやすく、金属材料やアルカリ性非金属と塩化合物を形成する永久吸着の問題を起こしやすいなど、多くの分析上の不都合が発生するためである。酸化反応の終点物質としての安定性が得られる反面、カルボン酸転換が分析化学的には何ら有利性のない誘導体化と考えられてきたのはやむを得ない。液体クロマトグラフィーでは水系溶媒を移動相にする場合が多く、上記ガスクロマトグラフィーでの問題点は解消される。しかし紫外線吸収が短波長に偏り、UV検出器での感度は望めない。このためポストカラム発色誘導体化が使用され、流出したカルボン酸の検出を発色付加装置と分光光度計で行う分析方法が公知である。カルボン酸では最も簡単なpH指示薬添加を含めいくつかの発色手法がある。しかし操作での煩雑さやこれに伴う精度の低下は免れず、アルデヒド気相酸化後の気体状態と液相下での化学反応とはその間の不整合性は否めない。【0006】また、これまで述べたものとは別種のクロマトグラフィー手法に、強極性化合物の直接的分離分析に用いる電気泳動クロマトグラフィーを利用する方法がある。イオンと印可電圧により展開するこの原理による微量分析法にキャピラリー電気泳動クロマトグラフィーがあるが、注入する検体の絶対容積は微量ながら、高濃度な検液が必要なので高感度とは言えず、このクロマトグラフィーは定量性に問題がある。【0007】このようにカルボン酸は沸点が高く揮発性にも難点があり、フレームイオン化法での感度の低さといったガスクロマトグラフィーでの問題点や、紫外線吸収が短波長に偏り過ぎているなどの液体クロマトグラフィーでの問題があり、高感度分析適性も欠けている。液体クロマトグラフィーでの誘導体化で紫外線吸収を増加させたりする手法はいくつか使用されているが、気相酸化で生成したガスとの装置的接合性は良くない。カルボン酸を誘導体化する方法の最も一般的なものはメチルエステル化分析法である。しかし炭素数の多い高級脂肪酸のメチルエステル誘導体化にも共通する操作の煩雑さなどの問題以外に、低級カルボン酸では生成物の揮発性が高すぎて操作中の揮発損失の考慮をせねばならない。これ以外にもエーテル化やエステル化等の反応によりアシル誘導体化し、熱不安定性、揮発性、吸着性等の属性を変化させてから通常のガスクロマトグラフィーを用いて分析することも行われている。しかし、気相酸化で生成したガスとの装置的接合性においては、液体クロマトグラフィーの場合と同様な問題が存在する。【0008】本発明は、揮発性アルデヒド類を限定的気相酸化法によってカルボン酸に安定して転換生成させる方法と、上述したように従来分析が困難であったカルボン酸を直接的且つ簡易に分析することが可能な方法とにより、新規分析方法を提供することである。このような分析が困難なカルボン酸を経由してアルデヒド類を直接分析する方法を提案したものは、本発明者等の知る限りは見当たらない。【0009】【課題を解決するための手段】 本発明によれば、揮発性アルデヒド類を、気相酸化反応を利用して同炭素数カルボン酸に転換して行うアルデヒドの分析方法において、前記気相反応によるアルデヒド類のカルボン酸への酸化が分析ガス流路の加熱部内に設置された固体状酸化銀(Ag2O)、硫酸銀または硝酸銀により、且つ、前記酸化銀(Ag2O)では230〜250℃、硝酸銀では140〜175℃、前記硫酸銀では200℃の温度でそれぞれ行われることを特徴とするアルデヒドの分析方法が提供される。 本発明の分析方法に於いては、1. アルカリ金属またはアルカリ土金属類の水酸化物およびまたは炭酸水素塩の1種または複数混合により調製された酸性物質吸収剤を、分析ガス流路の気相酸化反応部に前置して使用すること、2. 前記気相酸化反応によりカルボン酸類に転換した物質をクロマトグラフ分析法で分析すること、3. 前記クロマトグラフ分析法を、カルボン酸に転換した物質を溶解吸収ないし濃縮させる流路を設け、酸化反応終了後かかる流路に分析展開用流体を導き、分析対象物質をクロマトグラフィーカラムに移動させて行うこと、4. 前記クロマトグラフ分析方法が、水と混和しない物質から成る固定相が形成されたガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムを用い、移動相にキャリアーガスと共に水分を存在させ、カラム内での水の蒸発又は凝縮によって分離対象物質の移動及び展開を助ける水膜クロマトグラフィー法であること、5. 前記固定相が、HANSEN SOLUBILITY PARAMETER(溶解性パラメーター、SP値、δ:単位はMPa1/2)が15.5から16.4MPa1/2のポリシロキサン重合体樹脂ないしはポリシロキサン重合体樹脂混合物であること、6. 前記固定相が、フェニル基含有・メチルポリシロキサン共重合樹脂で、15モル%乃至45モル%フェニル基濃度のフェニル基を含有する共重合体、ないしは複数の異種フェニル・メチルポリシロキサン樹脂及び/又はメチルポリシロキサン樹脂類との混合により前記15モル%乃至45モル%に相当するフェニル基濃度となるようにした混合物であること、7. 前記固定相が、シアノアルキル・フェニル・メチルポリシロキサン樹脂で、4モル%乃至12モル%シアノアルキル基濃度のシアノアルキル基を含有する重合体、ないしは複数の異種シアノアルキル・フェニル・メチルポリシロキサン樹脂およびまたはメチルポリシロキサン樹脂類との混合により前記4モル%乃至12モル%に相当するシアノアルキル基濃度とした混合物であること、が好適である。【0010】(銀塩による気相酸化法)銀塩での酸化反応はアルコール溶媒中で行われる例が参考文献1に記載されているので、選択的にアルデヒドのみを酸化するには好ましい物質群として期待できる。【0011】酸化銀(Ag2O)300℃を超すと溶融し、160℃から酸素を放って徐々に分解する。この分解時の酸素がアルデヒド類を酸化することが確認された。しかし酸化銀は水の存在で水酸化銀(Ag2(OH)2)への転換平衡があるとされ、事実一旦生成するカルボン酸が銀イオンとの塩を形成する傾向が見られた。すなわち、200℃以下の低温では転換カルボン酸全てが反応管内に銀塩型で吸収されてしまい検出ができず、230乃至250℃の反応温度域で、収着されたカルボン酸銀が熱分解して再度遊離酸として揮発することが判明した。結果的にアルデヒドからカルボン酸の変換反応が行われた。しかしこの温度でもホルムアルデヒドから転換したギ酸銀は、大半が遊離ギ酸にならず、もう一段反応して水と炭酸ガスに熱分解してしまう様子が見られ、極めて低回収率となった。アセトアルデヒドではこの現象は顕著でない。上記実験においてホルムアルデヒド検液水溶液を硝酸酸性にして注入するとギ酸の回収率が多少上がることがわかり、収着生成したギ酸銀が硝酸銀とギ酸に分解しギ酸が再遊離すると思われた。そこで酸化剤としては注目されない物質である硝酸銀をはじめ銀酸素酸塩の使用を検討した。【0012】硝酸銀(AgNO3) 硝酸銀は銀アンモニウム錯体試薬(トレンス試薬)の原料で、この試薬水溶液中でアルデヒドは銀を還元し、ガラス壁に銀膜を形成する(銀鏡反応)ことはよく知られている。銀鏡形成を主目的とするならホルムアルデヒドは有効な助剤であることも知られている。しかしホルムアルデヒド自身がギ酸アンモニウムに酸化されていることはほとんど説明されることがない。 硝酸銀は融点が212℃と低温であり、160℃に転移点があり180℃では結晶が変形し始める。したがって酸化に用いる反応温度は170℃近傍以下でなければならない。酸化銀と違ってこの化合物は酸性物質であり、酸化生成したカルボン酸との銀塩は形成されないと考えられた。酸化剤としての硝酸銀は、硝酸(HNO3)や2酸化窒素(NO2)を遊離する欠点があり、価格も高いため工業的に使われることはないが、本発明においては、140乃至175℃の反応温度で、好ましくは150乃至160℃で揮発性アルデヒド類の気相酸化を行うには極めて有効な物質であり、この条件ではメタノール、エタノールなどアルコールを酸化しないことが判明した。また硝酸銀の水溶解性(0℃で水100mlあたり122g溶解)は反応装置設計面で多くの自由度をもたらす。【0013】その他の銀塩硫酸銀(融点660℃)、リン酸銀(融点849℃)および塩化銀(融点455℃)など、高融点かつ水溶解性の低い性質は粉砕粉末の形態で利用できる。反応温度の選択範囲を高められる利点があるが、生成するカルボン酸類が熱的に不安定なため、酸化温度の上昇は利点にはならない。硝酸銀に比較し反応装置設計上の自由度は減少する。【0014】(クロマトグラフ分析)ガスクロマトグラフ装置ガスクロマトグラフィーによるカルボン酸類分析の困難さについては、これまで説明を重ねてきたように避けがたい物質特性上の妨害がある。従って本発明の目的に沿った分離を得る手段としては不適当である。【0015】液体クロマトグラフ装置の結合カルボン酸の分析方法として液体クロマトグラフィーを使用することは常識的な選択であり、感度の不足が問題視されない高濃度試料の分析には、本発明の気相酸化法の生成物を分離定量するには十分なものである。さらにポストカラム発色付加装置の付加により検出感度の向上も図りうる。ただし上記気相酸化法で生成したカルボン酸類を含む反応気体を液体クロマトグラフィーの移動相液体に移行させるための接合機構が必要であり、具体的には反応生成物を吸収溶解または濃縮させる器具が必須である。この器具は特別な装置によらずとも液体クロマトグラフ用六方バルブ式試料注入器に耐薬品性を有する管を装着すれば実施可能である。まず試料ループを水で湿った空の状態にとしておき、カルボン酸類を含む反応気体を導入し、その後移動相溶液で試料ループを満たすことで達せられる。当然ながら活性炭やGC分析用ポリマービーズ類充填剤など吸着効果と濃縮機能を期待できる方法も採りうる。UV検出器は210nm以下の波長がモニターできる必要がある。移動相は0.1%程度のリン酸水溶液、カラム内面は不活性化処理やPEEK樹脂被覆等がなされている必要があり、吸着性低減処理が加えられた一般的な逆相クロマトグラフィー用ODS処理シリカゲル充填剤が使用できる。【0016】水膜クロマトグラフィー装置水と混和しない物質から成る固定相が形成されたガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムを用い、移動相にキャリアーガスと共に水分を存在させ、カラム内での水の蒸発又は凝縮によって分離対象物質の固定相と水膜との間の分配を発生させるとともに、分離対象物質の移動及び展開を助けることを特徴とする新規クロマトグラフィー法である。このクロマトグラフィー法では、カラム内にキャリアーガスと共に水分を存在させると共にカラム固定相を水と混和しない物質から形成することによって、かかる水分の凝縮によって固定相上に水膜から成る水固定相が形成される。これにより、親水性の低級カルボン酸等は、分配係数の関係から水固定相に溶解して固定相には極微量しか溶解せず、その一方キシレンのような非親水性の非極性物質は、水固定相にはほとんど溶解することなくシロキサン固定相に溶解するので、これら両物質のピークをシャープに検出することが可能となるのである。すなわち固定相上に水膜を形成すること、水膜がキャリアーガスに沿って移動することを特徴とするクロマトグラフィー法が提供される。この方法に適したガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムを装着し、水分供給機構を付したGC/MS装置によりこの新規クロマトグラフィー法は利用できる。【0017】従来のガスクロマトグラフィーにおいては、被分析物質が極性物質の場合は、それらの機器内流路での吸着とともに、例えば酢酸等の場合には自己会合性による2分子化等によって正確なピークを得ることが困難な場合があるが、水膜クロマトグラフィー法においては、これらの物質がカラム内に存在する水分子と会合することから、このような吸着性や自己会合性が解消されて、カルボン酸類をシャープに検出することが可能になるのである。水分の導入を、キャリアーガス中に水分を付加することにより行い、キャリアーガス中への付加方法には、水供給容器の温度とGCカラムオーブン温度と飽和水蒸気圧の関係による制御と、高速液体クロマトグラフィー用微小流量液送ポンプによる水分の注入量制御を100℃以上の加熱流路部分から行う方法とがある。導入する水分量は1乃至50ミリマイクロメートル(mμm)の平均水膜厚さが内壁に形成可能な水分を導入することが好ましい。GCカラムの温度は分離対象であるカルボン酸類がカラム出口に至るまでに、カラム全てまたは出口近傍が水の沸点以上の温度に上昇している必要があるが、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC/MS装置)のMS装置を検出器として使用するなら沸点以上の温度である必要はない。水膜クロマトグラフィー法は、揮発性アルデヒド類の気相酸化法で生成した微量のカルボン酸類を分析するクロマトグラフ法として極めて好適なものである。図4に水膜クロマトグラフィー法により気相酸化物を分析する構成の例を模式的に示した。【0018】【発明の実施の形態】本発明は、空気中ないし水中ないしは工業製品中の揮発性アルデヒド類を分析する分析方法に関する。揮発性アルデヒド類を気相酸化法によってカルボン酸類への安定した転換生成を実現させるため、流路内に加熱部に存在する酸化銀ないしは一価の銀塩を酸化剤に用いる方法を考案した。また、カルボン酸類を直接的且つ簡易に分析できる液体クロマトグラフィー法ないしは水膜クロマトグラフィー法を酸化反応生成物分析に用いることにより、操作の容易さと安定性を備えた新規分析方法を提供することである。【0019】気相酸化法としての基本的な反応部分の構成を模式的に図1に示す。クロマトグラフ装置部分は概念的に添えている。試料注入口はガスクロマトグラフィー用のインジェクターを流用したもので、水膜クロマトグラフィー分析装置では使用するガスクロマトグラフィー装置の注入口を使用できる。注入温度は試料中の物質構成で変える必要があるが、120℃以上は必要である。注入口に導入するガスはヘリウム、窒素などのガスクロマトグラフィー用不活性ガスを使用する。酸性物質吸収管は無水炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどの小粒結晶を充填したステンレス、テフロン、ガラス等の2乃至5cmほどの内径2mm程度の管で、注入口ブロック内で注入口と同温度に保つか、別途温度制御を施す。試料溶液に酢酸やギ酸など、アルデヒド類の酸化体に相当する有機酸が含まれていない場合は必要ではない。気相酸化部は空気オーブンやブロックヒーター等で140乃至250℃に定温制御され、濃塩酸で酸洗浄し水洗乾燥した石英ウールをストッパーとして管中央部に2乃至3cm程度長さに銀塩を充填した内径2mmほどのガラス製ないしは耐熱被覆材で内壁が保護された金属管を気相酸化管としてガス流路に挿入する。気相酸化管は以下のように銀塩を調製して作成して使用する。【0020】銀塩が酸化銀、塩化銀、硝酸銀以外の酸素酸銀の場合は、粉末試薬のまま前記酸洗浄した石英ウール、ガスクロマトグラフィーカラム用の無機質担体、塩化ナトリウムや無水硫酸ナトリウムなどの化学的中性無機結晶粉末等と適度に粉砕およびまたは混合してガス流との接触効率向上を図るようにする。酸化銀充填剤は乾燥剤とともに遮光保存するのが好ましい。硝酸銀気相酸化管は酸化銀と同様の充填管とするか、硝酸銀濃厚水溶液に前記酸洗浄した石英ウールを浸して乾燥させたものを充填したり、ガスクロマトグラフィーカラム用の無機質担体や、スチレン・ジビニルベンゼン系ポーラスポリマービーズやポリフェニレンオキサイド系ポーラスポリマービーズ類等に含浸塗布し乾燥させたものを充填したりすることができる。また水溶液を管体内面に塗着乾燥して硝酸銀気相酸化管とすることもできる。いずれの硝酸銀充填剤も乾燥剤とともに遮光保存するのが好ましい。【0021】液体クロマトグラフィーをクロマトグラフ分析法に使用する場合、上記気相酸化法で生成したカルボン酸類を含む反応気体を液体クロマトグラフィーの移動相液体に移行させるための接合機構が必要であり、具体的には反応生成物を溶解させる器具が必須である。気相酸化部と液体クロマトグラフィー装置との接合は反応ガスを液体クロマトグラフィー用移動相溶媒に吸収させることで達せられ、自動注入器に待機している酸性水溶液をあらかじめ入れたバイアル中に反応ガスを導き注入することで達せられる。あるいは、液体クロマトグラフィー用六方バルブ式試料注入器の試料ループを水で湿った空の状態にとしておき、カルボン酸類を含む反応ガスを導入し、その後移動相溶液で試料ループを満たすことでも達せられる。もちろん高度なバルブ機構を備えたインターフェースを作成することで多数の検体を分析し易くすることは可能であるが、原理的にこれらの方法と相違するものではない。UV検出器は210nm以下の波長がモニターできる必要がある。移動相は0.1%程度のリン酸水溶液として、カラム内面は不活性化処理やPEEK樹脂被覆等がなされている必要があり、吸着性低減処理が加えられた一般的な逆相クロマトグラフィー用ODS処理シリカゲル充填剤が使用できる。【0022】水膜クロマトグラフィーをクロマトグラフ分析法として使用する場合、上記気相酸化法で生成したカルボン酸類を含む反応気体を直接キャピラリーカラムに導入できる。このクロマトグラフ分析法においては、カラム内での水の凝縮又は蒸発によって分離対象物質の固定相と水膜との間の分配を発生させるとともに、分離対象物質の移動及び展開を助け、従来分析が困難とされていた特定の難揮発性物質についても高分解能で分析することが可能となる。カラム内に存在させる水分量の制御は、水の沸点以下のカラム温度での温度制御やキャリアガス中の水蒸気分圧を勾配的に変化させるグラディエント制御、試料注入口等の水の沸点以上に設定された加熱流路から水蒸気を一時的ないしはHPLC用液送ポンプにより連続的に注入したり、試料を水溶液の形で注入したりする等種々採用できる。このようにカラム内の水分量を経時的に調整することによって水膜固定相を被分析物質に対応して調整することが可能となる。具体的には厚さ換算量による1乃至50ミリマイクロメートル(mμm)の平均水膜厚さの形成が可能な水分を導入する水分量の調節が必要である。【0023】分離カラムの温度は分離対象であるカルボン酸類がカラム出口に至るまでに、カラム全てまたは出口近傍が水の沸点以上の温度に上昇している必要があるが、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC/MS装置)のMS装置を検出器として使用するなら沸点以上の温度である必要はない。この水膜クロマトグラフィーによる分析では、水分量で水膜厚さが変化するため保持時間は毎回変化し、一定には成らない欠点があり、定性能力のある質量分析系を検出器に用いることが必須で、定量分析はマスクロマトグラフモードや選択イオンクロマトグラフモードで行う必要がある。水膜クロマトグラフィー法は、揮発性アルデヒド類の気相酸化法で生成した微量のカルボン酸類を分析するクロマトグラフ分析法として極めて好適なものである。【0024】水膜クロマトグラフィーに用いる分離管はガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムが好ましく、共重合体中フェニル基のモル濃度が25%乃至30%フェニル・ジメチルポリシロキサンをフューズドシリカキャピラリーカラムに1μm塗布した50M長さのキャピラリーカラムが好適である。カラム選択には固定相樹脂の溶解性パラメーター(δ、SP値、単位:MPa1/2値)が参考になる。溶解性パラメーター(δ)は物質の凝集エネルギー密度の平方根と定義される物理量であり、その値を構造単位のモル分率から推定でき、δ既知の3種混合までの例では下記のように各成分の2乗和の平方根から算出する。δの文献値はポリマーハンドブック(4thエディション P-VII698−711 参考文献2)から引用した。(δ)mix=[X1・δ12+X2・δ22+X3・δ32]1/2X:成分のモル分率ジメチルポリシロキサン(DB−1相当品):δ=15程度ベンゼン:δ=18でポリスチレン:18−19プロピオニトリル:21.7=22(市販固定相の計算例)DB−35[0.65*152+0.35*182]1/2=16.1AQUATIC[0.75*152+0.25*182]1/2=15.8DB−1701[0.86*152+0.07*182+0.07*222]1/2=15.8これらの16前後の計算値は概略なものに違いないが、水膜クロマトグラフィーを形成する水と固定相との親和性には適度な関係が存在することを示すものであろう。好適であったδ=16を15.5乃至16.4でモノマーモル分率に換算すると、フェニル基含有メチルポリシロキサン樹脂では15モル%フェニル基乃至45モル%フェニル基に相当し、シアノプロピル・フェニル・メチルポリシロキサン樹脂では4.3モル%乃至12.3モル%シアノプロピル基に相当する。【0025】(参考文献2)POLYMER HANDOBOOK 4TH EDITION P-VII698−711JOHN WILEY & SONS,INC. 1999【0026】気相酸化法と水膜クロマトグラフフィーを結合した分析装置構成の一例を図4に示した。アルデヒド類に対応するカルボン酸類は45m/zマスクロマトグラフで標準検量線を用いてピーク面積から計算されるが、ホルムアルデヒドではギ酸分子の46M/Z、アセトアルデヒドでは酢酸分子の60M/Zでのマスクロマトグラフがより高い感度を有する。【0027】【実施例】(実施例1)硫酸第一銀(試薬特級)粉末を内径2mm長さ7cmのガラス管に充填し、両端をガスクロマトグラフィー用石英ウールを軽く詰めて栓にする。この反応用ガラス管を200℃に加熱したヒーター付き金属パイプ内に挿入し、ガスクロマトグラフィー用パッキング部品、接続部品等を使用してGC注入口とGCカラムをフューズドシリカキャピラリーチューブで接続し気相酸化部を構成した。HPLC用レオダイン6方注入バルブの開放状態にある試料注入ループを気相酸化生成物の吸収接続部と見なし、ODSシリカゲル逆相HPLC用カラムを液体クロマトグラフィー装置に接続した実施例を示す。ホルムアルデヒド約400ppmとアセトアルデヒド約100ppmとを溶解した水溶液の20μLをGC用注入器を利用して注入した。気化した試料は200℃に制御された反応後のガスをフューズドシリカキャピラリー管によりレオダイン6方バルブに装着した20μLループに誘導し、すでに満たされていた0.1%リン酸溶離液に通して吸収させた。ガス注入から2分後吸収液がHPLCカラムに注入されるようバルブを切り替え、ODSカラムで展開した。溶離液は20μLループ外にも存在したので定量的な操作ではない。この6方バルブ利用の吸収部分を接続機構の例として図2に示した。【0028】【0029】分析結果は、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドがそれぞれギ酸、酢酸として210nmUVモニターで測定された。これを図3に示した。これら6.1分と8.1分のピークがギ酸と酢酸に一致することは標準溶液のHPLC同条件下の測定での保持時間(6.1分、8.0分)と照合により確認した。【0030】(実施例2)気相酸化部に酸化銀(Ag2O)を使用し、クロマトグラフ分析法として水膜クロマトグラフィーを用いた実施例を示す。気相酸化部は酸化銀粉末と塩化ナトリウムの同重量を乳鉢で軽くすり合わせ混合したものを内径2mm長さ7cmのガラス管に充填し、両端をガスクロマトグラフィー用石英ウールで栓をしたものを作成した。これを250℃ないし300℃に加熱したヒーター付き金属パイプ内に挿入し、ガスクロマトグラフィー用パッキング部品、接続部品等を使用してGC注入口とGCカラムをフューズドシリカキャピラリーチューブで接続した。さらに図4のようにGC/MS装置に加熱炉にあたるヒーター巻き金属パイプを挿入して気相酸化部とし、さらに水膜クロマトグラフィー装置を結合して構成した。水分は50℃の水タンクで補給し、注入水分も水膜形成に加わる。酸化銀気相酸化法と水膜クロマトグラフィー法により分析された、約2ppmのホルムアルデヒドと80ppmのアセトアルデヒドを含む水移行試験試料溶液のマスクロマトグラフ結果を図5に示した。46M/Zの8.5分と60M/Zの8.8分のピークはそのマススペクトルからギ酸と酢酸と確認できる。気相酸化温度250℃では両アルデヒドが定量できるが、300℃ではギ酸化したホルムアルデヒド分の熱分解が著しく、酢酸も多少減少した。この水膜クロマトグラフィー法による分析では、水分量で水膜厚さが変化するため保持時間は毎回変化し、一定には成らない欠点があり、定性能力のある質量分析系を検出器に用いることが必須である。【0031】水膜クロマトグラフィー法装置構成【0032】(実施例3)気相酸化部に硝酸銀(AgNO3)を使用し、クロマトグラフ分析法として水膜クロマトグラフィーを用いた実施例を示す。気相酸化部は硝酸銀10%水溶液中にガスクロマトグラフィー用石英ウールを浸して乾燥させたものを内径2mm長さ7cmのガラス管に充填し、両端をガスクロマトグラフィー用石英ウールで栓をして作成した。これを150℃に加熱したヒーター付き金属パイプ内に挿入し、ガスクロマトグラフィー用パッキング部品、接続部品等を使用してGC注入口とGCカラムをフューズドシリカキャピラリーチューブで接続した。装置は実施例2のGC/MS装置に加熱炉にあたるヒーター巻き金属パイプを挿入した構成で気相酸化部と水膜クロマトグラフィーを構成した。水分は50℃の水タンクで補給し、注入水分も水膜形成に加わる。硝酸銀・石英ウール気相酸化法と水膜クロマトグラフィーにより分析された、約50ppmのホルムアルデヒドと100ppmのアセトアルデヒドを含む水溶液のマスクロマトグラフを図6に示した。46M/Zの7.6分と60M/Zの8.3分のピークはそのマススペクトルからギ酸と酢酸と確認できる。気相酸化温度150℃で両アルデヒドが定量できるが、この分析例以前の塩酸洗浄を行わなかった石英ウールを用いた分析例では、ギ酸化したホルムアルデヒド分の吸着が著しく、酢酸しかピークに成らない状態であった。塩酸洗浄が珪酸鉱物の使用では必須であることをうかがわせた。【0033】(実施例4)GC注入口に挿入されているガラスインサート内に無水炭酸ナトリウム粉末と石英ウールを混合して挿入し酸性物質吸収管を形成させた。気相酸化部に硝酸銀(AgNO3)を使用し、クロマトグラフ分析法として水膜クロマトグラフィーを用いた作業環境空気での実施例を示す。気相酸化部は硝酸銀10%水溶液を内径2mm長さ7cmのガラス管に塗着、100℃乾燥した後、両端を塩酸洗浄したガスクロマトグラフィー用石英ウールで栓をして作成した。これを150℃に加熱したヒーター付き金属パイプ内に挿入し、ガスクロマトグラフ用パッキング部品、接続部品等を使用してGC注入口とGCカラムをフューズドシリカキャピラリーチューブで接続した。装置は実施例2のGC/MS装置に加熱炉にあたるヒーター巻き金属パイプを挿入した構成で気相酸化部と水膜クロマトグラフィー装置を構成した。水分は50℃の水タンクで補給し、注入水分も水膜形成に加わる。酸性物質除去用の無水炭酸ナトリウム粉末を挿入した注入口は150℃とし、硝酸銀管気相酸化部も150℃として、水膜クロマトグラフィー装置に接続した。成型機が稼働する作業場の機器近傍の環境空気10Lを10ml直列2本の氷冷却した水吸収管に導いた。酢酸ビニル系樹脂の押し出し成形も稼働しており、この酢酸がアセトアルデヒド定量を妨害する可能性があったため酸性物質吸収管を使用した。吸収管水溶液を合わせた20mlの水中に約0.5ppmのホルムアルデヒドと20ppmのアセトアルデヒドを含むマスクロマトグラフである図7が得られた。46M/Zの8,8分と60M/Zの9.1分のピークはそのマススペクトルからギ酸と酢酸と確認でききた。装置条件は改めて記載した以外は実施例2と同じである。【0034】(実施例5)水膜クロマトグラフィーを用いる分離カラムを変えた実施例を示す。分析条件は実施例2と同一とし、気相酸化部を挿入しない状態にしてギ酸と酢酸の分離状態を検討した。シリコン系フューズドシリカキャピラリーカラムとして5モル%フェニル基であるDB−5(J&W社商品以下同じ)、35モル%フェニル基であるDB−35(J&W社商品)、0モル%にあたるジメチルポリシロキサン(DB−1相当品)、14%シアノプロピルフェニル・メチルポリシロキサン(DB−1701)を装着して水膜クロマトグラフィー法としてのギ酸、酢酸分離状態を調査した。この結果はすでに実施例使用の25モル%フェニル基のAQUATIC(GLサイエンス社商品)とDB−35が好ましい分離を示し、DB−1701も分離できた。しかしDB−1やポリエチレングリコール系カラム固定相は分離されず、適度な極性が好ましいと推定された。DB−35の例を図8に示した。分離結果が良かった固定相樹脂の溶解性パラメーター(δ)推定値が16MPa1/2(凝集エネルギー密度平方根)前後に集中していることは水膜の形成との関連が推察できる。【0035】溶解性パラメーター(δ)の推定はδ既知の3種混合までの例では両者の2乗和の平方根から算出する。δの文献値はポリマーハンドブック(参考文献2)から引用した。(δ)mix=[X1・δ12+X2・δ22+X3・δ32]1/2X:成分のモル分率ジメチルポリシロキサン(DB−1相当品):δ=15程度ベンゼン:δ=18でポリスチレン:18−19プロピオニトリル:21.7=22(計算例)DB−35[0.65*152+0.35*182]1/2=16.1AQUATIC[0.75*152+0.25*182]1/2=15.8DB−1701[0.86*152+0.07*182+0.07*222]1/2=15.8これらの16前後の計算値は概略なものに違いないが、カルボン酸展開に適した水膜クロマトグラフィーを形成する水と固定相との親和性には特有の関係が存在することを示すものである。【0036】(実施例6)気相酸化法の副反応として、アルコール類の酸化があれば実務的に適用範囲の狭い分析法となる。触媒が気相酸化部に酸化銀(Ag2O)を使用し、クロマトグラフ分析方法として水膜クロマトグラフィーを用いた実施例2において10%エタノール、メタノール混合液を250℃酸化条件で分析した。この結果を図9に示すが、もともとの不純物と思われる微量のギ酸と酢酸が検出されただけであった。アルコールが酸化されればこのような量で収まることはないので、銀塩でのアルコール混在試料への適性が確認された。【0037】【発明の効果】本発明は、空気中ないし水中ないしは工業製品中の揮発性アルデヒド類を分析する分析方法として、従来から実施されている比色分析法、化学誘導体化物質のガスクロマトグラフィーないし液体クロマトグラフィー定量分析法による分析手段等に比較し、操作の容易さと安定性をそなえた揮発性アルデヒド類の新規高感度分析法である。本発明は、誘導体化等を行うことなく直接的にかつ短時間で分析することができ、高感度かつ迅速なアルデヒド分析として適用できる。したがって環境分析、品質管理分析、生化学分野の分析等多方面で多くの成果が期待される。【図面の簡単な説明】【図1】発明の気相酸化法の基本的な反応部分の構成を示す模式図【図2】 反応ガス吸収接続機構の参考図【図3】クロマトグラフ分析法にHPLCを使用し、気相酸化を硫酸銀により行い、210nmUV検出器で反応物のギ酸と酢酸モニターした逆相クロマトグラム【図4】 クロマトグラフ分析法に水膜クロマトグラフィー法を使用した気相酸化物を分析する構成の模式図【図5】 約2ppmのホルムアルデヒドと80ppmのアセトアルデヒドを含む水溶液のマスクロマトグラム【図6】 硝酸銀150℃でのアルデヒド気相酸化と水膜クロマトグラフィー法による検出結果の参考図【図7】 酸吸収管により空気中の有機酸を除去して分析し、押し出し成形機近傍の空気を濃縮した水溶液のマスクロマトグラム【図8】 水膜クロマトグラフィー法を用いるアルデヒド分析に適したキャピラリーカラム用固定相の選択図【図9】 酸化銀250℃の酸化条件におけるアルコールの分析結果を示す参考図 揮発性アルデヒド類を、気相酸化反応を利用して同炭素数カルボン酸に転換して行うアルデヒドの分析方法において、前記気相反応によるアルデヒド類のカルボン酸への酸化が分析ガス流路の加熱部内に設置された固体状酸化銀(Ag2O)、硫酸銀または硝酸銀により、且つ、前記酸化銀(Ag2O)では230〜250℃、硝酸銀では140〜175℃、前記硫酸銀では200℃の温度でそれぞれ行われることを特徴とするアルデヒドの分析方法。 アルカリ金属またはアルカリ土金属類の水酸化物およびまたは炭酸水素塩の1種または複数混合により調製された酸性物質吸収剤を、分析ガス流路の気相酸化反応部に前置して使用する請求項1記載のアルデヒドの分析方法。 前記気相酸化反応によりカルボン酸類に転換した物質をクロマトグラフ分析法で分析する請求項1又は2記載のアルデヒドの分析方法。 前記クロマトグラフ分析法を、カルボン酸に転換した物質を溶解吸収ないし濃縮させる流路を設け、酸化反応終了後かかる流路に分析展開用流体を導き、分析対象物質をクロマトグラフィーカラムに移動させて行う請求項3に記載のアルデヒドの分析方法。 前記クロマトグラフ分析方法が、水と混和しない物質から成る固定相が形成されたガスクロマトグラフィー用キャピラリーカラムを用い、移動相にキャリアーガスと共に水分を存在させ、カラム内での水の蒸発又は凝縮によって分離対象物質の移動及び展開を助ける水膜クロマトグラフィー法である請求項3又は4に記載のアルデヒドの分析方法。 前記固定相が、HANSEN SOLUBILITY PARAMETER(溶解性パラメーター、SP値、δ:単位はMPa1/2)が15.5から16.4MPa1/2のポリシロキサン重合体樹脂ないしはポリシロキサン重合体樹脂混合物である請求項5に記載の分析方法。 前記固定相が、フェニル基含有・メチルポリシロキサン共重合樹脂で、15モル%乃至45モル%フェニル基濃度のフェニル基を含有する共重合体、ないしは複数の異種フェニル・メチルポリシロキサン樹脂及び/又はメチルポリシロキサン樹脂類との混合により前記15モル%乃至45モル%に相当するフェニル基濃度となるようにした混合物である請求項5又は6に記載のアルデヒド分析方法。 前記固定相が、シアノアルキル・フェニル・メチルポリシロキサン樹脂で、4モル%乃至12モル%シアノアルキル基濃度のシアノアルキル基を含有する重合体、ないしは複数の異種シアノアルキル・フェニル・メチルポリシロキサン樹脂およびまたはメチルポリシロキサン樹脂類との混合により前記4モル%乃至12モル%に相当するシアノアルキル基濃度となるようにした混合物である請求項5又は6に記載のアルデヒド分析方法。


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