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タイトル:公開特許公報(A)_N−置換環状イミド化合物の製造法
出願番号:2003118639
年次:2004
IPC分類:7,C07D207/408,C07D207/416,C07D207/448,C07D209/48,C07D211/88,C07D221/14,C07D487/04


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平井 成尚 JP 2004051626 公開特許公報(A) 20040219 2003118639 20030423 N−置換環状イミド化合物の製造法 ダイセル化学工業株式会社 000002901 後藤 幸久 100101362 平井 成尚 JP 2002159020 20020531 7 C07D207/408 C07D207/416 C07D207/448 C07D209/48 C07D211/88 C07D221/14 C07D487/04 JP C07D207/408 C07D207/416 C07D207/448 C07D211/88 C07D221/14 C07D487/04 137 C07D209/48 Z 9 OL 14 4C034 4C050 4C054 4C069 4C204 4C034CG10 4C050AA01 4C050AA08 4C050BB04 4C050CC04 4C050EE02 4C050FF01 4C050GG03 4C050HH01 4C054AA02 4C054BB03 4C054CC07 4C054DD23 4C054EE01 4C054FF01 4C069AC30 4C069BB22 4C204AB02 4C204BB04 4C204CB04 4C204DB30 4C204EB03 4C204FB33 4C204GB01 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、環状酸無水物から対応するN−置換環状イミド化合物(N−ヒドロキシ環状イミド又はN−アシルオキシ環状イミド)を製造する方法に関する。N−置換環状イミド化合物は酸化反応触媒やペプチド合成用試薬などとして有用である。【0002】【従来の技術】N−ヒドロキシ環状イミドは、環状酸無水物とヒドロキシルアミン又はその塩との反応により生成することが知られている。例えば、特開2001−122859号公報には、環状酸無水物とヒドロキシルアミンの塩とを、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、塩素化炭化水素又はエーテル中で、塩基をさらに加えることなく反応させて、対応する環式N−ヒドロキシ環状イミド化合物を得る方法が開示されている。しかし、本発明者らの追試によると、反応中攪拌が困難となったり、目的物が着色しやすいという問題がある。また、化合物によっては低い収率でしか得られない場合がある。【0003】特開2001−233854号公報、ジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J. Org. Chem.)第36巻、第3835頁(1971年)などには、溶媒中、環状酸無水物と遊離のヒドロキシルアミンとを反応させて、対応する環式N−ヒドロキシ環状イミド化合物を得る方法が開示されている。しかし、この方法は取り扱い難い遊離のヒドロキシルアミンを使用する必要がある。【0004】一方、N−アシルオキシ環状イミド化合物の触媒等としての利用の重要性が増すにつれて、該N−アシルオキシ環状イミド化合物を簡易に製造する方法、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産する方法、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを目的に応じて簡易に作り分ける方法が求められるようになった。【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、操作性良く、高収率で、しかも安全にN−ヒドロキシ環状イミド化合物を製造する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、N−アシルオキシ環状イミド化合物の簡易な製造法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産できる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを目的に応じて簡易に作り分ける方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討の結果、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び/又は鎖状酸無水物の存在下で反応させると、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及び/又はN−アシルオキシ環状イミド化合物が収率よく生成すること、ヒドロキシルアミン無機酸塩の無機酸の種類を選択したり、有機酸と鎖状酸無水物の何れを用いるかを選択することにより、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物の生成比を調整できることを見出し、本発明を完成した。【0007】すなわち、本発明は、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させることを特徴とするN−置換環状イミド化合物の製造法を提供する。【0008】前記環状酸無水物には、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物が含まれる。また、前記環状酸無水物は、下記式(1)【化2】[式中、nは0又は1を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]で表される化合物であってもよい。【0009】環状酸無水物として、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸又はナフタレンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。【0010】前記ヒドロキシルアミン無機酸塩としては、例えば、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム又は臭化ヒドロキシルアンモニウムなどが挙げられる。前記有機酸には、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸が含まれる。鎖状酸無水物には、無水酢酸、無水プロピオン酸などの鎖状のカルボン酸無水物が含まれる。【0011】【発明の実施の形態】[環状酸無水物]環状酸無水物としては、特に限定されず、環に置換基を有していてもよい広範囲の環状酸無水物を使用できる。なかでも、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物が好ましい。特に好ましい環状酸無水物には、前記式(1)で表される化合物が含まれる。【0012】式(1)中、nは0又は1を示す。置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。【0013】アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。【0014】置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基などのC1−30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1−20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6−20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7−21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。【0015】アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1−30脂肪族アシル基(特に、C1−20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。【0016】アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC1−30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1−20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。【0017】置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが、隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。【0018】前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。【0019】好ましい環状酸無水物には、下記式で表される化合物が含まれる。【化3】(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員の環状酸無水物骨格を形成していてもよい。Aはメチレン基又は酸素原子を示す)【0020】置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。【0021】置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。【0022】好ましい環状酸無水物のうち5員の環状酸無水物骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、無水コハク酸、α−メチル無水コハク酸、α,α−ジメチル無水コハク酸、α,β−ジメチル無水コハク酸、α,α,β,β−テトラメチル無水コハク酸、無水マレイン酸、α,β−ジフェニル無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3;6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、α,β−ジアセトキシ無水コハク酸(2,3−ジアセトキシ無水コハク酸)、α,β−ビス(プロピオニルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(バレリルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(ラウロイルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)無水コハク酸、4−メトキシカルボニル無水フタル酸、4−エトキシカルボニル無水フタル酸、4−ペンチルオキシカルボニル無水フタル酸、4−ドデシルオキシカルボニル無水フタル酸、4−フェノキシカルボニル無水フタル酸、4,5−ビス(メトキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(エトキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(フェノキシカルボニル)無水フタル酸などが挙げられる。【0023】好ましい環状酸無水物のうち6員の環状酸無水物骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、無水グルタル酸、α,α−ジメチル無水グルタル酸、β,β−ジメチル無水グルタル酸、1,8−デカリンジカルボン酸無水物、1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸二無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(無水ナフタル酸=ナフタル酸無水物)、3−ニトロ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(3−ニトロ−1,8−無水ナフタル酸)、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4;9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。【0024】上記の環状酸無水物のなかでも、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。【0025】[ヒドロキシルアミン無機酸塩]ヒドロキシルアミン無機酸塩における無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。ヒドロキシルアミン無機酸塩には、下記式(NH2OH)p・HpX(式中、pは自然数を示す。Xは酸基を示し、HpXはp価の無機酸を示す)で表される化合物が含まれる。【0026】ヒドロキシルアミン無機酸塩の代表的な例として、例えば、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、臭化ヒドロキシルアンモニウム、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウムなどが挙げられる。ヒドロキシルアミン無機酸塩は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。上記のヒドロキシルアミン無機酸塩の中でも、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、リン酸ヒドロキシルアンモニウムが特に好ましい。【0027】ヒドロキシルアミン無機酸塩の使用量は、反応を阻害しない範囲で適宜選択できるが、通常、環状酸無水物の酸無水物基に対して、1〜10当量、好ましくは1〜5当量、さらに好ましくは1〜2当量である。【0028】[有機酸、鎖状酸無水物]本発明において、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩との反応は、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物(以下、単に「有機酸等」と称する場合がある)の存在下で行われる。【0029】有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸などのカルボン酸(炭素数1〜20程度のカルボン酸);トリフルオロ酢酸などのハロカルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。これらの有機酸は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。上記の有機酸の中でも、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸が特に好ましい。【0030】鎖状酸無水物としては、上記有機酸に対応する対称又は非対称酸無水物が挙げられる。鎖状酸無水物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。鎖状酸無水物の中でもカルボン酸無水物が好ましく、特に無水酢酸、無水プロピオン酸などの炭素数1〜12のカルボン酸に対応するカルボン酸無水物が好ましい。【0031】有機酸等の使用量は、環状酸無水物100重量部に対して、例えば10〜10000重量部、好ましくは100〜5000重量部、さらに好ましくは200〜1000重量部程度である。【0032】有機酸と鎖状酸無水物のうち有機酸を用いるとN−ヒドロキシ環状イミド化合物が生成しやすく、鎖状酸無水物を用いるとN−アシルオキシ環状イミド化合物が生成しやすい。従って、有機酸と鎖状酸無水物の何れを用いるかで一方の化合物を優先して製造することができるとともに、有機酸と鎖状酸無水物との使用比率を調整することにより、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物の2種の化合物の生産比率をコントロールできる。【0033】[反応]本発明の製造法においては、必要に応じて、前記有機酸等以外の溶媒を共存させることができる。このような溶媒として、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの置換基を有していてもよい脂環式炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類等の有機溶媒;これらの混合物が挙げられる。これらの溶媒の使用量は、反応を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、前記有機酸等100重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは20〜300重量部程度である。【0034】反応温度は、例えば20〜180℃、好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは100〜140℃程度である。反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。反応を半回分式又は連続式で行う場合、反応成分、有機酸等、溶媒の添加順序や添加時期は適宜選択できる。【0035】N−アシルオキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合には、脱水条件下で反応を行うのが好ましい。例えば、物理的に水を分離除去する方法や、前記のように鎖状酸無水物を用いる方法、又はこれらの組み合わせにより、N−アシルオキシ環状イミド化合物を優先的に製造することができる。脱水操作は反応初期から行ってもよく、反応の後半から行ってもよい。物理的に水を分離除去する方法として、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなどを共沸剤として用いて共沸脱水する方法が挙げられる。鎖状酸無水物を用いる場合、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物の混合物を反応に付してもよく、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを反応させ、ある程度反応が進行した後に鎖状酸無水物を添加してもよく、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物との混合物(例えば、加熱混合物)に環状酸無水物を一括、連続的又は間欠的に添加して反応を行ってもよい。なお、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物との混合物に環状酸無水物を添加する場合、環状酸無水物添加時において、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物とが反応して反応中間体(例えば、N,N,O−トリアシルヒドロキシルアミンなど)が形成されていてもよい。【0036】一方、N−ヒドロキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合には、ヒドロキシルアミン無機酸塩としてヒドロキシルアミンと比較的弱い酸との塩(例えば、リン酸ヒドロキシルアンモニウム)を用いたり、水の存在下で反応を行うのが好ましい。水は反応初期から存在させておいてもよく、反応がある程度進行した後に系内に添加してもよい。【0037】反応により、原料として用いた環状酸無水物及び有機酸等に対応する、下記式(2)【化4】(式中、Rは水素原子又はアシル基を示す)で表される基を有するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及び/又はN−アシルオキシ環状イミド化合物が生成する。なお、上記アシル基は反応に用いた有機酸又は鎖状酸無水物に対応するアシル基である。例えば、上記アシル基は、有機酸等として酢酸又は無水酢酸を用いた場合にはアセチル基であり、有機酸等としてプロピオン酸又は無水プロピオン酸を用いた場合にはプロピオニル基である。【0038】より具体的には、前記式(1)で表される環状酸無水物を原料として用いた場合には、下記式(3)【化5】(式中、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Rは前記に同じ)で表される化合物が生成する。【0039】反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらの組み合わせにより分離精製できる。【0040】【発明の効果】本発明によれば、操作性良く、高収率で、しかも安全にN−ヒドロキシ環状イミド化合物を製造することができる。また、N−アシルオキシ環状イミド化合物を複雑な操作や装置を用いることなく簡易に製造できる。さらに、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産したり、前記2種の化合物を作り分けることが可能である。また、本発明の方法は広範なN−置換環状イミド化合物の製造に適用でき、汎用性に優れる。【0041】【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。【0042】実施例1無水ナフタル酸(1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物)3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及び水3gの混合物を8時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を攪拌下、室温まで冷却した。生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸30g、水30gで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシナフタルイミド(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)を3.936g(収率92%)得た。[N−ヒドロキシナフタルイミドのスペクトルデータ]1H−NMR(500MHz;DMSO−d6) δ:7.8−7.9(m, 2H, ArH), 8.4−8.6(m, 4H, ArH), 10.74(brs, 1H, OH)13C−NMR(125MHz;DMSO−d6) δ:160.8, 134.6, 131.4, 130.8, 127.3, 126.2,122.3【0043】実施例2無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及びp−キシレン10gの混合物を8時間還流下に攪拌した。この間、生成する水をディーンスターク装置により除去した。スラリー状の反応液を攪拌下、室温まで冷却した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率23%で、N−アセトキシナフタルイミド(N−アセトキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)が収率70%で生成していた。【0044】実施例3無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及びp−キシレン10gの混合物を8時間還流下に攪拌した。この間、生成する水をディーンスターク装置により除去した。次いで、系内に無水酢酸を1.022g(10ミリモル)加え、90℃で4時間攪拌した。得られた反応混合液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−アセトキシナフタルイミドが収率95%で生成していた。反応混合液を攪拌しながら室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸30gで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−アセトキシナフタルイミド3.640g(収率70%)を得た。[N−アセトキシナフタルイミドのスペクトルデータ]1H−NMR(500MHz;CDCl3) δ:2.48(s, 3H, CH3), 7.7−7.8(m, 2H, ArH), 8.2−8.3(m, 2H, ArH), 8.5−8.6(m, 2H, ArH)13C−NMR(125MHz;CDCl3) δ:166.6, 159.4, 135.0, 131.8, 131.7, 127.4, 127.0, 122.0, 17.8【0045】実施例4無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、プロピオン酸30gの混合物を13時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率80%で、N−プロピオニルオキシナフタルイミド(N−プロピオニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)が収率14%で生成していた。【0046】実施例5無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、酢酸20g、無水酢酸3.131g(60ミリモル)の混合物を6時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率40%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率50%で生成していた。【0047】実施例6無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、無水酢酸8.175g(80ミリモル)の混合物を6時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率30%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率58%で生成していた。【0048】実施例7硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、無水酢酸8.175g(80ミリモル)の混合物を1時間還流下に攪拌した。この混合液に無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)を加え、5時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率70%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率25%で生成していた。【0049】実施例8無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、プロピオン酸8gの混合物を1.5時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.793g(収率86%)を得た。結晶は微黄色の針状結晶であった。【0050】実施例9無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、酢酸6g、水2gの混合物を1.5時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水40mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.304g(収率71%)を得た。結晶は微黄色の針状結晶であった。【0051】比較例1無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、水4mlの混合物を浴温130℃の条件で1.5時間加熱した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水40mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.788g(収率86%)を得た。結晶は黄色を呈していた。【0052】実施例10無水ピロメリット酸2.181g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、酢酸10gの混合物を125℃で5時間攪拌した。スラリー状の混合物を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水20mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド2.143g(収率86.4%)を得た。なお、反応温度を100℃にして上記と同様の操作を行ったところ、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミドが収率83.7%で得られた。【0053】比較例2無水ピロメリット酸2.181g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、水10gの混合物を100℃で5時間攪拌した。スラリー状の混合物を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水20mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド0.568g(収率22.9%)を得た。【0054】実施例11α,β−ジフェニルマレイン酸無水物5.005g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、酢酸10gの混合物を125℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸10ml及び水50mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水80mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシ−α,β−ジフェニルマレイン酸イミド5.060g(収率95.4%)を得た。【0055】実施例12無水コハク酸3.002g(30ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム2.365g(12ミリモル)、酢酸3gの混合物を125℃で1時間攪拌した。さらに無水酢酸6.161g(60ミリモル)を加え、125℃で1時間攪拌した。反応混合物を10℃まで冷却し、10℃のジエチルエーテル10mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、10℃のジエチルエーテル20mlで洗浄し、室温で真空乾燥することにより、N−アセトキシコハク酸イミド3.210g(収率76.0%)を得た。【0056】実施例133−ニトロ−1,8−無水ナフタル酸2.432g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム0.788g(4ミリモル)、酢酸20gの混合物を130℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸20ml及び水20mlで洗浄し、60℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシ−3−ニトロ−1,8−ナフタル酸イミド2.175g(収率84.2%)を得た。【0057】実施例142,3−ジアセトキシ無水コハク酸2.762g(15ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.182g(6ミリモル)、酢酸5gの混合物を125℃で2時間攪拌した。さらに無水酢酸4.594g(45ミリモル)を加え、100℃で6時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル20mlを加え、水20ml、飽和重曹水20mlで順次洗浄した後、有機層を濃縮した。残渣に水10mlを加えて懸濁させ、結晶を吸引濾過した後、ジエチルエーテル10mlで洗浄し、40℃で真空乾燥することにより、N,2,3−トリアセトキシコハク酸イミド2.125g(収率51.9%)を得た。【0058】実施例15無水グルタル酸3.423g(30ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム2.365g(12ミリモル)、酢酸20gの混合物を125℃で2時間攪拌した。さらに無水酢酸6.738g(66ミリモル)を加え、125℃で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル20mlを加え、水20ml、飽和重曹水20mlで順次洗浄した後、有機層を濃縮した。残渣にジエチルエーテル20mlを加えて懸濁させ、結晶を吸引濾過した後、ジエチルエーテル20mlで洗浄し、室温で真空乾燥することにより、N−アセトキシグルタル酸イミド3.859g(収率75.2%)を得た。 環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させることを特徴とするN−置換環状イミド化合物の製造法。 環状酸無水物が、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 環状酸無水物が、下記式(1)[式中、nは0又は1を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]で表される化合物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 環状酸無水物が、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸又はナフタレンテトラカルボン酸二無水物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 ヒドロキシルアミン無機酸塩が、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム又は臭化ヒドロキシルアンモニウムである請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 有機酸がカルボン酸である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 有機酸が酢酸又はプロピオン酸である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 鎖状酸無水物が鎖状のカルボン酸無水物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 鎖状酸無水物が無水酢酸又は無水プロピオン酸である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 【課題】操作性良く、高収率で、しかも安全にN−ヒドロキシ環状イミド化合物を製造する方法を提供する。【解決手段】環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させる。環状酸無水物として、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ナフタル酸等が挙げられる。ヒドロキシルアミン無機酸塩として、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウムなどが挙げられる。前記有機酸には、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸が含まれる。鎖状酸無水物には、無水酢酸、無水プロピオン酸などが含まれる。【選択図】    なし


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特許公報(B2)_N−置換環状イミド化合物の製造法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_N−置換環状イミド化合物の製造法
出願番号:2003118639
年次:2010
IPC分類:C07D 207/408,C07D 207/416,C07D 207/448,C07D 209/48,C07D 211/88,C07D 221/14,C07D 487/04


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平井 成尚 JP 4526239 特許公報(B2) 20100611 2003118639 20030423 N−置換環状イミド化合物の製造法 ダイセル化学工業株式会社 000002901 後藤 幸久 100101362 平井 成尚 JP 2002159020 20020531 20100818 C07D 207/408 20060101AFI20100729BHJP C07D 207/416 20060101ALI20100729BHJP C07D 207/448 20060101ALI20100729BHJP C07D 209/48 20060101ALI20100729BHJP C07D 211/88 20060101ALI20100729BHJP C07D 221/14 20060101ALI20100729BHJP C07D 487/04 20060101ALI20100729BHJP JPC07D207/408C07D207/416C07D207/448C07D209/48 ZC07D211/88C07D221/14C07D487/04 137 C07D 207/408 C07D 207/416 C07D 207/448 C07D 209/48 C07D 211/88 C07D 221/14 C07D 487/04 CA/REGISTRY(STN) 特開2001−233854(JP,A) 特開2001−122859(JP,A) 特表2001−516741(JP,A) 7 2004051626 20040219 14 20060317 関 景輔 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、環状酸無水物から対応するN−置換環状イミド化合物(N−ヒドロキシ環状イミド又はN−アシルオキシ環状イミド)を製造する方法に関する。N−置換環状イミド化合物は酸化反応触媒やペプチド合成用試薬などとして有用である。【0002】【従来の技術】N−ヒドロキシ環状イミドは、環状酸無水物とヒドロキシルアミン又はその塩との反応により生成することが知られている。例えば、特開2001−122859号公報には、環状酸無水物とヒドロキシルアミンの塩とを、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、塩素化炭化水素又はエーテル中で、塩基をさらに加えることなく反応させて、対応する環式N−ヒドロキシ環状イミド化合物を得る方法が開示されている。しかし、本発明者らの追試によると、反応中攪拌が困難となったり、目的物が着色しやすいという問題がある。また、化合物によっては低い収率でしか得られない場合がある。【0003】特開2001−233854号公報、ジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J. Org. Chem.)第36巻、第3835頁(1971年)などには、溶媒中、環状酸無水物と遊離のヒドロキシルアミンとを反応させて、対応する環式N−ヒドロキシ環状イミド化合物を得る方法が開示されている。しかし、この方法は取り扱い難い遊離のヒドロキシルアミンを使用する必要がある。【0004】一方、N−アシルオキシ環状イミド化合物の触媒等としての利用の重要性が増すにつれて、該N−アシルオキシ環状イミド化合物を簡易に製造する方法、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産する方法、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを目的に応じて簡易に作り分ける方法が求められるようになった。【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、操作性良く、高収率で、しかも安全にN−ヒドロキシ環状イミド化合物を製造する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、N−アシルオキシ環状イミド化合物の簡易な製造法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産できる方法を提供することにある。本発明の他の目的は、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを目的に応じて簡易に作り分ける方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討の結果、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び/又は鎖状酸無水物の存在下で反応させると、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及び/又はN−アシルオキシ環状イミド化合物が収率よく生成すること、ヒドロキシルアミン無機酸塩の無機酸の種類を選択したり、有機酸と鎖状酸無水物の何れを用いるかを選択することにより、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物の生成比を調整できることを見出し、本発明を完成した。【0007】 すなわち、本発明は、環状酸無水物と、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、及び臭化ヒドロキシルアンモニウムから選択された少なくとも1種のヒドロキシルアミン無機酸塩とを、カルボン酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させるN−置換環状イミド化合物の製造法であって、N−ヒドロキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合は、下記(i)及び下記(ii)、N−アシルオキシ環状イミドを優先して得たい場合は、下記(iii)及び/又は下記(iv)の条件下で反応を行うことを特徴とするN−置換環状イミド化合物の製造法を提供する。 (i)ヒドロキシルアミン無機酸塩としてリン酸ヒドロキシルアンモニウムを用いる (ii)水の存在下で反応を行う (iii)有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物として鎖状酸無水物を用いる (iv)共沸脱水を行う【0008】前記環状酸無水物には、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物が含まれる。また、前記環状酸無水物は、下記式(1)【化2】[式中、nは0又は1を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]で表される化合物であってもよい。【0009】環状酸無水物として、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸又はナフタレンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。【0010】 前記カルボン酸には、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸が含まれる。鎖状酸無水物には、無水酢酸、無水プロピオン酸などの鎖状のカルボン酸無水物が含まれる。尚、本明細書には上記発明の他に、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させることを特徴とするN−置換環状イミド化合物の製造法についても記載する。【0011】【発明の実施の形態】[環状酸無水物]環状酸無水物としては、特に限定されず、環に置換基を有していてもよい広範囲の環状酸無水物を使用できる。なかでも、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物が好ましい。特に好ましい環状酸無水物には、前記式(1)で表される化合物が含まれる。【0012】式(1)中、nは0又は1を示す。置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。【0013】アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。【0014】置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。【0015】アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。【0016】アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。【0017】置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが、隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。【0018】前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状酸無水物基が形成されていてもよい。【0019】好ましい環状酸無水物には、下記式で表される化合物が含まれる。【化3】(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員の環状酸無水物骨格を形成していてもよい。Aはメチレン基又は酸素原子を示す)【0020】置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。【0021】置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。【0022】好ましい環状酸無水物のうち5員の環状酸無水物骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、無水コハク酸、α−メチル無水コハク酸、α,α−ジメチル無水コハク酸、α,β−ジメチル無水コハク酸、α,α,β,β−テトラメチル無水コハク酸、無水マレイン酸、α,β−ジフェニル無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3;6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、α,β−ジアセトキシ無水コハク酸(2,3−ジアセトキシ無水コハク酸)、α,β−ビス(プロピオニルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(バレリルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(ラウロイルオキシ)無水コハク酸、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)無水コハク酸、4−メトキシカルボニル無水フタル酸、4−エトキシカルボニル無水フタル酸、4−ペンチルオキシカルボニル無水フタル酸、4−ドデシルオキシカルボニル無水フタル酸、4−フェノキシカルボニル無水フタル酸、4,5−ビス(メトキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(エトキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)無水フタル酸、4,5−ビス(フェノキシカルボニル)無水フタル酸などが挙げられる。【0023】好ましい環状酸無水物のうち6員の環状酸無水物骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、無水グルタル酸、α,α−ジメチル無水グルタル酸、β,β−ジメチル無水グルタル酸、1,8−デカリンジカルボン酸無水物、1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸二無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(無水ナフタル酸=ナフタル酸無水物)、3−ニトロ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(3−ニトロ−1,8−無水ナフタル酸)、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4;9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。【0024】上記の環状酸無水物のなかでも、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。【0025】[ヒドロキシルアミン無機酸塩]ヒドロキシルアミン無機酸塩における無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。ヒドロキシルアミン無機酸塩には、下記式(NH2OH)p・HpX(式中、pは自然数を示す。Xは酸基を示し、HpXはp価の無機酸を示す)で表される化合物が含まれる。【0026】ヒドロキシルアミン無機酸塩の代表的な例として、例えば、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、臭化ヒドロキシルアンモニウム、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウムなどが挙げられる。ヒドロキシルアミン無機酸塩は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。上記のヒドロキシルアミン無機酸塩の中でも、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、リン酸ヒドロキシルアンモニウムが特に好ましい。【0027】ヒドロキシルアミン無機酸塩の使用量は、反応を阻害しない範囲で適宜選択できるが、通常、環状酸無水物の酸無水物基に対して、1〜10当量、好ましくは1〜5当量、さらに好ましくは1〜2当量である。【0028】[有機酸、鎖状酸無水物]本発明において、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩との反応は、有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物(以下、単に「有機酸等」と称する場合がある)の存在下で行われる。【0029】有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸などのカルボン酸(炭素数1〜20程度のカルボン酸);トリフルオロ酢酸などのハロカルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられる。これらの有機酸は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。上記の有機酸の中でも、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸が特に好ましい。【0030】鎖状酸無水物としては、上記有機酸に対応する対称又は非対称酸無水物が挙げられる。鎖状酸無水物は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。鎖状酸無水物の中でもカルボン酸無水物が好ましく、特に無水酢酸、無水プロピオン酸などの炭素数1〜12のカルボン酸に対応するカルボン酸無水物が好ましい。【0031】有機酸等の使用量は、環状酸無水物100重量部に対して、例えば10〜10000重量部、好ましくは100〜5000重量部、さらに好ましくは200〜1000重量部程度である。【0032】有機酸と鎖状酸無水物のうち有機酸を用いるとN−ヒドロキシ環状イミド化合物が生成しやすく、鎖状酸無水物を用いるとN−アシルオキシ環状イミド化合物が生成しやすい。従って、有機酸と鎖状酸無水物の何れを用いるかで一方の化合物を優先して製造することができるとともに、有機酸と鎖状酸無水物との使用比率を調整することにより、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物の2種の化合物の生産比率をコントロールできる。【0033】[反応]本発明の製造法においては、必要に応じて、前記有機酸等以外の溶媒を共存させることができる。このような溶媒として、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの置換基を有していてもよい脂環式炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトニトリルなどのニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類等の有機溶媒;これらの混合物が挙げられる。これらの溶媒の使用量は、反応を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、前記有機酸等100重量部に対して、1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは20〜300重量部程度である。【0034】反応温度は、例えば20〜180℃、好ましくは80〜160℃、さらに好ましくは100〜140℃程度である。反応は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。反応を半回分式又は連続式で行う場合、反応成分、有機酸等、溶媒の添加順序や添加時期は適宜選択できる。【0035】N−アシルオキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合には、脱水条件下で反応を行うのが好ましい。例えば、物理的に水を分離除去する方法や、前記のように鎖状酸無水物を用いる方法、又はこれらの組み合わせにより、N−アシルオキシ環状イミド化合物を優先的に製造することができる。脱水操作は反応初期から行ってもよく、反応の後半から行ってもよい。物理的に水を分離除去する方法として、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなどを共沸剤として用いて共沸脱水する方法が挙げられる。鎖状酸無水物を用いる場合、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物の混合物を反応に付してもよく、環状酸無水物とヒドロキシルアミン無機酸塩とを反応させ、ある程度反応が進行した後に鎖状酸無水物を添加してもよく、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物との混合物(例えば、加熱混合物)に環状酸無水物を一括、連続的又は間欠的に添加して反応を行ってもよい。なお、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物との混合物に環状酸無水物を添加する場合、環状酸無水物添加時において、ヒドロキシルアミン無機酸塩と鎖状酸無水物とが反応して反応中間体(例えば、N,N,O−トリアシルヒドロキシルアミンなど)が形成されていてもよい。【0036】一方、N−ヒドロキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合には、ヒドロキシルアミン無機酸塩としてヒドロキシルアミンと比較的弱い酸との塩(例えば、リン酸ヒドロキシルアンモニウム)を用いたり、水の存在下で反応を行うのが好ましい。水は反応初期から存在させておいてもよく、反応がある程度進行した後に系内に添加してもよい。【0037】反応により、原料として用いた環状酸無水物及び有機酸等に対応する、下記式(2)【化4】(式中、Rは水素原子又はアシル基を示す)で表される基を有するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及び/又はN−アシルオキシ環状イミド化合物が生成する。なお、上記アシル基は反応に用いた有機酸又は鎖状酸無水物に対応するアシル基である。例えば、上記アシル基は、有機酸等として酢酸又は無水酢酸を用いた場合にはアセチル基であり、有機酸等としてプロピオン酸又は無水プロピオン酸を用いた場合にはプロピオニル基である。【0038】より具体的には、前記式(1)で表される環状酸無水物を原料として用いた場合には、下記式(3)【化5】(式中、n、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Rは前記に同じ)で表される化合物が生成する。【0039】反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらの組み合わせにより分離精製できる。【0040】【発明の効果】本発明によれば、操作性良く、高収率で、しかも安全にN−ヒドロキシ環状イミド化合物を製造することができる。また、N−アシルオキシ環状イミド化合物を複雑な操作や装置を用いることなく簡易に製造できる。さらに、N−ヒドロキシ環状イミド化合物とN−アシルオキシ環状イミド化合物とを併産したり、前記2種の化合物を作り分けることが可能である。また、本発明の方法は広範なN−置換環状イミド化合物の製造に適用でき、汎用性に優れる。【0041】【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。【0042】実施例1無水ナフタル酸(1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物)3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及び水3gの混合物を8時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を攪拌下、室温まで冷却した。生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸30g、水30gで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシナフタルイミド(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)を3.936g(収率92%)得た。[N−ヒドロキシナフタルイミドのスペクトルデータ]1H-NMR(500MHz;DMSO-d6) δ:7.8-7.9(m, 2H, ArH), 8.4-8.6(m, 4H, ArH), 10.74(brs, 1H, OH)13C-NMR(125MHz;DMSO-d6) δ:160.8, 134.6, 131.4, 130.8, 127.3, 126.2, 122.3【0043】実施例2無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及びp−キシレン10gの混合物を8時間還流下に攪拌した。この間、生成する水をディーンスターク装置により除去した。スラリー状の反応液を攪拌下、室温まで冷却した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率23%で、N−アセトキシナフタルイミド(N−アセトキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)が収率70%で生成していた。【0044】実施例3無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、酢酸30g、及びp−キシレン10gの混合物を8時間還流下に攪拌した。この間、生成する水をディーンスターク装置により除去した。次いで、系内に無水酢酸を1.022g(10ミリモル)加え、90℃で4時間攪拌した。得られた反応混合液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−アセトキシナフタルイミドが収率95%で生成していた。反応混合液を攪拌しながら室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸30gで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−アセトキシナフタルイミド3.640g(収率70%)を得た。[N−アセトキシナフタルイミドのスペクトルデータ]1H-NMR(500MHz;CDCl3) δ:2.48(s, 3H, CH3), 7.7-7.8(m, 2H, ArH), 8.2-8.3(m, 2H, ArH), 8.5-8.6(m, 2H, ArH)13C-NMR(125MHz;CDCl3) δ:166.6, 159.4, 135.0, 131.8, 131.7, 127.4, 127.0, 122.0, 17.8【0045】実施例4無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム1.970g(12ミリモル)、プロピオン酸30gの混合物を13時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率80%で、N−プロピオニルオキシナフタルイミド(N−プロピオニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド)が収率14%で生成していた。【0046】実施例5無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、酢酸20g、無水酢酸3.131g(60ミリモル)の混合物を6時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率40%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率50%で生成していた。【0047】実施例6無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)、硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、無水酢酸8.175g(80ミリモル)の混合物を6時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率30%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率58%で生成していた。【0048】実施例7硫酸ヒドロキシルアンモニウム3.283g(20ミリモル)、無水酢酸8.175g(80ミリモル)の混合物を1時間還流下に攪拌した。この混合液に無水ナフタル酸3.964g(20ミリモル)を加え、5時間還流下に攪拌した。得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、N−ヒドロキシナフタルイミドが収率70%で、N−アセトキシナフタルイミドが収率25%で生成していた。【0049】実施例8無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、プロピオン酸8gの混合物を1.5時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.793g(収率86%)を得た。結晶は微黄色の針状結晶であった。【0050】実施例9無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、酢酸6g、水2gの混合物を1.5時間還流下に攪拌した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水40mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.304g(収率71%)を得た。結晶は微黄色の針状結晶であった。【0051】比較例1無水フタル酸2.962g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.447g(7.34ミリモル)、水4mlの混合物を浴温130℃の条件で1.5時間加熱した。スラリー状の反応液を室温まで冷却し、水40mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水40mlで洗浄し、70℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシフタルイミド2.788g(収率86%)を得た。結晶は黄色を呈していた。【0052】実施例10無水ピロメリット酸2.181g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、酢酸10gの混合物を125℃で5時間攪拌した。スラリー状の混合物を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水20mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド2.143g(収率86.4%)を得た。なお、反応温度を100℃にして上記と同様の操作を行ったところ、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミドが収率83.7%で得られた。【0053】比較例2無水ピロメリット酸2.181g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、水10gの混合物を100℃で5時間攪拌した。スラリー状の混合物を室温まで冷却し、水20mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水20mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド0.568g(収率22.9%)を得た。【0054】実施例11α,β−ジフェニルマレイン酸無水物5.005g(20ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.971g(10ミリモル)、酢酸10gの混合物を125℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸10ml及び水50mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、水80mlで洗浄し、80℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシ−α,β−ジフェニルマレイン酸イミド5.060g(収率95.4%)を得た。【0055】実施例12無水コハク酸3.002g(30ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム2.365g(12ミリモル)、酢酸3gの混合物を125℃で1時間攪拌した。さらに無水酢酸6.161g(60ミリモル)を加え、125℃で1時間攪拌した。反応混合物を10℃まで冷却し、10℃のジエチルエーテル10mlを加えた。生成した結晶を吸引濾過した後、10℃のジエチルエーテル20mlで洗浄し、室温で真空乾燥することにより、N−アセトキシコハク酸イミド3.210g(収率76.0%)を得た。【0056】実施例133−ニトロ−1,8−無水ナフタル酸2.432g(10ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム0.788g(4ミリモル)、酢酸20gの混合物を130℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、生成した結晶を吸引濾過した後、酢酸20ml及び水20mlで洗浄し、60℃で真空乾燥することにより、N−ヒドロキシ−3−ニトロ−1,8−ナフタル酸イミド2.175g(収率84.2%)を得た。【0057】実施例142,3−ジアセトキシ無水コハク酸2.762g(15ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム1.182g(6ミリモル)、酢酸5gの混合物を125℃で2時間攪拌した。さらに無水酢酸4.594g(45ミリモル)を加え、100℃で6時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル20mlを加え、水20ml、飽和重曹水20mlで順次洗浄した後、有機層を濃縮した。残渣に水10mlを加えて懸濁させ、結晶を吸引濾過した後、ジエチルエーテル10mlで洗浄し、40℃で真空乾燥することにより、N,2,3−トリアセトキシコハク酸イミド2.125g(収率51.9%)を得た。【0058】実施例15無水グルタル酸3.423g(30ミリモル)、リン酸ヒドロキシルアンモニウム2.365g(12ミリモル)、酢酸20gの混合物を125℃で2時間攪拌した。さらに無水酢酸6.738g(66ミリモル)を加え、125℃で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、酢酸エチル20mlを加え、水20ml、飽和重曹水20mlで順次洗浄した後、有機層を濃縮した。残渣にジエチルエーテル20mlを加えて懸濁させ、結晶を吸引濾過した後、ジエチルエーテル20mlで洗浄し、室温で真空乾燥することにより、N−アセトキシグルタル酸イミド3.859g(収率75.2%)を得た。 環状酸無水物と、リン酸ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、硝酸ヒドロキシルアンモニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、及び臭化ヒドロキシルアンモニウムから選択された少なくとも1種のヒドロキシルアミン無機酸塩とを、カルボン酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で反応させて、対応するN−ヒドロキシ環状イミド化合物及びN−アシルオキシ環状イミド化合物から選択された少なくとも1種の化合物を生成させるN−置換環状イミド化合物の製造法であって、N−ヒドロキシ環状イミド化合物を優先して得たい場合は、下記(i)及び下記(ii)、N−アシルオキシ環状イミドを優先して得たい場合は、下記(iii)及び/又は下記(iv)の条件下で反応を行うことを特徴とするN−置換環状イミド化合物の製造法。 (i)ヒドロキシルアミン無機酸塩としてリン酸ヒドロキシルアンモニウムを用いる (ii)水の存在下で反応を行う (iii)有機酸及び鎖状酸無水物から選択された少なくとも1種の化合物として鎖状酸無水物を用いる (iv)共沸脱水を行う 環状酸無水物が、−C(=O)−O−C(=O)−の構造を含む5員環又は6員環骨格を有する化合物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 環状酸無水物が、下記式(1)[式中、nは0又は1を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが隣接する炭素原子又は炭素−炭素結合とともに互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示される環状酸無水物基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]で表される化合物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 環状酸無水物が、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水ナフタル酸、無水ピロメリット酸又はナフタレンテトラカルボン酸二無水物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 カルボン酸が酢酸又はプロピオン酸である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 鎖状酸無水物が鎖状のカルボン酸無水物である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。 鎖状酸無水物が無水酢酸又は無水プロピオン酸である請求項1記載のN−置換環状イミド化合物の製造法。


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