タイトル: | 特許公報(B2)_硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの分析方法 |
出願番号: | 2003097343 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 30/88,G01N 30/02,G01N 30/04,G01N 30/54 |
高尾 恒太 JP 4088776 特許公報(B2) 20080307 2003097343 20030331 硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの分析方法 小林製薬株式会社 000186588 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 中川 博司 100090066 舘 泰光 100094101 斎藤 健治 100099988 藤井 淳 100105821 関 仁士 100099911 中野 睦子 100108084 高尾 恒太 20080521 G01N 30/88 20060101AFI20080424BHJP G01N 30/02 20060101ALN20080424BHJP G01N 30/04 20060101ALN20080424BHJP G01N 30/54 20060101ALN20080424BHJP JPG01N30/88 CG01N30/88 101BG01N30/02 AG01N30/04 PG01N30/54 A G01N 30/88 G01N 30/02 G01N 30/04 G01N 30/54 特開平11−021235(JP,A) 特開平06−079004(JP,A) 特表2005−502430(JP,A) 国際公開第03/029011(WO,A1) 3 2004301775 20041028 12 20060314 郡山 順 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの分析方法に関する。より詳細には、ガスクロマトグラフ法により上記成分を一分析系で迅速かつ簡便に分析する方法に関する。【0002】【従来の技術】鎮痒剤や水虫治療剤等の医薬品組成物及び医薬部外品組成物において、配合される代表的な薬効成分としては、硝酸ミコナゾール(抗真菌成分)、リドカイン(局所麻酔成分)、イソプロピルメチルフェノール(抗菌・防腐成分)、l−メントール(鎮痒・清涼化成分)、並びにdl−カンフル(鎮痒・鎮痛・消炎成分)等がある。故に、これらの成分(硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフル)を迅速で簡便な方法で定量分析することは、上記製品の薬効管理上、また品質管理上、有用である。【0003】従来、上記成分の内、硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノールの分析は、高速液体クロマトグラフ法により各々異なる測定条件の下で行われている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。また、上記成分の内、l−メントール及びdl−カンフルの分析は、ガスクロマトグラフ法により行われている(例えば、非特許文献2参照。)。【0004】このように、従来の方法で上記成分を分析するには、各成分の分析方法が相違しているため、各成分に応じた方法で成分毎に別個独立して分析する必要があった。故に、従来の方法では、上記成分の分析に長時間を要し、しかも多大な分析コストをも要するという問題点があった。このような従来技術を背景として、上記成分を一分析系で迅速かつ簡便に定量分析する技術の開発が望まれていた。【0005】【特許文献1】特開昭62−17655号公報【0006】【非特許文献1】「一般用医薬品の試験法 下巻」、株式会社薬業時報社、平成9年12月10日、p.251【0007】【非特許文献2】「ガスクロマトグラフ応用データ集」、株式会社島津製作所、1997年12月、p.60【0008】【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、上記のような従来の問題を解決することである。より詳細には、本発明は、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを迅速かつ簡便に定性・定量分析する方法を提供することを目的とするものである。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、ガスクロマトグラフ法による分析において、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを使用することによって、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを一分析系で迅速かつ簡便に定性及び定量分析できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。【0010】即ち、本発明は、下記に掲げる分析方法である:項1. 硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノールよりなる群から選択される少なくとも1種の成分をガスクロマトグラフ法により分析する方法であって、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを使用することを特徴とする、上記成分の分析方法。項2. 硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルよりなる群から選択される少なくとも2種の成分をガスクロマトグラフ法により分析する方法であって、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを使用することを特徴とする、上記成分の分析方法。項3. 分析対象成分が、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルである、項2に記載の分析方法。【0011】尚、本発明でいう「一分析系で分析する」とは、同一分析条件下で分析することを意味するものである。【0012】【発明の実施の形態】(I)硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの分析本発明の分析方法は、硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノールを一分析系で定性・定量分析することを可能とする。故に、本発明の分析方法は、硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノールよりなる群から選択される少なくとも1種の成分を分析対象成分とすることができる。【0013】更に、本発明の分析方法は、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを一分析系で定性・定量分析することを可能とする。故に、本発明の分析方法は、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルよりなる群から選択される少なくとも2種の成分を分析対象成分とすることができる。特に、上記5種の成分を一分析系で迅速かつ簡便に分析できるという本発明の効果に鑑みれば、分析対象成分として、好ましくは上記5種の成分の中から少なくとも3種の成分、更に好ましくは少なくとも4種の成分、より好ましくは5種全ての成分を挙げることができる。【0014】具体的には、分析対象となる上記5種の成分の内の2種の成分の組み合わせとしては、硝酸ミコナゾール及びリドカイン;硝酸ミコナゾール及びイソプロピルメチルフェノール;硝酸ミコナゾール及びl−メントール;硝酸ミコナゾール及びdl−カンフル;リドカイン及びイソプロピルメチルフェノール;リドカイン及びl−メントール;リドカイン及びdl−カンフル;イソプロピルメチルフェノール及びl−メントール;イソプロピルメチルフェノール及びdl−カンフル;並びにl−メントール及びdl−カンフルの組み合わせを挙げることができる。また、分析対象となる上記5種の成分の内の3種の成分の組み合わせとしては、硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノール;硝酸ミコナゾール、リドカイン及びl−メントール;硝酸ミコナゾール、イソプロピルメチルフェノール及びl−メントール;リドカイン、イソプロピルメチルフェノール及びl−メントール;硝酸ミコナゾール、リドカイン及びdl−カンフル;硝酸ミコナゾール、イソプロピルメチルフェノール及びdl−カンフル;リドカイン、イソプロピルメチルフェノール及びdl−カンフル;硝酸ミコナゾール、l−メントール及びdl−カンフル;リドカイン、l−メントール及びdl−カンフル;並びにイソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの組み合わせを挙げることができる。更に、分析対象となる上記5種の成分の内の4種の成分の組み合わせとしては、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール及びl−メントール;硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール及びdl−カンフル;硝酸ミコナゾール、リドカイン、l−メントール及びdl−カンフル;硝酸ミコナゾール、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフル;並びにリドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの組み合わせを挙げることができる。【0015】本発明の分析方法には、上記成分を分析対象とするものであれば、医薬品組成物、医薬部外品組成物、香粧品組成物、又は食品組成物等の別を問わず、いずれも被分析試料として用いることができる。本発明の分析方法の実施に際して、該被分析試料は、ガスクロマトグラフ法による分析に適用可能な溶液(以下、これを被分析溶液という。)に調製される。被分析試料が液体の場合には、該分析試料をそのまま、或いはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒若しくは該有機溶媒を含有する水溶液で適宜希釈したものを被分析溶液とすることができる。一方、被分析試料が液体以外の場合には、該分析試料を前記有機溶媒若しくは前記有機溶媒を含有する水溶液に溶解して、固体乃至沈殿成分を除去したものを被分析溶液とすることができる。尚、被分析試料がエアゾール製剤の場合には、被分析溶液の調製に際して、ガス抜き等の前処理を適宜行うことができる。また、内標準法により定量分析する場合には、被分析溶液中にp−アミノ安息香酸メチル等の内標準物質を適当量添加することもできる。かかる被分析溶液を調製する方法については、常法に従って行うことができる。【0016】かくして調製された被分析溶液をガスクロマトグラフ法による分析に供することができる。本発明の分析方法において使用する分離カラムは、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンからなるものである。ジメチルポリシロキサンとは、ジメチルシロキサンを構成単位とするポリマーである。また、フェニルメチルポリシロキサンとは、フェニルメチルシロキサンを構成単位とするポリマー(50%フェニル−50%メチルポリシロキサン)である。ジフェニルジメチルポリシロキサンとは、ジフェニルシロキサン及びジメチルシロキサンを構成単位とするコポリマーである。ここで、ジフェニルジメチルポリシロキサンにおけるジフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとの構成比率は特に制限されるものではないが、一例として、ジフェニルシロキサン:ジメチルシロキサンの比率(モル比)が1:99〜70:30、好ましくは1:99〜50:50、更に好ましくは5:95〜30:70の範囲にあるものを挙げることができる。上記液相成分の中で、分析対象成分の分離・定量性、並びに分析時間の短縮の観点からは、ジメチルポリシロキサンを好適に挙げることができる。【0017】また、本発明の分析方法において、分離カラムについては、特に制限されず、キャピラリーカラム(一般に、内径:1mm以下)又はパックドカラム(一般に、内径:2〜4mm)のいずれを使用することもできる。中でも、キャピラリーカラムは、その内径が細く、カラム内の分析対象成分の拡散抑制やカラム内温度の均一保持が可能となるため、高分離・定量性や分析時間の短縮化の観点から好適な分離カラムである。キャピラリーカラムは、その構造の違いによって、WCOT(Wall coated open tubular)カラム、SCOT(PLOT)[Support coated open tublar(Porous layer open tubular)]カラム、パックドキャピラリーカラム、ミクロ充填カラムに分類されるが(機器分析のてびき(2)、第14−16頁、株式会社化学同人、1988年6月20日)、本発明には、いずれのキャピラリーカラムを使用してもよい。好ましくはWCOTカラムである。【0018】分離カラムとしてキャピラリーカラム(WCOTカラム)を使用する場合、一般に、カラムの内径が小さい程及びカラムの長さが長い程、液相膜厚を薄くできる関係にある。また、キャピラリーカラム(WCOTカラム)の液相膜厚が厚い程及びカラムの長さが長い程、より高濃度の分析対象成分を分析でき、分析対象成分の分離能が高くなる傾向があるが、分析時間が長くなる傾向もみられる。これらを総合的に判断して、使用するキャピラリーカラムの内径、液相膜厚及び長さを適宜設定すればよい。本発明に使用できるキャピラリーカラム(WCOTカラム)の一例として、キャピラリーカラムの内径が0.05〜0.8mm、液相膜厚が0.05〜5μm、及び長さが10〜100mの範囲にあるものを挙げることができる。好ましくは、キャピラリーカラムの内径が0.3〜0.6mm、液相膜厚が0.2〜3μm、及び長さが20〜40mの範囲内にあるワイドボアカラム(WCOTカラム)を挙げることができる。このようなキャピラリーカラム(WCOTカラム)として、簡便には、市販されているものを使用することができる。このような市販されているキャピラリーカラム(WCOTカラム)としては、商品名「DB−1」、「DB−1ms」、「DB−1ht」(以上、J&W サイエンティフィック社製)、「Rtx/MXT−1」(レステック社製)、「ZB−1」(フェノメネックス社製)、「BP1」、「SolGel−1」、「BPX1 Sim Dist」、「BP1−PONA」(以上、エス・ジー・イージャパン社製)、「NB−1」、「TC−1」(以上、ジーエルサイエンス社製)、及び「HiCap−CBP1」(島津製作所社製)等の液相がジメチルポリシロキサンであるキャピラリーカラム;商品名「Rtx/MXT−50」(レステック社製)等の液相がフェニルメチルポリシロキサンであるキャピラリーカラム;商品名「DB−5」、「DB−5ms」、「DB−5ht」、「DB5.625」(以上、J&W サイエンティフィック社製)、「Rtx/MXT/XTI−5/Rtx−5MS」(レステック社製)、「ZB−5」(フェノメネックス社製)、「BP5」、「BPX5」(以上、エス・ジー・イージャパン社製)、「NB−5」、「TC−5」(以上、ジーエルサイエンス社製)、及び「HiCap−CBP5」(島津製作所社製)等の液相が5%ジフェニル−95%ジメチルポリシロキサンであるキャピラリーカラム;商品名「Rtx/MXT−20」(レステック社製)等のキャピラリーカラム(液相:20%ジフェニル−80%ジメチルポリシロキサン);商品名「Rtx/MXT−35」(レステック社製)、「ZB−35」(フェノメネックス社製)、「BPX35」(エス・ジー・イージャパン社製)、及び「TC−35」(ジーエルサイエンス社製)等の液相が35%ジフェニル−65%ジメチルポリシロキサンであるキャピラリーカラム;商品名「DB−17」、「DB−17ms」、「DB−17ht」(以上、J&W サイエンティフィック社製)、「ZB−50」(フェノメネックス社製)、「BPX50」(エス・ジー・イージャパン社製)、「TC−17」(ジーエルサイエンス社製)等のキャピラリーカラム(液相:50%ジフェニル−50%ジメチルポリシロキサン);並びに商品名「Rtx/MXT−65TG」(レステック社製)等の液相が65%ジフェニル−35%ジメチルポリシロキサンであるキャピラリーカラム等がある。【0019】また、分離カラムとしてパックドカラムを使用する場合、該パックドカラムの充填剤、製法等については制限されない。例えば、珪藻土、フッ素樹脂、水晶、ガラスビーズ等の担体に、常法に従って上記液相を含浸或いはコーティングすることによって調製した充填剤を充填したカラムを使用することができる。また、パックドカラムの内径及び長さについても特に制限されず、カラムの分離特性・分析時間等に応じて適宜設定すればよい。【0020】本発明の分析方法において、被分析溶液の注入方法としては、特に制限されず、注入する被分析溶液の量、使用するカラムの特性等に応じて、ダイレクト法、スプリット法、スプリットレス法、クールオンカラム法等の公知の注入方法を適宜選択して使用することができる。例えば、分離カラムとしてワイドボアキャピラリーカラムを使用する場合であればダイレクト法を好適に挙げることができる。【0021】被分析溶液を注入する量は、注入方法、使用する分離カラムの種類、検出器の感度特性等に応じて、適宜設定すればよい。一例として、分離カラムとしてキャピラリーカラムを使用する場合であれば、0.005〜5μl程度、好ましくは0.1〜1μl程度を挙げることができる。【0022】本発明の分析方法において、分離カラムの温度は、初期温度を0〜85℃程度、好ましくは40〜75℃程度に設定しておき、被分析溶液注入後に昇温して、最終温度を300〜370℃程度、好ましくは300〜330℃程度となるように設定すればよい。初期温度が0℃よりも著しく低い場合、最終温度に昇温するのに時間を要し迅速な測定が困難となる傾向があり、また初期温度が85℃よりも著しく高い場合には、dl−カンフルのピークがノイズと重なり、該成分の定量が困難となる傾向がある。一方、最終温度が300℃より著しく低い場合、硝酸ミコナゾールが検出されにくくなる傾向があり、また最終温度が370℃よりも著しく高い場合、カラムの劣化を引き起こす傾向がある。昇温条件については、分析時間や使用する分離カラムの種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、初期温度から最終温度まで一定の昇温速度で昇温することもでき、また昇温速度を二段階或いはそれ以上に変えて昇温することもできる。分析の迅速性及び分離性の観点からは、具体的には、昇温条件として、5〜20℃/分程度で初期温度から100〜150℃程度まで昇温した後、20〜40℃/分程度で最終温度まで昇温する条件、好ましくは8〜15℃/分程度で初期温度から100〜140℃程度まで昇温した後、25〜35℃/分程度で最終温度まで昇温する条件を例示することができる。【0023】分離カラム内に通すキャリアーガスとしては、特に制限されず、例えばヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスを使用することができる。また、キャリアーガスの流速については、使用する分離カラムの種類等に応じて適宜設定することができる。一例として、キャピラリーカラム(WCOTカラム)を使用する場合であれば1〜20ml/分、好ましくは3〜12ml/分となる流速、特にワイドボアカラムを使用する場合では2〜20ml/分、好ましくは3〜12ml/分となる流速を挙げることができる。【0024】本発明の分析方法において、使用する検出器としては、前述する分析対象成分を検出可能であることを限度として、特に制限されない。具体的には、水素炎イオン化検出器、熱伝導度型検出器等を例示することができる。【0025】また、本発明は、前記分析方法を実施するのに好適な分析用キットを提供する。本発明の分析用キットは、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを含むことを特徴とするものである。ここで使用する分離カラムは、前述の通りである。当該分析用キットには、上記分離カラムに加えて、分析実施の便宜のために、分析対象成分の有無の判定や検量線の作成等に使用される該成分の標準溶液、内標準法による定量分析に使用されるp−アミノ安息香酸メチル等の内標準物質、被分析溶液の作成に要する各種試薬や器具、上記分離カラムの装着に必要なコネクター等の器具、分析手順書等が含まれていてもよい。【0026】本発明の分析用キットには、下記態様の分析用キットが含まれる:(1) 硝酸ミコナゾール、リドカイン及びイソプロピルメチルフェノールよりなる群から選択される少なくとも1種の成分をガスクロマトグラフ法により分析するための分析用キットであって、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを含むことを特徴とする、分析用キット。(2) 硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルよりなる群から選択される少なくとも2種の成分をガスクロマトグラフ法により分析するための分析用キットであって、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを含むことを特徴とする、分析用キット。(3) 分析対象成分が、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルである、(1)に記載の分析用キット。【0027】(II)リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの分析ガスクロマトグラフィー分析において、液相がポリエチレングリコールである分離カラムを使用することによって、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを一分析系で、定量分析することが可能となる。【0028】即ち、本発明は、更に、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルよりなる群から選択される少なくとも1種の成分をガスクロマトグラフィー法により分析する方法であって、液相がポリエチレングリコールである分離カラムを使用することを特徴とする上記成分の分析方法を提供する。【0029】ここで分析対象となる成分は、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの中の少なくとも1つの成分であればよいが、上記4成分を一分析系で迅速且つ簡便に分析できるという本発明の効果に鑑みれば、好ましくは上記4種の成分の中から少なくとも2種の成分、更に好ましくは少なくとも3種の成分、より好ましくは上記4種全ての成分を挙げることができる。【0030】使用する分離カラムの種類は、液相がポリエチレングリコールである限り、特に制限されないが、好ましくはキャピラリーカラムである。このような液相がポリエチレングリコールであるキャピラリーカラムで市販されているものとしては、例えば、「DB−WAX」(J&W サイエンティフィック社製)、「DB−WAXetr」(J&W サイエンティフィック社製)、「Stabilwax/MXT−WAX」(レステック社製)、「ZB−WAX」(フェノメネックス社製)、「BP20」(エス・ジー・イージャパン社製)、「TC−WAX」(ジーエルサイエンス社製)及び「HiCap−CBP20」(島津製作所社製)等を挙げることができる。【0031】なお、本発明の分析方法において、被分析溶液の調製方法、被分析溶液の注入方法、被分析溶液の注入量、キャリアガスの種類は、前述する(I)と同様である。また、分離カラムの温度等のその他の分析条件については、分析対象成分の分離特性等に応じて、適宜調整すればよい。【0032】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。本発明は下記実施例に限定されるものではない。【0033】実施例1硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール又はdl−カンフルの標準溶液を下記の方法に従って調製し、以下に記載するガスクロマトグラフの条件で分析を行った。【0034】<被分析溶液の作成>(1)硝酸ミコナゾール標準溶液硝酸ミコナゾール(標準品、岩城製薬社製)、メタノール(和光純薬工業社製)及び内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)を用いて、硝酸ミコナゾールを0.4、0.5、又は0.6g/l及び内標準(p−アミノ安息香酸メチル)を0.5g/lの割合で含有するメタノール溶液を調製して、標準溶液(被分析溶液)とした。【0035】(2)リドカイン標準溶液リドカイン(標準品、岩城製薬社製)、メタノール(和光純薬工業社製)及び内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)を用いて、リドカインを1、1.25、又は1.5g/l及び内標準(p−アミノ安息香酸メチル)を0.5g/lの割合で含有するメタノール溶液を調製して、標準溶液(被分析溶液)とした。【0036】(3)イソプロピルメチルフェノール標準溶液イソプロピルメチルフェノール(標準品、大阪化成社製)、メタノール(和光純薬工業社製)及び内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)を用いて、イソプロピルメチルフェノールを0.12、0.15、又は0.18g/l及び内標準(p−アミノ安息香酸メチル)を0.5g/lの割合で含有するメタノール溶液を調製して、標準溶液(被分析溶液)とした。【0037】(4)l−メントール標準溶液l−メントール(標準品、岩城製薬社製)、メタノール(和光純薬工業社製)及び内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)を用いて、l−メントールを0.4、0.5、又は0.6g/l及び内標準(p−アミノ安息香酸メチル)を0.5g/lの割合で含有するメタノール溶液を調製して、標準溶液(被分析溶液)とした。【0038】(5)dl−カンフル標準溶液dl−カンフル(標準品、エビス製薬社製)、メタノール(和光純薬工業社製)及び内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)を用いて、dl−カンフルを0.2、0.25、又は0.3g/l及び内標準(p−アミノ安息香酸メチル)を0.5g/lの割合で含有するメタノール溶液を調製して、標準溶液(被分析溶液)とした。【0039】<分析条件>ガスクロマトグラフ装置:GC−17A(島津製作所製)分離カラム:ワイドボアキャピラリーカラム(DB−1、J&W SCIENTIFIC社製)(液相)100%ジメチルポリシロキサン(内径)0.53mm(長さ)30m(液相膜厚)1.5μmキャリアーガス:ヘリウムガス、10ml/分被分析溶液注入方法:ダイレクト法被分析溶液注入量:0.5μlカラム温度条件:初期温度75℃として、試料注入後10℃/分で120℃まで昇温した後、30℃/分で最終温度300℃まで昇温した。検出器:水素炎イオン化検出器(島津製作所社製)分析時間:14分。【0040】<分析結果>上記各々の標準溶液を分析した結果、硝酸ミコナゾール(保持時間:約11.8分)、リドカイン(保持時間:約8.3分)、イソプロピルメチルフェノール(保持時間:約5.7分)、l−メントール(保持時間:約4.3分)、及びdl−カンフル(保持時間:約3.9分)のピークが検出された。なお、内標準として用いたp−アミノ安息香酸メチルのピークの保持時間は約6.5分であった。【0041】また、図1〜5に示すように、各々の成分において、内標準のピーク面積(0.5g/l p−アミノ安息香酸メチルのピーク面積)に対する各々の成分の面積の比率は、その濃度に依存(比例)していることが確認された。【0042】以上の結果から、本発明の分析方法によれば、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを一分析系で迅速かつ簡便に定性及び定量分析できることが明らかとなった。【0043】実施例2上記実施例1で得られた検量線(図1−5)を利用して、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを含有する水虫治療剤(エアゾールスプレー)を以下に記載するガスクロマトグラフの条件で定量分析(n=5)を行った。【0044】<被分析溶液の作成>含有成分既知水虫治療剤(エアゾールスプレー)(1重量%硝酸ミコナゾール、2.5重量%リドカイン、0.3重量%イソプロピルメチルフェノール、1重量%l−メントール及び0.5重量%dl−カンフル含有)12gが入っている缶に穴を開け、ガスを抜いた。ガス抜き完了後、ニッパーで缶の上部を切り開け、缶中の溶液を取り出し、これをメタノールで120mlにメスアップした。斯くして得られた溶液10mlと内標準溶液(p−アミノ安息香酸メチル(和光純薬工業社製)のメタノール溶液、0.001g/ml)10mlを混和して被分析溶液とした。【0045】<分析条件>ガスクロマトグラフ装置:GC−17A(島津製作所製)分離カラム:ワイドボアキャピラリーカラム(DB−1、J&W SCIENTIFIC社製)(液相)100%ジメチルポリシロキサン(内径)0.53mm(長さ)30m(液相膜厚)1.5μmキャリアーガス:ヘリウムガス、10ml/分被分析溶液注入方法:ダイレクト法被分析溶液注入量:0.5μlカラム温度条件:初期温度75℃として試料注入後30℃/分で、最終温度を300℃まで昇温した。検出器:水素炎イオン化検出器(島津製作所社製)分析時間:14分。【0046】<分析結果>上記被分析溶液を分析して得られたガスクロマトグラフを図6示す。また、各成分のピーク面積に基づいて、上記実施例1で得られた検量線(図1−5)から被分析溶液中に含まれる各成分含量を求め、分析対象水虫治療薬中に含まれる各成分含量を算出した。その結果、該水虫治療薬中に各成分濃度は、硝酸ミコナゾール0.994重量%、リドカイン2.493重量%、イソプロピルメチルフェノール0.295重量%、l−メントール0.993重量%及びdl−カンフル0.485重量%であることが算出された。この結果は、本分析に用いた水虫治療薬中に含まれる上記成分の既知含有量とよく一致しており、本分析方法は上記成分を高精度で定量分析できることが明らかとなった。【0047】以上の結果から、本発明の分析方法によれば、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを含有する製品中の該成分を一分析系で迅速かつ簡便に、しかも高い精度で定量分析できることが確認された。【0048】【発明の効果】本発明の分析方法によれば、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルを一分析系で高い精度で分析できる。故に、従来の方法に比して迅速かつ簡便な方法で上記成分を定性及び定量することが可能となり、併せて分析コストを低減するも可能となる。【0049】更に、本発明の分析キットによれば、硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルの定性・定量分析を一分析系で高精度で簡便に実施できるので、該成分の分析を簡便に実施する手段を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例1において、硝酸ミコナゾールの濃度と、内標準のピーク面積に対する該成分の面積の比率との関係を示す図である。【図2】 実施例1において、リドカインの濃度と、内標準のピーク面積に対する該成分の面積の比率との関係を示す図である。【図3】 実施例1において、イソプロピルメチルフェノールの濃度と、内標準のピーク面積に対する該成分の面積の比率との関係を示す図である。【図4】 実施例1において、l−メントールの濃度と、内標準のピーク面積に対する該成分の面積の比率との関係を示す図である。【図5】 実施例1において、dl−カンフルの濃度と、内標準のピーク面積に対する該成分の面積の比率との関係を示す図である。【図6】 実施例2において、被分析溶液の分析で得られたガスクロマトグラフを示す。 硝酸ミコナゾール、リドカイン、イソプロピルメチルフェノール、l−メントール及びdl−カンフルをガスクロマトグラフ法により分析する方法であって、液相がジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、又はジフェニルジメチルポリシロキサンである分離カラムを使用し、該分離カラムの初期温度が0〜85℃、最終温度が300〜370℃であり、該分離カラムを、初期温度から10〜30℃/分の速度で最終温度まで昇温する工程を含むことを特徴とする分析方法。 前記昇温する工程が、分離カラムを、初期温度から10〜20℃/分の速度で100〜150℃まで昇温した後、20〜30℃/分の速度で最終温度まで昇温することを特徴とする請求項1記載の分析方法。 液相がジメチルポリシロキサンである請求項1又は2に記載の分析方法。