タイトル: | 特許公報(B2)_トリアジン化合物およびこれを用いてなる有機電界発光素子 |
出願番号: | 2003077388 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 401/04,C09K 11/06,H01L 51/50 |
岩崎 克浩 金辻 糸 吉崎 浩樹 小山田 崇人 安達 千波矢 雀部 博之 JP 4745601 特許公報(B2) 20110520 2003077388 20030320 トリアジン化合物およびこれを用いてなる有機電界発光素子 広栄化学工業株式会社 000167646 中山 亨 100113000 坂元 徹 100151909 岩崎 克浩 金辻 糸 吉崎 浩樹 小山田 崇人 安達 千波矢 雀部 博之 20110810 C07D 401/04 20060101AFI20110721BHJP C09K 11/06 20060101ALI20110721BHJP H01L 51/50 20060101ALI20110721BHJP JPC07D401/04C09K11/06 645H05B33/14 AH05B33/22 B C07D 401/04 C09K 11/06 H01L 51/50 CAPLUS/REGISTRY(STN) 特開2002−100476(JP,A) 特開2000−026436(JP,A) 米国特許第03294798(US,A) 特開2002−332567(JP,A) 特開平09−188875(JP,A) 特開2002−158091(JP,A) 特開2004−221063(JP,A) 特開2002−212170(JP,A) 特開平07−094807(JP,A) The synthesis of certain substituted 1,3,5-triazines containing the ferroin group,Journal of the American Chemical Society,1959年,Vol.81, ,p.905-6 Clive Metcalfe, Sharon Spey, Harry Adams and Jim A. Thomas,Extended terpyridyl and triazine complexes of d6-metal centres,Journal of the Chemical Society,Dalton Transactions,2002年,vol.24,p4732-4739 Matthew I. J. Polson, Nicholas J. Taylor and Garry S. Hanan,Facile syntheses of tridentate ligands for room-temperature luminescence in ruthenium complexes,Chem. Commun,2002年,vol.13,p1356-1357 6 2004284971 20041014 15 20060301 瀬下 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は新規なトリアジン化合物、その製造方法および該化合物を電子注入化合物とする有機発光素子に関する。【0002】【従来の技術】近年、情報機器の多様化に伴って、Cathode Ray Tube(いわゆるCRT)よりも低消費電力で空間占有面積の小さい平面型表示素子に関するニーズが高くなり、特に自発光型で表示が鮮明、かつエネルギー変換効率の高い有機EL素子に対する注目が集まり、様々な材料並びに有機発光素子の提案がなされてきた。【0003】有機発光素子、特に有機電界素子(有機EL素子)は、通常、ガラスやプラスチックなどの透明基板上に陽極を設け、その上に正孔輸送、発光、電子輸送(電子注入)のための各種の有機薄膜層が積層され、更にその上に陰極が設けられた構造となっている。かかる有機電界素子の両電極間に電圧を印加すると、正孔輸送、発光、電子輸送の各層に電流が流れ、発光層において正孔と電子の再結合により発光現象が生じ、発生した光のうち透明電極及び透明基板を厚さ方向に透過した光が外部に照射されて、10V前後の電圧の印加により100〜10000カンデラ/m2といった極めて高輝度の発光が得られることから、次世代ディスプレイ素子の有力候補として注目されている。【0004】このような有機電界発光素子において、従来型の殆どの有機EL素子においては発生した光の一部のみが透明な陽極側より照射されるが、その割合は、素子内の屈折率nに対し理論的には1/(2n2)であり、例えば屈折率nが1.5の場合、外部照射の割合はわずか22%程度であって、残りの78%近くは有機積層内やガラス基板を導波して金属面で吸収されるか、基板の端から放出され、極めて発光効率の悪いものである。【0005】かかる発光効率を向上させるために、陽極、陰極ともにIndium−Tin−Oxide(以下「ITO」と略記する。)からなる透明電極を用いた例も報告され、更には、ITO電極を陽極とし、ビス-(α−ナフチルフェニルアミノ)ビフェニル(NPD)を正孔輸送層、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(いわゆるAlq3)を電子輸送性発光層とし、その上に陰極としてITO電極を製膜した透明有機電界素子も報告されている。【0006】しかし、かかる素子においてはまだ発光効率の改善が十分でなく、更なる発光効率向上のために、上記の素子において、Alq3を発光層とし、該Alq3発光層とITO電極との間に下記式で示される2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1、10−フェナンスロリン(バソクプロイン、以下、BCPと略記する)を電子輸送層とした有機薄膜層を形成させてなる透明有機電界素子も報告されている。(特許文献1参照)【0007】【特許文献1】特開2002-332567号公報【0008】しかしながら、陽極および陰極の両電極を光透過度の高い透明ITO電極とし、Alq3を電子輸送性発光層とすることにより素子内で発生した光を効率よく素子外部に取り出し、さらにはBCPを電子輸送層として設けた場合には、発光効率をより向上させることはできるが、BCPは結晶化し易いために素子としての透明性が失われたリ、結晶化により電流が流れにくくなるため、結果として素子寿命が短くなるという問題があり、その改善が求められていた。【0009】【発明が解決しようとする課題】このようなことから、本発明者らは、透過率を損なうことなく発光を取り出すことが可能な透明な陽極および陰極、とりわけ両電極を光透過度の高いITO電極として用いた有機EL素子において、上記のAlq3を電子輸送性発光層とする場合およびBCPを電子輸送層として使用する場合のそれぞれの問題点を同時に解決し、発光効率としてはAlq3を発光層とする場合よりも高くなり、しかも、電子輸送層における電子注入材料として使用してもBCPのように結晶化を生じることもなく、素子寿命に対する影響も少なく、電子輸送層として良好な製膜性を有する化合物を開発するとともに、該化合物を電子輸送層における電子注入化合物として用いた有機電界素子を開発すべく検討を行い、本発明に至った。【0010】【課題を解決するための手段】本発明の第1は、下記一般式(1)[式中、nは0ないし1であり、R1およびR2は同一または異なって、下記式【化1】(式中、環Aは、Xが炭素原子または窒素原子、mが4ないし5の整数である5員環または6員環からなる芳香環を示す。R4、R5は水素原子または環Aを構成する炭素原子に結合したアルキル基またはアルコキシル基を、wおよびkはそれぞれ0ないし1を示す。また隣接して結合しているR4およびR5の末端同士が結合して、環Aを構成する2個の炭素原子を共有する5員環または6員環を形成していてもよい。R6は置換されていてもよいトリアジニル基を示す)を示し、R3は前記R1またはR2と同一であるか、n=1である場合には置換されていてもよいトリアジニル基を示す。]で表されるトリアジン化合物を、本発明の第2はその製造方法を、本発明の第3は該トリアジン化合物を有効成分とする有機発光素子を提供するものである。【0011】【発明の実施の形態】前記一般式(1)で示される本発明のトリアジン化合物において、環Aとしてはフェニル環、ピリジン環、シクロペンタジエン環が、アルキル基としてはメチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、sec−またはt−ブチルなどが、アルコキシル基としてはメトキシ、エトキシ、n−またはiso−プロポキシ、n−、sec−またはt−ブトキシなどがそれぞれ例示される。また、隣接して結合しているR4およびR5の末端同士が結合して、環Aを構成する2個の炭素原子を共有する5員環または6員環を形成している場合の例としては環Aをあわせた全体としてキノリン環が挙げられる。このような本発明のトリアジン化合物として、具体的には以下に示す化合物が例示される。【0012】(化合物1)【0013】(化合物2)【0014】(化合物3)【0015】(化合物4)【0016】(化合物5)【0017】(化合物6)【0018】(化合物7)【0019】(化合物8)【0020】(化合物9)【0021】(化合物10)【0022】本発明の上記一般式(1)で示されるトリアジン化合物は、例えば一般式(4)で示されるシアノ化合物を塩基の存在下に反応させることにより容易に製造することができ、この方法は前記一般式(4)において、w=0である原料化合物を使用し、前記一般式(1)においてn=0であるトリアジン化合物を製造する方法として特に好適である。【0023】ここで、塩基としては水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物や、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、塩化アンモニウムなどのハロゲン化アンモニウムなどが好適に使用される。【0024】塩基の使用量は反応条件によっても異なるが、一般には原料シアノ化合物に対して0.01〜2モル倍の範囲であり、反応温度は原料化合物や溶媒を使用する場合にはその溶媒の種類などによっても異なり、それぞれの条件に応じて最適の温度が設定される。【0025】尚、アルカリ金属アルコキシド特に、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどを使用する場合には対応するアルコール溶液として使用される。その他、反応溶媒として反応に不活性な有機溶媒を適宜用いてもよい。【0026】尚、前記一般式(1)において、n=1であるトリアジン化合物を製造する場合には、例えば、2−メチル−4−R1−6−R2−s−トリアジン化合物と、置換基R3に対応するアルデヒド化合物とを、例えば濃硫酸、酢酸などの存在下に脱水反応させることにより製造することができる。【0027】かかる一般式(1)で示されるトリアジン化合物は有機発光素子、特に有機電界素子として有用である。次に、本発明のトリアジン化合物を用いた有機電界素子について説明するが、本発明の有機電界素子の構造それ自体は特に限定されず、本発明のトリアジン化合物を電子注入材料として使用する限りにおいて、従来より公知の各種の有機電界素子に適用される。【0028】図1は、本発明の有機電界素子の一実施形態を示す概念図である。この例で示す有機電界素子は、透明基板(1)上に、透明な陽極(2a)、有機化合物からなる正孔輸送層(3)、有機化合物からなる発光層(4)、有機化合物からなる電子輸送層(5)および透明な陰極(2b)が順次積層された構造からなっている。【0029】ここで、透明基板としては通常ガラス、透明プラスチックなどが使用される。また、この例においては、陽極(2a)としては厚さ110nm程度に積層された導電性材料であるITOが、正孔輸送層(3)として50nm程度の厚さに成膜したα―NPDを含む有機化合物層が、発光層(4)として50nm程度の厚さに成膜したAlq3を含む有機化合物層が、電子輸送層(5)として10nm程度の厚さに成膜した本発明の一般式(1)で示されるトリアジン化合物を含む有機化合物層がそれぞれ形成され、陰極(2b)として10nm程度の厚さに成膜したITOが積層されている。【0030】尚、正孔輸送層および発光層として使用される化合物は前記例示化合物に限られず、従来から当該分野において使用されている各種の化合物が適宜使用され、また、各層にはそれぞれの目的に照らして当該化合物以外の他の有機化合物が含まれていてもよい。同様に、上記各層の厚みについても、上記に限定されず、適宜最適の厚みとなるように設定される。【0031】【発明の効果】本願発明に特定する前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物を、陽極および陰極の両電極が導電性材料である透明ITO電極からなり、電子輸送層を構成する電子注入材料(電子注入化合物)として用いた有機電界素子は、発光効率としてはAlq3を発光層とする場合よりも高くなり、しかも、電子輸送層における電子注入材料として使用してもBCPのように結晶化を生じることもなく、素子寿命に対する影響も少ないなどの優れた効果を奏する。【0032】【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものでないことはいうまでもない。【0033】尚、以下の実施例において、発光能の測定にはアジレント・テクノロジー・インク社製のAgilent 4155C semiconductor parameter analyzerおよびニューポート社製のMulti-function optical meterを使用した。【0034】実施例12,4,6−トリ(5−メチル−3−ピリジル)−s−トリアジン(T5M3PyTZ)(化合物1)の合成温度計を備えたガラス製フラスコに、3−シアノ−5−メチルピリジン23.7g(0.2mol)と水素化ナトリウム0.48g(0.02mol)を仕込み、窒素気流下に撹拌しながら130℃に昇温した。6時間撹拌した後、80℃に冷却し、撹拌下にメタノール10gを加えた。この懸濁液を40℃に冷却し、撹拌下に水10gを加えて未反応の水素化ナトリウムを分解した。この懸濁液を濾過して得た固体に、水100gとメタノール40gを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、得られた固体をエバポレーターを用いて乾燥し、T5M3PyTZの淡黄色固体を2.87g(収率12.0%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:2.51(s,9H)、8.67(s,3H)、8.67(s,3H),8.68(s,3H)、9.67(s,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:18.5、130.6、133.2、136.4、147.9、154.0、170.6LCMS(ESI)m/z:354[M+]λmax(CHCl3):256nm、289nmMelting Point:276℃【0035】実施例22,4,6−トリ(6−メチル−3−ピリジル)−s−トリアジン(T6M3PyTZ)(化合物2)の合成1lガラス製反応器に、2−メチル−5−シアノピリジン118.14g、メタノール295.4gを仕込み、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液289.46gを4〜12℃の間にて1.25時間かけ滴下したのち、77時間加熱還流させた。反応液の濃縮物に、水1050gを加え、室温で1時間撹拌した。濾過後、濾残にトルエン64gを加え、室温で1時間撹拌した。濾過後、濾残をトルエンで洗浄し減圧乾燥することにより、T6M3PyTZ5.24g(収率4.4%)を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:2.71(s,9H)、7.38(d,J=7.9Hz,3H)、8.83(d,J=7.8Hz,3H)、9.78(s,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:24.8、123.2、128.5、136.5、150.1、163.0、170.5DIMS(EI)m/z:354[M+]λmax(CHCl3):287nmMelting Point:281−283℃【0036】実施例32,4,6−トリ(2−ピリジル)−s−トリアジン(T2PyTZ)(化合物3)の合成温度計を備えたガラス製フラスコに、2−シアノピリジン26.0g(0.25mol)と塩化アンモニウム1.34g(0.025mol)とエチレングリコール26gを仕込み、155℃から165℃で12時間撹拌した。この懸濁液を室温に冷却した後、濾過して得た固体に、107gの10%硫酸水溶液と活性炭18gを加えて室温で1時間撹拌した。これを濾過して活性炭を除いた後、アルカリで中和して析出した結晶を濾過してエバポレーターを用いて乾燥し、目的とするT2PyTZの淡黄色固体を17.13g(収率65.4%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:7.57(m,3H)、7.99(m,3H)、8.88(d,J=7.9Hz,3H)、8.97(d,J=4.4Hz,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:125.2、126.7、137.3、150.4、152.9、172.0DIMS(EI)m/z:312[M+]λmax(CHCl3):249、282nmMelting Point:246℃【0037】実施例42,4,6−トリ(2−メトキシ−4−ピリジル)−s−トリアジン(TMPyTZ)(化合物4)の合成50mlガラス製反応器に、2−メトキシ−4−シアノピリジン4.02g、メタノール10.1gを仕込み、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液8.87gを室温にて1.5時間かけ滴下したのち、17時間加熱還流させた。濾過後、濾残をメタノールで洗浄した。得られた固体に、水13.0g、メタノール3.4gを加え、室温で1時間撹拌した。濾過後、濾残を水で洗浄し乾燥することで、固体1.02gを得た。この固体に、メタノール12.0gを加え、室温で1時間撹拌した。濾過後、濾残を減圧乾燥することにより、目的とするTMPyTZ0.41g(収率10.2%)を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:4.06(s,9H)、7.99(s,3H)、8.07(m,3H)、8.41(d,J=5.3Hz,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:53.9、110.5、115.2、145.3、148.0、165.2、171.0DIMS(EI)m/z:402[M+]元素分析 計算値:C,62.7;H,4.51;N,20.9測定値:C,62.9;H,4.29;N,21.1λmax(CHCl3):249nm、326nmMelting Point:259℃【0038】実施例52,4,6−トリ(2−エトキシ−4−ピリジル)−s−トリアジン(TEPyTZ)(化合物5)の合成200mlガラス製反応器に、2−クロロ−4−シアノピリジン10.39g、エタノール41.0gを仕込み、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液43.46gを室温にて1時間かけ滴下した。6時間加熱還流したのち、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液15.43gを追加し、4時間加熱還流した。反応液を濾過し、濾残をエタノールで洗浄した。得られた固体に、水50gを加え室温で30分撹拌したのち、濾過を行い、濾残を水で洗浄した。この操作を2度行った。得られた固体をクロロホルム130gに溶かし、水20gを加え撹拌した。分液後下層を濃縮することにより、TEPyTZ1.16g(収率10.4%)を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:1.48(t,J=7.1Hz,9H)、4.47(q,J=7.1Hz,6H)、7.99(s,3H)、8.06(m,3H)、8.39(d,J=5.3Hz,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:14.7、62.2、110.7、115.1、145.3、148.0、165.0、171.0DIMS(EI)m/z:444[M+]λmax(CHCl3):327nm、249nmMelting Point:182−184℃【0039】実施例62,4,6−トリ(2−tert−ブトキシ−4−ピリジル)−s−トリアジン(TBPyTZ)(化合物6)の合成300mlガラス製反応器に、カリウムtert−ブトキシド28.05g、テトラヒドロフラン110.9gを仕込み、撹拌しながら2−クロロ−4−シアノピリジン13.85gを室温にて加え、18時間加熱還流した。反応液の濃縮物に、水263gを加え、室温で2時間撹拌し、濾過後、濾残を水で洗浄した。得られた固体にメタノール178gを加え、室温で2時間撹拌し、濾過後、濾残をメタノールで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥することにより、TBPyTZ0.79g(収率4.5%)を得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:1.67(s,27H)、7.92(s,3H)、8.03(m,3H)、8.37(d,J=5.3Hz,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:28.7、80.3、112.7、114.6、145.1、147.5、165.0、171.2DIMS(EI)m/z:528[M+]λmax(CHCl3):329nm、250nmMelting Point:191℃【0040】実施例72,4,6−トリ(2−キノリル)−s−トリアジン(TQTZ)(化合物7)の合成30mlガラス製反応器に、2−キノリンカルボニトリル2.00g、メタノール5.0gおよび28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.76gを仕込み、窒素雰囲気下19時間加熱還流させた。反応液の濃縮物に、ノルマルヘキサン52gを加え、室温で40分間撹拌した。濾過後、濾液にメタノールを加え撹拌したのち分液した。更に、下層にノルマルヘキサン15gを加え、抽出、分液を行った。ノルマルヘキサン層を集め濃縮し、固体0.75gを得た。得られた固体に、メタノール10g、無水酢酸0.5gを加え、室温で2日間撹拌した。反応液の濃縮物に水を加えたのち、48%水酸化ナトリウム水溶液を滴下しpH8.8とした。濾過後、濾残を水で洗浄し、得られた固体をメタノール10gに溶解させた。しばらくして析出した結晶を濾過した。濾液から再度析出した結晶とを合わせ乾燥することにより、目的とするTQTZを0.15g(収率7.5%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:7.70(m,3H)、7.86(m,3H)、7.97(d,J=8.0Hz,3H)、8.50(d,J=8.6Hz,3H)、8.53(d,J=8.5Hz,3H)、9.06(d,J=8.5Hz,3H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:121.5、127.6、128.5、129.5、130.2、131.2、137.4、148.4、152.9、172.5DIMS(EI)m/z:462[M+]元素分析 計算値:C,77.9;H,3.92;N,18.2測定値:C,77.1;H,3.8;N,17.9λmax(CHCl3):265nm、319nmMelting Point:278−281℃【0041】実施例82,2’−(p−フェニレンジビニレン)ビス(4,6−ジフェニル−s−トリアジン)(PVBDPTZ)(化合物8)の合成温度計を備えたガラス製フラスコに、2−メチル−4,6−ジフェニル−s−トリアジン6.0g(24.25mmol)、テレフタルアルデヒド1.63g(12.15mmol)および濃硫酸60gを仕込み、60℃で4.5日間撹拌した。その後反応液を水480g中に加え、懸濁液を濾過して得た固体に、180gのメタノールを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過して得た固体に、180gのクロロホルムを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、得られた固体をエバポレーターを用いて乾燥した後、355℃、20〜48MPaで昇華精製し、目的とするPVBDPTZの黄色固体を5.76g(収率80.0%)得た。1H−NMR(400MHz,CF3COOD,CDCl3,ppm)δ:7.58(d,J=15.4,2H)、7.75(dd,J=7.7,4H)、7.90(dd,J=7.5,8H)、7.98(s,4H)、8.68(d,J=7.3,8H)、8.93(d,J=15.4,2H)13C−NMR(100MHz,CF3COOD,CDCl3,ppm)δ:111.0、113.8、116.6、118.6、119.5、130.8、131.5、131.7、138.2、152.0、165.3、170.6DIMS(EI)m/z:592[M+]元素分析 計算値:C,81.1;H,4.73;N,14.2測定値:C,80.8;H,4.74;N,14.2λmax(CHCl3):270nm、368nmMelting Point:300℃以上【0042】実施例92,2’−(1,2−エチレン)ビス(4,6−ジフェニル−s−トリアジン)(EBDPTZ)(化合物9)の合成温度計を備えたガラス製フラスコに、4,6−ジフェニル−s−トリアジン 2−アルデヒド3.14g(12.0mmol)、2−メチル−4,6−ジフェニル−s−トリアジン3.56g(14.4mmol)および酢酸14.4gを仕込み、環流下4時間撹拌した。これに水20gを加え、この懸濁液を濾過して得た固体に、50gのメタノールを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過して得た固体に30gのクロロホルムを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過して得た固体に再び30gのクロロホルムを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、得られた固体をエバポレーターを用いて乾燥し、目的とするEBDPTZの白色固体を3.36g(収率57.0%)得た。1H−NMR(400MHz,CF3COOD,CDCl3,ppm)δ:7.80(dd,J=7.9,8H)、7.97(dd,J=7.5,4H)、8.74(d,J=7.5,8H)、8.94(s,2H)13C−NMR(100MHz,CF3COOD,CDCl3,ppm)δ:123.0、130.7、131.5、136.3、138.7、163.3、171.3DIMS(EI)m/z:490[M+]元素分析 計算値:C,78.4;H,4.49;N,17.1測定値:C,78.3;H,4.75;N,17.1λmax(CHCl3):277nmMelting Point:300℃以上【0043】実施例102−[2−(4−キノリル)ビニル]−4,6−ジフェニル−s−トリアジン(4QDPTZ)(化合物10)の合成温度計を備えたガラス製フラスコに、4,6−ジフェニル−s−トリアジン 2−アルデヒド5.23g(20.0mmol)、4−メチルキノリン3.44g(24.0mmol)および酢酸24.0gを仕込み、135℃で20時間撹拌した。これにメタノール40gを加え、この懸濁液を濾過して得た固体に、60gのメタノールを加え、室温で1時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、得られた固体をエバポレーターを用いて乾燥し、目的とする4QDPTZの淡黄色固体を1.18g(収率15.0%)得た。1H−NMR(400MHz,CDCl3,ppm)δ:7.42(d,J=15.7Hz,1H)、7.5−7.6(m,6H)、7.65(dd,J=8.1Hz,1H)、7.67(d,J=4.5Hz,1H)、7.77(dd,J=8.1Hz,1H)、8.17(d,J=8.1Hz,1H)、8.31(d,J=8.1Hz,1H)、8.70(d,J=6.8Hz,4H)、8.95(d,J=4.5Hz,1H)、9.05(d,J=15.7Hz,1H)13C−NMR(100MHz,CDCl3,ppm)δ:118.1、123.5、126.2、127.1、128.6、128.9、129.6、130.2、132.6、132.8、135.5、135.8、140.9、148.8、150.2、171.0、171.6LCMS(ESI)m/z:386[M+]λmax(CHCl3):273nm、326nmMelting Point:176℃【0044】実施例11ITO薄膜がコートされているガラス基板(三容真空工業株式会社製)の上に、真空蒸着法によりα−NPDを厚さ50nmになるように積層した。さらに、その上に発光層材料として厚さ50nmのAlq3層を形成し、その上に電子輸送層として実施例1で得たT5M3PyTZ(化合物1)を10nm蒸着し、最後に陰極としてITO層を100nm蒸着して素子を完成させた。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.4%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、T5M3PyTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0045】実施例12実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、T6M3PyTZ(化合物2)を用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.36%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、T6M3PyTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0046】実施例13実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、TMPyTZ(化合物4)を用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.34%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、TMPyTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0047】実施例14実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、TEPyTZ(化合物5)を用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.25%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、TEPyTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0048】実施例15実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、TBPyTZ(化合物6)を用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.36%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、TBPyTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0049】実施例16実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、PVBDPTZ(化合物8)を用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ良好な発光特性が得られ、最大外部量子効率0.06%が観測された。また、この素子を2週間室内に放置しても、PVBDPTZ層の結晶化による濁りは見られず、素子の透明性に変化は見られなかった。【0050】比較例1T5M3PyTZ層を電子輸送層として使用しない以外は実施例11と同様にして素子を得た。この素子を2週間室内に放置しても、素子の透明性に変化は見られなかったが、このデバイスに電圧を印加したところ、最大外部量子効率は0.03%であった。【0051】比較例2実施例11において、T5M3PyTZ(化合物1)の代わりに、BCPを用いる以外は、実施例11と同様にして素子を得た。このデバイスに電圧を印加したところ、最大外部量子効率は0.30%であったが、この素子を室内に放置したところ、2日後にはBCPの結晶化による濁りが見られ、素子の透明性および発光能が損なわれていた。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の有機電界素子の一実施態様を示す概念図である。【符号の説明】1:透明基板2a:陽極3:正孔輸送層4:発光層5:電子輸送層2b:陰極 下記一般式(式中、R4は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、R5はアルキル基またはアルコキシ基を示す。)で示されるトリアジン化合物。 下記一般式(式中、R4は水素原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、R5はアルキル基またはアルコキシ基を示す。)で示されるシアノ化合物を塩基の存在下に反応させることを特徴とする請求項1記載のトリアジン化合物の製造方法。 電子注入化合物として、請求項1に記載のトリアジン化合物を有効成分とする有機発光素子。 有機発光素子が有機電界発光素子である請求項3記載の有機発光素子。 透明な陽極および陰極よりなる一対の透明電極間に有機化合物からなる電子輸送層が挟持されてなる有機電界発光素子において、該電子輸送層における電子注入化合物が請求項1記載のトリアジン化合物であることを特徴とする有機電界発光素子。 透明な陽極および陰極が酸化インジウム錫からなる請求項5記載の有機電界発光素子。