タイトル: | 特許公報(B2)_動脈血栓症の危険因子としての第VII因子−活性プロテアーゼ(FSAP)のマールブルクI突然変異体 |
出願番号: | 2003073573 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12Q 1/37,C12Q 1/68,C12N 15/09,G01N 21/78,G01N 33/53,G01N 33/543,G01N 33/573,G01N 33/577 |
シュテファン・キーヒル ヨハン・ヴィルライト クリスティアン・ヨーゼフ・ヴィーダーマン ユアゲン・レーミシュ トーマス・ヴァイマー アネッテ・フォイスナー ハンス−アルノルト・シュテーア フォルカー・デルサム JP 4348097 特許公報(B2) 20090724 2003073573 20030318 動脈血栓症の危険因子としての第VII因子−活性プロテアーゼ(FSAP)のマールブルクI突然変異体 ツェー・エス・エル・ベーリング・ゲー・エム・ベー・ハー 597070264 高木 千嘉 100091731 西村 公佑 100080355 杉本 博司 100110593 シュテファン・キーヒル ヨハン・ヴィルライト クリスティアン・ヨーゼフ・ヴィーダーマン ユアゲン・レーミシュ トーマス・ヴァイマー アネッテ・フォイスナー ハンス−アルノルト・シュテーア フォルカー・デルサム DE 10212246.6 20020319 DE 10238429.0 20020816 20091021 C12Q 1/37 20060101AFI20091001BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20091001BHJP C12N 15/09 20060101ALI20091001BHJP G01N 21/78 20060101ALI20091001BHJP G01N 33/53 20060101ALI20091001BHJP G01N 33/543 20060101ALI20091001BHJP G01N 33/573 20060101ALI20091001BHJP G01N 33/577 20060101ALI20091001BHJP JPC12Q1/37C12Q1/68 AC12N15/00 AG01N21/78 CG01N33/53 DG01N33/53 MG01N33/543 575G01N33/573 AG01N33/577 B C12N 15/00 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq PubMed JSTPlus(JDreamII) 特開2001−029098(JP,A) Blood Coagulation and Fibrinolysis,2001年,Vol.12,p.375-383 大阪医学,1998年,Vol.32,p.11-15 薬局,1989年,Vol.40,p.1-5 FEBS Letters,1999年,Vol.456,p.290-294 Biol.Chem.,2002年 7月,Vol.383,p.1119-1124 Blood Coagulation and Fibrinolysis,2002年 7月,Vol.13,p.433-441 Circulation,2003年 2月,Vol.107,p.667-670 14 2003304873 20031028 13 20060224 松原 寛子 【0001】この発明は、第VII因子−活性プロテアーゼ(FSAP)の突然変異体、および、アテローム性動脈硬化症の発生と進行の指標としてのFSAPの血漿レベル増加、そして、その結果として起こる病態生理学的後遺症に関する。【0002】アテローム性動脈硬化症とは、なかでも、動脈の硬化、肥厚化および弾力の減失と関連し、心筋梗塞および脳梗塞、そして、他の疾患の主な原因と考えられる動脈の病理学的変化である。非常に多くの外生および内生要因がアテローム性動脈硬化症の開始および進行の原因となると思われている、例えば、高血圧、高脂血症、糖尿病、毒素、ニコチン、過剰アルコール消費、そして、炎症などである。これらの影響は、危険因子とされる。しかし、近年の一層の研究および改良分析法により、アテローム性動脈硬化のための更なる危険因子が発見された。【0003】危険因子は、現場の専門家の中で周知になったBruneck研究などの疫学研究で調査されている。Bruneck(イタリア)の住民1000人が、1990年のこの研究のために集められた。頸動脈の超音波検査および数多くの血液パラメータの分析、および被験者への問診は、アテローム性動脈硬化症の発生およびその進行についての更なる追跡調査のための幅広いデータベースの確立を可能にした。これらの検査は同じ被験者について続けられ、5年間隔で分析された。アテローム性動脈硬化症の発生およびその進行のモデルは、そこから引き出された。この研究の第1の結果として、アテローム性動脈硬化症の発生と周知の従来の危険因子(例えば上述した高脂血症および他の要因)との間の関連が発見された。しかし、アテローム硬化性プラークが、血管が最高40%塞がれる程度まで付着する場合、他の危険因子が重要になって、アテローム性動脈硬化および血管閉塞の更なる進行に有意に影響する可能性がある。これらの要因は、特に止血に介在する血漿タンパク質を含む。凝固−抑制ポテンシャルの減少は、これ(例えばアンチトロンビンまたはプロテインCレベルの減少または他のいわゆるAPC耐性(活性プロテインC))に寄与する。したがって、線維素溶解ポテンシャルの減少は、血管閉塞の進行に対する決定的な影響を有することができ、例えば血液中のリポタンパク質(a)のレベルが増えるときに観察される。【0004】現在までに、静脈閉塞性の疾患の危険因子(例えばAPC耐性(FVライデン))が特に確認された。そして、それは、APC耐性のない被験者と比較して、この突然変異のヘテロ接合体において“8”のいわゆるオッズ比、すなわち、危険率増加の尺度を有する。他方、動脈の領域においては、この危険因子は、わずか約“2”のオッズ比を有するだけである。【0005】したがって、Bruneck研究の被験者から入手可能な血漿試料およびDNAは、アテローム性動脈硬化症に対する他の危険因子の存在下でもう一度調査され、最近見出された第VII凝固因子−活性プロテアーゼ(=FSAP)の突然変異体が特に注目され、今後これをFSAPマールブルクI突然変異体と称する。【0006】ドイツ特許出願199 03 693.4は、血漿から分離されることができ、そして、第VII凝固因子を活性化することが可能であるプロテアーゼを開示している。このプロテアーゼは、また、第VII因子−活性プロテアーゼ(FSAP)(または、プラズマヒアルロン酸−結合(セリン)プロテアーゼに対応して、PHBPもしくはPHBSPとも)とも称する。したがって、FSAPは、凝結促進性性質を有する。FSAP特有の性質は、プロウロキナーゼなどの単鎖プラスミノーゲン活性化因子または単鎖組織プラスミノーゲン活性化因子(sct−PA)を活性化することである。しかし、FSAPは、単独で、あるいはプラスミノーゲン活性化因子と組み合わされて、それ相応に使われてフィブリン溶解の助けとなることもできる。例えば血栓症の合併症の場合である。【0007】現在利用できて、ドイツ特許出願199 03 693.4、および199 26 531.3に記載されている試験系は、FSAPを検出するだけでなくてFSAP抗原を定量し、血漿中のその活性を測定することも可能にする。抗原測定は、ELISA試験により行われるのが好ましい。他方、活性は、原則として、プロウロキナーゼのウロキナーゼへの活性化および色素原性基質の変換を介して、続く吸光度差計測により、測定することができる。【0008】ドイツ特許出願100 52 319.6は、平均FSAP抗原含量を有するが、プロウロキナーゼ活性化のためのポテンシャルが著明に減少している被験者の5〜10%の確認を可能とするための、健康な血液ドナーの調査でのこれらの試験系の使用を開示する。これは多分、単離された個々のプロテアーゼに当てはまるので、対応するDNAが血液細胞から更なる調査のために分析された。驚くことに、この場合に、特に突然変異を確認することは、可能だった(一塩基変異多型;SNP;位置1601でのG/A)。この変更は、成熟したタンパク質の位置511、またはシグナルペプチドを含んでいるFSAP酵素前駆体のアミノ酸位置534のGly/Gluアミノ酸交換を、タンパク質にもたらす。このアミノ酸交換は、結果として、プロウロキナーゼをウロキナーゼに活性化する能力の損失、または少なくとも活性の相当な減少をFSAPにもたらす。上述した突然変異は、FSAPマールブルクIと呼ばれ、平均抗原含量を有するが、プロウロキナーゼからのウロキナーゼ形成における活性が減少している全ての試料において、現在までに見つけられている。【0009】この突然変異のための確立されたPCR試験は、Bruneck研究のために集められた被験者のDNAを調査するために用いられた。FSAPマールブルクI突然変異は分析された全ての試料の4.5%で見つかった。そして、これらの所見は、アテローム性動脈硬化症の進行および悪化を評価する研究の間に集められた個々のデータを用いて評価された。これにより、FSAPマールブルクI突然変異体が、動脈の血栓症およびアテローム性動脈硬化の悪化の危険因子を表すことが見いだされた。【0010】したがって、本発明は、第VII凝固因子−活性プロテアーゼ(=FSAP)の突然変異体から成るアテローム性動脈硬化症危険因子に関する。これに関連する特に重要な危険因子は、明らかに、シグナルペプチドを含んでいるFSAP酵素前駆体がアミノ酸位置534でGly/Glu交換を有する突然変異体である。【0011】シグナルペプチドを含んでいるFSAP酵素前駆体の対応するDNA配列は、この場合、ヌクレオチド位置1601でG/A塩基交換を示している。【0012】驚くべきことに、この突然変異は、特に動脈血栓症を進行させる危険率増加と相関する。“6.6”のオッズ比は、これ、すなわち、静脈領域のAPC耐性の危険率に肩を並べる動脈側の危険率のために算出された。この点について特に驚くべきなのは、この突然変異が、互いに独立した危険因子を表すこと、言い換えれば、すでに知られている全ての危険因子を考慮した後、アテローム性動脈硬化症の発生および進行にそれ自体著しく寄与することである。したがって、特にFSAPマールブルクI突然変異のこの認識および決定は、アテローム性動脈硬化によっておこる心臓病および血管疾患の診断および治療への期待を高めることができる。このように、アテローム性動脈硬化症は、例えば、狭心症に至り、その後にしばしば心筋梗塞になる。影響を受ける血管によって、その血管により供給される器官が巻き込まれる。頸動脈の場合、これが栄養および酸素が十分に供給されない脳に起こり、最悪のケースで、脳梗塞に至ることがある。しかし、アテローム性動脈硬化によって影響を受ける他の器官、および、血管閉塞疾患およびその結果としてなる後遺症の危険にさらされる被験者はまた、FSAPマールブルクI突然変異体の影響を受けている。これは結果として、腎臓、肝臓、肺の疾患、および他の疾患に関する問題となり得る。【0013】FSAPマールブルクI突然変異体を測定するための方法は、上述したドイツ特許出願、特にドイツ特許出願100 52 319.6に記載されている。これらの方法は、プロテアーゼ活性の測定、好ましくはFSAP抗原試験と合わされた測定、および、適当な試験系による突然変異した領域のヌクレオチド配列の決定を含む。【0014】したがって本発明のアテローム性動脈硬化症危険因子は、単鎖プラスミノーゲン活性化因子を活性化する能力を失った、またはこの能力が少なくとも正常に機能しないFSAP突然変異体として記載することができる。危険因子は、プロウロキナーゼを活性化する能力を失った、または、この能力が少なくとも低下したFSAP突然変異体によって、特に特徴づけられる。前記FSAP突然変異体の検出は、特に、動脈血栓症の発生の素因、並びに、アテローム性動脈硬化症または血栓症疾患およびそれらの後遺症(例えば動脈および静脈閉塞疾患)の発生の素因をも表す。アテローム性動脈硬化症または血栓症の器官機能制限の進行の素因は、狭心症、心筋梗塞または脳梗塞のよくある原因である。単鎖プラスミノーゲン活性化因子の活性化のためのポテンシャル、特にプロウロキナーゼの活性化のためのポテンシャルが減少することは、全てのケースであることである。この活性化ポテンシャルの減少は、血液において検出されるが、特に血漿で検出される。【0015】アテローム性動脈硬化症危険因子としてのFSAP突然変異体の大きな重要性を思えば、それを検出するための診断方法は非常に重要である。これは、ドナーの体液、特に血漿中の、減少したFSAP抗原濃度および/またはFSAPの減少した活性を測定することに基づいている。これは、前記体液中の、単鎖プラスミノーゲン活性化因子の活性化のためのポテンシャル(特に、プロウロキナーゼの活性化のためのポテンシャル)の測定を必要とする。【0016】特に信頼性が高い方法は、ヌクレオチド位置1601でG/A塩基交換を有するFSAP酵素前駆体遺伝子のヘテロ接合またはホモ接合変異体を、ドナーのゲノムDNAまたはそこから誘導されるmRNAの分析によって検出することからなる。【0017】しかし、タンパク質レベルで前記FSAP突然変異体を検出することも同様に可能である。特異的モノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用は、特にこれに適している。しかし、最終的には、組織上のまたは組織から抽出される溶液中の組織学的調査方法も利用できる。【0018】信頼性が高い診断方法は、FSAP突然変異体を含むかもしれない試料を固体支持体に固定した一次抗体とインキュベートすること、それから洗浄すること、続いて、二次の、ラベルされた抗体または野生型に対するラベルされた抗体を加え、再び洗浄すること、そして、二次抗体によって引き出されるシグナルを測定することから成る。【0019】別の方法は、FSAP突然変異体を含むかもしれない試料を、固体担体に固定された野生型に対する一次抗体とインキュベートし、それから洗浄し、その後、ラベルされた二次抗体を加え、再び洗浄し、二次抗体によって引き出されるシグナルを測定することから成る。【0020】利用できる更なる方法は、FSAP突然変異体の存在のために調査される試料が支持体に固定されており、そして、それがラベルされた抗体のみで、またはラベルしていない抗体との混合物で検出され、そしてラベルされた抗体を検出するものである。【0021】最後に、支持体に固定された抗体を、ラベルされた突然変異体の存在下で、FSAP突然変異体の存在のために調査される試料と混合し、そして、標識によって引き出されるシグナルを測定するこのも可能である。【0022】FSAP活性が、プロテアーゼを含有する試料を、プロテアーゼに対する抗体がすでに結合されている固体支持体上でインキュベートし、次に、結合していない支持体を洗い落とした後、その上に固定されたプロテアーゼをそれの活性の測定を可能にする試薬と共にインキュベートすることにより測定される診断方法もまた、役立つと判明した。【0023】免疫組織学のためのウエスタンブロット、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、または匹敵する方法において、突然変異体の検出のために抗体が使われる診断方法もまた、利用可能である。【0024】本発明の診断方法は、ELISA技術により行われるのが好ましい。これは、FSAPおよび/またはFSAP突然変異体が、マトリックス例えばマイクロタイタープレートに結合していることを必要とする。FSAPおよび/またはFSAP突然変異体の最適な提示のために、あらかじめプレートをモノクローナルまたはポリクローナル抗体、または、そのF(ab′)2フラグメントまたはFab′フラグメントでコーティングし、続いて、FSAPおよび/またはFSAP突然変異体をローディングすることもできる。FSAPおよび突然変異体が硫酸デキストラン、ヘパリンおよび類似物質と非常によく結合するので、これらの作用物質であらかじめコーティングすることもまた、FSAPを結合することにとって可能である。支持体またはミクロタイタープレートが洗われたあと、界面活性剤またはアルブミンなどの、この目的において公知の作用物質により適したところがブロックされ、洗浄され、次に、試験される溶液と共にインキュベートされる。FSAP抗体を含んでいる溶液は、血清、血漿および他の体液と同様、滑液、CSF、唾液、涙、精漿または他の細胞溶菌液であってもよい。【0025】支持体のインキュベーションおよび洗浄の後、適した検出試薬を使用する。IgG、IgM、IgA、IgEおよび関連したサブクラスなどのさまざまなクラスの抗体を検出するために必要な試験物質は、ラベルをつけられた試薬として市販されている。抗体価の検出および定量化は、抗ヒト抗体に結合した酵素による、色素原性基質の開裂によって誘発される吸光度を測定する光度測定によって行うことができる。しかし、検出のために使用される抗体に結合している蛍光基によって発せられる蛍光を測定することも可能である。最後に、検出のために使用される物質が、放射性基でラベルされている場合、放射分析計測によって検出を実行することも可能である。結合したヒト抗体を、ラベルされた抗ヒト免疫グロブリンまたはそのフラグメント、または、ラベルされたプロテインAまたはプロテインGとインキュベートし、そして、結合した、ラベルされた物質によって発されるシグナルを測定する診断方法は、多くの例において非常に適しているとすでに立証されている。【0026】同様に、酵素が結合した抗ヒト抗体またはそのフラグメントまたはプロテインAまたはプロテインGによる、適した色素原性基質または蛍光発生基質の開裂によって生じる吸光の光度測定による、抗体の検出もまた可能である。抗体が、蛍光基でラベルされた結合物質によって生じる蛍光の計測によって検出される診断方法もまた、適している。【0027】Bruneck研究研究テーマ:Bruneck研究は、頸動脈アテローム性動脈硬化症を、疫学的および病因学的に明らかにすることを目的とする見込み母集団研究である(1−6)。研究個体群は、性別と年齢により階層化された試料として1990年代に集められ、全て40から79歳までのBruneck住民であった(50歳代から80歳代まで各125人の女性と125人の男性、n=1000)。全体で93.6%が参加し、919のデータ収集が完了した。1990年夏から1995年の追跡調査の間(5年間1(Q1))に、62人の部分群が死亡し、その一方で、1人の被験者が移転した。残留する個体群の追跡調査は、96.5%完了していた(n=826)(1−3)。研究への参加前、研究についての説明を受けた後で、全ての参加者が同意した。1995年の追跡調査の一部として、DNAを得るために血液試料が採取された。満足できないPCR産物は16のケースにおいて得られた、すなわち、男性と女性810人が主要な分析のために残った。これらの被験者の内、1995年の夏から2000年までの間(5年間2(Q2))に、94人が死亡した。合計675人の被験者が、2000年に再び超音波検査を受けた(生存者の追跡調査比94.3%)(6)。【0028】病歴および検査:研究プロトコルは、心臓学的および神経病学的項目のためにより重要な臨床検査、および、潜在的血管危険因子に起因する、現在または過去の危険度に関する標準化されたアンケートを含んでいた(3−5)。喫煙者および喫煙経験者については、毎日喫煙したタバコの平均と、そして、年あたりのパック数が記録された。アルコール消費量は、1日当りのグラム数として定量化され、4つのカテゴリに分類された(3)。最高血圧および最低血圧は3回測定の平均値をとり、毎回≧10分休んだ後で測定した。高血圧は、血圧が≧160/95、または抗高血圧薬の摂取により定義された(WHO定義)。標準化された経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病であることがすでに分かっている被験者を除いて、全ての被験者に行われた。糖尿病は、現在、空腹時血糖濃度が≧140mg/dl(7.8mmol)、および/または2時間レベルの≧200mg/dl(11.0のmmol/L)(経口ブドウ糖負荷試験)を有する被験者について記入された。【0029】実験室方法:被験者が少なくとも12時間絶食および禁煙した後、肘前静脈から採血した(3−6)。総コレステロールおよび高密度リポタンパク質を有するコレステロールは、酵素的に測定され(CHOD−PAP方法、メルク、ダルムシュタット、ドイツ)、そして、リポタンパク質濃度は、ELISA(免疫、ウィーン、オーストリア)を用いて測定された。低密度リポタンパク質を有するコレステロールは、Freidewald式から算出された。フィブリノーゲンは、クラウスの方法により測定され、およびアンチトロンビンIIIは、色原体のアッセイを使用して測定された。第V因子のライデン突然変異は、対立遺伝子特異的PCR増幅によって検出された(3)。【0030】FSAP抗原濃度およびscuPA−活性化効果は、最近記載されているように測定された(7、8)。簡単に述べると、FSAPに対するモノクローナル抗体(mAb)を用いたELISAが、抗原の定量のために用いられた。抗体がコーティングされたミクロタイタープレート上での免疫吸着、洗浄工程、および、次のFSAPによるプロウロキナーゼの活性化から成る活性化の分析は、ウロキナーゼに対する色素原性基質のアミド分解を光度測定観測することにより定量化された。200人以上の健康な血液ドナーからプールされた血漿は、両方の分析のための任意の標準として用いられた。血漿当量単位(PEU)は、プールされた血漿1ミリリットル当りに存在するFSAP抗原性活性として定義された。そして、それは平均して12μg/mlに相当する(8)。【0031】DNA抽出およびFSAP遺伝子型:高品質のDNAは、GenomicPrep血液DNA単離キット(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して、凍結された全血から得られた。10mlの抽出されたDNAは、対応するエキソン特異的な前方及び後方プライマー50pmol、1.5mMのMgCI2、0.2mMのdNTP、およびTaq DNAポリメラーゼ(パーキンエルマー、ランゲン、ドイツ)2.5単位を含んでいるPCR標準反応緩衝液100μl中で増幅された;最初の2分、94℃で変性した後、94℃で30秒、50℃で30秒、および72℃で40秒の各熱サイクルを35サイクル行い、最後の伸長工程を72℃で5分間行った。使用される一組のプライマーは、最近詳述されている。【0032】スキャニングプロトコルおよび超音波終点の定義:超音波検査では、両側の内部頸動脈(球状で末梢部の部分)および総頚動脈(近位で末梢部の部分)が、10MHzのプローブおよび5MHzのドップラーを使用してスキャンされた(1、2)。アテローム性動脈硬化症病変は、2つの超音波の判定基準によって定義された:1)壁面(内腔への突出)、そして、2)壁組織(エコー源性)である。プラークの最大軸直径は、16の血管部分の各々において測定された(血管部分に依存する、10%または15%内部目視ばらつき係数)。脈管内膜媒体の厚みは、総頚動脈の奥の壁で計測された(内部目視ばらつき係数7.9%(n=100))(2)。スキャンは同じ経験豊かな超音波専門家によって、1990年、1995年および2000年に実行された。そして、被験者の臨床所見および実験室値は超音波専門家に知らされていなかった。【0033】アテローム性動脈硬化の発生は、以前は正常であった部分の新たなプラークの出現によって特徴づけられた。0.7mm(総頚動脈)および1.0mm(内部頸動脈)の閾値は、アテローム性動脈硬化の発生の定義におけるプラーク直径に関する最小限の必要条件として発表された。なぜなら、より小さい病変は、病巣の/拡散した壁の厚くなった部分から見分けることは困難だったからである(1)。非−狭窄性病変の進行は、プラーク直径の測定誤差の2倍を超える相対的な拡大として定義された。現在の分析では、両方の経過は混合され、より簡単な提示のための「初期のアテローム発生」と称される単一の結果カテゴリとされる、なぜなら、記載されている危険因子の大部分がこれらの経過に共通だったという現実のためである。悪化の判定基準が満たされたときはいつでも「進んだアテローム発生」と仮定された、そして、内腔は>40%狭くなった。他で記載されているように(1−5)、40%での分画は我々の個体群の生物学的閾値と一致するように見え、プラークの発育動力学(目立った病変のまばらに発生する病巣の拡大に対する、連続する、ゆっくりとした、そして拡散する成長)、危険率プロフィール(凝血促進危険因子に対する従来の危険因子)、そして、血管再生の経過(不十分である、または無いに等しいことに対する、補填または過度の補填)において著しい変化が起こった、このことは、従来のアテローム発生からアテローム性動脈硬化症への根本的な発病機序のスイッチを示唆している。【0034】超音波カテゴリの再現性は、「ほとんど完全」だった(>0.8のカッパ係数、n=100の再現性試料における、同じ超音波専門家によって実行された2つの独立計測から得られた)(1−3)。【0035】統計分析:FSAP突然変異とアテローム発生のさまざまな病期との間で考えられる関連性は、ロジスティック回帰分析によって調べられた。ベースモデルは、年齢および性に関してのみ調整された。多変量の方程式は、すでに記載されているように、段階的進行の選択手順によってはめ込まれた(記入および除外のp値は、それぞれ、0.10および0.15)(3、10)。個体群試料の年齢および性構造を考慮するため、追加として年齢および性がこれらのモデルに書き込まれた。主な分析は、1990年および1995年の間の(Q1)期間に集中した。進行したアテローム発生の分析は、研究の開始時にすでに、アテローム性動脈硬化症を患っていた被験者(n=326)に限定された。【0036】回帰−標準化されたアテローム発生危険率は、多くの危険因子について算出された。回帰修正手順の最低限の方法が用いられた。なぜなら、それは奇病の仮定に基づかないからである(11)。【0037】結果Bruneck研究群(n=810)において、36人の被験者はFSAPのマールブルクI突然変異体に対してヘテロ接合であり(17人の男性および20人の女性)、被験者1人はホモ接合であった。これは4.4%(3.0%から5.8%)の一般住民における全体の保有者比率(95% CI)に対応していた。37人の個体のうち、16人(43パーセント、8人の男性および8人の女性)において、FSAPのマールブルクII突然変異体(E370Q)の同時分離が観察され、その一方で、残りの21人の被験者(57パーセント、9人の男性および12人の女性)において、単離中にマールブルクI突然変異体が生じた。【0038】部分母集団(n=82)由来の血漿試料は、FSAP抗原濃度および対応するプロウロキナーゼ−活性化効果について調査された。野生型FSAPを有する76人の被験者において、平均(±2×SD)抗原濃度、活性濃度および活性/抗原比率は、それぞれ、0.991(0.552から1.430)PEU/ml、1.036(0.614から1.458)PEU/mlおよび1.07(0.63から1.51)であった。それに対して、この部分群において、マールブルクI突然変異体保有者6人全員が、プロウロキナーゼを活性化するin vitroでの能力(<0.150から0.626)および0.38から0.58の活性/抗原比率において際立った減少を示した。2つの遺伝群において、これらのパラメータの分布には重複がほとんどなかった。【0039】1990年から1995年の5年追跡調査の間(Q1)に、研究の810人の被験者のうち計384人(47.4%)が、新たなアテローム性動脈硬化性病変を発生するか、または非狭窄病変の拡大(初期のアテローム発生)を示した、そして、存在前のプラークを有する326人のうち92人(28.2%)は、狭窄変形(進行の進んだアテローム発生)を示した。予想通りに、マールブルクI突然変異体と初期アテローム発生との間に関連は見られなかった(年齢/性は調整された、0.6(0.3〜1.4)および0.7(0.3〜1.7)の多変量オッズ比(95%のCI))。これと一致して、野生型FSAPの保有者(0.95mm)とFSAPのマールブルクI突然変異体の保有者(0.94mm;偏差のためのP=0.853)との間で、総頚動脈の脈管内膜媒体の厚みに差異はなかった。しかし、このことは、突然変異体が、アテローム発生において進行の進んだ想定されるアテローム性血栓病期への強力な危険因子であることをはっきりさせた(年齢/性調整されたオッズ比(95%CI)3.5(1.1から11.4)、p=0.036)。この関連性は、他の関連した危険因子についてのロジスティック回帰モデルの調整において、依然として統計的に有意のままだった(表1)。進行の進んだ狭窄アテローム性動脈硬化症のための危険率プロフィールはまた、糖尿病、高いフィブリノーゲン濃度、低いアンチトロンビン濃度、高い血小板算定、喫煙、アルコール消費量(少量では保護的)、Lp(a)>0.32g/lおよび第V因子のライデン突然変異も含んでいた。危険因子に性特異的な差異は無く、また、年齢、危険率レベル、および生活様式にあわせてまとめられた部分母集団において、マールブルクI突然変異体の差別的な効果の証拠は見られなかった。アスピリン、抗高血圧剤、抗糖尿病薬または脂質低下剤を服用している被験者の除外は同様に、結果に影響を及ぼさなかった。多くの主な危険因子(マールブルクI突然変異体、IGT/糖尿病、高リポタンパク質(a)濃度、喫煙、第V因子突然変異、高いフィブリノーゲン濃度および低いアンチトロンビン濃度)について、進行の進んだアテローム発生の回帰−標準化された危険率を表1に示す。2つ以上の因子の群を有する被験者はほぼ無条件に進行の進んだアテローム発生を経験したのに対し、危険因子を全く有していない被験者は、頸動脈狭窄の発生/進行の危険率が低かった。【0040】マールブルクII突然変異体は、単鎖プラスミノーゲン活性化因子のFSAPによるin vitroでの活性化に対して効果を有しなかった。したがって、この突然変異およびアテローム発生間の関連が我々の分析において見られなかったことは、予想外ではなかった。野生型FSAPを有する被験者と、マールブルクII突然変異体またはマールブルクI突然変異体の保有者、および両方の遺伝子偏向の保有者との比較において、進行したアテローム性動脈硬化の多変量オッズ比(95%CI)は、1.6(0.2から13.7)、(P=0.669)、6.2(1.1ら36.0)、(P=0.048)、および7.1(1.1から45.1)、(P=0.037)であった。【0041】我々の所見がまた、より長い期間にわたって整合していることを証明するために、1990年から2000年の間の10年間の追跡調査期間(Q1+2)のデータについて、計算を繰り返した。これらの方程式において、FSAPのマールブルクI突然変異体と進行したアテローム発生との間の多変量関係(最初の分析に関してと同じ調整)は、さらに統計学的に有意であった(多変量オッズ比(95% CI) 4.1(1.1から14.8)、P=0.045)。【0042】【表1】【0043】オッズ比(OR)、95%信頼区間(95% CI)、およびP値(P)は、進行したアテローム性動脈硬化症(狭窄性の頚動脈アテローム性硬化症の進行/悪化)の年齢、性、および血管危険因子に関するロジスティック回帰分析から導き出された。モデルは、ステップワイズなプログレッシブセレクションプロセス(ステップ...ステップ入力)によってフィットさせられた。ORは、与えられた変数の1−SD単位変更のために算出された。AS−:進行の進んだアテローム発生のない群、AS+:進行の進んだアテローム発生を有する群。この分析は、1990年の研究の開始時にすでにアテローム性動脈硬化症を罹患していた326人の被験者に焦点が合わせられた。【0044】参考文献:1. Kiechl S, Willeit J. The natural course of atherosclerosis. Part I: incidence and progression. Arterioscler Thromb Vasc Biol 1999; 19: 1480-90.2. Kiechl S, Willeit J. The natural course of atherosclerosis. Part II: vascular remodeling. Arterioscler Thromb Vasc Biol 1999; 19: 1491-8.3. Willeit J, Kiechl S, Oberhollenzer F, et al. Distinct risk profiles of early and advanced atherosclerosis. Prospective results from the Bruneck Study. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2000; 20: 529-37.4. Kiechl S, Egger G, Mayr M, et al. Chronic infections and the risk of carotid atherosclerosis. Prospective results from a large population study. Circulation 2001; 103: 1064-70.5. Kiechl S, Willeit J, Egger G, Poewe W, Oberhollenzer F. Body iron stores and the risk of carotid atherosclerosis. Prospective results from the Bruneck Study. Circulation 1997; 96: 3300-7.6. Kiechl S, Lorenz E, Reindl M, Wiedermann CJ, Oberhollenzer F, Bonora E, Willeit J, Schwartz DA. Toll-like receptor 4 polymorphisms and atherogenesis in humans. N Engl J Med 2002; 347 (in press).7. Roemisch J, Feussner A, Stohr HA. Quantification of the factor VII- and single-chain plasminogen activator-activating protease in plasmas of healthy subjects. Blood Coagul. Fibrinolysis. 2001; 12: 375-83.8. Kannemeier C, Feussner A, Stohr HA, Weisse J, Preissner KT, Roemisch J. Factor VII and single-chain plasminogen activator-activating protease: activation and autoactivation of the proenzyme. Eur J Biochem. 2001; 268: 3789-96.9. Roemisch J, Feussner A, Nerlich C, Stoehr HA, Weimer T. The frequent Marburg I polymorphism impairs the prourokinase activating potency of the factor VII-activating protease (FSAP). Blood Coag Fibrinol 2002; 13. in press.10. Hosmer DW, Lemeshow S. Applied Logistic Regression. New York: John Wiley & Sons, 1988.11. Wilcosky TC, Chambless LE. A comparison of direct adjustment and regression adjustment of epidemiological measures. J. Chron Dis 1985; 38: 849-56.【図面の簡単な説明】【図1】個体に存在する血管危険因子(第VII因子−活性プロテアーゼのマールブルクI突然変異体、IGT/糖尿病、リポタンパク質(a)濃度>0.32g/1、喫煙、第V因子のライデン突然変異、フィブリノーゲン濃度(Q5、>3.2g/1)およびアンチトロンビン濃度(Q1、<84%))の機能として、進行したアテローム発生の回帰−調整された危険率を示す。 動脈血栓症およびアテローム性動脈硬化性疾患ならびにこれらの後遺症の発生および進行の危険度の高さを識別するための方法であって、ドナーの体液中で、 a)ヌクレオチド位置1601にG/A塩基交換を有するFSAP酵素前駆体の突然変異体のヘテロ接合体またはホモ接合体の存在をドナーのゲノムDNAの分析によってまたはそのmRNA中で検出すること、および/または b)単鎖プラスミノーゲン活性化因子を活性化する能力を失った、またはこの能力が少なくとも正常に機能しないFSAP突然変異体の存在をタンパク質レベルで検出すること、および/または c)単鎖プラスミノーゲン活性化因子を活性化する能力を失った、またはこの能力が少なくとも正常に機能しないFSAP突然変異体に対して特異的な抗体の存在を検出すること、および/または d)単鎖プラスミノーゲン活性化因子を活性化するFSAPのポテンシャルの減少を検出すること、および/または e)FSAP抗原濃度の減少を検出すること、を特徴とする、方法。 シグナルペプチドを含むFSAP酵素前駆体のアミノ酸配列の534位にグリシンからグルタミン酸へのアミノ酸交換を有するFSAP突然変異体のヘテロ接合体またはホモ接合体の存在を検出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。 突然変異体のヘテロ接合体またはホモ接合体の存在を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を利用するドナーの体液中のゲノムDNAまたはそのmRNAの配列分析によって検出することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 プロウロキナーゼを活性化する能力を失った、またはこの能力が少なくとも正常に機能しないFSAP突然変異体のヘテロ接合体またはホモ接合体の存在を検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 体液由来のFSAPを直接的または固相上に固定されたFSAP結合物質を介して間接的に固相に結合させ、FSAPの測定を結合したFSAPの活性の測定または別のFSAP特異的結合パートナーの結合の検出のいずれかにより行うELISA法によって、FSAP抗原濃度の減少の検出を行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 単鎖プラスミノーゲン活性化因子を活性化するFSAPのポテンシャルの減少が、当該プロテアーゼを含有する試料を当該プロテアーゼに対する抗体が結合されている固体支持体上でインキュベートし、結合していない支持体を洗い落とした後、支持体上に固定された当該プロテアーゼをその活性の測定を可能にする試薬と共にインキュベートすることによりFSAPの活性を測定することによって検出されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 FSAP突然変異体に対する抗体を含んでいるかもしれない試料を固体支持体に固定されたFSAP突然変異体に作用させ、次に洗浄し、そして当該プロテアーゼに結合した抗体を検出することによって、FSAP突然変異体に対する抗体を検出することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 結合したヒト抗体をラベルされた抗ヒト免疫グロブリンもしくはそのフラグメントまたはラベルされたプロテインAもしくはプロテインGとインキュベートし、結合した、ラベルされた物質によって発されるシグナルを測定することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 酵素が結合された抗ヒト抗体もしくはそのフラグメントまたはプロテインAもしくはプロテインGによる、適した色素原性基質または蛍光発生基質の開裂によって生じる吸光の光度測定により抗体を検出することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 抗体を、蛍光基でラベルされた結合物質によって生じる蛍光の計測によって検出することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 抗体を、放射性基でラベルされた結合物質の放射分析計測によって検出することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 後遺症が狭心症、心筋梗塞または脳梗塞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 体液が血漿であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 FSAP結合物質が、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、またはこれらのF(ab’)2フラグメントもしくはFab’フラグメント、または硫酸デキストランもしくはヘパリンであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。