タイトル: | 特許公報(B2)_皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物及びこれを用いた皮膚貼付材 |
出願番号: | 2003069429 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61L 15/58,A61F 13/02,A61K 9/70 |
星 優 高梨 誉也 岡部 秀晃 JP 4363866 特許公報(B2) 20090828 2003069429 20030314 皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物及びこれを用いた皮膚貼付材 リンテック株式会社 000102980 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 島村 直己 100101904 星 優 高梨 誉也 岡部 秀晃 20091111 A61L 15/58 20060101AFI20091022BHJP A61F 13/02 20060101ALI20091022BHJP A61K 9/70 20060101ALI20091022BHJP JPA61L15/06A61F13/02 350A61K9/70 401 A61L 15/00- 33/00 A61F 13/02 A61K 9/70 C08L 83/00- 83/16 C09J183/00-183/16 特表平06−510279(JP,A) 特開平08−092074(JP,A) 特開平08−295624(JP,A) 5 2004275329 20041007 9 20051205 辰己 雅夫 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物及びこれを用いた皮膚貼付材に関するものである。【0002】【従来の技術】シリコーン粘着剤は、通気性、低皮膚刺激性から人体貼付用途に使用されている。これらは貼付時の粘着物性を考慮し、過酸化物、白金触媒を用いて架橋させて使用することがあり、また架橋しないで使用されることもある(例えば、特許文献1)。【0003】しかしながら、前記のような方法で架橋させた場合、十分な保持力を発現するが、シリコーン粘着剤が本来有する粘着物性(タック、粘着力)が低下し、人体貼付用粘着剤としての適性が低下することがある。一方、架橋を行わない場合、保持力が不十分となり、剥離後に粘着剤が皮膚面に残存するようになる。【0004】【特許文献1】特開平3−200885号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、シリコーン粘着剤が本来有する粘着物性(皮膚への高い接着性、タック)を維持したまま、保持力を向上させた皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物及び皮膚貼付材を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、オルガノシロキサン系ポリマーを主成分とするシリコーン粘着剤に少量のアクリル系ポリマーを添加し、アクリル系ポリマーのみを選択的に架橋させることにより、シリコーン粘着剤が本来有する粘着物性を維持しつつ、保持力を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。【0007】即ち、本発明は、以下の発明を包含する。(1)末端に水酸基を有するオルガノシロキサン系ポリマー100質量部に対して、水酸基以外の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーを0.1〜20質量部、及び前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基と反応するが、前記オルガノシロキサン系ポリマー中の水酸基とは反応しない架橋剤を前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.1〜1当量配合してなる皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物。(2)前記アクリル系ポリマー中の水酸基以外の反応性官能基がカルボキシル基である前記(1)に記載のシリコーン粘着剤組成物。(3)前記架橋剤がアジリジン架橋剤である前記(1)又は(2)に記載のシリコーン粘着剤組成物。(4)支持体の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を積層してなる皮膚貼付材であって、粘着剤層が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコーン粘着剤組成物を架橋することにより形成されたものである皮膚貼付材。(5)前記(4)に記載の皮膚貼付材における粘着剤層表面の中央域に吸液性パッドを設けてなる救急絆創膏。【0008】【発明の実施の形態】本発明に用いるオルガノシロキサン系ポリマーとしては、例えば特開平3−200885号公報、特開2001−11423号公報、特開2002−200160号公報に記載されたものが挙げられる。【0009】具体的には、一般式(I):【化1】(式中、R1及びR2はそれぞれメチル基又はフェニル基、nは整数を表す。)で示されるオルガノシロキサン系のゴム成分に一般式(II):【化2】(式中、mは整数を表す。)で示されるシリコーンレジンを配合して脱水縮合することにより得られるオルガノシロキサン系ポリマーが挙げられる。【0010】また、一般式(II)以外のシリコーンレジンとして、ケイ素原子に結合した水酸基を分子中に3個以上有する分岐状ポリオルガノシロキサンを単独又は併用することも好ましい。【0011】前記一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれメチル基又はフェニル基であるが、粘着剤層に耐熱性などを付与するためには、メチル基とフェニル基のモル比(メチル基/フェニル基)は、25/75〜98/2、特に85/15〜95/5であることが好ましい。【0012】また、前記式(I)で示されるオルガノシロキサン系のゴム成分(以下「(1)成分」という。)と、前記式(II)で示されるシリコーンレジン又は前記ケイ素原子に結合した水酸基を分子中に3個以上有する分岐状ポリオルガノシロキサン(以下「(2)成分」という。)との部分縮合反応によって得られたシリコーン粘着剤が、ケイ素原子に結合した水酸基を、分子中に0.1〜0.9質量%含有することが好ましい。更に好ましくは、0.2〜0.7質量%である。この範囲では特に粘着特性の経時安定性が優れている。【0013】このようなシリコーン粘着剤として、例えばダウ・コーニング社製355;ゼネラル・エレクトリック社製PSA518、PSA590、PSA595、PSA6574;GE東芝シリコーン(株)製YR3340、XR37−B6722などが市販されており、これらの市販品を用いることができる。【0014】本発明のシリコーン粘着剤組成物には、前記オルガノシロキサン系ポリマー100質量部に対して、水酸基以外の反応性官能基を有するアクリル系ポリマー0.1〜20質量部を配合する。前記アクリル系ポリマーの配合量が前記下限未満であると、アクリル系ポリマーによる網目構造の形成が不十分となり、保持力(凝集力)の向上効果が得られず、前記上限を超えると、シリコーン粘着剤が本来有する粘着物性が損なわれる。【0015】前記アクリル系ポリマーの反応性官能基は、使用する架橋剤がアクリル系ポリマーのみを選択的に架橋させることができるように、架橋剤の官能基との関係で適宜選択すればよい。【0016】官能基の組合せとしては、例えば、カルボキシル基とエチレンイミノ基、カルボキシル基と金属キレート、カルボキシル基とアミノ基、アセトアセテート基と金属キレートが挙げられ、これらの一方をアクリル系ポリマーの反応性官能基として、他方を架橋剤の官能基として用いることができる。【0017】前記アクリル系ポリマーの原料単量体の主成分として用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はないが、通常、エステル基を構成するアルキル基が炭素数1〜18のアルキル基である各種のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを使用でき、具体的にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル等を挙げることができる。【0018】本発明において、アクリル系ポリマーを構成する単量体としては、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。【0019】アクリル系ポリマーに反応性官能基を導入するための単量体としては、例えば、反応性官能基がカルボキシル基である場合、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、反応性官能基がアセトアセテート基である場合、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアセトアセテート等が挙げられる。【0020】更に共重合可能な他の単量体を併用してもよい。共重合可能な他の単量体としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、N−ビニルピロリドン等のアクリル系粘着剤の改質用単量体として知られる各種の単量体をいずれも使用可能である。【0021】これらの単量体の重合は、溶液重合、エマルジヨン重合、塊状重合等の通常の重合方法によって行われる。重合の反応温度は、通常50〜85℃、好ましくは60〜80℃である。【0022】溶液重合を行う場合には、アセトン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の溶媒中で、固形分濃度通常0.5〜60質量%、好ましくは5〜50質量%で、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド等の重合開始剤を用いて行われる。【0023】重合開始剤の配合量(固形分)は、アクリル系ポリマー(固形分)100質量部に対して、通常0.05〜1質量部である。【0024】本発明のシリコーン粘着剤組成物は、前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基と反応するが、前記オルガノシロキサン系ポリマー中の水酸基とは反応しない架橋剤を含有する。【0025】このような架橋剤は、前述したように、前記アクリル系ポリマーの反応性官能基との関係で適宜選択すればよい。【0026】官能基としてエチレンイミノ基を有する架橋剤としては、アジリジン架橋剤、即ち一分子中に二個以上のエチレンイミノ基を有するアジリジン化合物、例えばN,N′−テトラメチレンビスエチレンイミン、N,N′−ペンタメチレンビスエチレンイミン、N,N′−ヘキサメチレンビスエチレンイミン、p−フェニレンビスエチレンイミン、m−フェニレンビスエチレンイミン、m−トルイレンビスエチレンイミン、ビフェニル−4,4′−ビスエチレンイミン、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ビスエチレンイミン、ジフェニルメタン−4,4′−ビスエチレンイミン等のエチレンイミン化合物;N,N′−テトラメチレンビスエチレンアミド、N,N′−ヘキサメチレンビスエチレンアミド、p−フェニレンビスエチレンアミド、m−フェニレンビスエチレンアミド、m−トルイレンビスエチレンアミド、ビフェニル−4,4′−ビスエチレンアミド、ジフェニルメタン−4,4′−ビスエチレンアミド等のエチレンアミド化合物;N,N′−テトラメチレンビスエチレン尿素、N,N′−ヘキサメチレンビスエチレン尿素、p−フェニレンビスエチレン尿素、m−フェニレンビスエチレン尿素、m−トルイレンビスエチレン尿素、1−クロル−m−フェニレンビスエチレン尿素、ビフェニル−4,4′−ビスエチレン尿素、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ビスエチレン尿素、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ビスエチレン尿素、ジフェニルメタン−p,p′−ビスエチレン尿素、m−キシリレンビスエチレン尿素、メシチレントリスエチレン尿素等のエチレン尿素化合物;テトラメチレンビスエチレンウレタン、ヘキサメチレンビスエチレンウレタン、1,4−シクロヘキシルエチレンウレタン、2,2′−(ビスp−エチレンイミノホルミロキシフェニル)プロパン、1,3−(ビスエチレンイミノホルミロキシメチル)ベンゼン、メシチレントリスエチレンウレタン等のエチレンウレタン化合物;N,N′−テトラメチレンビスエチレンチオ尿素、N,N′−ヘキサメチレンビスエチレンチオ尿素、m−トルイレンビスエチレンチオ尿素、ビフェニル−4,4′−ビスエチレンチオ尿素、ジフェニルメタン−p,p′−ビスエチレンチオ尿素、m−キシリレンビスエチレンチオ尿素、メシチレントリスエチレン尿素等のエチレンチオ尿素化合物などが挙げられ、これらは一種又は二種以上の混合物を用いることができる。これらの化合物のうち、特に反応速度、粘着物性の観点からN,N′−ヘキサメチレンビスエチレン尿素が好ましい。【0027】前記金属キレート化合物としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル配位化合物等が挙げられる。【0028】前記アミノ基を有する架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。【0029】前記架橋剤の配合量は前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.1〜1当量、好ましくは0.2〜1当量、更に好ましくは0.3〜1当量である。前記配合量が0.1当量未満では、アクリル系ポリマーによる網目構造の形成が不十分となり、保持力(凝集力)の向上効果が得られず、1当量を超えると、未反応の反応性官能基が残り、皮膚刺激の原因となる。【0030】本発明の粘着剤組成物には、必要に応じて、プロセスオイル、ポリイソブチレン、ポリブテン等の軟化剤;酸化チタン、酸化亜鉛、メタケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の充填剤;デンプン、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の保水機能付与剤;流動パラフィンなどを配合することができる。【0031】本発明の粘着剤組成物の使用に際しては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤に溶解したものを支持体又は剥離フィルム等のフィルムに塗布した後、30〜170℃、好ましくは40〜150℃の乾燥温度で乾燥することにより架橋され、その粘着特性が得られる。【0032】本発明の皮膚貼付材又は救急絆創膏に用いる支持体は、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層を片面に積層保持するものである。具体的な材質としては、ポリスチレン系の熱可塑性エラストマーフィルムや、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチルなどのポリオレフィン系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリエステル系フィルム、各種プラスチック材料からなる織布や不織布、編布、紙、その他これらのフィルム同士の積層体、紙同士の積層体などを用いることができる。【0033】前記支持体の厚みは材質によって任意であるが、通常、フィルムを支持体とする場合には15〜250μm、好ましくは30〜100μm程度とし、織布、不織布、紙などを支持体とする場合には50〜500μm、好ましくは100〜300μm程度とする。【0034】本発明の皮膚貼付材及び救急絆創膏は、支持体の片面に特定の組成を有する粘着剤層を積層してなるものである。積層は、前記粘着剤組成物を塗工することにより行うことができ、この塗工は一般の塗工方式に従って直接又は転写塗工方式により行うことができる。【0035】また、本発明に用いる支持体として、透湿性がない材質のフィルムを用いた場合には、皮膚面に長時間貼付すると貼付部位にムレを生じて、その結果、皮膚カブレなどを起こすことがある。従って、このような支持体を用いる場合や透湿性を有する支持体を用いる場合であっても、更に透湿性を付与したい場合には、支持体及び粘着剤層に穿孔処理を施すことが好ましい。穿孔処理を施すには穿孔ロールによる方法や、パンチング、レーザー照射などの方法を用いることができ、孔径は0.2〜2mm程度とする。【0036】更に、本発明においては、前記のようにして得られる皮膚貼付材の粘着剤層表面の中央域に吸液性パッドを設けて救急絆創膏とすることもできる。吸液性パッドとしては、例えばガーゼや綿布、不織布、脱脂綿と不織布との複合品、脱脂綿と編ネットとの複合品などを用いることができ、創傷部からの滲出液を吸収し、しかも創傷部の保護を行うことができて好ましい。【0037】本発明の皮膚貼付材及び救急絆創膏は、粘着剤層の表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面を剥離材にて被覆しておくことが好ましい。この場合、使用する剥離材は紙、ポリオレフィンラミネート紙、ポリエステルフィルムなどにオルガノシロキサン系ポリマーを含有する粘着剤層との離型性を良好とするために剥離材用のフッ素系シリコーンやメチル系シリコーンを塗布したものを用いることが好適である。【0038】【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。以下において、部とは質量部を意味し、%とは質量%を意味する。【0039】(実施例1)メチルフェニル系シリコーン粘着剤(XR37−B6722、GE東芝シリコーン製)100部(固形分量)に、酢酸エチルを溶媒、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として0.25部加えて重合したアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸共重合体(モノマー組成比(%):30:65:5、固形分50%)10部(固形分量)を加え、十分に攪拌した。これにアクリル系ポリマーの架橋剤としてN,N′−ヘキサメチレンビスエチレン尿素5%トルエン溶液を0.09部(固形分量)(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.25当量)加え、十分に攪拌した。次に、シリコーン粘着剤用剥離紙(バイナシート70XT−032HK−H、藤森工業製)の上に乾燥後の塗布量が40g/m2になるようにコートし、100℃で3分間温風により乾燥した。乾燥後、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラー、東レ製)を貼りあわせ、粘着シートを作成した。【0040】(実施例2)架橋剤配合量を0.18部(固形分量)(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.5当量)とした以外は、実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0041】(実施例3)架橋剤配合量を0.36部(固形分量)(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して1.0当量)とした以外は、実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0042】(実施例4)アクリル系ポリマーの配合量を5部(固形分量)、架橋剤配合量を0.045部(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.25当量)とした以外は、実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0043】(実施例5)アクリル系ポリマーの配合量を5部(固形分量)、架橋剤配合量を0.09部(固形分量)(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.5当量)とした以外は実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0044】(実施例6)アクリル系ポリマーの配合量を15部(固形分量)、架橋剤配合量を0.135部(固形分量)(アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.25当量)とした以外は実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0045】(比較例1)アクリル系ポリマー及び架橋剤を加えない以外は、実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。【0046】実施例1〜6及び比較例1の粘着シートについて、被着体をフェノール樹脂板とし、JIS Z0237に従い粘着力とプローブタックを測定した。また、クリープテスターにより40℃下での保持力(被着体SUS)をおもりの落下時間として測定した。それぞれの配合、測定結果を表1に示す。表1から、未架橋のもの(比較例1)と比較し、いずれも保持力が高くなり(架橋による凝集力の向上に基づく)、粘着力、プローブタックはほぼ維持されていることがわかる。【0047】次に、これらのサンプルを5人のパネラーの前腕内側部に貼付し、3時間経過後に剥離し粘着剤の皮膚への残存状況について確認した。結果を表1にあわせて示す。【0048】アクリル系ポリマーを添加しこれを架橋したものは、いずれの配合もアクリル系ポリマー架橋物の網目構造の形成により粘着剤組成物の凝集性の向上が図られ、皮膚への糊残りが減少し、良好な結果を示した。これは保持力測定の結果からもサポートされると考えられる。【0049】【表1】【0050】【発明の効果】本発明によれば、シリコーン粘着剤が本来有する粘着物性を維持したまま、保持力を向上させた皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物及び皮膚貼付材を提供することができる。 末端に水酸基を有するオルガノシロキサン系ポリマー100質量部に対して、水酸基以外の反応性官能基を有するアクリル系ポリマーを0.1〜20質量部、及び前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基と反応するが、前記オルガノシロキサン系ポリマー中の水酸基とは反応しない架橋剤を前記アクリル系ポリマー中の反応性官能基に対して0.1〜1当量配合してなる皮膚貼付材用シリコーン粘着剤組成物。 前記アクリル系ポリマー中の水酸基以外の反応性官能基がカルボキシル基である請求項1記載のシリコーン粘着剤組成物。 前記架橋剤がアジリジン架橋剤である請求項1又は2記載のシリコーン粘着剤組成物。 支持体の片面に皮膚貼着用の粘着剤層を積層してなる皮膚貼付材であって、粘着剤層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーン粘着剤組成物を架橋することにより形成されたものである皮膚貼付材。 請求項4記載の皮膚貼付材における粘着剤層表面の中央域に吸液性パッドを設けてなる救急絆創膏。