生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アロニア酢及びその製造方法
出願番号:2003062767
年次:2005
IPC分類:7,C12J1/00


特許情報キャッシュ

田村 吉史 田中 常雄 藤田 隆明 JP 3699985 特許公報(B2) 20050722 2003062767 20030310 アロニア酢及びその製造方法 大滝村 502344824 窪谷 剛至 100091764 北海道 591190955 田村 吉史 田中 常雄 藤田 隆明 20050928 7 C12J1/00 JP C12J1/00 Z 7 C12J 1/00 特開平11−146781(JP,A) 特開平08−291103(JP,A) 特開平02−053477(JP,A) 特開平09−028370(JP,A) 特開昭61−254178(JP,A) 特開昭63−216466(JP,A) 特開昭60−149375(JP,A) 特開2001−172191(JP,A) 国際公開第02/067702(WO,A1) 4 2004267102 20040930 7 20040227 中島 庸子 【0001】【産業上の利用分野】本発明はアロニア酢及びその製造方法に関し、詳しくは、アロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa,以下アロニアと称す)果実から抽出したアロニア果汁を原料として用いるアロニア酢及びその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、アロニアは、その抽出物に有効成分を含んでいることから、アロニアの有効成分を利用した高血圧症の治療薬が提案されている(特許文献1参照)。【0003】かかるアロニアは、その果汁が鮮やかな赤色で、ドライでサワーな風味を有していることから、飲料、菓子に利用しているが、これらに利用されているアロニアは一番搾りの果汁で、残った絞り粕は廃棄されるだけであった。【0004】【特許文献1】特許公開2001−172191号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】この様に、アロニアの絞り粕が廃棄物として処分されているだけなので、廃棄物処理にコストがかかり、経済的損失が大きかった。また、アロニアの有効な利用範囲が広がれば、農産物の振興に役立ち、地域経済の活性化に資する事ができる。【0006】本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、アロニアを有効活用すべくアロニア酢及びその製造方法を提供することを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成すべく、本発明にかかるアロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料として醸造してなる。【0008】アロニア果実から抽出したアロニア果汁は、まろやかな酸味があり、かつ抗酸化性を有するので、これを食酢の原料として有効利用でき、更に、アロニア果汁は酢酸発酵が進行することにより、抗酸化力が増大する。【0009】請求項2記載のアロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁に酵母エキスとブドウ糖とアルコールとを添加して酢酸発酵してなる。【0010】抽出液に酵母エキスとブドウ糖を添加することにより発酵し易くなり、発酵し易い抗酸化力が高いアロニア酢が得られる。【0011】請求項3記載のアロニア酢の製造方法は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁にブドウ糖を添加してアルコール発酵させ、その後、酵母エキスとブドウ糖を添加し酢酸発酵させる。【0012】かかる製法では、アロニア果実の抽出液にブドウ糖を添加しているので、容易にアルコール発酵ができ、ついで酢酸発酵を行なうことで、まろやかな酸味と抗酸化力が高いアロニア酸が得られる。【0013】請求項4記載の食酢の製造方法は、酢酸発酵におけるアルコール濃度は4乃至5%とし、酵母エキスとブドウ糖との添加比はそれぞれ0.1%重量以上であることを特徴とする。【0014】かかる製法では、アルコール濃度を4乃至5%としていることと、酵母エキスとブドウ糖との添加比をそれぞれ0.1%重量以上としていることで、酢酸発酵を容易に進行させ、抗酸化力が高いアロニア酢が得られる。【0015】【発明の実施の形態】本発明にかかる具体的態様につき説明する。【0016】本発明にかかるアロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料とする。アロニアは、北米原産のバラ科の小果樹で、200年前にヨーロッパに移入され、ロシアに100年前移入され、現在、北海道大滝村で栽培されている。本発明で使用されるアロニア果実は、凍結したものを使用しているが、新鮮なもの、乾燥したものであっても良い。【0017】アロニアは、その赤い色の色素が酸性で、きれいな赤い色を示し、退色も遅く、酸性の食品に応用できるのではないかと考えられる。【0018】通常、食酢は原料、例えば、穀物、リンゴ等をアルコール発酵、酢酸発酵することにより、アルコールが酢酸に変る発酵である。したがって、アルコールの減少を測定する事により、酢酸発酵が起きているか判断できる。【0019】その為、アロニア果実から抽出したアロニア果汁に、アルコールと酢酸菌を添加して、アルコール濃度を調べると、アルコール濃度が減少した。このことより、酢酸発酵が起きていることが判断でき、アロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料とし、アルコール発酵、酢酸発酵すれば、食酢が得られることがわかる。【0020】本実施例で説明する抽出方法としては、凍結したアロニア果実に水を加えて磨砕し、減圧濾過によりアロニア果汁を抽出している。なお、本実施例では、上記抽出方法でアロニア果汁を抽出しているが、抽出方法はこれに限られる事はない。この一番搾りのアロニア果汁を原料とする際には30%ぐらいに希釈して使用すれば好ましい。【0021】さらに、一番搾りのアロニア果実の絞り粕に、この絞り粕と等量の水を加えて磨砕し、減圧濾過により二番搾りのアロニア果汁を抽出して、これを原料としても良い。この二番搾りのアロニア果汁を原料とする際には60%ぐらいに希釈して使用すれば好ましい。【0022】その上、さらに、二番搾りのアロニア果実の絞り粕に、この絞り粕と等量の水を加えて磨砕し、減圧濾過により三番搾りのアロニア果汁を抽出して、これを原料としても良い。この三番搾りのアロニア果汁を原料とする際には水で希釈することなく使用すれば好ましい。本実施例では、アロニア果汁として、この様な一番搾り、二番搾り、三番搾りのアロニア果汁を原料として使用しているが、水で希釈することなくアロニア果汁を原料として使用することもできる。【0023】このように、アロニア果汁を水で希釈しているのは、アロニア果実から抽出したアロニア果汁には、ポリフェノール含有量が多く、添加した菌の生育を妨げてしまい、菌の生育がしずらいからである。アロニア果汁に水を混合して希釈したものが好ましく、かかるアロニア果汁を原料とすれば、良好な酢酸発酵が生じ、酢酸発酵時間の短縮化を図る事ができる。また、二番搾りのアロニア果実、三番搾りのアロニア果汁まで原料として利用できるので、アロニアの更なる有効活用ができる。【0024】かかるアロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料として、アルコール発酵、酢酸発酵すれば食酢となり、アロニアの有効活用ができる。【0025】次に、アロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁に酵母エキスとブドウ糖とアルコールとを添加して酢酸発酵してなることが好ましい。【0026】アロニア果実から抽出したアロニア果汁は、アルコール発酵に必要な糖分が不足しており、その為、ブドウ糖を添加する必要があり、更に、発酵を迅速化する為には、酵母エキスとブドウ糖とを添加して酢酸発酵する。【0027】なお、アルコールはアルコール発酵を省略して食酢を作るべく、酢酸発酵を行なう際に添加する。【0028】本発明者は、良好な発酵を生じさせるべく、添加物としてポリペプトン、酵母エキス、ブドウ糖、硫酸マグネシュウム等を検討したが、酵母エキスとブドウ糖との組合せで添加すると、実施例結果によれば、アルコール濃度4.5%で、酵母エキスとブドウ糖との組合せで添加すると、2日目でアルコール濃度が0なった。このことより、酵母エキスとブドウ糖との組合せで添加すると、発酵し易い抽出液とすることができる。【0029】かかるアロニア酢では、アルコール濃度を4乃至5%とするのが好ましい。それは、アルコールは酢酸に1対1の割合で変化し、通常、食酢の酢酸濃度は4乃至5%であり、この範囲で酢酸を作るに必要なアルコール濃度を確保する為である。【0030】また、酢酸発酵における酢酸菌は、初期アルコール濃度が余り高すぎると生育が悪くなり、低すぎると必要量の酢酸が得られないので、この点からも、最適なアルコール濃度を設定する必要からアルコール濃度を4乃至5%とするのが好ましい。【0031】酢酸発酵における酵母エキスとブドウ糖との添加比をそれぞれ0.1%重量とするのが好ましい。酵母エキスとブドウ糖との添加量を少なく、しかも、早く発酵させることが好ましく、この相反する条件を兼ね備え、最適な抗酸化力を有するアロニア酢とするためである。【0032】なお、酢酸発酵における酵母エキスの添加比を0.1%重量、ブドウ糖の添加比を0.1%重量としているが、酵母エキスとブドウ糖の添加比は、これに限るものではなく、0.1%重量以上であれば良く、例えば、0.2乃至0.5%であってもよい。【0033】かかるアロニア酢は、抗酸化力測定において、発酵後では試料濃度0.2%でDPPHラジカル消去活性が52%となる。【0034】通常、リンゴ酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が22%であり、約50%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度10%を必要とした。穀物酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が18%であり、42%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度30%を必要とした。白ワインビネガーは試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が17%であり、49%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度16%を必要とした。米酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が33%であり、51%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度6%を必要とした。【0035】このことより、このアロニア酢はリンゴ酢等に対して、30乃至150倍の抗酸化能が強い事がわかり、昨今の健康指向に合致した体に良い食酢である。また、このアロニア酢のポリフェノール量を測定したところ、白ワインビネガー、リンゴ酢、玄米酢、米酢、穀物酢等が100ml中30mg以下であるのに対し、100ml中230mgも含有しており、アロニア酢は健康飲料としても非常に有効である。【0036】次にアロニア酢の製造方法につき説明する。【0037】アロニア果実から抽出したアロニア果汁にブドウ糖を添加してアルコール発酵させ、その後、酵母エキスとブドウ糖を添加し酢酸発酵させる。【0038】アロニア果実から抽出したアロニア果汁には、発酵に必要な糖分が不足しているので、ブドウ糖を添加してアルコール発酵させる。そして、酵母エキスとブドウ糖を添加すると、発酵に必要なアルコール濃度が維持でき、発酵し易くなる。【0039】かかる製法によれば、発酵し易い抽出液が得られ容易にアロニア酢が得られるとともに、アロニアの食材としての有効活用が図られる。【0040】かかるアロニア酢の製造方法においては、酢酸発酵におけるアルコール濃度は4乃至5%とし、酵母エキスとブドウ糖との添加比はそれぞれ0.1%重量以上であることが好ましい。【0041】酢酸発酵におけるアルコール濃度を4乃至5%とするのは、アルコールは酢酸に1対1の割合で変化し、通常、食酢の酢酸濃度は4乃至5%であり、この範囲で酢酸を作るに必要なアルコール濃度を確保する為である。【0042】また、酢酸発酵における酢酸菌は、初期アルコール濃度が余り高すぎると生育が悪くなり、低すぎると必要量の酢酸が得られないので、この点からも、最適なアルコール濃度を設定する必要からアルコール濃度を4乃至5%としている。【0043】酢酸発酵における酵母エキスとブドウ糖との添加比をそれぞれ0.1%重量とするのは、酵母エキスとブドウ糖との添加量を少なく、しかも、早く発酵させることが好ましく、この相反する条件を兼ね備え、最適な抗酸化力を有する食酢とするためである。【0044】なお、酢酸発酵における酵母エキスの添加比を0.1%重量、ブドウ糖の添加比を0.1%重量としているが、酵母エキスとブドウ糖の添加比は、これに限るものではなく、0.1%重量以上、例えば、0.2乃至0.5%であってもよい。【0045】かかるアロニア酢の製法では、抗酸化力測定において、発酵後では試料濃度0.2%でDPPHラジカル消去活性が52%となる。【0046】通常、リンゴ酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が22%であり、約50%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度10%を必要とした。穀物酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が18%であり、42%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度30%を必要とした。白ワインビネガーは試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が17%であり、49%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度16%を必要とした。米酢は試料濃度4%でDPPHラジカル消去活性が33%であり、51%のDPPHラジカル消去活性を得るためには試料濃度6%を必要とした。【0047】かかる製法によれば、従来のリンゴ酢、穀物酢、白ワインビネガー、米酢より非常に抗酸化力に優れたアロニア酢が得られる。また、このアロニア酢のポリフェノール量を測定したところ、白ワインビネガー、リンゴ酢、玄米酢、米酢、穀物酢等が100ml中30mg以下であるのに対し、100ml中230mgも含有しており、健康飲料としても非常に有効なアロニア酢が得られる。【0048】【発明の効果】 本発明にかかるアロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料として醸造してなるので、アロニア果実を有効活用することができる。【0049】請求項2記載のアロニア酢は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁に酵母エキスとブドウ糖とアルコールとを添加して酢酸発酵してなり、ブドウ糖と酵母エキスを添加することにより発酵し易くなり、容易に食酢となる。【0050】請求項3記載のアロニア酢の製造方法は、アロニア果実から抽出したアロニア果汁にブドウ糖を添加してアルコール発酵させ、その後、酵母エキスとブドウ糖を添加し酢酸発酵させることを特徴とする。【0051】アロニア果実から抽出したアロニア果汁にブドウ糖を添加しているので、容易にアルコール発酵ができ、ついで酢酸発酵を行なうことでまろやかな酸味と抗酸化力が高いアロニア酢が得られる。【0052】請求項4記載のアロニア酢の製造方法は、酢酸発酵におけるアルコール濃度は4乃至5%とし、酵母エキスとブドウ糖との添加比は0.1%重量以上であることを特徴とするので、酢酸発酵を容易に進行させ、抗酸化力が高くポリフェノール量が多いアロニア食酢が得られる。 アロニア果実から抽出したアロニア果汁を原料として醸造してなることを特徴とするアロニア酢。 アロニア果実から抽出したアロニア果汁に酵母エキスとブドウ糖とアルコールとを添加して酢酸発酵してなることを特徴とするアロニア酢。 アロニア果実から抽出したアロニア果汁にブドウ糖を添加してアルコール発酵させ、その後、酵母エキスとブドウ糖を添加して酢酸発酵させること特徴とするアロニア酢の製造方法。 酢酸発酵におけるアルコール濃度は4乃至5%とし、酵母エキスとブドウ糖との添加比はそれぞれ0.1%重量以上であることを特徴とする請求項3記載のアロニア酢の製造方法。


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