タイトル: | 特許公報(B2)_成長ホルモン分泌促進組成物 |
出願番号: | 2003057850 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 31/197,A61K 31/198,A61K 35/74,A61P 3/00,A61P 5/10,A61P 17/00,A61P 19/00,A61P 21/00,A61P 37/04 |
堀江 健二 横越 英彦 東口 伸二 金 武祚 JP 4596304 特許公報(B2) 20101001 2003057850 20030304 成長ホルモン分泌促進組成物 株式会社ファーマフーズ 500101243 堀江 健二 横越 英彦 東口 伸二 金 武祚 20101208 A61K 31/197 20060101AFI20101118BHJP A61K 31/198 20060101ALI20101118BHJP A61K 35/74 20060101ALI20101118BHJP A61P 3/00 20060101ALI20101118BHJP A61P 5/10 20060101ALI20101118BHJP A61P 17/00 20060101ALI20101118BHJP A61P 19/00 20060101ALI20101118BHJP A61P 21/00 20060101ALI20101118BHJP A61P 37/04 20060101ALI20101118BHJP JPA61K31/197A61K31/198A61K35/74 GA61P3/00A61P5/10A61P17/00A61P19/00A61P21/00A61P37/04 A61K 31/00 - 33/327 A61P 1/00 - 43/00,171 A23L 1/27 - 1/308 A61K 8/00 - 8/99 A61Q 1/00 - 99/00 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 国際公開第00/064283(WO,A1) 特表2001−505590(JP,A) 特公昭58−026726(JP,B1) 特開平07−227245(JP,A) 特開2000−014356(JP,A) 特開2004−187501(JP,A) Melis GB et al.,GABAerigic Controlof Anterior Pituitary Function in Humans,GABA and Endocrine Function,米国,Raven Press,1987年 7月,pp.219-242 Brainum J ,Amazing Growth Hormone Blasting Compounds,Ironman magazine,1998年,pp.92-94 齋藤史郎 木村成昭,ホルモン分泌調節因子としてのアミノ酸,日本臨床,1992年,50巻7号,pp.63-67 早川 潔ら,乳酸菌によるγ−アミノ酪酸の生産,京都府中小企業技術センター技報,1998年 8月12日,26巻,pp.47-53 大槻耕三ら,麹納豆(塩納豆、浜納豆、大徳寺納豆)に含まれる総アミノ酸および遊離アミノ酸の分析,京都府立大学学術報告「人間環境学・農学」,2000年,52号,pp.1-6 Rao et al.,Amino Acid Composition And Nutritional Implications of Milk Fermented by Various Lactic Cultures,Journal of Food Quality,1982年,5巻,pp.235-243 植田志摩子,市販味噌のタンパク質・水分・食塩含量および遊離アミノ酸について,帯広大谷短期大学紀要,1998年,35号,pp.49-55 金子憲太郎ら,遊離アミノ酸組成からみた日韓両国民の嗜好の相違(第1報),調理科学,1991年,24巻1号,pp.16-26 山本(前田)万里ら,茶葉中食物繊維等の熟度による変動,茶業技術報告,1993年11月 4日,79号,pp.118-119 吉村美香ら,東南アジアの伝統的発酵食肉製品ネムチュアの特徴,日本食品科学工学会誌,1998年,45巻10号,pp.603-610 3 FERM BP-10487 2004269361 20040930 8 20060220 松波 由美子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は乳酸菌醗酵から生産されるγ―アミノ酪酸(GABA)を含有する成長ホルモン分泌促進組成物に関する。更に上記成長ホルモン分泌促進組成物を含有する食品及び化粧品に関する。【0002】【従来の技術】成長ホルモン(growth hormone:以下GHと記す)は脳の視床下部で作られ、血液にのって全身に運ばれる。このホルモンは、生体内での成長を促す役割をすることが知られている。具体的には、筋肉を作り、骨を伸ばし、また体内の様々な化学反応を促進することが報告されている。実際成長ホルモンをヒトに注射すると、筋肉、骨格の増強、脂肪の減少、皮膚の若返り、免疫力の回復などの効果が認められている。【0003】しかしその反面、GHの注射は自己が持つGHの分泌力を低下させ、合成GHへの依存性を高めてしまう危険性が指摘されている為、投与は極限られた疾病時にしか使用されないのが現状である。【0004】一方、γ―アミノ酪酸(γ−aminobutyric acid:以下GABAと記す)はGHの分泌促進作用をもつことが報告されている(F.Cavagnini et al.,Acta Endocrinologica 1980,93,149−154)。本Cavagnini等の報告ではGABAを5gから18g摂取することで成長ホルモン分泌が促進される事を報告している。【0005】GABAは、近年発芽玄米などの流行により一般的に広く知られるようになったアミノ酸の一種であり、野菜、果物をはじめ発酵食品に至るまで自然界の動植物に幅広く含まれており、我々の食生活の中で通常摂取されている食品成分のひとつである。一方医薬効果も非常に高く、1日3gの摂取で頭部外傷後遺症に伴う諸症状(頭痛、頭重、昜疲労性、のぼせ感、耳鳴り、記憶障害、睡眠障害、意欲低下)に対して改善効果が認められている。従って、上記術のように健常人に対し1日3g以上もの高濃度GABAの摂取は、副作用も実際報告されているため現実的な量ではない。【0006】しかしGABAを実際に摂取できる量(10mgから3000mg)の投与では、顕著なGH分泌促進効果が期待できない。又GH由来の筋肉、骨格の増強、脂肪の減少などの生理効果も本摂取量では期待できない。【0007】一方バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどもGH促進効果があることが報告されている。しかし、上記述の成長ホルモンの促進が報告されているアミノ酸も単独ではGABA同様高濃度摂取しなければ筋肉、骨格の増強などの生理効果まで期待できない。【0008】又バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンのアミノ酸は、消化管並びに脳から吸収される際競合しあうため、上記述アミノ酸同士の組み合わせによる相乗効果は通常得られない。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、より生理効果の高いGH分泌促進組成物を提供することを目的とする。更にアミノ酸と乳酸菌発酵GABAと組み合わせることで、最も生理効果の高いGH分泌促進組成物を提供することを目的とする。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討した結果、純品GABAよりも乳酸菌発酵したGABAの方がより効果的にGHを上昇させることを見出した。【0011】又バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどのアミノ酸は、いずれもGH分泌促進作用が報告されているが、通常消化管及び脳に取り込まれる際競合しあうため、組み合わせて摂取しても相乗効果は期待できない。しかし、驚くべきことに乳酸菌醗酵したGABAとバリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンの内1つ又は2つ以上との組み合わせは、拮抗することなくGH分泌を飛躍的に促進するといった相乗効果を初めて見出した。【0012】その結果、乳酸菌醗酵したGABAとバリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンの内1つ又は2つ以上との組み合わせにより、低濃度の摂取でも、蛋白合成能を向上することができた。故に本発明は、効果的に成長ホルモン分泌促進させる組成物を提供することにある。【0013】又本発明の食品及び化粧品は、前記成長ホルモン分泌促進組成物を含有することを特徴とする。【0014】本発明によれば、副作用の心配が全くなく、経口摂取によって筋肉、骨格の増強、脂肪の減少、皮膚の若返り、免疫力の回復などの生理効果が期待できる食品、及び化粧品を提供できる。【0015】【発明の実施の形態】本発明の成長ホルモン分泌促進組成物は、GABAを含有する組成物である。【0016】本発明におけるGABAを含有する組成物とは、乳酸菌醗酵により生産されるGABAが望ましい。更に好ましくは、ラクトバチルス属の細菌から醗酵法で生産されるGABAのことであり、最も好ましいのはラクトバチルス ヒルガルディーK−3株の細菌から醗酵法で生産されるGABAである。【0017】上記述の乳酸菌醗酵した溶液は、適宜凍結乾燥やスプレードライにて乾燥し粉末化しても構わない。特に限定するものではないが、GABAの含有量は液状では5%〜30%であり、粉末状では10%〜90%である。【0018】上記術GABAの生理効果が期待できる1日当たりの有効摂取量は、10mg〜3000mgが好ましい。より好ましくは、50mg〜1000mgであり、更に好ましくは100mg〜500mgである。【0019】バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンの内1つ又は2つ以上の物質を含有することを特徴とするGH分泌促進組成物とは、GABAと上記術アミノ酸の1つ又は2つ以上含有する複合組成物の事をいう。【0020】GH分泌促進組成物におけるバリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンの内1つ又は2つ以上アミノ酸の含有量は特に限定するものではないが、GH分泌促進組成物中10〜90%含まれる事が好ましい。より好ましくは60〜90%であり、更に好ましくは50〜90%である。【0021】本発明の食品及び化粧品は、上記述成長ホルモン分泌促進組成物を10mg〜5000mg含有することが好ましく、更に好ましくは100mg〜1000mgであり、最も好ましいのは50mg〜1000mgである。【0022】上記食品としては、特に制限はなく、例えば清涼飲料、スポーツ飲料、ヨーグルト、錠菓、顆粒品、チョコレート、ガム、スープ類、おかゆ、味噌などが挙げられる。【0023】上記化粧品としては、特に制限はなく、例えばクリーム、ローション、ジェルなどが挙げられる。【0024】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0025】実施例1乳酸菌発酵GABAの調製表1に示す割合で各成分を含有する発酵原料(pH5.0)50Lを、90℃で10分間加熱殺菌した後、キムチ由来の乳酸菌(ラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM BP−10487))培養液50mLを接種し、30℃で3日間培養した。なお、発酵終了後の発酵液のGABA含量は51g/Lであった。この発酵液を90℃で10分間加熱殺菌した後、濾過助剤を加えてろ過し、得られたろ液を真空濃縮機で濃縮した後、凍結乾燥機にて乾燥し、粉砕して粉末化して乳酸菌発酵GABA組成物(GABA含量:65質量%)を得た。【0026】【表1】【0027】尚、GABA醗酵原料としてはグルタミン酸ソーダの他にグルタミン酸及び小麦グルテン、焼酎粕タンパク等をグルタミン酸原としても差し支えない。【0028】試験例1GABA濃度の測定GABA濃度は、以下の方法により測定した。【0029】各試料を0.2Nクエン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)で適宜希釈後、遠心分離又はろ過して固形物を除去し、測定試料とした。GABAの含量はアミノ酸含量測定の常法に従って高速液体クロマトグラフで以下の条件で分析した。【0030】使用機器:(株)島津製作所製の高速液体クロマトグラフLC−9A分析用カラム:強酸性陽イオン交換樹脂カラムShin−pack Isc−07Na型移動層緩衝液:(株)島津製作所製のアミノ酸移動層キットNa型移動層流量:0.3ml/分反応層1:0.04%次亜塩素酸ナトリウム溶液(pH10のホウ酸−炭酸緩衝液500mlに対して次亜塩素酸0.2ml)反応層2:(株)島津製作所製のアミノ酸分析キットOPA試薬反応層流量:0.2ml/分検出:蛍光検出 Ex348nm、Em450nm【0031】実施例2GABA投与によるGHへの影響クリーン動物ラット、ウィスター系雄、4週齢を用い、GABAを投与した際のGHへの影響確認試験を行った。GABAサンプルとしては、GABA試薬(和光)と実施例1より得られた乳酸菌発酵GABA(ファーマギャバ50;(株)ファーマフーズ研究所)粉末を用いた。【0032】水に各GABAサンプルを懸濁させ、GABAとして100mg/100g体重になるよう経口ゾンデによる投与試験を以下の試験群で行った。【0033】1群 GABA試薬投与2群 乳酸菌発酵GABA投与【0034】各サンプルを投与後、0分、30分、60分、120分後に屠殺し、血中GABA濃度の変動を調べた(データは省略)。その結果、血中のGABA濃度の推移はほぼ同様であった。【0035】更に同じ血液を用い、ラットGH量をELISA法(RAT GROWTH HORMONE ENZYME IMMUNOASSAY KIT:フナコシ)にて調べた。本結果を図1に示す。【0036】本結果より、GABA純品試薬と乳酸菌発酵GABA投与は、ほぼ同様の血中GABA濃度の推移が認められたにもかかわらず、興味深いことにGABA純品試薬より乳酸菌発酵GABAの群の方がGHの分泌促進効果が認められた。【0037】実施例3GABA及びその他アミノ酸との組み合わせ投与によるGHへの影響クリーン動物ラット、ウィスター系雄、4週齢を用い、GABA及びバリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジンの内1つ又は2つ以上アミノ酸を同時に投与した際のGHへの影響確認試験を行った。GABAサンプルとしては、乳酸菌発酵GABA(ファーマギャバ50;(株)ファーマフーズ研究所)粉末を用いた。CMC水に各サンプルを懸濁させ、GABAとして100mg/100g体重になるよう経口ゾンデによる投与試験を以下の試験群で行った。更にバリン:ロイシン:イソロイシンは1:2:1になる様混合し、分岐鎖アミノ酸混合物(以下BCAAと記す)とし、混合物として100mg/100g体重になるよう経口ゾンデによる投与試験を以下の試験群で行った。アルギニンも100mg/100g体重になるよう投与した。【0038】1群 水投与(コントロール)2群 乳酸菌発酵GABA投与(GABA)3群 分岐鎖アミノ酸混合物投与(BCAA)4群 アルギニン投与(Arg)5群 分岐鎖アミノ酸投与+乳酸菌発酵GABA投与(BCAA+GABA)6群 分岐鎖アミノ酸投与+アルギニン投与(BCAA+Arg)【0039】各群経時的に0分、30分後に屠殺し、血中のGH量を実施例2同様ELISA法にて分析した。その結果を図2に示す。【0040】更に同様の試験をリジン、ヒスチジンについても実施した(データは省略)。【0041】本結果より、GABA、分岐鎖アミノ酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンは、GHの分泌を促進することが示された。しかし、GABA以外のアミノ酸の組み合わせは、逆にGHの分泌を抑制する経口が認められた。しかし、GABAとそれ以外のアミノ酸との組み合わせは、相乗効果をもたらすことが本試験により示された。【0042】実施例4GABA及びその他アミノ酸との組み合わせ投与によるRNAへの影響【0043】蛋白合成能の指標として、肝臓中のRNA量をPCR法(関谷ら、『PCR最前線』1996年)により測定した。【0044】試験は実施例3で得られた肝臓を用いて分析を行った。結果を図3に示す。【0045】更に同様の試験をリジン、ヒスチジンについても実施した(データは省略)。【0046】以上の結果から、肝臓中のRNA量は各群ほとんど差が認められなかったが、興味深いことに、唯一BCAAと乳酸菌発酵GABAを組み合わせた群において、肝臓中のRNA量の増加が認められた。【0047】実施例4以下特に限定するものではないが、本発明の成長ホルモン分泌促進組成物を含有する食品及び化粧品の処方例を挙げる。【0048】(1)顆粒状食品の処方例還元麦芽糖 71mg結晶セルロ−ス 70mgショ糖エステル 9mg本発明組成物 200mg(GABAとして50mg、BCAAとして100mg含有)【0049】(2)化粧品の処方例ローション 1000ml本発明組成物 200mg(GABAとして50mg、BCAAとして100mg含有)【0050】【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、安全な適切量の経口摂取によって筋肉、骨格の増強、脂肪の減少、皮膚の若返り、免疫力の回復などの生理効果が期待できる食品及び化粧品を提供でき、本発明の産業的利用価値は非常に大きい。【図面の簡単な説明】【図1】ラットの血中GH濃度の経時変化を示す図である。【図2】ラットの血中GHの変動を示す図である。【図3】ラット肝臓中mRNA量の変動を示す図である。 グルタミン酸ソーダ、グルタミン酸、小麦グルテン及び焼酎粕タンパクから選ばれる少なくとも1種をグルタミン酸原として、ラクトバチルス ヒルガルディーK−3株(FERM BP−10487)から発酵法で生産されるγ−アミノ酪酸を含有する乳酸菌発酵組成物を有効成分として含有することを特徴とする成長ホルモン分泌促進用組成物。 さらに分岐鎖アミノ酸混合物(バリン:ロイシン:イソロイシン=1:2:1)を含有する請求項1に記載の成長ホルモン分泌促進用組成物。 γ−アミノ酪酸と前記分岐鎖アミノ酸混合物を1:1〜2(質量比)で含有する請求項3記載の成長ホルモン分泌促進用組成物。