| タイトル: | 特許公報(B2)_カテプシンC様酵素及びその製造法 |
| 出願番号: | 2003056781 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | C12N 15/09,C12N 9/52 |
小杉 佳次 小倉 治朗 JP 4058514 特許公報(B2) 20071228 2003056781 20030304 カテプシンC様酵素及びその製造法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 小杉 佳次 小倉 治朗 20080312 C12N 15/09 20060101AFI20080221BHJP C12N 9/52 20060101ALI20080221BHJP JPC12N15/00 AC12N9/52 C12N 15/00-15/90 C12N 9/00- 9/99 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CAplus(STN) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq UniProt/Geneseq PubMed JSTPlus(JDream2) Database DDBJ/EMBL/GenBank [online], Accession No. AP000002,<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?3236129:OLD13:1027425>,11-SEP-2002 uploaded,Kawarabayasi Y. et al.,Definition: Pyrococcus horikoshii OT3 genomic DNA, 287001-544000 nt. position (2/7) J. Biol. Chem.,1998年,Vol.273,No.28,pp.17726-17731 Database DDBJ/EMBL/GenBank [online], Accession No. AJ248287,<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?24414907:OLD12:2137964>,26-OCT-2002 uploaded,Gaspin C. et al.,Definition: Pyrococcus abyssi complete genome; segment 5/6 Database DDBJ/EMBL/GenBank [online], Accession No. AE010156,<http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?18892257:NCBI:3105269>,25-FEB-2002 uploaded,Maeder D.L. et al.,Definition: Pyrococcus furiosus DSM 3638, section 31 of 173 of the complete genome 6 2004261141 20040924 16 20041124 引地 進 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なプロテアーゼの製造に関する。より具体的には、カテプシンC活性を有するパイロコッカス属に属する古細菌由来の新規なカテプシンC様酵素、パイロコッカス属に属する古細菌由来の新規カテプシンC様酵素をコードするDNA、超好熱菌を用いるパイロコッカス属に属する古細菌由来のカテプシンC様酵素の生産に関する。【0002】【従来の技術】各種動物細胞のリソゾーム分画に見出されるプロテアーゼとして、カテプシンが多種類知られている。このうちカテプシンCは、パパイン様システインプロテアーゼで、ポリペプチドに作用してN末端から、ジペプチドを遊離する酵素で、ジぺプチジルペプチダーゼとも呼ばれている。カテプシンCは、骨髄細胞やリンパ球の細胞質顆粒リソソームにあって免疫・炎症応答に必要なセリンプロテアーゼを切断し、活性化する(非特許文献1:Mcguire,MJ等、J.Biol.Chem.268,2458(1993)。カテプシンC欠損症は、歯周病の原因の一つである。(非特許文献2:Nature Genet.23,421-424(1999)。【0003】カテプシンCは、従来高等動物由来のもの、あるいは高等動物由来のカテプシンCをコードする遺伝子を酵母(非特許文献3:Appl.Microbiol.Biotechnol.(2002)59,252-258)、昆虫細胞等(非特許文献4:Biochemistry(2001)40,1671-1678)に発現させたものが報告されているにすぎず、動物細胞以外から由来するカテプシンCは知られていない。【0004】【非特許文献1】J.Biol.Chem.268,2458(1993)【非特許文献2】Nature Genet.23,421-424(1999)【非特許文献3】Appl. Microbiol.Biotechnol.(2002)59,252-258【非特許文献4】Biochemistry(2001)40,1671-1678【0005】【発明が解決しようとする課題】これまで見出されている高等動物のカテプシンCは、界面活性剤等の化学薬品に敏感であり、活性発現に塩素イオンを必要としていた。リソソームに存在する酵素は酸性領域に至適pHを持つものが多く至適反応温度も80℃以上のものはみいだされていない。本発明の課題は、歯磨き剤、洗剤、アミノ酸分析等に有用な、カテプシンC様の作用をする構造的に安定な耐熱性酵素を工業生産する技術を見出すことである。【0006】【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、ゲノム情報配列が解析され、多くの耐熱性酵素の供給源である90℃以上で生育するパイロコッカス属に属する微生物をジャーファーメンター培養し、その培養液中特に上清中にカテプシンC(ジペプチジルペプチダーゼ)の高活性を見出し、その生産、単離精製法及びその性質を解明して本酵素が歯磨き剤等に有用な、構造的に安定なカテプシン様酵素であり、その遺伝子をクローニングし大腸菌で発現させカテプシンC活性を確認し、本発明を完成させるに至った。【0007】パイロコッカス属に属する微生物としては、好適には、パイロコッカス ホリコシ(JCM9974、JCM微生物カタログ第7版(1999)を用いることができる。【0008】なお本発明において、カテプシンC様とは、N末からジペプチドを生じるジぺプチジルペプチダーゼ活性を有していることを意味する。【0009】本願発明のカテプシンC様酵素は、従来公知のカテプシンCとは、アミノ酸配列に相同性がほとんど無く、更に、カテプシンCがリソゾームで作用することから至適pHは酸性であるのに対し、本願出願のカテプシンC様酵素は中性で活性があることから、従来公知のカテプシンCとは、全く異なる酵素である。【0010】更に、従来のカテプシンCは、システインプロテアーゼであるところ、本願発明のカテプシンC様酵素は、システイン酵素阻害剤によって阻害されない場合もあり、システインプロテアーゼとも断定できない。【0011】本願発明には、(1)低重合体構造を有する活性発現に塩素イオンを要求しないカテプシンC様酵素、(2)至適反応温度が75〜85℃の範囲、至適反応pH7-8、であるカテプシンC様酵素、(3)分子量160±20kDである上記のカテプシンC様酵素、(4)パイロコッカス属に属する微生物由来のカテプシンC様酵素、及び(5)パイロコッカス属に属する微生物が、パイロコッカスホリコシ(Pyrococcus horikoshii)であるカテプシンC様酵素、を包含する。【0012】上記カテプシンC様ペプチドは、パイロコッカス属に属する微生物、好適にはパイロコッカスホリコシ(Pyrococcus horikoshii)を、適切な培養条件下(例えば、95℃)で培養・増殖した後、培養液を遠心分離、上清を例えば、メンブレンフィルターにより濃縮して酵素液を調製した後、上記酵素液を疎水性クロマトグラフィー陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー、及び/又はゲルろ過クロマトグラフを適宜組み合わせて精製することができる。【0013】例えば、疎水性クロマトグラフィーとしては、アルキルアガロース、Phenyl Sepharose等、陰イオン性クロマトグラフィーとしては、DEAESepharose、QSepharoseHP、ゲル濾過クロマトグラフィーとしてはSephadex200、SepharoseHPを用いることができる。【0014】更に本件発明は、(6)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するカテプシンC様酵素、(7)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個、好適には、1〜10個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列を含むカテプシンC様酵素、(8)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列と、70%以上の同一性、好適には85%以上の同一性、更に好適には、95%以上の同一性を有する、カテプシンC様酵素、(9)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオ配列を含む、単離されたDNA分子等の核酸、(10)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個、好適には、1〜10個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオ配列を含む、単離されたDNA分子等の核酸、(11)配列表の配列番号2に記載のポリヌクレオ配列を含む、単離されたDNA分子等の核酸、及び(12)配列表の配列番号2に記載のポリヌクレオ配列の相補的配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得、且つカテプシンC活性を有するポリペプチドをコードする、単離されたDNA分子等の核酸を包含する。【0015】なお、アミノ酸配列の同一性、及びポリヌクレオオチド配列の同一性とは、2以上のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列の比較により決定された、配列間の関係の程度を意味する。同一性を決定するプログラムとしては、アミノ酸配列については、ClustalW、DNASIS等のプログラムがあるが、本件発明における同一性の数値は、ClustalWをデフォルト条件で用いた場合の数値を意味する。【0016】 また、ストリンジェントな条件は、周知のストリンジェント条件を用いることができるが、例えば、50% ホルムアルデヒド、5XSSC(0.75M NaCl、0.075M クエン酸)、5.Xデンハルト溶液、サケ精子DNA(50g/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストラン、42℃、更に0.2XSSC、0.1% DS、42℃で洗浄などの条件が挙げられる。【0017】更に、本発明には、上記(9)から(12)いずれかに記載のDNA分子を含む組み替えベクターも包含する。【0018】例えば、耐熱性プロリンジペプチド分解酵素の発現用のプロモータの調節下に上記(9)から(12)のいずれかに記載のDNA分子を含んで成り、宿主細胞において、カテプシンC活性を有するポリペプチドを発現する能力を有する、発現ベクターが挙げられる。具体的には、プロモータとしては、T7プロモータ(Novagen社)、mFDH1プロモータ(非特許文献3)、AUG1プロモータ(Invitrogen社)を用いることができる。発現ベクターとしては、各宿主において、公知の発現ベクターを用いることができるが、大腸菌においては、例えば、pET 11-aベクター(T7プロモータ(Novagen社))、メタノール酵母では、pMFXU4ベクター(mFDH1プロモータ(非特許文献3))あるいはpMETαベクター(AUG1プロモータ(Invitrogen社))をもとに発現ベクターを調製することができる。無論、本件カテプシンC様酵素の核酸配列を、それぞれの宿主におけるコドン使用頻度に併せて変更した後に、組み換えベクターに載せることもできる。【0019】また、本願発明には、ベクターにより形質転換された形質転換体を包含する。また、宿主としては、微生物細胞、昆虫由来の細胞、動物細胞、または植物細胞を用いることができ、例えば、大腸菌、Candida.bondini、COS―7細胞が挙げられる。【0020】上記ベクターを、宿主に導入する手段としては、それぞれの宿主に好適な公知の方法を用いることができ、例えば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、更には、大腸菌では、高温ショック法、メタノール酵母では、リチウム酢酸法、等がある。【0021】形質転換体としては、具体的には、本件カテプシンC様酵素をコードする遺伝子を、例えば、pET11-aに組み込んだベクターで形質転換した大腸菌、FDHIプロモータを有するpMFXU4に組み込んだベクターで形質転換したメタノール酵母、バキュロウイルスのプロモータを用いたベクターに組み込んで導入した昆虫由来の細胞株の形質転換体がある。【0022】更に、本願発明には、形質転換体を培養する工程、得られる培養物よりカテプシンC様酵素を回収する工程を含む、カテプシンC様酵素活性を有する酵素蛋白の形質転換体を用いた製造方法並びに当該製造方法で得られたカテプシンC様酵素も包含される。【0023】更に、本願発明には、進化工学的手法により至適温度を37度付近に改変した歯磨き洗浄剤にとくに好適なカテプシンC様酵素も包含する。【0024】【実施例】以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。【0025】[実施例1] パイロコッカスホリコシの培養とカテプシンC活性の検出13.5gのNaCl、4gのNa2SO4、0.7gのKCl、0.2gのNaHCO3、0.1gのKBr、30mgのH3BO3、10gのMgCl2・6H2O、1.5gのCaCl2、25mgのSrCl2、1.0mLのレザスリン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを蒸留水1Lに溶かした培養液15Lを30分加圧殺菌した。常圧に戻った後、乾熱滅菌した粉末硫黄を0.1-0.2%となるように加えた。次ぎに窒素ガスを飽和し、別に加圧滅菌した25%硫化ナトリウム溶液を10mL加えて、レザスリン溶液のピンク色が着色しないことを確認して嫌気性としたのち、パイロコッカスホリコシ菌を培養液1.5Lを接種し、95℃で22時間毎分100回転の撹拌をしながら培養した。【0026】培養液沈澱の活性は、培地を遠心分離し、沈澱を培地の50mMのトリス緩衝液に懸濁し凍結融解、超音波処理をして抽出した細胞結合部分の活性は2.97単位/mL培養液の活性があった。一方培養液上清の活性は、そのままでは活性が検出できなかったがメンブランフィルターで2倍に濃縮後測定すると237.84単位/mL培養液の活性があった。カテプシンC活性は、H-Gly-Phe-p-nitroanilide(Bachem社製)を用いて測定し、1分間に1マイクロモルのパラニトロアニリドを遊離する量を1単位とした。蛋白mgあたりの活性は154.8であった。【0027】[実施例2] カテプシンC様酵素の精製実施例1で得られた酵素液を疎水性クロマトグラフ(Hiload16/10Phenyl Sepharose アマシャムバイオサイエンス社製)を100mM燐酸ナトリウム緩衝液pH7.5硫安濃度を1モルで吸着させ、活性部分は硫安濃度0モルで溶出した。比活性は6,200になり収率は31%であった。本酵素は、疎水性カラムに吸着する疎水性蛋白である。【0028】陰イオン交換樹脂(HiTrap Q SepharoseHPアマシャムバイオサイエンス社製)に前述の疎水性クロマトグラフ溶出液を吸着させ10Mトリス緩衝液pH8で洗浄した。活性は0.3-0.4Mの食塩濃度の時に溶出した。比活性は7,137になり収率は10.7%であった。本酵素は、陰イオン交換樹脂に吸着する酸性蛋白である。【0029】ゲルろ過クロマトグラフ(Hiload26/60Sephadex200prepgradeアマシャムバイオサイエンス社製)にかけた。50mMの燐酸ナトリウム緩衝液で溶出すると溶出液234mLの分子量160±20kDに相当するところに活性ピークが存在した。比活性は12,578になり収率は6.5%であった。また、この画分をSDS電気泳動にかけると62±2kDの主成分と41±1kDの微少成分のバンドが検出された。したがって本酵素は、低重合体構造をとる蛋白であった。【0030】電気泳動で精製したタンパクのN末端分析を行なうとTSIEWDEKTFでありアミノ酸配列であった。アミノ酸配列は、配列番号1の配列で、そのアミノ酸配列コードする核酸配列は配列番号2の配列である。【0031】[実施例3] 酵素の酵素学的性質カテプシンC活性は、200mMのH-Gly-Phe-p-nitroanilide(Bachem社製)1μL、50mM燐酸ナトリウム緩衝液pH7.5を949μL酵素液50μLの混合溶液を80℃で反応させ406nmの吸光度変化を観察し、パラニトロアニリドの分子吸光度9.91mMとして、1分間に1マイクロモルのパラニトロアニリドを遊離する量を1単位とした。【0032】塩素イオンの含まれていない酵素液に10mM,20mM,30mM,40mMの食塩を入れて活性測定したが、塩素イオンの添加による活性上昇は観察されなかった。従って、本酵素の活性発現には食塩は必要でなく、食塩を添加するための味の変化を受けることがなく本酵素は使用できる。【0033】反応温度は、精製酵素の至適反応温度は80℃であった(表1)。粗酵素の場合は、ばらつきが多いが、至適反応温度は90-100℃、37℃では至適温度の28%の活性があった。【0034】【表1】【0035】精製酵素の反応pHを表2に示す。pH7-8で100%の高活性に達した。したがって反応至適条件は、pH7-8、80℃である。【0036】【表2】【0037】精製酵素のカテプシンCの蛍光基質に対する生産物の相対活性を示す。表3のように本酵素は各種のカテプシンC基質を分解する。【0038】【表3】【0039】また、本精製酵素は、インシュリンB鎖のような長鎖に対する分解活性を有する。精製酵素の阻害剤との挙動は表4に示す。【0040】【表4】【0041】上記阻害剤は、セリン酵素の阻害剤(PMSF(phenylmethylsulfonyl fluoride), TLCK(N-tosyl-L-phenylalaninecholomethyl ketone),DFP(diisopropyl fluorophosphate),金属酵素阻害剤(o-phenanthrolin), EDTA (ethylenediaminetetraacetic acid),SH酵素阻害剤(2-ME(2-mercaptoethanol),及びシステイン酵素阻害剤(NEM(N-ethylmalaimide), MIA(monoiodoacetic acid),Cystatinである。【0042】以上の結果から、セリン酵素阻害剤、金属酵素阻害剤、システイン酵素阻害剤ともに阻害したので、本件カテプシンC様酵素は、セリン、金属、システインが活性発現に関与していることは推定される。【0043】[実施例4] カテプシンC様酵素の遺伝子工学的製造(1)染色体DNAの調製Pyrococcus horikoshii((JCM9974、JCM微生物カタログ第7版(1999)を実施例1のごとく培養し、培養菌体を集菌し緩衝液で洗浄後、SDS存在下プロテイナーゼKで菌体を分解後クロロホルムフェノール溶液で変性タンパク質を除去した後、核酸をアルコール沈澱させた。粗精製核酸をRNaseを働かせRNAを除去し、パイロコッカスホリコシ菌のDNAを得た。【0044】(2)カテプシンC様酵素遺伝子を含むプラスミドの調製カテプシンC様酵素遺伝子と推定されるORFを調製するためのPCR反応のプライマーを設計した。そのプライマーを用いて、上記のDNAを鋳型としてPCR反応条件を検討したところ次ぎの条件が適していることが判明した。The upper primer(5'GTG ATA CCC ATA TGA CTT CTA TCG AAT G3'下線部はNde I site);the lower primer(5'GCT CGG ATC CAG TCA ATA AGA3'下線部はBam HI site)アニーリング温度59度調製した遺伝子は、ベクタープラスミド(pET-11a novagen社製)に結合させカテプシンC様酵素遺伝子を含むプラスミドを調製した。【0045】(3)酵素の大腸菌への導入上記調製したプラスミドをコンピテンシーの高い大腸菌(XL2-Blue MRF' stratagene社製)に形質導入した。【0046】(4)酵素の生産と精製上記大腸菌から精製したプラスミドを酵素生産用の大腸菌(BL21-Codon Plus(DE3)RIL stratagene社製)に導入し、その大腸菌を37℃で培養した。一夜培養後,IPTGを加え37℃で4時間培養した。培養液を遠心分離して菌体を集め、凍結融解してカテプシンC酵素を抽出した。抽出液は、85℃、30分間熱処理し、熱変性しやすいタンパクを沈澱除去し上清の活性を測定した。上述のように調製したプラスミドで形質転換した形質転換体の上清を酵素液としH-Gly-Phe-p-nitroanilideに反応させた。生産量は、培養液mLあたり31単位の活性が生産された。本酵素は、通常のように37℃で培養してもインクルージョンボデーにならず、活性のあるカテプシンC様酵素が短時間に高活性で生産された。【0047】[実施例4] カテプシンC様酵素活性に対する界面活性剤の影響実施例2で調製した本件精製酵素に対する界面活性剤の影響を、濃度を変えて測定した。その結果を下記表に示す。【0048】【表5】【0049】【発明の効果】反応動力学的解析によると、この酵素のGly-Phe-p-naphthylamideに対する最大反応速度は、1.55x105/secであり、非常に大きな反応速度を示した。非常に効率の良い酵素であり、かつ高温でも使用できることから、種々の洗浄などに用いることが可能で、極めて有用な酵素である。【0050】【配列表】 次の特性を有するカテプシンC様酵素;(1)至適反応温度が75−85℃、(2)至適反応pHがpH7−8、(3)活性発現に塩素イオンを要求しない、(4)分子量が160±20kDである。 パイロコッカス属に属する菌を培養することによって得られる請求項1記載のカテプシンC様酵素。 パイロコッカス属に属する微生物がパイロコッカスホリコシである請求項2項記載のカテプシンC様酵素。 パイロコッカス属に属する微生物を培養し、その培地から請求項1−3いずれか一の請求項に記載のカテプシンC様酵素をゲルろ過クロマトグラフを用いて回収することを含むカテプシンC様酵素の製造方法。 下記(a)〜(d)のいずれかに記載された核酸を含む発現ベクターを用いて、宿主細胞を形質転換することを含む、請求項1−3いずれか一の請求項に記載のカテプシンC様酵素の製造方法;(a)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が欠失、置換、または付加されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列であり、且つカテプシンC活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、(c)配列表の配列番号2に記載のポリヌクレオチド配列を含む、単離された核酸、(d)配列表の配列番号2に記載のポリヌクレオチド配列の相補的な鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、且つカテプシンC活性を有するポリペプチドをコードする、単離された核酸。 請求項5記載の発現ベクターを用いて、宿主を形質転換することにより製造されたカテプシンC様酵素。