生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_おり下げ剤
出願番号:2003052224
年次:2007
IPC分類:C12H 1/10,C12G 3/02,C12G 3/04,C12G 3/08


特許情報キャッシュ

櫻井 英雄 中島 芳晃 永崎 直樹 JP 3982757 特許公報(B2) 20070713 2003052224 20030228 おり下げ剤 キッコーマン株式会社 000004477 櫻井 英雄 中島 芳晃 永崎 直樹 20070926 C12H 1/10 20060101AFI20070906BHJP C12G 3/02 20060101ALI20070906BHJP C12G 3/04 20060101ALI20070906BHJP C12G 3/08 20060101ALI20070906BHJP JPC12H1/10C12G3/02 119UC12G3/04C12G3/08 102 C12H 1/10 C12G 3/02 C12G 3/04 C12G 3/08 特開平08−056642(JP,A) 特開2004−254666(JP,A) 特開2004−049092(JP,A) 特開2001−352966(JP,A) 4 2004254667 20040916 8 20050714 小柳 正之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、酒類本来の風味を損なうことなく且つおり下げ効率のよい酒類のおり下げ剤、および該おり下げ剤を用いる酒類の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】清酒やみりんなどの酒類は、微生物菌体や原料由来の濁り物質(以下「おり」という)を含んでおり、おり下げやおり引きを行なうことにより、清澄な高品質の製品を製造することができる。特に火入れを行なった後や長期保存によっておりが生じ易く、これらのおりは商品の価値を損なうため、できるだけ効率よくおりを除去することが必要とされている。特にみりんの調理時の加熱(煮切り)により発生するおりは、透明感とてりを重視する料理にとって大きな欠点となる。現在、酒類の製造には、寒天、柿タンニン、珪藻土、酸性白土およびベントナイトなどのおり下げ剤が用いられている。また、種々のシリカゾルがおり下げ剤として、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これらのおり下げ剤は、おり下げ効率の点からも充分とは言えないものもある。また、みりんのおり下げについては、おり下げ後に糖質を混合する工程を含有する製造方法(例えば、特許文献2参照。)や、さらにみりんの調理時の加熱(煮切り)により発生するおりを除去する方法として、プロテアーゼ製剤の利用やもち米の塩酸浸漬方法などが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、これらの方法も操作の煩雑性、除去効率、品質などの点で有効な方法とは言えない。一方、卵白、ゼラチン、小麦グルテン等の蛋白もおり下げ剤として、主に、柿タンニンの助剤として、柿タンニンと併せて用いられているが、これらの蛋白は単独使用では有効なおり下げ剤としては用いられていない(例えば、非特許文献2参照。)。最近、清酒のおり下げ方法として、柿タンニン−ゼラチン法のゼラチンの代わりに生原酒を分画分子量30,000の限外ろ過処理後、熱処理した蛋白濃縮液を用いる方法が報告されている(例えば、非特許文献3参照。)。しかし、この方法は、清酒の蛋白を用いる清酒おりのおり下げ方法であり、この方法に用いられるおり下げ剤を得るには複雑な製造工程を必要とし、さらに他のおり下げ剤、柿タンニンと共に用いる方法であることから、単独ではおり下げ剤として用いられず、該方法を広く他の酒類の製造に利用することは難しい。【0003】【特許文献1】特開2001−352966号公報【特許文献2】特開平8−56642号公報【非特許文献1】内田 正裕、井上 浩、 醗工、45、1967年、p.624【非特許文献2】醸造用資材規格協議会編集、「日本酒用資材Q&A」、日本醸造協会発行、1998年、p.153〜154【非特許文献3】山中博司、他3名、2002年度日本醸造学会 講演要旨集 2002年、p.16【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、酒類の本来の味や香りなどの風味を損なうことなく、食品の安全性重視の流れにそった植物食品由来のおり下げ剤で、なおかつ、単独で利用でき、おり下げ効率の点からも優れたおり下げ剤を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、みりんもろみに含まれる物質が、単独で酒類、特にみりんの火入れおりを効率よく除去することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、みりんもろみの液体部を水で希釈して得られる混濁物質を有効物質として含有することを特徴とするおり下げ剤であり、みりんもろみの液体部に水を加えて希釈し、生成した混濁物質を取得する工程を含むことを特徴とするおり下げ剤の製造方法である。さらに本発明は、酒類の製造方法において、該酒類に上記おり下げ剤を加える工程を含むことを特徴とする酒類の製造方法である。【0006】【発明の実施の形態】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、みりんもろみとは、一般に、みりんや酒精含有甘味調味料などの製造工程において、米又は蒸煮米及びアミラーゼ作用により得られる米の液化物を米麹および焼酎などとともに仕込み、糖化、熟成して得られるもろみを言う。すなわち本発明では、蒸煮した米を麹菌とアルコールの存在下糖化熟成させて得られたもろみは、全て本発明のみりんもろみに含まれる。一般に、仕込み後、7日〜70日経過して熟成したみりんもろみが本発明では、好ましく用いられる。例えば、蒸したもち米または粳米と、米麹と水とアルコールとを混和し、麹菌酵素で糖化熟成させて得られるみりんもろみなどが好ましく、蒸もち米3Kgに米麹60gを加え、さらに40%エタノール液2160mLを添加して、20〜35℃で2〜3週間保持して得られるみりんもろみなどが一例として挙げられる。【0007】みりんもろみの液体部とは、みりんもろみから粕などの不溶物を除いた液体部を言い、通常上記もろみを圧搾処理し、得られた搾汁液を言う。液体部を得る方法としては、適宜本発明に好ましい方法であれば、如何なる方法でも用いることができるが、例えば、種々の圧搾法、遠心分離法、減圧膜ろ過法、加圧膜ろ過法、静置デカント法など、好ましくは、食品分野で用いられている圧搾法や遠心分離法、静置デカント法などが挙げられる。これらの液体部のアルコール濃度は、一般に7%以上、好ましくは10%以上である。【0008】 次に、本発明に用いられる水としては、例えば、飲食品の製造に用いられる、飲料用水や天然水、蒸留水などが挙げられる。本発明では、上記水を用いてみりんもろみの液体部を希釈する。すなわち、みりんもろみの液体部1部に対して上記水を0.01〜300部、好ましくは1〜20部加えて、均一に攪拌、混合する。この場合、みりんもろみの液体部のアルコール濃度を14%以下、好ましくは0.4〜12%以下になるように添加する。希釈方法は、水にみりんもろみの液体部を添加しても、みりんもろみの液体部に水を添加してもよく、また、直接一度に添加しても、少量ずつ添加してもよい。適宜攪拌するなど混合することにより、最終的にみりんもろみの液体部と水の均一な希釈液を得ることができれば、如何なる方法も用いることができる。 みりんもろみの液体部を水で希釈することにより、希釈液中に本発明のおり下げ剤である混濁物質が生成する。この希釈により生成する混濁物質をおり下げ剤として用いることができる。通常、1時間以上静置したのち生成した混濁物質を用いることが好ましい。次に、希釈液から生成した混濁物質を取得する。取得する方法としては、一般に食品製造工程において、通常用いられている混濁物質を取得、除去する方法などを用いることができる。例えば、遠心分離法、膜ろ過法、ろ過助剤を用いるろ過法などが挙げられる。遠心分離法により混濁物質を取得する場合は、例えば、日立製himacCR21型、日立製himacCF7D2型などの遠心分離器を用いて、混合液を100rpm〜30,000rpm、好ましくは500rpm〜3,000rpmで3分〜1時間、好ましくは10分〜30分、もしくは連続的に遠心分離をして、取得する。膜ろ過法により混濁物質を取得する場合は、セルロース膜や限外ろ過膜(UF膜)などを用いて、圧力差により混濁物質をろ別することができる。またセライトなどのろ過助剤を用いてろ別することもできる。取得された混濁物質は、そのままおり下げ剤として用いることができるが、さらに自然乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥などの方法により適宜乾燥して粉末状の本発明のおり下げ剤を得ることができる。このようにして、例えば、みりんもろみの液体部1Lから0.01〜1g、好ましくは0.1〜0.5gの粉末の本発明おり下げ剤を取得することができる。また、みりんもろみの液体部に水で希釈して得られる混濁物質は混合液の下方に自然に沈殿するため、上澄みを除くことにより効率よく混濁物質を含む区分を取得することができる。用途によっては、得られた混濁物質を含む懸濁液をそのままおり下げ剤として用いることもできる。上記おり下げ剤を製造する場合の温度は、通常の食品の製造に用いられる温度でよく、室温でも、低温でもよい。このように簡単な製造方法により本発明のおり下げ剤を製造することができる。【0009】 本発明の有効物質とは、以下に述べるように、本発明の酒類の製造において、単独で添加しても優れたおり下げ効果を有する物質を言い、上記したみりんもろみの液体部を水で希釈して得られる混濁物質を言う。【0010】本発明のおり下げ剤は、上記有効物質を含有する混濁物質を含有していればすべて本発明に含まれ、混濁物質に酒類の他の成分や物質が混入していても、有効物質を含有している限り本発明に含まれる。例えば、上記有効物質を含有する原料のみりんもろみやみりんもろみの液体部もおり下げ剤として用いることもできるが、特に、本発明の方法によって得られた混濁物質そのものを本発明のおり下げ剤として用いることが好ましい。本発明のおり下げ剤の保存性を向上させるため、食品に添加できる各種安定剤や各種殺菌剤などの物質を適宜添加することもできる。これらの物質としては、グリセリンや乳酸などが挙げられる。次に、本発明のおり下げ剤を用いる酒類の製造方法について説明する。本発明のおり下げに好適に用いられる酒類としては、みりん、清酒、リキュールなどが挙げられ、それらの中でもみりん、リキュールなどが特に好適な酒類として挙げられる。本発明では、これらの酒類に本発明のおり下げ剤を添加し、攪拌することにより、柿タンニンなどの他のおり下げ剤と併用することなく、単独で該酒類に含まれるおり成分を有効に凝集沈殿せしめることができる。【0011】本発明の酒類のおり下げは、酒類の製造方法において、該酒類に本発明のおり下げ剤を加え、適宜、攪拌、混合することにより行なう。この本発明のおり下げ剤を加える工程は、酒類の製造工程中どの段階においても行なうことができる。例えば、好ましい方法としては、酒類の製造方法において、火入れ工程を行なった後に生じたおりを除くことが一般的に行なわれていることから、製造工程のうちでも、本発明のおり下げ剤を加えた後、火入れ工程およびろ過工程を行なうことが特に有効である。例えば、本発明のおり下げ剤を添加し、均一になるように攪拌した後、80℃〜120℃達温、又は達温後〜90秒保持する火入れを行なうことにより、通常のおり下げに比べて、少量の添加量で、短時間でより多くのおりを凝集沈殿せしめることができ、より効率的におり下げを行なうことができる。この場合、火入れ前の酒類に添加する本発明おり下げ剤の添加量は、用いる酒類の種類、製造方法の違いなどによって異なり、例えばみりんの場合、本発明おり下げ剤(粉末)を0.0005%(w/v)以上、特に好ましくは0.002%(w/v)以上添加する。本発明では、本発明のおり下げ剤を加えた後、火入れ工程及び/又はろ過工程を行なった後に、一定時間貯蔵後に生じたおりを除くことも有効である。また、火入れ工程及び/又はろ過工程を実施後、該酒類に本発明のおり下げ剤を加えることによりおり下げを行なう場合、本発明のおり下げ剤の添加量を少なくすることもできる。また本発明おり下げ剤を加える工程を含む本発明の酒類の製造方法においては、酒類の種類や用途によっては、適宜、他の工程、例えば火入れ工程やろ過工程などの工程を省略することができる。さらに、他のおり下げ剤(例えばベントナイト等)と同時に添加し、併用することや、本発明のおり下げ剤によるおり下げ処理と他のおり下げ剤によるおり下げ処理とを組み合わせて用いることも有効である場合もある。このようにして、本発明のおり下げ剤を加える工程を行なった後、製品とされ、もしくはその後の製造工程に供される。すなわち、酒類の製造方法において、本発明のおり下げ剤を加える工程を含む酒類の製造方法は、すべて本発明の酒類の製造方法に含まれる。このように、本発明のおり下げ剤を用いる製造方法により、おり下げ剤を複数併用することなく、単独のおり下げ剤で有効に酒類のおりを除去できるため、製造工程を簡略化できるばかりでなく、原料がみりんもろみ由来であるため、安全性重視の流れにそった、食品本来の風味を損なうことのない、品質の安定した酒類を製造することができる。特にみりんの場合、本発明の製造方法により製造されたみりんは、調理時の加熱(煮切り)により発生するおりが効率的に除去されている。(おりの検出および測定方法)火入れおりの検出は米国ハック社製の101型濁度計を用い、標準物として、ホルマジン溶液を使用する。表示単位はNTUである。なお、ホルマジン溶液1ppmの濁度が1NTU単位である。【0012】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。実施例1(本発明おり下げ剤の製造)みりんもろみを圧搾し、固液分離した後、その液体部2.4Lをステンレス等の容器(20L容)に採取し、次に蒸留水14L加え、攪拌した(室温)。その後、低温室(10℃以下)に一夜静置し、沈殿物を十分に生成させた。次にアドバンテック東洋社製ガラス繊維ろ紙GS−25にて生成沈殿物をろ別した。得られた粗おり下げ剤を水1Lに分散し、残存する糖成分などを溶解・除去して精製処理をし、再度ろ過操作を行なった。その後、ヤマト社製真空乾燥器を用いて真空乾燥を行い、目的物1.3gを得た。実施例2(本発明のおり下げ剤を用いるみりん火入れ液の製造−1)製造ロットの異なる5種のみりんもろみ(A〜E)100mlに実施例1で得られたおり下げ剤を0.04W/W%添加し、圧搾した。固液分離後の液体部60mlを密閉耐圧びん100mlに採取し、火入れした。(95℃到達後、90秒保持)火入れ後、室温に冷却し、30℃にて2日間静置した。2日後の上澄液を採取し、アドバンテック東洋社製定性ろ紙 No.1にてろ過後(自然垂れ)、ハック濁度計にて測定した。結果を表−1に示した。製造ロットの異なる5種のみりんもろみ(A〜E)について、何れの場合においても本発明のおり下げ剤を添加することにより、火入れ後の上澄み液濁度が有効に減少しており、本発明のおり下げ剤が、圧搾前のみりんもろみについて優れたおり下げ効果を有していることが示された。【0013】表―1みりんもろみへのおり下げ剤の添加効果(圧搾前)【0014】実施例3(本発明のおり下げ剤を用いるみりん火入れ液の製造−2)製造ロットの異なる4種のみりんもろみ(A〜D)100mlを圧搾して固液分離した後、得られたそれぞれの液体部60mlを密閉耐圧びん100mlに採取し、実施例1で得られたおり下げ剤を0.04W/V%添加し、火入れした(95℃到達後、90秒保持)。火入れ後、室温に冷却し、30℃にて2日間静置した。2日後の上澄液を採取し、アドバンテック東洋社製定性ろ紙 No.1にてろ過後(自然垂れ)、ハック濁度計にて測定した。結果を表−2に示した。製造ロットの異なる圧搾後の4種のみりんもろみ(A〜D)について、何れの場合においても本発明のおり下げ剤を添加することにより、火入れ後の上澄み液濁度が有効に減少しており、本発明のおり下げ剤が、圧搾により固液分離した後のみりんもろみ液についても、優れたおり下げ効果を有していることが示された。表−2 みりんもろみへのおり下げ剤の添加効果(圧搾後)【0015】実施例4(各種おり下げ剤のおり下げ効果の比較)みりんもろみ500mlを圧搾して固液分離した後、その液体部60mlを密閉耐圧びん100mlに採取し、実施例1で得られたおり下げ剤0.04W/V%を添加した。おり下げ剤を液体部に溶解または分散させた後、火入れをした(95℃到達後、90秒保持)。火入れ後、室温に冷却し、30℃にて2日間静置した。2日後の上澄液を採取し、アドバンテック東洋社製定性ろ紙 No.1にてろ過後(自然垂れ)、ハック濁度計にて測定した。一方、対照には、ゼラチン((株)ニッピ製)0.004W/V%と柿しぶ(岩本亀太郎商店製)0.03W/V%の2物質を合わせたものを用いた。対照で用いたおり下げ剤についても上記本発明おり下げ剤添加時と同様な処理をして濁度を測定し、おり下げの効果を比較した。結果を表−3に示した。実施例1で得られた本発明おり下げ剤は、おり下げ剤として対照のゼラチン+柿しぶを用いたときの効果に比べて、ほぼ同等かそれ以上のおり下げ効果を示した。【0016】表−3 みりんもろみへの各種おり下げ剤の添加効果(火入れ時)【0017】実施例5(本発明のおり下げ剤を用いる梅酒のろ過液の製造)通常の梅酒の製造方法に従い、仕込み液の上清を得た。このおり引きをした梅酒60ml(濁度:11.7NTU)に対し、実施例1で得られた本発明おり下げ剤0.04W/V%を室温にて添加し、スターラーで10〜60分間攪拌して梅酒中のおりをおり下げ剤に接触させた。その後、一晩室温にて静置し、上澄液をアドバンテック東洋社製定性ろ紙 No.1にてろ紙ろ過をした(自然垂れ)。得られたろ液をハック濁度計にて測定した。対照としては上記梅酒60mlに対し、おり下げ剤としてゼラチン((株)ニッピ製)0.004W/V%とベントナイト(関ベン鉱業(株)製)0.160W/V%の2物質を添加したもの及びベントナイト(関ベン鉱業(株)製)0.160W/V%のみを添加したものを用いた。それぞれ本発明おり下げ剤添加時と同様な処理をして、濁度を測定した。本発明のおり下げ剤は、従来のおり下げ剤であるゼラチンとベントナイト及びベントナイトのみに比べて、ろ過後の濁度(NTU)は著しく低下しており、優れたおり下げ効果を有していることが示された。次に、本発明おり下げ剤にベントナイト0.160W/V%を合わせて添加すると、ろ過後の梅酒の濁度(NTU)は、さらに一段と低下した。すなわち、本発明のおり下げ剤に他のおり下げ剤を併用することにより、さらに一段とおり下げ効果を上げることができた。なお、おり下げ剤無添加とは、梅酒におり下げ剤を添加せず、梅酒60mlをスターラーで10〜60分間攪拌した後、一夜間室温にて静置し、上澄液をアドバンテック東洋社製定性ろ紙 No.1にてろ紙ろ過をし(自然垂れ)、得られたろ液をハック濁度計にて測定したもので、ブランク値とした。表−4 梅酒へのおり下げ剤の添加効果(ろ過時)【0018】【発明の効果】本発明のおり下げ剤は、酒類であるみりんのもろみから簡単な製造方法により得られる安全性重視にそった食品由来のおり下げ剤であり、通常のおり下げ剤に比べて、単独でかつ少量の添加量で、短時間により多くのおりを凝集沈殿せしめることができ、より効率的におり下げを行なうことができる。さらに、本発明のおり下げ剤を用いる製造方法により、食品本来の風味を損なうことのない、品質の安定した酒類を製造することができる。特にみりんの場合、本発明の製造方法により製造されたみりんは、調理時の加熱(煮切り)により発生するおりが効率的に除去されている。 みりんもろみの液体部を水で希釈して得られる混濁物質を有効物質として含有することを特徴とするおり下げ剤。 みりんもろみの液体部に水を加えて希釈し、生成した混濁物質を取得する工程を含むことを特徴とするおり下げ剤の製造方法。 酒類の製造方法において、該酒類に請求項1に記載のおり下げ剤を加える工程を含むことを特徴とする酒類の製造方法。 酒類がみりん、清酒又はリキュールである請求項3に記載の酒類の製造方法。


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