タイトル: | 特許公報(B2)_スルホン酸誘導体及び導電性高分子材料 |
出願番号: | 2003019330 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 309/42,C08K 5/42,C08L 65/00,C08L 79/00,H01B 1/12,H01G 9/028,H01G 9/14 |
安部 浩司 竹本 博文 三輪 孔之 JP 4078995 特許公報(B2) 20080215 2003019330 20030128 スルホン酸誘導体及び導電性高分子材料 宇部興産株式会社 000000206 安部 浩司 竹本 博文 三輪 孔之 JP 2002022784 20020131 20080423 C07C 309/42 20060101AFI20080403BHJP C08K 5/42 20060101ALI20080403BHJP C08L 65/00 20060101ALI20080403BHJP C08L 79/00 20060101ALI20080403BHJP H01B 1/12 20060101ALI20080403BHJP H01G 9/028 20060101ALI20080403BHJP H01G 9/14 20060101ALI20080403BHJP JPC07C309/42C08K5/42C08L65/00C08L79/00 AH01B1/12 ZH01G9/02 331GH01G9/14 A C07C 309/42 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特表2001−521504(JP,A) 特開平04−204454(JP,A) 特開平03−064368(JP,A) 6 2003292480 20031015 24 20050204 櫛引 智子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩、およびその共役塩基をπ電子共役系の分子構造を有する高分子物質中に導入しえるドーパント剤に関する。また、本発明は、前記スルホン酸の共役塩基を含有する導電性高分子材料およびそれを用いた固体電解コンデンサに関する。更に詳しくは、本発明は、新規なジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩、その共役塩基をπ電子共役系の分子構造を有する高分子物質中に導入しえるドーパント剤、導電性および耐熱性に優れた固体電解コンデンサの製造に好適な導電性材料およびそれを陰極導電材料として用いた固体電解コンデンサに関する。【0002】【従来の技術】近年、キャパシタ電極材料、電池電極材料、帯電防止材、光機能素子、センサ等のエレクトロニクスの分野で導電性高分子材料が開発され、実用化されつつある。【0003】例えば、固体電解コンデンサには、タンタル、アルミニウムなどの金属を陽極とし、この陽極表面にタンタル、アルミニウムなどの酸化被膜を誘電体として形成させ、一方二酸化マンガンやテトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯塩を陰極とするものが開発されている。しかしながら、二酸化マンガンを陰極とする固体電解コンデンサを使用すると、二酸化マンガンの導電性が小さいために高周波領域でのインピーダンスが大きくなったり、またTCNQ錯塩が熱分解しやすいために耐熱性が乏しいこと等が指摘されている。【0004】一方、導電性高分子材料としてポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどのπ電子共役系高分子に、電子受容性化合物をドーパントとしてドープしたものが開発されており、これらを前記の固体電解コンデンサの陰極として用いると、これら導電性高分子物質は、二酸化マンガンよりも導電性が高く、またTCNQ錯塩よりも耐熱性に優れるという特性が見出されている。【0005】この特性に注目して、これらの導電性高分子物質を陰極として使用した固体電解コンデンサについて、多くの改良の提案がなされている。例えば、特開昭60−37114号公報には、ドーパントがドープされた複素5員環化合物重合体を固体電解質とする固体電解コンデンサが開示されおり、また、特開平6−29159号公報には、ポリアニリンを固体電解質とする固体電解コンデンサが記載されている。【0006】一方、導電性高分子物質に含有されるドーパントとしては、酢酸や安息香酸などのカルボン酸や、各種スルホン酸が、多く提案されている。例えば、特開平3−62451号公報、特開平9−134850号公報、特開10−284351公報などには、ドーパントとしてベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩化ベンゼンスルホン酸等の芳香族ベンゼンスルホン酸のようなものが開示されている。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、情報電子機器用素子には一層の高性能化および高信頼性が求められてきており、さらに導電性が高く、しかも耐熱性に優れ熱的安定性に優れた導電性材料の開発が望まれている。本発明の目的は、導電性が高く、しかも耐熱性に優れた導電性高分子材料のためドーパントとして有用な新たな構造の化合物およびドーパントを提供することを目的とする。さらに、本発明の目的は、前記ドーパントを用いた導電性が高くしかも耐熱性に優れた導電性高分子材料と固体電解コンデンサの提供を目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】 本発明は、下記化学式〔5〕〜〔10〕のいずれかで表されるジフェニルエーテルスルホン酸の鉄塩に関する。【化11】【化12】【化13】【化14】【化15】【化16】【0011】 さらに、本発明は、下記一般式〔1〕で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩からなることを特徴とするドーパント剤に関する。【化17】(ここで、Yは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基からなる群から選ばれた基のいずれかであり、複数存在する場合は同じでも異なっていても良い。ここで、nは1から5の整数を示す。)【0012】また、本発明は、π電子共役系の分子構造を有する高分子物質中に前記一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の共役塩基を含有していることを特徴とする導電性高分子材料に関する。【0013】前記π電子共役系の分子構造を有する高分子物質は、下記一般式[2][3]または[4]で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する共役系高分子物質からなることが特に好ましい。【0014】【化18】【0015】【化19】【0016】【化20】【0017】上記の式中R1〜R8は互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、またはアルコキシ基である。【0018】さらに、本発明は、前記導電性高分子材料を陰極導電性材料として含むことを特徴とする固体電解コンデンサに関する。【0019】さらに、本発明は、前記一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の、鉄、銅、コバルト、ルテニウムのうち少なくとも1つの塩の存在下、前記一般式[2]、[3]、[4]の少なくとも1種の繰り返し単位を構成しうる単量体を重合させることを特徴とする前記導電性高分子材料の製造方法に関する。【0020】【発明の実施の形態】本発明に係わるスルホン酸およびその遷移金属塩、並びにドーパント剤、導電性高分子材料およびそれを用いた固体電解コンデンサについて具体的に説明する。【0021】本発明に係わるスルホン酸は、下記一般式[1]で表され、ジフェニルエーテル骨格を有し、エーテルを構成する酸素原子に対してパラ位にスルホン酸基を1つのみ有することを特徴とする。エーテルを構成する酸素原子に対してパラ位にスルホン酸基を1つのみ有することにより、スルホン酸基を2つ以上有するジフェニルエーテルスルホン酸では達成できない優れた導電性およびその耐熱性の両特性を備えた導電性高分子材料を提供することが出来る。【0022】【化21】【0023】ここで、Yは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基からなる群から選ばれた基のいずれかであり、複数存在する場合は同じでも異なっていても良い。ここで、nは1から5の整数を示す。)【0024】上記一般式[1]のYに係わるアルキル基(以後、R9−と表す)としては、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基が挙げられ、さらに、これらのアルキル基に炭化水素基や特性基が置換したアルキル基であってもよい。【0025】直鎖状アルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。分岐状アルキル基の具体例としてはイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルへキシル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。環状アルキル基の具体例としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−ノルボニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0026】置換アルキル基における置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基(RO−)、アルキルチオ基(RS−)、アリールオキシ基(ArO−)、アリールチオ基(ArS−)、アルキルカルボニル基(−C(=O)R)、アリールカルボニル基(−C(=O)Ar)、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR)、アリールオキシカルボニル基(−C(=O)OAr)、アルキルカルボニルオキシ基−OC(=O)R)、アリールカルボニルオキシ基(−OC(=O)Ar)、アミノ基(−NH2)、N−アルキルアミノ基(−NHR)、N,N−ジアルキルアミノ基(−NRR’)、N−アリールアミノ基(−NHAr)、N,N−ジアリールアミノ基(−NArAr’)、N−アルキル−N−アリールアミノ基(−NRAr)、アルキルカルボニルアミノ基(−NH−C(=O)R)、アリールカルボニルアミノ基(−NH−C(=O)Ar)、カルバモイル基(−C(=O)NH2)、N−アルキルカルバモイル基(−C(=O)NHR)、N,N−ジアルキルカルバモイル基(−C(=O)NRR’)、N−アリールカルバモイル基(−C(=O)NHAr)、N,N−ジアリールカルバモイル基(−C(=O)NArAr’)、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基(−C(=O)NRAr)、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルフィニルオキシ基、アリールスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ホルミル基、シアノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、ニトロ基およびハロゲン原子などを挙げることができ、これらの置換基中のアルキル(R、R’)およびアリール(Ar、Ar’)は前述のアルキル基(R9−)および後述のアリール基(Ar1−)として示したものと同義である。【0027】置換アルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘキシル−1−メチルエチル基、ベンジル基、2−メトキシエチル基、2−メチルチオエチル基、2−フェノキシエチル基、2−フェニルチオエチル基、アセトニル基、フェナシル基、メトキシカルボニルメチル基、フェノキシカルボニルメチル基、アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、アミノメチル基、メチルアミノメチル基、N−メチル−N−エチルアミノメチル基、アニリノメチル基、N−フェニル−N−トリルアミノメチル基、N−メチル−N−フェニルアミノメチル基、アセチルアミノメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルメチル基、N−メチル−N−エチルカルバモイルメチル基、N−フェニルカルバモイルメチル基、N−フェニル−N−トリルカルバモイルメチル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイルメチル基、メチルスルフィニルメチル基、トリルスルフィニルメチル基、メシルメチル基、トシルメチル基、メチルスルフィニルオキシメチル基、トリルスルフィニルオキシメチル基、メシルオキシメチル基、トシルオキシメチル基、ホルミルメチル基、シアノメチル基、ヒドロキシメチル基、メルカプトメチル基、カルボキシメチル基、ニトロメチル基、クロロメチル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0028】上記一般式[1]のYに係わるアリール基(以後Ar1−と表す)としては、1個〜3個ベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合間を形成したもの、炭素数3〜30、ヘテロ原子数1〜5を含む複素環式アリール基およびこれらに前述の置換基が結合したものを挙げることができる。【0029】アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ピリジル基、フリル基、キノリル基、ベンゾフリル基、カルバゾール基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0030】また、その置換アリール基の具体例としては、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、t−ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル基、ビフェニル基、ビニルフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、アセチルフェニル基、ベンゾイルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、アミノフェニル基、(メチルアミノ)フェニル基、(N−メチル−N−エチルアミノ)フェニル基、(アニリノフェニル基、(N−フェニル−N−トリルアミノ)フェニル基、(N−メチル−N−フェニルアミノ)フェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルバモイルフェニル基、(N−メチルカルバモイル)フェニル基、(N−メチル−N−エチルカルバモイル)フェニル基、(N−フェニルカルバモイル)フェニル基、(N−フェニル−N−トリルカルバモイル)フェニル基、(N−メチル−N−フェニルカルバモイル)フェニル基、メチルスルフィニルフェニル基、トリルスルフィニルフェニル基、メシルフェニル基、トシルフェニル基、メチルスルフィニルオキシフェニル基、トリルスルフィニルオキシフェニル基、メシルオキシフェニル基、トシルオキシフェニル基、ホルミルフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メルカプトフェニル基、カルボキシフェニル基、ニトロフェニル基、クロロフェニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0031】アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−ノルボニルオキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、フェノキシメトキシ基、メチルチオメトキシ基、フェニルチオメトキシ基、アセトニルオキシ基、フェナシルオキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、フェノキシカルボニルメトキシ基、アセトキシメトキシ基、ベンゾイルオキシメトキシ基、アミノメトキシ基、メチルアミノメトキシ基、N−メチル−N−エチルアミノメトキシ基、アニリノメトキシ基、N−フェニル−N−トリルアミノメトキシ基、N−メチル−N−フェニルアミノメトキシ基、アセチルアミノメトキシ基、カルバモイルメトキシ基、N−メチルカルバモイルメトキシ基、N−メチル−N−エチルカルバモイルメトキシ基、N−フェニルカルバモイルメトキシ基、N−フェニル−N−トリルカルバモイルメトキシ基、N−メチル−N−フェニルカルバモイルメトキシ基、メチルスルフィニルメトキシ基、トリルスルフィニルメトキシ基、メシルメトキシ基、トシルメトキシ基、メチルスルフィニルオキシメトキシ基、トリルスルフィニルオキシメトキシ基、メシルオキシメトキシ基、トシルオキシメトキシ基、ホルミルメトキシ基、シアノメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、メルカプトメトキシ基、カルボキシメトキシ基、ニトロメトキシ基、クロロメトキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0032】アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、シクロヘキシルフェノキシ基、ベンジルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基、メチルチオフェノキシ基、フェニルチオフェノキシ基、アセチルフェノキシ基、ベンゾイルフェノキシ基、メトキシカルボニルフェノキシ基、フェノキシカルボニルフェノキシ基、アセトキシフェノキシ基、ベンゾイルオキシフェノキシ基、アミノフェノキシ基、メチルアミノフェノキシ基、N−メチル−N−エチルアミノフェノキシ基、アニリノフェノキシ基、N−フェニル−N−トリルアミノフェノキシ基、N−メチル−N−フェニルアミノフェノキシ基、アセチルアミノフェノキシ基、カルバモイルフェノキシ基、N−メチルカルバモイルフェノキシ基、N−メチル−N−エチルカルバモイルフェノキシ基、N−フェニルカルバモイルフェノキシ基、N−フェニル−N−トリルカルバモイルフェノキシ基、N−メチル−N−フェニルカルバモイルフェノキシ基、メチルスルフィニルフェノキシ基、トリルスルフィニルフェノキシ基、メシルフェノキシ基、トシルフェノキシ基、メチルスルフィニルオキシフェノキシ基、トリルスルフィニルオキシフェノキシ基、メシルオキシフェノキシ基、トシルオキシフェノキシ基、ホルミルフェノキシ基、シアノフェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基、メルカプトフェノキシ基、カルボキシフェノキシ基、ニトロフェノキシ基、クロロフェノキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0033】これらの中で、Yとしてより好適な置換基としては、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、フェニル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、フェノキシ基、炭素原子数1〜20のアルキル基が置換したフェニル基および炭素原子数1〜20のアルコキシ基が置換したフェニル基が挙げられる。【0034】前記一般式[1]で表されるスルホン酸の特に好ましい具体的な化合物として、化学式[5]から[10]で表される、フェノキシベンゼンスルホン酸(POBS)、(4−ドデシルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸(DPOBS)、(4−フェニルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸(PPOBS)、(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸(MOPOBS)、(4−ドデシルオキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸(DOPOBS)、(4−フェノキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸(POPOBS)が挙げられる。これらの中でも、化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸は、後述するように特に好ましい。【0035】【化22】【0036】【化23】【0037】【化24】【0038】【化25】【0039】【化26】【0040】【化27】【0041】一般式[1]で表されるスルホン酸は、通常、ジフェニルエーテル誘導体を硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−ピリジン錯体、アミド硫酸などのスルホン化剤を用いて反応させることによって製造することが出来る。【0042】たとえば、クロロスルホン酸によるスルホン化の場合には、無溶媒もしくは溶媒として二硫化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、液体二酸化硫黄などを用いて、反応温度を−20〜100℃、好ましくは−10〜80℃においてジフェニルエーテル誘導体中にクロロスルホン酸を滴下することによって、高収率で、一般式[1]で表されるスルホン酸を合成することができる。【0043】本発明に係わる一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩は、前記スルホン酸の共役塩基を陰イオンとし、遷移金属イオンを陽イオンとする塩からなる化合物である。これらの遷移金属の中で好ましくは、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、銀、インジウム、タングステン、レニウム、さらに好ましくはチタン、鉄、コバルト、銅、モリブデン、タングステン、ルテニウム、最も好ましくは、鉄、コバルト、銅、ルテニウムが挙げられる。前記の塩を構成する遷移金属の価数は特に限定されない。【0044】本発明に係わる一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩は、後述する導電性高分子材料に使用されるドーパント剤として優れた効果を示す。特に、化学式[5]から[10]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩が好ましく、さらに、これらの中でも、化学式[5]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸(フェノキシベンゼンスルホン酸)の遷移金属塩が好ましい。【0045】前記スルホン酸の遷移金属塩は、前記スルホン酸を遷移金属の塩基性化合物と酸塩基反応を行なうことによって合成することができる。例えば、スルホン酸の鉄(III)塩の場合には、下記の化学反応式[16]に示す反応により合成できる。【0046】Fe(OH)3 + 3AH → FeA3 + 3H2O [16](ここで、AHはスルホン酸、Aはスルホン酸の共役塩基を示す)【0047】本発明に係わる一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩からなることを特徴とするドーパント剤は、前記スルホン酸の共役塩基を陰イオンとし、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、遷移金属イオンおよびアンモニウムイオンを陽イオンとする塩からなる化合物である。【0048】前記ドーパント剤とは、π電子共役系高分子物質に導電性を付与することのできる化合物である。【0049】本発明に係わる一般式[1]で表されるスルホン酸および/またはその塩をドーパント剤として採用することにより、導電性が高くしかも耐熱性に優れた本発明の導電性高分子材料を得ることができる。特に、化学式[5]から[10]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩からなるドーパント剤は、それを使用した導電性高分子材料の導電性および耐熱性がさらに優れているので好ましく、さらに、これらの中でも、化学式[5]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸(フェノキシベンゼンスルホン酸)および/またはその塩からなるドーパント剤は、それを使用した導電性高分子材料の導電性および耐熱性が特に優れており、好ましい。【0050】したがって、優れた導電性高分子材料を得るためには、ジフェニルエーテルスルホン酸および/又はその塩からなるドーパント剤を使用する場合、前記一般式[1]の骨格にスルホン酸基を2つ以上有するスルホン酸化合物の量が少ないことが好ましい。特に、一般式[1]で表されるスルホン酸基が1つのスルホン酸化合物と、一般式[1]にスルホン酸基を2つ以上有するスルホン酸化合物が混在する場合は、前記スルホン酸化合物混合物中の前記スルホン酸基が1つのスルホン酸化合物の割合が95%以上であること、さらには、ジフェニルエーテルスルホン酸および/又はその塩からなるドーパント剤中に一般式[1]にスルホン酸基を2つ以上有するスルホン酸化合物を実質含まないことが好ましい。【0051】本発明に係わる導電性高分子材料は、π電子共役系の分子構造を有する高分子物質中に前記ジフェニルエーテルスルホン酸の共役塩基を含有していることを特徴とする。【0052】前記高分子物質としては、π電子共役系の分子構造を有する高分子化合物であればいずれをも使用することが出来る。特に、本発明に係わる導電性高分子材料を構成するπ電子共役系の分子構造を有する高分子物質としては、次に示す一般式[2]で示されるピロール系、[3]で示されるチオフェン系、[4]で示されるアニリン系の少なくとも1種を繰り返し単位として構成された共役系高分子物質を挙げることができる。【0053】【化28】【0054】【化29】【0055】【化30】【0056】上記の式中R1〜R8はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、またはアルコキシ基が好ましい。【0057】上記の繰り返し単位を含む高分子物質は、一般式[2]、[3]または[4]の少なくとも1種を繰り返し単位として構成しうる単量体を酸化的に重合することで製造することができる。【0058】単量体の具体例として以下のものを挙げることができる。一般式[2]で示されるピロール系誘導体の単量体としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−ペンチルピロール、3−ヘキシルピロール、3−ヘプチルピロール、3−オクチルピロール、3−ノニルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3−フルオロピロール、3−クロロピロール、3−ブロモピロール、3−シアノピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジエチルピロール、3,4−メチレンジオキシピロール、3,4−エチレンジオキシピロール、3,4−プロピレンジオキシピロール、ビピロール、ターピロール、2,5”−ビフェニルターピロール、2,5’−ビチエニルビピロール等の誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0059】一般式[3]で示されるチオフェン系誘導体の単量体としては、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェンビチオフェン、3−フルオロチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−シアノチオフェン、ビチオフェン、ターチオフェン、2,5−ビピロイルチオフェン、等を具体例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0060】一般式[4]で示されるアニリン系誘導体の単量体としては、アニリン、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、2−ブチルアニリン、2−ペンチルアニリン、2−ヘキシルアニリン、2−ヘプチルアニリン、2−オクチルアニリン、2−ノニルアニリン、2−デシルアニリン、2−ドデシルアニリン、2−フルオロアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2−シアノアニリン等の誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0061】本発明に係わる導電性高分子材料を構成するπ電子共役系の分子構造を有する高分子物質の特に好ましいものとして、一般式[2]、[3]または[4]で示される繰り返し単位1種だけからなる、ポリピロール、ポリチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ポリアニリンが挙げられる。【0062】本発明に係わる導電性高分子材料は、π電子共役系高分子物質の製造に際して、一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩をドーパント剤として重合系に共存させることによって得ることができる。あるいは、π電子共役系高分子物質にドーパント剤を作用させる事によって導電性を付与する(ドーピング)ことによっても得る事ができる。【0063】本発明において導電性高分子材料中に含まれるジフェニルエーテルスルホン酸の共役塩基の含有量は、導電性高分子材料が高い電気伝導度を発現する点で、π電子共役系高分子化合物を形成する繰り返し単位を持った前記単量体に対して10〜100モル%が好ましく、更に好ましくは、20〜80モル%であり、最も好ましくは20〜60モル%である。【0064】ドーパント剤を重合系に共存させることによる導電性高分子材料の一般製法は、化学重合法および、電解重合法の2種類に大別できる。化学重合法では、π電子共役系の分子構造を有する高分子物質を形成する繰り返し単位を持った前記単量体と酸化剤および一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩をドーパント剤として共に溶かして酸化重合させる。本発明で化学重合する際に使用される酸化剤としては特に限定されないが、例えば過硫酸アンモニウム、過酸化水素、第二塩化鉄などが挙げられ、中でも過硫酸アンモニウム、第二塩化鉄が好ましい。酸化剤は、通常単量体1モルに対して1〜10モルの量で使用される。反応に使用される溶媒は、上記酸化剤ならびに単量体を溶解するものであればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。重合温度は0〜80℃が好ましい。また、重合は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが望ましい。【0065】また、酸化重合する際に使用される酸化剤は一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の遷移金属塩も使用できる。遷移金属塩を構成する金属としては、例えば鉄、銅、コバルト、ルテニウム等を挙げることができ、これらの中でも酸化状態が高い3価の鉄が特に好ましい。従って、前記一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の、鉄、銅、コバルト、ルテニウムのうち少なくとも1つの塩の存在下、前記一般式[2]、[3]、[4]の少なくとも1種の繰り返し単位を構成しうる単量体を重合させる場合には、別途酸化剤を使用しなくても導電性高分子材料を製造することが可能である。酸化剤は、通常単量体1モルに対して1〜10モルの量で使用される。反応に使用される溶媒は、前記酸化剤ならびに単量体を溶解するものであればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができる。重合温度は特に限定されないが、0〜80℃で重合することが好ましい。また、重合雰囲気は特に限定されないが、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。【0066】電解重合法で重合を行うには、一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸、あるいはその塩と、高分子物質を構成する前記単量体を溶媒に溶解し、定電位あるいは定電流条件下で単量体の重合を進めることで導電性高分子材料を得ることができる。反応で使用される溶媒としては、ジフェニルエーテルスルホン酸あるいはその塩を溶解し、かつ繰り返し単位を構成しうる単量体を溶解するものであればよく、例えば、水、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート等が挙げられる。電解重合の温度範囲は、−90〜150℃が好ましい、好ましくは−5〜50℃の温度範囲で行うことが可能であり、定電流電解法、定電位電解法のいずれの方法であってもよい。また、電解重合は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。【0067】本発明に係わるπ電子共役系高分子物質をドーピングすることによる導電性高分子材料の製法としては、ドーパント剤溶液にπ電子共役系高分子物質を浸漬する方法がある。例えば導電性ポリアニリンは、脱ドープ状態のポリアニリンを一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の溶液に浸漬することによって得ることができる。ここで脱ドープ状態のポリアニリンとは、前記の一般的重合方法によって得たポリアニリンを、例えば、アンモニア水や水酸化ナトリウムのような塩基性物質と混合することで得られる高分子物質である。【0068】次に本発明に係わる導電性高分子材料を、固体電解コンデンサの陰極導電材料として利用する場合について説明する。固体電解コンデンサは、一般に、エッチング処理された比表面積の大きい陽極金属と陰極導電材料とが誘電体層を介して接合した基本構造となっており、それぞれ陽極金属および陰極導電材料には電極リードが接続された素子である。実際に使用される素子はエポキシ樹脂等で全体が完全に封止され、コンデンサ部品として電気製品に幅広く使用されている。【0069】陽極金属を構成する金属としては、アルミニウム、タンタル等が挙げられ、通常、金属箔の状態で陽極に使用されるが、その表面はエッチング処理されていてもよい。一方、陰極導電材料は、一般に無機または有機導電性材料を膜状に加工して使用されている。またその表面に金属の陰極を設けてもよい。さらに、陰極導電材料と金属陰極との間に、陰極導電材料と金属陰極の接触を良好にするため、グラファイト層をもうけた構造にしてもよい。誘電体層は、一般に、陽極金属の酸化物層であり、陽極金属の表面を酸化することによって形成することができる。また、陽極金属の酸化物を含む塗布液を塗布することによっても形成することができる。【0070】本発明に関わる固体電解コンデンサは、陰極導電材料として前述した導電材料を含むものであり、陽極金属としては一般に使用されている材料がそのまま適用できる。陰極および陽極を配置した固体電解コンデンサの形状としては、円筒形、ディップ形などいかなる形状であってもかまわない。【0071】本発明の導電性高分子材料を固体電解コンデンサの陰極導電材料として組み込む場合は、陽極に形成された酸化物皮膜の表面に行き渡るように、先の酸化剤を含む溶液を塗布し、続いてπ電子共役系の分子構造を有する高分子物質を形成する繰り返し単位を持った前記単量体と前記一般式[1]で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩からなるドーパント剤とを含む溶液を接触させ重合させる。この操作を繰り返すことにより所定の厚さの導電性膜を酸化物皮膜上に形成することができる。【0072】本発明の導電性高分子材料を陰極導電材料として組み込むことにより、耐熱性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。【0073】【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。なお、各スルホン酸は、以下のようにして合成した。【0074】(フェノキシベンゼンスルホン酸 POBS[5]の合成)ジフェニルエーテルをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させ、反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0075】得られたPOBS[5]のMS(CI)、1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。MS(CI): calcd for C12H10O4S (M+1,m/z 251), found (m/z 251)1H−NMR(300MHz, D2O):[p−スルホ体]δ 7.00-7.15(4H, m, ortho-H of Ar'-OArSO3H and Ar-OAr'), 7.20-7.30(1H, m, para-H of Ar'-OArSO3H), 7.40-7.50(2H, m, meta-H of Ar'-OArSO3H), 7.75-7.90(2H, m, ortho-H of Ar-SO3H)IR(KBr):3383, 3067, 1586, 1490, 1237, 1180, 1157, 1108, 971, 696, 558 cm-1【0076】(フェノキシベンゼンスルホン酸 POBS[5]の鉄(III)塩の合成)前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸(POBS)の鉄(III)塩(POBS−Fe塩)を、化学反応式(16)に従って、次のようにして合成した。【0077】塩化第二鉄 70.3gの水溶液中に10%水酸化ナトリウム水溶液 312gを滴下し、室温にて1時間撹拌した後、得られた固体を濾別し、水洗浄する。次にこの得られた固体(水酸化第二鉄)全量を水中に懸濁させ、これに前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸 200gの水溶液をゆっくり添加する。その後、60℃まで加温し、約3時間激しく撹拌する。反応終了後、不溶物を濾過し、濾液を蒸発乾固させ、前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸の鉄(III)塩を定量的に得た。【0078】 (ジフェニルエーテルジスルホン酸 [11]の合成) 100mlの3つ口フラスコにジフェニルエーテル 6.8gを入れ、窒素雰囲気下激しく撹拌させながらゆっくりクロロスルホン酸 9.6gを加え、室温で3時間撹拌した後、反応液を氷水 50ml中に投入し、反応を終了させた。その後、前記POBS[5]の合成と同様の操作によって下記化学式[11]で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸 16.0gを得た。【化31】【0079】((4−ドデシルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸 DPOBS[6]の合成)ドデシルフェノールとブロモベンゼンと水酸化カリウムと触媒量の銅粉を混合し、100〜170℃で反応させ、反応処理後、蒸留により1−ドデシル−4−フェノキシベンゼンを60%の収率で得た。次にこれをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させる。反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去することにより前記化学式[6]で表される(4−ドデシルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0080】得られたDPOBS[6]のMS(CI)、1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。MS(CI): calcd for C24H34O4S (M+1,m/z 419), found (m/z 419)1H−NMR(300MHz, CD3OD):[p−スルホ体]δ 0.5-2.0(25H, m), 6.85-7.05(4H, m), 7.25-7.50(2H, m), 7.70-7.85(2H, m, ortho-H of Ar-SO3H)IR(neat):3395, 3040, 2960, 2931, 2873, 1591, 1491, 1246, 1173, 1126, 1030, 833, 561 cm-1【0081】((4−フェニルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸 PPOBS[7]の合成)4−フェニルフェノールを水酸化カリウムとジメチルホルムアミド中、50℃で混合し、水酸化カリウムが溶解したところでブロモベンゼンと触媒量のヨウ化銅を加え、170℃で反応させる。反応処理後、再結晶により1−フェノキシ−4−フェニルベンゼンを46%の収率で得た。次にこれをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させる。反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去することにより前記化学式[7]で表される(4−フェニルフェノキシ)ベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0082】得られたPPOBS[7]の1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。1H−NMR(300MHz, CD3OD):[p−スルホ体]δ6.95-7.20(4H, m), 7.25-7.50(3H, m), 7.50-7.75(4H, m), 7.75-7.90(2H, m, ortho-H of Ar-SO3H)IR(KBr):3389, 3057, 1592, 1487, 1259, 1166, 1126, 1030, 1004, 836, 760, 690, 590, 546 cm-1【0083】((4−メトキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸 MOPOBS[8]の合成)フェノキシフェノールを水酸化カリウムとジメチルホルムアミド中、室温で混合し、水酸化カリウムが溶解したところでヨウ化メチルを加え、100℃で反応させる。反応処理後、蒸留により1−メトキシ-4−フェノキシベンゼンを定量的に得た。次にこれをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させ、反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより前記化学式[8]で表される(4−メトキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0084】得られたMOPOBS[8]のMS(CI)、1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。MS(CI): calcd for C13H12O5S (M+1,m/z 281), found (m/z 281)1H−NMR(300MHz, D2O):[p−スルホ体]δ 3.81(3H, s, -OCH3), 6.90-7.10(6H, m), 7.70-7.80(2H, m, ortho-H of Ar-SO3H)IR(KBr): 3393, 3026, 2967, 2918, 2845, 1590, 1506, 1241, 1189, 1131, 1032, 1004, 830, 640, 605, 556 cm-1【0085】((4−ドデシルオキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸 DOPOBS[9]の合成)フェノキシフェノールを水酸化カリウムとジメチルホルムアミド中、室温で混合し、水酸化カリウムが溶解したところで1−ブロモドデカンを加え、100℃で反応させる。反応処理後、再結晶により1−ドデシルオキシ−4−フェノキシベンゼンを80%の収率で得た。次にこれをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させ、反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより前記化学式[9]で表される(4−ドデシルオキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0086】得られたDOPOBS[9]のMS(CI)、1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。MS(CI): calcd for C24H34O5S (M+1,m/z 435), found (m/z 435)1H−NMR(300MHz, CD3OD):[p−スルホ体]δ 0.90(3H, t, J=6.6Hz, -CH3), 1.20-1.70(18H, m, -(CH2)9-), 1.77(2H, tt, J=6.5Hz, -OCH2-CH2-), 3.96(2H, t, J=6.5Hz, -OCH2-), 6.85-7.10(6H, m), 7.70(2H, m,ortho-H of Ar-SO3H)IR(KBr): 3395, 3072, 2919, 2850, 1597, 1508, 1293, 1248, 1165, 1104, 1023, 837, 545 cm-1【0087】((4−フェノキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸 POPOBS[10]の合成)1,4−ジフェノキシベンゼンをジクロロメタン中室温でクロロスルホン酸と反応させ、反応終了後、水を少量加え撹拌後、溶媒を除去して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより前記化学式[10]で表される(4−フェノキシフェノキシ)ベンゼンスルホン酸を定量的に得た。【0088】得られたPOPOBS[10]のMS(CI)、1H−NMR、およびIRは、次の通りであった。MS(CI): calcd for C18H14O5S (M+1,m/z 343), found (m/z 343)1H−NMR(300MHz, CD3OD):[p−スルホ体]δ 6.90-7.15(7H, m), 7.25-7.40(2H, m), 7.75-7.85(2H, m, ortho-H of Ar-SO3H)IR(KBr): 3401, 3066, 1596, 1502, 1249, 1190, 1127, 1034, 1005, 869, 830, 767, 687, 609, 565 cm-1【0089】以下に、スルホン酸の鉄(III)塩を用いた化学重合によって得られるポリピロールの実施例および比較例を示すが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。【0090】実施例1前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸の鉄(III)塩 10gを水/n−ブタノール=1/1液 30mlに溶解させ、激しく撹拌しながら、ピロール 0.34gを滴下し、室温にて2時間撹拌する。反応終了後、得られた固体を濾別し、メタノールおよびアセトンで洗浄後、40℃にて真空乾燥して、ポリピロール(PPy) 0.26gを得た。得られた粉末を約4.5t/cm2の圧力で加圧成形してディスク状ペレットを作成し、この電気伝導度を四探針法で測定した結果、38.5S/cmの電気伝導度が得られた。【0091】得られたペレットを空気中150℃で8時間熱処理した。熱処理後の電気伝導度は33.9S/cmを示し、熱処理前の電気伝導度を基準とすると88%の電気伝導度保持率となった。結果を表1に示す。【0092】比較例1〜3前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸と前記化学式[11]で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸とを任意の割合で混合し、この混合スルホン酸から前述のフェノキシベンゼンスルホン酸の鉄(III)塩の合成例と同様な操作によって得られる鉄(III)塩を用いて実施例1と同様の方法でペレットを作成し、電気伝導度保持率を調べ、その結果を表1に示した。【0093】表1から分かるように、化学式[5]で示される位置にスルホン酸基を1つのみ有するフェノキシベンゼンスルホン酸の鉄(III)塩を使用した導電性高分子化合物は、電気伝導度および熱処理後の電気伝導度の保持率ともに高く、スルホン酸基を2つ持つジスルホン酸[11]の共役塩基の存在割合が増すほど電気伝導度および熱処理後の電気伝導度の保持率ともに低下している。このことから、特定の位置にスルホン酸基を1つのみ有する本発明のフェノキシベンゼンスルホン酸の鉄塩を使用し、ポリピロールを高分子物質とする導電性高分子材料は、電気伝導度および熱処理後の電気伝導度の保持率の特性が優れていることが分かる。【0094】したがって、一般式[1]で表される骨格にスルホン酸基を有するスルホン酸化合物のドーパント剤を使用する場合、一般式[1]で表される骨格にスルホン酸基を2つ以上有するスルホン酸化合物を実質含まないことが好ましいことが分かる。化学式[5]で表されるスルホン酸基が1つのスルホン酸化合物と、化学式[5]にスルホン酸基を2つ以上有するスルホン酸化合物が混在する場合は、前記スルホン酸化合物混合物中の前記スルホン酸基が1つのスルホン酸化合物の割合が95%以上あることが好ましい。【0095】【表1】【0096】以下に、脱ドープ状態のポリアニリンのドーピングよって得られるポリアニリンの実施例および比較例を示すが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。【0097】実施例2脱ドープ状態のポリアニリンを、次のようにして合成した。【0098】アニリン5gと36%塩酸5.4gの水溶液に0℃で15.2gの過硫酸アンモニウム水溶液をゆっくり滴下し、滴下後さらに3時間撹拌する。反応終了後、得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、40℃で真空乾燥する。このようにして得られたポリアニリンを3%のアンモニア水中に加え、室温で24時間撹拌した後、得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、40℃で真空乾燥することにより脱ドープ状態のポリアニリンを得た。【0099】脱ドープ状態のポリアニリン(PAn)0.2gと前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸 0.72gとをメタノール溶媒中、室温で8時間撹拌後、濾別、アセトン洗浄し、40℃で真空乾燥した。得られた粉末を実施例1と同様の方法でペレットを作成し、電気伝導度保持率を調べた。その結果を表2に示す。【0100】【表2】【0101】比較例4〜6前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸と前記化学式[11]で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸とを任意の割合で混合し、この混合スルホン酸から実施例2と同様の方法でペレットを作成し、電気伝導度保持率を調べた。その結果を表2に示す。表2からわかるように、スルホン酸基を2つ有する前記化学式[11]で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸の存在比が増すにつれて、熱処理後の電気伝導度保持率が著しく低下している。このことから、特定の位置にスルホン酸基を1つのみ有する本発明のフェノキシベンゼンスルホン酸を使用しポリアニリンを高分子物質とする導電性高分子材料は、熱処理後の電気伝導度の保持率に優れていることが分かる。【0102】以下に、電解重合によって得られるポリピロールの実施例および比較例を示すが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。【0103】実施例3前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸とピロールとを共に0.1Mの濃度になるように純水に溶解し電解重合反応液を調整した。SUS304の2枚の板電極(間隔1cm)を用い、定電流(1.3mA/cm2)で1時間流し、電解重合を行った。電極上に生成したポリピロールフィルムをアセトンで洗浄後、電極から剥離し、40℃で真空乾燥した。得られたフィルムの電気伝導度を調べた。その結果を表3に示す。【0104】比較例7〜9前述のようにして得られた前記化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸と前記化学式[11]で表されるジフェニルエーテルジスルホン酸とを任意の割合で混合し、この混合スルホン酸から実施例3と同様の方法でフィルムを作成し、電気伝導度を調べた。その結果を表3に示す。表3から分かるように、高分子物質としてポリピロールを用い電解重合した場合においても、化学式[5]で示される位置にスルホン酸基を1つのみ有するフェノキシベンゼンスルホン酸を使用した導電性高分子化合物は、電気伝導度および熱処理後の電気伝導度の保持率ともに高く、スルホン酸基を複数有するジスルホン酸[11]に比べ優れている。【0105】【表3】【0106】実施例4ガラス板(3.5cm×3.5cm×0.18cm)を、1.5M過硫酸アンモニウム水溶液(溶液A)に浸漬した後引き上げ、室温において5分間乾燥させた。続いて、このガラス板を、0.1Mアニリン塩酸塩と前記化学式[5]で表される0.1Mフェノキシベンゼンスルホン酸を溶かした水溶液(溶液B)に浸漬した後引き上げ、50℃の雰囲気に15分放置することで酸化重合を行なった。そして、この溶液Aに浸漬してから溶液Bに浸漬し酸化重合を行なうまでの操作を25回繰り返した後、水、アセトンで洗浄した後、ガラス板から剥離し、真空中で24時間乾燥した。得られたフィルムの電気伝導度を四探針法で測定した結果、1.12S/cmの電気伝導度が得られた。【0107】得られたフィルムを空気中150℃で8時間熱処理した。熱処理後の電気伝導度は0.97S/cm(四探針法)を示し、熱処理前の電気伝導度を基準とすると87%の伝導度保持率となった。【0108】実施例5〜9実施例4のフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、前記化学式[6]から[10]で表される各スルホン酸の水溶液を使用して、実施例4と同様な方法でフィルムを製造し、得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0109】比較例10実施例4のフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、0.1M p−トルエンスルホン酸(PTS)の水溶液を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行い、フィルムを作製した。このフィルムの電気伝導度は2.10S/cmであった。四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を表4に併せて示す。また、得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0110】比較例11実施例4のフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、0.1M p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)の水溶液を用いた以外は実施例4と同様の操作を行い、フィルムを作製した。このフィルムの電気伝導度は0.81S/cmであった。四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を表4に併せて示す。【0111】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0112】実施例10実施例4の0.1Mアニリン塩酸塩の代わりに、0.1Mピロールの水溶液を使用して、実施例4と同様な方法でフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は13.56S/cmであった。【0113】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0114】比較例12実施例4の0.1Mアニリン塩酸塩の代わりに、0.1Mピロールの水溶液を使用して、さらにフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、0.1M p−トルエンスルホン酸(PTS)の水溶液を用いた以外は、実施例4と同様な方法でフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は14.24S/cmであった。【0115】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0116】実施例11実施例4の0.1Mアニリン塩酸塩の代わりに、0.1M 3,4−エチレンジオキシチオフェンの水溶液を使用して、実施例4と同様な方法でフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は11.32S/cmであった。【0117】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。表4中、PEDOTは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェンを意味する。【0118】比較例13実施例4の0.1Mアニリン塩酸塩の代わりに、0.1M 3,4−エチレンジオキシチオフェンの水溶液を使用して、さらにフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、0.1Mp−トルエンスルホン酸(PTS)の水溶液を用いた以外は、実施例4と同様な方法でフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は10.78S/cmであった。【0119】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0120】以下に、前記スルホン酸の鉄塩を用いて得られる導電性高分子材料の実施例および比較例を示すが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。【0121】実施例12実施例4の1.5M過硫酸アンモニウム水溶液の代わりに、1.0Mの前記POBS−Fe塩の水溶液を使用し、0.1Mピロールと0.1Mフェノキシベンゼンスルホン酸を溶かした水溶液の代わりに0.1Mピロールの水溶液を使用して、実施例4と同様な方法でポリピロール−スルホン酸化物のフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は11.23S/cmであった。【0122】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0123】比較例14p−トルエンスルホン酸の共役塩基を配位子とする鉄の遷移金属錯体(PTS−Fe塩)の合成は前記のPOBS−Fe塩の合成と同様な方法で行い、p−トルエンスルホン酸の鉄塩を定量的に得た。【0124】実施例4の1.5M過硫酸アンモニウム水溶液の代わりに、1.0MのPTS−Fe塩の水溶液を使用し、0.1Mピロールと0.1Mフェノキシベンゼンスルホン酸を溶かした水溶液の代わりに0.1Mピロールの水溶液を使用して、実施例4と同様な方法でフィルムを製造した。このフィルムの電気伝導度は10.01S/cmであった。【0125】得られたフィルムを実施例4と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0126】以下に、脱ドープ状態のポリアニリンをスルホン酸の溶液に浸漬する事によって得られる導電性高分子材料の実施例および比較例を示すが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。【0127】実施例13脱ドープ状態のポリアニリン0.2gと化学式[5]で表されるフェノキシベンゼンスルホン酸(2mmol)をメタノール溶媒中、室温で24時間撹拌後、濾別、アセトン洗浄し、40℃で真空乾燥する。得られた粉末を約4.5t/cm2の圧力で加圧成形してディスク状ペレットを作成し、この電気伝導度を四探針法で測定した結果、1.07S/cmの電気伝導度が得られた。【0128】得られたペレットを空気中150℃で8時間熱処理した。熱処理後の電気伝導度は0.91S/cmを示し、熱処理前の電気伝導度を基準とすると85%の電気伝導度保持率となった。【0129】比較例15実施例13のフェノキシベンゼンスルホン酸の代わりに、p−トルエンスルホン酸を用いた以外は、実施例13と同様の操作を行い、ペレットを作製した。このペレットの電気伝導度は1.25S/cmであった。【0130】得られたペレットを実施例13と同様に熱処理し、四探針法で測定した電気伝導度の測定結果を併せて表4に示す。【0131】【表4】【0132】【発明の効果】本発明によれば、ジフェニルエーテルスルホン酸の共役塩基をπ電子共役系高分子物質中に含有させた、高い導電性と優れた耐熱性を示す導電性高分子材料を得ることができる。また、この導電性高分子材料を固体電解コンデンサの陰極導電材料として使用することにより、内部抵抗が小さく、しかも高温での特性低下の少ない固体電解コンデンサを得ることができる。 下記化学式〔5〕〜〔10〕のいずれかで表されるジフェニルエーテルスルホン酸の鉄塩。 下記一般式〔1〕で表されるジフェニルエーテルスルホン酸および/またはその塩からなることを特徴とするドーパント剤。(ここで、Yは、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基からなる群から選ばれた基のいずれかであり、複数存在する場合は同じでも異なっていても良い。ここで、nは1から5の整数を示す。) π電子共役系の分子構造を有する高分子物質中に請求項2で表されるジフェニルエーテルスルホン酸の共役塩基を含有していることを特徴とする導電性高分子材料。 前記π電子共役系の分子構造を有する高分子物質が、下記一般式[2][3]または[4]で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する共役系高分子物質からなることを特徴とする請求項3記載の導電性高分子材料。(上記の式中R1〜R8は互いに同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、またはアルコキシ基である。) 請求項3または4に記載の導電性高分子材料を陰極導電性材料として含むことを特徴とする固体電解コンデンサ。 請求項2に記載されたジフェニルエーテルスルホン酸の、鉄、銅、コバルト、ルテニウムのうち少なくとも1つの塩の存在下、請求項4に記載された一般式[2]、[3]、[4]の少なくとも1種の繰り返し単位を構成しうる単量体を重合させることを特徴とする請求項3又は4記載の導電性高分子材料の製造方法。