タイトル: | 特許公報(B2)_酸化的侵襲効果を治療するためのマンガフォジピルの使用 |
出願番号: | 2002584924 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/663,A61P 1/16 |
バトー,フレデリック ウェイル,ベルナード JP 4371197 特許公報(B2) 20090911 2002584924 20020426 酸化的侵襲効果を治療するためのマンガフォジピルの使用 ユニヴェルシテ パリ デカルト 500283125 UNIVERSITE PARIS DESCARTES 野河 信太郎 100065248 バトー,フレデリック ウェイル,ベルナード FR 01/05606 20010426 20091125 A61K 31/663 20060101AFI20091105BHJP A61P 1/16 20060101ALI20091105BHJP JPA61K31/663A61P1/16 A61K 31/00-33/44 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開平04−020285(JP,A) 国際公開第97/049409(WO,A1) Brurok H,Biochem Biophys Res Commun.,1999年,Vol.254, No.3,pp768-72 KITAHARA,J. et al,Possible involvement of active oxygen species in selenite toxicity in isolated rat hepatocytes,Arch Toxicol,1993年,Vol.67, No.7,p.497-501 MIESEL,R. et al,Hepatoprotective reactivity of a copper-di-Schiffbase active centre analogue of Cu2Zn2 superoxide dismutase,Gen Pharmacol,1995年,Vol.26, No.6,p.1261-6 6 FR2002001457 20020426 WO2002087579 20021107 2004526792 20040902 10 20050406 小堀 麻子 本発明は、肝細胞欠損症の治療という状況の中でのマンガフォジピル(Mangafodipir)の使用に関する。 マンガフォジピル(INN)とも称されるジピリドキシルリン酸マンガン(Mn-DPDP)は、MRI(磁気共鳴画像法)による診断に関連する常磁性造影剤として、放射線医学に使用されている(マンガフォジピルの性質の概説については、Rocklageら、Inorg. Chem.、28、477〜485、1989参照)。 また、マンガフォジピルのいくつかの薬理学的性質も報告されている:Asplundら、(J. Pharmacol. Exp. Therapeutics、271巻、第2号、609〜614頁、1994)は、その血管拡張特性を記載しており、それは血管内皮細胞が生成する窒素酸化物の安定化効果にあるとされている;これらの著者は、この効果が、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)型の活性により起こると指摘している。Brurokら(Biochem. Biophys. Res. Commun.、254巻、第3号、768〜772頁、1999)は、生体外で生じる低酸素症に続く再酸素化の間に産生される酸化フリーラジカルO2-およびOH-の効果に関する心臓保護作用において、SOD様としてのその特性を、インビトロで観察した。PCT特許出願公開第WO97/49409号は、フリーラジカルで誘発される病的状態、すなわち、特に、梗塞もしくはその他の心臓血管疾患の間に生じる虚血-再潅流(ischemia-reperfusion)で起こる損傷、または放射線で誘発される損傷のような前炎症性(pro-inflammatory)の病的状態の治療という状況の中での、マンガフォジピル、またはその他のジピリドキシル由来もしくはアミノポリカルボン酸由来のキレート剤の使用を提案している。PCT特許出願公開第WO99/33521号は、LDL(低密度リポ蛋白質)の酸化を防止することによるアテローム性動脈硬化症の治療用、または細菌もしくは原虫による感染症の治療用細胞毒性薬剤として、または鉄などの金属による中毒の治療用解毒剤としての、これら同一のキレート剤の使用を提案している。 上記で提案されたマンガフォジピルの種々の治療的使用は、主としてそのスーパーオキシドジスムターゼ様としての持性によっている。スーパーオキシドジスムターゼ(EC 1.15.1.1)は、スーパーオキシドアニオン(O2-)の過酸化水素(H2O2)への不均化に、触媒作用を及ぼすことによる酸化フリーラジカルの解毒に関与している。スーパーオキシドジムスターゼの種々のタイプが識別されているが、その中でも特に、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ類(CuZnSOD)(スーパーオキシドジスムターゼ-1としても知られ、真核生物内の細胞質中に主として存在している)、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼ類(MnSOD) (スーパーオキシドジスムターゼ-2としても知られ、原核生物中および真核細胞の細胞内小器官内に主として見られる)などが挙げられる。 酸化フリーラジカルにより引き起こされる酸化的侵襲を含む種々の病的状態との関連で、SOD擬似体の使用が提案されている(概説については、PatelおよびDay、Trends Pharmacol. Sci.、20、359〜364 (1999)を参照)。しかしながら、それらはすべての病的状態に対して等しい効果を有してはいない。 したがって、酸化フリーラジカルにとっての潜在的役割が記載されている多くの病的状態の一つである肝細胞欠損傷に関する先行研究において、発明者らは、CuZnSODの擬似体、CuDIPS(Cu(II)-ジイソプロピルサリチレート)が、有意な効果を有さないことを観察した;これに反して、MnSODの擬似体、MnTBAP(Mn(III)-テトラキス(5,10,15,20-安息香酸)-ポルフィリン)は、カタラーゼ活性やグルタチオンペルオキシダーゼ活性も有しており、注目すべき予防的および治療的効果を有していることが特筆された(PCT特許出願公開第WO01/12327号;Ferretら、Hepatology、33巻第5号1173〜1180頁、2001年5月)。 MnTBAPのこの有効性は、スーパーオキシドアニオンの不均化により産生される過酸化水素を解毒させることによりそのSOD活性を補う、カタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ活性により説明できる。 この仮説を立証するために、本発明者らは、スーパーオキシドアニオン以外の反応性酸化種の解毒に対して活性を有するその他のSOD擬似体の探索に着手し、肝細胞欠損症に対するそれらの作用を試験した。 このようにして本発明者らは、先に報告されていること(上記のBrurokら、1999)と異なり、マンガフォジピルが、MnTBAPと同様にカタラーゼ活性を有し、かつグルタチオンリダクターゼ活性も有していることに注目した。本発明者らはまた、肝細胞欠損症に関するその有効性が、MnTBAPのものと、少なくとも等しいことも観察した。 本発明の主題は、肝細胞欠損症の予防的または治療的処置を意図する医薬製品製造用のマンガフォジピルの使用である。 肝細胞の破壊の結果として生じる一連の症状は、用語「肝細胞欠損症」に含まれる。その細胞破壊の程度によって、これらの臨床発現は多少重篤であり、可逆的である。極端な場合は、肝細胞の大規模で、かつ突然の破壊は、劇症肝炎とも言われる急性肝不全を結果として生じ、数日中に死に至り得る。 肝細胞欠損症につながり得る肝細胞破壊の最も典型的な原因の中で、特に肝炎ウィルスの種々のタイプによるウィルス感染症、および特に特定の医薬製品またはアルコールでの中毒が挙げられる。 種々の原因の肝細胞欠損症のいくつかの動物モデルが、現在利用可能であり、とりわけ急性肝不全を実験的に誘発すること、および細胞の破壊に帰着するメカニズムを研究することを可能にしている。このようにして、酸化フリーラジカルを含む種々のメカニズムが提案されている。 例えば、特にアセトアミノフェンによって誘発される毒性起源による急性肝不全は、肝臓の解毒の正常なメカニズムが飽和された結果である。事実、薬理学的投与量でのアセトアミノフェンは、主として、グルクロ-およびスルホ-抱合によって除去されるが、チトクロームP450によっても、N-アセチル-P-ベンジキノンイミン(NAPQI)に酸化されて、次いで、通常グルタチオンでの抱合後に除去され得る。過量服用の場合には、グルクロ-およびスルホ-抱合経路の飽和、ならびにNAPQIの産生の増加が観察される[Prescott, Drugs、25、290〜314、(1983)]。この極めて反応性の高い代謝産物は、肝細胞損傷の主な作用因子であると考えられるので、提案されている医薬による治療法は事実上、N-アセチル-L-システインなどの酸化防止剤を使用することに基づいており、その目的は、細胞内グルタチオンの貯蔵の再構築と、NAPQIの中和を可能にすることである。しかしながら、これらの治療法の有効性は不定であり[CaraceniとVan Thiel、Lancet、345、163〜169、(1995); Schiodtら、N. Engl. J. Med.、337、1112〜1117、(1997)]、そして劇症肝炎の場合には、現在、肝臓移植が実際的に有効な唯一の治療法になっている。 アルコールが誘発する肝細胞欠損症の場合、いくつかのメカニズムが提案されており、そのメカニズムは、特にアセトアルデヒド、スーパーオキシドアニオンまたは過酸化水素のような毒性の代謝産物の生成を含んでいる。 本発明者らは、アセトアミノフェンの投与により誘発される急性肝不全の実験モデルを使用して、毒性起源の急性肝不全に対するマンガフォジピルの効果を試験した。このようにして本発明者らは、マンガフォジピルの投与が、致死量のアセトアミノフェンの投与後の生存率を極めて有意に増大させ、かつアセトアミノフェンの毒性の作用をかなり低下させることを可能にすることに注目した。それ故に、マンガフォジピルは、毒性物質の破壊作用に対抗して肝細胞を極めて有効に保護し、したがって、特に毒性起源(薬物誘発またはアルコール誘発)の肝細胞欠損症に対して、予防的および治療的効果の両方を発揮するとみられる。 その上、本発明者らは、マンガフォジピルの上記の有益な作用が、予防的量で投与されたときのみならず、治療的量、すなわち最初の肝毒性作用の発現後に投与されたときでも観察されることに注目した。 本発明の好ましい態様によれば、マンガフォジピルは、毒性起源の肝細胞欠損症の予防的または治療的処置、特にアセトアミノフェン誘発性肝細胞欠損症またはアルコール誘発性肝細胞欠損症の処置を意図する医薬製品製造のために用いられる。 特にマンガフォジピルは、とりわけ劇症肝炎の形態で現れる急性肝細胞欠損症の治療を意図する医薬製品製造用に用いることができる。 マンガフォジピルのグルタチオンリダクターゼ活性は、細胞内のグルタチオン貯蔵を再生させることを可能にし、とりわけ毒性起源、例えばアセトアミノフェンによって誘発される急性肝不全の治療に関して、SOD活性とカタラーゼ活性を有利に補う。 本発明を実施するために、マンガフォジピルは、一般に、0.1〜10mg/kg/日(予防投与量)の間、または5〜50mg/kg/日(治療投与量)の間の有効成分の投与量を投与するために製剤中に使用される:しかしながら、この製品の毒性が低いことを考えると、さらに高い投与量を用いることができる。当業者が、これらの投与量を、各患者の特徴および関連する病的状態の相関として調節できることは明らかに理解される。 本発明の実施との関連で、マンガフォジピルは、異なる経路で投与することができる。一般に、マンガフォジピルは経口または注射で、とりわけ皮下、筋肉内もしくは静脈の注射で投与される。その他の投与経路は、製品の有効性、生物学的利用能または許容性を増大するならば、考えることができる。 マンガフォジピルのSOD、カタラーゼおよびグルタチオンリダクターゼ活性、ならびに肝細胞欠損症に対するインビトロおよびインビボでの効果を実証する非限定的な実施例を引用する次の更なる説明から、本発明はより明らかに理解される。実施例1:マンガフォジピルのSOD様活性 化学化合物のSOD活性は、BeauchampおよびFridovichにより記載されている技術[Anal. Biochem.、44(1)、276〜87、(1971)]に従って、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)還元法により測定することができる。 この試験は、22μMのキサンチン、500U/mlのカタラーゼおよび0.2U/mlのキサンチンオキシダーゼを含み、最終容量が0.8mlの緩衝液(50mMトリス/HCl、pH7.6)中で、25℃において実施される。1.5μgのマンガフォジピルの存在下、または対照としてマンガフォジピルの非存在下で、NBTの還元結果を30秒毎に5分間測定した。1 SOD単位(U SOD)は、NBTの還元速度を50%阻害することができる酵素量により定義される。 結果を図1に示す。 図1の記号: ◆:対照 ■:マンガフォジピル(1.5μg) それらは、マンガフォジピル1.5μgを反応混合物に添加したとき、NBTの還元速度が、0.0302/分から0.01556/分まで低下することを示している。これらの試験結果に基づいて、マンガフォジピルのSOD活性を、マンガフォジピルmg当り680U SODであると評価した。実施例2:マンガフォジピルのカタラーゼ様活性 カタラーゼ活性を、AEBIにより記載されている方法に従って評価した(Methods Enzymol.、105、121〜126、(1984))。マンガフォジピル75.7μgの存在下、または対照の目的でウシ カタラーゼ1単位の存在下で、H2O2の10mMリン酸緩衝液(50mM Na2HPO4/KH2PO4、0.1mM EDTA、pH7.4)溶液の240nmにおける吸光度(OD)の減少を測定した。 これらの条件下で、マンガフォジピルのカタラーゼ活性を、マンガフォジピルmg当り2Uのカタラーゼと評価した。実施例3:マンガフォジピルのグルタチオンレダクターゼ様活性 グルタチオンレダクターゼ活性は、カルビオケム(Calbiochem)社が市販しているキット:「Glutathione reductase assay kit」を使用して検定した。反応混合物を、340nmで5分間、分光測光法によって分析する。 マンガフォジピルのグルタチオンレダクターゼ活性を、マンガフォジピルmg当り19.9±1.75mU グルタチオンレダクターゼと評価した。実施例4:スーパーオキシドアニオンO2-の作用にさらされている培養中の肝細胞に対するマンガフォジピルの保護活性 これらの実験には、Hep 3Bヒト肝細胞系を用いた。 細胞を、最終容量50μl中に、1ウェル当り5×104個の細胞の割合で96ウェル培養プレートに接種した。 各種濃度(62.5、125、250mg/ml)のマンガフォジピル溶液100μlを、それぞれのウェルに入れた(試験される濃度当たり3ウェル)。1時間培養した後、キサンチン200μMおよびキサンチンオキシダーゼ2U/mlの溶液(X/XO溶液)50μlを、それぞれのウェルに入れた。10個のウェルにはX/XO溶液を入れずに対照として利用し、上記細胞のベースライン生存度を評価する。X/XO溶液を入れてから12時間後に、細胞を生理食塩水で洗浄して、生存度をMTT試験法を用いて測定した。0.2%MTT溶液をそれぞれのウェルに入れ、37℃で4時間培養した。次に細胞を洗浄し、次いで、ジメチルスルホキシド(DMSO)50μlずつをそれぞれのウェルに入れることによって試験が明かにされた。次いで、これらプレートを、550nmの波長において、分光光度計で読んだ。 試験結果(マンガフォジピルの濃度の関数としての生存率)を図2に示す。 これらの結果は、スーパーオキシドアニオンによって媒介される酸化的侵襲にさらされた肝細胞の死亡率を、マンガフォジピルの添加が抑制することを示している。実施例5:過酸化水素(H2O2)の作用にさらされている培養中の肝細胞に対するマンガフォジピルの保護活性 これらの実験にもHep 3Bヒト肝細胞系を用いた。 細胞を、最終容量50μl中に、1ウェル当り5×104個の細胞の割合で96ウェル培養プレートに接種した。 各種濃度(62.5、125、250mg/ml)のマンガフォジピル溶液100μlを、それぞれのウェルに入れた(試験される濃度当たり3ウェル)。1時間培養した後、H2O2の4mM溶液50μlをそれぞれのウェルに入れた。10個のウェルにはH2O2を入れずに対照として利用し、上記細胞のベースライン生存度を評価する。H2O2溶液を入れてから12時間後、細胞を生理食塩水で洗浄し、上記の実施例4に記載のように生存度をMTT試験法を用いて測定した。 試験結果(マンガフォジピルの濃度の関数としての生存率)を図3に示す。 これらの試験結果は、過酸化水素によって媒介される酸化的侵襲にさらされた肝細胞の死亡率を、マンガフォジピルの添加が抑制することを示している。実施例6:アセトアミノフェンによって誘発された急性肝不全に対するマンガフォジピルの活性 マウスへのアセトアミノフェンの腹腔内注射は、ひどい肝毒性を誘発し、その程度は、動物の生存ならびに肝臓の肉眼および顕微鏡検査で評価することができる。動物の生存 マンガフォジピル(Nicomed-Amersham社によりTESLASCANの名前で市販されている)を、丸薬の形態で腹腔内投与した。 アセトアミノフェン(APAP)の100mg/ml PBS(pH7.4)溶液を腹腔内投与した。 実験の第1シリーズにおいて、一つの群のマウスには、投与量1000mg/kgのアセトアミノフェンを投与し;もう一つの群のマウスには、投与量1000mg/kgのアセトアミノフェン、かつアセトアミノフェンの2時間前または6時間後に、投与量10mg/kgのマンガフォジピルを投与し;対照群のマウスには、マンガフォジピル単独(10mg/kg)またはPBS単独を投与した。 動物の生存を、アセトアミノフェンの投与後24時間監視した。 グループI:PBS グループII:1000mg/kgのAPAP グループIII:1000mg/kgのAPAP+10mg/kgのマンガフォジピル(予防的) グループIV:1000mg/kgのAPAP+10mg/kgのマンガフォジピル(治療的) 試験結果(生存動物の数)を以下の表1に要約する。 これらの試験結果は、アセトアミノフェンの注射後24時間を示しており、投与量1000mg/kgのAPAPで中毒にかかった動物の16%が生存し、ところが、APAPで中毒にかかったが、アセトアミノフェンの投与後にマンガフォジピルを投与した動物(治療的プロトコル)における生存率は41%より高く、アセトアミノフェンの投与前にマンガフォジピルを投与した動物(予防的プロトコル)においては、約66%であることを示している。PBS単独を投与した動物において、死亡は全く観察されなかった。組織学的研究 組織学的研究を行うため、上記各グループのいくつかの動物の肝臓を取り出した。アセトアミノフェンを投与したマウスの場合に、マンガフォジピルで処置していない動物よりも、マンガフォジピルで処置した動物において、かなり少ないアポトーシス性障害が観察される。アセトアミノフェンが投与されなかった対照群のマウスでは、アポトーシス性障害は全く認められない。実施例7:アセトアミノフェンが誘発した急性肝不全に対するマンガフォジピル、MnTBAPおよびCuDIPSの活性の比較 CuDIPS(Cu[II]-[ジイソプロピルサリチレート])は、基準のCuZnSOD擬似体であり(McKenzieら、Br. J. Pharmacol. 127、1159〜1164、(1999));MnTBAP(Mn(III)-テトラキス(5,10,15,20-安息香酸)-ポルフィリン)は、カタラーゼ活性およびグルタチオンペルオキシダーゼ活性も有するMnSOD擬似体である(PCT特許出願公開第WO01/12327号)。アセトアミノフェン(APAP)1000mg/kgの腹腔内注射後のマウスの生存に対するCuDIPSとMnTBAPの作用を、マンガフォジピルのものと比較した。 実験のプロトコルは以下の通りである。 マンガフォジピル、MnTBAPまたはCuDIPSを、予防量にて丸薬の形態で、アセトアミノフェンの2時間前に投与する。 動物の種々のグループに次の処置をした。 グループI:PBS グループII:1000mg/kgのAPAP グループIII:1000mg/kgのAPAP;10mg/kgのMnTBAP グループIV:1000mg/kgのAPAP;10mg/kgのCuDIPS グループV:1000mg/kgのAPAP;10mg/kgのマンガフォジピル 動物の生存を、アセトアミノフェンの投与後24時間監視した。 生存動物の数で示した試験結果を以下の表2に示す。 これらの試験結果は:− 予防的に投与したマンガフォジピルは、ある意味でMnTBAPと少なくとも等しく生存率を増加させ;− CuDIPSは生存率を有意に増加させないことを示している。トランスアミナーゼの測定 実験の第2シリーズにおいては、第1群のマウスには投与量500mg/kgのアセトアミノフェンを投与し;第2群には同じ投与量のアセトアミノフェン、およびアセトアミノフェンの投与2時間前に投与量10mg/kgのマンガフォジピルを投与し;第3群の動物には同じ投与量のアセトアミノフェン、および投与量10mg/kgのMnTBAPを投与し;第4群の動物には同じ投与量のアセトアミノフェン、および投与量10mg/kgのCuDIPSを投与した。アセトアミノフェンの投与12時間後に、ASAT血清トランスアミナーゼを測定した。 結果を図4に示す。図4の記号:NS:未処置のマウスと比較して有意でない* :未処置のマウスと比較してP<0.01**:未処置のマウスと比較してP<0.001。 アセトアミノフェン500mg/kg(APAP500)を投与したマウスの間で、マンガフォジピルで前処置したマウスのものより10倍高いトランスアミナーゼ活性が、12時間後に観察された。 これらの結果は、全ての場合において、マンガフォジピルの投与が、肝細胞崩壊を反映するトランスアミナーゼの活性を低下させることを示している。マンガフォジピルのSOD活性を示すグラフである。マンガフォジピルの濃度と、スーパーオキシドアニオンO2-にさらされた肝細胞の生存度の関係を示すグラフである。マンガフォジピルの濃度と、H2O2にさらされた肝細胞の生存度の関係を示すグラフである。アセトアミノフェンが誘発した急性肝不全のマウスの血清トランスアミナーゼに対するマンガフォジピル、MnTBAPおよびCuDIPSの活性を示すグラフである。 アセトアミノフェンまたはアルコールで誘発される肝細胞欠損症の予防的または治療的処置を目的とする医薬製品製造用のマンガフォジピルの使用。 前記の肝細胞欠損症それ自体が、劇症肝炎の形態で発症することを特徴とする請求項1に記載の使用。 マンガフォジピルが、予防的処置を目的とする医薬製品の製造用に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。 マンガフォジピルが、治療的処置を目的とする医薬製品の製造用に用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。 前記医薬製品が、0.1〜10mg/kg/日の間からなる範囲内におけるマンガフォジピルの投与量を投与するために製剤化されていることを特徴とする請求項3に記載の使用。 前記医薬製品が、5〜50mg/kg/日の間からなる範囲内におけるマンガフォジピルの投与量を投与するために製剤化されていることを特徴とする請求項4に記載の使用。