タイトル: | 特許公報(B2)_ポリカーボネートの製造方法 |
出願番号: | 2002555141 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C08G 64/30,C07C 69/96,C08G 64/06 |
ブラック,ハンス−ピーター ブルネル,ダニエル・ジョセフ セラ,ジェームズ・アンソニー カーリン,デニス JP 4112979 特許公報(B2) 20080418 2002555141 20011221 ポリカーボネートの製造方法 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 390041542 GENERAL ELECTRIC COMPANY 志賀 正武 100064908 松本 研一 100093908 小倉 博 100105588 伊藤 信和 100106541 ブラック,ハンス−ピーター ブルネル,ダニエル・ジョセフ セラ,ジェームズ・アンソニー カーリン,デニス US 60/258,707 20001228 US 10/026,276 20011219 20080702 C08G 64/30 20060101AFI20080612BHJP C07C 69/96 20060101ALI20080612BHJP C08G 64/06 20060101ALI20080612BHJP JPC08G64/30C07C69/96 ZC08G64/06 C08G 64/00-64/42 特許第3249426(JP,B2) 特開平10−036497(JP,A) 国際公開第99/047580(WO,A1) 特開平07−090074(JP,A) 16 US2001049211 20011221 WO2002053623 20020711 2004523611 20040805 12 20041221 ▲吉▼澤 英一 本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関する。さらに具体的には、重合促進剤の使用により重合度の向上したポリカーボネートの製造方法に関する。 ポリカーボネートは、耐衝撃性のような機械的性質が優れており、また耐熱性と透明性も優れており、多くの工学用途に広く使用されている。ポリカーボネートの製造法では、ビスフェノールのような芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートとを溶融状態でエステル交換によって反応させる(溶融重縮合法)。溶融重縮合において、反応系に重合促進剤を添加することによってポリカーボネートの重合度を高めることが知られている。分子量増成の向上は、短い反応器滞留時間及び低い反応器温度によりポリカーボネートの生産量を高め、ひいては簡単で安価な反応器の設計を容易にする。 特開平7−90074号公報には、二価化合物と炭酸ジエステルからエステル交換法によりポリカーボネートを製造する方法で、エステル交換率が70%を超えた後に2以上の官能基を有する活性の高いジエステル、酸ハライド又は酸無水物を添加して重合度が高まったポリカーボネートを得る方法が開示されている。特開平7−90074号公報では、4−ニトロフェノール、4−シアノフェノール及び塩素化フェノールに基づく活性の高い炭酸ジエステル、例えばビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(4−シアノフェニル)カーボネート及びビス(4−クロロフェニル)カーボネートを使用することが教示されている。これらの化合物を使用すると、着色又は毒性もしくは爆発性の可能性がある副生物或いはまた燃焼時に含塩素気体生成物を生ずる副生物が生成する。従って、製品品質(透明性)、取扱い性及び環境問題の観点から、塩素、シアノ−及びニトロ活性化基を含まない重合促進剤を使用することが望まれている。 米国特許第5696222号には、ある種の重合促進剤、例えば、ビス(2−メトキシフェニル)カーボネート、ビス(2−エトキシフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2−メトキシフェニル)テルフタレート及びビス(2−メトキシフェニル)アジペートを始めとする炭酸及びジカルボン酸のアリールエステルの添加により重合度の高まったポリカーボネートを製造する方法が開示されている。この米国特許第5696222号では、重合促進剤としてエステルを使用するとエステル結合が導入され、その結果(ホモポリマーの代わりに)ポリエステルカーボネートコポリマーが生成し、加水分解安定性が低いことが教示されている。特開平7−90074号公報米国特許第5696222号 今もなお、重合度の高まったポリカーボネートを製造するための改善された方法に対するニーズがある。 本発明は、下記式(1)の重合促進性化合物を添加することを含むポリカーボネートの製造方法に関する。式中、R1及びR3は同一でも異なるものでもよく、アルコキシ、フェノキシ、ベンゾキシ、アリールオキシ、フェニル及びアリール基からなる群から選択される。 R2はアルキル、フェニル、アリール又はアラルキル基からなる群から選択される。このフェニル、アリール又はアラルキルは場合により置換されていてもよい。アルキル基は線状、枝分れ及び環式アルキル基のいずれでもよい。 一実施形態では、重合促進剤はビスフェノールのサリチル酸エステル及びビス−クロロホルメートから調製される群から選択される。 一実施形態では、重合促進剤はBPA−ビス−メチルサリチルカーボネート、BPA−ビス−n−プロピルサリチルカーボネート、BPA−ビス−ベンジルサリチルカーボネート及びこれらの混合物からなる群から選択される。 本発明の別の実施形態では、ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量が約2500〜15000ダルトンに達した後に大部分の重合促進剤をオリゴマーに添加する。 重合促進剤/カップリング剤 本発明の方法では、次式(1)の化合物をポリカーボネートオリゴマーに添加してその分子量を増大させる。式中、R1及びR3は同一でも異なるものでもよく、アルコキシ、フェノキシ、ベンゾキシ、アリールオキシ、フェニル及びアリール基からなる群から選択され、R2はアルキル、フェニル、アリール又はアラルキル基からなる群から選択される。このフェニル、アリール又はアラルキルは場合によって置換されていてもよい。アルキル基は線状、枝分れ及び環式アルキル基のいずれであってもよい。一実施形態では、R1及びR3はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、ベンゾキシ、フェノキシ、フェニル及びメトキシカルボニルからなる群から選択される。別の実施形態では、重合促進剤はビスフェノールのビス−クロロホルメートから調製される群から選択される。さらに別の実施形態では、重合促進剤はBPAビス−メチルサリチルカーボネートである。 調製 本発明の一実施形態では、重合促進剤を調製するには、適当なビス−クロロホルメート(例えば、BPA−ビスクロロホルメート)を、放出されるHClを中和する塩基の存在下、塩化メチレンのような溶媒中で、2当量のサリチル酸メチルのような活性化フェノールと反応させる。この反応に追加の触媒を使用して縮合反応を促進してもよい。縮合反応の完了後、生成物溶液を水性酸及び塩基で洗浄し、その後洗液が中性になるまで水で洗浄する。有機溶媒は蒸留により除去することができ、重合促進剤は結晶化し回収する。 本発明の重合促進剤を調製する縮合反応を実施するには、当技術分野で公知の無水条件下、塩基としてクロロホルメート1当量当たり1当量以上の第三アミンを用いるか、又は同様に当技術分野で周知の界面条件下、縮合触媒の存在下で塩基として水酸化ナトリウム水溶液を用いるとよい。一実施形態では、縮合触媒はトリエチルアミン、第四アルキルアンモニウム塩又はこれらの混合物である。 ポリカーボネート製造プロセス 本発明の重合促進剤を使用して、界面法又は溶融法のいずれかによって製造されるポリカーボネートオリゴマーの分子量を増大させることができる。これは、カップリング剤として機能し、ポリカーボネートの下記式の末端ヒドロキシ基と反応して以下に示すようにポリカーボネートの分子量を増大させる。 溶融反応器に添加される場合、オルト置換フェノールは蒸留によりオーバーヘッド系に除去されて末端封止を高収率で促進する。これらのフェノールは、回収し、追加の重合促進剤の調製にリサイクル/再使用することができる。 この分子量が増大したポリカーボネートは、重合促進反応のあらゆる副反応の生成物、例えば末端2−(アルコキシカルボニル)フェニル基などと共に少量の未回収フェノール、未反応重合促進剤を含有していることがある。一実施形態では、この末端封止ポリカーボネートは、オルト置換フェノールを約500ppm未満及び本発明の未反応重合促進剤を約500ppm含有している。別の実施形態では、増大した分子量のポリカーボネートは、末端2−(アルコキシカルボニル)フェニル基を約2500ppm以下で含有している。 溶融ポリカーボネートプロセス 本発明の一実施形態では、促進剤を溶融プロセス即ちエステル交換プロセスに添加する。エステル交換によるポリカーボネートの製造は当技術分野で周知であり、例えば、K.J.Saunders著、Organic Polymer Chemistry(1973年,Chapman and Hall Ltd.発行)、米国特許第3442854号、同第5026817号、同第5097002号、同第5142018号、同第5151491号及び同第5340905号を始めとする多くの米国特許に記載されている。 溶融法の場合、ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物(A)と炭酸ジエステル(B)の溶融重縮合によって製造される。この反応は回分式又は連続式のいずれかで行うことができる。この反応を実施する装置は適切ないかなるタイプの槽、管又はカラムであってもよい。連続法では、通常、1以上のCSTR又は1以上の仕上げ反応器を使用する。 芳香族ジヒドロキシ化合物(A)の例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAともいわれる)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン及び1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル及び4,4′ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルエーテルのようなジヒドロキシアリールエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド及び4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド及び4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド、並びに4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び4,4′ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホンがある。一実施形態では、芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノールA(BPA)である。 炭酸ジエステル(B)の例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート及びジシクロヘキシルカーボネートがある。一実施形態の工業プロセスでは、ジフェニルカーボネート(DPC)を使用する。 本発明の一実施形態では、重合促進剤をDPC又は別のジアリールカーボネートと共に添加して高末端封鎖度のポリカーボネートを形成する。 また、炭酸ジエステル成分に、少量、例えば、約50モル%までのテレフタル酸又はジフェニルイソフタレートのようなジカルボン酸又はそのエステルも含ませてポリエステルポリカーボネートを製造することもできる。 ポリカーボネートを製造する際には、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル毎に約1.0〜約1.30モルの炭酸ジエステルを使用する。一実施形態では、約1.01〜約1.20モルの炭酸ジエステルを使用する。 停止剤/封鎖剤 溶融法の一実施形態では、ポリカーボネートの製造の際に停止剤又は封鎖剤を使用してもよい。停止剤の例としては、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール及びその他当技術分野で周知の末端封鎖剤がある。 枝分れ剤 本発明方法の一実施形態では、必要に応じて枝分れ剤を使用する。枝分れ剤は周知であり、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物及びこれらの混合物などでよい官能基を3つ以上含有する多官能性有機化合物からなり得る。具体的な例としては、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸三塩化物、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1、3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4−(4−(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール、トリメシン酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸がある。 任意の触媒 ポリカーボネートの合成は、エステル交換反応を促進する触媒の存在下で行うことができる。例としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属自体又はその酸化物、水酸化物、アミド化合物、アルコラート及びフェノラート、塩基性金属酸化物(例えば、ZnO、PbO及びSb2O3)、有機チタン化合物、可溶性マンガン化合物、含窒素塩基性化合物、並びにカルシウム、マンガン、亜鉛、鉛、スズ、マンガン、カドミウム及びコバルトの酢酸塩、並びに化合物触媒系(例えば、含窒素塩基性化合物とホウ素化合物、含窒素塩基性化合物とアルカリ(アルカリ土類)金属化合物及び含窒素塩基性化合物とアルカリ(アルカリ土類)金属化合物とホウ素化合物)がある。 本発明の一実施形態では、エステル交換触媒は第四アンモニウム化合物又は第四ホスホニウム化合物である。これらの化合物の非限定例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラフェニルホウ酸テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホウ酸テトラフェニルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム及び水酸化ジメチルジフェニルアンモニウムがある。 以上述べた触媒は各々それ自体を使用してもよいし、目的とする用途に応じて2種類以上を組み合わせて使用してもよい。2種類以上の触媒を使用する場合、各々、反応の異なる段階で溶融体中に導入することができる。 触媒の適当なレベルは、どのくらい多く、例えば1種又は2種の触媒を使用するかにある程度依存する。一般には、触媒の総量は、通常、ジヒドロキシ化合物1モル当たり約1×10-8〜約1.0モルの範囲である。一実施形態では、その量はジヒドロキシ化合物1モル当たり約1×10-5〜約5×10-2モルの範囲である。2種類以上の触媒を使用する場合、各々、反応の異なる段階で溶融体中に導入することができる。 ポリカーボネート中の任意成分 本発明において、得られるポリカーボネートはさらに、当技術分野で広く使用されている熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、潤滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機充填材及び無機充填材を含有していてもよい。 溶融プロセスへの重合促進剤の添加 本発明の促進剤をポリカーボネートに添加する方法には特に制限はない。例えば、ポリカーボネートが生成中、又は溶融状態にある反応生成物としてのポリカーボネートに促進剤を添加してもよいし、或いは、押出もしくはペレット化中に、又はポリカーボネートが最終重合反応器と押出機もしくはペレタイザーとの間でまだ溶融状態にあるときに、ポリカーボネートに添加してもよい。 重合促進剤は、添加しようとするポリカーボネートオリゴマーの遊離OH含量に対して約0.1〜2.5の化学量論割合で添加する。一実施形態では、約0.2〜1.5の化学量論割合で添加する。別の実施形態では、約0.3〜1.2の化学量論割合で添加する。 本発明の促進剤は、使用する装置及びプロセス条件に応じて、例えば、回分式反応器、連続式反応器系で、又は押出機中で、各種手段により、様々な段階でポリカーボネートオリゴマー添加できる。溶融プロセスの一実施形態では、連続式反応系の後段の反応器に添加する。別の実施形態では、系内の最後の反応器と連続式溶融反応器系内の最初の重合器との間で添加する。さらに別の実施形態では、連続式溶融反応器系内の第一と第二の重合器の間で添加する。上記反応に使用する反応器は容器、管又はカラムのいずれかの形態とすることができる。 一実施形態では、促進剤は、ポリカーボネートオリゴマーが溶融状態で形成された後に本発明方法のプロセスに添加する。好ましい実施形態では、ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量Mnが約2500〜15000ダルトンに達した後に促進剤の総量の80%(さらに好ましくは90%)以上を添加する。本発明の別の実施形態では、ポリカーボネートオリゴマーのMnが約4000〜10000ダルトンに達した後に重合促進剤を添加する。 一実施形態では、促進剤は、ポリカーボネートオリゴマーが溶融状態で形成した後、約10〜90分の間、約200〜350℃の反応温度で本発明方法のプロセスに添加する。第二の実施形態では、反応時間が約30〜60分で、反応器温度が約300℃である。 促進剤を供給する装置/方法に特に制限はない。促進剤は固体、液体、溶融体又は溶媒中の溶液の形態で添加することができる。また、促進剤は所定の量を一度に添加してもよいし、又は所定の量に分割し数回添加してもよい。一実施形態では、スタティックミキサーによって粉末としてプロセスに添加することができる。 以下実施例を参照して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。以下の実施例においては次のものを測定した。 a)分子量 MwとMnは、ポリスチレン標準を用いて塩化メチレン中1mg/mlのポリマー溶液のGPC分析で測定した。 重合促進剤 実施例1〜4で使用した重合促進剤はBPAビス−メチルサリチレートカーボネートであった。重合促進剤は次の2種の方法で調製し、実施例1〜4では互換的に使用した。 a)無水法 乾燥トルエン50ml中BPAクロロホルメート16.80g(0.0476mol)の溶液を、約40分にわたり、トルエン100ml中14.6g(0.0957mol)のサリチル酸メチルと10.164g(0.0.1006mol、14ml)のトリエチルアミンの溶液に添加した。クロロホルメートの添加後2時間混合物を機械的に攪拌した。得られた混合物をろ過し、固体をトルエンで洗浄した。ろ液と洗液を合わせて、分離漏斗に移し、等体積のH20、10%HCl(2×)、2.5%NaOH(1×)及び塩水(1×)で洗浄した。無水CaSO4のコーンに通して有機層をさらに乾燥し、回転蒸発器を用いて溶媒を除いた。粗製残渣は、生成物の小さい種晶を入れた後冷却すると固化した。この固体をエーテル−ヘキサンから再結晶して、純粋なBPAビスメチルサリチレートカーボネートを約24.2g(87%)得た。 b)界面法 水75ml中水酸化ナトリウム4.14g(0.0.104mol)及び塩化メチルトリブチルアンモニウムの70%水溶液(1.02mmol)0.0.35mlの溶液を2×75mlのヘキサンで抽出した後、15分にわたり、150mlの塩化メチレン中サリチル酸メチル14.58g(0.0.096mol)及びBPAビスクロロホルメート16.80g(0.0476mol)の溶液に攪拌しながら添加した。この混合物をさらに10分間攪拌し、相分離した。有機相を等体積の10%HCl、5%Na2CO3、水及び塩水(飽和NaCl)で洗浄した後、無水CaSO4のコーンに通して乾燥した。溶媒を蒸発させて、純粋なBPAビス−メチルサリチレートカーボネートを27.3g(98.3%)得た。 出発材料のポリカーボネート 全ての実施例で、溶融法で調製したグレードの出発ポリカーボネートは次の特性を有していた。重量平均分子量Mw:18.3×103g/モル数平均分子量Mn:7.52×103g/モル遊離OH含量:670ppm。 実施例1〜4 実施例1〜4では、回分式反応管に、25gの出発ポリカーボネート及び0.3167g(5.420×10-4モル即ち−OH基1モル当たり0.55モル)〜0.633525g(1.084×10-3モル即ち−OH基1モル当たり1.1モル)の範囲の様々な量のBPA−ビス−メチルサリチルカーボネートを窒素下で入れた。混合物を300℃の温度に加熱し、約20分攪拌した。溶融混合段階の後、系を0.5mbarの減圧にし、反応を10〜40分続けた。生成したフェノールを蒸留により除去した。この反応段階後、反応管からポリマーの試料を採って数平均及び重量平均分子量を測定した。 比較例1 条件は、減圧段階の反応滞留時間を20分とした実施例1と同じであるが、BPA−ビス−メチルサリチルカーボネートを用いる代わりに、使用した重合促進剤は米国特許第5696222号に開示されているビス−メチルサリチルカーボネートである。 比較例2 条件は減圧段階の反応滞留時間を10分とした実施例2と同じである。米国特許第5696222号の促進剤ビス−メチルサリチルカーボネートをBPA−ビスメチルサリチルカーボネートの代わりに使用した。 比較例3 反応器条件は減圧段階の反応滞留時間を20分とした実施例3と同じであるが、米国特許第5696222号の促進剤ビス−メチルサリチルカーボネートを本発明のBPA−ビス−メチルサリチルカーボネートの代わりに使用した。 比較例4 実施例4の減圧下反応40分と同じ条件で、BPA−ビス−メチルサリチルカーボネートの代わりに米国特許第5696222号の促進剤ビス−メチルサリチルカーボネートを使用した。 比較例5 条件は減圧段階の反応滞留時間が20分である実施例1と同じであるが、BPA−ビス−メチルサリチルカーボネートの代わりに、重合促進剤として別の非活性化カーボネートであるジフェニルカーボネートを使用した。 比較例6 減圧段階下の反応20分である実施例1のカップリング反応において重合促進剤を全く使用しなかった。 重合促進反応例の結果を下記表1に示す。 本発明の形態を例示し説明して来たが、本発明の思想と範囲から逸脱することなく修正が可能である。従って、本発明は以上の記載に限定されるものではない。 溶融条件下のポリカーボネートオリゴマー反応混合物に次式(1)の化合物を添加して、重合促進反応において分子量の増大したポリカーボネートを形成することを含んでなる芳香族ポリカーボネートの製造方法であって、ポリカーボネートオリゴマーの数平均分子量Mnが2500〜15000ダルトンに達した後に式(1)の化合物の総量の80重量%以上を添加する、方法。式中、R1及びR3は同一でも異なるものでもよく、アルコキシ基、フェノキシ基、ベンゾキシ基、アリールオキシ基、フェニル基及びアリール基からなる群から選択され、R2はアルキル基、フェニル基、アリール基又はアラルキル基からなる群から選択される。 ポリカーボネートが、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートの反応混合物の溶融重合によって製造される、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物を、200〜300℃の溶融条件下で10分間以上反応混合物に添加する、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物が、BPA−ビス−メチルサリチルカーボネート、BPA−ビス−n−プロピルサリチルカーボネート、BPA−ビス−ベンジルサリチルカーボネート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物を、添加時の生成ポリカーボネートの末端ヒドロキシル基1モル当量を基準にして0.1〜20モルの量で添加する、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物を、添加時の生成ポリカーボネートオリゴマーの末端ヒドロキシル基1モル当量を基準にして0.2〜1.25モルの量で添加する、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物を、添加時の生成ポリカーボネートオリゴマーの末端ヒドロキシル基1モル当量を基準にして0.3〜0.9モルの量で添加する、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物を、ポリカーボネートの数平均分子量Mnが4000〜10000ダルトンに達した後にプロセスに添加する、請求項1記載の方法。 式(1)の化合物が芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネート化合物の反応の重合促進剤である、請求項2記載の方法。 重合促進剤を、添加時の生成ポリカーボネートの末端ヒドロキシル基1モル当量を基準にして0.1〜2.0モルの量で添加する、請求項4記載の方法。 生成ポリカーボネートが、500ppm以下の重合促進反応で生成したオルト置換フェノール含量を有する、請求項1記載の方法。 生成ポリカーボネートが、100ppm以下の重合促進反応で生成したオルト置換フェノール含量を有する、請求項1記載の方法。 生成ポリカーボネートが500ppm以下の重合促進剤含量を有する、請求項1記載の方法。 生成ポリカーボネートが100ppm以下の重合促進剤含量を有する、請求項1記載の方法。 生成ポリカーボネートが2500ppm以下の末端2−(アルコキシカルボニル)フェニル基含量を有する、請求項1記載の方法。 生成ポリカーボネートが1000ppm以下の末端2−(アルコキシカルボニル)フェニル基含量を有する、請求項1記載の方法。