タイトル: | 特許公報(B2)_安定化放射性医薬組成物 |
出願番号: | 2002554141 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 51/00,A61K 9/08,A61K 47/12,A61K 47/14,A61K 47/18 |
アラン・マイケル・フォースター デイビッド・エドワーズ オレ・クリスティアン・イェルストゥエン JP 5122721 特許公報(B2) 20121102 2002554141 20010411 安定化放射性医薬組成物 ジーイー・ヘルスケア・リミテッド 305040710 荒川 聡志 100137545 アラン・マイケル・フォースター デイビッド・エドワーズ オレ・クリスティアン・イェルストゥエン GB 0031592.9 20001228 20130116 A61K 51/00 20060101AFI20121220BHJP A61K 9/08 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/12 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/14 20060101ALI20121220BHJP A61K 47/18 20060101ALI20121220BHJP JPA61K49/02 BA61K9/08A61K47/12A61K47/14A61K47/18 A61K 51/00-51/12 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表平11−507364(JP,A) 特表2000−507233(JP,A) 国際公開第98/053858(WO,A1) 特開平05−271102(JP,A) 6 GB2001001624 20010411 WO2002053192 20020711 2004517854 20040617 17 20080409 小森 潔発明の詳細な説明(技術分野) 本発明は、放射線防御物質および一つもしくはそれ以上の抗菌性保存剤(類)を含み、したがって長期使用期間を有する、安定化99mTc放射性医薬組成物に関する。 放射性同位元素テクネチウム−99m(99mTc)に基づく診断イメージング放射性医薬品は、機能性研究(例えば、腎臓の)ならびに潅流(特に心臓および脳)を含む、種々の臨床診断について公知である。放射性同位元素99mTcは6時間の半減期を有し、したがってそのような99mTc放射性医薬品はいわゆる“キット”から通常調製される。 99mTc放射性医薬品の製剤用のこれらのキットはユーザーに非放射性キットのストックを保有させて、それらは99mTc供給源からの99mTc−過テクネテート(TcO4−)で再溶解するようにデザインされている。等張生理食塩水中の99mTc−過テクネテートの無菌溶液は、当分野で公知のように、テクネチウム発生器の無菌生理食塩水での溶出により得られる。 典型的には、99mTc放射性医薬品の製剤用のキットは:(i)99mTcと金属錯体を形成するリガンド、(ii)過テクネテート、即ちTc(VII)、を望ましい99mTc金属錯体生成物のより低い酸化状態へ還元する能力がある生体適合性還元剤を含有する。 典型的には、99mTc−過テクネテート用の生体適合性還元剤は第一錫イオン、即ちSn(II)である。キットは、キット成分の取扱いおよび凍結乾燥を容易にするために、弱キレート化剤(グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、酒石酸塩もしくはEDTAのような)、安定化剤、pH−調整剤、緩衝剤、可溶化剤または増量剤(マンニトール、イノシトールもしくは塩化ナトリウムのような)のようなさらに別の添加物を含有する。保管と流通を容易にするために、非放射性キットは通常、栓付き無菌バイアル中で凍結乾燥して供給される。凍結乾燥製剤はまた、末端ユーザーによる生理食塩水中の無菌過テクネテートとの再溶解を容易にさせて、ヒト使用のための、望ましい99mTc放射性医薬の無菌注射剤を得る。非放射性テクネチウムキットの使用期限は数ヶ月であるであろう。 放射性医薬組成物は、特に溶媒(典型的には水)の放射線分解を受けて、結果的に高度に反応性のフリーラジカルを生成し、それが組成物の一つもしくはそれ以上の成分を分解し得る。放射線防御物質もしくはフリーラジカル捕捉剤を使用して、そのような分解を抑止するのに役立てることが公知である。典型的には、フリーラジカル捕捉剤は公知のクラスの抗酸化化合物から選ばれる。アスコルビン酸およびアスコルビン酸塩は99mTc放射性医薬品の製剤用の第一錫−含有非放射性キットのための安定化剤として機能すると、US 4364920に開示されており、その後99mTc放射性医薬製剤に広く使用されている。99mTc放射性医薬品用のゲンチシン酸安定化剤がUS 4233284に開示されている。99mTc放射性医薬製剤用のパラ−アミノ安息香酸(PABA)および類縁安定化剤がUS 4451451に開示されている。 US 3939258(1976)は、抗菌性保存剤のメチルパラベンおよびプロピルパラベンを放射性同位元素113mInを含有する放射性医薬製剤に添加できることを教示する。これらの製剤は放射線防御物質を含有していない。 99mTc放射性医薬品の製剤用の市販の非放射性キットであるCHOLETEC[登録商標]は、製剤中にメブロフェニン(4.5mg)、メチルパラベン(4.5mg)、プロピルパラベン(0.5mg)およびフッ化第一錫(0.73mg)を含有する。このキット製剤は放射線防御物質を含有していない。パックのリーフレットはまた、「もし過テクネテートナトリウムTc−99m注射剤がCHOLETECとの使用のために希釈されねばならないならば、保存剤を含有しないUSPの塩化ナトリウム注射液を使用しなければならない。」と言う説明書を入れている。メブロフェニンは99mTc用の錯体形成剤で、置換イミノジ酢酸(IDA)である。 パラベンは公知系列の抗菌性保存剤である: R=Me: メチルパラベン Et: エチルパラベン n−Pr:プロピルパラベン n−Bu:ブチルパラベン US 5093105は放射性医薬品の抗菌性保存剤として塩化ベンザルコニウムもしくは塩化ベンゼトニウムの使用に関し、放射線防御物質と適合するとクレームされている。他の抗菌性保存剤は、放射線防御物質と適合しないとしてUS 5093105に記載されている。しかしながら、塩化ベンゼトニウムは弱発がん物質として分類され、そして塩化ベンザルコニウムは、経口で投与されるとき、毒性物質として一般的に見なされている。 Hensel et al. [J Pharm Sci 1995; 84(1): 115-118]は、多糖類のような高分子の存在下で、かつ特にアルコールとのエステル基転移による、パラベン保存剤の分解は既知の問題であったと公開している。彼らは、パラベン類のエステル交換反応はまた、キシリトール、グリセリンおよびソルビトールのようなポリオールの存在下で起るが、リボースもしくはキシロースのようなアルドースとのエステル基転移を観察しなかったと報告した。 特定の放射性医薬剤は深刻な状況、例えば集中治療救急室(ER)のセッティング、において利用可能であるために特に有用である。ある患者診断を日夜何時でも、臨床走査用の放射性医薬品が容易に利用可能な状態で行う必要があり、そのときには放射線薬局からの放射性医薬品の従来の供給は全く選択肢であり得ない。それ故に、特にそのような目的のために、熟練した放射線薬剤師により調製できるが、13時間以上、例えば36時間まで、の再溶解後の使用期限を有するところの放射性医薬品の必要性がある。(本発明) 本発明は、少なくとも24時間の再溶解後の使用期限を有するところの、改良された99mTc放射性医薬組成物を提供する。好ましい99mTc放射性医薬品は深刻な状況で特別な利点を有するものであり、心臓、脳、肺および血栓イメージング剤が挙げられる。 99mTc放射性医薬剤の延長された再溶解後利用可能性の問題を解決することは、再溶解において99mTcの放射能の初めのレベルが高くなければならないことを意味する。これは、99mTcの6時間の半減期は、診断イメージを与えるために使用されるであろう放射能の半分は6時間毎に放射性崩壊で失われ、したがって元の放射能の1/16のみが24時間までに残存することを意味するからである。長期間のそのような高レベルの放射能は99mTc放射性医薬組成物について顕著な潜在的放射線分解の問題を呈する。それ故に、本発明は組成物中に放射線防御物質を含有する。 放射性医薬注射剤の再溶解後の使用期間は、注射溶液中の微生物増殖の潜在性によりさらに抑制される。長期間(例えば13時間より長く)保存されるところのヒト注射用の多回使用溶液からの感染の危険性を減少するためには、製剤を再溶解後何時も凍結状態でもしくは2〜8℃の温度でのいずれかで保管しなければならない。それに代えて、殺菌剤(即ち微生物学的除去剤)もしくは静菌剤(即ち微生物学的増殖阻害剤)が微生物の増殖を抑制するために存在しなければならない。輸送の間(例えば放射線薬局から臨床医への)何時も冷凍してもしくは2〜8℃の保証温度でのいずれかでの長時間保存および使用前の保管は非常に達成困難であり、それ故に日常的には望ましくなくかつ不便である。したがって、本発明は放射性医薬組成物中に一つもしくはそれ以上の抗菌性保存剤(類)を含む。本発明の安定化組成物およびキットは環境温度もしくは室温で、即ち微生物の増殖を抑制するために必要な特別な温度保管条件無しで、保管されることができる。これは使用の便利性の観点から顕著な利点である。(発明の詳細な説明) 本発明は第一の態様において:(i)99mTc金属錯体;(ii)アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸もしくはゲンチシン酸、または生体適合性陽イオンとのそれらの塩を含む放射線防御物質;(iii)式(I) [式中、RはC1−4アルキルであり、そしてMはHもしくは生体適合性陽イオンである]の抗菌性保存剤の一つもしくはそれ以上を含む安定化99mTc放射性医薬組成物を提供する。 かくして、先行技術の教示と反対に、式(I)のパラベン抗菌性保存剤を99mTc放射性医薬製剤中に放射線防御物質と一緒に、99mTc薬剤の放射化学純度(RCP)(即ち、顕著なレベルの99mTc−ベースの不純物)、したがってイメージ品質、に悪影響無しで使用できることが驚くべきことに見出されている。 用語“99mTc金属錯体”は、テクネチウムの一つもしくはそれ以上のリガンドとの配位錯体を意味する。99mTc金属錯体は“トランスキレート化に抵抗性である”、即ち、テクネチウム配位部位について他の潜在的に競合するリガンドとのリガンド交換を容易に受けないことが強く好ましい。潜在的に競合するリガンドは製剤中の他の添加物(例えば、安定化剤、放射線防御物質、抗菌性保存剤もしくは非放射性キットに使用される保存剤)であり得る。カルボン酸もしくはそれらのエステル、またはアルコールであるところのこれらの化合物は典型的に、酸素もしくは窒素の供与体を有する。カルボン酸およびアルコールはテクネチウムと比較的弱い錯体を形成する傾向にあり、そしてそのような潜在的に競合するリガンドは典型的に、テクネチウムをキレート化するように配置された供与体原子を有しない。 トランスキレート化に抵抗性である99mTc錯体を形成するところの本発明における使用に適当なリガンドとしては、テクネチウムに結合する金属供与体原子の2〜6個、好ましくは2〜4個が、5−もしくは6−員キレート環が生じる(炭素原子もしくは金属供与体原子に結合する非−配位性のヘテロ原子のいずれかの非−配位性バックボーンを有することにより)ように配置されるところのキレート化剤;またはイソニトリル、ホスフィンもしくはジアゼニドのような、テクネチウムに強力に結合する供与体原子を含むところの一座リガンドが挙げられる。キレート化剤の部分としてテクネチウムに良く結合する供与体原子タイプの例は:アミン、チオール、アミド、オキシムおよびホスフィンである。ホスフィンは、テトロフォスミン(Tetrofosmin)(即ち、6,9−ビス(2−エトキシエチル)−3,12−ジオキサ−6,9−ジホスファテトラデカン)のような二座キレート化ホスフィンでさえも適当な99mTc錯体を形成するほどに強力なテクネチウム錯体を形成する。イソニトリルおよびジアゼニドの直線幾何は、それらがそれら自身では容易にキレート化剤の中に組込ませないで、そのために典型的には一座リガンドとして使用されるようなものである。適当なイソニトリルの例としては、tert−ブチルイソニトリルのような簡単なアルキルイソニトリルおよびミビ(mibi)(即ち、1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)のようなエーテル−置換イソニトリルが挙げられる。適当なホスフィンの例としては、テトロフォスミン(Tetrofosmin)およびトリス(3−メトキシプロピル)ホスフィンのような一座ホスフィンが挙げられる。適当なジアゼニドの例としては、HYNIC系列のリガンド、即ち、ヒドラジン−置換のピリジンもしくはニコチンアミドが挙げられる。 トランスキレート化に抵抗性である99mTc錯体を形成する、テクネチウムに対する適当なキレート化剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:(i)式:[式中、R1〜R6はそれぞれ独立してR基であり;それぞれのRはHまたはC1〜10アルキル、アルキルアリールアルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキルもしくはアミノアルキルであり、そこでは一つもしくはそれ以上のR基が生物学的標的分子と任意に共役してもよく;ならびにQは式−(A)n−[式中、nは3、4もしくは5であり、そしてそれぞれのAは独立して、(A)nは−O−もしくは−NR−であるA基を最高で一つを含有するという条件で、−O−、−NR−もしくは−CR2−である]の架橋基である]のジアミンジオキシム。 好ましいジアミンジオキシムは、R1〜R6=C1〜3アルキル、アルキルアリールアルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキルもしくはアミノアルキルを有し、そこでは一つもしくはそれ以上のR基が生物学的標的分子と任意に共役してもよい。最も好ましいジアミンジオキシムは、R1〜R6=CH3を有し、そこでは一つもしくはそれ以上のR基が生物学的標的分子と任意に共役してもよくならびに:Q=−(CH2)3−、即ちプロピレンアミンオキシムもしくはPnAO;Q=−(CH2)4−、即ちブチレンアミンオキシムもしくはBnAO;Q=−(CH2)5−、即ちペンチレンアミンオキシムもしくはPentAO;Q=−N(CH2)2NR(CH2)2N−;またはR1、R3、R5およびR6=CH3、ならびにR2=R4=HおよびQ=−CH2C(CH3)2CH2−、即ちヘキサメチルプロピレンアミンオキシムもしくはHMPAO;(ii)MAG3および関連リガンドのようなチオールトリアミド供与体セットを有するか、もしくはPicaのようなジアミドピリジンチオール供与体セットを有するN3Sリガンド;(iii)BATもしくはECD(即ち、エチルシステイネート二量体)のようなジアミンジチオール供与体セット、またはMAMAのようなアミドアミンジチオール供与体セットを有するN2S2リガンド;(iv)シクラム、モノオキソシクラムもしくはジオキソシクラムのようなテトラミン、アミドトリアミンもしくはジアミドジアミン供与体セットを有する開鎖または大環状リガンドであるところのN4リガンド;(v) ジアミンジフェノール供与体セットを有するN2O2リガンド。 本発明の好ましいリガンドはホスフィン、イソニトリルならびにジアミンジオキシムであり、テトロフォスミン(Tetrofosmin)およびミビ(mibi)(即ち、2−メトキシ−イソブチルニトリルもしくは1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)が特に好ましく、テトロフォスミン(Tetrofosmin)が最も特に好ましい。テトロフォスミン(Tetrofosmin)およびミビ(mibi)は陽イオン性、親油性99mTc錯体を形成し、それらは心臓イメージングに適し、そしてそれぞれ市販製品のMyoview[登録商標]およびCardiolite[登録商標]において使用される。用語“陽イオン性、親油性99mTc錯体”は、その中でテテクネチウムは正に荷電し、そしてテクネチウム錯体は0.5より大きいオクタノール/水分配係数を有するところのテクネチウム−99m配位錯体を意味する。 本発明の99mTcリガンドは生物学的標的分子と任意に共役して、特定の器官、受容体もしくは疾患部位のような、哺乳動物の体内の興味ある部位に99mTc放射性医薬品を標的化してもよい。そのように適当な生物学的標的分子としては;線状もしくは環状であってもよいところの1〜100マーのペプチドまたはペプチド類似体、特に3〜20マーのペプチド;モノクローナル抗体もしくはそれらのフラグメント、または酵素基質もしくは阻害剤、合成的受容体−結合化合物、オリゴヌクレオチド、またはオリゴ−DNAもしくはオリゴ−RNAフラグメント、が挙げられる。 用語“抗菌性保存剤”は、細菌、酵母もしくはカビのような、潜在的に有害な微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌性保存剤はまた、投与量に依存して、幾らかな殺菌性を示し得る。本発明の抗菌性保存剤(類)の主要な役割は、99mTc放射性医薬組成物の再溶解後液の中で、即ち放射性診断製品自身の中で、いかなるそのような微生物の増殖を阻害することである。しかしながら、抗菌性保存剤をまた、任意に使用して、再溶解に先立って本発明の非放射性キットの一つもしくはそれ以上の成分の中で潜在的に有害な微生物の増殖を阻害するために使用し得る。 本発明の式(I)のパラベン抗菌性保存剤は、4〜8のpHの範囲で最適な活性を有し、そのために広い範囲の99mTc放射性医薬製剤に適している。パラベンは真菌(酵母およびカビ)ならびに細菌に対して低濃度で有効である。それらは、微生物に対して致死的(即ち殺菌的)より静菌的な作用を大きく有している。パラベンの抗菌性保存活性はアルキル鎖の長さが増加すると増加する。パラベンはまた、静菌薬のベンジルアルコールおよびクロロブタノールと違って、それらは不揮発性であり、そのために凍結乾燥製剤中の包含に適しているという利点を有する。パラベンはまた、放射性医薬品の注射製剤用に規制当局により既に承認されている。抗菌性保存剤を含有するヒト注射用の生理食塩水溶液は‘BSI’(注射用静菌生理食塩水)と普通略称される。抗菌性保存剤としてメチルおよびプロピルパラベンの両方を含有するところのUSPのBSIはAmerican Pharmaceutical Partners (APP)から市販で入手可能である。この溶液1cm3は4.5〜7.0のpHにおいて、 メチルパラベン 1.2mg プロピルパラベン 0.12mg 塩化ナトリウム 9mgを含有する。 本発明の式(I)のパラベン抗菌性保存剤は、フェノール(即ち、M=H)もしくは塩型(M=生体適合性陽イオン)のいずれかで使用されてもよい。用語“生体適合性陽イオン”は、イオン化して、負に荷電した基(ここではフェノラート基、即ち、フェニル−O−)と塩を形成するところの正に荷電した対イオンを意味し、そこでは該正に荷電した対イオンはまた無毒であり、そのために哺乳動物体、特に人体への投与に適する。適当な生体適合性陽イオンの例としては:アルカリ金属(例えば、ナトリウムもしくはカリウム);アルカリ土金属(例えば、カルシウム、マグネシウムおよびバリウム);ならびにアンモニウムイオン、が挙げられる。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウムである。式(I)のMが生体適合性陽イオンであるときには、パラベン抗菌性保存剤はさらに水溶性である。かくして、メチルパラベンのナトリウム塩は1部が水2部に可溶であり、そしてプロピルパラベンのナトリウム塩は1部が水1部に可溶である。 用語“放射線防御物質”は水の放射線分解に起因する酸素−含有フリーラジカルのような高反応性のフリーラジカルを捕捉することにより、レドックスプロセスのような分解反応を阻害する化合物を意味する。本発明の放射線防御物質は:アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸(即ち、4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(即ち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸)および上述の生体適合性陽イオンとのそれらの塩、から適当に選ばれる。好ましい放射線防御物質はアスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムである。本発明の放射線防御物質は市販で入手可能であり、例えばUSPのアスコルビン酸注射液は、Abbott Laboratoriesを含む数多くの供給業者から市販で入手可能である。 99mTc放射性医薬品の溶液中の式(I)のパラベン抗菌性保存剤の濃度は、抗菌性保存剤として効果的に機能するのに十分でなければならず、そして好ましくは、少なくとも0.3mg/cm3で、媒体中におけるパラベン(類)の溶解度の上限までである。与えられた濃度の有効性は、USP、51節、抗菌性効力試験、のような、規制された試験方法を用いて容易に評価されることができる。幾らかの特定のパラベン(M=Hでもって)の水中の溶解度は以下の如くである: メチルパラベン 2.5mg/cm3、 エチルパラベン 25℃で0.07%w/w、 プロピルパラベン 2000部の水中に1部 ブチルパラベン 5000部の水中に1部 抗菌性保存剤として効果的に機能するための濃度において製剤中で溶液中に残るところの適当なパラベンの組成は、上の水中溶解度、媒体のpH、溶液の相対的親水性/親油性組成、および望ましい最終濃度に基づいて容易に決定されることができる。媒体のpHは、全ての抗菌性保存剤は最適なpH範囲を有するので、重要である。主として水性である製剤については、メチルパラベンが、最高の水中溶解度を有するので、M=Hフェノールクラスの中で最も適当なパラベンである。本発明の抗菌性保存剤は、個別のエステルの組合せは効果で付加的であると知られているので、二つもしくはそれ以上の異なるパラベンを適当に含んでもよい。パラベンの水中溶解度はアルキル鎖の長さが増加するにつれて減少するが、抗菌活性はアルキル鎖の長さとともに増加する。そのために、抗菌性保存剤として単鎖および長鎖パラベンの両方の組合せを使用することが好ましい。そのような組合せは付加的な抗菌性保存効果を与え、そして、より長鎖のパラベンはさらに限られた水中溶解度を有するけれども、さらに強力であるために、より少量が必要である。二つのパラベンの好ましい混合物は、R=メチルおよびR=プロピルの組合せである。この組合せは良好な抗真菌性および良好な抗菌性の両方を授与すると信じられている。メチルパラベン(R=メチルおよびM=H)ならびにプロピルパラベン(R=プロピルおよびM=H)の組合せは特に好ましい。 本発明で使用する放射線防御物質の濃度は適当には0.0003〜0.7モル、好ましくは0.001〜0.07モル、最も好ましくは0.002〜0.02モルである。アスコルビン酸については、これは0.05〜100mg/cm3の適当な濃度、好ましくは0.2〜10mg/cm3、最も好ましくは0.3〜3.0mg/cm3に相当する。99mTc放射性医薬品のMyoview[登録商標]については、アスコルビン酸もしくはアスコルビン酸塩の放射線防御物質の好ましい濃度は、0.0025〜0.01モルの範囲であり、これは、放射線防御物質がアスコルビン酸であるときには、0.4〜1.5mg/cm3に相当する。 診断イメージングに適当な99mTc放射能の含量は、インビボでイメージングされる部位、取込みおよび標的対バックグラウンドの比率に依存して、180〜1500MBqの範囲である。99mTc放射性医薬品による心臓イメージングについては、約1110MBq(30mCi)をストレス試験に、そして約350MBq(10mCi)をレスト試験に使用し得る。そのために、本発明の安定化99mTc放射性医薬組成物における初めの99mTc活性は0.2〜100GBqの範囲であり、それは99mTcの数半減期の放射性崩壊の後でさえ同じ製剤からの多回投与を許容する。 第二の態様において、本発明は、容器もしくは前充てん注射器のいずれかの中でヒトの投与に適した無菌形態の安定化99mTc放射性医薬組成物を提供する。そのような前充てん注射器は単回のヒト放射線量を含有し、そして好ましくは使い捨てのもしくは他の臨床使用に適する注射器である。前充てん注射器は、オペレーターを放射性線量から防御するための注射器シールドを任意に備えてもよい。そのような適当な放射性医薬注射器シールドは当分野で公知であり、そして好ましくは鉛もしくはタングステンのいずれかを含む。 これに代えて、ヒトの投与に適した無菌形態の安定化99mTc放射性医薬組成物を皮下注射針による多回穿刺に適するシール(例えば、クリンプド−オンセプタムシール栓)を有する容器中で提供してもよい。そのような容器は単回もしくは多回患者放射線量を含有してもよい。好ましいそのような容器は、多回患者放射線量を含有するところの単一のバルクバイアル(例えば、10〜30cm3容積の)から成り、それによりかくして単回患者放射線量を、臨床状況に適応させて安定化製剤の存立可能な寿命の間に種々の時間間隔で臨床グレードの注射器の中に引き出すことができる。 第三の態様において、本発明は安定化99mTc放射性医薬組成物の製剤のための非放射性キットを提供する。そのようなキットは、99mTc放射性医薬品の製剤のための従来の凍結乾燥バイアルを、放射線防御物質およびパラベン抗菌性保存剤を含む一つもしくはそれ以上の容器と一緒に、製剤指示書と一緒に、適当に含む。キットを先ず生理食塩水中の99mTc−過テクネテートもしくはBSI(即ち、静菌性の注射用0.9%食塩水)のいずれかで任意に再溶解してもよい。Myoview[登録商標]については、両方の選択肢が実行可能であると見出されたが、99mTc−テトロフォスミン(Tetrofosmin)錯体を先ず生成し、次いでBSIを添加することが、逆の添加順序よりもやや高い放射化学純度(RCP)をもたらしたので、好ましかった。 これに代えて、放射線防御物質は任意の便利な段階で放射性医薬品キット製剤へ添加され得る。放射線防御物質は適当に、キット製剤中に初めから混和されるかもしくは99mTc放射性医薬品の生成後に添加されるかのいずれかである。しかしながら、パラベン抗菌性保存剤とのように、放射線防御物質を放射性医薬製剤へ再溶解後便利で可能な限り迅速に添加することが、放射線防御物質の添加の遅延は分解のリスクを増加させるので、好ましい。Myoview[登録商標]については、放射線防御物質は好ましくは、放射性再溶解の15分以内に添加される。 これに代えて、放射線防御物質および抗菌性保存剤の一つもしくは両方を非放射性キットの凍結乾燥製剤中に任意に含ませてもよい。 さらなる態様において、本発明は:(i)アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸もしくはゲンチシン酸、または生体適合性陽イオンとのそれらの塩を含む放射線防御物質;(ii)式(I)[式中、RはC1−4アルキルであり、そしてMはHもしくは生体適合性陽イオンである]の抗菌性保存剤の一つもしくはそれ以上の組合せを、99mTc放射性医薬製剤中で安定化させかつ微生物の増殖を阻害する両方のために、含む組成物の使用を提供する。 本発明は下記に詳述される非−限定的実施例により例示される。 実施例1は、アスコルビン酸およびメチルパラベンの間にいかなる顕著な反応に対して、もしくはさらに濃厚な溶液中で、凡そ9.6のpHで7日後においてさえいかなる顕著な加水分解に対して何の証拠も13C NMR試験からは見出されなかったことを示す。Hensel et al. [J Pharm Sci 1995; 84(1): 115-118]は、ポリオールとのエステル交換反応におけるパラベンの反応性は、短鎖アルキル基を持つそれらのパラベンエステルに対してより高かったことを報告している。これは、もしもアスコルビン酸とのいかなる反応が観察されるならば、長鎖アルキル鎖類似体とは対照的に、メチルエステルに対して期待されるであろうことを示す。 実施例2は、99mTc放射性医薬品のMyoview[登録商標]においてパラベンおよびアスコルビン酸は一緒で、再溶解後24時間においてさえ、製剤の放射化学純度(RCP)に対して顕著な有害作用を何も有しないことを示す。実施例3および4は、本発明の製剤は、細菌をわざと添加している非放射性製剤の細菌の増殖を抑制することにより、抗菌性保存剤として実際に機能することを示す。 実施例5は、99mTcを混和したMYOVIEW24の再溶解した放射性製剤は、大腸菌、緑膿菌、シュードモナス・スタッツエリ(Pseudomonas stutzeri)、黄色ブドウ球菌およびミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)を含む試験細菌種に対して抗菌有効性を示すことを示す。MYOVIEW24はアスコルビン酸(AA)を放射線防御物質としておよび静菌的0.9%食塩水を保存剤として含有する安定化Myoview[登録商標]製剤である。MYOVIEW24中の全ての細菌の濃度は、通常の生理食塩水を含有する対照のバイアルおよび注射器と比較するとき、バイアルおよび注射器の両方において72時間で少なくとも2対数倍だけ減少した(表1)。酵母およびカビ種は試験期間の間(14日)には菌数で増加しなかった。試験した二つの種はカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)および黒色こうじ菌であった。かくして、再溶解したMyoview[登録商標]製剤中の微生物の増殖は効果的に制御された。 実施例6は、本発明の安定化Myoview[登録商標]製剤の生体分布は非安定化Myoview[登録商標]製品のそれと全く同等であることを示す。 実施例7は、99mTc放射性医薬品のMyoview[登録商標]においてパラベンおよびゲンチシン酸は一緒で、再溶解後24時間においてさえ、製剤の放射化学純度(RCP)に対して顕著な有害作用を何も有しないことを示す。RCPは再溶解後15分および24時間の両方において90%以上である。 アスコルビン酸およびメチルパラベンの間の反応の13C NMR検討 実験A.アスコルビン酸(1.0g)およびメチルパラベン(48mg)を蒸留水(2.1cm3)中で混合した。小分けした水酸化ナトリウム粉末を攪拌しながら加えて、pHを調整した。三つの規定したpH(pH7.5、8.8および9.6)において、代表的なアリコート(0.5cm3)をNMRチューブへ移した。三つのサンプリングした反応混合液を一週間の間毎日13C NMRによりモニターした。モニターしていないときには、混合液を遮光して室温で保存した。モニター期間の終わりに、少量のメタノールを溶液に加えて、もしも加水分解が起っていたならば、エステル交換反応により生成されるいかなるメタノールについての13C NMRシグナルは初めのメチルエステル共鳴のそれと良く分離されたであろうことを確認した。 pH7.5においては、パラベンは限られた溶解度を有するので、試料アリコートを取る前に成分の十分な攪拌を確実にすることが必要であった。この試料の13C NMRスペクトルにおけるパラベンのシグナル強度はまた、同様な理由のために実質的に低減された。 13C NMRスペクトルは、67.94MHzの周波数で操作するブロードバンドで調整可能なプローブを備えたJEOL EX270 NMR分光計を用いて得られた。それぞれのスペクトルについてのデータは約30分間にわたって取得された。 実験B.水酸化ナトリウム粉末をアスコルビン酸(100mg)およびメチルパラベン(100mg)の水(2.0cm3)中で激しく攪拌した混合液へ、9.5の一定のpHが得られるまで、小分けして加えた。無色の溶液のアリコート(0.5cm3)を取り、13C NMRスペクトル法によりモニターした。モニタープロセスの一部として、29時間後に試料をBruker AM250 NMR分光計中に置いて、その13C NMRスペクトルを16時間にわたって積算した。加工されたデータは230:1の信号対雑音比でスペクトルを与えた。このスペクトルは、二つの成分の相互作用から顕著な量のいかなる追加的成分は何も生成されていなかったこと、およびまた、メチルパラベンの加水分解からのメタノールの形成に対する証拠は何も無かったことを示した。次いで、少量のメタノールを基準ピークとして試料に加えた。 NMRスペクトル中で次の共鳴が観測された:δC(H2O)51.9、62.7、69.6、78.4、113.2、115.0、118.2、132.1、169.9、171.1、175.5、177.4[シフトは、49ppmにおけるMeOHを規準としてのppmである]。62.7、69.6、78.4、113.2、175.5および177.4における共鳴はアスコルビン酸塩に起因する一方で、残りのシグナルはメチルパラベンに起因する。 Myoview[登録商標]キットの放射化学純度に対する効果 Myoview[登録商標]は: テトロフォスミン(Tetrofosmin) 0.23mg 塩化第一錫二水和物 0.03mg スルホサルチル酸二ナトリウム 0.32mg D−グルコン酸ナトリウム 1.0mg 炭酸水素ナトリウム 1.8mg pH 8.3〜9.1を含有する凍結乾燥製剤であり、10mlのガラスバイアル中にUSP/NFの窒素ガス下にシールされていて、USP/Ph.Eur.の無菌ナトリウム(99mTc)過テクネテート注射液での再溶解によって、心臓イメージング放射性医薬品の99mTcテトロフォスミン(Tetrofosmin)を含有する溶液を得る。 アスコルビン酸およびパラベンを含有するMyoview[登録商標]製剤を以下のようにして調製した:(i)USPのアスコルビン酸溶液(500mg/cm3、0.5cm3)をUSPの注射用静菌生理食塩水[0.9%(w/v)塩化ナトリウム溶液中で1.2%(w/v)メチルパラベン、0.12%(w/v)プロピルパラベン;10cm3]を含有するバイアルへ注射器により加えた;(ii)従来のMyoview[登録商標]バイアルを99mTc発生器からの生理食塩水中の99mTc過テクネテート(1.5〜5.0cm3、30〜400mCi/cm3)で再溶解した;(iii)ステップ(ii)の再溶解の5分以内に、ステップ(i)からの溶液のアリコート(0.2cm3)をステップ(ii)の再溶解したMyoview[登録商標]バイアルに加えた;(iv)ステップ(ii)で使用した溶出液の容積(1.5〜5.0cm3)と同一であるさらなる量のBSIをステップ(iii)からの溶液に加えて、MYOVIEW24製剤を得た。 MYOVIEW24はアスコルビン酸(AA)を放射線防御物質としておよび静菌的0.9%食塩水(BSI)を保存剤として含有する安定化Myoview[登録商標]製剤である。 次いで、Myoview[登録商標]パックのリーフレットにしたがい、放射化学純度(RCP)をITLC(インスタント薄層クロマトグラフィー)およびPC(ペーパークロマトグラフィー)により測定した。ITLCおよびPCにおけるMYOVIEW24の放射化学的プロフィルは、元の製品と同じ微量不純物における同じばらつきを持って、正規のMyoview[登録商標]のそれと同じである。標識後30分で、ラジオクロマトグラムは同様であるが、この特定の場合にはMYOVIEW24製剤は94%のRCPを与え、そして正規のMyoview[登録商標]標識化は望ましい99mTcテトロフォスミン(Tetrofosmin)錯体に対して96%のRCPを有した。標識化後24および30時間において、MYOVIEW24製剤のRCPは初めの標識化に比較して殆んど一定(即ち、なお90%より大)である。 抗菌有効性:グラム−陰性菌および非放射性製剤 それにアスコルビン酸(4.76mg)加えていたところのMyoview[登録商標]の製剤用の非放射性キットに、BSI(1.2mg/cm3メチルパラベンおよび0.12mg/cm3プロピルパラベン)のパラベン濃度の25〜200%に相当する濃度範囲のパラベンを加えた。グラム−陰性菌(1×106cfu/バイアル;そこではcfuはコロニー形成単位である)を加え、生成物をバイアルおよび注射器の中に分注し、それから72時間37℃でインキュベートした。全ての濃度は、緑膿菌に対して注射器(図1)およびバイアル中でのインキュベーション後72時間において細菌数で2対数以上の減少に相当する有効性を示した。大腸菌に対しては、40%BSI以上の全ての濃度は、注射器(図2)およびバイアル中でのインキュベーション後72時間において2対数以上の減少に相当する抗菌有効性を示した。 抗菌有効性:非放射性製剤 50%BSIを含有する実施例2のMYOVIEW24製剤を、USP<51>に規定されている6種の微生物、即ち大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、黒色こうじ菌、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)およびミクロコッカス・ルテウス(M. luteus)、で感染させた。インキュベート液を注射器およびバイアル中に保存した。生成物は、72時間において全ての細菌数で2対数以上の減少および14日後に3対数以上の減少を示した。図3おおび4はそれぞれ大腸菌および緑膿菌に対する代表的なデータを示す。酵母およびカビに対しては、いかなる時においても細菌数の増加は何も無かった。 抗菌有効性:放射性製剤 実施例2にしたがい調製された再溶解したMYOVIEW24を100μL(全容積の1.0%)の標準化接種源(USP<51>に規定されている6種の微生物、即ち大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、黒色こうじ菌、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)およびミクロコッカス・ルテウス(M. luteus))で接種し、混合した。それぞれの微生物について3個のバイアルを調製した。それぞれの微生物の接種源は1.0×107〜1.0×108CFU/mLであると推定されたので、接種源がMYOVIEW24バイアルに添加されたときには、試験製剤の最終濃度は105〜106CFU/生成物mL(生成物1ml当り)であった。 それぞれの接種液のバイアルからのアリコート(3ml)を3mlのプラスティック注射器に入れ、そして接種液の残りの7mlを空のバイアルの中に分注した。それぞれの微生物について、そのような注射器およびバイアルを三組調製した。 6個のバイアルのMyoview[登録商標]を正規の生理食塩水10mlおよびUSPのアスコルビン酸注射液(5.5〜7.0のpHにおける濃度:500mg/ml AA、9mg/ml塩化ナトリウムおよび5mg/mlヒドロ亜硫酸ナトリウム)で静かに再溶解し、次いで試験の間の陽性対照(即ち、保存剤無しで)のために上と同じ接種源で接種した。陽性対照は99mTcテクネチウム無しで調製された。この容量を上のようにバイアルおよび注射器の中に分注した。 陰性対照は、接種源無しの生理食塩水を充てんしたMyoview[登録商標]バイアルの二組として調製された。この容量を上のようにバイアルおよび注射器の中に分注した。一つのセットの注射器/バイアルをインキュベートして、細菌種としてTSA(トリプトン醤油寒天培地)上で平板培養した。一つのセットの注射器/バイアルをインキュベートして、酵母およびかび種としてSDA(サブローデキストロース寒天培地)TSA上で平板培養した。 全ての注射器およびバイアルは、サンプリングされるまで22.5±2.5℃で維持された。それぞれの注射器およびバイアルの試料をプロトコールにしたがい0、6、24および72時間プラス7および14日の時間に採取した。48時間試料をカンジダ・アルビカンス(C. albicans)、黒色こうじ菌およびシュードモナス・スタッツエリ(P. stutzeri)のために採取した。試料を溶融増殖培地で平板培養し、冷却して、インキュベートした。生存する微生物の数を記録した。対数減少を表1に示す。 ここで、NA=適用不可 MyoviewおよびMYOVIEW24についての比較的生体分布 Myoview[登録商標]バイアルをAmertec II 99mTc発生器からの溶出液で再溶解して、最終放射濃度の5.4mCi/cm3(0.2GBq/cm3)(正規活性)もしくは64.9mCi/cm3(2.4GBq/cm3)(高活性)を得た。MYOVIEW24を実施例2にしたがい99mTc発生器からの溶出液で調製して、最終放射濃度の33.8mCi/cm3(1.25GBq/cm3)(正規活性)もしくは64.9mCi/cm3(2.4GBq/cm3)(高活性)を得た。全ての製剤のRCPを再溶解後15〜30分以内におよび再溶解後1時間における使用後直ちに測定して、全ての場合において90%以上であると見出された。体重150〜200gのWisterラットを軽度に麻酔(ハロタン)して、0.15cm3の再溶解したMyoview[登録商標]もしくはMYOVIEW24を側尾脈を通じて静脈内注射した。注射した放射能の百分率(%注射した放射線量として表す)を正規活性製剤の注射後2分、20分、1時間および7時間、もしくは高活性製剤の注射後24時間において解剖および双晶ガンマカウンターを用いる放射能のアッセイにより測定した。 それぞれの器官もしくは組織における注射した放射能の百分率の結果は、雄または雌のラットのいずれかにおいてMyoview[登録商標]もしくはMYOVIEW24として投与された99mTcテトロフォスミン(Tetrofosmin)の生体分布に顕著な相違は何も無かったことを明らかにした。Myoview[登録商標]およびMYOVIEW24の両方は:(i)注射後最初の2分の間に、血液中の放射能は注射した放射線量の2%以下に急速に減少した;(ii)心臓中の放射能量は注射後2分で凡そ1.5%であり、注射後7時間までに約0.8%に減少する;(iii)注射後24時間までに、全身放出は凡そ75%(60%糞中;5%尿中)である。この時間における残留放射能の主要部位は骨格筋であることを示した。 図5は、Myoview[登録商標]について興味のある器官、即ち心臓、におけるMyoview[登録商標]およびMYOVIEW24について等価生体分布データを図示する。 Myoview[登録商標]キットの放射化学純度へのゲンチシン酸およびパラベンの効果 安定化Myoview[登録商標]キットにおいてパラベンと組合せて、放射線防御物質としてアスコルビン酸(AA)の代わりのゲンチシン酸(AA)の効果を、実施例2と類似した様式で試験した。かくして、一つのバイアルのMyoview[登録商標]キットを99mTc−留出液(1.5ml)、ゲンチシン酸(BSI0.2ml中5mg)およびBSI(1.5ml)で再溶解した。分析の間には製剤を環境温度で保存して、実施例2にしたがいRCPを分析した。結果は以下のようである:図1は、Myoview(登録商標)/アスコルビン酸に添加して、注射器中で保存した25〜200%BSIの緑膿菌に対する抗菌有効性を示す。図2は、Myoview(登録商標)/アスコルビン酸に添加して、注射器中で保存した25〜200%BSIの大腸菌に対する抗菌有効性を示す。図3は、本発明の非放射性MYOVIEW24製剤が大腸菌による微生物感染に対して有効であることを示す。図4は、本発明の非放射性MYOVIEW24製剤が緑膿菌による微生物感染に対して有効であることを示す。図5は、Wisterラット(雌、平均±標準偏差、n=3)の心臓中にMyoview(登録商標)もしくはMYOVIEW24として投与した99mTcテトロフォスミン(Tetrofosmin)の注射放射線量の100分率の比較を示し、これは添加した抗菌性保存剤および放射線防御物質は顕著な効果を何も有しないことを示す。 以下の成分(i)〜(iii)を含む安定化放射性医薬組成物。(i)99mTcテトロフォスミン錯体、(ii)アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸もしくはゲンチシン酸、又はそれらの生体適合性陽イオンとの塩を含む放射線防御物質、及び(iii)以下の式(I)の1種以上の抗菌性保存剤。式中、RはC1-4アルキルであり、MはH又は生体適合性陽イオンである。 前記放射線防御物質が、アスコルビン酸又はその生体適合性陽イオンとの塩を含む、請求項1記載の安定化放射性医薬組成物 前充てん注射器内の溶液中に、請求項1又は請求項2記載の安定化放射性医薬組成物を含む、ヒトへの投与に適した無菌放射性医薬製剤。 容器内に請求項1又は請求項2記載の安定化放射性医薬組成物を含む、ヒトの投与に適した無菌放射性医薬製剤。 請求項3又は請求項4記載の無菌放射性医薬製剤の調製用非放射性キットであって、(i)99mTc金属錯体を形成するテトロフォスミンリガンド、(ii)アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸もしくはゲンチシン酸、又はそれらの生体適合性陽イオンとの塩を含む放射線防御物質、及び(iii)以下の式(I)の1種以上の抗菌性保存剤を1以上の容器内で無菌状態で含む、キット。式中、RはC1-4アルキルであり、MはH又は生体適合性陽イオンである。 99mTcテトロフォスミン錯体を含む99mTc放射性医薬製剤における安定化及び微生物の増殖阻害のための、以下の(i)と(ii)の組合せを含む組成物の使用。(i)アスコルビン酸、パラ−アミノ安息香酸もしくはゲンチシン酸、又はそれらの生体適合性陽イオンとの塩を含む放射線防御物質、及び(ii)以下の式(I)の1種以上の抗菌性保存剤。式中、RはC1-4アルキルであり、MはH又は生体適合性陽イオンである。