タイトル: | 特許公報(B2)_アレルギー症状に対して効果を有する調合剤の製造方法 |
出願番号: | 2002544087 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 36/28,A61K 36/00,A61K 31/341,A61K 31/351,A61P 11/06,A61P 17/00,A61P 27/14,A61P 27/16,A61P 37/08 |
レンベルグ パー‐オルフ ビョーク ラルス‐オルフ ヘンダー トーマス ステルナー オロブ JP 4780899 特許公報(B2) 20110715 2002544087 20011121 アレルギー症状に対して効果を有する調合剤の製造方法 デノヴァステラ アーベー 503160593 森田 順之 100103285 レンベルグ パー‐オルフ ビョーク ラルス‐オルフ ヘンダー トーマス ステルナー オロブ SE 0004283-8 20001122 20110928 A61K 36/28 20060101AFI20110908BHJP A61K 36/00 20060101ALI20110908BHJP A61K 31/341 20060101ALI20110908BHJP A61K 31/351 20060101ALI20110908BHJP A61P 11/06 20060101ALI20110908BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110908BHJP A61P 27/14 20060101ALI20110908BHJP A61P 27/16 20060101ALI20110908BHJP A61P 37/08 20060101ALI20110908BHJP JPA61K35/78 TA61K35/78 YA61K31/341A61K31/351A61P11/06A61P17/00A61P27/14A61P27/16A61P37/08 A61K 36/282 A61K 31/341 A61K 31/351 特開平10−139679(JP,A) 9 SE2001002573 20011121 WO2002041909 20020530 2004513968 20040513 8 20041104 鶴見 秀紀 【0001】本発明は、アレルギー症状に対して効果を有する調合剤の製造方法に関し、特に例えば運動によって誘発される喘息又は気管支喘息、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹及び他のアレルギー症状又は疾患による不快感を治療的且つ予防的に和らげるのに効果のあることが証明されている調合剤の製造方法に関する。この調合剤は、自然療法薬であり、自己治療用として使用することができ、スプレー式点鼻薬として又はスプレー又はパウダーによって気管支への吸引によって投与することができる。またこの調合剤は、眼、皮膚又は粘膜への局所投与用に調合することができる。さらにこの調合剤を種々の食物に加えることもできる。この調合剤は、上記アレルギー症状に良好な治療効果だけでなく予防効果を供することが証明されている。【0002】気管支喘息症状を含む異なるアレルギー性疾患に対して良好な結果を呈する特定の物質が、植物から抽出できることが判明している。また本発明によって製せられる調合剤は、迅速に作用し、効果を持続することができる。治療的効果は、調合剤が投与された後、かなりの長い時間持続する。【0003】上記の有効成分が得られる植物は、特定のヨモギ属、特にニガヨモギ(Artemisia abrotanum (southernwood))及びダバノン(davanone)を含むパーレン(A. pallens)、レルキアナ(A. lerchiana)、サスキュラ(A. thuscula)、レーハン(A. rehan)、ペルシカ(A. persica)、グラベラ(A. glabella)及びラプエステリア(A. rupesteris)などの植物及びランタン(Lantana camara)及びヨモギギク(Tanacetum vulgare)などである。このような抽出物を鎮痙作用を有する例えばタチジジャウソウ(Thymus vulgaris)又はカモヨールレクチタ(Chamomilla recutita)などの他の植物からの抽出物で代えてもよい。【0004】このような調合剤の製造にはある特定の問題がある。今までは植物を乾燥させ、この乾燥した植物から抽出物を調整するのが一般的な方法であった。しかしながら、この方法は本件では機能しない。植物は若くなければならず且つ調合剤は5月から7月に収穫(スカンジナビア地方の気候で)された新鮮な植物から製せられる。植物が木質に成長してしまった後の収穫時では、所望の調合剤を得るために植物を抽出するのが困難になり、苦味を呈してしまう。これは新鮮な植物の緑色分(green mass)の精油の量が乾燥した植物の量より多く且つ新鮮な緑色分中の精油の組成がより木質を帯びた植物の精油の組成と異なることによる。植物の成長中、調合剤の調整に望ましくない精油分の変化が生じる。精油の総含有量が比較的一定である間は有効油成分ダバノン(davanone)の量は減少し、一方1.8−シネオールの量は増加する。調合剤の油分としてユーカリ油を使用する試みがなされており、ユーカリ油は夏の終わりの頃にはニガヨモギからの油の主成分となる1.8−シネオールを多量に含む。このようにして得られた調合剤の効果は僅かであることが証明されている。一方、油成分ダバノンの存在により調合剤の活性が著しく改善される。ダバノンを多量に含むニガヨモギからの調合剤は、2分以内で最大限の効果を発揮するが、油分がユーカリ油に代えられた対応する調合剤では効果が50パーセント減少する。精油分を完全にダバノンに置き換えて種々の試験を行った。【0005】植物の緑色分のみからの抽出物では所望の結果が得られず、また植物の精油のみを使用した抽出物もまた所望の結果が得られないことが判明している。一方、最初に植物の精油を蒸気蒸留することによって植物から分離し、その際残りの緑色分をアルコールで抽出し、精油とアルコール抽出物を混合した場合、効果的な製品が得られる。【0006】根を含まないニガヨモギ全体の100グラム乾燥植物材料では、次のようなフラボノールを含む7mg キャスティシン(Casticin)5mg セントーアレイジン(Centaureidin)5mg クエルシトイン(Quercitin)3.4−ジメチルエーテル5mg ケルセチン(Quercetin)3.7−ジメチルエーテル【0007】上記の成分の量を変えて調合剤を製して試験したところ上記の値は最適な効果を奏するものの下記に示す一定の範囲内でフラボノールの量を変えることが可能であることが証明されている。キャスティシン 1−8mgセントーアレイジン 1−7mgクエルシトイン3.4−ジメチルエーテル 0.5−8mgケルセチン3.7−ジメチルエーテル 0.5−8mg【0008】なぜ残渣緑色分のアルコール抽出物に精油を加えることによって良好な結果が得られるのか不明であるが、次のような仮説が考えられる。【0009】−植物はフラボノールグリコシドを含み、植物のフラボノール分は植物が活性化するためにデグリコシレート化(deglycosylated)される必要がある。−夏の始めに収穫された若い植物から得られる油分は、それ以降に収穫された植物からの油より活性している。−植物の油分は乾燥すると失われる揮発性成分を含むので、調合剤は新鮮な緑色分から製せられるべきである。−油分とフラボノール分との間には相乗効果がある。−フラボノールが細胞内に入ることができ、それによりその効果を誘発できるように精油は粘膜を製することができる。【0010】好ましい油の量は、製品20mlに対して0.2ml乃至0.0005mlの間である。【0011】調合剤の製造にはさらに例えばニガヨモギなどの実際のヨモギ種の多くは種子栽培できず、挿し木(cutting breeding)によって栽培しなければならないという別の問題点がある。しかしながら、これには成長すると特定の化学組成を有するいわゆるケモタイプ(chemotype)と呼ばれるクローンになるという利点がある。特別なクローンが選別され、臨床試験に使用されている。このクローンはスウェーデンの気候条件で成長した場合、ツヨン(thujone)を製さない。【0012】7人の被試験者によって行った予備的な臨床実験では、とりわけ馬の毛及び猫に対する粘膜の腫れ及び鼻水などのアレルギー症状を観察した。上記に従い製せられた調合剤を投与した。1.例えば犬及び猫からのアレルゲンで刺激する前にはアレルギー症状はみられなかった。2.馬の毛でアレルギー症状を誘発した後、鼻炎及び鼻水の症状は2分でなくなった。3.運動例えば長距離走によって喘息症状を誘発した場合、5−8分でその症状は消えた。4.結膜炎による眼のアレルギー症状を訴えていた患者の場合、その症状は5−8分で消えた。5.唇のただれなどの粘膜の炎症又は歯肉炎などの炎症を有する患者の場合は、症状は実質的に軽減された。【0013】上記予備的研究の全てのケースにおいて、全く症状を残さずに完全な効果が素早く得られた。唯一のマイナス効果は、調合剤を鼻にスプレー投与した際に僅かに刺すような痛みが感じられたということだけである。【0014】本発明による調合剤の最も重要な使用分野は運動によって誘発される喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎及び蕁麻疹であると考えられている。これらの疾患又は疾病の自己治療に本発明の調合剤は、最適である。この調合剤は治療目的だけでなく上述のことなる症状の予防手段として使用することもできる。またこの調合剤は、蚊、ぶよ、スズメバチ、ハチ、アブなどの多くの異なる種類の昆虫に刺された際にも良好な効果を発揮することが証明されている。【0015】本発明で使用する植物の化学組成は、種々の科学的研究論文に記載されている。従って、この植物はインヴィトロで鎮痙効果を呈するフラボノールとシネオール(無菌性で且つムコ多糖類を加水分解する化合物)のようなテルペン及びダバノンを含む。上述の研究は調合剤が生体内及び局部的又は局所的な医薬的調合においてアレルギー性症状に対して使用されている第1の試験を表している。【0016】フラボノールは殆どの植物に見られる一連の二次代謝物(secondary metabolites)を意味する。フラボノールは水酸基の数及びメチル化の度合いによって種々異なる。植物ではフラボノールは糖分子に結合して存在するが、これらの糖は抽出工程中に自由なフラボノールを遊離させるために加水分解される。【0017】ニガヨモギからのフラボノールは、著しい治療効果を誘発することができる。他のヨモギ種の中にはこれとは異なるフラボノールを含むものもある。例えばタマネギからのフラボノールはヒスタミンの遊離を防ぎ、これは種々のアレルギー疾患における症状を悪化させる。【0018】ここで重要なのはニガヨモギ抽出物中のフラボノール分自体は、鎮痙作用を有する場合もあるがアレルギー症状に顕著な治療効果を誘発しないということである。さらにニガヨモギ油と直接抽出された新鮮な緑色分との組み合わせは、抗アレルギー効果を有さず、また乾燥した緑色分と乾燥した植物からのニガヨモギ油とから製せられた調合剤にもアレルギー症状に対して治療的効果は見られない。新鮮な緑色分とユーカリ油のようにダバノンが主成分である油分との組み合わせからの抽出物の効果は弱く、ニガヨモギからのアルコール抽出物とニガヨモギ油との組み合わせほどの治療特性は得られない。A. thusculaからの精油はモルモットの気管に鎮痙効果を呈することが証明されている。この効果は調合剤中のダバノンの量に依存する。【0019】本発明を添付の図面を参照し、具体的に説明する。【0020】本発明の方法は、連続する7つの工程からなる。工程1 好ましくは6月又は7月(スカンジナビア地方の気候で)に収穫された新鮮なニガヨモギを水で煮る。水と特定の揮発性油は図中矢印で示すように蒸留される。工程2 水蒸気及び油を濃縮させ、これにより精油が分離され、集められる。工程3 工程1の予め煮詰められた緑色分を5乃至60分間、水中で煮る。このように煮ることによって組成は化学的に変化し、植物中に存在するフラボノールグリコシドは加水分解され、フラボノールと糖を遊離する。工程4 緑色分を乾燥させ、その後アルコールで抽出する。遊離なフラボノールはアルコール抽出物中で分解される。工程5 この工程では工程2で分離され集められた精油を工程4のアルコール抽出物と混合する。工程6 工程2の精油と工程4のアルコール抽出物の混合物をアルコール含量が約25パーセントになるように水で希釈し、これにより最終製品が得られる。アルコール量が少ないと油の溶解度が減少し、高いと粘膜を刺激する。工程7 工程6で得られた製品を例えば局所使用に適した調合剤になるようにさらに処理し、例えば鼻やのどに調合剤をスプレーできるようにスプレー容器に入れたり、目薬として使用できるように又は皮膚、粘膜又は歯に局所的に塗布できるように又は食品などに添加できるように好適な容器に入れる。【0021】次の実施例では、3種類の異なる抽出物を使用した。抽出物F1は8mgのキャスティシン、7mgのケンタウレイジン、8mgのケルセチン3.4−ジメチル−エーテルを含む濃縮抽出物、抽出物F2は24パーセントのアルコールでF1を1:4に希釈した抽出物、抽出物F3は抽出物F1を24パーセントのアルコールで1:10に希釈した抽出物である。【0022】【実施例】【実施例1】女性、45歳、看護婦。この患者は、肉体的運動による気管支喘息を有していた。この患者に本発明による抽出物F1を含む調合剤(テルブタリン(商品名ブライカンリー、ドラコ社製の代わりに)を使用した。この調合剤は、アルコール20mlにつき0.1mlの精油を含んでいた。2分以内に完全な効果が得られた。【0023】【実施例2】同じ患者にアルコール20mlにつき0.2mlの精油を含む調合剤を使用した。完全な効果が2分以内に得られたが、異なる試験では実施例1より僅かに良好か良くなかった。【0024】【実施例3】同じ患者にアルコール20mlにつき0.05mlの精油を含む抽出物F2である調合剤を使用した。実施例1及び2に較べて幾分効果が劣った。【0025】【実施例4】同じ患者に20mlのアルコールにつき0.05mlの精油を含む抽出物F2である調合剤を使用した。実施例1及び2に較べて幾分効果が劣った。【0026】【実施例5】48歳、男性、地方保健所員。この患者は猫、犬、花粉及び馬に対してアレルギーを有しており、肉体的運動(ジョギング)により気管支喘息を発する。アレルギー剤で刺激し、喘息の発作が起こった後、本発明による調合剤を含むスプレーを使用した。このスプレーはアルコール20mlにつき0.1mlの精油を含む抽出物F1を含む。患者の症状は、2分でなくなった。【0027】【実施例6】実施例5と同じ患者を抽出物F2のアルコール20mlにつき0.1mlの精油を含む本発明のスプレーで治療した。症状は緩和されたが、2分では完全に回復しなかった。【0028】【実施例7】実施例5及び6と同じ患者に抽出物F3のアルコール20mlにつき0.1mlの精油を含む本発明のスプレーで治療した。5分で特定の痛みは緩和されたが、完全には回復しなかった。【0029】【実施例8】実施例5と同じ調合剤を実施例5−7と同じ患者にアレルゲンで刺激する前に予防目的で投与した。刺激は馬の毛及び猫によって行った。アレルギー症状は起きなかった。【0030】【実施例9】54歳、男性。この患者は乾草及び豚小屋からの空気に晒されるとアレルギー性鼻炎及び眼にかゆみが生じる。この患者はテルブタリンの代わりに本発明の調合剤を服用した。調合剤はF1の20mlのアルコール抽出物につき0.05mlの精油を含むものであり、予防目的で服用した。2時間、問題は生じなかった。【0031】【実施例10】同じ患者にF3の20mlのアルコール抽出物につき本発明の精油を0.05ml含む調合剤を投与した。5分間で僅かに問題が生じた。【0032】上記の実施例で油の最高量は製品20mlにつき0.2mlを超えてはならず、最低値は製品20mlにつき0.0005ml未満であってはならないことを示している。【0033】またフラボノールの最低及び最高量は、次の通りである。キャスティシン 1−8mgケンタウレイジン 1−7mgケルセチン3.4−ジメチルエーテル 0.5−8mgケルセチン3.7−ジメチル−エーテル 0.5−8mg【図面の簡単な説明】【図1】アレルギー症状に対して効果を有するA. abrotanum(ニガヨモギ)のようなヨモギ種から調合剤を製するための工程を示すフローチャート。 アレルギー性鼻炎、気管支喘息などの喘息性疾患、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、及び虫又は植物の刺激によるアレルギー症状の治療又は緩和又は予防用調合剤の製造方法において、(1)新鮮な収穫されたばかりのヨモギ種の植物を水で煮沸し、(2)水蒸気及び揮発性の精油を蒸留し、前記精油を集め、(3)残留した緑色分を水に入れ加熱し、化学組成物を加水分解させ、(4)得られた化学組成物を抽出し、さらにアルコールで前記組成物を抽出し、この抽出物と前記精油を混合することを特徴とする方法。 前記(1)の煮沸工程で前記水蒸気と気化した精油を濃縮し、水面に集められた油を分離することを特徴とする請求項1記載の方法。 前記(3)の残留した緑色分の煮沸工程が、前記植物中に存在するフラボノールグリコシドを自由なフラボノールになるようにグリコシドを取り除き、この自由なフラボノールをアルコールによって抽出することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。 アルコールによる抽出を緑色分から非揮発性物質を抽出するために行うことを特徴とする請求項3記載の方法。 アルコール抽出物と集められた精油の混合物がアルコール含有量が0−40パーセント、になるように希釈されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。 前記アルコール抽出物と精油の希釈された混合物を、鼻又はのど用スプレー又はパウダーとして又は眼又は皮膚に局所的に使用する組成物としてパッケージされる又は他の投与製品の添加剤として使用されるように処理することを特徴とする請求項5記載の方法。 請求項1乃至6いずれか1項に記載の方法によって製せられるアレルギー症状の治療又は緩和又は予防用調合剤において、前記調合剤は新鮮な収穫されたばかりのニガヨモギを含むヨモギ種の植物又はA.davana、A. pallens、A. lerchiana、A. thuscula、A. rehan、A. persica、A. glabella及びA. rupestrisからなる群から選択される他のダバノン含有植物から得られ且つ前記植物から蒸留された揮発性精油と前記植物から抽出された非揮発性油とフラボノールとの混合物からなることを特徴とする調合剤。 前記調合剤がさらにダバノンと少なくともいくらかのシネオールからなることを特徴とする請求項7記載の調合剤。 原料となる植物がニガヨモギ又は前記他のダバノン含有植物からなることを特徴とする請求項7又は8記載の調合剤。