生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エステラーゼ活性を有する微生物を検出/識別する方法および培地
出願番号:2002543016
年次:2009
IPC分類:C12Q 1/04,C12N 1/00,C12N 1/20


特許情報キャッシュ

セリーヌ・ロジェ−ダルベール JP 4234428 特許公報(B2) 20081219 2002543016 20011116 エステラーゼ活性を有する微生物を検出/識別する方法および培地 ベーイーオー・メリュー 596020794 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 セリーヌ・ロジェ−ダルベール FR 00/14881 20001117 20090304 C12Q 1/04 20060101AFI20090212BHJP C12N 1/00 20060101ALI20090212BHJP C12N 1/20 20060101ALI20090212BHJP JPC12Q1/04C12N1/00 GC12N1/20 A C12Q1/00-3/00 国際公開第9941409/(WO,A1) 国際公開第92/17607(WO,A1) Applied and Environmental Microbiology(1999)Vol.65,No.2,p.807−812 International Journal of Food Microbiology(1998)Vol.45,No.1,p.43−53 10 FR2001003610 20011116 WO2002040704 20020523 2004518418 20040624 18 20040608 2006006168 20060404 種村 慈樹 鈴木 恵理子 上條 肇 本発明の分野は、生化学的手段による微生物の分析、特に反応培地(特に栄養培地)の接種による微生物の菌株の検出および識別の分野である。後者は、標的菌株に特異的な酵素と反応し得る色原性または蛍光原性基質を含み、問題となる各コロニーについて発色または蛍光を生じる。 本開示の枠内において特により興味深い点は、エステラーゼ活性を有する微生物、特にサルモネラ(Salmonella)属の細菌を検出/識別することである。 このサルモネラ属は腸内細菌科(Enterobacteriaceae)で最も重要な属であり、人間において様々な感染症(腸チフス、食中毒)の原因となる。サルモネラ属の菌は、色原性(例えばインジゴ生成性)合成基質または蛍光原性基質を加水分解することが可能な非特異的エステラーゼを有する。 サルモネラ属、より一般的にはエステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別は、従来、エステラーゼ活性を有する疑いのある微生物(特にサルモネラ属)のコロニーの検出/識別が可能なゲロース(gelose)分離培地上または液体分離培地上で行われている。こうした培地への接種は、分析する試料に前述の培地を浸漬するか、または試料を培地に接触させることによって行われる。 エステラーゼ活性を有する微生物(特にサルモネラ属)は、それらの酵素遺伝子型において、培地中に存在する基質のエステル結合を開裂させるエステラーゼを有し、この結果、前述の基質の一部である活性化された発色団または発蛍光部分を放出させる。この結果、発色または蛍光が生じて加水分解が起こったことがわかり、したがって、標的微生物または標的微生物のコロニーの存在が明らかになる。 ルーチン化された試験を大規模に実行できるようにするためには、検出/識別培地が安定で、対応する検出/識別方法を操作を制限することにより可能な限り単純化する必要がある。また、その方法が高感度(発色または蛍光の高い強度)で一次オーダーの特異性を示すことが重要である。エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用のこれらのタイプの培地および方法の別の基本的パラメーターは、疑わしいコロニーが明らかにされる割合である。 一方、エステラーゼ基質は、エステラーゼの活性を有する微生物の培養培地と適合性の問題を示すことが知られている。さらに、このようなエステラーゼ基質は経時的に安定していないが、これはエステラーゼ活性に対する感度が保存時間とともに減少することを意味する。 一方ではこの種の培地に、ある菌株に対する選択性とともに未接種状態における半透明性を付与し(妨害なしの成長の読取り)、他方では顕色剤として有用な酵素活性を高める(より明瞭な発色)添加剤があればさらに有益であろう。 こうした状況の中で、仏国特許第2 697 028号は、胆汁酸塩(デオキシコール酸ナトリウム)から選択される界面活性剤とともに、インドール基を有するカプリル酸エステル(カプリル酸5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル)からなる色原性エステラーゼ基質を含む、サルモネラ属の菌の存在を明らかにするために培養培地を開示する。この色原体およびこの胆汁酸塩は、サルモネラ属の菌の成長を可能にする栄養培地に含まれている。仏国特許第2 697 028号が教えるところによれば、胆汁酸塩は、既にエステラーゼ基質を含んでいる選択培地に直接加えられる。 胆汁酸塩類の使用に伴う1つの問題は、それらが動物起源の出発原料であるという事実(このため品質にある程度の変動が避けられない)に起因する。 さらに、生物学的活性の面で結果の改善をなし得る。 さらに、この培養培地は、エステラーゼ基質の安定性の点ですべての望ましい保証を与えるものではない。実際に、後者は、培養培地との混和が不完全であることが分かる(これは、感度および迅速性の点から見て、得られる結果の質を明らかに落とすものである)。 仏国特許第2 697 028号による培養培地が粉末状であることも注意すべきである。これは、液体またはゲル培地を再構成するために、利用者がまず操作を行わなければならないことを意味する。こうした拘束条件は使用するエステラーゼ基質が安定性に欠けている結果である。 さらに、仏国特許第2 697 028号の教えるところによって調製されたゲロース培地は半透明ではなく、この結果、標的細菌のいずれかのコロニーに伴う発色を読み誤る危険がある。 最後に、前述の文献の第3頁17〜23行には、UNION CARBIDEによって商標Tergitol(登録商標)の下で市販されているアニオン性界面活性剤(Naアルキルスルフェート)が、発色を明らかにはできないことが示されている。 PCT特許出願WO-92/17607は、TERGITOL(登録商標)4(7-エチル-2-メチル-4-ウンデカノエートハイドロジェンスルフェートまたはそのナトリウム塩)を含むサルモネラ属の菌の検出用培地に関する。この添加剤は、サルモネラ属以外の菌に対する検出培地の選択性を改善すると考えられている(特にプロテウス属の菌種の成長抑止)。TERGITOL(登録商標)4の濃度は、寒天ゲロース/キシロース/リジンを基礎とする培地中2〜30ml/lで変えることができる。前述の文献によれば、サルモネラ属の菌の検出は部分的には競争による選択的成長の原理に基づく。さらに、この培地は色原体または蛍光原性エステラーゼ基質を含まない。 PCT特許出願WO-99/41409は、サルモネラ属の菌を検出するための色原性エステラーゼ基質に関する。前記文献は、サルモネラ属の菌に特異的なエステラーゼ/リパーゼと反応し、C8脂肪酸エステルへの親和性を有する色原性化合物の使用を提案する。問題の色原性化合物は式[4-[2-(4-オクタノイルオキシ)-3,5-ジメトキシフェニル)ビニル]キノリニウム-1-(プロパン-3-イル)カルボキシレート]+[臭化物または塩化物イオン]−のアニオンとカチオンを含む。 より正確には、使用される基質は、カルボキシレートカチオンの、例えばC8エステルである。WO99/41409による方法は、ソルビタン脂肪酸エステル(好ましくはソルビタンのモノラウリル酸エステルTWEEN(登録商標)20)の使用についても記載している。これらの製品は、前記特異的色原性エステラーゼ基質に対する標的コロニーの接種および発色前の培地の透明性を高めるため、培地1リットル当たり2gの割合で界面活性剤として使用される。Triton(登録商標)X100およびNiaproof(登録商標)8(=Tergitol(登録商標)8)が、他の多数の界面活性剤とともに挙げられている。もっとも、Triton(登録商標)X100またはNiaproof(登録商標)8(=Tergitol(登録商標)8)を含む培地の実施例は示されていない。 いずれにせよ、WO 99/41409に開示された手段は、検出培地に含まれる酵素基質の選択性または特異性を改良するものとして提供されてはいない。仏国特許発明第2 697 028号明細書 このような技術的な状況において、本発明の本質的な目的のうちの1つは、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地であって、分析感度を最適化するように、すなわち、標的微生物の存在を明らかにする発色強度を最大にするように構成される培地を提供することである(エステラーゼ活性の促進)。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地であって、分析対象である試料の接種の前には完全に半透明(translucent)である培地を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地であって、色原性または蛍光原性酵素エステラーゼ基質を含み、保存に対して安定な(検出時の発色強度を少なくとも数週間、最大レベルに保つ)培地を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地であって、液体またはゲル培地を復元するために液体で再生しなければならない乾燥粉末の形態ではなく、そのまますぐに使用できる形態で存在する培地を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地であって、特に色原性または蛍光原性エステラーゼ基質(これは非常に高価である)の含有量が低減されることによって、経済的な培地を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する微生物、特にグラム陰性腸内細菌(例えば、サルモネラ)、グラム陽性細菌または酵母の検出/識別用培地を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、実行が容易でかつ経済的な前記検出/識別培地を得る方法を提供することである。 本発明の別の本質的な目的は、エステラーゼ活性を有する菌株の検出/識別方法であって、実行が容易(ルーチン試験)で、経済的(試薬の量、取扱性、労力、スピード等)で、信頼性を備え、高感度で、特異的かつ再現性のある方法を提供することである。 これらおよび他の目的は本発明によって達成され、それは、何よりもまず、エステラーゼ活性を有する微生物の検出/識別用培地に関し、特に反応培地(M)(特に培養培地)と、少なくとも1種の色原性または蛍光原性エステラーゼ基質(S)とを含むタイプであり、この検出/識別は、本質的に、エステラーゼ活性の存在を明らかにすることに基づいており、前記培地は、 *安定な、すぐに使用できる液体またはゲル状であり、 *以下のものを含んでいる: A)以下の群 -脂肪酸ソルビタンエステル(FASE)、 -胆汁酸塩、および -これらの混合物 から選択される少なくとも1種類の可溶化剤および安定化剤、 B)以下のものを含む群 -式(I)の化合物:(式中、-Rは線状または分岐鎖アルキル、好ましくはC1〜C30アルキルであり、 -Xはハロゲン、好ましくはNaである); -非イオン性のポリエーテル誘導体、好ましくは式(II)の化合物:(式中、Nは2と15の間の整数(平均=10)である);および -これらの混合物、 から選択される少なくとも1種類の選択的活性化剤;ならびに C)場合によっては少なくとも1種類の溶媒。 本発明による培地は、エステラーゼ活性を有する標的微生物のコロニーを特に強く発色させるという長所を有する。これは結果の読取りおよび解釈を非常に容易にする。 この培地がエステラーゼ活性を有しない微生物の成長には有益ではない点に注目するのも興味深い。この特異性は分析には非常に有益である。 本発明による培地は、すぐに使用でき、安定性の点で問題を示すことなく液体または半流動体(ゲル)状である点も有利である。実際、本発明の培地中に含まれるエステラーゼ基質は、比較的急速に劣化する傾向を有することで知られているが、添加剤A、B(および場合によってはC)の存在によって安定化される。 これらの添加剤は、一層の利点、すなわち、エステラーゼ基質(これらは従来溶解しにくい)に優れた可溶性をもたらす。これにより、接種前には半透明の検出/識別培地を得ることが可能となり、これにより発色または蛍光の結果の読取りが容易になる。 最後に、これらの添加剤A、B(および場合によってはC)は比較的廉価であり、操作手順を簡単にし、用いるエステラーゼ基質の量を減らし(安定化)、経済的な面で明らかにコストを節減する。 選択的活性化剤(B)の特定のクラスを選択し、それを可溶化剤(A)(例えば、FASEまたは胆汁酸塩)と組み合わせたのは発明者によるものである。これらは、驚くべきことに、また予想外にも、生物学的活性、感度、信頼性、特異性、安定性、選択性および半透明性(これらはすべて本発明の生化学的手段による微生物分析に適している)といった性質を実際にもたらす。 本発明の1つの注目すべき特徴によれば、本発明の対象である検出/識別培地は、基質(S)を溶媒(C)中に含む少なくとも1種類のストック溶液を可溶化剤(A)と混合し、反応培地(M)の成分のうち少なくともいくつかと選択的活性化剤(B)を添加することにより得られる。 実際、本発明によれば、1種または複数の(A)剤の存在下にエステラーゼ基質(S)を溶媒(C)に可溶化することが重要であると思われる。次いで、基質(S)/(C)/(A)のこの混合物を、培養培地(M)の少なくとも一部(それは好ましくは過冷却ゲルの形である)の一部に組み込む。この操作上の特徴により、本発明の手段によりもたらされる有利な結果の最適化が可能となることが見出された。下記に詳細に説明するように、選択的活性化剤(B)は好ましくは後で培地に組み入れられる。 本発明によれば、選択的活性剤(B)は、Rがテトラデシル基(Tergitol(登録商標)またはNiaproof(登録商標)4)または2-エチルヘキシル基(Tergitol(登録商標)またはNiaproof(登録商標)8)である式(I)の製品である。選択的活性剤(B)は次式のポリエチレングリコールモノ-p-イソオクチルフェニルエーテル:(式中、Nは2と15の間の整数(平均=10)である)でもよい。 これらの製品は、TRITON X-100(登録商標)、TRITON X-114(登録商標)およびTRITON X-405(登録商標)として販売されている。 好ましくは、FASE(A)は以下: *エチレンオキシド(EO)を20単位含むポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)20); *ポリエトキシル化ソルビタンモノパルミテート(20EO)(TWEEN(登録商標)40); *ポリエトキシル化ソルビタンモノステアレート(20EO)(TWEEN(登録商標)60); *ポリエトキシル化ソルビタントリステアレート(20EO)(TWEEN(登録商標)65); *ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート(20EO)(TWEEN(登録商標)80); *ポリエトキシル化ソルビタンセスキオレエート(20EO)(TWEEN(登録商標)83); *ポリエトキシル化ソルビタントリオレエート(20EO)(TWEEN(登録商標)85);および *これらの混合物 を含む群から選択される。 前記で選択した製品(ソルビタンエステル)は、非イオン性乳化剤として食品および化粧品産業において広く用いられているが、従来、それらが微生物学的検出/識別培地においてエステラーゼ基質(リパーゼと反応することがなく、カルボン酸塩エステルとも異なる)の安定化剤として使用されたことはない。 前述のFASEの親水性親油性バランス(HLB)は、それぞれ8.6、6.7、4.7、2.1、4.3、3.7および1.8である。 標的微生物がグラム陽性細菌および/または酵母の場合、(B)剤濃度は培地(A、B、C、MおよびSを含む)1リットル当たりのmlで表わして以下のものとする: 1.10−4≦[B]≦10、 好ましくは1.10−3≦[B]≦5、 特に好ましくは1.10−2≦[B]≦2。 標的微生物がグラム陰性細菌の場合、(B)剤濃度は培地(A、B、C、MおよびSを含む)1リットル当たりのmlで表わして以下のものとする: 1.10−2≦[B]≦100、 好ましくは1.10−1≦[B]≦30、 特に好ましくは1≦[B]≦25。 この(B)/(A)/好ましくは(C)の相乗的組合せ使用により、標的微生物中のエステラーゼ活性の存在を明らかにすることがより容易になる。それは、他の酵素活性の発現を落とさずに、培地の選択性およびエステラーゼ+標的微生物(例えばサルモネラ菌)におけるエステラーゼ活性の検出を改善可能とし、これにより問題となる他の標的微生物の存在を明らかにする(β-ガラクトシダーゼ+またはβ-グルコシダーゼ+)ために使用できるであろう。 特定の理論に拘束されるものではないが、この相乗的組合せにおいて、化合物(B)は、標的微生物(例えばサルモネラ)の細胞膜を通した色原性または蛍光原性なエステラーゼ基質の浸透や酵素の分泌に有利な作用を有する(細胞膜が(A)の作用によって可溶化されている場合)。これは、その活性が求められる酵素に関するエステラーゼ+基質への接近容易性を改善すると考えられる。これは、使用される基質の量を減らしその結果明らかな経済的利点を導き出すことを可能にする。 色原体または蛍光原性エステラーゼ基質(S)は、以下のものを含む群: -脂肪酸のインドキシルエステルおよびその誘導体、好ましくはC6〜C11脂肪酸のインドキシルエステル、および特に好ましくは、場合によってはハロゲン化されていてもよいC8〜C9脂肪酸のインドキシルエステル、 -脂肪酸のキノン/アントラキノンエステルおよびその誘導体、好ましくはC6〜C11脂肪酸のアントラキノンエステル、特に好ましくはC8〜C9脂肪酸のジヒドロキシアントラキノン(アリザリン)エステル、 -脂肪酸のヒドロキシクマリンエステルおよびその誘導体、 -脂肪酸のフルオレセインエステルおよびその誘導体、および -これらの混合物 から有利に選択される。 インドールに由来する色原性エステル基質の例を挙げれば、5-ブロモ-3-インドリルノナノエート、6-クロロ-3-インドリルノナノエートおよび5-ブロモ3-インドリルデカノエートである。 アントラキノンに由来する色原性エステル基質の例を挙げれば、アリザリンおよび2-アリザリンオクタノエートである。 溶媒(C)は、色原性または蛍光原性エステラーゼ基質を可溶性にするための補助剤である。それはまた、可溶化剤(A)の作用を補足する。したがって、これは好ましくは発明による培地の要素である。 本発明の有利な条件によれば、溶媒(C)は以下のものを含む群から選択される: -アルコール、好ましくはメタノール、エタノールおよびメトキシエタノール; -アミド、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF); -含硫黄溶媒、好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO);ならびに -これらの混合物。 実際上、使用される溶媒はメタノール、DMFおよびDMSOである。 さらにより好ましくは、(A)=TWEEN(登録商標)20、(B)=NIAPROOF(登録商標)4またはTERGITOL(登録商標)4および溶媒(C)=DMSOの組合せが、本発明による検出/識別培地に総合的に有効であると思われる。 本発明によれば、(A)剤の溶媒(C)に対する重量比は、20:80と80:20の間、好ましくは30:70と70:30の間、特に好ましくは40:60または60:40である。 また、量的な観点から言うと、培地中の(A)剤の濃度(重量%)は以下のものとすることが好ましい: *0.1≦[A]≦10、 *好ましくは0.5≦[A]≦5、 *特に好ましくは1.5≦[A]≦3.5。 培地中で使用する色原性エステラーゼ基質(S)の量はその濃度(mg/l)が以下のように定義されるものである: *50≦[基質]≦1000、 *好ましくは100≦[基質]≦800、 *特に好ましくは200≦[基質]≦600。 検出/識別培地中の培養培地(M)については、以下のものを含む群から選択されるように特定し得る: -マッコンキー(MacConkey)、コロンビアANC(Columbia ANC)、PALCAMおよびサブロー(Sabouraud)ゲンタマイシン-クロラムフェニコール培地を含むタイプの選択培地、好ましくはマッコンキー培地; -コロンビア+/-血液、トリプカーゼ大豆(trypcase soya)、栄養ゲロースおよびサブロー培地を含むタイプの非選択的培地、好ましくはコロンビア培地。 実際上、当業者は、標的微生物により、および当業者が知悉している完全によく知られた基準によって培養培地(M)を選択するであろう。 以下に限定されるものではないが、本発明による培地は、サルモネラ属菌の検出/識別に特に適していることが判明した。この検出の場合には、例えば、マッコンキー培地が培地に選択されるであろう。 さらに、本発明による培地は、場合によっては1種または複数の他の酵素基質(例えば色原性または蛍光原性の酵素基質)、ペプトン、1種または複数の成長因子、炭水化物、1種または複数の選択剤、緩衝液、またはゲル化剤などの他の添加物を含むことができる。 本発明による培地は直ちに使用できる(つまり、チューブもしくはフラスコ中、またはペトリ皿上への接種の準備ができている)液体またはゲル状である。 本発明による培地は、液体またはゲル状で4℃で数週間、容器内に保存できる。 その他の特徴によれば、本発明は、さらに、実質的に以下のことからなることを特徴とする、上に定義されるような培地を得る方法に関係する: *色原性または蛍光原性エステラーゼ基質(S)を含む溶媒(C)と少なくとも1種類の可溶化剤(A)から少なくとも1種類のストック溶液を調製すること; *培養培地(M)にこの溶液および他の添加物を添加すること;ならびに *選択的活性剤(B)および他の任意の添加剤をS+C+A+M混合物に組み入れること、および *全体を均質化すること。 ストック溶液は、溶媒(C)、基質(S)、および(A)剤を順次組み合わせ、場合によっては相乗性助剤を加えることにより個別に調製される。生成物および量は上に定義した通りである。 均質化した後、ストック溶液を、水で予め再生しておいた過冷却ゲル培地(M)に加える。培地は非ゲル状の液体培地、例えば栄養スープでもよい。 培養培地(M)とストック溶液とを混合することにより、直ちに接種できる液体またはゲル状検出培地が得られる。 さらに別の特徴によれば、本発明はさらに、下記の操作からなるエステラーゼ+菌株(例えば、サルモネラ)の検出/識別方法に関する。 -上に定義されるような検出/識別培地、すなわち製品それ自体に、または上記の方法によって得られた製品に、分析される微生物を含むと疑われる試料を接種すること; -当業者に知られている適切な条件の下で接種した培地をインキュベートすること;および -それを例えば37℃でオーブンにおいてインキュベートした後に現像したコロニーの発色または蛍光(これらの発色または蛍光は、色原性または蛍光原性エステラーゼ基質の標的微生物による加水分解を明らかにする)を読み取り/解釈すること。 最後に、本発明は、以下のもの: -式(I)の化合物:(式中、-Rは線状または分岐鎖アルキル、好ましくはC1〜C30アルキルであり、 -Xはハロゲン、好ましくはNaである); -非イオン性のポリエーテル誘導体、好ましくは式(II)の化合物:(式中、Nは2と15の間の整数(平均=10)である);および -これらの混合物 を含む群から選択される少なくとも1種類の製品(B)の選択的活性剤としての使用に関する。 以下の実施例は、本発明についてのより明瞭な理解をもたらし、その種々の実施形態および実施方法とともにその利点をすべて評価することを可能にするであろう。 実施例1:エステラーゼ活性を示すグラム陰性細菌種におけるエステラーゼ活性の発現改善のための色原性エステラーゼ基質を含むゲル状培地でのTergitol 4の使用 試験したエステラーゼ基質は5-ブロモ3-インドリルノナノエートである。40g/lの基質ストック溶液を、40%ジメチルスルホキシドと60%Tween 20の混合物を用いて調製する。十分な体積を過冷却されたマッコンキー(MacConkey)培地(ニュートラルレッドを含まない)に加え基質濃度を500mg/lとする。 次いで、この培地を5つの部分に分け、所定濃度のTergitol 4を各々に加える(下表参照)。出願人のコレクション由来の微生物を、3つの四分円隔離によって0.5マックファーランド(McFarland)懸濁液からこの培地に接種した。ペトリ皿を37℃で48時間インキュベートした。形成されたコロニーを、24時間および48時間のインキュベーション後に視覚的に検査した。これらのコロニーの発色およびその発色強度を記録した。結果を下記表1に示す。 2〜16ml/l、より正確には4〜8ml/lの濃度では、Tergitol 4はエステラーゼ活性を示す細菌株の発色強度を著しく増加させる。最も有効な濃度は菌株および所望の効果に依存する。菌株によっては、この濃度をさらに増加させることが可能と思われる。 実施例2:DMSOと胆汁酸塩の混合物に溶解させたインドキシル系エステラーゼ基質を含むゲル状培地におけるTergitol 4の使用 試験したエステラーゼ基質は5-ブロモ3-インドリルノナノエートである。25g/lの基質ストック溶液を、5g/l胆汁酸塩を加えたメタノールを用いて調製する。十分な体積を過冷却されたマッコンキー(MacConkey)培地(ニュートラルレッドを含まない)に加え基質濃度を500mg/lとする。 次いで、この培地を5つの部分に分け、所定濃度のTergitol 4を各々に加える(下表参照)。出願人のコレクション由来の微生物を、3つの四分円隔離によって0.5マックファーランド(McFarland)懸濁液からこの培地に接種した。ペトリ皿を37℃で48時間インキュベートした。形成されたコロニーを、24時間および48時間のインキュベーション後に視覚的に検査した。これらのコロニーの発色およびその発色強度を記録した。結果を下記表2に示す。 2〜16ml/l、より正確には4〜8ml/lの濃度では、Tergitol 4はエステラーゼ活性を示す細菌株の発色強度を著しく増加させる。最も有効な濃度は菌株に依存する。これらの結果は、Tergitol 4のエステラーゼ活性に対する効果が基質の使用態様に依存しないことを明らかに示している。 実施例3:エステラーゼ活性を示すグラム陽性細菌種および酵母におけるエステラーゼ活性の発現改善のための色原性エステラーゼ基質を含むゲル状培地でのTergitol 4の使用 試験したエステラーゼ基質は5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルノナノエートである。40g/lの基質ストック溶液を、40%ジメチルスルホキシドと60%Tween 20の混合物を用いて調製する。十分な体積を過冷却されたマッコンキー(MacConkey)培地(ニュートラルレッドを含まない)に加え基質濃度を250mg/lとする。 次いで、この培地を6つの部分に分け、所定濃度のTergitol 4を各々に加える(下表参照)。出願人のコレクション由来の微生物を、3つの四分円隔離によって0.5マックファーランド(McFarland)懸濁液からこの培地に接種した。ペトリ皿を37℃で48時間インキュベートした。形成されたコロニーを、24時間および48時間のインキュベーション後に視覚的に検査した。これらのコロニーの発色およびその発色強度を記録した。結果を下記表3に示す。 前の実施例における試験例よりも十分に低いTergitol 4濃度を選択することが、試験した菌株のタイプによって規定された。実際には、それらはグラム陽性細菌または酵母のいずれかであり、過剰のTergitol 4濃度では、この種の菌株は培地上で成長することができない。 前の実施例と同じ方法で、被検微生物のエステラーゼ活性の発現に対するTergitol 4の正の作用が観察できる。この効果は細菌の種によって変化する。Tergitol 4濃度の選択はさらに種に依存する。一般に、グラム陽性細菌および酵母のために有効な濃度はグラム陰性細菌のために使用される濃度よりかなり低い。しかし、試験濃度では、この実施例で試験したグラム陰性細菌の発色に若干正の効果を観察することできる。 実施例4:エステラーゼ活性を示す細菌種におけるエステラーゼ活性の発現改善を目的とした色原性エステラーゼ基質を含むゲル状培地での他の2種類の界面活性剤Tergitol 8とTriton X100(非イオン性界面活性剤)の使用 試験したエステラーゼ基質は5-ブロモ-3-インドリルノナノエートである。40g/lの基質ストック溶液を、40%ジメチルスルホキシドと60%Tween 20の混合物を用いて調製する。十分な体積を過冷却されたマッコンキー(MacConkey)培地(ニュートラルレッドを含まない)に加え基質濃度を500mg/lとする。 次いで、この培地を8つの部分に分ける。第1の部分はそのままペトリ皿に移し、第2の部分には8ml/lのTergitol 4を加え、次の3つには2、4、8ml/lの濃度でTergitol 8を加え、さらに、最後の3つには8、16、32ml/lの濃度でTriton X100を加える。出願人のコレクション由来の微生物を、3つの四分円隔離によって0.5マックファーランド(McFarland)懸濁液からこの培地に接種した。ペトリ皿を37℃で48時間インキュベートした。形成されたコロニーを、24時間および48時間のインキュベーション後に視覚的に検査した。これらのコロニーの発色およびその発色強度を記録した。結果を下記表4および5に示す。 細菌の成長に対するこれらの化合物の影響を検討するために様々な濃度範囲を事前に試験した。次いで、最も興味深い点をこの例のために取り出した。 試験した実験条件下では、エステラーゼ活性に対してTergitol 8およびTriton X100により得られる効果はTergitol 4で観察された効果ほど明確なものではない。 注:上記の実施例において、菌株の後の数字は、出願人のコレクションにおいて付与された各菌株の整理番号に相当する。発色強度は以下の通り定義された任意スケールに対応する: 0 活性なし 0.1 痕跡程度の発色 0.5 非常に薄い発色 1 低強度だが識別できる発色 2 中強度の明瞭な発色 3 強い発色 4 非常に強い発色 反応培地(M)と、少なくとも1種の色原性または蛍光原性エステラーゼ基質(S)とを含むタイプのエステラーゼ活性を有するサルモネラ株の検出/識別用培地であって、この検出/識別は、エステラーゼ活性の存在を明らかにすることに基づいており、 * 安定な、すぐに使用できる液体状またはゲル状であり、 * A) 胆汁酸塩に対応する少なくとも1種類の可溶化剤および安定化剤; B) 式(I)の化合物:(式中、Rはテトラデシルであり、XはNaである);に対応する少なくとも1種類の選択的活性化剤;ならびに C) 少なくとも1種類の溶媒 を含むことを特徴とする培地であって、 前記選択的活性化剤の濃度が、2から16ml/lである培地。 基質(S)の少なくとも1種類のストック溶液および溶媒(C)を可溶化剤(A)と混合し、反応培地(M)の成分および選択的活性化剤(B)に添加することにより得られることを特徴とする請求項1に記載の培地。 色原性または蛍光原性エステラーゼ基質が、以下のものを含む群: -脂肪酸のインドキシルエステルおよびその誘導体、 -脂肪酸のキノン/アントラキノンエステルおよびその誘導体、 -脂肪酸のヒドロキシクマリンエステルおよびその誘導体、 -脂肪酸のフルオレセインエステルおよびその誘導体、および -これらの混合物 から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の培地。 溶媒(C)が以下のもの: -アルコール; -アミド; -含硫黄溶媒;ならびに -これらの混合物 を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の培地。 (A)剤の溶媒(C)に対する重量比が、20:80と80:20の間であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の培地。 培地中の(A)剤の濃度(重量%)が以下: 0.1≦[A]≦10 の通り定義されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の培地。 培地中の基質(S)の濃度(mg/l)が以下: 50≦[S]≦1000 の通り定義されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の培地。 培養培地(M)が、以下のもの: -マッコンキー、コロンビアANC、PALCAMおよびサブローゲンタマイシン-クロラムフェニコール培地を含むタイプの選択培地;および -コロンビア+/-血液、トリプカーゼ大豆、栄養ゲロースおよびサブロー培地を含むタイプの非選択的培地 を含む群から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の培地。 * 色原性または蛍光原性エステラーゼ基質(S)を含む溶媒(C)と少なくとも1種類の可溶化剤(A)から少なくとも1種類のストック溶液を調製すること; * 反応培地(M)にこの溶液を添加すること; * 選択的活性化剤(B)および他の添加剤をS+A+C+M混合物に組み入れること、および * 全体を均質化すること からなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の培地を得る方法。 * 請求項1から8のいずれか一項に記載の培地または請求項9に記載の方法で得られる培地に分析または検出/識別しようとする微生物を含むと疑われる試料を接種すること、 * 接種した培地を適当な条件下にインキュベートすること、および * 標的微生物による基質の加水分解を明らかにするコロニーの発色または蛍光を読み取りかつ解釈すること からなることを特徴とするエステラーゼ活性を有するサルモネラ株を検出/識別する方法。


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