タイトル: | 特許公報(B2)_改変されたColE1の複製開始点を有する、プラスミドコピー数の制御のための発現ベクター |
出願番号: | 2002532636 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 1/21,C12P 21/02 |
バーイェル カルル グラブヘル ラインガルト ニルソン エリック シュトリードナー ゲラルド JP 5405708 特許公報(B2) 20131108 2002532636 20010928 改変されたColE1の複製開始点を有する、プラスミドコピー数の制御のための発現ベクター ベーリンガー インゲルハイム エルツェーファウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト 504135837 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 バーイェル カルル グラブヘル ラインガルト ニルソン エリック シュトリードナー ゲラルド EP 00121709.0 20001004 20140205 C12N 15/09 20060101AFI20140116BHJP C12N 1/21 20060101ALI20140116BHJP C12P 21/02 20060101ALI20140116BHJP JPC12N15/00 AC12N1/21C12P21/02 C C12N 15/00−15/90 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) PubMed Science Direct WPI 国際公開第99/047678(WO,A1) Proc Natl Acad Sci USA., 1981年, 第78巻, 6096-6100ページ J Gen Mircobiol., 1986年, 第132巻, 1021-1026ページ Journal of Theoretical Biology, 1988年, 第131巻, 235−241ページ Journal of Molecular Biology, 1995年, 第248巻, 968−984ページ Plasmid, 1998年, 第39巻, 48−62ページ 10 EP2001011240 20010928 WO2002029067 20020411 2004510437 20040408 17 20080925 北田 祐介 本発明は、組換え蛋白質及びプラスミドDNA産生のために改善された、複製システムのColE1開始点を有する発現ベクターに関する。 所定の組換え蛋白質の産生又はプラスミドDNAの産生のための遺伝子改変微生物(GMO)による発酵プロセスの使用は、工業的に普及してきている。 発酵プロセスを最適化する場合、主要な目的はできる限り多くの生成物を、良い品質で、費用対効果の大きい方法で得ることである。これを達成するために、容積及び時間当たりに生成される生成物の単位として定義される容積生産性を最適化する必要がある。最適化プロセスに対して大きな影響を有する因子は容積当たりのバイオマス、すなわち生成物を産生することのできる細胞の数、及び各細胞が産性できる蛋白質の量である。ある種の制限において、細胞当たりの産生能力は、組換え蛋白質をコードする遺伝子を有する細胞におけるプラスミドの数であるプラスミドコピー数(PCN)に比例する。さらに、組換え蛋白質のための転写システムの強度は重要である。いくつかのプロモーターは弱く、代謝ポテンシャルを十分に活用しないが、多くのプロモーターは過度に強く、組換え蛋白質の過剰発現を引き起こす。代謝資源は組換え蛋白質の発現と宿主蛋白質の発現との間で共有されなければならず、過剰に強い発現システムは代謝資源の枯渇をすぐに引き起こし、結果的に細胞死を引き起こす。 近年、遺伝子治療の分野においてプラスミドDNAの使用が全く新しい産業の中心となってきている。従って、十分な量の高品質プラスミドDNAが要求される。プラスミド産生プロセスにおいて、組換え蛋白質は産生されず、代わりに細胞工場はプラスミドDNA産生のために利用されている。非常に高いプラスミド複製速度がこの目的を達成するために必要であり、その結果宿主細胞は組換え蛋白質産生と異なる課題を成し遂げなければならない。 細菌発酵プロセスについて、高いプラスミドコピー数がこのシステムを用いて得ることができるために、主にColE1プラスミドが提案されている。 ColE1プラスミドは既に広範に記載されており(Chan et al., 1985)、ColE1の複製開始点の複製メカニズムはよく研究されている(Cesareni et al., 1991)。ColE1プラスミドからの複製は、複製開始点の555bp上流のプレプライマーRNAIIの転写で、宿主のRNAポリメラーゼによって開始する(Tomizawa, 1985)。RNAIIは、伸長の際特異的構造を保持し、約550ヌクレオチドの重合の後鋳型DNAとのハイブリッドを形成し始める。プレプライマー転写は不均一に終結し、ハイブリッド形成の後、RNAIIプレプライマーはRNアーゼHによって切断され、遊離した3'OH末端と活性プライマーを形成し、DNAポリメラーゼIに近づきやすくなる(Tomizawa, 1990; Lin-Chao and Cohen, 1991; Merlin and Polisky, 1995)。 ColE1領域は2つのプロモーターを含む。RNAIは108ヌクレオチドのアンチセンスRNA分子であり、逆鎖の第2プロモーターから転写され、RNAIIの5'末端と相補的である。RNAIは複製開始点から445bp上流から転写され、ほぼそれに向かってRNAIIの転写が始まる(Merlin and Polisky, 1995; Tomizawa, 1990)。 ColE1プラスミドにおけるプラスミドコピー数の調節について、速度論は平衡特性よりも重要である。例えば、RNAIIにおける変異を有する一部の変異株は、RNAIと相補的である領域に影響を及ぼさないが、RNAIによって減らされる抑制を結果として生じる。これはおそらく中間体RNA構造の半減期に影響し、RNAI感受性のための時間を減少するためであり、従って増加したプラスミドコピー数を結果として生じる。この知見は中間体RNAII構造及びRNAII折り畳み経路の速度論の重要性を示唆する(Gultyaev et al, 1995)。 アミノ酸の欠乏は特定のアミノ酸を装着しない(not charged)多量のtRNAを生じることが観測された(以下、これらのtRNAを“未装着(uncharged)tRNA”と呼ぶ。)。上述のように、この現象は、代謝源が枯渇した場合、組換え蛋白質の発現の誘導後の状況と比較され得る。 Wrobel及びWegrzyn(1998)は5つの異なるアミノ酸の欠乏を選択的に誘導するストラテジーをテストした。特定の欠乏したアミノ酸に対応するtRNAのアンチコドンループの相同性とRNAI及びRNAIIの特定のループとの間に正の相関があることが見出された。大部分の装着(charged)tRNAは翻訳メカニズムによって捕獲されるが、代わりに未装着tRNAはその他の分子、RNAI及びRNAIIと相互作用する機会があるものと仮定された。おそらくtRNAとRNAI又はRNAIIとの間の相互作用は、RNAIとRNAIIの相互作用と干渉し、結果としてより高いRNAII-DNAハイブリダイゼーション頻度を生じるであろう(どんな思い切った方法でも、RNAIIと相互作用するtRNAはRNAII構造を変えないものと思われる。)。後者はより高い複製頻度、従ってより高いPCNを意味するであろう。 Zavachev及びIvanov(1988)は21のtRNAのすべてとRNAI/RNAIIとの間の相同性を比較した。これらのうち、11はRNAI又はRNAIIのいずれかと40%よりも高い相同性をしめした。彼等はこれらを3つのカテゴリーに分けた:a)RNAIと相同的であるtRNA:Arg、His、Leu、Lys、Phe及びThr、b)RNAIIと相同的であるtRNA:f-Met、Try及びGly、及びc)RNAI及びRNAIIの両方と相同的であるtRNA:Met及びVal。すべてのtRNAは7ヌクレオチドのアンチコドンループを有する(Hjalt and Wagner, 1992)。RNAIと相同的であるtRNAの場合、最も高い相同性がループ2の領域において見られたが、ほとんどはRNAIの5'末端においてより小さい相同性を示した。 欠乏及び細胞ストレスは、ColE1プラスミドの複製開始点と相互作用する未装着tRNAの増加したプールを誘導する。この相互作用は、複製開始点のRNAI及びRNAIIに存在する3つのRNAループ構造と相同的であるtRNAの配列によって生じ、システムのPCN制御メカニズムとの干渉を誘導する。このように、PCNは急速に増加し、発酵プロセスの崩壊を生じる。 これらの問題を克服するために、国際公開第89/07141号では、発現を増大する目的でRNAII遺伝子及び/又はrop遺伝子に変異を含むColE1複製システムを有する発現ベクターが提案される。これはプラスミドコピー数を実質的に増大することなしに達成された。 細菌発酵プロセスは、システムが長期間にわたって保持され得る場合にのみ効果的であり、増大したプラスミドコピー数は、発現システムの崩壊を生じる主な因子の一つであるため、発酵の際の延長された細菌生存度有する改善された発現システムを提供することが本発明の目的である。 特に、本発明の目的は、発現システムの誘導後、プアラスミドコピー数が、代謝負担を致死量未満に保つために、制御されない増幅に関して制限される発現システムを提供することである。 本発明のさらなる目的はプラスミド複製速度を増大し、その結果プラスミド産生プロセスにおけるプラスミドDNAの収量を増大することである。 本発明の根底にある問題を解決するために、ColE1型複製のメカニズムが利用された。特に、遺伝的アプローチは、ColE1の複製開始点の未装着tRNAに対する相同性の程度を変えるために、好ましくは減少又は完全に取り除くために行われた。別のアプローチにおいて、ランダムライブラリーは変化した複製作用、例えば高いプラスミドコピー数を有するプラスミドを選択するために生成された。 本発明はColE1の複製システムを有する発現ベクターであって、ColE1の複製開始点のRNAI及びRNAIIの未装着tRNAとの相同性がRNAI遺伝子のコード領域の1個又は複数の変異及びRNAII遺伝子の1個又は複数の対応する変異によって改変され、前記変異がRNAI及びRNAIIのループ1及び/又はループ2及び/又はループ3における1個又は複数の塩基置換を生じることを特徴とする前記発現ベクターに関する。 用語“変異”はRNAI及びRNAIIの未装着tRNAとの相同性を増加する変異及び減少させる変異の両方を包含する。 複製を損なわないように、できる限りRNAI及びRNAIIの2次構造及び融解温度を保持するために、変異は相補的な塩基置換、すなわちA→T、T→A、C→G、G→C変異が好ましい。また、その他の変異も存在してもよいが、複製のメカニズムを損なわないことが条件である。 RNAII遺伝子に変異を含み、従ってその位置によりRNAI遺伝子のプロモーターに変異を含む国際公開第89/07141号に記載のColE1ベクターに対して、本発明のベクターは、未装着tRNAと相同的であるコード領域、より詳細にはRNAI及びRNAII遺伝子の両方のループ領域に変異を含む。このように、本発明は、相同性の程度を故意に操作し、最終的にプラスミド複製の速度を調整するために新規なストラテジーを提供する。 本発明の意味において、用語“ループ”は、望ましくはRNAI又はRNAIIの不対ループ構造を包含するが、この用語は単なるループ領域に厳密に制限するだけでなく、幹領域(stem region)の隣接ヌクレオチド、好ましくは2個以下のヌクレオチドを含んでもよい。 変異は、ループ1、ループ2又はループ3のいずれかにおける単一の塩基置換又はループ1及び/又はループ2及び/又はループ3における単一の又は任意の数の塩基置換(すべての塩基の置換を含む。)であってもよい。 好ましくは、変異は、未装着tRNAと最も高い相同性を有する領域であるループ2においてである。 RNAI及びRNAII遺伝子のループにおける所望の変異は通常の変異及びクローニング方法に従って得られてもよい。 一の実施態様において、それらは以下のようにして得ることができる。鋳型としてRNAI又はRNAII遺伝子又はそのフラグメントのいずれかから開始し、プライマーとしてその一方又は両方が所望の変異を有する2個のオリゴデオキシリボヌクレオチドを使用するPCR反応が行われる。好ましくは、PCR反応は2工程PCRである。第1工程において、2個の重複フラグメントが増幅され、その1つは該フラグメントを連結するために設計される制限部位と、プライマー結合部位との間のプライマー配列に所望の変異を含む。次に、増幅されたフラグメントは関連する制限酵素で消化され、結合されて、次のPCR増幅工程において鋳型として使用される。この工程において、新たに導入された制限部位を含まない第1工程と同じプライマーが使用され、該プライマーは個々のプラスミドにおける最も隣接した特有の制限部位の上流及び下流と結合するために選択される。 RNAI及びRNAII遺伝子の相補性のために、ベクターの調製において、両方の遺伝子又はその断片はPCR増幅のための鋳型として同様に適している。与えられた相補性により、それらの遺伝子のいずれかの1個又は複数のループにおける任意の変異は、その他の相補的遺伝子における対応する変異を生じ、上述の好ましい方法において、変異を含むプライマーはポリメラーゼによって伸長に役立つだけでなく、DNAポリメラーゼのための鋳型としても役立ち、その結果変異を含む相補鎖を生じる。RNAI又はRNAII遺伝子のいずれが鋳型として使用されるかに依存して、RNAII又はRNAIは相補的変異を自動的に有することになる。 好ましくは、RNAI及びRNAII遺伝子の全体を含むプラスミドは鋳型として使用される。あるいは、RNAI又はRNAII遺伝子の全体をコードするDNA分子は使用されてもよい。RNAI及びRNAII遺伝子はTomizawa et al, 1977に記載されている。 RNAI又はRNAII遺伝子フラグメントが鋳型として使用される場合、該フラグメントは、要求されるすべての成分、すなわち変異する配列、プライマー結合部位、必要によっては、さらに1個又は複数の制限部位を含むのに十分な大きさを有する必要がある。好ましくは、該フラグメントは1個又は複数のループ(各ループは約7個のヌクレオチドからなる。)及びプライマー結合部位(約18個のヌクレオチド)を含み、すなわち適したフラグメントの最小の大きさは約25〜30個のヌクレオチドである。 本発明の好ましい実施態様において、変異は、部位及び数の点で、できる限り多くの未装着tRNA種との相同性の程度を実質的に変化させる目的で選択される。 このように、本発明の実施態様において、RNAI及びRNAIIの改変は、ループ2、すなわち最も高い相同性を有するループの改変から開始することによって行われ、前記改変はできる限り多くの位置の置換を意味する。一例として、実施例1の実験で示されるように、ループ2はその7個のヌクレオチド中6個を置換することによって改変され、1個の塩基(プラスミドColE1の693位、Genbank GI 9507253)を変化させないままにし、その結果新しい制限部位、好ましくはNcol部位の一部として利用できる。塩基はそれぞれ相補的塩基によって置換される。 必要に応じて、このアプローチによって、すべての未装着tRNAとの相同性は完全に消滅し得る。従って、このアプローチは、それらのアミノ酸配列とは無関係の所定の多種多様の組換え蛋白質の産生のための最大の柔軟性を、特に発現の際の細胞生存度を維持するプラスミド複製の制御によって提供する。この場合、プラスミドの増幅はColE1特異的複製メカニズムのみに影響を受け、宿主細胞の代謝変動には影響を受けない。また、この場合、プラスミドコピー数は発酵プロセスの間中、本質的に一定に保たれる。 あるいは、RNAI及びRNAIIと、未装着tRNAとの間の相同性を完全に無くすために、この相同性は改変、すなわち所望される程度まで増大又は減らされてもよい。いくつかの応用について、例えば発現機構の可能性が減少したプラスミドコピー数、従って最適以下の量のプラスミド(“遺伝子量”)によって十分に活用されないため、生成物の収量が不十分である場合、わずかに増加するプラスミドコピー数によって発現速度を増加することが望ましいかもしれない。これは、いくつかの未装着tRNA、特に珍しいtRNAとの配列相同性を選択的に保持することによって達成できる。特異的な未装着tRNAのための配列相同性は文献(Zavachev and Ivanov, 1988)から知られている。また、このストラテジーは、生成物が封入体の形態で又は可溶性の形態で存在するように蛋白質合成の速度に影響を与えるのに有用である。一例として、ある程度のプラスミド増幅は封入体の形成を導くかもしれないが、わずかな減少は可溶性生成物の形成に都合がよいかもしれない。 いくつかの応用のために、RNAI及びRNAIIの未装着tRNAとの配列相同性を増大することによってプラスミドコピー数を劇的に増大することが、特にプラスミドDNA産生にとって有利である。また、配列相同性を増大するために要求される変異は文献(Zavachev and Ivanow, 1988)から知られ、配列相同性の減少の目的で記載される原理と同じ原理に従って行うことができる。 個々の応用及び/又は生成物のために、該方法は変異の範囲を実験的にテストすることによって最適化できる。適した実験は以下のようにして行ってもよい。テストされるべき変異を有するプラスミド又は一連のプラスミド候補は適切な細菌宿主細胞に形質移入され、適した条件下で小スケール、例えば浸透フラスコで増殖され、発酵プロセスは所定のパラメータ、特に増殖、生成物収量及び品質、プラスミドコピー数に関してモニターされる。 広範囲の配列改変を得るのに特に有用である他の実施態様は、ループ1及び/又はループ2及び/又はループ3の1個又は複数の位置をランダムに変異することであり、その結果発現システムの所望の性質で選択される発現ベクターの構築で使用されてもよいライブラリーを作成する。一例として、プラスミド候補は組換え蛋白質産生に最も関連したある選択パラメータ、例えば増殖速度、生産力及び生存度によって選択されてもよく、該方法は上述の標準的な実験装置で行われる。 さらに、このアプローチでは、PCN操作に基づく組換え蛋白質発現速度の効率的な調整が可能となる。所定の遺伝子はライブラリーを含んでいるベクターに存在することを条件として、選択されるプラスミドは、常に所定の遺伝子の発現に最適である。 正常な発酵の際、本発明に従って、誘導後のプラスミドコピー数(PCN)のほぼ10倍の増加が観測され、tRNAとRNAIIとの間の相同性は減少又は消滅する。これは、制限されないRNAI分子の多量のプールが自由にRNAIIと相互作用できる効果を有する。このように、複製のメカニズムは、組換え蛋白質の発現のために代謝的な過負荷によって引き起こされた未装着tRNAの高いプールとは無関係である。プラスミド複製のメカニズムが組換え蛋白質発現と関係した代謝的ストレスと無関係であることは、組換え蛋白質のより高い収量を生じる。 すべてのtRNAとの相同性において変化を生じる本発明の塩基置換はRNAI及びRANIIの両方に存在するため、未装着tRNAの組成(組換え産物に依存する)はこのアプローチとは関係しない。改変ColE1複製システムに加えて、本発明の発現ベクターは蛋白質発現のために要求される成分、すなわちプロモーター、翻訳開始領域、選択マーカー(例えば抗生物質耐性マーカー)、所定の蛋白質をコードするDNAの挿入のための制限部位等を含む、所定の蛋白質をコードするcDNA配列と機能的に(operatively)結合した発現制御配列を含む。 好ましくは、本発明の発現ベクターは以下のベクターの1つから誘導される:pMB1 (Bolivar et al., 1977);pBR322 (Covarrubias et al., 1981;MBI Fermentasから入手可能、カタログ番号#SD0041; GenBank/EMBL配列受入番号J01749, K00005, L08654, M10282, M10283, M10286, M10356, M10784, M10785, M10786, M33694, V01119);pUC18 (Yanisch-Perron et al., 1985; GenBank/EMBL配列受入番号L09137;MBI Fermentasから入手可能、カタログ番号#SD0061);pUC19 (GenBank/EMBL配列受入番号L09136. MBI Fermentasから入手可能、#SD0051);pTZ19R (GenBank/EMBL配列受入番号Y14835;MBI Fermentasから入手可能、カタログ番号#SD0141);pTZ19U (MBI Fermentasから入手可能、カタログ番号#SD0161; GenBank/EMBL配列受入番号Y14835);pBluescriptIIKS(-)(Alting-Mees et al., 1989; GenBank/EMBL配列受入番号X52329);pBluescriptII KS(+) (Alting-Mees et al., 1989; GenBank/EMBL配列受入番号X52327);pBluescriptII SK(-)(Alting-Mees et al., 1989;GenBank/EMBL配列受入番号X52330.pBluescriptII SK(+)(Alting-Mees et al., 1989; GenBank/EMBL配列受入番号X52328)。 所定の蛋白質に関して、大腸菌におけるプラスミドの発現が機能的蛋白質を与える限り、配列に関して制限はない。 本発明の実験において、ヒトのCu-ZnスーパーオキシドジスムターゼをコードするcDNAを使用した。このcDNAを有するベクターから、153アミノ酸からなり、細胞質内に放出される、溶解性の高い、32kDaの二量体蛋白質を産生することができる(Cserjan-Puschmann et al., 1999)。 ColE1型プラスミドと適合性のある任意の細菌宿主細胞、好ましくは大腸菌の菌株、特に菌株HMS174(DE3)(Studier and Moffat, 1986)、又はサルモネラ菌の菌株を使用してもよい。 さらに別の実施態様において、本発明は改変ColE1複製を有する発現ベクターによって形質転換された宿主細胞に関する。 宿主菌株の形質転換のために、任意の従来の方法、例えばエレクトロポレーション又は塩化カルシウム又はカルシウム沈殿を使用してもよい。 さらに別の実施態様において、本発明は、所定の組換え蛋白質を産生する方法であって、大腸菌宿主細胞はRNAI及びRNAII遺伝子の1個又は複数のループに変異を有するColE1複製システムを有する発現ベクターで形質転換され、適切な条件下で増殖し、所定の蛋白質が回収される前記方法に関する。本発明は、組換え蛋白質の発現から生じる宿主代謝との干渉を補償するためのツールを提供することによって組換え蛋白質産生プロセス発生を加速する。本発明の方法は流加(fed batch)発酵プロセス、すなわち栄養分の添加がバイオマスの増加と共役するプロセスにおいて特に有利である。長期間にわたって実施でき、その結果古典的なバッチプロセスよりも高いバイオマス産生及びプロセス全体の効率性を生じる流加プロセスの利点を十分に利用するために、安定で、調節可能な発現システムが要求される。この必要性は、本発明の発現ベクターの使用によって有利に満たされる。 さらに、ColE1 RNA I及びRNA Iの1個又は複数のループの配列の変化はプラスミド複製速度を劇的に増大するのに役立つことができ、本発明のベクターはプラスミドの産生のために、例えば遺伝子治療における使用に、非常に有用である。本発明の利点は、いわゆるRNA I/RNA II“キッシングコンプレックス(kissing complex)”の安定性を減少させ、その結果プラスミド複製速度を増大する可能性にある。実施例1 プラスミドとしてpET11a(Stratagene社のpUC19の誘導体)を実験で使用した。このプラスミドはアンピシリン耐性のためのベータラクタマーゼ遺伝子を含む。このプラスミドの組換え蛋白質発現は効率的なT7 RNAポリメラーゼによって調節される。lacオペレーターはT7プロモーターと翻訳開始配列との間に位置している。これはインデューサーIPTGがないときに抑制を生じる。pET11a-SODプラスミドは、組換え蛋白質ヒトCu-Znスーパーオキシドジスムターゼ(hSOD)(細胞に対して非毒性であり、細胞質に放出される、溶解性の高い153アミノ酸の32kDa二量体蛋白質)をコードするcDNA遺伝子を含む(Cserjan-Puschmann et al., 1999)。 SODのプラスミド伝播及び発現のために大腸菌(Escherichia coli)HMS174(DE3)を細菌の菌株として使用した(Studier and Moffat, 1986)。この菌株は染色体DNAに組み込まれたT7ポリメラーゼを有する。T7ポリメラーゼは組換え蛋白質の発現に必要不可欠である。形質転換体をアンププレート(amp plates)(100pg/mlのアンピシリンを含む抗生物質培地LB)で選択した(Maniatis, et al., 1982)。 これらの実験において形質転換方法としてBio-Rad Gene Pulserを用いるエレクトロポレーションを使用した。プライマーを真空乾燥粉末の形態でMetabion(Martinsried, Germany)から得て、水に溶解し、100pmol/μlの濃度の原液を得た。PCRは、Thermoblock(T-gradient, Biometra, Germany)を用いて、加熱できるカバー(cover)Dynazyme EXTポリメラーゼ1u/μl(Finnzymes)、10×Mgを含まない緩衝剤及び10mMのMgCl(補充)1mMのdNTP、DMSO及び蒸留水で行った。 プライマーとしてpET11a-114back(配列番号1)、pEZ11a656for(配列番号2)、RNAI-Ncoback(配列番号3)及びRNAI-Nco for(配列番号4)を使用した。制限エンドヌクレアーゼ、λマーカー、T4-リガーゼ、子ウシ腸ホスファターゼをMBI-Fermentasから得て、彼等のアドバイスに従って使用した。 発酵槽として、それに連結されたMBR IMCS-2000コントローラーを有するMBR Bioreactor AG(Wetzikon, Switzerland)の20リットル発酵槽を使用した。発酵槽の許容容積は約12リットルであった。使用した飼料培地:流加状態の間システムにポンピングされる飼料培地の量は容器を連続的に秤量することによって測定した。飼料ポンプを調節して、μ=0.1の一定の増殖速度を与えた。消泡剤の添加は伝導度センサーによって誘発した。外部との非接触は発酵槽の汚染のリスクがないことを意味する。使用したバッチ培地は半合成培地であり、バッチの開始時の増殖を促進するために少量のトリプトン及び酵母エキスを含む。成分を約4リットル(4000g)の合計容積に一緒に混合した。しかし、沈殿を回避するために、同じ番号の化学物質(以下の表1の#を参照のこと。)を最初に個別に蒸留水に溶解した。グルコース溶液を蒸留水で300gに増量し、個別にオートクレーブで処理した。続いて、グルコース溶液以外のすべてを与えられた順番で一緒に混合し、蒸留水で3700gに増量した。[表1]表1:バッチ培地(4000g)の組成。値は、特に明記されない限り、グラムで与えられる。[表2]表2:流加状態用飼料培地(6000g)の組成。値は、特に明記されない限り、グラムで与えられる。 コッホテストを行い、プラスミドを含む細菌細胞の画分を決定し、プラスミド含有細胞がインデューサーIPTGを含むプレートで増殖するか否かを決定し、後者はプラスミド含有細胞が誘導後“正常な”量でSODを産生するか否かを示す。 細菌乾燥質量(BDM)は乾燥物質の合計量を与える。 各実施例について、ガラスビーカーを一晩105℃で乾燥し、乾燥機中で冷却し、次いで分析スケールで秤量した。 PCNはゲノムDNA及びプラスミドDNAの大きさ(塩基対の数)を相関させることから計算できる。 プラスミドDNA調製のために、サンプル調製物由来の細胞ペレットを150μlの溶液I(50mMのグルコース、10mMのEDTA、25mMのトリス-HCl、pH8.0)に懸濁し、200μlのSDS(0.5%のSDS溶液(ICN Biochemicals))を添加し、50μlのリゾチーム(Sigma)を添加し、調製物を混合し、10分間37℃でインキュベートし、溶液をボルテックスで撹拌することによって均質化した。サンプルを冷蔵庫に入れて、分光蛍光光度計(Hitachi F-2000)での蛍光測定まで貯蔵した。 プラスミドDNAの量を決定するために、細胞ペレットのDNAをGFXキット(MBI, Fermentas)でサプライヤーの取扱説明書に従って、以下の変更で精製した。溶解工程後、既知の量(約2μg)のpUC 19を内部標準として添加した。50μlの水のDNAの溶出に続いて、Hind IIIによるプラスミドの直線化を1時間37℃で行った。制限消化DNAを有するサンプルをキャピラリー電気泳動用のサンプルバイアルに気泡を回避して移す。サンプルをオートサンプラーに入れた。キャピラリーを15〜20分間緩衝剤で洗い流して校正した。吸光度の決定はダイオードアレイによる260nm及び280nmで行った。分析後、キャピラリーを緩衝剤で洗い流し、4℃で貯蔵した。染色体DNAの量を合計DNA含量/mg BDMからプラスミドDNA/mg BDMの量を減算することによって計算した。添加した内部標準の量は既知であるため、PCNは、Breuer et al.(1998)に従って、以下の式によって計算できる。 SODの量の決定について、捕獲抗体(Novocastra Laboratories Ltd., UKから入手できるSODモノクローナル抗体クローン30F11)を被覆緩衝剤(200μg/ml)で1:100に希釈した。100μlの希釈した抗体溶液をマイクロタイタープレートの各ウエルに移し、4℃で一晩、又は室温で少なくとも2時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝剤で3回洗浄し、プレートを静かに叩くことによって緩衝剤を取り除いた。サンプル及び標準物質をピペットロボットにより希釈プレートで徐々に1:2に希釈した。50μlの各希釈液を抗体被覆プレートに(ロボットで)移し、1時間室温でインキュベートした。 プレートを洗浄緩衝剤で洗浄した。複合抗体を希釈緩衝剤で1:500に希釈した(Porstmann et al., 1988)。 複製開始点の範囲内の変異を表3に示す(表には、変異位置を記載し、その数値はGI=“9507253”Genbankに従った全ColE1配列を参照する。)。[表3]表3 大腸菌HMS 174(DE3)pET11achSODのプラスミドを用いる発酵プロセスを図に示す。組換え蛋白質(SOD)の合計及び特定産生を、産生速度qpと共に示す。また、合計細菌乾燥物質(BDM)及びプラスミドコピー数(PCN)を示す。標準プロセス(例えば、Cserjan-Puschmann, 1999に記載される)に対し、PCNは、45時間での誘導後であっても、むしろ一定に保持されることが観測された。 コッホテストの結果及びプラスミドコピー数を下記表に示す。[表4]表4実施例2 プラスミドとして実施例1に記載されるpET11a-SODを実験で使用した。 プラスミド伝播及びSODの発現のために細菌の菌株として実施例1に記載される大腸HMS174(DE3)を使用した。細菌及びプラスミドDNAのすべての操作を実施例1に記載される通りに行った。オリゴヌクレオチド及び酵素を実施例1に記載される同じ源から得た。 プライマーとしてpet11a-Sca-I-for(配列番号5)、pet11a-AlwN-I(配列番号6)、pet11a-Xba-I-back(配列番号7)及びRNA-I-randomXba-I-back(配列番号8)を使用した。 異なるクローンのプールにおける最良の候補を選別するために、2つのアプローチを用いた。1.高プラスミドコピー数を有する細胞の選択 高PCNを有する細胞はアンピシリンに対するより高い耐性を有するであろう。細菌のプールを0.1、1又は10mg/mlのアンピシリンを含むLB-寒天のペトリ皿に蒔いた。10mg/mlのLB-Amp-プレートの10個のコロニーを採集し、その配列を解析した。結果は、RNA I及びRNA IIのループ2の配列に関して異なる7個のクローンを示した。[表5]表5 第2の選別の基準はプラスミドの安定性である。プラスミドプールを含む細菌を振盪フラスコで、37℃で、OD=2になるまで、アンピシリンを含まない合成培地を用いて培養した。3継代後(約20世代に相当する。)、依然としてプラスミドを含む細菌を選択するために、最終継代の細菌をLB-Ampプレートに蒔き、単一のコロニーを配列分析のために採集した。 この選別の結果を表6に示す。[表6]表6 この選別における発酵槽及び付属物は実施例1に記載されるものと同じものを使用した。飼料培地及び増殖速度は実施例1に記載されるものと同じである。 PCNを実施例1に記載の通り決定し、計算した。それらのPCNに関するクローンの候補の振る舞いを流加培養で特徴付けた。有望な候補の結果を表7に示し、異なるクローンのPCNを非誘導状態及び誘導状態について示す。[表7]表7 クローンColE1Mut9(及び同じ配列を有するColE1Mut1)はプラスミド産生のための非常に有望な候補であるとわかった。750のプラスミドコピー数は、野生型ColE1プラスミドと比較して、約14倍の増加を示す。 また、クローンColE1Mut22のPCNはより高かった(換算係数2.5)。 クローンColE1Mut54の低いPCNは、低い代謝負荷のために、組換え蛋白質産生に有利であろう。参考文献Alting-Mees, M.A., and Short, J.M. (1989) pBluescript II: gene mapping vectors, Nucleic Acids Res., 17, 9494.Breuer, S. et al (1998) Off-line quantitative monitoring of plasmid copy number in bacterial fermentation by capillary electrophoresis. Electrophoresis 19, 2474-2478.Bolivar, F., Rodriguez, R.L., Greene, P.J., Betlach, M.C., Heyneker. H,L. and Boyer, H.W. (1977) Construction and characterization of new cloning vehicles. II. A multipurpose cloning system, Gene 2, 95-113.Cesareni G, Helmer_Citterich M, Castagnoli L. Control of ColE1 plasmid replication by antisense RNA. Trends Genet 1991 Jul 7:7 230-5.Chan PT, Ohmori H, Tomizawa J, Lebowitz J Nucleotide sequence and gene organization of ColE1 DNA. J Biol Chem 1985 Jul 25 260:15 8925-35.Cserjan-Puschmann, M., W. Kramer, E. Durrschmid, G. Striedner and K. Bayer (1999). Metabolic approaches for the optimisation of recombinant fermentation processes. Appl. Microb. 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Biol. 131, 235-241. 大腸菌HMS 174(DE3)pET11achSODのプラスミドを用いる発酵プロセスを示す。 ColE1の複製システムを有する発現ベクターであって、ColE1の複製開始点のRNAI及びRNAIIの未装着tRNA との相同性がRNAI遺伝子のコード領域の1個又は複数の変異及びRNAII遺伝子の1個又は複数の対応する変異によって改変され、前記変異がRNAI及びRNAIIのループ1及び/又はループ2及び/又はループ3における1個又は複数の塩基置換を生じることを特徴とし、 前記変異がRNAI及びRNAIIのループ2で生じ、 前記変異が、 RNAIIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列ATCTCAAを含み、かつ、RNAIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列TTGAGATを含み;又は RNAIIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列AGTTCAGを含み、かつ、RNAIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列CTGAACTを含み;又は RNAIIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列ATCTACAを含み、かつ、RNAIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列TGTAGATを含む前記発現ベクター。 pMB1、pBR322、pUC 18/19、pTZ19R、pTZ19U、pBluescriptIIKS(+/-)及びpBluescriptIISK(+/-)から選択されるベクターから誘導される請求項1に記載の発現ベクター。 RNAIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列TGTAGATを含み、RNAIIのループ2の野生型配列をコードする配列に代えて配列ATCTACAを含む、請求項1に記載の発現ベクター。 RNAIのループ2の野生型配列UUGGUAGをコードする配列に代えて配列CTGAACTを含み、RNAIIのループ2の野生型配列CUACCAAをコードする配列に代えて配列AGTTCAGを含む、請求項1に記載の発現ベクター。 請求項1〜4のいずれか1項に記載のベクターで形質転換された細菌宿主細胞。 大腸菌細胞である請求項5に記載の宿主細胞。 大腸菌の菌株HMS 174の細胞である請求項6に記載の宿主細胞。 大腸菌においてプラスミドDNAを産生するための請求項3に記載の発現ベクターの使用。 大腸菌において所定の組換え蛋白質を産生するための請求項4に記載の発現ベクターの使用。 所定の組換え蛋白質を産生する方法であって、発現制御配列と操作的に結合された蛋白質をコードするDNAを含む請求項1、2、又は4に記載のベクターが、ColE1の複製システムと適合性のある細菌宿主細胞において転換され、宿主細胞を適した条件下で増殖し、所定の蛋白質を回収及び精製する前記方法。配列表