生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_安定化過酸化水素溶液
出願番号:2002530106
年次:2004
IPC分類:7,A61K33/40,A61K9/08,A61K31/327,A61K47/24,A61P27/02,C01B15/037,C01B15/043,C01B15/055,C01B15/12


特許情報キャッシュ

シャオ,フー−パオ・マーク JP 2004509925 公表特許公報(A) 20040402 2002530106 20010926 安定化過酸化水素溶液 ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト 597011463 津国 肇 100078662 篠田 文雄 100075225 束田 幸四郎 100113653 シャオ,フー−パオ・マーク US 60/236,251 20000928 7 A61K33/40 A61K9/08 A61K31/327 A61K47/24 A61P27/02 C01B15/037 C01B15/043 C01B15/055 C01B15/12 JP A61K33/40 A61K9/08 A61K31/327 A61K47/24 A61P27/02 C01B15/037 G C01B15/043 C01B15/055 C01B15/12 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,CH,CY,DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PH,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW EP2001011177 20010926 WO2002026277 20020404 34 20030327 4C076 4C086 4C206 4C076AA12 4C076BB24 4C076CC10 4C076DD63Q 4C076FF36 4C076FF63 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA22 4C086MA01 4C086MA05 4C086MA17 4C086MA58 4C086NA03 4C086NA14 4C086ZA33 4C206AA01 4C206AA02 4C206HA26 4C206MA01 4C206MA05 4C206MA37 4C206MA78 4C206NA03 4C206NA14 4C206ZA33 【0001】本発明は、微量の過酸化水素を含有する安定化水溶液に関する。より具体的には、本発明は、高pHにおけるそのような溶液の安定剤としてある種の有機リン化合物を使用することに関する。これらの生体適合性組成物は、特に、アイケア溶液用の緩衝食塩水中で有用である。【0002】コンタクトレンズは、埃、タンパク質様物資、および微生物を蓄積し、これらすべては、レンズ上に蓄積されたままにすると、眼の健康に影響を及ぼしうる。したがって、レンズは定期的に、好ましくは毎日、洗浄し、殺菌する必要がある。過酸化水素はコンタクトレンズ用の安全で有効な殺菌剤と認識されており、過酸化水素を含有するコンタクトレンズ殺菌溶液は周知である。【0003】しかしながら、希薄な過酸化水素溶液を使用することの一つの欠点は、安定剤を使用しないと、あるいは安定剤との組み合わせを使用しないと、特性上、過酸化物水溶液が比較的短時間で分解することである。そのような希薄な過酸化水素溶液が分解する実際の速度は、勿論、pHや、これを分解するように触媒的に作用する銅やクロムのような種々の金属不純物が微量存在すること等の因子に依存する。また、温和な加温下で、そのような希薄な過酸化水素水溶液の分解速度は、大きく加速される。PCT特許WO98/04496には、コンタクトレンズ殺菌用の過酸化水素の安定化緩衝溶液が開示されており、その溶液はある種のホスホン酸およびその誘導体を用いることにより約5.0〜6.5のpH範囲に保たれている。また、英国特許第1,500,707号においては、ホスフェート(ピロホスフェート)安定剤200〜2000ppmと共にpH4.5で過酸化水素を用いるコンタクトレンズ滅菌溶液が開示されている。しかしながら、生理学的に許容しうる溶液用では、pHを約7〜8に上昇させる必要があるため、殺菌は眼内環境と一致するpHでは行いえない。【0004】米国特許第5,725,887号においては、種々のホスホン酸安定剤の存在下で低過酸化水素濃度を有する眼用液用の保存剤が開示されている。しかしながら、これらの組成物の安定化効果には、これらの溶液が8.0より低いpH、より好ましくは約6.5〜7.5の間のpHに保たれることが必要とされる。【0005】したがって、眼用適合性のために求められる、より高いpHで安定性が向上した、保存コンタクトレンズケア溶液に対するニーズおよび、そのような安定化溶液が過酸化水素または過酸化水素を発生するペルオキシ化合物を微量しか含有しないことへのニーズが存在する。そのような系の全ての成分は、眼用液に一般的な他の成分および種々の眼用薬剤と適合する必要があることを認識する必要がある。【0006】本発明の一つの目的は、低レベルの過酸化水素を含有するコンタクトレンズケア溶液を安定化する手段を提供することである。そのような溶液は、眼に適合しない物質を含んではならず、またそのような溶液は8より大きいpHで安定であるべきである。本発明の他の目的は、過酸化水素および眼に適合性の成分を含有する眼用液の貯蔵寿命を増大する手段を提供することである。本発明の更に他の目的は、安定で、8より大きいpHで使用しうる保存眼用薬配合物を提供することである。本発明において、これらの目的は、そのような溶液中に存在する低レベルの過酸化水素の分解速度を減少させる、ある種の眼に適合性の安定剤の使用を通して実現される。【0007】本発明の眼用液において微量の過酸化水素を使用することの他の利点は、低濃度の過酸化水素は、とくに濃度が100ppmより低い場合、眼と接触すると分解されることである。例えば、眼の組織に存在する酵素は、過酸化水素の水と酸素への分解を引き起こす。その結果、使用に当たって、溶液は保存剤を含まないものとなり、副作用を大きく軽減する。そこで、無害な化合物への分解が不可能であるというような、他の保存剤に付随する問題はなくなる。【0008】本発明の一つの態様は、眼用液の保存剤として、微量の過酸化水素または過酸化水素源を使用することと、キレート安定剤を添加して約pH8より上でその溶液を安定化することに関する。本発明の驚くべき点は、約9.5と高いpHを有するある眼用液が、眼に快適であることが臨床的に認められたことである。このことは、有意に8より大きいpHにおいて微量の過酸化水素で保存された安定化眼用液が人間の眼での使用に好適であることを示している。更に、これらの溶液の高pHは、炭酸水素ナトリウムのような酸感受性の成分をその中に包含することを可能にする。そのような成分を包含することは、従来技術の低pH溶液中では不可能である。【0009】過酸化水素安定剤、特にジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)または1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸で安定化された微量のペルオキシ化合物は、薬物、眼洗浄液、または眼の環境で使用するように設計された有効成分を含有する他の溶液の保存剤として利用しうる。本発明の保存剤は、眼の環境で使用しうる。更に、本発明の保存剤は、その溶液中の有効成分が微量の過酸化水素と適合する限り、どのような眼用液においても使用しうる。また、本質的に、水中で加水分解されて過酸化水素を生成する限り、どのようなペルオキシ化合物であっても使用しうる。有効量の生成過酸化水素を供給する、そのような過酸化水素源の例として、過ホウ酸ナトリウム十水和物、過酸化ナトリウム、および過酸化尿素が挙げられる。有機ペルオキシ化合物である過酢酸は、この系を利用して安定化できないことが見い出された。約2ppm〜約1000ppmの過酸化水素濃度が本発明において有用である。したがって、約2ppm〜約1000ppmの過酸化水素を発生するペルオキシ化合物が本発明において有用である。より好ましくは、過酸化水素の濃度は、約10ppm〜約1000ppmである。【0010】本発明において用いるペルオキシ安定剤は、ホスホネート、ホスフェート、スタネート等を含むいかなる公知のペルオキシ化合物の安定剤であってもよい。しかしながら、ホスホン酸の生理学的に適合しうる水溶性塩が好ましい。この好ましい群に含まれるものとしては以下のものが挙げられる。【0011】(a)式:【化3】【0012】で示される化合物(式中、zは0〜3の整数である)およびその水溶性塩、並びに【0013】(b)式:【化4】【0014】(式中、n、m、p、およびqの各々は独立に、0〜4である)で示される化合物およびそれらの水溶性塩である。式Iにおいてzが2である化合物、およびC1−4アルキレン基がそれぞれC1またはC2である化合物が極めて好ましい。式Iにおいては、Solutia, Inc.(元Monsanto)からDequest(商標)2060の商品名で市販されているジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)および生理学的に適合しうるその水溶性塩が最も好ましい。式IIにおいては、Solutia, Inc.(元Monsanto)からDequest(商標)2010の商品名で市販されている、n、m、pおよびqがそれぞれ0または1、最も好ましくは0である化合物または生理学的に適合しうるその水溶性塩が極めて好ましい。【0015】式IおよびIIの化合物の生理学的に適合しうる塩としては、例えば、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム、アルカリ土類金属、例えばカルシウム、アンモニウム、およびアミンカチオンをはじめとする通常の薬学的に許容しうるカチオン成分との水溶性の塩が挙げられる。好適なアミン塩としては、例えば、モノ−、ジ−およびトリ−低級アルキルアミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミンなど;およびモノ−、ジ−およびトリ−低級ヒドロキシアルキルアミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミン、2−ヒドロキシプロピルアミンなどが挙げられる。ここで、アルキル基における「低級」とは、6個以下、好ましくは4個以下の炭素原子を有するアルキル基を意味するものである。本発明によれば、所望ならば、更なる従来の安定剤を、式IまたはIIの化合物あるいはこれらの組み合わせと共に用いてもよい。好適な従来の安定剤としては、アルカリ金属またはアンモニウムスタネート、例えばナトリウムスタネートのような水溶性スタネートを、単独または水溶性ホスフェート、ポリホスフェートまたはエタホスフェート塩、例えばそのアルカリ金属もしくはアンモニウム塩、あるいは、アミノポリカルボン酸キレート剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、あるいはその水溶性塩、例えばアルカリ金属もしくはアンモニウム塩、特にナトリウム塩あるいはこれらの混合物と組み合わせて用いたものが挙げられる。【0016】本発明において用いることのできる更に他のペルオキシ安定剤としては、グリセリン、約2,000〜約150,000(水溶性である限り)の範囲の分子量を有し、少なくとも70%が加水分解されているポリビニルアルコール、プロピレングリコール、約2,000〜約100,000の分子量を有するポリアクリル酸、ジエチレングリコールおよびナトリウムヘキサメタホスフェートナトリウムポリホスフェート(FMCからHexaphos(商標)の商品名で市販されているもの)から選択されるペルオキシド安定剤が挙げられる。【0017】上記の安定剤は、本発明を適用できる上述のほとんど全てのシチュエーションにおいて用いることができる。しかしながら、溶液がヒドロゲルソフトコンタクトレンズと接触する場合には、スタネート系の安定剤はレンズ材料に「曇り」を生じさせる傾向があるので避けるべきである。式Iまたはそれらの塩の安定剤の濃度は、組成物の約0.006〜約0.02重量%、最も好ましくは約0.006〜約0.0120重量%の量で、安定化組成物中に存在することが好ましい。また、式IIの安定剤は、溶液100gあたり、少なくとも約0.024ミリモル(50ppm)、好ましくは0.039ミリモル(80ppm)〜約0.34ミリモル(700ppm)、より好ましくは0.049ミリモル(100ppm)〜約0.29ミリモル(600ppm)、最も好ましくは0.073ミリモル(150ppm)〜約0.19ミリモル(400ppm)の量で存在することが好ましい。カッコ内の数値は、206の分子量を有するDequest(商標)2010についてのものである。式IIの他の安定剤は、それと等モル量で存在する必要がある。式IおよびIIのもの以外の安定剤は、生理学的に許容しうる量、例えば約20ppm〜約1000ppm、好ましくは少なくとも0.0054ミリモル(50ppm)、より好ましくは0.087ミリモル(80ppm)〜約1.09ミリモル(1000ppm)、更に好ましくは約0.109ミリモル(100ppm)〜約0.87ミリモル(800ppm)、最も好ましくは約0.22ミリモル(200ppm)〜約0.65ミリモルの量で用いる。ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)は206の分子量を有する。式IIの他の安定剤は、それと等モル量で存在する必要がある。選択されたいずれの安定剤も、生理学的に許容される濃度で用いることが最も重要である。【0018】本発明の安定化溶液のpHは約8.0より大きい。安定化過酸化水素溶液のpHは約8.0〜10.5が好ましく、約8.0と9.5の間が最も好ましい。pHは、用いる量において生理学的に許容しうる好適な量の酸または塩基、例えば塩酸または例えば水酸化ナトリウムを添加することによって所望のように調節することができる。現存するほとんどの過酸化水素含有眼用液のpHは比較的低いもの、例えば7より小さいものであるので、安定化溶液のpHは、従来技術に対して優位性を示す。8.0以上のpHを有する本発明のいくつかの眼用液は、眼に対して高い程度の快適さを示すことが臨床的に認められた。したがって、pH>8で安定性を有する過酸化水素保存レンズケア溶液は、極めて望ましいものである。【0019】いくつかのコンタクトレンズ用に市販されている過酸化水素製品のpH値を以下に示す。【0020】【表1】【0021】過酸化水素安定剤、特にジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)もしくはその塩または1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸もしくはその塩で安定化された微量のペルオキシ化合物は、薬物、眼洗浄液、または眼の環境で使用するように設計された有効成分を含有する他の溶液の保存剤として利用しうる。【0022】本発明の全範囲は、医薬として活性な眼用剤含有溶液、並びに医薬として活性な眼用剤非含有溶液を包含するものである。溶液の前者の群は、少なくとも一種類の眼に直接施すための薬剤を含むものである。後者の群は、限定されるものではないが、保存食塩水、保存コンタクトレンズ洗浄溶液、保存コンタクトレンズ安定化溶液、保存湿潤溶液および保存潤滑溶液を包含するものである。【0023】本発明の保存剤は、その溶液中の有効成分が微量のペルオキシ化合物と適合する限り、どのような眼用液中でも使用し得る。本発明の系によって保存処理されるほとんどの化合物は、用いた微量の過酸化水素に適合性のものであると考えられる。以下のものは、本発明の保存剤と適合しうる有効成分および賦形剤の例示のリストであるが、排他的ではなく、限定的でもない。即ち、アトロピン、ホマトロピン、シクロペントレート、トロピカミド、ラケシン、ジブトリン、オキシフェノニウム、ユーカトロピン、エフェドリン、カルバコール、メタコリン、ピロカルピン塩酸塩、イソフルオロフェート、フィソスチグミン、ネオスチグミン、リグノカイン、コカイン、アセチルコリンクロリド、アンタゾリンホスフェート、ベタキソロール塩酸塩、デメカリウムブロミド、ジピべフリン塩酸塩、エリスロマイシン、ゲンタマイシン硫酸塩、ホマトロピン臭化水素酸塩、イドクスウリジン、イソソルバイド、ラノリン、ナファゾリン塩酸塩、ネオマイシン硫酸塩、フェニラミンマレイン酸塩、ポリソルベートゼラチン(Tween)、ピリラミンマレイン酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、テトラカイン塩酸塩、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン塩酸塩、ジクロフェナックナトリウム、デキストラン、カルテオロール、スルファニルアミド、プロカイン、プロパラカイン塩酸塩、スルフィソキサゾールジソラミン、インドメタシン、クロニジン、コリナンチン、アラキドン酸、リノール酸、H−チミジンおよび3H−チミジン、イノシトールトリホスフェート、イノシトールホスフェート、ホスファチジリノシトール並びにホスファチジルイノールホスフェート。【0024】本発明に適合する賦形剤の例としては、ポリソルベートゼラチン(Tween)、デキストラン、リノリン、イノシトールホスフェート、アルキルスルホスクシネート、スルホスクシナメート、アルキルシリコンスルホスクシネート、アルキルポリエーテルカルボキシレート、アルキルアリールポリエトキシルアミン、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルカノールアミドおよびアルカミド、アルキルアンホテリクス、アルキルイミダゾリンをベースとするアンホテリクス、ベタイン、アルキルアミノプロピオネート、アルキルイミノジプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアンホカルボキシグリシネート、アルキルアンホカルボキシプロピオネート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキルエーテルヒドロキシプロピルスルタイン、アルキルアンホプロピルスルホネート、第4級アンモニウムポリマー、第4級アンモニウムハロゲン化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルキルアルコールエトキシレート、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルアミドプロピルPG−ジモニウムクロリドホスフェート、アルキルアンホPG−グリシネートホスフェート、グリセリルモノアルキレート、ソルビタンアルキレート(span)、プルロニクス、テトロニクス、アルキル硫酸ナトリウム、ブトキシエトキシ酢酸ナトリウム、ホスフェートエステル、グリコシド、ポリグリコシド、マンニトール、ソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グアーガム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリオキシル40ステアレートおよびポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。【0025】しかしながら、ケトンおよびアルコールのような、芳香環に結合している非立体障害性ヒドロキシル基を有するか、または、メルカプト基、チオエーテル、アセトアミド基もしくはアルデヒド基を有する化合物は通常、過酸化物に適合しえない。微量の安定化過酸化水素と適合しえないと考えられるそのような化合物としては、ノルアドレナリン、アドレナリン、フェニルエフリン塩酸塩、アメトカイン、オキシブプロカイン、プロキシメタカイン、クロモリンナトリウム、ベノキシネート塩酸塩、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン塩酸塩、デキサメタゾン、ジクロロフェナミド、エコチオフェートヨーダイド、エピネフリンビタータレート、フルオロメトロン、グラミシジン、ヒドロコルチゾン、メタゾールアミド、ナタマイシン、プレドニゾロンアセテート、スルファセタミド(N−アセチルスルファニルアミド)、テトラサイクリン塩酸塩およびチモロールマレエートが挙げられる。【0026】また、本発明による安定化過酸化水素溶液中に、1種以上の従来の実質的に不活性で生理学的に許容しうる張度向上剤を存在させることができる。好適なこのような試薬としては、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、リン酸塩、リン酸水素塩およびホウ酸塩が挙げられる。塩化ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウムおよび二塩基性リン酸ナトリウムが好ましい。このような張度向上剤の機能は、眼内に注入される溶液に適度な生理学的張度を与えるか、または、上記記載のような過酸化物含有量の故に眼に接触させる前に希釈が必要な場合には、希釈によってこのような張度を得るのを補助することである。【0027】実質的に等張性にするか、あるいは、その中の過酸化水素の分解もしくは希釈によって、得られる溶液が実質的に等張性、例えば実質的に0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液の張度と同等のものになるように、十分な張度向上剤を溶液中に存在させることが好ましい。一般的な眼溶液の張度は、約260〜300ミリオズモル/Lである。場合によって用いられる更なる成分は、粘度調整剤または粘度向上剤としても知られている、増粘剤である。眼に許容しうるこの範疇において公知のいかなる物質をも用いることもできる。典型的な好適な増粘剤としては、とりわけ、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。増粘剤は、任意の量で、溶液の全体的な粘度が約1000cps、好ましくは100cps以下に上昇するのに十分な量存在させることができる。【0028】一般に、本発明の安定化過酸化水素溶液は、例えば121℃で30分間、オートクレーブ中での加熱滅菌という条件下においても極めて安定であるという特徴を有する。したがって、これらの組成物の貯蔵寿命が向上する。更に、本発明の組成物は、過酸化水素の分解後は生理学的に許容しうるという特徴を有している。【0029】本発明の溶液配合物は、従来のいかなる方法でも製造することができる。例えば、過酸化水素および水以外の全ての成分を、容器中に入れ、新鮮で、好ましくは濃縮されている過酸化水素をそれに混合しながら加えることができる。あるいは、乾燥成分を少量の液体安定剤と調合した後、残りの安定剤、次に過酸化水素および水の大部分を加えることもできる。次に、粘度向上剤、即ち増粘剤を加えるか、あるいは生成した溶液を増粘剤に加えることができる。当業者であれば、本発明の溶液を配合する方法における多数の変更について通じていると思われる。過酸化物活性を「中和」することが望まれる場合には、すすぎ、溶液と白金、カタラーゼ酵素または過酸化水素を分解することが公知な任意の他の物質との接触のような任意の公知の方法で達成される。更なる生理学的に適合性の過酸化物中和剤として、ピルビン酸およびナトリウム塩のようなその好適な塩などの還元剤が挙げられる。【0030】本発明はまた、眼用デバイスの殺菌および保存の分野を超えて適用しうるものであり、処理される物質が組成物の成分によって悪影響を受けない限り、保存溶液が有用であるいずれの場面においても使用し得ることが、強調される。これらの目的では、組成物は眼用デバイスに適合性であることあるいは薬学的に許容しうるものであることは必要ではない。そのようなケースでただ重要な特徴は、溶液が保存剤としての低濃度の過酸化水素または微量の過酸化水素源および安定剤を含有していること、および、pH>8で溶液が安定性を保持していることである。【0031】以下の実施例は、例示の目的のために与えるものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明によって安定化されたペルオキシ溶液の安定性を示すものである。全ての「部」および「%」は、違う意味として示されない限り、全て重量によるものである。【0032】実施例1:指示された濃度で、以下の成分を精製水に溶解することにより、溶液を調製した:カルボキシメチルセルロース、0.25%;塩化マグネシウム六水和物、0.006%;塩化カルシウム脱水物、0.0085%;ホウ酸、0.17%;塩化ナトリウム、0.29%;塩化カリウム、0.097%;重炭酸ナトリウム、0.145%;ホウ酸ナトリウム、0.001%;ナトリウム一塩基性リン酸一水和物、0.0074%;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)〔Dequest(商標)2060〕、60ppm;および過ホウ酸ナトリウム、0.027%。溶液に二酸化炭素ガスを吹き込んで、溶液をpH6.8に調整した。最終溶液の張度は187mOsm/kgであった。この溶液を、25mlの低密度ポリエチレン(LDPE)滴下ボトル中に室温で貯蔵した。過酸化水素の濃度対時間およびpH対時間を下記の表に示す。過酸化水素濃度は、標準のヨウ素滴定法により測定した。【0033】【表2】【0034】表1に示された結果は、明らかに、この組成物において、8より上のpHを有する水溶液中の低レベルの過酸化水素は、少なくとも30ヶ月間良好な安定性を有すること示す。10ppmと等しいかそれ以上であるこの過酸化水素濃度は、保存剤に対するUSP要件に容易に合致した。【0035】実施例2:この実施例は臨床研究の結果を示すものであり、そこでは典型的な眼用液を7.50〜9.42の範囲のpHで調製し、眼での快適さを評価した。この溶液は、「ドライアイ」として知られている状態に苦しむ人々に使用される潤滑溶液の典型である。【0036】CMC(カルボキシメチルセルロース)0.25%、NaCl 0.2934%、KCl 0.0966%、NaHCO3 0.1451%、MgCl2−6H2O 0.0066%、CaCl2−2H2O 0.0085%、NaH2PO4 0.074%、ホウ酸0.1658%、NaBO3 0.0001%を含有するいくつかの水溶液を調製した。希NaOHを添加することにより、各々の溶液のpHを表IIに示す値に調整した。【0037】【表3】【0038】各溶液の液滴を臨床患者の両目に投与し、約5分後に眼における各々の溶液の快適さレベルを患者に口頭で報告してもらい、記録した。結果を表IIIに示す。【0039】【表4】【0040】表IIIのデータは、明らかに、9.4と高いpHを有する眼用液は人間の眼に快適であることを示している。この実施例はまた、眼に直接使用することを目的とする眼用液中に重炭酸ナトリウムのような酸感受性化合物を含むことの有用性を示す点で、意義深い。 保存水溶液であって、(a)約2ppm〜1000ppmの量の過酸化水素を供給するのに十分な量の過酸化水素源、および(b)生じた過酸化水素を安定化するのに十分な量の1種以上の過酸化水素安定剤を含み、かつ(c)前記水溶液が約8.0と10.5の間のpHを有する保存水溶液。 前記水溶液が、8.0と9.5の間のpHを有する、請求項1記載の保存水溶液。 過酸化水素が、2ppm〜100ppmの微量で供給される、請求項1または2記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過ホウ酸ナトリウムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の保存水溶液。 過酸化水素安定剤が、(a)式:(式中、zは0〜3の整数である)で示される化合物およびそれらの水溶性塩、並びに(b)式:(式中、n、m、p、およびqは、各々独立して、0〜4である)で示される化合物およびそれらの水溶性塩からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保存水溶液。 式Iにおいて、zが2であり、C1−4アルキレンの各々がC1またはC2であり、かつ式IIにおいて、n、m、p、およびqの各々が0または1である、請求項6記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択され、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)もしくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、またはそれらの水溶性塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存水溶液。 ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)またはその水溶性塩の量が、0.002重量%〜0.03重量%であり、かつ1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその水溶性塩の前記有効量が、0.005重量%〜0.2重量%である、請求項8記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過ホウ酸ナトリウムであり、かつ過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)である、請求項9記載の保存眼用配合物。 (a)過酸化水素と適合する、有効量の眼用薬剤、(b)2ppm〜1000ppmの量の過酸化水素を供給するのに十分な量の過酸化水素源、および(c)過酸化水素を安定化するのに十分な量の1種以上の過酸化水素安定剤、を含み、約8.0と10.5の間のpHを有する、保存眼用薬配合物。 前記pHが、8.0と9.5の間である、請求項11記載の保存眼用薬配合物。 過酸化水素が、2ppm〜100ppmの量で供給される、請求項11または12記載の保存眼用薬配合物。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択され、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)もしくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、またはそれらの水溶性塩である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の保存眼用薬配合物。 ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)またはその水溶性塩の前記有効量が、0.002重量%〜0.03重量%であり、かつ1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその水溶性塩の前記有効量が、0.005重量%〜0.2重量%である、請求項14記載の保存眼用薬配合物。 前記過酸化水素源が、過ホウ酸ナトリウムであり、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の保存眼用薬配合物。 保存剤として低濃度の過酸化水素を含有する安定化水溶液が提供される。そのような溶液は、キレート安定剤としてある種の生体適合性有機リン化合物を使用することにより、pH>8で有効に安定化される。これらの眼科的に許容しうる組成物は、特に眼用薬剤を使用した、あるいは使用しないアイケア溶液用の緩衝食塩水中で有用である。 20020705 A16330 特許請求の範囲 3 (a)2ppm〜100ppmの量の過酸化水素を供給するのに十分な量の過酸化水素源、および(b)生じた過酸化水素を安定化するのに十分な量の(a)式:(式中、zは0〜3の整数である)で示される化合物およびそれらの水溶性塩、並びに(b)式:(式中、n、m、p、およびqは、各々独立して、0〜4である)で示される化合物およびそれらの水溶性塩からなる群から選択される1種以上の過酸化水素安定剤を含み、かつ(c)前記水溶液が約8.0と10.5の間のpHを有する保存水溶液。 前記水溶液が、8.0と9.5の間のpHを有する、請求項1記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択される、請求項1または2記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過ホウ酸ナトリウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存水溶液。 式Iにおいて、zが2であり、C1−4アルキレンの各々がC1またはC2であり、かつ式IIにおいて、n、m、p、およびqの各々が0または1である、請求項1〜4のいずれか1項記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択され、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)もしくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、またはそれらの水溶性塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保存水溶液。 ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)またはその水溶性塩の量が、0.002重量%〜0.03重量%であり、かつ1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその水溶性塩の前記有効量が、0.005重量%〜0.2重量%である、請求項6記載の保存水溶液。 前記過酸化水素源が、過ホウ酸ナトリウムであり、かつ過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)である、請求項7記載の保存眼用配合物。 (a)過酸化水素と適合する、有効量の眼用薬剤、(b)2ppm〜100ppmの量の過酸化水素を供給するのに十分な量の過酸化水素源、および(c)過酸化水素を安定化するのに十分な量の1種以上の過酸化水素安定剤、を含み、約8.0と10.5の間のpHを有する、保存眼用薬配合物。 前記pHが、8.0と9.5の間である、請求項9記載の保存眼用薬配合物。 前記過酸化水素源が、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、または過酸化尿素からなる群から選択され、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)もしくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、またはそれらの水溶性塩である、請求項9または10に記載の保存眼用薬配合物。 ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)またはその水溶性塩の前記有効量が、0.002重量%〜0.03重量%であり、かつ1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその水溶性塩の前記有効量が、0.005重量%〜0.2重量%である、請求項11記載の保存眼用薬配合物。 前記眼用薬剤が、ヒアルロン酸またはヒアルロン酸ナトリウムである、請求項10〜12のいずれか1項記載の保存眼用薬配合物。 前記過酸化水素源が過ホウ酸ナトリウムであり、かつ前記過酸化水素安定剤が、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の保存眼用薬配合物。


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