タイトル: | 特許公報(B2)_固定化オリゴヌクレオチドを使用する三重らせん形態の精製 |
出願番号: | 2002500703 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C12N 15/09 |
クルゼ,ジヨエル シエルマン,ダニエル ウイル,ピエール ブランシユ,フランシス カムロン,ベアトリス JP 4803945 特許公報(B2) 20110819 2002500703 20010525 固定化オリゴヌクレオチドを使用する三重らせん形態の精製 アバンテイス・フアルマ・エス・アー 500152119 川口 義雄 100062007 渡邉 千尋 100140523 大崎 勝真 100103920 クルゼ,ジヨエル シエルマン,ダニエル ウイル,ピエール ブランシユ,フランシス カムロン,ベアトリス US 09/580,923 20000526 20111026 C12N 15/09 20060101AFI20111006BHJP JPC12N15/00 A CA/REGISTRY(STN) BIOSIS/WPIDS(STN) 特表平10−510427(JP,A) 国際公開第99/049067(WO,A1) Gene Ther.,Vol.4,No.4(1997)p.323-330 Anal.Biochem.,Vol.248,No.1(1997)p.102-110 17 US2001017122 20010525 WO2001092511 20011206 2003534799 20031125 30 20080516 高堀 栄二 【0001】(関連出願についてのクロスリファレンス)本出願は、1995年11月8日提出のPCT仏国出願95/01468の米国国内段階である、1997年6月9日提出の米国出願番号08/860,038の一部継続出願である、2000年3月26日提出の出願番号09/580,923の優先権を主張する。【0002】(発明の背景)本発明は、新規のDNA精製法に関する。本発明の方法は、薬理学的に有効な二本鎖DNAを迅速に精製することができる。より詳細には、本発明の精製法は、DNA配列とオリゴヌクレオチド配列との間の特異的ハイブリッド形成を含む。【0003】遺伝子および細胞治療技術は、現在、著しい発展を遂げている。しかし、これらの技術は、大量の薬学的純度のDNAを産生できなければならない。実際、これらの新規の治療では、薬物はしばしばDNA自体からなり、適切な量を製造し、単離し、ヒトへの治療に適切な様式で精製することができることが不可欠である。【0004】近年、遺伝子治療またはワクチン接種のためにプラスミドDNAを注射できることは、種々の細胞型からDNA発現ベクターを取り出し、その後これらのプラスミドによってコードされる遺伝子を発現させることができることを示した多数の報告によって証明されている(Ledley、1995、Hum.Gene Ther.、6、1129)。【0005】遺伝子治療またはワクチン接種用の目的の遺伝子には、例えば、腫瘍抑制遺伝子、自殺遺伝子、または抗センス配列を含み得る。これらはまた、αフェトプロテインAFP(Morinaga、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80、4604)、酵素、ホルモン、サイトカイン、FGF(Jouanneauら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、2893)またはVEGFB(Olofsson Bら、1996、Proceedings、93、576)などの成長因子、B欠失第VIII因子(Truettら、1985、DNA、4、333)、アポリポプロテイン、神経伝達物質、神経栄養因子、天然もしくはキメラ免疫グロブリンなどのタンパク質をコードすることができる。Escherichia coliのβガラクトシダーゼをコードするlacZなどのレポーター遺伝子も使用することができる。【0006】ヒトで遺伝子送達ベクターとしてプラスミドDNAを使用するための主要な問題は、この製剤のi)製造およびii)純度である。Escherichia coli宿主における高コピー数のプラスミドベクターの産生技術は、最近開発された。現在使用されているプラスミドは、ColE1由来のプラスミド(pBR322、pUC、またはpBluescript(Lahijaniら、1996、Hum.Gene Ther.、7、1971)など)またはpCORプラスミド(Soubrierら、1999、Gene Therapy、6、1482)のいずれかである。【0007】遺伝子治療用ベクターとしてのプラスミドDNAの使用によって生じる第2の懸念は、プラスミドベクター自体の純度である。CsCl勾配による超遠心分離法またはクロマトグラフィーなどの現在の精製法は、宿主のゲノムDNAおよびRNAまたはタンパク質などの汚染物質の除去には非効率的であり得る。特に、化学構造がプラスミドのそれと非常に近い宿主ゲノムDNAは、古典的なクロマトグラフィーを使用しての除去は非常に困難である。0.5%から1%までの典型的な宿主ゲノムDNA濃度が、典型的なクロマトグラフィーによって得られたプラスミド調製物で見出される。したがって、ヒト遺伝子治療用の安全なベクターとしてのプラスミドDNAを開発するために、宿主ゲノムDNA含有量をさらに低レベル、典型的には0.1%または0.01%以下に低下させる精製技術が必要である。【0008】本発明は、簡単で特に有効な新規のDNA精製法を記載する。特に高純度且つ高収率で得ることができる。本発明の方法は、特に、精製すべきDNAに挿入された配列と天然または改変塩基から構成されるオリゴヌクレオチドとの間の特異的相互作用に基づく。【0009】いくつかのオリゴヌクレオチドがDNA二重らせんの大きな溝で特異的に相互作用して三重らせんを局所的に形成し、標的遺伝子の転写を阻害することができることが最近示されている(Helene et Toulme、Biochem.Biophys.Acta、1049、1990、99)。これらのオリゴヌクレオチドは、オリゴプリン−オリゴピリミジン配列(すなわち、一方の鎖にオリゴプリン配列を有し、相補鎖にオリゴピリミジン配列を有する領域)でDNA二重らせんを選択的に認識して、その部位で局所的に三重らせんを形成する。第3の鎖の塩基(オリゴヌクレオチド)は、ワトソン−クリック塩基対のプリンと水素結合(フーグスティーン型または逆フーグスティーン型)を形成する。【0010】プラスミドを単離するためのこの型の相互作用の使用は、先行技術に記載されている。すなわち、Itoら(PNAS、89、1992、495)は、プラスミドの特定の配列を認識してそれと三重らせんを形成することができるビオチン化オリゴヌクレオチドの使用が記載している。次いで、このようにして形成された複合体を、ストレプトアビジンコート磁性ビーズと接触させる。ビオチンとストレプトアビジンとの間の相互作用により、ビーズの磁性分離および溶出によるプラスミドの分離が可能である。しかし、この方法はいくつかの欠点がある。特に、2つの一連の特異的相互作用(第1にオリゴヌクレオチドとプラスミドとの間、第2にビオチン化複合体とストレプトアビジンビーズとの間)が必要である。さらに、最終溶液は、薬学的組成物で使用することができないビオチン化オリゴヌクレオチドで汚染され得る。【0011】(発明の概要)本発明は、この型の相互作用を使用する新規で改善されたDNA精製法を記載する。より詳細には、本発明の方法は、支持体に共有結合したオリゴヌクレオチドを使用する。この方法は特に迅速であり、特に収率および純度が高い。さらに、本方法は、特に他の核酸、タンパク質、内毒素(リポ多糖類など)、ヌクレアーゼなどを含む複合体混合物からDNAを精製することができる。さらに、使用支持体は容易に再利用することができ、得られたDNAは改良された薬学的安全性を示す。最後に、本方法は、先行技術とは対照的に、1工程のみを必要とする。【0012】したがって、本発明の第1の主題は、他の成分と混合したDNAを、前記DNA中に存在する特異的配列とのハイブリッド形成によって三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドに共有結合した支持体を通過させる、二本鎖DNAの精製法にある。特異的配列は、二本鎖DNA中に天然に存在する配列であるか、その後人為的に移入した合成配列であり得る。【0013】本発明で使用されるオリゴヌクレオチドは、二本鎖DNAと直接ハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、以下の塩基を含むことができる:−チミジン(T)(二本鎖DNAのA.Tダブレットとトリプレットを形成することができる)(Rajagopalら、Biochem、28、1989、7859);−アデニン(A)(二本鎖DNAのA.Tダブレットとトリプレットを形成することができる);−グアニン(G)(二本鎖DNAのG.Cダブレットとトリプレットを形成することができる);−プロトン化シトシン(C+)(二本鎖DNAのG.Cダブレットとトリプレットを形成することができる)(Rajagopalら、前出);−ウラシル(U)(A.UまたはA.T塩基対とトリプレットを形成することができる)。【0014】好ましくは、使用されるオリゴヌクレオチドはシトシンリッチのホモピリミジン配列を含み、DNA中の特異的配列はホモプリン−ホモピリミジン配列である。シトシンの存在により、シトシンがプロトン化される酸性pHで安定であり、シトシンが中和される塩基性pHで不安定化する三重らせんを有することができる。【0015】ハイブリッド形成によって三重らせんを形成させるために、オリゴヌクレオチドおよびDNA中の特異的配列が相補的であることが重要である。これに関して、最高の収量および最良の選択性を得るために、完全に相補的なオリゴヌクレオチドおよび特異的配列を本発明の方法で使用する。これらは、特に、オリゴヌクレオチドはポリ(CTT)であり、特異的配列はポリ(GAA)であり得る。例として、配列5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(GAGG(CTT)7;配列番号1)(式中、塩基GAGGは三重らせんを形成しないが、オリゴヌクレオチドを結合アームから離す空間を得ることが得きる)のオリゴヌクレオチドを挙げることができる;配列(CTT)7(配列番号26)もまた挙げることができる。これらのオリゴヌクレオチドは、相補的単位(GAA)を含む特異的配列と三重らせんを形成することができる。問題の配列は、特に、実施例に記載の7、14、または17個のGAA単位を含む領域であり得る。【0016】特に目的とする別の配列は、配列5’−AAGGGAGGGAGGAGAGGAA−3’(配列番号5)である。この配列は、オリゴヌクレオチド5’−AAGGAGAGGAGGGAGGGAA−3’(配列番号6)または5’−TTGGTGTGGTGGGTGGGTT−3’(配列番号7)と三重らせんを形成する。【0017】この場合、オリゴヌクレオチドは逆平行でポリプリン鎖と結合する。これらの三重らせんは、Mg2+の存在下でのみ安定である(Vasquezら、Biochemistry、1995、34、7243〜7251;Beal and Dervan、Science、1991、251、1360〜1363)。【0018】上記のように、特異的配列は、二本鎖DNA中に天然に存在する配列または二本鎖DNA中に人為的に移入された合成配列であり得る。二本鎖DNA(例えば、プラスミドの複製起点またはマーカー遺伝子)中に天然に存在する配列と三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドを使用することが特に有利である。これに関して、出願人は、プラスミド配列分析を行い、これらのDNAのいくつかの領域(特に複製起点)がホモプリン−ホモピリミジン領域を有し得ることを示すことができた。これらの天然のホモプリン−ホモピリミジン領域と三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドの合成により、修飾していないプラスミド、特にpUC、pBR322などの市販の型のプラスミドを本発明の方法に適用することができる。二本鎖DNA中に天然に存在するホモプリン−ホモピリミジン配列のうち、E.coliプラスミドColE1の複製起点に存在する配列5’−CTTCCCGAAGGGAGAAAGG−3’(配列番号2)の全部または一部を含む配列を挙げることができる。この場合、三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドは、配列5’−GAAGGGCTTCCCTCTTTCC−3’(配列番号3)を有し、Beal and Dervan(J.Am.Chem.Soc.、1992、114、4976〜4982)およびJayasena and Johnston(Nucleic Acids Res.、1992、20、5279〜5288)に記載の二重らせんの2つの鎖に交互に結合する。プラスミドpBR322のβラクタマーゼ遺伝子の配列5’−GAAAAAGGAAGAG−3’(配列番号4)(Duval−Valentinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1992、89、504〜508)も挙げることができる。【0019】ColE1およびpCORの複製起点中に特定のオリゴヌクレオチドと三重らせん構造を形成することができる2つのさらなる標的配列が同定されている。ColE1由来のプラスミドは、プラスミド複製に関連するRNA−II転写の上流にマッピングされた12量体のホモプリン配列(AGAAAAAAAGGA)(配列番号27)を含む。この配列は、12量体の相補的TCTTTTTTTCCT(配列番号28)オリゴヌクレオチドと安定なトリプレックス構造を形成する。pCOR骨格は、pCORのγ複製起点のA+Tリッチなセグメント中に存在する14個の非反復塩基(AAGAAAAAAAAGAA)(配列番号29)のホモプリンストレッチを含む(Levchenkoら、1996、Nucleic Acids Res.、24、1936)。この配列は、14量体の相補的オリゴヌクレオチド(TTCTTTTTTTTCTT)(配列番号30)と安定なトリプレックス構造を形成する。対応するオリゴヌクレオチドTCTTTTTTTCCT(配列番号28)およびTTCTTTTTTTTCTT(配列番号30)は、有効且つ特異的にいずれかのColE1oriまたはpCOR(oriγ)の複製起点内に存在する各相補的配列を標的する。実際、1つの非標準的三要素(T*GCまたはC*AT)により、トリプレックス構造を完全に不安定にすることができる。【0020】複製起点またはマーカー遺伝子中に存在する配列と三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドの使用は、同一のオリゴヌクレオチドを使用して複製起点またはマーカー遺伝子を含む任意のDNAを精製可能であるので有利である。したがって、プラスミドまたは二本鎖DNA中に人為的な特異的配列を組み込むためにこれらを改変する必要がない。【0021】完全に相補的な配列が好ましいにもかかわらず、親和性を過剰に損なわない場合、オリゴヌクレオチド配列とDNA中に存在する配列との間にいくつかのミスマッチを許容することができることが理解される。E.coliのβラクタマーゼ遺伝子中に存在する配列5’−AAAAAAGGGAATAAGGG−3’(配列番号8)を挙げることができる。この場合、ポリプリン配列を中断するチミンを、第3の鎖のグアニンによって認識し、それによって2つのT*ATトリプレットに隣接する場合に安定なG*TAトリプレットを形成することができる(Kiesslingら、Biochemistry、1992、31、2829〜2834)。【0022】特定の実施形態によれば、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列(CCT)n、配列(CT)n、または配列(CTT)n(式中、nは1と15との間の整数)を含む。(CT)nまたは(CTT)nの配列型を使用することが特に有利である。実際、出願人は、精製収率はオリゴヌクレオチド中のCの量に影響を受けることを示した。特に、実施例7に示すように、オリゴヌクレオチドがより少数のシトシンを含む場合に精製収率が増大する。本発明のオリゴヌクレオチドもまた、(CCT)、(CT)、または(CTT)単位と組み合わせることができることが理解される。【0023】使用されるオリゴヌクレオチドは、天然(非改変天然塩基から構成される)でも化学修飾されていてもよい。特に、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼに対して耐性を示すかヌクレアーゼから保護することができるか、特異的配列に対する親和性が増加するように一定の化学修飾を有することが有利であり得る。【0024】本発明によれば、オリゴヌクレオチドはまた、ヌクレアーゼ耐性をより強化する目的で骨格の改変を受けたヌクレオシドの任意の結合した連続物を意味すると理解される。可能な改変のうち、DNAと三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドホスホロチオエート(Xodoら、Nucleic Acids Res.、1994、22、3330)ならびにホルムアセタールまたはメチルホスホネート骨格を有するオリゴヌクレオチド(Matteucciら、J.Am.Chem.Soc.、1991、113、7767〜7768)を挙げることができる。DNAと三重らせんを形成するヌクレオチドのαアノマーで合成したオリゴヌクレオチドを使用することも可能である(Le Doanら、Nucleic Acids Res.、1987、15、7749〜7760)。骨格の別の改変は、ホスホロアミデート結合である。例えば、DNAと特に安定な三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドが得られるGryaznov and Chenによって記載されたN3’−P5’ヌクレオチド間ホスホロアミデート結合(J.Am.Chem.Soc.、1994、116、3143〜3144)を挙げることができる。骨格の他の改変のうち、リボヌクレオチド、2’−O−メチルリボース、ホスホジエステル(Sun and Helene、Curr.Opinion Struct.Biol.、116、3143〜3144)などの使用も挙げることができる。最後に、燐ベースの骨格を、PNA(ペプチド核酸)などのポリアミド骨格(Nielsenら、Science、1991、254、1497〜1500;Kimら、J.Am.Chem.Soc.、1993、115、6477〜6481)またはDNG(デオキシリボ核グアニジン(deoxyribonucleic guanidine)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1995、92、6097〜6101)などのグアニジンベースの骨格、または三重らせんも形成するDNAのポリカチオンアナログと置換して三重らせんを形成することもできる。【0025】第3の鎖のチミンもまた、DNAのオリゴヌクレオチド親和性を増大させる5−ブロモウラシルと置換することができる(Povsic and Dervan、J.Am.Chem.Soc.、1989、111、3059〜3061)。第3の鎖はまた、非天然塩基を含むことができ、その塩基のうち、7−デアザ−2’−デオキシキサントシン(Milliganら、Nucleic Acids Res.、1993、21、327〜333)、8−オキソアデニン、2−アミノプリン、2’−O−メチルシュードイソシチジン、または当業者に公知の任意の改変(概要については、Sun and Helene、Curr.Opinion Struct.Biol.、1993、3、345〜356を参照のこと)を挙げることができる。【0026】オリゴヌクレオチドの別の改変型は、より詳細には、オリゴヌクレオチドと特異的配列との間の相互作用および/または親和性の改良を目的とする。特に、本発明のほとんどの有利な改変は、オリゴヌクレオチドのシトシンのメチル化からなる(実施例5を参照のこと)。したがって、このようにしてメチル化されたオリゴヌクレオチドは、中性に近いpH範囲(>5)で特異的配列と三重らせんを形成する注目すべき性質を示す。したがって、先行技術よりも高いpH値(すなわち、プラスミドDNAの分解リスクがより低くなるpH値)で作用可能である。【0027】本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドの長さは、少なくとも3塩基、好ましくは5と30との間である。10塩基より長いオリゴヌクレオチドを使用することが有利である。当業者はそれぞれの場合によって相互作用の所望の選択性および安定性を適切にするような長さを適用することができる。【0028】本発明のオリゴヌクレオチドは、任意の公知の技術によって合成することができる。特に、これらを、核酸合成手段によって調製することができる。当業者に公知の任意の他の方法を、使用することができることが極めて明白である。【0029】オリゴヌクレオチドを支持体に共有結合させるために、一般に、オリゴヌクレオチドを官能化する。したがって、これの5’または3’の位置をチオール、アミン、またはカルボキシル末端基で改変することができる。特に、チオール、アミン、またはカルボキシル基の付加により、例えば、オリゴヌクレオチドをジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボキシル、エステル、エポキシド、臭化シアン、またはアルデヒド官能基を有する支持体に結合可能である。オリゴヌクレオチドと支持体との間のジスルフィド、チオエーテル、エステル、アミド、またはアミン結合の確立により、これらの結合が形成される。当業者に公知の任意の他の方法(例えば、二官能化結合試薬など)を使用することができる。【0030】さらに、結合オリゴヌクレオチドとのハイブリッド形成を改良するために、オリゴヌクレオチドは、塩基に「アーム」および「スペーサー」配列を含むことが有利であり得る。アームの使用により、実際に、支持体からの選択距離でオリゴヌクレオチドと結合することが可能であり、DNAとの相互作用条件を改良することができる。アームは、1から18個、好ましくは6から12個の(CH2)基を含む直鎖炭素鎖およびカラムに結合するアミンからなることが有利である。アームは、オリゴヌクレオチドまたはハイブリッド形成を干渉しない塩基から構成される「スペーサー」のリン酸塩に結合している。したがって、「スペーサー」は、プリン塩基を含むことができる。例として、「スペーサー」は、配列GAGGを含むことができる。アームは、6から12個の炭素原子を含む直鎖炭素鎖から構成されることが有利である。【0031】本発明の実施のために、異なる型の支持体を使用することができる。これらは、バルクまたはカラムにプレパックされた官能化クロマトグラフィー支持体、官能化プラスチック表面、または官能化ラテックスビーズ、磁性ビーズなどであり得る。クロマトグラフィー支持体を使用することが好ましい。例として、使用することができるクロマトグラフィー支持体は、アガロース、アクリルアミド、またはデキストランおよびその誘導体(セファデックス、セファロース、スーパーロースなど)、ポリマー(ポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)など)またはグラフト化シリカもしくは非グラフト化シリカである。クロマトグラフィーカラムは、拡散または灌流モードで操作することができる。【0032】より良好な精製収率を得るために、プラスミドにオリゴヌクレオチドとのいくつかのハイブリッド形成位置を含む配列を使用することが特に有利である。いくつかのハイブリッド形成部位の存在により、実際に、前記配列とオリゴヌクレオチドとの間の相互作用が促進され、精製収率が改良される。したがって、(CCT)、(CT)、または(CTT)モチーフのn回反復を含むオリゴヌクレオチドについて、少なくともn個の相補的モチーフ、好ましくはn+1個の相補的モチーフを含むDNA配列を使用することが好ましい。したがって、n+1個の相補モチーフを有する配列により、オリゴヌクレオチドとの2つのハイブリッド形成部位が得られる。有利には、DNA配列は、11個のハイブリッド形成部位(すなわち、n+10個の相補モチーフ)を含む。【0033】本発明の方法を使用して、任意の型の二本鎖DNAを精製することができる二本鎖DNAの例は、一般に治療に重要な1つまたは複数の遺伝子を含むプラスミドなどの環状DNAである。このプラスミドはまた、複製起点、マーカー遺伝子などを有し得る。本発明の方法を、細胞溶解物に直接適用することができる。この実施形態では、形質転換での増幅後に細胞培養したプラスミドを、細胞溶解後に直接精製する。本発明の方法を、透明溶解物(すなわち、細胞溶解物の中和および遠心分離後に得られた上清)に適用することもできる。公知の方法で精製された溶液にも適用可能であることが極めて明白である。本方法はまた、重要な配列を有する線状または環状DNAを異なる配列のDNAを含む混合物から精製可能である。本発明の方法を、二本鎖DNAの精製に使用することもできる。【0034】細胞溶解物は、原核細胞または真核細胞の溶解物であり得る。【0035】原核細胞に関しては、例として細菌E.coli、B.subtilis、S.typhimurium、またはStrepomycesを挙げることができる。真核細胞に関しては、動物細胞、酵母、真菌などを挙げることができ、より詳細には、KluyveromycesまたはSaccharomyces酵母またはCOS、CHO、C127、NIH3T3などである。【0036】本発明の方法は、非常に高い純度のプラスミドDNAを迅速且つ簡単に得ることができるので特に有利である。特に、実施例に例示のように、本方法は、目的のプラスミドDNAを、断片化DNA、内毒素、タンパク質、ヌクレアーゼなどの汚染成分から有効に分離することができる。より詳細には、本発明の方法は、染色体DNA含量が0.5%以下の二本鎖DNA(特に、プラスミド起源の二本鎖DNA)を調製することができる。さらにより好ましくは、得られたDNA調製物の染色体DNA含有率は、0.2%以下である。したがって、本発明は、薬学的に(特に、遺伝子治療または細胞治療)使用することができるプラスミドDNAを含む組成物を記載する。これに関して、本発明の主題はまた、上記の方法によって調製した二本鎖DNA(直鎖またはプラスミド起源)を含む薬学的組成物である。【0037】本発明はまた、0.5%以下、好ましくは0.2%以下、さらにより好ましくは0.1%以下、さらにより好ましくは0.01%以下の染色体DNA含有率のプラスミドDNAに関する。以下に例示のように、トリプレックス親和性相互作用工程を、古典的なクロマトグラフィー工程後の精製プロセスに組み込んだ。この親和性工程は、どのような出発純度でもプラスミド調製物の純度を有意に改良する。オリゴヌクレオチド(クロマトグラフィー支持体に共有結合している)と精製すべき目的のプラスミドとの間のトリプレックス構造の形成は、オリゴヌクレオチドとトリプレックス構造を形成することができる配列のプラスミド上の存在に依存する。このトリプレックス構造は、オリゴヌクレオチドがプロトン化される酸性pHでのみ安定である。次いで、プラスミドDNAは、pHを中性に上昇させることによってカラムから簡単に溶出される。【0038】組成物は、「裸の」、またはリポソーム、ナノ粒子、カチオニックリピド、ポリマー、組換えウイルス、もしくはタンパク質などの輸送担体と組み合わせたプラスミドDNAを含むことができる。【0039】1つの実施形態では、本発明の方法を使用して、異なる型および配列の2つまたはそれ以上の二本鎖DNAを含む混合物から1つの型の二本鎖DNAを精製することができる。この方法を細胞溶解物に直接適用して、細胞培養によって増幅させた二本鎖DNAを培養細胞溶解後に精製することができる。この方法を、透明溶解物(すなわち、細胞溶解物の中和および遠心分離後に得られる上清)に適用することもできる。本方法を、予備精製溶液にさらに適用することができる。【0040】より詳細には、第1および第2の二本鎖DNAを含む溶液から第1の二本鎖DNAを精製する方法であって、(i)前記溶液を特異的配列とのハイブリッド形成によって前記第2の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第1の支持体に通過させる工程と、(ii)前記第1の支持体を通過させた、非結合の第1の二本鎖DNAが豊富な溶液を回収する工程と、(iii)前記回収溶液を前記第1の二本鎖DNAの特異的配列とのハイブリッド形成によって三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第2の支持体に通過させる工程とを含む方法である。場合によって洗浄後、第1の二本鎖DNAを、第2の支持体から溶出することができる。この二重精製法を使用して、第1の二本鎖DNAを、いかなる検出レベルの第2の二本鎖DNAを含むことなく第2の支持体から回収することができる。【0041】本発明の特定の実施形態では、第1の二本鎖DNA分子は、配列5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)を有するオリゴヌクレオチドと安定なトリプレックス構造を形成する特異的配列5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’(配列番号29)を有するpCORプラスミドである。第2の二本鎖DNA分子は、配列5’−TCTTTTTTTCCT−3’(配列番号28)を有するオリゴヌクレオチドと安定なトリプレックス構造を形成する特異的配列5’−AGAAAAAAAGGA−3’(配列番号27)を有するColE1由来のプラスミドである。したがって、pCORプラスミドを、本発明の二重精製法の使用によってColE1由来のプラスミドなどの他のプラスミドを含む溶液から精製することが有利である。【0042】本出願は、以下の実施例によってより詳細に記載されているが、これらは本発明の例示を目的とし、限定を目的としない。【0043】(詳細な説明)一般的なクローニング技術および分子生物学制限酵素を使用した消化、ゲル電気泳動、E.coliでの形質転換、拡散沈殿などの伝統的分子生物学法は、文献(Maniatisら、T.,E.FFritsch,and J.Sambrook、1989、「分子クローニング:実験マニュアル」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York;Ausubel F.M., R.Brent, R.E.Kinston, D.D.Moore, J.A.Smith, J.G.Seidman,and K.Struhl、1987、「現代の分子生物学プロトコール」、1987〜1988、John Willey and Sons、New York)に記載されている。核酸配列を、既に公開されたプロトコール(Ausubelら、1987)による鎖終端法によって同定した。【0044】制限酵素は、New England Biolabs、Beverly、MA(Biolabs)から得た。【0045】ライゲーションを行うために、DNAフラグメントを、ファージT4DNAリガーゼ(Biolabs)の存在下で、50mM Tris−HCl(pH7.4)、10mM MgCl2、10mM DTT、2mM ATPを含む緩衝液中でインキュベートする。【0046】製造者の説明書にしたがってBiosearch8600自動DNA合成機を使用したシアノエチル基によるβ部位で保護したホスホアミダイトを使用したホスホアミダイト化学(Sinha,N.D., J.Biernat, J.McManus and H.Koster、1984、「ポリマー支持体オリゴヌクレオチド合成XVIII:最終生成物の脱保護および単離を簡単にするDNAフラグメント合成のためのデオキシヌクレオシドのβ−シアノエチル−N,N−ジアルキルアミノ−/N−モルフォリノホスホアミダイトの使用」、Nucl.Acids Res.、12、4593〜4557:Giles,J.W.、1985、「自動化DNA合成の進歩」、Am.Biotechnol.、Nov./Dec.)を使用して、オリゴヌクレオチドを合成する。【0047】形質転換効率について試験すべきライゲーションDNAまたはDNAを使用して、以下の株を適切に形質転換する:E.coli DH5α(F/endA1,hsdR17、supE44、thi−1、recA1、gyrA96、relA1、Δ(lacZYA−arqF)U169,deoR、Φ80dlac(lacZΔM15))(任意のColE1プラスミド用);またはE.coliXAC−pir(任意のpCor由来のプラスミド用)。【0048】プラスミドDNAのミニ調製物を、Kleinら、1980のプロトコールにしたがって作製する。【0049】E.coli株の増殖にLB培養培地を使用する(Maniatisら、1982)。株を、37℃でインキュベートする。細菌を、適切な抗生物質を補足したLB培地のディッシュ上にプレートする。【0050】実施例11.1.カラムの調製装置使用カラムは、ペリスタリックポンプ(出力<1ml/分)に接続したNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、Pharmacia)で活性化した1ml HiTrapカラムである。使用する特異的オリゴヌクレオチドは5’末端にNH2基を有し、その配列は以下である:5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(配列番号1)。本実施例で使用する緩衝液は、以下である:結合緩衝液:0.2M NaHCO3、0.5M NaCl(pH8.3)緩衝液A:0.5Mエタノールアミン、0.5M NaCl(pH8.3)緩衝液B:0.1M酢酸、0.5M NaCl(pH4)。【0051】方法:カラムを6mlの1mM HClで洗浄し、結合緩衝液中で希釈したオリゴヌクレオチド(1ml中50nmol)をカラムに供し、室温で30分間放置する。カラムを6mlの緩衝液A、その後6mlの緩衝液Bで連続して3回洗浄する。したがって、オリゴヌクレオチドはCONH結合によりカラムに共有結合する。カラムを0.1%NaN3のPBS溶液にて4℃で保存し、少なくとも4回使用することができる。【0052】1.2.プラスミドの構築以下の2つのオリゴヌクレオチドを合成した。【0053】オリゴヌクレオチド4817:5’−GATCCGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGG−3’(配列番号9)オリゴヌクレオチド4818:5’−AATTCCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCG−3’(配列番号10)ハイブリッド形成してプラスミドにクローン化する場合、これらのオリゴヌクレオチドを上記の対応するプラスミドにホモプリン−ホモピリミジン配列(GAA)17(配列番号33)を移入する。【0054】これら2つのハイブリッド形成オリゴヌクレオチドに対応する配列を、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System、La Jolla、CA)のマルチクローニング部位にクローン化した。このために、オリゴヌクレオチドを以下の様式でハイブリッド形成した:1μgのこれら2つのオリゴヌクレオチドを50mM Tris−HCl(pH7.4)、10mM MgCl2を含む40mlの最終緩衝液に共に入れた。この混合物を95℃に加熱し、ゆっくりと温度が低下するように室温に置いた。10ngのハイブリッド形成オリゴヌクレオチド混合物を、最終的に30μlのBamHIおよびEcoRIで消化した200ngのプラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System、La Jolla、CA)でライゲートした。ライゲーション後、アリコートをDH5aに形質転換した。形質転換混合物を、アンピシリン(50mg/l)およびX−gal(20mg/l)を補足したL培地にプレートした。組換えクローンは、E.coliのβガラクトシダーゼのフラグメントωがα相補性を示す親プラスミド(pBKS+)と対照的にこの培地上の青色を脱色する。6クローンからのプラスミドDNAの微量調製後、これらは全てpBKS+のEcoRIとBamHI部位との間に存在するPstI部位が消滅し、マルチクローニング部位を含む448dbpのPvuIIバンドの分子量が増加した。1つのクローンを選択し、対応するプラスミドをpXL2563と名づけた。クローン化配列を、プラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System、La Jolla、CA)についてプライマー−20(5’−TGACCGGCAGCAAAATG−3’(配列番号11))(Viera J.and J.Medssing、1982、「pUCプラスミド:挿入変異誘発および合成普遍プライマーを使用した配列決定用のM13mp7由来の系」、Gene、19、259〜268)を使用した配列決定によって確認した。プラスミドpXL2563を、供給者の説明にしたがってWizard Megaprepキット(Promega Corp.、Madison、WI)により精製した。このプラスミドDNA調製物を、その後下記の実施例で使用した。【0055】1.3.プラスミド精製装置:プラスミドpXL2563(1.2に記載)を、プラスミドpBKS+も含む溶液から1.1.に記載のオリゴヌクレオチドに結合したHiTrapカラムで精製した。この精製で使用した緩衝液は以下である:緩衝液F:2M NaCl、0.2M酢酸(pH4.5)緩衝液E:1M Tris−HCl(pH9)、0.5mM EDTA。【0056】方法:カラムを6mlの緩衝液Fで洗浄し、プラスミド(20μgのpXL2563および20μgのpBKS+の400μl緩衝液F溶液)をカラムに供し、室温で2時間インキュベートした。カラムを10mlの緩衝液Fで洗浄し、その後乾燥液Fで溶出する。1時間の1%アガロースゲルでの電気泳動および臭化エチジウム染色後にプラスミドが検出される。溶液中のプラスミドの割合を、E.coliに対するその形質転換活性の測定によって評価する。【0057】結果:30%のpXL2563および70%のpBKS+を含む混合物から開始して、100%のpXL2563を含む溶液をカラム溶出口で回収する。260nmおよび280nmでのOD比によって評価した純度は1.9から2.5に上昇し、この方法により汚染タンパク質が除去されたことを示す。【0058】実施例22.1.−本実施例は、プラスミドDNA精製実験を示す。カラムへのオリゴヌクレオチド(5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(配列番号1))の結合を、実施例1に記載のように行う。結合のために、オリゴヌクレオチドを5’末端で6個の炭素原子を含むアームによってスペーサーのリン酸に結合したアミン基で改変する(改変オリゴヌクレオチド、Eurogentec SA、Belgium)。プラスミドpXL2563を、供給者の説明にしたがってWizard Megaprepキット(Promega Corp.、Madison、WI)により精製した。本実施例で使用した緩衝液は以下である:緩衝液F:0から2M NaCl、0.2M酢酸(pH4.5から5)緩衝液E:1M Tris−HCl(pH9)、0.5mM EDTA。【0059】カラムを6mlの緩衝液Fで洗浄し、その後400μlの緩衝液Fで希釈した100μgのプラスミドpXL2563をカラムに供し、室温で2時間インキュベートする。カラムを100mlの緩衝液Fで洗浄し、緩衝液Eを使用して溶出する。プラスミドを、260nmでの光学密度の測定によって定量する。【0060】本実施例では、NaClのモル濃度が0から2Mに変化する緩衝液(緩衝液F)中で結合させる。NaClのモル濃度が減少した場合、精製収率は減少する。結合緩衝液のpHは、4.5から5に変化し得るが、精製収率は4.5でより高くなる。塩基性pHの別の溶出緩衝液を使用することができる:したがって、50mMホウ酸(pH9)、0.5mM EDTAを含む緩衝液を使用して溶出液を使用した。【0061】2.2.−オリゴヌクレオチドの結合カラムへの(5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(配列番号1))の結合を実施例1に記載のように行う。プラスミドpXL2563を、供給者の説明にしたがってWizard Megaprepキット(Promega Corp.、Madison、WI)を使用して精製した。本実施例で使用した緩衝液は以下である:緩衝液F:0.1M NaCl、0.2M酢酸(pH5)緩衝液E:1M Tris−HCl(pH9)、0.5mM EDTA。【0062】カラムを6mlの緩衝液Fで洗浄し、その後400μlの緩衝液Fで希釈した100μgのプラスミドpXL2563をカラムに供し、室温で1時間インキュベートする。カラムを10mlの緩衝液Fで洗浄し、緩衝液Eを使用して溶出する。オリゴヌクレオチドカラムの通過前後のプラスミドサンプル中に存在するゲノムまたは染色体E.coli DNAの含有量を測定する。このゲノムDNAを、E.coli galK遺伝子中のプライマーを使用したPCRによって定量する。以下のプロトコールに従い、これらのプライマーの配列は、Debouckら(Nucleid Acid Res.、1985、13、1841から1853)に記載されている(5’−CCGAATTCTGGGGACCAAAGCAGTTTC−3’(配列番号24)および5’−CCAAGCTTCACTGTTCACGACGGGTGT−3’(配列番号25))。反応溶液は、25μlのPCR緩衝液(Promega France、Charbonnieres)中に25μlのPCR緩衝液(Promega France、Charbonnieres):1.5mM MgCl2;0.2mM dXTP(Pharmacia、Orsay);0.5μMプライマー;20U/ml Taqポリメラーゼ(Promega)を含む。以下の順序で反応を行う:−95℃で5分間−95℃で10秒間、60℃で30秒間、78℃で1分間を30サイクル、−78℃で10分間。【0063】124塩基対長の増幅DNAフラグメントを、SybrGreen(Molecular Probes、Eugene、USA)の存在下での3%アガロースゲルでの電気泳動によって分離し、E.coliB株(Sigma、refD4889)由来のUltrapurDNAシリーズとの基準化によって定量する。【0064】カラムに供したサンプル中に1%の染色体DNAが存在し、オリゴヌクレオチドカラムで精製されたサンプル中に0.2%存在する。【0065】実施例3.透明溶解物での実験本実施例は、いわゆる「ミニプレップ」スケールでの細菌培養物の透明溶解物からのプラスミドDNA精製を記載する:プラスミドpXL2563を含むDH5α株の1.5mlの一晩培養物を遠心分離し、ペレットを100μlの50mMグルコース、25mM Tris−HCl(pH8)、10mM EDTA中に再懸濁する。200μlの0.2M NaOH、1%SDSを添加し、チューブを反転して混合し、150μlの3M酢酸カリウム(pH5)を添加し、チューブを反転して混合する。遠心分離後、上清を回収し、実施例1のようにして得たオリゴヌクレオチドカラムにロードする。結合、洗浄、および溶出は、実施例1と同一である。1.5mlの培養物から約1μgのプラスミドが回収される。獲得したプラスミドにアガロースゲル電気泳動および臭化エチジウム染色を行うと、「スーパーコイル」環状DNAの1本のバンドの形態をとっている。本方法で精製したプラスミドからは微量の高分子量(染色体)DNAまたはRNAも検出不可能である。260nmと280nmとの光学密度の比は、2を超える。【0066】実施例44.1:本実施例は、プラスミドpXL2563を含むDH5α株の20mlの細菌培養から出発する、実施例3と同一の条件下で行ったプラスミドDNA精製実験を記載する。細胞ペレットを、1.5mlの50mMグルコース、25mMTris−HCl(pH8)、10mM EDTA中にとる。2mlの0.2M NaOH、1%SDSで溶解し、1.5mlの3M酢酸カリウム(pH5)で中和する。次いで、DNAを2mlの2−プロパノールで沈殿させ、ペレットを0.5mlの0.2M酢酸ナトリウム(pH5)、0.1M NaClにとり、実施例1の方法で得たオリゴヌクレオチドカラムにロードする。洗浄緩衝液のNaClのモル濃度が0.1Mであること以外は実施例1に記載のように、結合、カラムの洗浄、および溶出を行う。約16μgのプラスミドが得られる。獲得したプラスミドにアガロースゲル電気泳動および臭化エチジウム染色を行うと、「スーパーコイル」環状DNAの1本のバンドの形態をとっている。精製したプラスミドからは微量の高分子量(染色体)DNAまたはRNAも検出不可能である。制限酵素でのプラスミド消化により、推定分子量が3キロベースの1本のバンドが得られる。サンプル中のタンパク質濃度は、透明溶解物中の125μg/mlから精製プラスミド中の1μg/mlに減少する(Micro−BCAアッセイ、Pierce)。LALアッセイ(Biosepra)によって評価した内毒素濃度を、精製プラスミド中の出発透明溶解物に関する10を超える因子で割る。【0067】4.2:使用プラスミドは、サイトメガロウイルスプロモーター、ルシフェラーゼをコードする遺伝子、およびプラスミドpXL2563起源のホモプリン−ホモピリミジン配列(GAA)17(配列番号33)を含むカセットを含む。このプラスミドを含む株DH1(Maniatisら、1989)を、7リットルの発酵槽中で培養する。透明溶解物を、200グラムの細胞から調製する:細胞ペレットを2リットルの25mM Tris(pH6.8)、50mMグルコース、10mM EDTA中にとり、これに2リットルの0.2MNaOH、1%SDSを添加する。溶解物を1リットルの3M酢酸カリウムの添加によって中和する。濾過透析後、4mlのこの溶解物を、実施例1.1に記載の方法に従って配列5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(配列番号1)のオリゴヌクレオチドに結合した5ml HiTrap−NHSカラムに供する。洗浄および溶出を実施例1に記載のように行う。約400μgのプラスミドが回収される。実施例2.2に記載の技術によって測定したこのサンプル中のゲノムDNAレベルは、0.1%である。【0068】実施例5:改変オリゴヌクレオチドの使用本実施例は、メチル化シトシンを有するオリゴヌクレオチドの使用を記載する。使用したオリゴヌクレオチド配列は以下である:5’−GAGGMeCTTMeCTTMeCTTMeCTTMeCTTMeCTTMeCTT−3’(配列番号12)。【0069】本オリゴヌクレオチドは、5’末端にNH2基を有する。MeC=5−メチルシトシン。本オリゴヌクレオチドより、実施例1の条件下にてpH5の結合緩衝液を用いて(これによりプラスミドの分解リスクが軽減される)プラスミドpXL2563を精製することができる。【0070】実施例6上記の実施例では、使用オリゴヌクレオチドの5’末端を6個の炭素原子を含むアームを介したリン酸塩に結合したアミン基(NH2−(CH2)6)で改変する。本実施例では、アミン基を12個の炭素原子を含むアームを介した5’末端のリン酸塩に結合させる(NH2−(CH2)12)。実施例2に記載のように、緩衝液F(2M NaCl、0.2M酢酸(pH4.5))を使用して、オリゴヌクレオチドの結合およびカラムへの通過を行う。本ヌクレオチドによりより高い精製収率を得ることが可能であり(収率53%)、6個の炭素原子を含むオリゴヌクレオチドを使用するとこの収率は上何時の条件下で45%台である。【0071】実施例7実施例1.2に記載のクローニングストラテジーの後、ホモプリン−ホモピリミジン配列を有する以下の別の2つのプラスミドを構築した:配列(GGA)16(配列番号34)を含むプラスミドpXL2725および配列(GA)25(配列番号35)を含むプラスミドpXL2726。【0072】実施例7.1:プラスミドの構築プラスミドpXL2725およびpXL2726(プラスミドpXL2563のアナログ)を、以下のオリゴヌクレオチド対を使用し、実施例1.2に記載のクローニングストラテジーにしたがって構築した。【0073】5986:5’−GATCC(GA)25GGG−3’(配列番号13)5987:5’−AATTCCC(TC)25G−3’(配列番号14)5981:5’−GATCC(GGA)17GG−3’(配列番号15)5982:5’−AATT(CCT)17CCG−3’(配列番号16)オリゴヌクレオチド対5986および5987を使用して、pBKS+(Stratagene Cloning System、La Jolla、CA)のBamHIおよびEcoRI部位でのオリゴヌクレオチドクローニングによりプラスミドpXL2726を構築し、オリゴヌクレオチド5981および5982をプラスミドpXL2725の構築に使用した。プラスミドpXL2563構築と同一の実験条件を使用したが、オリゴヌクレオチド対のみ変更した。同様に、クローン化配列を、プラスミドの配列決定によって評価した。これにより、プラスミドpXL2725は予想される配列に関して改変されていると認めることができる:配列GGAの繰り返しが17回である代わりに、GGA(GGA)15(配列番号17)が存在する。【0074】実施例7.2:カラムの調製および精製これらのホモプリン配列と三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドを、実施例1.1に記載の技術にしたがってHiTrapカラムに結合させた。配列5’−ATGCCTCCTCCTCCTCCTCCTCCT−3’(配列番号18)のオリゴヌクレオチドをプラスミドpXL2725の精製に使用し、配列5’−AGTGCTCTCTCTCTCTCTCTCTCTCT−3’(配列番号19)のオリゴヌクレオチドをプラスミドpXL2726の精製に使用した。【0075】これにより得られた2つのカラムにより、以下の緩衝液を使用し、実施例2に記載の技術にしたがって対応するプラスミドを精製することができた。【0076】緩衝液F:2M NaCl、0.2M酢酸(pH4.5)緩衝液E:1M Tris−HCl(pH9)、0.5mM EDTA得られた収率は、pXL2725およびpXL2726でそれぞれ23%および31%である。【0077】実施例8本実施例は、精製収率に対するプラスミド中に存在する特異的配列の長さの影響を例示する。【0078】実施例8.1:プラスミドの構築本発明の組成物の活性を同定するためにこれらの実施例で使用するレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼをコードする遺伝子(Luc)である。【0079】プラスミドpXL2621は、制限酵素MluIおよびHindIIIでの切断によってpcDNA3(Invitrogen Corp.、San Diego、CA)から抽出した661bpのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、MluIおよびHindIII部位でベクターpGL基本ベクター(Promega Corp.、Madison、WI)にルシフェラーゼをコードする遺伝子のクローン化した上流を含むカセットを含む。本プラスミドを、分子生物学の標準的技術を使用して構築した。【0080】プラスミドpXL2727−1およびpXL2727−2を、以下の様式で構築した。【0081】2μgのプラスミドpXL2621を、BamHIで線状化した;酵素を65℃で10分間の処理で不活化した;同時にオリゴヌクレオチド6006および6008をプラスミドpXL2563の構築で記載のようにハイブリッド形成させた。【0082】6006:5’−GATCT(GAA)17CTGCAGATCT−3’(配列番号20)6008:5’−GATCAGATCTGCAG(TTC)17A−3’(配列番号21)【0083】このハイブリッド形成混合物を、プラスミドのpXL2621のBamHI末端でクローン化し、DH5αへの形質転換後、オリゴヌクレオチドにPstI部位が移入されているので組換えクローンをPstI酵素制限分析によって同定した。2つのクローンを選択し、クローン化フラグメントのヌクレオチド配列を、配列決定反応プライマーとしてプライマー(6282、5’−ACAGTCATAAGTGCGGCGACG−3’(配列番号22))を使用して確認した(Viera J.and J.Medssing、1982、「pUCプラスミド:挿入変異誘発および合成普遍プライマーを使用した配列決定用のM13mp7由来の系」、Gene、19、259〜268)。【0084】第1のクローン(pXL2727−1)は、GAA10回繰り返し配列を含む。第2のクローン(pXL2727−2)は、配列5’−GAAGAAGAG(GAA)7GGAAGAGAA−3’(配列番号23)を含む。【0085】実施例8.2:カラムの調製および精製カラム(実施例1に記載のカラムおよびオリゴヌクレオチド5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(配列番号1)に結合したカラムなど)を使用する。【0086】プラスミドpXL2727−1は、配列GAAの14回反復を含む。したがって、対応するヒアブリッド形成配列CTTを7回だけ反復する上記のオリゴヌクレオチドは、8つの異なる部位でプラスミドとハイブリッド結合することができる。それに対して、プラスミドpXL2727−2は、カラムに結合したオリゴヌクレオチドと同一の長さのハイブリッド形成配列(GAA)7(配列番号7)を有する。したがって、このオリゴヌクレオチドは、pXL2727−2上のたった1つの部位でハイブリッド形成することができる。【0087】実験は、以下の緩衝液を使用し、実施例2と同一である。【0088】緩衝液F:2M NaCl、0.2M酢酸(pH4.5)緩衝液E:1M Tris−HCl(pH9)、0.5mM EDTA精製収率は、プラスミドpXL2727−1で29%、pXL2727−2で19%である。【0089】実施例8.3:哺乳動物細胞のインビトロトランスフェクション使用細胞は、実験の前日に50,000細胞/ウェルを基本として24ウェル培養プレートに接種したNIH3T3細胞である。プラスミドを、150mM NaCl中に希釈し、リポフェクタントRPR115335と混合する。リポフェクタント正電荷/DNA負電荷比6を使用する。混合物をボルテックスし、室温で10分間静置し、ウシ胎児血清を含まない培地中で希釈し、1μgDNA/培養ウェルの比率で細胞に添加する。37℃で2時間後、10%体積/体積のウシ胎児血清を添加し、細胞を5%CO2の存在下、37℃で48時間インキュベートする。細胞をPBSで2回洗浄し、記載のプロトコール(Promegaキット、Promega Corp.、Madison、WI)にしたがって、LumatLB9501照度計(EG and G Berthold、Evry)にて測定する。実施例8.2に記載のように精製したプラスミドpXL2727−1のトランスフェクション収率は、Wizard Megaprepキット(Promega Corp.、Madison、WI)を使用して精製した同一のプラスミドを使用して得た収率の2倍である。【0090】実施例9:pCOR由来プラスミドの精製以下の実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィーを使用したpCOR由来プラスミドの精製を示す。この技術は、従来のクロマトグラフィー法で達成されなかったレベルまで核酸汚染物質(特に、宿主のゲノムDNAおよびRNA)を取り除くことが認められた。【0091】トリプレックス親和性ゲルを、クロマトグラフィーマトリクスとしてSephacryl S−1000SF(Amersham−Pharmacia Biotech)を使用して合成した。Sephacryl S−1000を、最初にm−過ヨウ素酸ナトリウムの0.2M酢酸ナトリウム溶液(pH4.7)(3mM、室温、1時間)で活性化した。次いで、オリゴヌクレオチドを、タンパク質の結合について以前に記載のように(Hornseyら、J.Immunol.Methods、1986、93、83〜88)、その5’−NH2末端部分を介して活性化マトリクスのアルデヒド基に結合させた。これらの実験に使用したホモピリミジンオリゴヌクレオチド(Eurogentec、HPLC精製)は、pCORプラスミドの複製起点(oriγ)中に存在する短い14量体のホモプリン配列(5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’(配列番号29))に相補的な配列を有していた(Soubrierら、Gene Therapy、1999、6、1482〜1488)。上記で考察するように、ホモピリミジンオリゴヌクレオチド配列は、5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)である。【0092】以下のプラスミドをクロマトグラフ分析を行った:pXL3296(導入遺伝子を含まないpCOR、2.0kpb)、pXL3179(pCOR−FGF、2.4kpb)、pXL3579(pCOR−VEGFB、2.5kbp)、pXL3678(pCOR−AFP、3.7kbp)、pXL3227(pCOR−lacZ5.4kbp)およびpXL3397(pCOR−B欠失FVIII、6.6kbp)。これら全てのプラスミドを、2つの陰イオン交換クロマトグラフィー工程によって実施例4に記載のようにして得た透明溶解物から精製した。CsClでの超遠心分離法によって精製したプラスミドpBKS+(StratageneのpBluescriptIIKS+)(ColE1由来のプラスミド)も研究した。使用した全てのプラスミドのトポロジー状態はスーパーコイル(>95%)であった。【0093】各プラスミドDNA精製実験では、300μgのプラスミドDNAの6mlの2M NaCl、0.2M酢酸カリウム(pH5.0)溶液を、上記のオリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)を含む親和性カラムに流速30cm/時でロードした。5体積の同一の緩衝液でのカラム洗浄後、結合したプラスミドを、1M Tris/HCl、0.5mM EDTA(pH9.0)で溶出し、UV(260nm)で定量し、Millipore Gen−Pakカラムでのイオン交換クロマトグラフィーを行った(Marquetら、BioPharm、1995、8、26〜37)。回収した画分中のプラスミド回収率は、pXL3296で207μg、pXL3179で196μg、pXL3579で192μg、pXL3678で139μg、pXL3227で97μg、およびpXL3397で79μgであった。【0094】pBKSをこのカラムでクロマトグラフ分析した場合、プラスミド結合は検出不可能であった。これは、オリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)によりpCOR(oriγ)中に存在する相補的14量体配列5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’(配列番号29)と安定なトリプレックス構造が得られるが、pBKS中に存在するより密接に関連する配列では得られないことを示す。これは、1つの非標準的三要素(この場合T*GC)の移入により、トリプレックス構造が完全に不安定化することを示す。【0095】コントロールとして、pXL3179を非常に類似するがオリゴヌクレオチドを使用しない条件下で合成したブランクカラムでクロマトグラフ分析を行った場合、プラスミド結合は認められなかった(<1μg)。【0096】本明細書中に報告した条件下でのこの親和性精製カラムの操作により、D宿主ゲノムDNAによる汚染レベルは、pXL3296の調製物では2.6%から0.07%に減少した。同様に、サンプルを同一の親和性カラムでクロマトグラフ分析を行った場合、宿主DNAによる汚染レベルは、pXL3179の調製物では0.5%から0.008%に減少した。さらに、RNAによる汚染レベルは、この親和性精製カラムの使用によって、pXL3179の調製物ではRNAは43%から0.2%に非常に減少した。【0097】さらに、親和性カラムのオリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)をオリゴヌクレオチド5’−TTTTTTTTCTT−3’(配列番号31)に置換した場合、プラスミドXL3579回収率は、8%未満であった。配列番号31に記載のオリゴヌクレオチドはpXL3579内のVEGFB配列の一部(すなわち、ATGに関するヌクレオチド379〜389)と相補的であるが、有意なトリプレックス親和性は得られない。これは、この親和性精製には、非無作為ホモプリン−ホモピリミジンDNA配列が必要であることを示す。【0098】実施例10:ColE1由来プラスミドの精製以下の実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィーを使用したColE1由来のプラスミドの精製を示す。この技術は、従来のクロマトグラフィー法で達成されなかったレベルまで核酸汚染物質(特に、宿主のゲノムDNAおよびRNA)を取り除くことが認められた。【0099】トリプレックス親和性ゲルを、実施例9に記載のように過ヨウ素酸塩酸化Sephacryl S−1000SFへの配列5’−TCTTTTTTTCCT−3’(配列番号28)を有するオリゴヌクレオチドの結合によって合成した。【0100】プラスミドpXL3296(導入遺伝子を含まないpCOR)およびpBKS(ColE1由来プラスミド)を、実施例9に記載の条件下でオリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(配列番号28)を含む1mlカラムでクロマトグラフ分析を行った。回収した画分中のプラスミド回収率は、pBKSでは175μgであり、pXL3296では1μg未満であった。これは、オリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(配列番号28)はpBKS中に存在する相補的12量体配列(5’−AGAAAAAAAGGA−3’(配列番号27))と安定なトリプレックス構造が得られるが、非常に密接に関連する12量体配列(5’−AGAAAAAAAAGA−3’(配列番号32))では得られないことを示す。これは、1つの非標準的三要素(この場合C*AT)の移入により、トリプレックス構造が完全に不安定化することを示す。【0101】実施例11:二重精製法以下の実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィーを使用したpBSKなどの別のスーパーコイル二本鎖分子を含む混合物中のpXL3296などのスーパーコイル二本鎖DNA分子の精製を示す。両方の二本鎖DNA分子は類似のサイズを有し得るが、各DNA分子は異なる標的配列と三重らせんを形成することができる固有の配列を含む。先に考察したように、pXL3296などの分子は配列5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’(配列番号29)を含むが、配列5’−AGAAAAAAAGGA−3’(配列番号27)を含まない。これに対して、pBSKなどの分子は配列番号27を含むが、配列番号29を含まない。【0102】第1の工程では、pXL3296およびpBSKを含む混合物を、実施例10に記載のカラムなどのオリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(配列番号28)を含む第1の親和性カラムにロードした。溶液を、非結合DNA分子を含む第1のカラムを通過させた。第2の工程では、第1の工程由来の非結合DNA分子を、実施例9に記載のカラムなどのオリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(配列番号30)を含む第2の親和性カラムにロードした。次いで、実施例9に記載のように、第2のカラムを洗浄して結合分子を溶出した。第2のカラムからpXL3296分子のみが溶出された。pBSK分子は、第2のカラム由来の溶出物(すなわち、カラムから溶出された溶液)中に検出されなかった。【配列表】 第1の二本鎖DNAおよび第2の二本鎖DNAを含む溶液から第1の二本鎖DNAを精製する方法であって、(i)前記溶液を特異的配列と非標準的三要素を形成せずにハイブリッドを形成することによって前記第2の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第1の支持体に通過させる工程と、(ii)前記第1の支持体を通過させた溶液を回収する工程と、(iii)前記回収溶液を特異的配列と非標準的三要素を形成せずにハイブリッドを形成することによって前記第1の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第2の支持体に通過させる工程とを含み、前記第1の二本鎖DNA中に存在する特異的配列が配列AAGAAAAAAAAGAA(配列番号29)を含み、前記第2の二本鎖DNA中に存在する特異的配列が配列AGAAAAAAAGGA(配列番号27)を含む、方法。 第1の二本鎖DNAおよび第2の二本鎖DNAを含む溶液から第1の二本鎖DNAを精製する方法であって、(i)前記溶液を特異的配列とのハイブリッド形成によって前記第2の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第1の支持体に通過させる工程と、(ii)前記第1の支持体を通過させた溶液を回収する工程と、(iii)前記回収溶液を特異的配列とのハイブリッド形成によって前記第1の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができる共有結合オリゴヌクレオチドを含む第2の支持体に通過させる工程とを含み、前記第1の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドが配列TTCTTTTTTTTCTT(配列番号30)を含み、前記第2の二本鎖DNAと三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドが配列TCTTTTTTTCCT(配列番号28)を含む、方法。 前記溶液が細胞溶解物である、請求項1又は2に記載の方法。 前記細胞溶解物が透明溶解物である、請求項3に記載の方法。 前記二本鎖DNAが予備精製されている、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 前記特異的配列が、二本鎖DNAに人為的に移入されているか又は二本鎖DNA中に天然に存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。 前記オリゴヌクレオチドが、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、またはアミン結合によって前記支持体に結合している、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 前記オリゴヌクレオチドが、炭素鎖(CH2)n(式中、nは1と18との間の整数である)を含むアームを介してカラムに結合しており、前記アームがリン酸塩を介して前記オリゴヌクレオチドに結合しており、アミド結合によって前記カラムに結合している、請求項7に記載の方法。 前記オリゴヌクレオチドがヌクレアーゼに耐性を示すか前記ヌクレアーゼから保護されるか前記特異的配列に対する親和性が増加する、少なくとも1つの化学修飾を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。 前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのシトシンがメチル化されている、請求項9に記載の方法。 前記二本鎖DNAが環状DNAである、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。 前記環状DNAがプラスミドである、請求項11に記載の方法。 前記二本鎖DNA中に存在する特異的配列が前記オリゴヌクレオチドとのいくつかのハイブリッド結合部位を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。 前記支持体が官能化クロマトグラフィー支持体、官能化プラスチック表面、または官能化ラテックスビーズである、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。 前記支持体が官能化クロマトグラフィー支持体である、請求項14に記載の方法。 前記精製二本鎖DNAが0.5%以下の含量の染色体DNAを有する、請求項15に記載の方法。 前記精製二本鎖DNAが0.01%以下の含量の染色体DNAを有する、請求項16に記載の方法。