タイトル: | 特許公報(B2)_新規なフェノール化合物、新規なレゾール樹脂、それらの硬化物、それらを含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
出願番号: | 2002369713 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 215/74,C08G 8/08,G03G 5/06,G03G 5/07,G03G 5/147 |
中田 浩一 森川 陽介 ▲吉▼村 公博 池末 龍哉 田中 大介 JP 4072429 特許公報(B2) 20080125 2002369713 20021220 新規なフェノール化合物、新規なレゾール樹脂、それらの硬化物、それらを含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置 キヤノン株式会社 000001007 西山 恵三 100090538 内尾 裕一 100096965 中田 浩一 森川 陽介 ▲吉▼村 公博 池末 龍哉 田中 大介 JP 2001389240 20011221 20080409 C07C 215/74 20060101AFI20080319BHJP C08G 8/08 20060101ALI20080319BHJP G03G 5/06 20060101ALI20080319BHJP G03G 5/07 20060101ALI20080319BHJP G03G 5/147 20060101ALI20080319BHJP JPC07C215/74C08G8/08G03G5/06 312G03G5/07 105G03G5/147 502 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開2002−082469(JP,A) 特開平10−302963(JP,A) 11 2003246771 20030902 57 20041124 吉住 和之 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、新規なフェノール化合物、新規なレゾール樹脂、それらの硬化物、それらを含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。【0002】【従来の技術】 ヒドロキシフェニル基を有する化合物、いわゆるフェノール化合物の中でも、そのヒドロキシフェニル基にヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物(ヒドロキシメチル基含有フェノール化合物)は、種々の用途に用いられることが知られている。例えば、D.H.SOLOMONの著書“THE CHEMISTRY OF ORGANIC FILM FORMERS”に記載されているような塗料への応用以外にも、平版印刷版、フォトレジスト、接着剤、成形材料、積層材料および結合剤などの多くの分野に使用されている。これらの用途には、具体的には、フェノール−ホルマリン−レゾール樹脂、ビスヒドロキシメチル−p−クレゾールおよびテトラキスヒドロキシメチルビスフェノールAなどの化合物がよく使用される。【0003】 しかしながら、このような公知のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物、フェノール−ホルマリン−レゾール樹脂は、分子内に電荷輸送性構造を有するものではなかった。また、分子内に有するヒドロキシメチル基の数が少ないため、共に塗料や感光性印刷版などに使用したとき、十分な硬膜性能が得られなかった。硬膜性能を満足させるためには、多量のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物、レゾール樹脂を添加する必要があった。【0004】 電荷輸送性構造とヒドロキシメチル基含有ヒドロキシフェニル基とを同一分子内に有し、かつ、単体で加熱などにより三次元的に架橋構造を形成し、強固な硬化物を与える化合物は未だ存在していない。【0005】 近年、安全性が高い、生産性に優れる、および、安価であるなどの利点から、有機光導電性物質を用いた有機電子写真感光体の研究開発が活発に行われ、これまでに数多くの発明がなされ、実用化されてきている。【0006】 しかしながら、ポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマーと、2,4,7−トリニトロフルオレンなどから形成される電荷移動錯体とを主成分とする電子写真感光体は、感度、耐久性および残留電位などの点で必ずしも満足できるものではなかった。【0007】 また、電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別々の物質に分担させた機能分離型の電子写真感光体が、従来の有機電子写真感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著しい改善をもたらした。【0008】 また、機能分離型の電子写真感光体は、電荷発生物質と電荷輸送物質の各々の材料選択範囲が広く、所望の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できるという利点を有している。【0009】 電荷発生物質としては、種々のアゾ顔料、多環キノン顔料、フタロシアニン顔料、シアニン色素、スクエアリック酸染料およびピリリウム塩色素などが知られている。また、電荷輸送物質としては、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物およびトリフェニルアミン化合物などが知られている。【0010】 ところで、近年の高画質化および高速・高耐久化に伴って、有機電子写真感光体にも、さらなる機械的耐久性の向上が求められている。【0011】 また、近年、電子写真感光体を使用したプリンター、複写機およびファクシミリなどの電子写真装置は、多種多様な分野で使用されるようになり、より様々な環境においても常に安定した画像を提供することがさらに厳しく要求されていて、電子写真感光体の表面特性に対する化学的、電気的、機械的衝撃に曝される可能性が高くなり、表面層に対する要求が厳しくなっている。【0012】 電子写真感光体は上述のような電気的および機械的外力が直接加えられるために、それらに対する耐久性が求められている。具体的には、摺擦による表面の摩耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質の付着による表面層の劣化などに対する耐久性が要求される。【0013】 さらに、電子写真感光体は、帯電、露光、現像、転写、クリーニングおよび除電などの工程に繰り返し適用される。帯電および露光により形成された静電潜像は「トナー」と呼ばれる微粒子状の現像剤によりトナー画像となる。さらに、このトナー画像は転写手段により紙などの転写材に転写されるが、総てのトナーが転写されるわけではなく、一部が電子写真感光体上に残留トナーとして残る。【0014】 この残留トナーの量が多いと、転写材の画像は、さらに転写不良が生じるいわゆるボソ抜け状となり、画像の均一性に欠けるだけでなく、電子写真感光体へのトナーの融着やフィルミングの発生という問題が生じる。これらの問題に対して、電子写真感光体の表面層の離型性を向上させることが求められている。【0015】 電子写真感光体に対する上述のような要求を満たすために、表面層の各種改良が試みられ、特に保護層を設ける試みが盛んに行われている。その中でも、樹脂を主成分とする保護層は数多く提案されている。【0016】 例えば、特開昭57−30846号公報には、樹脂に導電性粉末として金属酸化物を添加することにより体積抵抗を制御することのできる保護層が開示されている。また、特開平5−181299号公報には、硬化性フェノール樹脂を保護層用樹脂に使用することが開示されている。さらに、表面層用の結着樹脂としてフェノール樹脂を用いた例としては、特開平5−181299号公報などに開示されている。【0017】 しかしながら、これらの表面層においても、未だ、表面への様々な衝撃や、摩耗や傷の発生に対する耐久性、離型性などの保護層として十分満足できる特性を示すものが得られていないのが現状である。【0018】 また、高耐久で削れ量の少ない電子写真感光体が達成されることで、帯電生成物や紙粉などの付着に起因する電子写真感光体表面の抵抗が低下し、特に、高温高湿環境下で顕著になる。これらは、電子写真感光体の回転方向のスジ状の画像のにじみ、いわゆる画像流れが発生するという新たな問題を生み出している。【0019】 環境変動に対して優れた安定性を持つ高耐久電子写真感光体は未だ十分な性能を有していない。【0020】【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、新規なフェノール化合物および新規なレゾール樹脂、特に、摩耗や傷の発生に対する耐久性の向上、残留電位上昇や電位変動の低減、高品位画質の長期間保持といった優れた特性(表面特性)を電子写真感光体に付与することができる新規なフェノール化合物および新規なレゾール樹脂、そしてそれらの硬化物を提供することにある。【0021】 また、本発明の目的は、上記新規なフェノール化合物または新規なレゾール樹脂を表面層に含有する電子写真感光体、すなわち、摩耗や傷の発生に対する耐久性が高く、残留電位上昇や電位変動が小さく、高品位画質を長期間保持することができ、そして、高耐久化された電子写真感光体においても、高温高湿下で長期間使用したときに画像流れが発生しない電子写真感光体、および、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。【0022】【課題を解決するための手段】 本発明は、下記式(1)〜(5)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物である。【外11】(式(1)中、R11は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R12は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar13は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m、nは、それぞれ独立に、0または1である。X11〜X14は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X11〜X14のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外12】(式(2)中、R21は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。pは、0または1である。X21、X22は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X21、X22のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。)【外13】(式(3)中、R31、R32は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar31は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q、rは、それぞれ独立に、0または1である。X31〜X34は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X31〜X34のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外14】(式(4)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s、t、uは、それぞれ独立に、0または1である。X41〜X46は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X41〜X46のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外15】(式(5)中、R52は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z51、Z52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z51を有するベンゼン環とZ52を有するベンゼン環は、Z51またはZ52を介して共同で環をなしてもよい。vは、0または1である。wは、1〜4の整数である。X51、X52は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X51、X52のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。)【0023】 また、本発明は、下記式(6)〜(10)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物を塩基性触媒下でホルムアルデヒドと反応させることにより得られるレゾール樹脂である。【外16】(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R62は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar61、Ar62は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar63は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m’、n’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外17】(式(7)中、R71は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71、Ar72は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。p’は、0または1である。)【外18】(式(8)中、R81、R82は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar81は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q’、r’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外19】(式(9)中、R91〜R93は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s’、t’、u’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外20】(式(10)中、R102は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z101、Z102は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z101を有するベンゼン環とZ102を有するベンゼン環は、Z101またはZ102を介して共同で環をなしてもよい。v’は、0または1である。w’は、1〜4の整数である。)【0024】 また、本発明は、上記フェノール化合物を硬化して得られるフェノール化合物の硬化物である。【0025】 また、本発明は、上記レゾール樹脂を硬化して得られるレゾール樹脂の硬化物である。【0026】 また、本発明は、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、上記フェノール化合物の硬化物または上記レゾール樹脂の硬化物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。【0027】 また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。【0028】 また、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。【0029】【発明の実施の形態】 以下に、本発明をより詳細に説明する。【0030】 本発明の新規なフェノール化合物は、ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物の一種であり、その中でも特に、該ヒドロキシフェニル基の少なくとも1つが、置換基としてヒドロキシメチル基を有するヒドロキシフェニル基であるフェノール化合物(ヒドロキシメチル基含有フェノール化合物)である。【0031】 ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物とは、トリアリールアミン構造、スチルベン構造、ヒドラゾン構造、ピラゾリン構造およびトリフェニルメタン構造などの電荷輸送機能を有する構造(電荷輸送性構造)と、ヒドロキシフェニル基とを、同一分子内に有する化合物を意味するが、本発明のフェノール化合物が有する電荷輸送性構造は、トリアリールアミン構造である。【0032】 なお、本発明においては、置換基を有するヒドロキシフェニル基を置換ヒドロキシフェニル基と表現し、置換ヒドロキシフェニル基の中でも、置換基としてヒドロキシメチル基を有する基をヒドロキシメチル基含有ヒドロキシフェニル基と表現する。【0033】 本発明の新規なフェノール化合物は、上述したとおり、下記式(1)〜(5)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物である。【0034】【外21】【0035】(式(1)中、R11は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R12は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar13は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m、nは、それぞれ独立に、0または1である。X11〜X14は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X11〜X14のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外22】【0036】(式(2)中、R21は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。pは、0または1である。X21、X22は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X21、X22のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。)【外23】【0037】(式(3)中、R31、R32は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar31は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q、rは、それぞれ独立に、0または1である。X31〜X34は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X31〜X34のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外24】【0038】(式(4)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s、t、uは、それぞれ独立に、0または1である。X41〜X46は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X41〜X46のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外25】【0039】(式(5)中、R52は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z51、Z52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z51を有するベンゼン環とZ52を有するベンゼン環は、Z51またはZ52を介して共同で環をなしてもよい。vは、0または1である。wは、1〜4の整数である。X51、X52は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X51、X52のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。) また、本発明の新規なレゾール樹脂は、ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物の一種を塩基性触媒下でホルムアルデヒドと反応させることにより得られるレゾール樹脂であって、電荷輸送性構造を有するレゾール樹脂である。【0040】 電荷輸送性構造としては、上記本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物と同様、トリアリールアミン構造である。【0041】 本発明のレゾール樹脂の原料となるヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物は、上述したとおり、下記式(6)〜(10)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物である。【0042】【外26】【0043】(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R62は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar61、Ar62は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar63は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m’、n’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外27】【0044】(式(7)中、R71は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71、Ar72は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。p’は、0または1である。)【外28】【0045】(式(8)中、R81、R82は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar81は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q’、r’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外29】【0046】(式(9)中、R91〜R93は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s’、t’、u’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外30】【0047】(式(10)中、R102は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z101、Z102は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z101を有するベンゼン環とZ102を有するベンゼン環は、Z101またはZ102を介して共同で環をなしてもよい。v’は、0または1である。w’は、1〜4の整数である。) 次に、上記式(1)〜(10)における置換基などの構造について説明する。【0048】 炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などが挙げられる。1価の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基およびピレニル基などが挙げられる。1価の芳香族複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基およびキノリル基などが挙げられる。2価の芳香族炭化水素環基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基およびピレニレン基などが挙げられる。2価の芳香族複素環基としては、ピリジレン基およびチエニレン基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられる。また、上記Z51を有するベンゼン環とZ52を有するベンゼン環は、Z51またはZ52を介して共同で環をなしてもよいが、環として具体的には、フルオレン骨格やジヒドロフェナントレン骨格などの環状構造が挙げられる。【0049】 上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基、ベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基などのアラルキル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基およびジベンゾチオフェニル基などの1価の芳香族炭化水素環基、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基およびナフトキシ基などのアリールオキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。【0050】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドを塩基性触媒存在下で反応させて、フェノール化合物のヒドロキシフェニル基に1つ以上のヒドロキシメチル基を導入することで得られる。【0051】 ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物およびホルムアルデヒドの仕込みモル比は、1:2〜1:30が好ましく、さらには収率の観点から1:6〜1:18がより好ましい。【0052】 反応温度は0〜80℃が好ましく、さらには10〜60℃がより好ましい。0℃未満では反応が遅く、80℃を越えるとゲル化が起こる可能性がある。反応時間は反応温度により変わるが、例えば、40℃の場合は4時間〜10日間が好ましく、さらには12時間〜5日間が好ましい。【0053】 フェノール化合物とホルムアルデヒドの反応は、通常、ヒドロキシフェニル基のヒドロキシ基から見てo−位およびp−位で優勢に起きるが、ヒドロキシフェニル基がp−ヒドロキシフェニル基の場合は、ホルムアルデヒド起源のヒドロキシメチル基の付加はo−位に対して起こることが多い。ただし、副反応などでm−位に付加することもある。【0054】 また、本発明のレゾール樹脂は、上述した本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物の合成と同様の方法で得ることができる。【0055】 本発明において、レゾール樹脂とは、ヒドロキシメチル化反応を任意に制御してヒドロキシメチル基の導入度合いと分子間の縮合生成物を適度に設定し、ヒドロキシメチル基の混合比や分子量分布を自由に変えた状態の混合物を指す。したがって、意図して、または意図せずに、単量体だけでなくオリゴマー体も含まれており、フェノール化合物と比べてより幅広い組成を持っている。【0056】 レゾール樹脂には、単量体構造だけではなく、後で例示するような二量体、三量体などのオリゴマー体が含まれてもよい。ヒドロキシメチル化反応の途中で生成したヒドロキシメチル基が、その反応条件によっては、反応中にさらにヒドロキシメチル基同士またはヒドロキシフェニル基上の他の部位で脱水、脱ホルムアルデヒドなどの縮合、付加反応などを起こすことで分子間での結合が生成し、オリゴマー化する。【0057】 ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物とホルムアルデヒドの仕込みモル比の好適な範囲は、上述した本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物の合成の場合と同様である。【0058】 塩基性触媒の使用量は、ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物に対して5〜300モル%が好ましい。これらの塩基性触媒は、ヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物を水系反応溶媒に溶解させる作用も有するので、使用する溶媒に応じて適宜増減させてもよい。【0059】 反応温度は0〜80℃が好ましく、さらには10〜60℃が好ましい。0℃以下では縮合反応の速度が遅くなり、80℃を越えるとゲル化が起こる可能性がある。反応時間は反応温度により変わるが、例えば、50℃の場合は2時間〜5日間が好ましい。この場合、反応時間を長くしすぎるとゲル化の可能性が出てくる。 また、本発明のレゾール樹脂には、上記本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物がヒドロキシメチル基などの縮合でオリゴマー化したものを含んでいてもよい。【0060】 また、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物やレゾール樹脂を合成する際に用いるホルムアルデヒドとしては、ホルマリン、パラホルムアルデヒドのどちらを用いてもよい。【0061】 また、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物や電荷輸送性構造を有するレゾール樹脂を合成する際に用いる塩基性触媒としては、公知の有機塩基、無機塩基のいかなるものを用いてもよい。【0062】 有機塩基性触媒としては、アンモニア(水)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、モノメチルアミン、モルホリンおよびN−メチルモルホリンなどのアミン触媒が好ましく、特に3級アルキルアミンがより好ましい。【0063】 無機塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する触媒が好ましい。【0064】 本発明の上記フェノール化合物の硬化物や上記レゾール化合物の硬化物とは、一般的な硬化物の意味と同様に、モノマーやオリゴマーなどが官能基で縮合、付加などの反応を起こし、3次元的に高分子のネットワークが形成された状態であり、硬化前には溶解することができた溶剤に不溶になることで硬化したと考えることができる。【0065】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物やレゾール樹脂を電子写真感光体の表面層に用いる場合、該フェノール化合物から得られる硬化組成物中に上記塩基性触媒およびそれを中和することで生成した塩が残留していると、硬化組成物の抵抗が低下し、特に高温高湿下で電子写真画像の画質低下を招く可能性がある。【0066】 したがって、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物やレゾール樹脂を得た後、塩基性触媒を除去する工程を経ることが好ましい。【0067】 塩基性触媒は、反応終了後、酸で中和することが好ましく、使用する酸としては硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸などの無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸および酢酸などの有機酸のどちらでもよい。さらに、この中和工程により生じた塩を水洗浄の繰り返しなどで除去することが好ましい。【0068】 また、塩基性触媒がアミン触媒の場合は、反応終了後、減圧下で除去することが可能である。その際、3級アミン類が最も容易に除去することができる。【0069】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物が結晶性を有するものであれば、再結晶、再沈などの一般の精製工程を設けることで触媒を除去することができる。【0070】 次に、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物やレゾール樹脂を得るために用いられるヒドロキシフェニル基および電荷輸送性構造を有するフェノール化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、これら具体例に限定されるものではない。【0071】【外31】【0072】【外32】【0073】【外33】【0074】【外34】【0075】【外35】【0076】【外36】【0077】【外37】【0078】【外38】【0079】【外39】【0080】 次に、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、これら具体例に限定されるものではない。【0081】【外40】【0082】【外41】【0083】 上記具体例は、ヒドロキシ基のo−位のすべてにヒドロキシメチル基が置換した例であるが、本発明においては、ヒドロキシフェニル基の少なくとも1つがヒドロキメチル基を置換基として有する置換ヒドロキシフェニル基であればよい。ヒドロキシメチル基の置換数が異なるものの混合物も本発明のフェノール化合物に包含される。【0084】 次に、本発明のレゾール樹脂に含まれるオリゴマー体の推定構造として、上記(P−22)を原料として合成したものの例を示す。ただし、本発明は、これら例に限定されるものではない。【0085】【外42】【0086】【外43】【0087】 オリゴマー体の構造は結合位置、結合の形態、つながる単量体の数など組み合わせは多数有り、上記推定構造はその極一部の例に過ぎない。本発明のレゾール樹脂は、このようなオリゴマー体とヒドロキシメチル基を有する単量体の混合物である。【0088】 本発明のフェノール化合物およびレゾール樹脂は、加熱により容易にヒドロキシメチル基同士が脱水縮合、脱ホルムアルデヒド反応を起こして新たな結合を生成する。【0089】 また、ヒドロキシメチル基とまだ置換されていない(主に)ヒドロキシフェニル基のヒドロキシ基から見たo−位の水素原子と脱水縮合反応を起こしてメチレン結合を生成する。【0090】 これらの反応をモデル的に反応式で示すと、以下のようになる。【0091】【外44】【0092】 これらの反応は、ヒドロキシフェニル基にヒドロキシメチル基が置換されて存在する場合に特異的に起こる反応であり、他の置換基ではこのような硬化反応は進行しない。【0093】 硬化反応は130〜160℃付近と比較的低温から進行し始める。本発明のフェノール化合物およびレゾール樹脂を溶剤などで希釈して塗料とし、その塗料を目的の面上に塗布した後、溶剤の除去、乾燥とともに硬化反応が進行する温度に加熱して、乾燥とともに熱硬化を行うことが好ましい。【0094】 本発明の硬化物の推定構造として、上記(P−22)を原料として合成したフェノール化合物またはレゾール樹脂を硬化して得られるものの例を示す。ただし、本発明は、この例に限定されるものではない。【0095】【外45】【0096】(上記式(S−22)中、Mはメチル基を示す。) フェノール化合物の有するヒドロキシフェニル基上のヒドロキシメチル基は、熱により脱水、脱ホルムアルデヒド、付加などの反応性に富んでいることにより容易に分子間での結合を生成し、3次元的な硬化構造物を生成することを示している。主に、分子間のヒドロキシメチル基が反応して、ベンジルエーテル結合やメチレン結合が生成することで硬化が成し遂げられる。【0097】 上記式(S−22)はあくまで推定構造であり、当然のことながら、副反応などの構造や製造条件により異なる場合がある。【0098】 なお、本発明のフェノール化合物およびレゾール樹脂から得られる硬化物は、どちらも上記式(S−22)に例示されるような、同様の構造である。【0099】 本発明のフェノール化合物およびレゾール樹脂の用途としては、以降詳述する電子写真感光体以外にも、電荷輸送機能を有する薄膜を必要とするデバイスへ応用できる。例えば、イメージセンサー、エレクトロルミネッセンス素子、光メモリー、太陽電池、電子写真製版などのデバイスの電荷輸送機能を必要とする部材や膜として使用可能である。【0100】 次に、本発明の電子写真感光体について説明する。以下の電子写真感光体の説明は、本発明のフェノール化合物(の硬化物)を用いたものを例にとっての説明であるが、本発明のレゾール樹脂(の硬化物)を用いる場合も全く同様である。【0101】 本発明の電子写真感光体が有する感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同一の層に有する単層型、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層する順層型、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と電荷発生物質を含有する電荷発生層をこの順に積層する逆層型など、これら公知の形態であればどの層構成であってもよい。電子写真特性的には、順層型感光層が好ましい。【0102】 ただし、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、電子写真感光体の表面層で用いることで高耐久性の効果を得ることができるものであり、上記単層型、順層型、逆層型などの層構成の感光層上に設ける保護層用の材料として用いるか、あるいは、単層型感光層用または順層型感光層用の電荷輸送物質と結着樹脂の両方の作用を併せ持つ材料として用いることが好ましく、その中でも保護層として用いることがより好ましい。【0103】 図1(a)には、支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2をこの順に設け、さらに電子写真感光体の表面層として保護層1を設けた電子写真感光体の例を示している。【0104】 また、図1(b)および(c)に示すように、支持体4と電荷発生層3の間に、中間層5、さらには干渉縞防止などを目的とする導電層6を設けてもよい。【0105】 感光層が単層型感光層の場合は、電荷発生物質と電荷輸送物質を同時に有する1つの層を成膜することで設けることができる。【0106】 本発明の電子写真感光体の支持体としては、導電性を有していればよく、支持体自身が導電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスなどを用いることができ、その他に、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記支持体やプラスチック、導電性粒子(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタンおよび銀粒子など)を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性結着樹脂を有するプラスチックなどを用いることができる。【0107】 また、支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ中間層(接着層)を設けることができる。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンまたは酸化アルミニウムなどによって形成できる。中間層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。【0108】 本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、(1)モノアゾ、ジスアゾおよびトリスアゾなどのアゾ顔料(2)金属フタロシアニンおよび非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料(3)インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ顔料(4)ペリレン酸無水物およびペリレン酸イミドなどのペリレン顔料(5)アンスラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン顔料(6)スクワリリウム色素(7)ピリリウム塩およびチアピリリウム塩類(8)トリフェニルメタン色素(9)セレン、セレン−テルルおよびアモルファスシリコンなどの無機物質(10)キナクリドン顔料(11)アズレニウム塩顔料(12)シアニン染料(13)キサンテン色素(14)キノンイミン色素(15)スチリル色素(16)硫化カドミウム(17)酸化亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アズレニウム塩顔料が好ましく、さらにはアゾ顔料、フタロシアニン顔料がより好ましい。【0109】 電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種または2種以上用いることができる。【0110】 電荷発生層用塗工液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物などを用いることができる。【0111】 電荷発生層は、上記電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルなどの方法で十分に分散し、塗布、乾燥されて形成される。電荷発生層の膜厚は、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmがより好ましい。【0112】 また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤および公知の電荷発生物質を必要に応じて添加することもできる。【0113】 本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物およびトリアリールメタン化合物などが挙げられる。【0114】 電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂および不飽和樹脂などが好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂およびジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。【0115】 電荷輸送層は、一般的には上記電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送物質と結着樹脂との混合割合は、2:1〜1:2が好ましい。【0116】 電荷輸送層用塗工液に用いる溶剤としては、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル類、ジメトキシメタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。【0117】 この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法またはスピンナーコーティング法などのコーティング法を用いることができる。また、乾燥は、好ましくは10℃〜200℃、さらに好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、好ましくは5分〜5時間、さらに好ましくは10分〜2時間の範囲の時間で送風乾燥、静止乾燥または真空乾燥下で行うことができる。電荷輸送層は、上記電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キャリアを受け取ると共に、これらの電荷キャリアを表面側の界面まで輸送する機能を有している。この電荷輸送層は電荷キャリアを輸送する限界があるので必要以上に膜厚を厚くすることは好ましくない。電荷輸送層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、特には7〜30μmが好ましい。【0118】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を電荷輸送層に用いる場合、上記電荷輸送物質および結着樹脂の代わりに用いることができる。本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、それだけで電荷輸送物質としての機能と結着樹脂としての機能を併せ持つため、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物のみを溶剤に溶解させて電荷輸送層用塗工液とし、電荷輸送層を形成させても電子写真感光体としての機能を有する。また、必要に応じて、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物と上記電荷輸送物質や結着樹脂を混合して用いてもよい。【0119】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を電荷輸送層に用いる場合の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、ジメトキシメタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルムおよび四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが挙げられる。【0120】 電荷輸送層用塗工液を塗布する際には、上記と同様のコーティング法を用いることができる。また、乾燥は、好ましくは10℃〜200℃、さらに好ましくは20℃〜180℃の範囲の温度で、好ましくは5分〜5時間、さらに好ましくは10分〜2時間の範囲の時間で送風乾燥、静止乾燥または真空乾燥下で行うことができる。【0121】 本発明のフェノール化合物は電荷輸送層塗工後の乾燥工程で、溶剤の除去と同時に熱硬化反応を進めることが好ましい。【0122】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、この塗布後の乾燥条件下において、主にヒドロキシメチル基が縮合反応を起こすことで架橋して三次元的に硬化することにより膜としての強度が向上し、高耐久性を付与することができる。【0123】 電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物に加えて、電子写真感光体の耐久性、滑り性、トナーの転写性などを改良するために、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子およびアルミナ粒子などの滑剤粒子を分散して含有させてもよい。【0124】 さらに、電荷輸送層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤および公知の電荷輸送物質を必要に応じて添加することもできる。【0125】 また、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合には、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、電荷輸送層全質量に対して1〜100質量%であることが好ましく、さらには50〜95質量%であることがより好ましい。【0126】 感光層が単層型の場合、上記電荷発生物質と上記電荷輸送物質を任意の割合で混合し、上記電荷発生層や上記電荷輸送層で用いられる結着樹脂を一緒に用い、これらを溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷発生物質と電荷輸送物質を合わせたものと結着樹脂との混合割合は3:1〜1:3が好ましい。【0127】 単層型感光層用塗工液の溶剤としては、上記電荷発生層や上記電荷輸送層を形成する際に使用するものと同様のものを用いることができる。【0128】 単層型感光層用塗工液を塗布する際には、上記と同様のコーティング法を用いることができる。また、乾燥は、好ましくは10℃〜200℃、さらに好ましくは20℃〜180℃の範囲の温度で、好ましくは5分〜5時間、さらに好ましくは10分〜2時間の範囲の時間で送風乾燥、静止乾燥または真空乾燥下で行うことができる。【0129】 本発明のフェノール化合物は単層型感光層塗工後の乾燥工程で、溶剤の除去と同時に熱硬化反応を進めることが好ましい。【0130】 単層型感光層においても、電荷キャリアを輸送する限界があるので、必要以上に膜厚を厚くすることができない。単層型感光層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には7〜30μmが好ましい。【0131】 単層型感光層中に本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を用いるときは、電荷輸送層に用いるときと同様に、電荷輸送物質や結着樹脂の代わりに用いる。本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、電荷輸送機能と結着樹脂としての機能を併せ持っているため、他の樹脂を混合しなくても単層型感光層を成膜することができる。【0132】 ただし、上記と同様に、必要に応じて、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物と上記電荷輸送物質や上記結着樹脂を混合して用いてもよい。その他の条件も上記電荷輸送層の形成の場合と同様である。【0133】 単層型感光層の場合にも、電子写真感光体の耐久性、滑り性、トナーの転写性などを改良するために、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子およびアルミナ粒子などの滑剤粒子を分散して含有させてもよい。【0134】 さらに、感光層中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤および公知の電荷輸送物質を必要に応じて添加することもできる。【0135】 また、単層型感光層が電子写真感光体の表面層である場合には、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、単層型感光層全質量に対して1〜95質量%であることが好ましく、さらには10〜90質量%であることがより好ましい。【0136】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を保護層中に含有させて用いる場合、感光層上に本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を含有する保護層用塗工液を塗布し、硬化乾燥することで保護層を設けることができる。【0137】 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を含有する保護層は、3次元架橋された硬化膜であるため、比較的薄い膜厚でも十分な耐久性を達成できる。また、得られた硬化性保護層は電荷輸送機能を有するため、従来の保護層を設けた際に見られた残留電位の上昇や耐久使用時の電位変動がほとんどなく、長期にわたって安定な画質を与え、高温高湿下で長時間使用したときも画像流れなどを発生しない電子写真感光体を提供することができる。【0138】 本発明の電子写真感光体の表面層が保護層の場合、本発明のフェノール化合物を溶剤などで溶解または希釈して得た保護層用塗工液を感光層上に塗工して成形し、塗工後に重合反応が起きて硬化性保護層を形成する。【0139】 保護層用塗工液を調製する溶剤としては、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を十分に溶解し、潤滑性粒子などを用いる場合はその分散性が良いことが要求される。さらに、保護層用塗工液と接触する感光層に悪影響を与えない溶剤でなければならない。【0140】 したがって、溶剤としては、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、ジメトキシメタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼンおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが好ましく、さらにこれらを混合して用いてもよい。これらの中でも、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物に対して良好な溶解性を示し、塗工する際の下地になる感光層に悪影響を与えない溶剤として、メタノール、エタノールおよび2−プロパノールなどのアルコール類がより好ましい。【0141】 本発明の電子写真感光体の保護層は、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物以外にも、保護層の強度を向上させるために公知のフェノール樹脂や電荷輸送層を形成する際に用いた他の樹脂を混合して用いてもよい。フェノール樹脂としては、公知のノボラック樹脂、レゾール樹脂など、いかなるものを混合してもよい。保護層の特性改良のため、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物以外にも公知の電荷輸送物質を混合して用いてもよい。【0142】 また、保護層には、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物以外にも、公知の電荷輸送物質を用いてもよい。その際使用できる電荷輸送物質は感光層を作成する際に用いたものが使用できる。【0143】 本発明の電子写真感光体の保護層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法およびブレードコーティング法などの一般的な塗工方法を用いることができる。【0144】 保護層の膜厚は0.1μm〜10μmが好ましく、特には0.5μm〜7μmがより好ましい。【0145】 保護層にも、電子写真感光体の耐久性、滑り性、トナーの転写性などを改良するために、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子およびアルミナ粒子などの滑剤粒子を分散して含有させてもよい。【0146】 本発明においては、電子写真感光体の表面層中に、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物などの活性物質の付着による表面層の劣化などを防止する目的で、酸化防止剤などの添加剤を加えてもよい。【0147】 また、保護層が電子写真感光体の表面層である場合には、本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、保護層全質量に対して10〜100質量%であることが好ましく、さらには50〜100質量%であることがより好ましい。【0148】 図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。【0149】 図2において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、(一次)帯電手段13によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。【0150】 形成された静電潜像は、次いで、現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された転写材17に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。【0151】 トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。【0152】 像転写後の電子写真感光体11の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。【0153】 なお、帯電手段13が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。また、転写残りトナーをリサイクルする構成を有する装置においてはクリーナーレスプロセスを用いてもよい。【0154】 本発明においては、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15転写手段16およびクリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19の少なくとも1つの手段を電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。【0155】 また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。【0156】 また、帯電手段13としては、上述の帯電ローラー以外にも、コロナ帯電器、ブラシ帯電器、磁気ブラシ帯電器、ブレード帯電器などが挙げられる。【0157】 また、現像手段15としては、ジャンピング現像器、1成分接触現像器、2成分接触現像器などが挙げられる。【0158】 また、転写手段16としては、ローラー転写器、コロナ転写器、ブレード転写器、ベルト転写器または中間転写体などが挙げられる。【0159】 また、定着手段18としては、熱ローラー定着器、熱ベルト定着器、圧力ローラー定着器などが挙げられる。【0160】 また、クリーニング手段19としては、ブレードクリーニング、ローラークリーニング、ブラシクリーニング、吸引式クリーニングなどが挙げられる。【0161】 本発明の電子写真感光体は、電子写真方式の複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンターおよびレーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。【0162】【実施例】 次に、具体的な実施例を挙げて本発明をより一層詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。【0163】 <合成例> 本発明のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物、および、本発明のレゾール樹脂の合成例を示す。【0164】 (合成例1) 上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物50部を水酸化カリウム水溶液(10%)250部/メタノール200部に溶解させた。この反応液にホルマリン(37%)150部を室温で攪拌しながら1時間かけて滴下した。反応液を45℃にてさらに72時間攪拌した。【0165】 反応終了後、硫酸水溶液中に投入して中和し、生成物を晶析させた。【0166】 得られたペースト状沈殿に酢酸エチルを加えて溶解させ、分液ロートを用いて4〜5回水洗を行った。【0167】 最後に有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムを加えて脱水をした後、有機層をエバポレーターで濃縮して生成物の粗結晶を得た。【0168】 この粗結晶を、メタノール40部/ジイソプロピルエーテル300部を用いて再結晶し、目的物を白色粉末として得た。収率は70%であった。【0169】 逆相HPLC(カラム:ShodexC18−5B(昭和電工(株)製、溶媒:メタノール/水=80/20)およびGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)(カラム:TOSOHTSKガードカラムHXL、TSKgelG2000HXL×2、TSKgelG3000HXL×1連結(東ソー(株)製、溶媒:THF)によって純度を測定した。テトラヒドロキシメチル体(ヒドロキシメチル基を4つ有するもの)含有率は86%であった。【0170】 (合成例2) 上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物50部をアンモニア水(28%)50部、メタノール150部およびトリエチルアミン20部に溶解させた。ホルマリン(37%)150部を攪拌下に30分間かけ滴下した後、反応液を60℃まで加温し、そのまま24時間攪拌下反応させた。【0171】 反応終了後、反応液を減圧下で濃縮した。混合物の粘度が上がってきたらメタノール200部/水100部を加えてさらに減圧下で溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、残留するアミン触媒を除去した。【0172】 溶媒除去後、粘調な樹脂成分にメタノールを加え、固形分60質量%のレゾール樹脂ワニスとして生成物を得た。ワニス収量は77部であった。【0173】 合成例1で使用したものと同様のGPCにより、単量体および二量体の含有率を測定した。その結果は、単量体70%、二量体24%(原料フェノール化合物を構造単位として)であった。【0174】 (合成例3) 合成例1で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−15)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、水酸化カリウム(10%)150部とメタノール1000部を混合した。この反応液を50℃に加熱してフェノール化合物を溶解させ、ホルマリン(37%液)75部を1時間かけて滴下した。【0175】 滴下終了後、50℃でさらに50時間反応を行い、合成例1と同様に後処理を行った。得られたフェノール化合物を合成例1と同様の方法で再結晶した。【0176】 つまり、メタノール10部/ジイソプロピルエーテル250部を用いて再結晶し、目的物を白色粉末として得た。収率は56%であった。【0177】 合成例1で使用したものと同様のHPLCとGPCにより純度を測定した。ジヒドロキシメチル体含有率は87%であった。【0178】 (合成例4) 合成例2で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−15)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、アンモニア水(28%)50部、メタノール550部およびトリエチルアミン100部に溶解させた。ホルマリン(37%)75部を攪拌下に30分間かけ滴下した後、反応液を50℃まで加温し、そのまま24時間攪拌下反応させた。【0179】 上記式(P−15)で示される構造を有するフェノール化合物に代えた以外は合成例2と同様にして、本発明の新規なレゾール樹脂を合成した。【0180】 得られたレゾール樹脂は、合成例2と同様にして減圧下で触媒を除去する工程を経た。そして、メタノールを添加して固形分60質量%のレゾール樹脂ワニスとして生成物を得た。ワニス収量は75部であった。【0181】 合成例1で使用したものと同様のGPCにより、単量体および二量体の含有率を測定した。その結果は、単量体66%、二量体28%(原料フェノール化合物を構造単位として)であった。【0182】 (合成例5) 合成例1で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−22)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、水酸化カリウム(10%)250部とメタノール200部を混合した。この反応液を40℃に加熱してフェノール化合物を溶解させ、ホルマリン(37%液)150部を1時間かけて滴下した。【0183】 滴下終了後、40℃でさらに36時間反応を行い、合成例1と同様に後処理を行った。得られたフェノール化合物を合成例1と同様の方法で再結晶した。メタノール40部/ジイソプロピルエーテル320部を用いて再結晶し、目的物を白色粉末として得た。収率は68%であった。【0184】 合成例1で使用したものと同様のHPLCとGPCにより純度を測定した。テトラヒドロキシメチル体含有率は88%であった。【0185】 (合成例6) 合成例2で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−22)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、アンモニア水(28%)50部、メタノール150部およびトリエチルアミン20部に溶解させた。ホルマリン(37%)150部を攪拌下に30分間かけ滴下した後、反応液を50℃まで加温し、そのまま24時間攪拌下反応させた。【0186】 それ以外は合成例2と同様にして、本発明の新規なレゾール樹脂を合成した。【0187】 得られたレゾール樹脂は、合成例2と同様にして減圧下で触媒を除去する工程を経た。そして、メタノールを添加して固形分60質量%のレゾール樹脂ワニスとして生成物を得た。ワニス収量は76部であった。【0188】 合成例1で使用したものと同様のGPCにより、単量体および二量体の含有率を測定した。その結果は、単量体52%、二量体34%(原料フェノール化合物を構造単位として)であった。【0189】 (合成例7) 合成例2で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−26)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、アンモニア水(28%)50部、メタノール250部およびトリエチルアミン20部に溶解させた。ホルマリン(37%)200部を攪拌下に30分間かけ滴下した後、反応液を50℃まで加温し、そのまま16時間攪拌下反応させた。【0190】 それ以外は合成例2と同様にして、本発明の新規なレゾール樹脂を合成した。【0191】 得られたレゾール樹脂は、合成例2と同様にして減圧下で触媒を除去する工程を経た。そして、メタノールを添加して固形分60質量%のレゾール樹脂ワニスとして生成物を得た。ワニス収量は78部であった。【0192】合成例1で使用したものと同様のGPCにより、単量体および二量体の含有率を測定した。その結果は、単量体46%、二量体38%(原料フェノール化合物を構造単位として)であった。【0193】 (合成例8) 合成例2で用いた上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物の代わりに、上記式(P−32)で示される構造を有するフェノール化合物50部を、アンモニア水(28%)50部、メタノール450部およびトリエチルアミン30部に溶解させた。ホルマリン(37%)250部を攪拌下に30分間かけ滴下した後、反応液を50℃まで加温し、そのまま12時間攪拌下反応させた。【0194】 それ以外は合成例2と同様にして電荷輸送機能を有するレゾール樹脂を合成した。【0195】 得られたレゾール樹脂は、合成例2と同様にして減圧下で触媒を除去する工程を経た。そして、メタノールを添加して固形分60質量%のレゾール樹脂ワニスとして生成物を得た。ワニス収量は77部であった。【0196】 合成例1で使用したものと同様のGPCにより、単量体および二量体の含有率を測定した。その結果は、単量体50%、二量体35%(原料フェノール化合物を構造単位として)であった。【0197】 (実施例1) 長さ357.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JISA3003アルミニウムの合金)を支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの中間層を設けた。【0198】 次に、電荷発生物質として下記式で示される構造を有し、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0°および27.1゜に強いピークを有する結晶型であるオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、【外46】【0199】ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン110部を、直径1mmガラスビーズを用いてサンドミルで、4.5時間分散した。その後、酢酸エチル130部で希釈し電荷発生層用塗工液とした。この電荷発生層用塗工液を上記中間層上に浸漬法で塗布し、膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。【0200】 次いで、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質7.5部、【外47】【0201】およびビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン60部/ジメトキシメタン20部に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。【0202】 次に、保護層として、合成例1により得られたヒドロキシメチル基含有フェノール化合物30部とエタノール70部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を用いて、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。【0203】 保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0204】 形成した保護層の硬化性の評価のために、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませて、膜表面上に付着させ、擦り込むようにして膜の溶け具合を観察した。その結果、保護層は拭き取ることができず、完全に硬化していることがわかった。【0205】 このようにして作製した電子写真感光体を、以下に示す方法により電子写真装置に設置して評価した。【0206】 電子写真特性の評価は、レーザー静電転写方式複写機(商品名:GP−405、キヤノン(株)製)の改造機に取り付けて行った。【0207】 感度として、暗部電位が−700Vになるように帯電設定をし、これに波長780nmのレーザー光を照射して−700Vの電位を−200Vまで下げるのに必要な光量を測定し感度Δ500(μJ/cm2)とした。さらに、20μJ/cm2の光量を照射した場合の電位を残留電位Vr(V)として測定した。【0208】 さらに、同じ複写機を用いて30000枚の画像出し耐久による評価として、初期と耐久後の画質評価および削れ量の測定を行った。【0209】 画質評価は、耐久画像出し前後での階調再現性、画像上傷の発生状況、白地画像上のカブリ発生状況、濃度変化の各項目を評価した。【0210】 削れ量の測定は、ドイツ、フィッシャー社製渦電流式膜厚測定器を用いて全膜厚の減少量から求めた。【0211】 また、耐久使用後の電位変動の評価として、30000枚画像出し耐久後に感度Δ500と残留電位Vrを測定した。【0212】 高温高湿下での耐久使用時に発生する画像流れの評価として、30℃/80%の環境下、上記で作成された電子写真感光体を上記の複写機に装着して同様に耐久試験を行った。【0213】 30000枚まで耐久試験を行う過程でどの時点で画像流れが発生するかを観察した。【0214】 評価結果を表1に示す。【0215】 (実施例2) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0216】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例2で得られたレゾール樹脂のワニス50部(固形分:60質量%)とエタノール50部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0217】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0218】 (実施例3) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0219】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例3で得られたヒドロキシメチル基含有フェノール化合物24部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)10部(固形分:60質量%)およびエタノール66部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0220】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0221】 (実施例4) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0222】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例4で得られたレゾール樹脂のワニス40部(固形分:60質量%)、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)10部(固形分:60質量%)およびエタノール50部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0223】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0224】 (実施例5) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0225】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例5で得られたヒドロキシメチル基含有フェノール化合物30部とエタノール70部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0226】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0227】 (実施例6) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0228】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例6で得られたレゾール樹脂のワニス50部(固形分:60質量%)およびエタノール50部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0229】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0230】 (実施例7) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0231】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例7で得られたレゾール樹脂のワニス50部(固形分:60質量%)およびエタノール50部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0232】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0233】 (実施例8) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層、および電荷輸送層を塗工した。【0234】 次に、保護層として実施例1の保護層に代えて、合成例8で得られたレゾール樹脂のワニスの50部(固形分:60質量%)およびエタノール50部を混合し、2時間攪拌して溶解させ、保護層用塗工液とした。この保護層用塗工液を実施例1と同様に、上記電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成した後、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。保護層用塗工液の塗工性は良好で、形成された保護層はムラのない均一な膜であった。【0235】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0236】 (実施例9) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層および電荷発生層を塗工した。【0237】 次に、電荷輸送層として実施例1の電荷輸送層に代えて、合成例3で得られたヒドロキシメチル基含有フェノール化合物12.5部およびビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱瓦斯化学(株)製)5部を1,4−ジオキサン40部/ジメトキシメタン32部に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。【0238】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0239】 (比較例1) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層および電荷発生層を塗工した。【0240】 次に、電荷輸送層として実施例1の電荷輸送層用塗工液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成した。【0241】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0242】 (比較例2) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0243】 次に、保護層として、平均粒径0.02μmのアンチモンドープ酸化スズ粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)100部を下記式で示される構造を有するフッ素原子含有化合物(商品名:LS−1090、信越シリコーン(株)製)7部【外48】【0244】で表面処理した(処理量7%)、処理済み酸化スズ粒子50部と、エタノール150部をサンドミルで60時間分散を行い、その後さらに、ポリテトラフルオロエチレン粒子(平均粒径:0.18μm)20部を加えて8時間分散を行った。その後、下記式で示される構造を有するアクリル樹脂モノマー30部と、【外49】【0245】光重合開始剤として2−メチルチオキサントン2部を添加して溶解させ、保護層用塗工液を作製した。【0246】 この保護層用塗工液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して膜を形成させ、続いて高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で60秒間光硬化を行い、その後120℃で2時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。【0247】 それ以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。評価結果を表1に示す。【0248】 (比較例3) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0249】 次に、保護層としてレゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)50部(固形分:60質量%)/エタノール50部を混合した液を保護層用塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。【0250】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。この電子写真感光体は感度が低く、残留電位が高いため、画像濃度がとれず画像出しによる耐久試験ができるレベルのものではなかった。【0251】 (比較例4) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0252】 次に、保護層として下記式で示される構造を有し、電荷輸送機能を持たないフェノール化合物30部【外50】【0253】/エタノール70部を混合した液を保護層用塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。【0254】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0255】 この電子写真感光体は残留電位が非常に高いため、画像濃度がとれず、画像出力による耐久試験ができるレベルのものではなかった。【0256】 (比較例5) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0257】 次に、上記式(P−22)で示される構造を有するフェノール化合物30部/メタノール70部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの保護層を形成した。【0258】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0259】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0260】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0261】 (比較例6) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0262】 次に、保護層と同様に下記式で示される構造を有するフェノール化合物30部【外51】【0263】/メタノール60部、メチルエチルケトン10部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0264】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0265】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0266】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0267】 (比較例7) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0268】 次に、保護層と同様に下記式で示される構造を有するフェノール化合物4部【外52】【0269】/シクロヘキサノン96部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上にスプレー塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0270】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0271】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0272】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0273】 (比較例8) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0274】 次に、保護層と同様に下記式で示される構造を有するフェノール化合物30部【外53】【0275】/メタノール70部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0276】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0277】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0278】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0279】 (比較例9) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0280】 次に、保護層と同様に下記式で示される構造を有するヒドロキシメチル基含有化合物30部【外54】【0281】/メタノール70部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0282】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0283】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0284】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0285】 (比較例10) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0286】 次に、保護層と同様に下記式で示される構造を有するヒドロキシメチル基含有化合物30部【外55】【0287】/メタノール70部を混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上に浸漬塗布し、145℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0288】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易に拭き取ることができ、硬化していないことがわかった。【0289】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0290】 この電子写真感光体は表面の層が硬化していないため、表面の層が耐久開始後すぐに削り取られ、耐久中は電荷輸送層が最表層となって摩耗していった。実施例1のように30000枚の耐久が達成されることはなく、電荷輸送層が薄くなり使用限界を下回って、画像出力が不良になった。【0291】 (比較例11) 実施例1と同様のアルミニウムシリンダー上に、実施例1と同様の中間層、電荷発生層および電荷輸送層を塗工した。【0292】 次に、上記式(P−5)で示される構造を有するフェノール化合物3部と、さらに下記式で示される構造を有するビュレット変性ポリイソシアネート溶液(固形分67質量%)4部を【外56】【0293】シクロヘキサノン120部に溶解して混合した液を塗工液として、上記電荷輸送層上にスプレー塗布し、常温で10分間乾燥した後、150℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が3μmの層を形成した。【0294】 形成した層の硬化性評価として、紙製ワイパーにメチルエチルケトンをしみ込ませ、膜表面上に付着させ、擦り込む様にして膜の溶け具合を観察した。その結果、電荷輸送層上の膜は容易にはふき取れず、実施例の電子写真感光体の表面層には及ばないものの、膜はある程度硬化していることがわかった。【0295】 この電子写真感光体を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。【0296】【表1】【0297】【発明の効果】 本発明によれば、新規なフェノール化合物および新規なレゾール樹脂、特に、摩耗や傷の発生に対する耐久性の向上、残留電位上昇や電位変動の低減、高品位画質の長期間保持といった優れた特性(表面特性)を電子写真感光体などに付与することができる新規なフェノール化合物および新規なレゾール樹脂、そしてそれらの硬化物を提供することができる。【0298】 また、上記新規なフェノール化合物または新規なレゾール樹脂を表面層に含有する電子写真感光体、すなわち、摩耗や傷の発生に対する耐久性が高く、残留電位上昇や電位変動が小さく、高品位画質を長期間保持することができ、高温高湿環境下で長期間使用しても画像流れが発生しない電子写真感光体、および、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の電子写真感光体の層構成を示す図である。【図2】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す図である。【符号の説明】 1 保護層 2 電荷輸送層 3 電荷発生層 4 支持体 5 中間層 6 導電層 11 電子写真感光体 12 軸 13 帯電手段 14 露光手段 15 現像手段 16 転写手段 17 転写材 18 定着手段 19 クリーニング手段 20 前露光手段 21 プロセスカートリッジ 22 レール 下記式(1)〜(5)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物。【外1】(式(1)中、R11は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R12は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar13は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m、nは、それぞれ独立に、0または1である。X11〜X14は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X11〜X14のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外2】(式(2)中、R21は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。pは、0または1である。X21、X22は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X21、X22のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。)【外3】(式(3)中、R31、R32は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar31は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q、rは、それぞれ独立に、0または1である。X31〜X34は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X31〜X34のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外4】(式(4)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s、t、uは、それぞれ独立に、0または1である。X41〜X46は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X41〜X46のうち少なくとも1つはヒドロキシメチル基である。)【外5】(式(5)中、R52は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z51、Z52は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z51を有するベンゼン環とZ52を有するベンゼン環は、Z51またはZ52を介して共同で環をなしてもよい。vは、0または1である。wは、1〜4の整数である。X51、X52は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシメチル基を示すが、X51、X52のうち少なくとも一方はヒドロキシメチル基である。) 下記式(6)〜(10)からなる群より選択される1つの式で示される構造を有するフェノール化合物を塩基性触媒下でホルムアルデヒドと反応させることにより得られるレゾール樹脂。【外6】(式(6)中、R61は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。R62は、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、または、置換または無置換のフェニル基を示す。Ar61、Ar62は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Ar63は、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。m’、n’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外7】(式(7)中、R71は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar71、Ar72は、それぞれ独立に、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。p’は、0または1である。)【外8】(式(8)中、R81、R82は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Ar81は、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。q’、r’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外9】(式(9)中、R91〜R93は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。s’、t’、u’は、それぞれ独立に、0または1である。)【外10】(式(10)中、R102は、炭素数1〜8の枝分かれしてもよい2価の炭化水素基を示す。Z101、Z102は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換の1価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の1価の芳香族複素環基を示す。Z101を有するベンゼン環とZ102を有するベンゼン環は、Z101またはZ102を介して共同で環をなしてもよい。v’は、0または1である。w’は、1〜4の整数である。) 前記塩基性触媒がアミン触媒である請求項2に記載のレゾール樹脂。 前記アミン触媒が3級アルキルアミンである請求項3に記載のレゾール樹脂。 該塩基性触媒がアルカリ金属を含有する触媒またはアルカリ土類金属を含有する触媒である請求項2に記載のレゾール樹脂。 請求項1に記載のフェノール化合物を硬化して得られるフェノール化合物の硬化物。 請求項2〜5のいずれかに記載のレゾール樹脂を硬化して得られるレゾール樹脂の硬化物。 支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、請求項6に記載のフェノール化合物の硬化物または請求項7に記載のレゾール樹脂の硬化物を含有することを特徴とする電子写真感光体。 前記感光層上に設けられた保護層をさらに有し、該保護層が前記電子写真感光体の表面層である請求項8に記載の電子写真感光体。 請求項8または9に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。 請求項8または9に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。