生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_α−マンノビオース含有飼料
出願番号:2002345012
年次:2009
IPC分類:A23K 1/16,A61K 31/7016,A61P 31/00,C12P 19/12


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森腰 俊亨 横溝 太 JP 4294302 特許公報(B2) 20090417 2002345012 20021128 α−マンノビオース含有飼料 伊藤忠飼料株式会社 390014742 不二製油株式会社 000236768 廣田 雅紀 100107984 森腰 俊亨 横溝 太 20090708 A23K 1/16 20060101AFI20090618BHJP A61K 31/7016 20060101ALI20090618BHJP A61P 31/00 20060101ALI20090618BHJP C12P 19/12 20060101ALN20090618BHJP JPA23K1/16 303DA61K31/7016A61P31/00 171C12P19/12 A23K 1/16 C12P 19/12 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) PubMed JSTPlus(JDreamII) 特開2001−231591(JP,A) 特開平05−064586(JP,A) 特開2000−297040(JP,A) 特開2002−065257(JP,A) 特開平10−130085(JP,A) 9 2004173620 20040624 10 20051019 長井 啓子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、α−マンノビオースを含有する飼料、α−マンノビオース含有組成物及びその製造方法、並びに飼料用添加剤に関する。【0002】【従来の技術】従来より、パーム核ミール、コプラミール、グアーミール等には、マンノースを構成糖とするマンナンが豊富に含有されることが知られており、これらの天然原料に酵素を作用させてマンノース、マンノオリゴ糖、マンノース多糖類を生成させる方法が種々提案されている。また、このようなマンノース類が添加された飼料には、有害細菌であるサルモネラ菌の腸内での定着を抑制して体外へ排出する排菌効果(サルモネラ菌排除効果)を有することが知られており、この効果を利用した技術も種々提案されている(例えば、非特許文献1)。【0003】例えば、グアーミールやコプラミールなどマンナンを含む素材を酵素分解して得られる、マンノビオース及びマンノトリオースを主成分とし単糖類が混合したマンノオリゴ糖類を配合した飼料は、鶏の卵の品質を向上させることができることが報告されており、同時に、マンノオリゴ糖類がサルモネラ菌の家畜腸内での定着防止に有用である可能性があることが報告されている(特許文献1)。また、マンノース、メチル−α−マンノシド、マンノオリゴ糖や、グアーガム、ローカストビーンガム又は酵母から得られるマンナンの酵素及び/又は酸による加水分解物等のマンノース類を配合する飼料が、サルモネラ菌など有害細菌の感染予防に有用であることが報告されている(特許文献2)。さらには、マンノースの繰り返し単位が40〜100の多糖を中心(30〜80%)とし、オリゴ糖も(5〜30%)混在するマンノース系多糖体を配合する家畜用飼料が、サルモネラ菌の家畜腸内での定着防止に効果があることが報告されている(特許文献3)。そしてまた、パーム核ミールやグアーミール等のマンナンリッチな原料に酵素を作用させてマンノオリゴ糖に分解したものを配合した飼料や、コプラミールに酵素を作用させたマンノースを含有する飼料が報告されている(特許文献4、特許文献5)。しかし、α−マンノビオースを含有する飼料は知られていなかった。【0004】【非特許文献1】「Poultry Science」 1989年 第68号 p.1357【特許文献1】特開平7−236429号公報【特許文献2】特開平8−38064号公報【特許文献3】特開平8−173055号公報【特許文献4】WO 95/17103号公報【特許文献5】WO 99/08544号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】以上のように種々の提案がなされているが、サルモネラ菌の家畜腸内での定着防止効果は十分でないのが現状であり、更なる改良が望まれている。例えば、マンノースにはサルモネラ菌定着抑制効果(サルモネラ菌排除効果)があるものの、それ自体単純な糖であるため、飼料として家畜に供与しても、大部分は腸内細菌類により簡単に資化されることがわかっており、また、家畜自身によっても消化吸収・排泄がなされるであろうと考えられる。また、本発明者らの実験結果によって、家畜の免疫強化のために生菌剤を投与した場合、さらにマンノース分解活性が強くなり、サルモネラ対策として給与したマンノースは大部分が消失するという知見が得られた。従って、実際に十分なサルモネラ菌の定着抑制効果を得るためには極めて多量のマンノースを投与しなければならない。一方、酵母を用いた凝集試験によると、マンノビオースよりも分子量の大きなマンノオリゴ糖やマンノース系多糖体のサルモネラ菌定着抑制効果は小さいという知見が得られた。本発明はかかる実状に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、動物体内でのサルモネラ菌の定着を抑制してサルモネラ菌を体外へ効率的に排出することができる飼料、かかる飼料の製造に有利に用いることができるα−マンノビオース含有組成物及びその製造方法、並びにα−マンノビオース含有組成物を含む飼料用添加剤を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、マンノースにはサルモネラ菌排除効果があるものの、それ自体単純な糖であるため、飼料として家畜に供与しても、大部分は腸内細菌類により簡単に資化され、また、家畜自身によっても消化吸収・排泄がなされるため消失してしまうとの仮説を立て、マンノースに代わる有効成分を探索するなど鋭意研究を重ねた結果、α−マンノビオースが非常に強いサルモネラ認識活性を持ち、かつ、マンノースのように容易に資化されることがないという知見を得、本発明を完成するに至った。【0007】 すなわち、本発明は、α−マンノビオースを含有し、該α−マンノビオースが、飼料に含まれる全マンノース・マンノオリゴ糖類に対して少なくとも5重量%含有されていることを特徴とする飼料(請求項1)や、マンノースにα−マンノシダーゼを作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料(請求項2)や、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料(請求項3)や、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料(請求項4)や、マンナンを含有する天然物が、コプラミール及び/又はパーム核ミールであることを特徴とする請求項3又は4に記載の飼料(請求項5)や、α−マンノビオースが、0.001〜0.3重量%含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の飼料(請求項6)に関する。【0008】 また、本発明は、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させることにより製造したα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする飼料用添加剤(請求項7)や、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させることにより製造したα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする飼料用添加剤(請求項8)や、マンナンを含有する天然物が、コプラミール及び/又はパーム核ミールであることを特徴とする請求項7又は8に記載の飼料用添加剤(請求項9)に関する。【0009】【発明の実施の形態】本発明の飼料としては、マンノース2分子がα−グリコシド結合したα−1,2−マンノビオース(α-1,2-mannobiose)、α−1,3−マンノビオース(α-1,3-mannobiose)、α−1,4−マンノビオース(α-1,4-mannobiose)、α−1,6−マンノビオース(α-1,6-mannobiose)を1種又は2種以上含有するα−マンノビオース含有飼料であれば特に制限されるものではなく、通常、α−マンノビオースやその含有物を従前用いられている飼料に配合することにより本発明のα−マンノビオース含有飼料を得ることができる。かかる本発明の飼料として、具体的には、精製されたα−マンノビオースを含む飼料や、マンノースにα−マンノシダーゼを作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含む飼料や、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含む飼料や、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含む飼料を例示することができる。かかる飼料の形態は特に制限されず、家畜又は家禽用の固体状の飼料の他、液状、ペースト状等の飼料を例示することができる。【0010】上記精製されたα−マンノビオースを含む飼料は、例えば、マンノースから合成する方法により得られたα−マンノビオースを含み、マンノースや他のマンノオリゴ糖を含まない。また、マンノースからの合成方法としては、例えば、「SYNTHESIS OF MANNOSE OLIGOSACCHARIDES VIA REVERSAL OF THE α−MANNOSIDASE REACTION」(Biotechnology letters vol8 no6 pp421-424,1986)に記載の方法を挙げることができる。【0011】上記マンノースにα−マンノシダーゼを作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含む飼料は、マンノースにα−マンノシダーゼを作用させる方法により得られたα−マンノビオース含有組成物を含み、原料となるマンノースは、精製されたマンノース試薬の他、いかなる起源のものも用いることができ、例えば、コプラミールやパーム核ミールのようなマンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼを作用させて、遊離してくるマンノースを用いることもできる。また、α−マンノシダーゼとしては、α−マンノシダーゼ活性を持つものであれば特に制限されるものではなく、いかなる起源のものであってもよく、例えば、特開平6−269290号公報に記載されたAspergillus niger由来のα−マンノシダーゼや、スミチームAC(新日本化学工業株式会社製)、スミチームAGS(新日本化学工業株式会社製)、ヘミセルラーゼGM「アマノ」(天野製薬株式会社製)、トランスグルコシダーゼ「アマノ」(天野製薬株式会社製)などの市販の酵素類を例示することができる。【0012】上記マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含む飼料は、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼを作用させてマンノースを遊離させ、かかる遊離したマンノースにα−マンノシダーゼを作用させることにより製造されるα−マンノビオースやマンノースを含有する組成物を含む。このα−マンノビオース含有組成物の製造おいては、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼを作用させマンノースを生成させた後、必要に応じて水分を調整し、α−マンノシダーゼを作用させてもよいし、マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを同時に作用させてもよい。この反応に用いられるα−マンノシターゼとしては、上述のα―マンノシターゼを用いることができ、β−マンノシターゼとしては、マンナンを分解してマンノースを遊離するものであれば特に制限されるものではなく、いかなる起源のものであってもよく、具体的には、例えば、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)等を例示することができる。そして、前記マンナンを含有する天然物としては、例えば、コプラミール、パーム核ミール、グアーミール等が挙げられ、入手の容易な点、マンナンリッチな点等から、コプラミール、パーム核ミールが好ましい。【0013】上記マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオースを含む飼料は、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼを作用させてマンノースを遊離させ、かかる遊離したマンノースにα−マンノシダーゼを作用させることにより製造されるα−マンノビオースやマンノースを含有する組成物を含む。このα−マンノビオース含有組成物の製造においては、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼを作用させマンノースを生成させた後、必要に応じて水分を調整し、α−マンノシダーゼを作用させてもよいし、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを同時に作用させてもよい。この反応に用いられるα−マンノシターゼとしては、上述のα―マンノシターゼを用いることができ、β−マンノシターゼとしては、マンナンを分解してマンノースを遊離するものであれば特に制限されるものではなく、いかなる起源のものであってもよく、具体的には、例えば、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)等を例示することができる。そして、前記マンナンを含有する天然物としては、例えば、コプラミール、パーム核ミール、グアーミール等が挙げられ、入手の容易な点、マンナンリッチな点等から、コプラミール、パーム核ミールが好ましい。また、マンナンを含有する天然物から、ミセルを作り水不溶のマンナンを抽出する方法としては、アルカリ溶液、例えば5%冷水酸化ナトリウム液や、10%水酸化ナトリウム液での抽出方法を例示することができる。【0014】飼料中におけるα−マンノビオースの含有量としては、0.001〜0.3重量%であることが好ましく、0.001〜0.03重量%であることがより好ましい。α−マンノビオースの含有量が上記範囲であれば本発明の効果を有効に奏することができると共にマンノース類の含有量を大幅に少量化することができる。また、飼料中にα−マンノビオース以外の他のマンノース・マンノオリゴ糖類が含有される場合、α−マンノビオースは、飼料に含まれる全マンノース・マンノオリゴ糖類に対して少なくとも5重量%(5〜100重量%)含有されていることが好ましく、10重量%以上含有されていることがより好ましい。なお、ここでマンノオリゴ糖類とは、2〜8個のマンノース単位から構成されるオリゴ糖をいう。【0015】本発明の飼料は、α−マンノビオースを含有するので、動物体内でのサルモネラ菌の定着を抑制してサルモネラ菌を体外へ効率的に排出することができる。即ち、α−マンノビオースが非常に強いサルモネラ認識活性を持ち、かつ、体内で容易に資化されることがないので、効率的にサルモネラ菌を体外へ排出することができ、飼料中のマンノース類の含有量を少量化することが可能となって、経済的負担も大幅に軽減される。具体的には、後述するサルモネラ菌凝集抑制試験及び代謝試験の結果から明らかなように、α−マンノビオースは、マンノースの4倍のサルモネラ認識活性があり、代謝試験によると、腸内細菌類によってほとんど資化されないことから、マンノースを使用する場合と比較して少なくとも4分の1以下の量で十分にサルモネラ菌排除効果を発揮することができる。また、本発明の飼料は、家畜の免疫強化のために成鶏盲腸内容菌などの生菌剤を併用する場合において特に有用である。【0016】本発明のα−マンノビオース含有組成物の製造方法としては、例えばコプラミールやパーム核ミール等のマンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させる製造方法や、マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させる製造方法であれば特に制限されるものではなく、その形態としては液状、ペースト状、スラリー状、固体状のものを挙げることができる。天然物に直接酵素を作用させて製造するα−マンノビオース含有組成物は、α−マンノビオースを天然物から分離抽出することなくそのまま飼料に添加し、本発明の飼料を製造することができ、これにより簡便かつ低コストで本発明の飼料を提供することが可能となる。かかるマンノビオース含有組成物を飼料添加用としてそのまま流通、使用する場合には、黴、菌類の発生が危惧されることから、流動層乾燥などの方法により、水分が10重量%以下となるように乾燥することもできる。また、液状のα−マンノビオース含有組成物をそのまま添加する場合は、乾燥処理を省略できることからより低コストで本発明の飼料を提供することが可能となる。さらに、本発明のα−マンノビオース含有組成物としては、上記本発明のα−マンノビオース含有組成物の製造方法により得られるものであればどのようなものでもよく、本発明の飼料用添加剤としては、かかるα−マンノビオース含有組成物からなるものや、該α−マンノビオース含有組成物に保存料等の他の添加成分が配合されたものを例示することができる。【0017】【実施例】以下、本発明の実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、特に断りがない限り「重量部」を表すものとする。試験例1(サルモネラ菌凝集抑制試験)各種糖類のサルモネラ菌凝集抑制試験を以下のように行った。サルモネラ菌サルモネラ・エンテリティディス(伊藤忠飼料株式会社にて分離したSalmonella enteritidis KTE−61株 菌数1×108cfu/ml)の懸濁液0.1ml及び蒸留水0.1mlを十分混合させ、これに酵母キャンディダ・アルビカンス(社団法人動物用生物学的製剤協会より購入したCandida albicans KI-102001 )懸濁液0.1mlを加え混合した。この混合液に凝集が生じることを実体顕微鏡(オリンパス社製)で確認する予備試験を行った。【0018】次に、予備試験と同様の方法で、蒸留水に代えて各種糖水溶液を用い、それぞれ濃度を変化させて混合液の凝集が阻害される最低濃度(凝集抑制最低濃度)を求めた。被験糖類は以下に示す(1)〜(9)であり、いずれも試薬特級(マンノビオース2種はSigma社製、その他は和光純薬社製)を使用した。(1)マンノース(D-mannose)(2)α−1,4−マンノビオース(α-1,4-mannobiose)(3)α−1,6−マンノビオース(α-1,6-mannobiose)(4)α−メチル−D−マンノピラノシド(α-methyl-D-mannopyranoside)(5)D−フルクトース(D-fructose)(6)L−アラビノース(L-arabinose)(7)D−ガラクトース(D-galactose)(8)D−グルコース(D-glucose)(9)スクロース(sucrose)【0019】なお、本方法においては、サルモネラ菌懸濁液の濃度、サルモネラ菌の感受性、酵母懸濁液濃度などの試験条件により凝集阻害糖濃度が異なるので、(1)マンノースを陽性対照として相対比較した。表1に、混合液の凝集を阻害するまでの実際の凝集抑制最低濃度(μg/ml)、及びマンノースの凝集抑制最低濃度を1とした場合の各種糖類の相対濃度(濃度比)を示す。相対濃度が1以下の場合、マンノースよりも低い濃度で同じ凝集抑制効果が得られることを示している。【0020】【表1】【0021】表1に示すように、(2)α−1,4−マンノビオース、(3)α−1,6−マンノビオース及び(4)α−メチル−D−マンノピラノシドは、マンノースよりも低濃度でサルモネラ菌による凝集を抑制できることが判明した。中でも、本発明の飼料が含有する(2)α−1,4−マンノビオース及び(3)α−1,6−マンノビオースは非常に高いサルモネラ菌による酵母凝集抑制効果を有することが判明した。なお、D−フルクトースはサルモネラ菌の凝集を抑制するためにはマンノースの4倍程度の量が必要であり、L−アラビノース、D−ガラクトース、D−グルコース及びスクロースは、サルモネラ菌による凝集抑制能を全く示さなかった。【0022】実施例1(マンノースからのα−1,6−マンノビオースの製造)D−マンノース(和光純薬社製「試薬特級」)100部に、酵素溶液トランスグルコシダーゼ「アマノ」(天野製薬株式会社製)100部を加え、50℃で36時間反応させた。この反応物中のα−1,6−マンノビオース含有量をイオン交換クロマトグラフィー法で測定したところ25.4部であった。この反応物から高速液体クロマトグラフィー(日本分光社製、column Shodex DC−613)により、α−1,6−マンノビオースを分取し、得られたα−1,6−マンノビオースについて、試験例1と同様にしてサルモネラ菌による酵母凝集抑制能を調べた。その結果、マンノースに対する相対濃度は0.256であり、マンノースにトランスグルコシダーゼを作用させて生成させたα−1,6−マンノビオースについても非常に高いサルモネラ菌・酵母凝集阻害効果を有することが判明した。【0023】実施例2(α−マンノビオース含有パーム核ミールの製造;酵素順次添加)パーム核ミール(不二製油株式会社製)100部に、酵素セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)0.6部を溶解した酵素溶液125部を加え、60℃で72時間作用させてマンノース17.50部を生成させた。これを水分5%程度まで乾燥させ、トランスグルコシダーゼ「アマノ」(天野製薬株式会社製)10部を加えよく混合し、さらに55℃で69時間作用させて、α−マンノビオース含有パーム核ミールを得た。このα−マンノビオース含有パーム核ミールを再度水分5%まで乾燥させた。この乾燥α−マンノビオース含有パーム核ミールについて、イオン交換クロマトグラフィー法でα−マンノビオース及びマンノースの含有量を測定したところ、α−1,6−マンノビオースが3.35部、マンノースが14.05部であった。なお、乾燥は60℃のインキュベータ内で静置することにより行った。【0024】実施例3(α−マンノビオース含有パーム核ミールの製造;酵素同時添加)パーム核ミール100部に、酵素セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)0.6部及び酵素溶液トランスグルコシダーゼ「アマノ」(天野製薬株式会社製)10部を溶解した酵素液125部を加えて、60℃で336時間作用させて、α−マンノビオース含有パーム核ミールを得た。このα−マンノビオース含有パーム核ミールを水分5%まで乾燥させた。この乾燥α−マンノビオース含有パーム核ミールについて、イオン交換クロマトグラフィー法でα−マンノビオース及びマンノースの含有量を測定したところ、α−1,6−マンノビオースが3.5部、マンノースが21.6部であった。【0025】比較例1パーム核ミール100部に、酵素セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)0.6部を溶解した酵素液125部を加え、60℃で72時間作用させてマンノース含有パーム核ミールを製造した。含有されるマンノース量を前記方法で測定したところ17.50部であった。【0026】実施例4(サルモネラ菌・酵母凝集抑制試験)実施例2において得られた乾燥済みのα−マンノビオース含有パーム核ミールを10倍量の水に混合懸濁した後、10000rpmで10分間遠心分離し、α−マンノビオースをはじめ各種水溶性成分が溶解している上清を得た。一方、比較例1において得られたマンノース含有パーム核ミールも同様に処理してマンノースをはじめ各種水溶性成分を含む溶液を得た。これら2つの抽出液について、試験例1と同様にサルモネラ菌・酵母凝集抑制能を調べた。その結果、実施例2に係るα−マンノビオース含有パーム核ミールからの抽出液は、比較例1に係るマンノース含有パーム核ミールからの抽出液に比して1.5倍のサルモネラ菌・酵母凝集抑制活性を示した。【0027】実施例5(代謝試験)実施例2で製造した乾燥済みのα−マンノビオース含有パーム核ミールを10%(w/v)となるようにBHI培地(日水製薬社製)に添加し、オートクレーブ滅菌後、鶏盲腸内容構成菌であるインテクリーン(伊藤忠飼料株式会社製)を接種し、37℃で培養した。培養液を4時間ごとに取り出し、それぞれ10000rpmで10分間遠心分離後、その上澄のマンノース及びα−マンノビオース濃度(mg/ml)を分析した。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、マンノースは資化されるのに対し、α−マンノビオースはほとんど資化されないことが判明した。【0028】【表2】【0029】【発明の効果】本発明によれば、動物体内でのサルモネラ菌の定着を抑制してサルモネラ菌を体外へ効率的に排出することができる飼料、かかる飼料の製造に有利に用いることができるα−マンノビオース含有組成物及びその製造方法、並びにα−マンノビオース含有組成物を含む飼料用添加剤を提供することができる。 α−マンノビオースを含有し、該α−マンノビオースが、飼料に含まれる全マンノース・マンノオリゴ糖類に対して少なくとも5重量%含有されていることを特徴とする飼料。 マンノースにα−マンノシダーゼを作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料。 マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料。 マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させて得られるα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする請求項1に記載の飼料。 マンナンを含有する天然物が、コプラミール及び/又はパーム核ミールであることを特徴とする請求項3又は4に記載の飼料。 α−マンノビオースが、0.001〜0.3重量%含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の飼料。 マンナンを含有する天然物にβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させることにより製造したα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする飼料用添加剤。 マンナンを含有する天然物から抽出したマンナンにβ−マンノシダーゼ及びα−マンノシダーゼを順次又は同時に作用させることにより製造したα−マンノビオース含有組成物を含むことを特徴とする飼料用添加剤。 マンナンを含有する天然物が、コプラミール及び/又はパーム核ミールであることを特徴とする請求項7又は8に記載の飼料用添加剤。


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