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タイトル:公開特許公報(A)_義務教育、理科実験においても使用可能な大腸菌等への遺伝子導入手法
出願番号:2002337529
年次:2004
IPC分類:7,C12N15/09,A01H13/00


特許情報キャッシュ

河田 悦和 矢野 伸一 小嶋 洋之 JP 2004024232 公開特許公報(A) 20040129 2002337529 20021121 義務教育、理科実験においても使用可能な大腸菌等への遺伝子導入手法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 河田 悦和 矢野 伸一 小嶋 洋之 JP 2002132197 20020508 7 C12N15/09 A01H13/00 JP C12N15/00 A A01H13/00 6 1 OL 13 2B030 4B024 2B030AA07 2B030AB03 2B030AD08 2B030CA17 2B030CA19 2B030CB03 2B030CD02 2B030CD07 2B030CD09 4B024AA20 4B024CA01 4B024DA06 4B024GA13 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞にポリヌクレオチドを導入する方法に関する。また、本発明は、特に義務教育にも適した教育用のトランスフェクションの方法に関する。【0002】【従来の技術】原核細胞にポリヌクレオチドを導入し、遺伝子やタンパク質を発現させることは、遺伝子の機能解析のためには必須となる技術である。そのため、種々の細胞にポリヌクレオチドを導入することにより、遺伝子やタンパク質を発現させることを目的として、様々な技術や試薬の改良が試みられている。【0003】原核細胞へポリヌクレオチドを導入する方法としては、主として物理法と化学法とが知られている。【0004】物理法は、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法等を含み、例えば、エレクトロポレーション法の場合、大腸菌では対数増殖期の細胞を純水などの塩をほとんど含まない溶液にて洗浄し、氷上にてポリヌクレオチドと共存させた後、短い時間高電圧をかけることで細胞に一時的に小孔を生じさせ、ポリヌクレオチドを導入し、賦活培地にて1時間程度37℃にて培養し、選択培地に植菌するものである。【0005】化学法は、例えば、大腸菌の場合には、塩化カルシウム溶液などで細胞を処理し、氷上でポリヌクレオチドと共存させた後、42℃で短時間温め、再度氷上で2分程度冷却した後に、賦活培地にて1時間程度37℃にて培養し、選択培地に植菌するものである。【0006】また真核細胞、特に培養細胞の場合には、化学法として上記の方法のほかにリポフェクション法が知られている。リポフェクション法は、主に正に荷電しているリポソーム(カチオンリポソーム)とポリヌクレオチドとの複合体を形成させ、該カチオンリポソームを負に荷電している細胞表面に吸着させ、細胞膜と融合させることによって、細胞内にポリヌクレオチドを導入させる方法である(例えば、非特許文献1、2参照)。【0007】これらの方法は従来から用いられてきた手法であり、以下に示すように問題点も多い。【0008】例えば、化学法は、細胞を処理する操作が煩雑であり、熟練した技術が必要である。また、ヒートショック処理なども必要であり細胞に負担がかかる。【0009】エレクトロポレーション法は、細菌類、菌類、酵母、植物細胞、動物細胞等ほとんどの細胞に対して高い導入効率を示すが、死滅する細胞が多く、導入した細胞に対して損傷又は分極を引き起こすために、テトラサイクリン耐性遺伝子等は他の遺伝子に比べて1/100程度の低い効率でしか導入されないことがある。また、特別な装置を必要とする。【0010】リポフェクション法は、ペプチドグリカン層やセルロース層などの細胞壁を有する細胞の場合、リポフェクション試薬と融合する細胞膜が露出していないため、適用対象が細胞壁を有さない細胞に限定されると考えられてきた。【0011】【非特許文献1】サムブルック・ジェイ(Sambrook, J.)及びディー.ダブリュー.ラッセル(D.W. Russell)著,「分子クローニング(Molecular Cloning):実験マニュアル(A Laboratory Manual)」,(米国),第3版,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),2001年【0012】【非特許文献2】ウイリアム・ジェイ・ダウアー(William J. Dower),ジェフ・エフ・ミラー(Jeff F. Miller)及びチャールズ・ダブリュー・ラグスドール(Charles W. Ragsdale)著:「ハイ・エフィシェンシー・トランスフォーメーション・オブ・イー.コリ・バイ・ハイ・ボルテージ・エレクトロポレーション(High efficency transformation of E.coli by high voltage electroporation)」,「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)」,1988年,Vol.16,No.13,p.6127−6145【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞に対して、簡便、安全且つ効率良くポリヌクレオチドを導入する方法を提供することにある。【0014】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き従来技術の問題点を解決するために、鋭意研究を重ねてきた。その結果、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞に対して、トランスフェクション試薬、特に脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を用いて遺伝子導入を行うことにより、簡便、安全且つ効率良くポリヌクレオチドを導入できることを見出した。【0015】即ち、本発明は、以下のポリヌクレオチドを導入する方法に関する。【0016】項1.ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、該方法をポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の共存下に行うことを特徴とする方法。【0017】項2.ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を該原核細胞に接触させることにより、ポリヌクレオチドを該原核細胞に導入することを特徴とする請求項1に記載の方法。【0018】項3.トランスフェクション試薬が脂質を主成分とする試薬である請求項1に記載の方法。【0019】項4.トランスフェクション試薬がカチオンリポソームである請求項1に記載の方法。【0020】項5.原核細胞が大腸菌又はラン藻であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。【0021】項6.ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬を含むトランスフェクションキット。【0022】【発明の実施の形態】本発明のポリヌクレオチドを細胞に導入する方法は、ペプチドグリカンを細胞壁に有する原核細胞に、通常のトランスフェクション試薬、特に脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を使用することに特徴がある。【0023】本発明においてポリヌクレオチドが導入される原核細胞は、ペプチドグリカン又はペプチドグリカンに類似する物質を細胞壁に有する原核細胞であり、例えば、大腸菌、枯草菌等を含む細菌類、ラン藻類等が挙げられる。その中でも、利便性等の点から大腸菌、ラン藻類等が好ましい。【0024】大腸菌の種類は限定されず、例えば、通常遺伝子組換えに使用されているDH5α、DH10B、BL21(DE3)等のK12株由来のものを挙げることができる。また、ラン藻類の種類も限定されず、例えば、シネココッカス、シネコキスチス、スピルリナ等を挙げることができる。【0025】学校・大学教育用に使用する場合は、病原性を示さず、伝播性を有さない菌株が必要である。例えば、大腸菌 E.coli K12株、その誘導体等を挙げることができる。また、宿主ベクター系については、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」に記載されている宿主ベクター系を用いることが必要である。この宿主ベクターとしては、例えば、B1、B2レベルの認定宿主ベクター系、大腸菌K12株系、χ1776などを例示できる。【0026】本明細書において、ポリヌクレオチドとは各種DNAを含み、例えば、自己増殖するプラスミド、PCR断片等も含むものとする。ポリヌクレオチドの種類、調製法等は特に限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。【0027】得られたポリヌクレオチドを原核細胞に導入する際に、トランスフェクション試薬を用いることが必要である。トランスフェクション試薬は一般に動物の培養細胞に使用されるトランスフェクション試薬を用いることができ、脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を用いることが好ましく、カチオンリポソームを主成分とするものが特に好ましい。【0028】本明細書において、脂質としては、限定されるものではなく、例えば、単純脂質、複合脂質、誘導脂質、リポ多糖、リポタンパク質、ステロイド、カルテノイド、テルぺノイド等も含むものとする。【0029】また、カチオンリポソームとは、例えば、不飽和度が低い炭素分子鎖を主体とする分子の片端にカチオンとなる原子団(カチオン荷電分子)を有する荷電した分子を意味する。【0030】炭素分子鎖を主体とする分子の例として、炭素数12〜20、二重結合の数が0〜4の脂肪酸の他に、官能基を有するベンゼン環、窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等や、(S)−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−4−カルボン酸((S)−2−methyl−1,4,5,6−tetrahydropyrimidine−4−carboxylic acid)、(S)−2−メチル−5−ヒドロキシ−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−4−カルボン酸((S)−2−methyl−5−hydroxy−1,4,5,6−tetrahydropyrimidine−4−carboxylic acid)等が例示できる。これらを単独で使用することもできるし、2種以上使用することもできる。【0031】カチオン荷電分子とは、カチオンに荷電する分子をいい、例えば、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。これらも単独で使用しても良いし、2種以上用いても良い。【0032】炭素分子鎖を主体とする分子とカチオン荷電分子とは、任意の組み合わせで用いることができ、これらを結合させる方法は適宜選択することができる。【0033】脂質を主成分とする具体的なトランスフェクション試薬としては、例えば、DOTAP(N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)、DOSFER(1,3−Di−Oleoxyloxy−2−(6−Carboxy−spermyl)−propylamid)、Transome(登録商標)、FuGENE(登録商標)6等を例示することができる。【0034】ポリヌクレオチドを原核細胞に導入する際には、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬をあらかじめ室温で混合し、複合体を形成させることが好ましい。ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とを混ぜ合わせる割合は、ポリヌクレオチドの種類、用いるトランスフェクション試薬の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリヌクレオチド1μgあたり脂質成分として1〜1000μg程度が例示できる。【0035】また、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とを混ぜる方法は、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とが複合体を形成する限り限定されないが、例えばマイクロチューブのようなケースにカチオンリポソームを含む溶液を予め入れておき、必要量のポリヌクレオチドを含む溶液を添加し、必要に応じて軽く混和し、約1分以上、好ましくは10〜15分間程度、例えば室温で静置すればよい。【0036】上記のようにして得られた複合体を、原核細胞に接触させてポリヌクレオチドを原核細胞に導入する。複合体と原核細胞とを接触させる方法としては限定されるものではなく、例えば、以下に示すような方法が例示できる。【0037】(I)方法1(図1;中ルート)本発明における方法1を中ルートに例示するが、これは単なる例示であり、実験条件等はこれらに限定されない。また、左ルートは従来の化学法に関する実験手順を例示するものである。【0038】例えば、ミリQ水、HEPES 1mM pH7.0、0.5Mマンニトール液等のような低塩濃度液中に予め原核細胞を懸濁しておき、その後、その原核細胞を複合体と接触させればよい。この操作は、好ましくは0〜5℃程度の温度下、例えば氷上で行うことが好ましい。【0039】原核細胞と複合体とを接触させる方法も限定されず、細胞の希釈液に複合体を添加してもよいし、また、逆に複合体に細胞の希釈液を添加してもよい。このようにして得られた複合体と細胞との混合物を必要に応じて軽く混和し、1〜10分程度、好ましくは2〜8分程度、更に好ましくは5分程度静置すればよい。複合体と原核細胞とを接触させる際の条件としても特に限定されるものではなく、菌体の生育可能温度であればよく、好ましくは約0〜5℃程度の温度下、例えば氷上で行うことが好ましい。【0040】原核細胞と複合体との混合割合も、使用する細胞の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、細胞1×109個あたり、ポリヌクレオチド1〜100ng程度、好ましくは1〜10ng程度になるようにすることができる。【0041】その後、例えば、SOC培地のような賦活培地中で、37℃程度で20分〜2時間程度、好ましくは1時間程度振盪培養することが好ましい。次いで、選択培地で細胞を培養し、ポリヌクレオチドが原核細胞に導入されたことを、公知の方法により確認することができる。例えば、抗生物質耐性などによる確認、PCRによるポリヌクレオチドの検出が挙げられる。【0042】ポリヌクレオチドの中に挿入できる遺伝子としては、例えば、アンピシリン(Ampicillin)耐性遺伝子やカナマイシン(Kanamycin)耐性遺伝子やクロラムフェニコール(Chloramphenicol)耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子、構造遺伝子、調節遺伝子等、種々のポリヌクレオチドが挙げられる。【0043】上記の抗生物質耐性遺伝子と共に、例えばGFP遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等の遺伝子を導入してもよい。これらの遺伝子も同時に導入することにより、蛍光発色や、発光等により、遺伝子が導入されたことが細胞の外観から更にわかりやすくなるからである。【0044】この方法1によれば、真核細胞にポリヌクレオチドを導入する際に通常使用されているリポフェクション試薬を用いることにより、非常に高い効率で原核細胞にポリヌクレオチドが導入できる。【0045】(II)方法2(図1;右ルート)本発明における方法2を右ルートに例示するが、上記と同様に単なる例示であり、実験条件等はこれらに限定されない。【0046】LB培地等のような、大腸菌などの原核細胞を培養する通常の培地で培養した原核細胞を、SOC培地等のような低塩濃度の賦活培地で、例えばOD600=0.6程度になるまで振盪培養する。その後、該賦活培地中にポリヌクレオチドとリポフェクション試薬との複合体を添加し、更に振盪培養する。【0047】このときの実験条件は実験の目的等に応じて適宜選択される。例えば、細胞1×109個あたり、ポリヌクレオチド1〜100ng程度、好ましくは1〜10ng程度になるようにすることができる。原核細胞と複合体との混合物を振盪培養する時間としては限定されず、適宜選択することができる。例えば、5分〜1時間程度、好ましくは10分〜1時間程度、更に好ましくは30分〜1時間程度が挙げられる。【0048】上記のようにして得られた原核細胞は、上記の方法(I)と同様に選択培地に培養し、ポリヌクレオチドが原核細胞に導入されたことを確認することができる。【0049】この方法2(図1の右ルート)によれば、従来の化学法(図1の左ルート)のように、原核細胞の回収(集菌)、細胞の化学的処理、原核細胞とDNAとの混合、ヒートショック、賦活培養等の煩雑でしかも数多くの工程を省略することができ、非常に簡便に原核細胞にポリヌクレオチドの導入を行うことができる。この方法は、本発明の方法1よりも更に簡便な方法である。そのため、学校、大学の教育に使用するための方法等としても非常に有用である。【0050】また、学校・大学教育用に本発明の方法を使用するためには、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」に規定されているような手法に従って実験を行うことが必要である。【0051】また、実験に使用した器具、細胞等の後片付けについても、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」付属資料4の教育目的組換えDNA実験に係わる実験実施規定に従って行うことが必要である。例えば、実験終了後煮沸又は消毒液の投入等の措置により組換え体を滅菌し、組換え体の付着した器具などは消毒又は滅菌することが必要である。【0052】更に、上記のポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体は冷蔵又は冷凍保存することができ、必要なときに使用することができ、トランスフェクションキットしても用いることができる。【0053】また、学校・大学教育用に簡便に実験を行うために、例えば、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬との複合体、宿主細胞、培地、実験を行うための器具、殺菌用の試薬等をセットにすると、そのセットがあれば実験を行うことができ、便利である。【0054】【実施例】以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明瞭にする。【0055】実施例1:DH5α DOTAP10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注する。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0056】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、ミリQ水を用いて5倍に希釈した前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0057】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり3.7×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0058】実施例2:DH5α DOTAP10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方には、トランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy) propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0059】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上にて5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0060】トランスフェクション試薬を混ぜた方ではpUC19 DNA 1μgあたり1.9×105株のアンピシリンン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0061】実施例3:DH5α DOSFER10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3−Di−Oleoxyloxy−2−(6−Carboxy−spermyl)−propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0062】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上で5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0063】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり6.9×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0064】実施例4:DH5α FuGENE(登録商標)610ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬として FuGENE(登録商標)6  Transfection Reagent(Roche社、非リポソーマル型)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0065】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分おいた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0066】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり1.0×105株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0067】実施例5:DH5α Transome(登録商標)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、マイクロチューブ2本に5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬としてカチオンリポソーム Transome(登録商標)(ニッポンジーン社、Small Uniamellar Vesicleタイプ)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0068】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を用いて、氷上にてHEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記のDNA溶液にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0069】トランスフェクション試薬を混ぜた方では, pUC19 DNA 1μgあたり7.1×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0070】実施例6:DH10B10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、マイクロチューブ2本に5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬としてカチオンリポソーム DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0071】大腸菌DH10B株をSB培地にて培養し、OD600約0.6で回収し、ミリQ水にて数回洗浄し、最後は10%グリセロール溶液にて懸濁し、エレクトロコンピテント細胞を自製し、50μlずつ分注し、−80℃にて保存した。【0072】氷上でコンピテント細胞を融解し、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分おいた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0073】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり7.8×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0074】実施例7:Spirulina platensisクロラムフェニコール耐性プラスミドpHSG397より、クロラムフェニコール耐性遺伝子部をPCR法により増幅するためのプライマーを設計し、同プラスミドをテンプレートとして増幅した。【0075】PCR産物をDNA精製カラムS−400(アマシャムファルマシア社)により精製し、濃度を50 ng/μlに調整し準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬として DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0076】Spirulina platensis IAM M135株をSOT培地で培養し、OD550が約0.6の時点で回収し、ミリQ水にて数回洗浄し、最後は10%グリセロール溶液にて懸濁した。【0077】前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに30℃に温めておいたSOT培地1mlを加え、30℃で一晩暗所にて培養し、0.5μg/mlクロラムフェニコールを含むSOT培地に植菌し、30℃で弱光下1週間培養した。【0078】僅かに増殖してきている菌体を回収し、ゲノムを回収し、PCRにてクロラムフェニコール遺伝子の存在を確認したところ、トランスフェクション試薬を共存させたものについてのみクロラムフェニコール遺伝子の存在を確認した。【0079】実施例8:DH5α DOTAP  SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0080】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体又はポリヌクレオチドを加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0081】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.5×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0082】実施例9:DH5α DOTAP  SOC混合培養(定常期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy)propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0083】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=3.0まで37℃で振とう培養する。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体又はポリヌクレオチドを加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0084】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり3.0×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0085】実施例10:DH5α DOSFER  SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3−Di−Oleoxyloxy−2−(6−Carboxy−spermyl)−propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0086】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続ける。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0087】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.2×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0088】実施例11:DH5α DOSPER SOC混合培養(定常期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3−Di−Oleoxyloxy−2−(6−Carboxy−spermyl)−propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0089】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=3.0まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0090】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.5×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0091】実施例12:DH10B  DOTAP SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方には、トランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N−[1−(2,3−dioleoyloxy) propyl]−N,N,N−trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0092】大腸菌DH10Bを一晩LB培地にて培養したものをSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで培養した後、ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0093】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.0×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0094】【発明の効果】本発明のポリヌクレオチドを原核細胞に導入する方法によれば、ペプチドグリカンを主成分とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する際に、トランスフェクション試薬を使用することにより、簡便に、効率良く導入することができる。【0095】また、本発明の方法は、操作が簡便なので熟練した技術を要さず、特殊な器具等も使用しなくてすむので、誰でも行うことができる。例えば、小学校、中学校、高校、大学、専門学校等における実験、実習等にも使用することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実験の方法を例示する図である。 ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、該方法をポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の共存下に行うことを特徴とする方法。 ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を該原核細胞に接触させることにより、ポリヌクレオチドを該原核細胞に導入することを特徴とする請求項1に記載の方法。 トランスフェクション試薬が脂質を主成分とする試薬である請求項1に記載の方法。 トランスフェクション試薬がカチオンリポソームである請求項1に記載の方法。 原核細胞が大腸菌又はラン藻であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬を含むトランスフェクションキット。 【課題】非常に簡便で、例えば小中学校などの学校教育にも使用でき、十分な効率で原核細胞にポリヌクレオチドを導入すること。【解決手段】ペプチドグルカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞に、カチオンリポソーム等のトランスフェクション試薬及びポリヌクレオチドの共存下に遺伝子導入を行うことを特徴とする方法、及びトランスフェクション試薬とポリヌクレオチドとの複合体を、賦活培地で培養中の原核細胞に添加することによりポリヌクレオチドを細胞に導入し、その後選択培地で細胞を培養する、誰もが行うことのできる非常に簡便な遺伝子導入手法。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_義務教育、理科実験においても使用可能な大腸菌等への遺伝子導入手法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_義務教育、理科実験においても使用可能な大腸菌等への遺伝子導入手法
出願番号:2002337529
年次:2010
IPC分類:C12N 15/09


特許情報キャッシュ

河田 悦和 矢野 伸一 小嶋 洋之 JP 4415138 特許公報(B2) 20091204 2002337529 20021121 義務教育、理科実験においても使用可能な大腸菌等への遺伝子導入手法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 河田 悦和 矢野 伸一 小嶋 洋之 JP 2002132197 20020508 20100217 C12N 15/09 20060101AFI20100128BHJP JPC12N15/00 A C12N 5/00-5/28 C12N 15/00-15/08 C12N 15/87-15/90 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) PubMed 特表2001−503751(JP,A) Molecular Biology,1982年,Vol. 16,p. 485-490 Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1997年,Vol. 14,p. 173-206 Extremophilcs,2001年,Vol. 5,p. 53-60 Agric. Biol. Chem.,1984年,Vol. 48,p. 1105-1107 Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1979年,Vol. 76,p. 3348-3352 Folia Microbiol.,1985年,Vol. 30,p. 97-100 Biochemical and Biophysical Research Communications,1982年,Vol. 108,p. 982-986 Proc. Matl. Aca. Sci. USA,1979年,Vol. 76,p. 3348-3352 2 2004024232 20040129 12 20040818 今村 玲英子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞にポリヌクレオチドを導入する方法に関する。また、本発明は、特に義務教育にも適した教育用のトランスフェクションの方法に関する。【0002】【従来の技術】原核細胞にポリヌクレオチドを導入し、遺伝子やタンパク質を発現させることは、遺伝子の機能解析のためには必須となる技術である。そのため、種々の細胞にポリヌクレオチドを導入することにより、遺伝子やタンパク質を発現させることを目的として、様々な技術や試薬の改良が試みられている。【0003】原核細胞へポリヌクレオチドを導入する方法としては、主として物理法と化学法とが知られている。【0004】物理法は、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法等を含み、例えば、エレクトロポレーション法の場合、大腸菌では対数増殖期の細胞を純水などの塩をほとんど含まない溶液にて洗浄し、氷上にてポリヌクレオチドと共存させた後、短い時間高電圧をかけることで細胞に一時的に小孔を生じさせ、ポリヌクレオチドを導入し、賦活培地にて1時間程度37℃にて培養し、選択培地に植菌するものである。【0005】化学法は、例えば、大腸菌の場合には、塩化カルシウム溶液などで細胞を処理し、氷上でポリヌクレオチドと共存させた後、42℃で短時間温め、再度氷上で2分程度冷却した後に、賦活培地にて1時間程度37℃にて培養し、選択培地に植菌するものである。【0006】また真核細胞、特に培養細胞の場合には、化学法として上記の方法のほかにリポフェクション法が知られている。リポフェクション法は、主に正に荷電しているリポソーム(カチオンリポソーム)とポリヌクレオチドとの複合体を形成させ、該カチオンリポソームを負に荷電している細胞表面に吸着させ、細胞膜と融合させることによって、細胞内にポリヌクレオチドを導入させる方法である(例えば、非特許文献1、2参照)。【0007】これらの方法は従来から用いられてきた手法であり、以下に示すように問題点も多い。【0008】例えば、化学法は、細胞を処理する操作が煩雑であり、熟練した技術が必要である。また、ヒートショック処理なども必要であり細胞に負担がかかる。【0009】エレクトロポレーション法は、細菌類、菌類、酵母、植物細胞、動物細胞等ほとんどの細胞に対して高い導入効率を示すが、死滅する細胞が多く、導入した細胞に対して損傷又は分極を引き起こすために、テトラサイクリン耐性遺伝子等は他の遺伝子に比べて1/100程度の低い効率でしか導入されないことがある。また、特別な装置を必要とする。【0010】リポフェクション法は、ペプチドグリカン層やセルロース層などの細胞壁を有する細胞の場合、リポフェクション試薬と融合する細胞膜が露出していないため、適用対象が細胞壁を有さない細胞に限定されると考えられてきた。【0011】【非特許文献1】サムブルック・ジェイ(Sambrook, J.)及びディー.ダブリュー.ラッセル(D.W. Russell)著,「分子クローニング(Molecular Cloning):実験マニュアル(A Laboratory Manual)」,(米国),第3版,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),2001年【0012】【非特許文献2】ウイリアム・ジェイ・ダウアー(William J. Dower),ジェフ・エフ・ミラー(Jeff F. Miller)及びチャールズ・ダブリュー・ラグスドール(Charles W. Ragsdale)著:「ハイ・エフィシェンシー・トランスフォーメーション・オブ・イー.コリ・バイ・ハイ・ボルテージ・エレクトロポレーション(High efficency transformation of E.coli by high voltage electroporation)」,「ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)」,1988年,Vol.16,No.13,p.6127-6145【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞に対して、簡便、安全且つ効率良くポリヌクレオチドを導入する方法を提供することにある。【0014】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き従来技術の問題点を解決するために、鋭意研究を重ねてきた。その結果、ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する細胞に対して、トランスフェクション試薬、特に脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を用いて遺伝子導入を行うことにより、簡便、安全且つ効率良くポリヌクレオチドを導入できることを見出した。【0015】即ち、本発明は、以下のポリヌクレオチドを導入する方法に関する。【0016】項1.ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、該方法をポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の共存下に行うことを特徴とする方法。【0017】項2.ペプチドグリカンを主体とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する方法であって、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を該原核細胞に接触させることにより、ポリヌクレオチドを該原核細胞に導入することを特徴とする請求項1に記載の方法。【0018】項3.トランスフェクション試薬が脂質を主成分とする試薬である請求項1に記載の方法。【0019】項4.トランスフェクション試薬がカチオンリポソームである請求項1に記載の方法。【0020】項5.原核細胞が大腸菌又はラン藻であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。【0021】項6.ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬を含むトランスフェクションキット。【0022】【発明の実施の形態】本発明のポリヌクレオチドを細胞に導入する方法は、ペプチドグリカンを細胞壁に有する原核細胞に、通常のトランスフェクション試薬、特に脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を使用することに特徴がある。【0023】本発明においてポリヌクレオチドが導入される原核細胞は、ペプチドグリカン又はペプチドグリカンに類似する物質を細胞壁に有する原核細胞であり、例えば、大腸菌、枯草菌等を含む細菌類、ラン藻類等が挙げられる。その中でも、利便性等の点から大腸菌、ラン藻類等が好ましい。【0024】大腸菌の種類は限定されず、例えば、通常遺伝子組換えに使用されているDH5α、DH10B、BL21(DE3)等のK12株由来のものを挙げることができる。また、ラン藻類の種類も限定されず、例えば、シネココッカス、シネコキスチス、スピルリナ等を挙げることができる。【0025】学校・大学教育用に使用する場合は、病原性を示さず、伝播性を有さない菌株が必要である。例えば、大腸菌 E.coli K12株、その誘導体等を挙げることができる。また、宿主ベクター系については、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」に記載されている宿主ベクター系を用いることが必要である。この宿主ベクターとしては、例えば、B1、B2レベルの認定宿主ベクター系、大腸菌K12株系、χ1776などを例示できる。【0026】本明細書において、ポリヌクレオチドとは各種DNAを含み、例えば、自己増殖するプラスミド、PCR断片等も含むものとする。ポリヌクレオチドの種類、調製法等は特に限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。【0027】得られたポリヌクレオチドを原核細胞に導入する際に、トランスフェクション試薬を用いることが必要である。トランスフェクション試薬は一般に動物の培養細胞に使用されるトランスフェクション試薬を用いることができ、脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を用いることが好ましく、カチオンリポソームを主成分とするものが特に好ましい。【0028】本明細書において、脂質としては、限定されるものではなく、例えば、単純脂質、複合脂質、誘導脂質、リポ多糖、リポタンパク質、ステロイド、カルテノイド、テルぺノイド等も含むものとする。【0029】また、カチオンリポソームとは、例えば、不飽和度が低い炭素分子鎖を主体とする分子の片端にカチオンとなる原子団(カチオン荷電分子)を有する荷電した分子を意味する。【0030】炭素分子鎖を主体とする分子の例として、炭素数12〜20、二重結合の数が0〜4の脂肪酸の他に、官能基を有するベンゼン環、窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等や、(S)-2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-4-カルボン酸((S)-2-methyl-1,4,5,6-tetrahydropyrimidine-4-carboxylic acid)、(S)-2-メチル-5-ヒドロキシ-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-4-カルボン酸((S)-2-methyl-5-hydroxy-1,4,5,6-tetrahydropyrimidine-4-carboxylic acid)等が例示できる。これらを単独で使用することもできるし、2種以上使用することもできる。【0031】カチオン荷電分子とは、カチオンに荷電する分子をいい、例えば、アミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。これらも単独で使用しても良いし、2種以上用いても良い。【0032】炭素分子鎖を主体とする分子とカチオン荷電分子とは、任意の組み合わせで用いることができ、これらを結合させる方法は適宜選択することができる。【0033】脂質を主成分とする具体的なトランスフェクション試薬としては、例えば、DOTAP(N-[1-(2,3-dioleoyloxy)propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)、DOSFER(1,3-Di-Oleoxyloxy-2-(6-Carboxy-spermyl)-propylamid)、Transome(登録商標)、FuGENE(登録商標)6等を例示することができる。【0034】ポリヌクレオチドを原核細胞に導入する際には、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬をあらかじめ室温で混合し、複合体を形成させることが好ましい。ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とを混ぜ合わせる割合は、ポリヌクレオチドの種類、用いるトランスフェクション試薬の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリヌクレオチド1μgあたり脂質成分として1〜1000μg程度が例示できる。【0035】また、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とを混ぜる方法は、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬とが複合体を形成する限り限定されないが、例えばマイクロチューブのようなケースにカチオンリポソームを含む溶液を予め入れておき、必要量のポリヌクレオチドを含む溶液を添加し、必要に応じて軽く混和し、約1分以上、好ましくは10〜15分間程度、例えば室温で静置すればよい。【0036】上記のようにして得られた複合体を、原核細胞に接触させてポリヌクレオチドを原核細胞に導入する。複合体と原核細胞とを接触させる方法としては限定されるものではなく、例えば、以下に示すような方法が例示できる。【0037】(I)方法1(図1;中ルート)本発明における方法1を中ルートに例示するが、これは単なる例示であり、実験条件等はこれらに限定されない。また、左ルートは従来の化学法に関する実験手順を例示するものである。【0038】例えば、ミリQ水、HEPES 1mM pH7.0、0.5Mマンニトール液等のような低塩濃度液中に予め原核細胞を懸濁しておき、その後、その原核細胞を複合体と接触させればよい。この操作は、好ましくは0〜5℃程度の温度下、例えば氷上で行うことが好ましい。【0039】原核細胞と複合体とを接触させる方法も限定されず、細胞の希釈液に複合体を添加してもよいし、また、逆に複合体に細胞の希釈液を添加してもよい。このようにして得られた複合体と細胞との混合物を必要に応じて軽く混和し、1〜10分程度、好ましくは2〜8分程度、更に好ましくは5分程度静置すればよい。複合体と原核細胞とを接触させる際の条件としても特に限定されるものではなく、菌体の生育可能温度であればよく、好ましくは約0〜5℃程度の温度下、例えば氷上で行うことが好ましい。【0040】原核細胞と複合体との混合割合も、使用する細胞の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、細胞1×109個あたり、ポリヌクレオチド1〜100ng程度、好ましくは1〜10ng程度になるようにすることができる。【0041】その後、例えば、SOC培地のような賦活培地中で、37℃程度で20分〜2時間程度、好ましくは1時間程度振盪培養することが好ましい。次いで、選択培地で細胞を培養し、ポリヌクレオチドが原核細胞に導入されたことを、公知の方法により確認することができる。例えば、抗生物質耐性などによる確認、PCRによるポリヌクレオチドの検出が挙げられる。【0042】ポリヌクレオチドの中に挿入できる遺伝子としては、例えば、アンピシリン(Ampicillin)耐性遺伝子やカナマイシン(Kanamycin)耐性遺伝子やクロラムフェニコール(Chloramphenicol)耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子、構造遺伝子、調節遺伝子等、種々のポリヌクレオチドが挙げられる。【0043】上記の抗生物質耐性遺伝子と共に、例えばGFP遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等の遺伝子を導入してもよい。これらの遺伝子も同時に導入することにより、蛍光発色や、発光等により、遺伝子が導入されたことが細胞の外観から更にわかりやすくなるからである。【0044】この方法1によれば、真核細胞にポリヌクレオチドを導入する際に通常使用されているリポフェクション試薬を用いることにより、非常に高い効率で原核細胞にポリヌクレオチドが導入できる。【0045】(II)方法2(図1;右ルート)本発明における方法2を右ルートに例示するが、上記と同様に単なる例示であり、実験条件等はこれらに限定されない。【0046】LB培地等のような、大腸菌などの原核細胞を培養する通常の培地で培養した原核細胞を、SOC培地等のような低塩濃度の賦活培地で、例えばOD600=0.6程度になるまで振盪培養する。その後、該賦活培地中にポリヌクレオチドとリポフェクション試薬との複合体を添加し、更に振盪培養する。【0047】このときの実験条件は実験の目的等に応じて適宜選択される。例えば、細胞1×109個あたり、ポリヌクレオチド1〜100ng程度、好ましくは1〜10ng程度になるようにすることができる。原核細胞と複合体との混合物を振盪培養する時間としては限定されず、適宜選択することができる。例えば、5分〜1時間程度、好ましくは10分〜1時間程度、更に好ましくは30分〜1時間程度が挙げられる。【0048】上記のようにして得られた原核細胞は、上記の方法(I)と同様に選択培地に培養し、ポリヌクレオチドが原核細胞に導入されたことを確認することができる。【0049】この方法2(図1の右ルート)によれば、従来の化学法(図1の左ルート)のように、原核細胞の回収(集菌)、細胞の化学的処理、原核細胞とDNAとの混合、ヒートショック、賦活培養等の煩雑でしかも数多くの工程を省略することができ、非常に簡便に原核細胞にポリヌクレオチドの導入を行うことができる。この方法は、本発明の方法1よりも更に簡便な方法である。そのため、学校、大学の教育に使用するための方法等としても非常に有用である。【0050】また、学校・大学教育用に本発明の方法を使用するためには、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」に規定されているような手法に従って実験を行うことが必要である。【0051】また、実験に使用した器具、細胞等の後片付けについても、文部科学省告示第5号「組換えDNA実験指針」付属資料4の教育目的組換えDNA実験に係わる実験実施規定に従って行うことが必要である。例えば、実験終了後煮沸又は消毒液の投入等の措置により組換え体を滅菌し、組換え体の付着した器具などは消毒又は滅菌することが必要である。【0052】更に、上記のポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体は冷蔵又は冷凍保存することができ、必要なときに使用することができ、トランスフェクションキットしても用いることができる。【0053】また、学校・大学教育用に簡便に実験を行うために、例えば、ポリヌクレオチドとトランスフェクション試薬との複合体、宿主細胞、培地、実験を行うための器具、殺菌用の試薬等をセットにすると、そのセットがあれば実験を行うことができ、便利である。【0054】【実施例】以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明瞭にする。【0055】実施例1:DH5α DOTAP10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注する。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy) propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0056】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、ミリQ水を用いて5倍に希釈した前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0057】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり3.7×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0058】実施例2:DH5α DOTAP10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方には、トランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy) propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0059】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上にて5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0060】トランスフェクション試薬を混ぜた方ではpUC19 DNA 1μgあたり1.9×105株のアンピシリンン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0061】実施例3:DH5α DOSFER10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3-Di-Oleoxyloxy-2-(6-Carboxy-spermyl)-propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0062】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上で5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0063】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり6.9×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0064】実施例4:DH5α FuGENE(登録商標)610ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬として FuGENE(登録商標)6 Transfection Reagent(Roche社、非リポソーマル型)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0065】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を氷上で、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分おいた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0066】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり1.0×105株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0067】実施例5:DH5α Transome(登録商標)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、マイクロチューブ2本に5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬としてカチオンリポソーム Transome(登録商標)(ニッポンジーン社、Small Uniamellar Vesicleタイプ)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0068】大腸菌エレクトロコンピテントセルDH5α(TAKARA、1×1010個cells/ml)を用いて、氷上にてHEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記のDNA溶液にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0069】トランスフェクション試薬を混ぜた方では, pUC19 DNA 1μgあたり7.1×104株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0070】実施例6:DH10B10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、マイクロチューブ2本に5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬としてカチオンリポソーム DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy)propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0071】大腸菌DH10B株をSB培地にて培養し、OD600約0.6で回収し、ミリQ水にて数回洗浄し、最後は10%グリセロール溶液にて懸濁し、エレクトロコンピテント細胞を自製し、50μlずつ分注し、-80℃にて保存した。【0072】氷上でコンピテント細胞を融解し、HEPES 1mM pH7.0及びマンニトール0.5Mを含む溶液を用いて5倍に希釈した。前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分おいた。そこに37℃に温めておいたSOC培地1mlを加え、37℃で1時間振盪培養し、アンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0073】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり7.8×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0074】実施例7:Spirulina platensisクロラムフェニコール耐性プラスミドpHSG397より、クロラムフェニコール耐性遺伝子部をPCR法により増幅するためのプライマーを設計し、同プラスミドをテンプレートとして増幅した。【0075】PCR産物をDNA精製カラムS-400(アマシャムファルマシア社)により精製し、濃度を50 ng/μlに調整し準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬として DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy)propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温で混合し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0076】Spirulina platensis IAM M135株をSOT培地で培養し、OD550が約0.6の時点で回収し、ミリQ水にて数回洗浄し、最後は10%グリセロール溶液にて懸濁した。【0077】前記の複合体にそれぞれ50μlずつ加え、氷上に5分置いた。そこに30℃に温めておいたSOT培地1mlを加え、30℃で一晩暗所にて培養し、0.5μg/mlクロラムフェニコールを含むSOT培地に植菌し、30℃で弱光下1週間培養した。【0078】僅かに増殖してきている菌体を回収し、ゲノムを回収し、PCRにてクロラムフェニコール遺伝子の存在を確認したところ、トランスフェクション試薬を共存させたものについてのみクロラムフェニコール遺伝子の存在を確認した。【0079】実施例8:DH5α DOTAP SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy) propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0080】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体又はポリヌクレオチドを加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0081】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.5×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0082】実施例9:DH5α DOTAP SOC混合培養(定常期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy) propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0083】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=3.0まで37℃で振とう培養する。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体又はポリヌクレオチドを加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0084】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり3.0×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0085】実施例10:DH5α DOSFER SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3-Di-Oleoxyloxy-2-(6-Carboxy-spermyl)-propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0086】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続ける。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0087】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.2×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0088】実施例11:DH5α DOSPER SOC混合培養(定常期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方にはトランスフェクション試薬 DOSFER Liposomal Transfection Reagent(Roche社、ダイカチオニックタイプ、1,3-Di-Oleoxyloxy-2-(6-Carboxy-spermyl)-propylamid)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置して、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0089】大腸菌DH5αを一晩LB培地にて培養したものからSOC培地に植菌し、OD600=3.0まで37℃で振とう培養した。ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0090】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.5×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0091】実施例12:DH10B DOTAP SOC混合培養(対数増殖期)10ng/μlの自律増殖するプラスミドpUC19を準備し、2本のマイクロチューブに5μlずつ分注した。一方には、トランスフェクション試薬 DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Roche社、モノカチオニックタイプ、N-[1-(2,3-dioleoyloxy) propyl]-N,N,N-trimethylammonium methyl sulfate)3.0μl、他方にはミリQ水3.0μlを加え、室温にて混合し5分放置し、ポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体を得た。【0092】大腸菌DH10Bを一晩LB培地にて培養したものをSOC培地に植菌し、OD600=0.6まで培養した後、ここにポリヌクレオチド及びトランスフェクション試薬の複合体(もしくはポリヌクレオチド)を加え、さらに30分培養を続けた。これを、アンピシリンを含むLB培地プレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。【0093】トランスフェクション試薬を混ぜた方では、pUC19 DNA 1μgあたり2.0×102株のアンピシリン耐性の形質転換株が得られた。なお、トランスフェクション試薬を含まない方では全く形質転換株は検出されなかった。【0094】【発明の効果】本発明のポリヌクレオチドを原核細胞に導入する方法によれば、ペプチドグリカンを主成分とする細胞壁を有する原核細胞にポリヌクレオチドを導入する際に、トランスフェクション試薬を使用することにより、簡便に、効率良く導入することができる。【0095】また、本発明の方法は、操作が簡便なので熟練した技術を要さず、特殊な器具等も使用しなくてすむので、誰でも行うことができる。例えば、小学校、中学校、高校、大学、専門学校等における実験、実習等にも使用することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の実験の方法を例示する図である。 塩化カルシウム溶液で処理されていない大腸菌にポリヌクレオチドを導入する方法であって、ポリヌクレオチド、及び脂質を主成分とするトランスフェクション試薬を前記大腸菌と混合、接触させる操作のみにより、ポリヌクレオチドを大腸菌に導入する方法。 トランスフェクション試薬がカチオンリポソームである請求項1に記載の方法。


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