生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_球状遷移金属錯体およびその製造方法
出願番号:2002320062
年次:2007
IPC分類:C07F 15/00,C07D 213/36,C07D 401/14,C07D 405/14,C07D 473/18,C07D 487/22,C07F 1/08,C07F 3/06,C07F 15/02,C07F 15/04,C07F 15/06,C07H 17/02


特許情報キャッシュ

藤田 誠 富永 昌英 山口 健太郎 鈴木 桂祐 坂本 茂 JP 3892796 特許公報(B2) 20061215 2002320062 20021101 球状遷移金属錯体およびその製造方法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 宮本 晴視 100110168 藤田 誠 富永 昌英 山口 健太郎 鈴木 桂祐 坂本 茂 20070314 C07F 15/00 20060101AFI20070222BHJP C07D 213/36 20060101ALI20070222BHJP C07D 401/14 20060101ALI20070222BHJP C07D 405/14 20060101ALI20070222BHJP C07D 473/18 20060101ALI20070222BHJP C07D 487/22 20060101ALI20070222BHJP C07F 1/08 20060101ALI20070222BHJP C07F 3/06 20060101ALI20070222BHJP C07F 15/02 20060101ALI20070222BHJP C07F 15/04 20060101ALI20070222BHJP C07F 15/06 20060101ALI20070222BHJP C07H 17/02 20060101ALI20070222BHJP JPC07F15/00 CC07F15/00 AC07F15/00 DC07F15/00 FC07D213/36C07D401/14C07D405/14C07D473/18C07D487/22C07F1/08 CC07F3/06C07F15/02C07F15/04C07F15/06C07H17/02 C07F 15/00 C07D213/00 C07D401/00 C07D405/00 C07D473/00 C07D487/00 C07F 1/00 C07F 3/00 C07H 17/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開2000−086683(JP,A) 特開2000−086682(JP,A) 米国特許出願公開第2002/0120165(US,A1) 特開2003−055271(JP,A) 5 2004155660 20040603 10 20021101 特許法第30条第1項適用 2002年9月1日 錯体化学会発行の「第52回錯体化学討論会講演要旨集」に発表 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも一種の二価遷移金属化合物への少なくとも一種の二座有機配位分子の配位を駆動力として自己組織化により、前記遷移金属化合物における遷移金属の原子価に基づく配位特性および前記有機配位子分子の幾何学的な形状・広がりにより規定される直径約4〜14nmの中空の殻を有する新規な球状遷移金属錯体、前記錯体の製造および前記錯体の殻の外・内面に官能基による修飾化をした機能性を持った球状遷移金属錯体に関する。ここで、遷移金属化合物は、自己組織化の駆動力を発揮して二座有機配位分子に仮想直線を想定した場合に三角形、四角形、五角形と仮想できる少なくとの2種の構成要素から形成されている中空の殻を有する球状遷移金属錯体を形成する二価の遷移金属を含むものである。該球状遷移金属錯体はピレン、ポルフィリン、フェロセン、グアニンのような核酸塩基、グルコースなどの糖、アミノ酸、ペプチドで修飾することにより、前記修飾基により導入される、薬剤機能、酸化還元機能、生化学的機能などが発揮される有用な化合物とすることができる。このような修飾基を有する球状遷移金属は、前記自己組織化により球状遷移金属錯体を形成する二座有機配位分子に導入することにより、または球状遷移金属錯体を形成した後に導入することにより調製することができる。【0002】【従来の技術】二座または三座有機配位分子と遷移金属化合物類とから自己組織化により構築された、中空部の形状やサイズの異なる三次元金属錯体の技術、および前記三次元金属錯体を構築する種々の有機配位分子類と遷移金属化合物類との組み合わせた技術については、多くの報告がある。しかしながら、前記三次元金属錯体に関する報告は、主としてパネル状要素から構築された構造のものであり、球状形状の三次元金属錯体の形成についての報告は少ない。【0003】【非特許文献1】Chem.Commun.2002,(Advance Article)D01:10.1039/b206625b,Published by The Royal Society of Chemistry,02.10.3、p2486−2487【非特許文献2】Chem.Commun.2001,509−518【0004】前記非特許文献1は前記数少ない球状形状の三次元金属錯体に関するものである。しかしながら、この報告で使用される有機配位化合物は三配座化合物であり、従って形成される球体三次元金属錯体を形成する殻は三座化合物の中心を球面の頂点とする、前記中心を中心とする正三角形を想定した三角形からなる8面体対称構造の分子球体である。この構造の球状遷移金属錯体は、前記従来のパネルから構成される三次元金属錯体(前記非特許文献2)と同様にフレキシビリティが乏しい、換言すれば中空部の構造がリジッドな、ものであった。【0005】【発明が解決しようとする課題】前記のような中空三次元金属錯体の技術開発の中で、本発明の課題は、前記開発されたフレキシビリティの乏しい自己組織的に形成される中空三次元金属錯体の技術を改良した、比較的フレキシビリティが改善された球状遷移金属錯体の技術を提供することである。前記課題を解決するために、本発明者らは、前記自己組織的に形成される球状遷移金属錯体を形成する技術における、球状遷移金属錯体およびその官能基化の容易性の特性を利用することを鋭意検討した。検討の中で、自己組織的に形成される球状遷移中空構造は1,3−ビス(4−ピリジル)ベンゼンと硝酸パラジウムとをジメチルスルホキシド中に1時間70℃で撹拌することにより形成することができることを発見した。この調製方法で形成される球面の特徴は、前記二座配位化合物の1,3−ビス(4−ピリジル)ベンゼンの中心部が球面の頂点を構成し、この構造により比較的柔軟な中空部が形成されるということは予測しなかった現象であり、それを敷衍すべく二座有機配位子と類似の化合物類を検討し、遷移金属との反応により同様の構造を有する多くの化合物に適用できることを見出し、前記本発明の課題を解決した。【0006】【課題を解決するための手段】本発明の第1は、(1)少なくとも一種の二価遷移金属化合物Mと一般式1で表される二価の遷移金属化合物Mに結合する2つのN原子配位サイトを持つ少なくとも一種の二座有機配位分子Lとから自己組織化的に形成される一般式MnL2n、但し、nは6、12、24、30または60である、で表される直径約4〜14nmの中空の殻を有する球状遷移金属錯体である。好ましくは、(2)二価遷移金属化合物Mを構成する二価遷移金属がPt、Pd、Ni、Ru、Co、Fe、Os、Zn、およびCuから選択されることを特徴とする前記(1)記載の中空の殻を有する球状遷移金属錯体であり、【0007】【化4】【0008】ここで、Rは、下記の化合物群1【0009】【化5】【0010】XはH、メチル基、エチル基、プロピル基、または下記の化合物群2から選択される基、【0011】【化6】【0012】より選択される二座の基である。【0013】より好ましくは、(3)中空を形成する殻は二座有機配位分子Lに仮想直線を想定した場合に三角形、四角形、五角形と仮想できる少なくとの2種の構成要素から形成されていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の中空の殻を有する球状遷移金属錯体である。本発明の第2は、(4)少なくとも一種の二価遷移金属化合物Mと前記(1)に記載の一般式1で表される二価の遷移金属化合物Mに結合する2つのN原子配位サイトを持つ少なくとも一種の二座有機配位分子Lとを自己組織化的に形成させ、一般式MnL2n、但し、nは6、12、24、30または60である、で表される直径約4〜14nmの中空の殻を有する球状金属錯体を製造する方法であり、好ましくは、(5)二価遷移金属化合物Mを構成する二価遷移金属がPt、Pd、Ni、Ru、Co、Fe、Os、Zn、およびCuから選択されることを特徴とする前記(4)に記載の中空を形成する殻を有する球状遷移金属錯体を製造する方法である。【0014】【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。A.本発明の特徴をより詳細に説明する。本発明は、二座有機配位分子と遷移金属化合物から自己組織化により得られた球状遷移金属錯体、および前記球状遷移金属錯体を製造する方法に関する。この球状遷移金属錯体および前記球状遷移金属錯体を製造する方法の特徴は、(1)直径4〜14nmの巨大なサイズを有する球状中空構造である、(2)二座有機配位分子によって形成される球状遷移金属錯体の形状やサイズを制御することができる、更に、(3)二座有機配位子に、自己組織化の前または後に官能基を導入することにより三次元中空構造の外・内面を修飾することができる等の特徴がある。これを更に説明すると、自己集合反応では二座有機配位分子と遷移金属化合物の配位結合により、高効率で熱力学的に安定な36個の成分から構成された錯体の構築が可能となる。これは二座配位子が120°に折れ曲がっているために小さな錯体であると不安定になるため、巨大なサイズを有する化合物に一義的にかつ定量的に収束する。自己集合反応により二座有機配位分子Lと二価の遷移金属M化合物とから配位結合により構築される球状遷移金属錯体群を図1に示す。【0015】B.本発明の特徴は、二座有機配位分子へ化合物群Aなどのような官能基の導入が容易であることであり、球状遷移金属錯体の外・内面の修飾も可能である。これまでナノスケールサイズの化合物の表面や内面を修飾した例は限られており、合成することは極めて困難である。C.また、本発明で製造可能な球状遷移金属錯体は、二座有機配位分子と遷移金属化合物、自発的な集積化する駆動力を発揮する遷移金属錯体とを利用しているため、その形成(合成)は極めて簡便である。そのため、球状遷移金属錯体はグラムスケールでの大量合成も可能である。【0016】D.二価の遷移金属としては周期表8〜10属の遷移金属、好ましくPd,Pt,Cu,Ni,Fe,Zn,Ru,Cd,Coなどが挙げることができる。E.通常、ナノメートルスケールの球状の化合物を合成するためには、数ステップの繁雑な合成をしなければないないが、この反応を用いれば数グラムのオーダーで定量的および瞬時に合成することが可能である。F.二座有機配位分子は、請求項に記載のものであれば本発明の目的を達成することができることは当然であるが、具体的化合物として以下の化合物群Aを挙げることができる。【0017】【化7】【0018】【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、この例示により本発明が限定的に解釈されるものではない。実施例1重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)1.0mL中に硝酸パラジウムPd(NO3)2と1mmolと二座配位子1,3−ビス(4−ピリジル)ベンゼン2mmolを溶かし、1時間70度で撹拌した。その結果、球状遷移金属錯体1が86%の収率得られた。その1H−NMR(300MHz、DMSO−d6)を図2に示す。【0019】【化8】【0020】実施例2重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)1.0mL中に硝酸プラチナPt(NO3)2と1mmolと二座配位子2,5−ビス(4−ピリジル)フラン2mmolを溶かし、3日間70度で撹拌した。その結果、球状遷移金属錯体が98%の収率得られた。その1H−NMR(300MHz、DMSO−d6)を図3に示す。【0021】実施例3重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)1.0mL中に硝酸パラジウムPd(NO3)2と1mmolと二座配位子2,6−ビス(4−ピリジル)トリアジン2mmolを溶かし、3時間70度で撹拌した。その結果、球状遷移金属錯体が60%の収率得られた。その1H−NMR(300MHz、DMSO−d6)を図4に示す。【0022】実施例4重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)1.0mL中に硝酸パラジウムPd(NO3)2と1mmolと二座配位子1,3−ビス(4−ピリジル)−5−ベンゼン(1−ピレンメチル)エステル2mmolを溶かし、2時間70度で撹拌した。その結果、球状遷移金属錯体が92%の収率得られた。その1H−NMR(300MHz、DMSO−d6)を図5に示す。【0023】実施例5重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)1.0mL中に硝酸パラジウムPd(NO3)2と1mmolと二座配位子1,3−ビス(4−ピリジル)−5−ベンゼンエチルエステル2mmolを溶かし、2時間70度で撹拌した。その結果、球状遷移金属錯体が85%の収率得られた。その1H−NMR(300MHz、DMSO−d6)を図6に示す。【0024】【発明の効果】以上述べたように、この発明の製造方法によると、n個の遷移金属化合物と2n個の二座有機配位分子が自己集合反応により配位結合し球状遷移金属錯体を一義的かつ定量的に製造することができ、かつ、ピレンや−COOEt基を始めとして様々な官能基の導入が可能であり、これらの化合物類はセンサー、機能材料、医薬品として有用な化合物であることから、本発明は、産業上優れた効果をもたすものである。【図面の簡単な説明】【図1】自己集合反応により二座有機配位分子Lと二価の遷移金属M化合物とから配位結合により、二座有機配位分子Lに仮想直線を想定した場合に三角形、四角形、五角形と仮想できる構成要素から形成され構築される球状遷移金属錯体群【図2】実施例1における、生成物の1H−NMR【図3】実施例2における、生成物の1H−NMR【図4】実施例3における、生成物の1H−NMR【図5】実施例4における、生成物の1H−NMR【図6】実施例5における、生成物の1H−NMR 少なくとも一種の二価遷移金属化合物Mと一般式1で表される二価の遷移金属化合物Mに結合する2つのN原子配位サイトを持つ少なくとも一種の二座有機配位分子Lとから自己組織化的に形成される一般式MnL2n、但し、nは6、12、24、30または60である、で表される直径約4〜14nmの中空の殻を有する球状遷移金属錯体。ここで、Rは、下記の化合物群1 化合物群1XはH、メチル基、エチル基、プロピル基、または下記の化合物群2から選択される基、 化合物群2より選択される二座の基である。 二価遷移金属化合物Mを構成する二価遷移金属がPt、Pd、Ni、Ru、Co、Fe、Os、Zn、およびCuから選択されることを特徴とする請求項1に記載の中空の殻を有する球状金属錯体。 中空を形成する殻は二座有機配位分子Lに仮想直線を想定した場合に三角形、四角形、五角形と仮想できる少なくとの2種の構成要素から形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の中空の殻を有する球状遷移金属錯体。 少なくとも一種の二価遷移金属化合物Mと請求項1に記載の一般式1で表される二価の遷移金属化合物Mに結合する2つのN原子配位サイトを持つ少なくとも一種の二座有機配位分子Lとを自己組織化的に形成させ、一般式MnL2n、但し、nは6、12、24、30または60である、で表される直径約4〜14nmの中空の殻を有する球状金属錯体を製造する方法。 二価遷移金属化合物Mを構成する二価遷移金属がPt、Pd、Ni、Ru、Co、Fe、Os、Zn、およびCuから選択されることを特徴とする請求項4に記載の中空を形成する殻を有する球状遷移金属錯体を製造する方法。


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