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タイトル:特許公報(B2)_粉末又は顆粒状浴用剤
出願番号:2002300191
年次:2007
IPC分類:A61K 8/362,A61K 8/19,A61K 8/02,A61Q 19/10


特許情報キャッシュ

木村 光利 田中 規弘 冨士 英清 渡邊 穣 JP 3934526 特許公報(B2) 20070330 2002300191 20021015 粉末又は顆粒状浴用剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 木村 光利 田中 規弘 冨士 英清 渡邊 穣 20070620 A61K 8/362 20060101AFI20070531BHJP A61K 8/19 20060101ALI20070531BHJP A61K 8/02 20060101ALI20070531BHJP A61Q 19/10 20060101ALI20070531BHJP JPA61K8/362A61K8/19A61K8/02A61Q19/10 A61K 8/00- 8/99 A61Q 1/00-99/00 特開平11−047220(JP,A) 特開平06−199652(JP,A) 特開2004−083584(JP,A) 1 2004131455 20040430 6 20050125 天野 貴子 【0001】【発明の属する技術の分野】本発明は、粉末又は顆粒状浴用剤、更に詳しくは浴湯に投入した際に炭酸ガスを発生し、溶解させることができる粉末又は顆粒状浴用剤に関するものである。【0002】【従来の技術】入浴剤は、浴湯に香り、色調を与えたり、皮膚に適度な刺激を与えることにより、血液の循環を活発にし、疲労回復、新陳代謝を増進させるものである。また、炭酸ガスを発生させ、浴湯に溶解させることにより、皮膚に炭酸ガスが浸透し、末梢血管を広げて血行を促進する効果、保温効果、爽快感付与効果等を有する。このため、炭酸塩又は炭酸水素塩と有機酸とを配合し、浴湯に溶解することにより炭酸ガスが発生する、粉末状又は錠剤型の入浴剤(例えば特許文献1〜5参照)が市販されている。【0003】【特許文献1】特開平11−47220号公報【特許文献2】特開昭59−70609号公報【特許文献3】特開平60−185710号公報【特許文献4】特開平60−215612号公報【特許文献5】特開平9−2942号公報【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記入浴剤は、浴湯へ投入した際に発生する炭酸ガスの発泡により、粘膜刺激性のある有機酸が飛散し、これを吸い込むことによる「むせ」を生じることが知られており、現在は主に錠剤など大きな固形物として使用することで有機酸の飛散を防止し、この問題を回避している。しかし、粉末又は顆粒状のものは、錠剤に比べて溶解性に優れるため短時間に炭酸ガスを発生し、かつ浴湯へ投入した際の発泡挙動、特に発泡時の音等に嗜好性があり、粉末又は顆粒状タイプの需要性が高い。そのため、「むせ」を生じない粉末又は顆粒状の発泡型入浴剤が望まれていた。【0005】そこで本発明は、血行促進効果等を発揮するに十分な量の炭酸ガスを短時間に溶解させることができると共に、むせを防止する粉末又は顆粒状浴用剤を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】かかる実状に鑑み種々検討した結果、本発明者らは、有機酸の中でも、フマル酸又はコハク酸は金属腐食性が低く、またこれらの粉末のうち粒径が一定の範囲であるものと炭酸塩又は炭酸水素塩とを組み合せることにより、粘膜刺激性が低く、気管など呼吸器系の粘膜に付着しても「むせ」を生じにくい効果が高い粉末又は顆粒状浴用剤が得られることを見出した。【0007】 すなわち本発明は、次の成分(A)及び(B)、(A)粒径125μm以下の粉末の含有量が10重量%以下であるフマル酸 35〜65重量%、(B)粒径1μm〜3mmの炭酸塩又は炭酸水素塩 20〜70重量%を含有する粉末又は顆粒状浴用剤を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明の粉末又は顆粒状浴用剤は、上記(A)及び(B)を含み、全体としての粒径が1μm〜3mm程度のものをいう。そして、中でも(A)フマル酸又はコハク酸の粒径が125μm以下の粉末の含有量を10重量%以下、特に5重量%以下とすることにより、「むせ」の防止を発揮するものである。125μm以下の粉末が10重量%以下の量であれば、浴湯に添加した時の粒子の溶解速度が抑制され、しかもフマル酸又はコハク酸と炭酸塩との反応が急激すぎることがなく、発泡の勢いが抑制され、有機酸の飛散を防止するため「むせ」を生じにくい。フマル酸又はコハク酸の粒径は1μm〜3mm、特に1μm〜1mmの範囲のものを使用するのが好ましい。更に、粘膜の刺激性の観点から、フマル酸の方がコハク酸よりも好ましい。すなわち、粒径の制御の効果の点からは、フマル酸よりもコハク酸において特に有効である。【0009】本発明浴用剤中の成分(A)の含有量は、炭酸ガス発生量の点から35〜65重量%、特に40〜60重量%が好ましい。【0010】粒径は、TOKYO SCREEN Co.Ltd製のTESTING SIEVE(目開き:45μm〜2mm/JIS Z8801)を用いて測定した。振とう機により5分間振とう(80〜120サイクル/分、振幅30mm)し、篩上に残った粒子の重量により粒度分布を求めた。また、目開き125μmおよびそれ以下の目開きの篩上の粉体の合計(重量比)をもって、125μm以下の粉末量とした。【0011】(B)炭酸塩又は炭酸水素塩は、粒径1μm〜3mmのものを使用可能であるが、150μm〜1mmであることが好ましい。また、この範囲にある粒子が50重量%以上、特に60重量%以上、更に70重量%以上であることが特に好ましい。粒径150μm〜1mmの粒子が50重量%以上であれば、浴湯に添加したときの溶解時間が長すぎることがなく、短時間で浴湯中に炭酸ガスを十分に溶解させることができ、しかもフマル酸又はコハク酸と炭酸塩又は炭酸水素塩との反応が急激すぎることがなく、発泡の勢いが抑制され、有機酸の飛散を防止するため「むせ」を生じにくい。なお、炭酸塩又は炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。【0012】本発明浴用剤中の成分(B)の含有量は、炭酸ガス発生量の点から20〜70重量%、特に35〜55重量%が好ましい。【0013】更に、浴湯に添加した際のフマル酸又はコハク酸の飛散を防止する効果を高める目的で、水溶性高分子を配合することが効果的である。従来、水溶性高分子は、粉末粒子にコーティングすることにより、湿気が存在しても有機酸と反応して炭酸ガスが発生することを抑制し、保存安定性を向上させるため、又は、粉末同士を結合させ、錠剤又はある程度の粒子径とするために用いられていた。しかし、本発明においては、水溶性高分子は上記粉末をコーティングする必要はない。「むせ」を防止するためには、その原因となる有機酸微粉末の水面からの飛散を抑制すればよい。上記成分(A)、(B)及び水溶性高分子を混合した浴用剤を粉体のまま浴湯に添加すると、最初に水溶性高分子が水面に浮き、吸水により膨潤することによりフマル酸又はコハク酸の飛散防止に効果を発揮する。また、フマル酸又はコハク酸及び炭酸塩又は炭酸水素塩の粉体の浴湯への分散性も向上し、より短時間に炭酸ガスの溶解が促進される。従って、水溶性高分子で有機酸及び炭酸塩又は炭酸水素塩をコーティングする必要はなく、粉体のまま単独で配合しても良いが、もちろん粉体にコーティングして使用することも可能である。粉体のまま配合する場合、その粒径は1μm〜3mmの範囲が好ましい。【0014】水溶性高分子の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、デンプン、寒天、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等が挙げられ、中でも水面で膨潤して高粘度の膜を作るという観点から、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。これらは1種又は2種以上用いても良い。また、本発明浴用剤中のこれら水溶性高分子の含有量は、フマル酸又はコハク酸の飛散防止効果、及び浴湯のぬるつき防止、浴槽の滑り抑制、浴湯の増粘防止、感触低下防止の点で0.001〜5重量%、特に0.1〜1重量%が好ましい。【0015】また、浴湯に添加した際のフマル酸又はコハク酸の飛散を防止する効果を高めるものとして、油性成分を配合することも効果的である。油性成分は、特に、製造時点において、フマル酸又はコハク酸に直接塗布した後に、他の材料と混合する方法により製造することが好ましい。すなわち、「むせ」に直接影響するフマル酸又はコハク酸を、油性成分により「ぬれ」させることにより、これらの微粉末の飛散を防止することができるからである。具体的な油性成分としては、流動パラフィン、白色ワセリン等の鉱物油;ケイヒ油、ベルガモ油、菖蒲油、ラベンダー油、オリーブ油、大豆油、パイン油、ヌカ油、米糠エキス、ホホバ油等の植物性油;イソプロピルミリステート等の脂肪酸エステル及びその他のエステル油、直鎖型、分岐型又は環状シリコーン、ジプロピレングリコール、2−エトキシエタノール、イソプロピルミリステート、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチルシトレート等が挙げられ、中でもフマル酸又はコハク酸との「ぬれ性」の観点から、ジプロピレングリコール、2−エトキシエタノール、イソプロピルミリステート、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチルシトレート、流動パラフィン、ケイヒ油、エステル油が好ましい。これらは1種又は2種以上用いても良い。また、本発明浴用剤中の油性成分の含有量は、フマル酸又はコハク酸の飛散防止効果、浴湯に添加した際の油浮き防止、ぬるつき防止、また粉末固着防止等の点から、0.01〜10重量%、特に0.2〜2重量%が好ましい。【0016】なお、本発明の粉末又は顆粒状浴用剤は、その0.01重量%水溶液の25℃におけるpHが5〜7、特に5.5〜6.5であることが好ましい。pHが5〜7であれば、発生した炭酸ガスが浴湯中に溶け込み易く、血行促進等の効果を発揮するからである。【0017】本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常浴用剤に用いられている成分を添加することができる。例えば、硫酸マグネシウム等の無機塩類、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、ビタミンA等のビタミン類、ペプシン等の蛋白分解酵素、着色料、香料等が挙げられる。【0018】【実施例】 表1に示す配合で、粉末状浴用剤を常法に従って製造した。 なお、表1中実施例1〜3は、特許請求の範囲外の参考例である。【0019】<粒径125μm以下の割合の測定法>粉末状浴用剤中の粒径125μm以下の粉末の含有量は、目開き125μmの篩を用い、篩を通過した粒子の重量の全粒子重量あたりの割合を計算することにより求めた。<むせの評価方法>20〜50才の女性合計10名のパネラーを用いて、得られた粉末状浴用剤40gを、150Lのお湯(40℃)に投入し、投入後入浴し、溶解終了までに発生する「むせ」を、下記の基準で評価した。<むせの評価基準>5:全くむせない4:一時的にややむせる3:一時的にむせる2:やや長時間むせる1:長時間むせる【0020】【表1】【0021】その結果、表1に示すように実施例1〜4の場合は、比較例1〜4の場合と比べて「むせ」の評価が良く、よりむせない粉末状浴用剤であることが確認された。【0022】【発明の効果】本発明によれば、浴湯に投入した際に、有機酸によるむせを生ずることのない粉末状浴用剤を得ることができる。 次の成分(A)及び(B)、(A)粒径125μm以下の粉末の含有量が10重量%以下であるフマル酸 35〜65重量%、(B)粒径1μm〜3mmの炭酸塩又は炭酸水素塩 20〜70重量%を含有する粉末又は顆粒状浴用剤。


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