生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_プロカテロールドライシロップ製剤
出願番号:2002299894
年次:2008
IPC分類:A61K 31/4704,A61K 9/14,A61K 47/12,A61K 47/22,A61P 11/00,A61P 11/06


特許情報キャッシュ

岡村 章夫 関 一 JP 4088772 特許公報(B2) 20080307 2002299894 20021015 プロカテロールドライシロップ製剤 大塚製薬株式会社 000206956 三枝 英二 100065215 中野 睦子 100108084 林 雅仁 100115484 岡村 章夫 関 一 20080521 A61K 31/4704 20060101AFI20080424BHJP A61K 9/14 20060101ALI20080424BHJP A61K 47/12 20060101ALI20080424BHJP A61K 47/22 20060101ALI20080424BHJP A61P 11/00 20060101ALI20080424BHJP A61P 11/06 20060101ALI20080424BHJP JPA61K31/4704A61K9/14A61K47/12A61K47/22A61P11/00A61P11/06 特開2000−086520(JP,A) 特開2002−322061(JP,A) 気管支拡張剤 メプチンシロップ 5μg/ml(塩酸プロカテロールシロップ),日本,2006年 6月,URL,http://www.otsuka.co.jp/medical/di/tenpu/m33bnotk.pdf 日本医薬品添加剤協会編,医薬品添加剤事典,日本,株式会社薬事日報社,1994年 1月14日,第1版,2−3 医薬品添加物ハンドブック,日本,丸善株式会社,1989年 3月30日,3−6,81−83 気管支拡張剤 メプチン ドライシロップ0.005%(塩酸プロカテロールシロップ),日本,2006年 6月,URL,http://www.otsuka.co.jp/medical/di/tenpu/mpdbnotk.pdf?PHPSESSID=734803866f963a40037084bbd0b5e9ed 1 2004131451 20040430 8 20040519 福井 悟 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、プロカテロールドライシロップ製剤に関する。【0002】【従来の技術】プロカテロール及びその塩は、気管支拡張作用を有し(特許文献1)、気管支炎、気管支喘息等の呼吸器疾患の治療に広く使用されている。【0003】医薬品製剤の形態としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の各種の形態が挙げられるが、小児用の製剤形態としてはシロップ剤又はドライシロップ剤であることが望ましい。シロップ剤及びドライシロップ剤は、小児だけでなく、高齢者にも服用しやすい製剤である。特に、ドライシロップ剤は、粉末状であるために、分包及び秤量が容易であり、また携帯に便利であるという利点がある。【0004】【特許文献1】特開昭60−120864号公報(特許請求の範囲)【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、プロカテロールドライシロップ製剤を開発すべく、鋭意研究を重ねてきた。その研究過程において、次のような知見を得た。【0006】ドライシロップ剤を服用する際には、水で希釈することが必要になる。水は、通常水道水が用いられることが多い。水道水には遊離残留塩素が存在しているが、この遊離残留塩素の存在により、プロカテロール又はその塩が瞬時にして分解されるのが避けられない。プロカテロールドライシロップ製剤を水道水で希釈してシロップ剤を調製する際に、有効成分であるプロカテロール又はその塩の殆どが分解されてしまうので、製剤として無意味なものとなる。【0007】本発明は、プロカテロールドライシロップ製剤を水道水で希釈してシロップ剤を調製する際に、有効成分であるプロカテロール又はその塩が分解され難いプロカテロールドライシロップ製剤を提供することを課題とする。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、水道水で希釈した場合においても、有効成分であるプロカテロール又はその塩が分解され難いプロカテロールドライシロップ製剤を開発すべく、鋭意研究を重ねるうち、プロカテロール又はその塩にアスコルビン酸類を配合する場合に、アスコルビン酸類が水道水での希釈時にプロカテロール又はその塩の分解を抑制するので、所望のプロカテロールドライシロップ製剤が得られることを見い出した。【0009】ところが、その後の研究において、アスコルビン酸類は保存安定性に乏しく、そのためにプロカテロール又はその塩にアスコルビン酸類を配合した製剤を長期に亘って保存しておくと、アスコルビン酸類が分解し、その結果所望のプロカテロールドライシロップ製剤になり得なくなることが判明した。【0010】本発明者らは、更に研究を重ねた結果、プロカテロール又はその塩にアスコルビン酸類を配合した製剤に特定量のクエン酸を含有させると、アスコルビン酸類の保存安定性が向上し、その結果、長期間保存した場合でも、プロカテロール又はその塩の分解を大幅に抑制し得るプロカテロールドライシロップ製剤が得られるという知見を得た。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。1.本発明は、プロカテロール及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種、アスコルビン酸類及びクエン酸を含有し、製剤中のクエン酸含有量が0.001〜0.03重量%であるプロカテロールドライシロップ製剤である。2.本発明は、製剤中のクエン酸含有量が0.001〜0.01重量%である上記1に記載のプロカテロールドライシロップ製剤である。3.本発明は、製剤中のクエン酸含有量が0.002〜0.005重量%である上記2に記載のプロカテロールドライシロップ製剤である。【0011】【発明の実施の形態】本発明のプロカテロールドライシロップ製剤の有効成分は、プロカテロール及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種である。【0012】プロカテロールの塩には、通常の医薬的に許容される酸付加塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等が包含される。プロカテロールの塩としては、塩酸塩である塩酸プロカテロールが好ましい。【0013】本発明製剤中におけるプロカテロール及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の含有量は、特に制限されるものではないが、本発明製剤中に、通常0.001〜0.1重量%程度、好ましくは0.002〜0.05重量%程度、より好ましくは0.005〜0.01重量%程度である。【0014】アスコルビン酸類としては、例えばアスコルビン酸、イソアスコルビン酸(エリソルビン酸)等が挙げられる。これらのうち、アスコルビン酸が好ましい。【0015】本発明製剤中におけるアスコルビン酸類の含有量は、特に制限されるものではないが、本発明製剤中に、通常0.03〜10重量%程度、好ましくは0.05〜5重量%程度、より好ましくは0.1〜2重量%程度である。【0016】本発明製剤には、更にクエン酸を配合する。プロカテロールは加水分解を受け易い不安定な化合物であるが、アスコルビン酸類を配合することにより、プロカテロールの分解を防止又は抑制している。ところが、アスコルビン酸類は保存安定性に乏しく、それ故長期保存によりアスコルビン酸類が分解して他の化合物に変化する結果、プロカテロールの分解を防止又は抑制する作用が低下する場合がある。そこで本発明ではクエン酸を配合する。クエン酸の配合により、アスコルビン酸類の安定性が向上し、その結果本発明製剤の保存安定性が向上する。しかし、クエン酸の配合量が多くなり過ぎると、プロカテロールが分解してスレオ体が生成する割合が多くなる傾向となる。そのため、本発明製剤中におけるクエン酸含有量は、通常0.001〜0.03重量%程度、好ましくは0.001〜0.01重量%程度、より好ましくは0.002〜0.005重量%程度とするのがよい。【0017】本発明製剤は、上記成分の他、賦形剤として糖類、糖アルコール等を含有している。本発明製剤中における賦形剤の含有量は、本発明製剤から上記有効成分、アスコルビン酸類及びクエン酸の合計量を差し引いた量である。【0018】糖類としては、公知のものを広く使用でき、例えばブドウ糖、果糖、白糖等が挙げられる。糖アルコールとしては、公知のものを広く使用でき、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等が挙げられる。好ましい糖類は白糖であり、好ましい糖アルコールはマンニトールである。【0019】これら賦形剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。【0020】本発明製剤には、更に必要に応じて、pH調整剤、流動化剤等の各種添加剤を含有させることができる。pH調整剤としては、公知のものを広く使用でき、例えばコハク酸、蓚酸、リンゴ酸等が挙げられる。流動化剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば軽質無水ケイ酸等が挙げられる。これら各種添加剤は、上記で用いられる賦形剤の一部に置き換えて、本発明製剤中に含有させればよい。【0021】本発明製剤は、上記各成分を任意の順序で混合することにより製造される。また、本発明製剤は、上記各成分を精製水等の水その他の溶媒に溶解又は分散し、自然乾燥、温風乾燥等の公知の手段に従い乾燥することによっても製造される。【0022】本発明製剤を使用するに当たっては、水、例えば水道水を用いて本発明製剤を通常1〜100倍程度、好ましくは2〜20倍程度に希釈すればよい。【0023】本発明のプロカテロールドライシロップ製剤は、これを水道水で希釈しても、製剤中に含まれる有効成分であるプロカテロール又はその塩は殆ど分解されることはなく、プロカテロール又はその塩の残存率(%)は通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上である。【0024】【発明の効果】本発明のプロカテロールドライシロップ製剤は、これを水道水で希釈しても、製剤中に含まれる有効成分であるプロカテロール又はその塩は分解され難い。【0025】本発明のプロカテロールドライシロップ製剤にクエン酸を配合することにより、アスコルビン酸類の保存安定性が向上し、その結果、長期間保存した場合でも、プロカテロール又はその塩の分解を大幅に抑制し得るプロカテロールドライシロップ製剤を得ることができる。【0026】【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。【0027】実施例1〜2及び比較例1下記表1に示す配合で各成分を混合し、実施例1〜2及び比較例1のドライシロップ製剤を得た。【0028】【表1】【0029】試験例1上記実施例1〜2及び比較例1で得られた各ドライシロップ剤を、50℃で3ヶ月保存し、3ヶ月保存後の製剤中のアスコルビン酸含量を測定した。製造直後の製剤中のアスコルビン酸含量を基準(100%)にして、次式に従い、アスコルビン酸の残存率(%)を算出した。結果を表2に示す。【0030】【数1】【0031】【表2】【0032】表2から次のことがわかる。クエン酸を配合しない(比較例1)場合に比べて、クエン酸を配合する(実施例1及び実施例2)ことにより、アスコルビン酸の残存率(%)を高くすることができる。また、クエン酸の配合量を増加させるに伴い、アスコルビン酸の残存率(%)を一層高くすることができる。【0033】試験例2上記実施例1〜2及び比較例1で得られた各ドライシロップ剤を、50℃で3ヶ月保存し、3ヶ月保存後の製剤中の塩酸プロカテロール含量を測定した。製造直後の製剤中の塩酸プロカテロール含量を基準(100%)にして、次式に従い、塩酸プロカテロールの残存率(%)を算出した。結果を表3に示す。【0034】また、3ヶ月保存後の製剤中の塩酸プロカテロールが分解してスレオ体及びアルデヒド体に変化した割合(%)を調べた。これらの結果も、表3に併せて示す。【0035】【数2】【0036】【表3】【0037】表3から明らかなように、クエン酸の添加により、高温での保存時に塩酸プロカテロールがアルデヒド体に分解することを抑制することができるが、実施例2のように、製剤中のクエン酸の配合量を0.02重量%以上とするときには、塩酸プロカテロールがスレオ体に分解される割合が増加することがわかる。これに対して、実施例1のように、製剤中のクエン酸の配合量が0.01重量%以下のときには、塩酸プロカテロールの残存率が高く、スレオ体及びアルデヒド体の含有割合が低いドライシロップ剤が得られることがわかる。【0038】参考製剤例1塩酸プロカテロール0.05mgに精製白糖500.00mg及びD−マンニトール499.95mgを混合して、ドライシロップ製剤を得た。【0039】参考製剤例2塩酸プロカテロール0.05mgにアスコルビン酸0.10mg、精製白糖500.00mg及びD−マンニトール499.85mgを混合して、ドライシロップ製剤を得た。【0040】参考製剤例3塩酸プロカテロール0.05mgにアスコルビン酸0.30mg、精製白糖500.00mg及びD−マンニトール499.65mgを混合して、ドライシロップ製剤を得た。【0041】参考製剤例4〜6アスコルビン酸の使用量をそれぞれ1.00mg、3.00mg、5.00mgとし、アスコルビン酸の増加量に見合う分をD−マンニトールの使用量から差し引く以外は、参考製剤例3と同様にして、ドライシロップ製剤を得た。【0042】上記参考製剤例1〜6の各製剤の配合を、下記表4にまとめて示す。【0043】【表4】【0044】試験例3上記参考製剤1〜6で得られた各ドライシロップ剤に水道水10mlを加えて希釈し、シロップ剤を調製した。希釈後、各シロップ剤中の塩酸プロカテロール含有量を測定し、シロップ剤中の塩酸プロカテロール残存率(%)を求めた。結果を表5に示す。【0045】【表5】【0046】表5から、アスコルビン酸を配合しない参考製剤例1の製剤では、該製剤を水道水に溶解すると、塩酸プロカテロールが全て分解されることが避けられないことがわかる。また、表5から、アスコルビン酸の配合量を多くするに伴い、シロップ剤中の塩酸プロカテロール残存率(%)を高くすることができる。即ち、アスコルビン酸の配合量が多いほど、水道水での溶解時に塩酸プロカテロールの分解を抑制することができる。【0047】従って、本発明の実施例1の製剤は、50℃で3ヶ月間保存した後も、アスコルビン酸の残存率が高く、しかも塩酸プロカテロールが分解してスレオ体に変化する割合が少ないために、特に好適である。 プロカテロール及びその塩からなる群より選ばれた少なくとも1種、アスコルビン酸類及びクエン酸を含有し、製剤中のクエン酸含有量が0.002〜0.005重量%であり、アスコルビン酸類含有量が0.1〜2重量%であるプロカテロールドライシロップ製剤。


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