タイトル: | 特許公報(B2)_酵素標識抗体の保存方法 |
出願番号: | 2002291320 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 33/543,G01N 33/531 |
寺嶋 正明 瀬志本 修 JP 4157748 特許公報(B2) 20080718 2002291320 20021003 酵素標識抗体の保存方法 富士フイルム株式会社 306037311 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 寺嶋 正明 瀬志本 修 20081001 G01N 33/543 20060101AFI20080911BHJP G01N 33/531 20060101ALI20080911BHJP JPG01N33/543 545KG01N33/531 B G01N33/48〜33/98 JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特公平06−104064(JP,B2) 特開平08−168377(JP,A) 特開平06−201696(JP,A) 特開平10−319015(JP,A) 特開平11−064337(JP,A) 特開平05−232112(JP,A) 特開平02−006753(JP,A) 特開平09−328500(JP,A) J Biotechnol,1990年,Vol.16, No.1/2,Page.97-108 Microbiology,2002年,Vol.148, No.8,Page.2342-2349 9 2004125666 20040422 12 20050301 三木 隆 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は酵素標識抗体の保存方法及びこれに用いる保存用緩衝液に関するものである。【0002】【従来の技術】血液や尿などの体液に含まれる生体成分、薬物等の分析は、病態の診断や治療経過の判定に非常に有用であり、臨床検査の分野で重要な役割を果たしている。このような微量成分(リガンド)の分析方法として、酵素免疫分析方法(エンザイムイムノアッセイ)がある。例えば被検物(リガンド)に対する抗体を酵素で標識し、この酵素標識抗体と抗原(リガンド)との結合による酵素活性の低下を検出して、被検物(リガンド)の量を分析する。予め既知量の抗原と反応させて検量線を作成し、この検量線から抗原量を求めることが出来る。ここで使用する酵素標識抗体の活性が不安定なものであれば、分析ごとに検量線を作成する必要がある。【0003】酵素標識抗体などの試薬の保存安定性に優れる分析方法として、いわゆる乾式分析方法がある。いわゆる湿式法(又は溶液法)とは、使用する試薬をまず水性溶媒に溶解して試薬溶液を作り、この試薬溶液を分析試料に加えて生じた呈色反応生成物を比色計で測定するものである。これに対して乾式法は、試薬組成物を乾燥状態で含有させた試験片、分析スライド、分析テープなどの乾式分析要素に、水性試料を直接点着して、要素内で生じた呈色又は変色をそのまま比色測定するものであり、試薬溶液を用いる湿式法に較べ、操作の簡便性、分析の迅速性に優れている。また試薬は準乾燥状態に置かれるので、要素内の酵素標識抗体の活性も安定している。このため、各製造ロットごとに検量線を作成すれば、分析ごとに改めて検量線を作成する必要がない。【0004】しかし、乾式法においても、酵素標識抗体は一度これを作成した後、各ロットの分析要素を製造するまでの間溶液状態で保存される。この保存が長期に及ぶと標識酵素の活性が大きく低下するという問題があった。分析要素の試薬として用いる酵素標識抗体は、その製造前の保存時に酵素活性値の変動が少なく安定して保存できることが望ましい。【0005】従来の保存方法では、標識酵素の活性測定時にばかり注目し、活性測定に適した条件を必要により多少修正したものを保存用緩衝液としていた。その際、酵素活性の長期にわたる安定性については考慮されていなかった。例えば、標識酵素としてアミラーゼを使用する場合には、緩衝液として燐酸緩衝液、トリス緩衝液、グリセロ燐酸緩衝液などを使用し、pHも活性測定時の特性(指摘pH)にあわせ通常pH7.0付近で設定していた。またアミラーゼ固有の特性から安定化剤、賦活剤として塩化カルシウム、塩化ナトリウムが添加されていた。従来使用されていたアミラーゼ保存用緩衝液の組成は、アミラーゼの活性化・安定化剤として10mM塩化カルシウム、アミラーゼ安定化剤として生理的食塩濃度、すなわち0.85%の塩化ナトリウム、カルシウムと難溶性の塩を作らない緩衝剤として20mMグリセロ燐酸(pH7.0)を含有するものであった。しかし、後記する実施例で説明するように、4℃での冷蔵3ヶ月でアミラーゼ活性は10%以上低下する。乾式法に用いる分析要素に含有させるためには、酵素標識抗体を合成後3ヶ月という比較的短い期間内で、分析要素製造に使用しなければならないという制約があった。分析要素の材料として用いる酵素標識抗体は、少なくとも1年ぐらいの長期間は安定的に保存できることが望ましい。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような事情に鑑みなされたものであり、安定して長期保存することができる酵素標識抗体の保存方法を提供することが第1の目的とする。また、酵素標識抗体の保存用緩衝液を提供することを第2の目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者は、保存用緩衝液の各種組成を実験計画法により検討して、標識酵素の活性を損なうことなく安定的に長期保存することができる保存用緩衝液を見出し、本発明を完成したものである。【0008】即ち、本発明によれば、酵素標識抗体を、グッドの暖衝剤と塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを含有する緩衝液中で保存することを特徴とする酵素標識抗体の保存方法が提供される。本発明の別の側面によれば、グッドの緩衝剤と塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを含有することを特徴とする酵素標識抗体の保存用緩衝液が提供される。【0009】【発明の実施の形態】本発明で用いるグッドの緩衝剤は両性イオン緩衝剤であり、ACES(N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、ADA(N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸)、Bis−Tris(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、及びMES(2−モルホリノエタンスルホン酸)から選ばれた少なくとも1つの緩衝剤を用いることができる。この中ではPIPES緩衝剤が好ましい。好ましくは、緩衝液のpHを、6.0〜6.5の範囲とする。【0010】緩衝液中の塩化カルシウム濃度は、好ましくは5〜15mMの範囲、より好ましくは10mMである。緩衝液中の塩化ナトリウム濃度は、生理食塩水濃度以上であり、好ましくは0.85〜1.7%の範囲、より好ましくは約1.7%である。最も好ましい緩衝液の組成は、20mMPIPES(pH6.0)、10mM塩化カルシウム、1.7%塩化ナトリウムである。【0011】また緩衝液には、保存容器壁に酵素標識抗体が非特異的吸着するのを防止するため、BSAやブロックエース(雪印乳業(株)製、大日本製薬(株)販売)などのブロッキング剤を添加してもよい。以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。【0012】【実施例】実施例1:酵素標識抗体の合成枯草菌(Bacillus subtilis)α−アミラーゼ5mgをpH6.3の0.1Mグリセロ燐酸1mLに溶かしN−(γ−マレイミドブチリロキシ)スクシンイミド(GMBS)2mg/mLのDMF溶液100mLを加えて室温で、1時間反応させた。この反応液をセファデックスG−25カラムにアプライして、pH6.3の0.1Mグリセロ燐酸を流して素通り分画を分取、N−(γ−マレイミドブチリロキシ)アミド化アミラーゼ(GMBS化アミラーゼ)を得た。【0013】抗CRP・マウスIgG10mg(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5))2mLにパパイン300μgを加え、37℃で18時間撹拌した。0.1NのNaOHを加えてpHを6.0に調節したこの反応液を予め0.1M燐酸緩衝1mM EDTA溶液(pH6.3)で緩衝化したAcA−44ゲルカラムにアプライし、上記の燐酸緩衝液で溶出した。分子量約10万付近に溶出されたピーク部分を集めて1mLに濃縮し、目的の抗CRP・マウスIgGF(ab’)2を得た。【0014】調製した抗CRP・マウスIgGF(ab’)26mgを含む0.1M燐酸緩衝液(1mM EDTA含有、pH6.0)1mLに、10mg/mLの2−メルカプトエチルアミン塩酸塩水溶液100μLを加え、37℃で90分間撹拌した。この反応液を予め0.1M燐酸緩衝液(pH6.3)で緩衝化したセファデックスG−25カラムでゲル濾過して未反応の2−メルカプトエチルアミンを除去し、HS−Fab’を得た。これにGMBS化α−アミラーゼ2mgを加え、37℃で90分間反応させた。次にこの反応液を0.1M酢酸緩衝5mM塩化カルシウム溶液(pH7.0)で緩衝化したAcA−34カラムでゲル濾過して分子量20万以上の分画を集め、これを濃縮して目的の酵素標識抗体(α−アミラーゼ−抗CRP・マウスIgGFab’結合物)を得た。【0015】実施例2:アミラーゼ活性分析用乾式分析要素の作製ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(支持体)上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液を塗布し、乾燥して試薬層を設けた。アルカリ処理ゼラチン 14.5g/m2ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2(オキシエチレン単位平均9〜10含有)グルコースオキシダーゼ 5000 IU/m2ペルオキシダーゼ 15000 IU/m2グルコアミラーゼ 5000 IU/m22−(4−ヒドロキシ−3,5−ギメトキシフェニル−4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネチルイミダゾール(ロイコ色素)酢酸塩 0.38g/m2ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1g/m2【0016】この試薬層の上に下記の被覆量になるように接着層水溶液を塗布し、乾燥して設けた。アルカリ処理ゼラチン 14.5g/m2ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2(オキシエチレン単位平均9〜10含有)【0017】ついで接着層の表面に下記の被覆量になるように下記の試薬含有水溶液を塗布してゼラチン層を膨潤させ、その上に50デニール相当のPET紡績糸36ゲージ編みした厚さ約250μmのトリコット編物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設けた。ノニルフェノキシポリエトキシエタノール 0.2g/m2(オキシエチレン単位平均9〜10含有)ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1g/m2【0018】次に展開層の上から下記の被覆量になるように基質含有水溶液を塗布し、乾燥して展開層に基質含有試薬を含浸させ、これを基質層とし、アミラーゼ分析用乾式多層分析要素を調製した。メガファックF142D(大日本インキ製) 0.1g/m2(フッ素界面活性剤)(オキシエチレン単位平均10含有)カルボキシルメチル化澱粉 4g/m2マンニトール 2g/m2アミラーゼ阻害剤 100万 U/m2(富士レビオ製アミラーゼ阻害剤“I−1001C”:特開昭61−74587)【0019】この分析要素を一辺15mmの正方形のチップに裁断し、特開昭57−63452に記載のスライド枠に収めてアミラーゼ分析スライドを作製した。なおここで使用したアミラーゼ阻害剤“I−1001C”は、検体中に含まれることがある同種のアミラーゼに対する阻害剤であって、標識酵素として使用している枯草菌α−アミラーゼの酵素活性は阻害しないものである(特開平05−122112、同5−232112参照)。【0020】実施例3:酵素標識抗体の保存溶液の調製GP(グリセロ燐酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)の緩衝剤を用いて、下記の組成の緩衝溶液(保存溶媒)を調製した。なお、いずれの緩衝溶液にもブロッキング剤としてブロックエース(雪印乳業(株)製、大日本製薬(株)販売)を5%となるように含有させた。【0021】【表1】【0022】実施例1で調製した酵素標識抗体の溶液0.1mLを、表1の各緩衝溶液で10mLに希釈し、これを保存溶液とした。この保存溶液中の酵素標識抗体の希釈倍率100倍(=10mL/0.01mL)倍に設定した理由は後記する。【0023】実施例4:アッセイ時の溶媒効果実施例1で調製した酵素標識抗体の検量線は以下のように作成した。酵素標識抗体に各保存溶液を加えて100倍に希釈する。上記希釈液に各保存溶液を加えて25、80、100、120、150の倍率で希釈する。その10μLを、実施例2で作製したアミラーゼ分析スライドに点着する。スライドを37℃に保って、PET支持体側から650nmの反射光学濃度を測定した。点着から1分後および4分後の反射光学濃度の差(△OD1-4)を求める。反射光学濃度の差を横軸に、希釈率を縦軸にとりこれを検量線とした。【0024】緩衝液No.1の場合の検量線を図1に示す。縦軸の希釈率は、希釈倍数の逆数である。この検量線において、光学的な測定精度上の理由から△OD1-4が0.2〜0.3の範囲で安定なデータを与える。そこで、この安定領域の△OD1-4を与える保存溶液中の酵素標識抗体の希釈倍率として、100倍の値を採用し、前記したように他の各種緩衝液による保存溶液の酵素標識抗体の希釈倍率も100倍に設定した。【0025】上記理由から、本実施例においては、△OD1-4が0.230となる希釈率の逆数(希釈倍率)を比活性とした。(表2)。【0026】【表2】【0027】表2から、溶媒No.6がもっとも高いアミラーゼ活性を示すことが分かる。ここでは、さらに実験計画法により溶媒中の各因子の最適な組合せを検討した。例えば表3の(1)は緩衝剤の要因効果を調べたものであり、緩衝剤GPを用いた溶媒No.1,2,3での活性比の値の平均値、緩衝剤PIPESを用いた溶媒No.4,5,6での活性比の値の平均値、緩衝剤MESを用いた溶媒No.7,8,9での活性比の値の平均値を比較したものである。同様に表3の(2)、(3)、(4)はそれぞれ、pH、CaCl2、NaClの要因効果を示す。【0028】【表3】【0029】以上から、酵素標識抗体のアッセイ時に、最も高い活性比を示す溶媒組成は、20mM PIPES、pH6.0,10mM CaCl2、0%NaClであった。この組成比の緩衝液を以下の実施例のアッセイ時に用いた。【0030】実施例5:加速試験による保存安定性試験実施例1で調製した酵素標識抗体を各保存溶液に1:100の割合で溶解した。酵素標識抗体を溶解した各保存溶液について、段落番号0023に示す方法でアミラーゼ分析スライドを用いて検量線を作成した。各検量線から△OD1-4が0.230になる希釈率を求め、その逆数を0日目における比活性とした。4℃、25℃、45℃の温度条件下、8日間経時した後、再び上記希釈率を求め、その逆数を経時後の比活性とした。0日目における比活性に対する経時後の比活性の割合を残存活性比として求めた。結果を表4に示す。【0031】【表4】【0032】各要因による経時保存安定性への効果を検討した。結果を表5に示す。表5にまとめた結果は、表4における各要因(緩衝剤の種類、pHなど)ごとに各要因を含むデータの平均値を示したものである。【0033】【表5】【0034】表5より、各緩衝剤による保存安定性に対する効果は、4℃での経時保存では、GP<PIPES<MESの順で25℃での経時保存では、GP<MES<PIPESの順、45℃経時保存では、GP<MES<PIPESの順、であった。従って、これら緩衝剤の中では、PIPESが長期保存にもっとも適していることが分かった。【0035】pHについては、どの保存温度においても、pH6が最も優れていた。塩化カルシウムについては、4℃保存では濃度20mMとした場合が優れていたが、25℃、45℃保存では濃度10mMとする方が優れていた。加速試験の結果から長期保存には、10mM CaCl2とするのがよいことが分かった。塩化ナトリウムについては、いずれの保存温度においてもこれを含有させた方が残存活性が大きくなり、保存溶液中の濃度を1.7%NaClとした場合の残存活性が大きくなった。【0036】以上の結果から、酵素標識抗体の長期保存には、20mM PIPES,pH6.0,10mM CaCl2,1.7% NaClの組成の緩衝液が優れていることが推定できた。【0037】実施例6:最適組成緩衝液による長期保存安定性実施例1の酵素標識抗体を、実施例5で求めた最適組成緩衝液(20mM PIPES,pH6.0,10mM CaCl2,1.7% NaCl)に溶解し蛋白濃度1.4mg/mL(A280≒2.30、アミラーゼ活性で約18,000U/L)の保存溶液を調製した。比較例として従来から保存用緩衝液として使用されている20mMグリセロ燐酸、10mM CaCl2、0.85% NaCl(pH7.0)で、酵素標識抗体を同濃度で調整し、比較例の保存溶液とした。これらを4℃にて長期保存した。【0038】経時保存後のアミラーゼ活性は、不溶性青色澱粉を基質として用いる溶液法により行った。ネオ・アミラーゼテスト「第一」(第一化学薬品製)の錠剤24錠(1錠当たり、45mg不溶性青色澱粉、3mgBSA含有)を、96mLの50mMマレイン酸緩衝液(pH6.5)で懸濁し青色澱粉懸濁液を調製した。経時保存後の各保存溶液を、実施例4で求めた組成のアッセイ用緩衝液(20mMPIPES、pH6.0,10mM CaCl2、0% NaCl)で900倍希釈し、この希釈液100μLを100μLの10mg/mL BSA溶液(100mM MES緩衝液、pH6.0)に加えた。これに青色澱粉懸濁液2mLを加え、37℃で1時間反応させた。1mLの0.5M Na2CO3緩衝液(pH9.0)を加えて反応を停止させ、これを3,000rpmで5分間遠心し、上清を得た。酵素反応により上清中に可溶化した青色色素量を620nmにおける吸光度測定により測定した。既知濃度のアミラーゼ溶液を用いて予め作成した検量線より各保存溶液中のアミラーゼ活性を求め、経時保存前の保存溶液のアミラーゼ活性に対する活性比(%)を求めた。【0039】図2に示すように、従来の緩衝液を用いた比較例の保存溶液では、40日保存により残存活性は80%まで低下し、以降の保存には耐えられなかった。これに対し実施例の保存溶液では、最長515日間の保存後も約100%の残存活性を示し、優れた保存安定性を有することが示された。【0040】【発明の効果】以上のよう本発明では、酵素標識抗体をグッドの緩衝剤と塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを含有する緩衝液中で保存する。特に好ましい緩衝液組成は、20mM PIPES(pH6.0)、10mM塩化カルシウム、1.7%塩化ナトリウムである。溶液状態でも標識酵素の活性をきわめて安定な状態に置くことができ、長期保存に適する。通常の溶液法に使用する試薬として酵素標識抗体を保存する場合にも適する。乾式分析要素に含有させる酵素標識抗体としてこれを一度製造後、分析要素製造時までの長期保存させる場合にも適し、この場合には分析要素の製造ロットごとの分析値のばらつきを防止することができる。【図面の簡単な説明】【図1】実施例4において、保存用緩衝液No.1をアッセイ用緩衝液として用いた場合の検量線を示す図である。【図2】実施例6における長期経時保存した場合の各保存溶液中の残存活性を示す図である。 アミラーゼ標識抗体を、グッドの暖衝剤と塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを含有する緩衝液中で保存することを特徴とするアミラーゼ標識抗体の保存方法において、 前記グッドの緩衝剤は、ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)又は2−モルホリノエタンスルホン酸であり、前記緩衝液のpHは6.0〜6.5であり、 前記緩衝液中の塩化カルシウム濃度が5〜15mMの範囲にあり、 前記緩衝液中の塩化ナトリウム濃度が0.85〜1.7%の範囲にある、保存方法。 前記緩衝液中の塩化カルシウム濃度が10mMである請求項1に記載の保存方法。 前記緩衝液中の塩化ナトリウム濃度が1.7%である請求項1に記載の保存方法。 前記グッドの緩衝剤は、ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)である請求項1〜3に記載の保存方法。 グッドの緩衝剤と塩化カルシウムと塩化ナトリウムとを含有することを特徴とするアミラーゼ標識抗体の保存用緩衝液において、 前記グッドの緩衝剤は、ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)又は2−モルホリノエタンスルホン酸であり、前記緩衝液のpHは6.0〜6.5であり、 前記緩衝液中の塩化カルシウム濃度が5〜15mMの範囲にあり、 前記緩衝液中の塩化ナトリウム濃度が0.85〜1.7%の範囲にある、緩衝液。 塩化カルシウム濃度が10mMである請求項5に記載の緩衝液。 塩化ナトリウム濃度が1.7%である請求項5に記載の緩衝液。 前記グッドの緩衝剤は、ピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)である請求項5〜7に記載の緩衝液。 20mMピペラジン−N,N’−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(pH6.0)、10mM塩化カルシウム、1.7%塩化ナトリウムを含有することを特徴とする請求項5記載の緩衝液。