生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_微生物担体
出願番号:2002285219
年次:2008
IPC分類:C12N 11/08,C02F 3/08,C02F 3/10,C08J 9/06


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丹羽 弘行 JP 4079256 特許公報(B2) 20080215 2002285219 20020930 微生物担体 株式会社イノアックコーポレーション 000119232 吉田 吏規夫 100098752 丹羽 弘行 20080423 C12N 11/08 20060101AFI20080403BHJP C02F 3/08 20060101ALI20080403BHJP C02F 3/10 20060101ALI20080403BHJP C08J 9/06 20060101ALI20080403BHJP JPC12N11/08 AC02F3/08 BC02F3/10 ZC08J9/06 C12N 11/00-11/18 JST7580/JSTPlus(JDream2) G-Search 特開2001−198589(JP,A) 特開2002−079288(JP,A) 特開2002−199879(JP,A) 特開2002−223751(JP,A) 2 2004113220 20040415 8 20050309 三原 健治 【0001】【発明の属する技術分野】 この発明は、流動礁に好適な微生物担体に関する。【0002】【従来の技術】 従来、生活排水などの処理方法として、浄化槽に微生物担体を収納し、前記微生物担体に住まわせた微生物を排水と接触させて微生物の作用で排水の処理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。【0003】 前記微生物担体として、安価で表面積が大きく、しかも空隙率が高いということから、種々の連続気泡発泡プラスチックが用いられている。それらの中でも、ポリウレタン発泡体とポリオレフィン系樹脂発泡体が広く使用されている(例えば、特許文献4参照)。【0004】【特許文献1】 特開平2−211292号公報【特許文献2】 特開平8−173984号公報【特許文献3】 特開平9−85285号公報【特許文献4】 特開2001−96289号公報【0005】【発明が解決しようとする課題】 しかし、前記発泡プラスチック製の微生物担体は、長期間使用すると、初期の寸法よりも小さくなって、微生物の担持表面積及び排水との接触面積が減少し、排水処理効果が低下するという問題がある。例えば、ポリウレタン発泡体製の微生物担体は、素材自体が加水分解により脆くなるため、長期に渡って浄化槽の壁や担体同士で繰り返しぶつかると、徐々に表面が削れて初期寸法よりも小さくなっていく。また、ポリオレフィン系樹脂発泡体製の微生物担体にあっては、素材自体が水に対して安定で分解され難いため、前記ポリウレタン発泡体のような劣化や変質部分の摩耗による寸法減少ではなく、長期に渡って浄化槽の壁や担体同士がぶつかることでポリオレフィン系樹脂発泡体の骨格部分が歪んだり、へたったりして寸法減少を生じると考えられる。なお、この歪みやへたりによる寸法減少は、ポリオレフィン系樹脂発泡体製の微生物担体が、使用初期と長期使用後とでほとんど重量変化を生じていないことからも裏付けられる。【0006】 なお、前記ポリオレフィン系樹脂発泡体の歪みやへたりを生じ難くして、前記寸法減少を抑えるには、ポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率を下げて発泡体の骨格部分を強化することが、簡単で有効な手段である。しかし、発泡倍率を下げることは、微生物担体のコストアップにつながり、市場に受け入れられない解決手段である。【0007】 この発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、流動礁としての長期使用による歪みやへたりを抑えることができ、しかも安価な微生物担体を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】 この発明は、エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体からなる微生物担体に係る。【0009】 前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、ポリオレフィン系樹脂の全量100重量%中、酢酸ビニル含量が12〜30重量%であると共にポリオレフィン系樹脂の全量100重量%中、エチレン酢酸ビニル共重合体が75重量%以上のものである。【0010】 また、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、発泡倍率が10〜40倍であるのが好ましい。さらに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、二段階発泡品が好ましい。【0011】 さらにまた、前記微生物担体は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体の反発弾性率が14%以上であって、流動礁に使用されることが好ましい。【0012】【発明の実施の形態】 以下この発明を詳細に説明する。この発明に係る微生物担体は、浄化槽や排水処理槽等における流動礁に好適なものであり、エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体からなる。【0013】 この発明におけるエチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、ポリオレフィン系樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体を含むことによって反発弾性率(JIS K 6400準拠)が高くなり、長期に渡って繰り返し浄化槽の壁にぶつかったり、担体同士でぶつかったりしても、発泡体の骨格部分が歪んだり、へたったりし難く、前記歪みやへたりによる寸法減少を抑えることができる。これは、ポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体として一般的に使用されている低密度ポリエチレン(LDPE)をベースレジンとするものと比べ、エチレン酢酸ビニル共重合体をベースレジンとするものの方が、架橋点と架橋点間の距離が長くなって弾性に富むことによる。すなわち、低密度ポリエチレンの場合は(C−C)間が架橋点間距離となるのに対し、エチレン酢酸ビニル共重合体の場合は(C−CO−O−CH2−C)間が架橋点間距離となる。【0014】 さらに、前記架橋点間距離の長い架橋を多くして前記反発弾性率を高めるには、ポリオレフィン系樹脂(ポリマー)の全量100重量%中、酢酸ビニル含量が12〜30重量%含まれる発泡性組成物から形成されたものが、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体として好ましい。前記酢酸ビニル含量が12重量%未満の場合、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、流動礁用微生物担体としての弾性に欠け、長期使用に対する耐性が充分ではなくなる。また、30重量%を超えると、ゴム成分たるビニル成分が多量に含まれるため所望の発泡倍率を備える発泡体が得られず、微生物担体のコストが増大する。【0015】 前記エチレン酢酸ビニル共重合体の含量は、ポリオレフィン系樹脂の全量100重量%中、75重量%以上(最大100重量%)が好ましい。75重量%未満の場合、前記長い架橋点間距離の架橋が不足して前記反発弾性率が低くなり、得られる微生物担体が流動礁として長期使用に耐えられなくなる。【0016】 前記ポリオレフィン系樹脂には、前記ポリオレフィン系樹脂全量100重量%中、25%未満の範囲で他のポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。他のポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレンとメチル、エチル、プロピル若しくはブチルの各アクリル酸エステルとの共重合体、又はこれらの塩素化物、あるいはそれらの混合物、さらにはそれらとアイソタクチックポリプロピレン若しくはアタクチックポリプロピレンの混合物等を挙げることができる。【0017】 さらに、この発明の微生物担体を長期に渡って流動礁として使用した場合における前記骨格部分の歪みやへたりによる寸法減少を効果的に抑えるには、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体の反発弾性率(JIS K 6400準拠)を14%以上(好ましくは15%以上)とするのが好ましい。なお、前記反発弾性率の上限は、特に制限されるものではなく、前記ポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体の製造可能な範囲とされ、一般的には70%が上限とされる。【0018】 また、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、発泡倍率が10〜40倍の高発泡倍率のものが好ましい。この範囲の発泡倍率とすれば、原料の使用量が少なくて済み、しかも反発弾性率の高い安価な微生物担体が得られる。前記10〜40倍の高発泡倍率を得るには、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体を、二段階発泡品とするのが好ましい。二段階発泡は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造において多用されている発泡方法であり、まず発泡性組成物を一次金型に充填し、加圧下加熱し、その後除圧して中間発泡体を得る一次発泡工程と、前記中間発泡体を常圧下加熱する二次発泡工程とにより行われる。【0019】 次に、この発明の微生物担体の製造について説明する。まず、前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を、所要の発泡性組成物から二段階発泡法により製造する。前記発泡性組成物には、ポリオレフィン系樹脂の他に架橋剤、発泡剤、その他適宜の助剤が含まれる。また、前記ポリオレフィン系樹脂には、樹脂100重量%中に前記エチレン酢酸ビニル共重合体が75重量%以上含まれる。【0020】 前記架橋剤としては、従来よりポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の二段階発泡に使用されている公知のものが用いられる。例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキシヘキサン、1,3−ビス−ターシャリーパーオキシ−イソプロピルベンゼンなどの有機過酸化物等を挙げることができる。前記架橋剤の配合量は、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し0.50〜1.3重量部である。【0021】 前記発泡剤としては、加熱により分解してガスを発生するものが用いられ、特に制限されるものではない。例えばアゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド、パラトルエンスルフォニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルフタルアミド、テレフタルアジド、p−t−ブチルベンズアジド、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の一種又は二種以上が用いられる。特にアゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドが好適である。添加量としては、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、2〜30重量部とされる。【0022】 また、適宜の助剤としては、発泡助剤、充填剤等がある。前記発泡助剤には、酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物、低級又は高級脂肪酸あるいはそれらの金属塩、尿素及びその誘導体等が挙げられる。【0023】 前記二段階発泡により得られたエチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を、ロール等で圧縮して前記発泡体の気泡を破壊し、連続気泡構造とする。このようにして得られたエチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体を、必要に応じて裁断等により所要のサイズにし、所望の微生物担体を得る。【0024】【実施例】 表1に示す配合からなる発泡性組成物60kgを、75Lニーダーで混練後、22インチのミキシングロールで更に混練し、その9kgを40×350×650mmの金枠内に投入し、予備成形機(プレス機)で1分間型押しして形状を整えた後、130℃の一次金型内(30×400×750mm)に配置して密閉し、40分間加熱し、その後に除圧して中間発泡体を得た。次いで、前記中間発泡体を、160℃の二次金型内(110×1100×2200mm)に配置し、常圧下で100分間加熱し、その後冷却して取り出し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を得た。この得られた発泡体を一晩室温に放置した後、等速2軸ロールを用いて元厚の1/5に圧縮し、気泡を破壊して、実施例1〜4及び比較例1のポリオレフィン系樹脂架橋連続発泡体を得た。【0025】【表1】【0026】 前記実施例1〜4及び比較例1のポリオレフィン系樹脂架橋連続発泡体に対して、JIS K 6400に準拠して反発弾性率を測定した。その測定結果は、表1の下欄に示すとおりである。【0027】 また、前記実施例1〜4及び比較例1のポリオレフィン系樹脂架橋連続発泡体に対し、流動礁用の微生物担体として長期間使用した場合の寸法減少に関する評価を次のようにして行った。まず、前記実施例1〜4及び比較例1のポリオレフィン系樹脂架橋連続発泡体を、それぞれ裁断によって10×10×10mmの微生物担体に加工した。次に、水を上まで張った径30cmのドラムに、前記各実施例及び比較例毎に微生物担体を50個入れ、前記ドラムを20回転/分で30日間回転させることにより前記ドラム内の水を攪拌し、30日後に前記微生物担体を取り出して体積を測定した。そして、前記測定値について、前記回転前の体積(10×10×10=1000mm3)に対する%を計算して体積保持率とし、その体積保持率が大であるほど寸法減少の少ない良好な微生物担体であるとした。その結果を表1の下欄に示す。【0028】 表1から理解されるように、この発明の実施例品は、比較例品と比べて反発弾性率及び体積保持率の何れも高く、流動礁用微生物担体として好適なものである。【0029】 また、表2の配合からなる発泡性組成物800gを1Lニーダーで混練後、8インチのミキシングロールで更に混練し、130℃の一次金型内に配置して密閉し、40分間加熱した後に除圧して中間発泡体を得た。一次金型の寸法は、発泡倍率10倍:40×240×240mm、20倍:30×195×195mm、30倍:25×175×175mm、40倍:22.5×160×160mm、50倍:20×150×150mmである。次いで、前記中間発泡体を160℃の二次金型(75×550×550mm)に配置し、常圧下で100分間加熱し、その後冷却して取り出し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を得た。この発泡体を一晩放置した後、等速2軸ロールを用いて元厚の1/5に圧縮して気泡を破壊することによって、実施例5〜8及び比較例2のポリオレフィン系樹脂架橋連続発泡体を得た。【0030】【表2】【0031】 前記実施例5〜8及び比較例2の発泡体に対して、前記と同様の測定を行い、発泡倍率の影響を調べた。その結果は表2の下部に示す通りであり、発泡倍率10〜40倍の実施例5〜8は、発泡倍率50倍の比較例2よりも反発弾性率及び体積保持率の何れも高く、流動礁用微生物担体として好適であった。【0032】【発明の効果】 以上説明したように、この発明の微生物担体によれば、流動礁として長期使用した場合の歪みやへたりを抑えることができ、微生物による良好な浄化処理を長期に渡って安定して得ることができる。しかも、この発明の微生物担体は、ポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体の発泡倍率を下げることなく、長期使用による歪みやへたりを抑えることができるので、コスト的に有利である。 エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体からなる微生物担体であって、 前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、ポリオレフィン系樹脂の全量100重量%中、酢酸ビニル含量が12〜30重量%であると共にポリオレフィン系樹脂の全量100重量%中、エチレン酢酸ビニル共重合体が75重量%以上であり、 前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体の発泡倍率が10〜40倍、反発弾性率が14%以上であって、前記微生物担体が流動礁に使用されることを特徴とする微生物担体。 前記エチレン酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂架橋連続気泡発泡体は、二段階発泡品からなることを特徴とする請求項1に記載の微生物担体。


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