生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イオン濃度の定量方法及び装置
出願番号:2002276014
年次:2005
IPC分類:7,G01N27/42,G01N27/30


特許情報キャッシュ

小山 和也 JP 3702344 特許公報(B2) 20050729 2002276014 20020920 イオン濃度の定量方法及び装置 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 小山 和也 20051005 7 G01N27/42 G01N27/30 JP G01N27/42 D G01N27/42 G G01N27/30 311Z 7 G01N 27/42 G01N 27/30 311 JICSTファイル(JOIS) 中田隆二等,アルカリ性溶液中における金属イオンのクーロポテンシオグラフ的挙動,日本化学会誌,1982年,No.5,779−784 高田芳矩等,電量検出器とそのイオンクロマトグラフィーへの応用,分析化学,日本,1989年 7月,Vol.38,No.7,293-306 4 2004109088 20040408 8 20031031 谷垣 圭二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、特定イオンの定量方法及び装置に関するものである。【0002】【従来の技術】廃プリント基板から銅を回収するため、また銅イオンを含有する排水から銅を回収することは、資源の有効利用、循環利用型の社会環境を形成、環境保全をはかるうえで、重要な技術である。本発明者らは、1価の銅イオンを含むアンモニウム溶液から銅を回収する方法についての発明を行った。この方法は、銅を回収する方法としてエネルギー消費が少ないことで有効な方法である。銅を含むアンモニウム溶液は、銅を含む基板などから銅を浸出させるための溶液として有効であり、この処理においては非酸化雰囲気下得られる溶液中に1価及び2価銅イオンが共存することに特徴がある。この溶液に含まれる各1価及び2価イオンの量を特定することは処理の上で重要であるが、これらの価数の異なる各銅イオン濃度を定量することは、困難である。従来、このように1価及び2価などといった異なる価数のイオンが共存する場合には、酸化還元法によりいずれかの価数になるようにして、たとえば2価のイオンとしてから定量を行うことが行われる。この場合には、酸化剤が使用されるが、第二鉄イオン、セリウムイオン、重クロム酸イオン、過マンガン酸イオン、ヨウ素、過酸化水素などが用いられる。しかしながら、アンモニウムを含む弱アルカリ性溶液中に対して、前記第二鉄イオン、セリウムイオン、重クロム酸イオン、過マンガン酸イオンの酸化剤を用いると、水酸化物の沈殿が生じてしまい、定量分析を進めることができない。また、ヨウ素を用いると、爆発性のヨウ化窒素の析出が問題となる。過酸化水素を用いると、自己分解を起こすので、いずれも酸化剤としては適切ではない。2価銅イオンを1価銅イオンに還元する場合には、2価銅イオンを定量する還元滴定するために、1価銅イオンが安定に存在する領域が狭く、金属銅が析出することがあり、定量することは困難となる。また、IPC発光分析法では、2価銅イオンについて630nm付近の吸収波長を利用する。しかしながら、この方法では、定量可能な銅イオンの範囲は、1g/L程度までであり、この濃度を超えると吸光度が大きくなるため分析精度が低下する結果となる。高濃度溶液を希釈して分析する場合には、希釈溶液中の溶存酸素の影響等により、2価銅の濃度が変化してしまうので、分析精度が低下する結果となる。電気化学的な分析方法として、ポーラログラフ法による濃度測定が行われている。この方法は、作用電極を分極させることにより溶液中のイオンを作用電極上で還元又は酸化させ、このときの作用極の電位からイオンの同定を行い、同時にイオンの還元又は酸化に伴う電流値より濃度を評価するものである(特許文献1)。また、比較電極、対極及び作用電極を用いて溶液成分の電気分解を行い電流−電位応答より溶液中のイオンの濃度測定を行うポーラログラフ測定を行う際に、絶対電極を発生しない電極を仮比較電極としてポーラログラフグラフ測定を行い、仮比較電極の絶対電位の測定結果に基づいて、電流応答よりイオン濃度を求めることも行われている(特許文献2)。また、初期値から最終値の一連の離散的値に対応する複数の電位をセル内に印加し、トリガー信号に応じてトリガー信号に応じてサンプルを電気化学的に検出し、前記ステップにより得られた複数の検出結果からサンプルの検出に関する最適動作電位順を決定することも行われている(特許文献3)。ポーラログラフ分析では、電位走査を行い、検出される電流値により含有されるイオンの分析を行うものである。これに対してフアラデーの法則にしたがって、電気分解に消費された電気量から酸化還元種の定量分析を行うクロノクーロメトリー法がある。この方法は比較的時間がかかることが問題とされてきた。【0003】【特許文献1】特開昭49−29190号公報【特許文献2】特開平2−99856号公報【特許文献3】特開平3−107755号公報【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、クロノクーロメトリー法分析による1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる1価銅の金属イオン濃度を定量する際に時間を要しないで、かつ簡易な装置により分析できる分析方法及び分析装置を提供することである。またこの方法及び装置を用いることにより、初めて、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩溶液に含まれる1価銅の定量方法及び装置を提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、アノード室とカソード室の間が陰イオン交換膜により仕切られた電解槽を用いて、被測定溶液をそのアノード室に入れ、電極には白金板などの不溶性の電極、アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀塩化銀などの参照電極を配置し、参照電極に対するアノード電極を一定に保ち、1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる測定対象の溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量を測定し、その測定結果から溶液中の1価銅イオン濃度を定量することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。また、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀塩化銀などの参照電極を用いずに、白金線等の不溶性材料を参照電極として用いても同様に行うことを見出した。また、この装置及び方法において被測定溶液に1価及び2価の銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩溶液中の1価銅の濃度を定量することができることを見出した。これにより、本発明を完成させたものである。【0006】すなわち、特定イオンとして1価銅を測定する場合について述べると以下の通りである。定電位で電気分解を行うことにより電流のすべてが1価銅イオンの2価銅イオンへの酸化に用いられるものであることを利用するものである。この反応は以下のとおりである。Cu(I)=Cu(II)+eここで、溶液中のCu(I)及びCu(II)は、それぞれアンモニアと錯体を形成している。溶液の体積v(cc)、Cu(I)濃度(mol/cc)、電気量Q(クーロン)、フアラデー定数Fとすると、Cu(I)濃度は次式で表される。C=Q/(F・v)これらの実測した測定値により、濃度が定まることとなる。そして、Cu(I)及びCu(II)の全体量を求めておき、Cu(I)量を差し引くことによりCu(II)量を求めることができる。【0007】(1)アノード室とカソード室の間が陰イオン交換膜により仕切られた電解槽のアノード室に、1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる被測定溶液入れ、電極にアノード及びカソードに不溶な電極、アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀塩化銀の参照電極を配置し、参照電極に対するアノード電位を一定に保ち、測定対象である前記被測定溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量を測定し、前記被測定溶液中の1価銅イオン濃度を定量することを特徴とする特定イオン濃度の定量方法。(2)参照電極として、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極を用いずに、白金線による不溶性材料を用いることを特徴とする請求項1記載の特定イオン濃度の定量方法。(3)被測定溶液入れたアノード室とカソード室の間が陰イオン交換膜により仕切られた電解槽、アノード及びカソードに不溶な電極、アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウム塩を水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極、参照電極に対するアノード電極を一定に保ち、測定対象である1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる被測定溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量を測定し、前記被測定溶液中の1価銅イオン濃度を定量する計測装置からなることを特徴とする特定イオン濃度の定量装置。(4)参照電極として、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極を用いずに、白金線による不溶性材料を用いることを特徴とする(3)記載の特定イオン濃度の定量装置。【0008】【発明の実施の形態】本発明の装置について、図1に基づいて説明する。分析装置は、電気分解槽(10)により構成される。電気分解槽(10)は、アノード室(1)とカソード室(2)が設置され、その間は陰イオン交換膜(3)により仕切られている。両方の各室内には、アノード電極(4)又はカソード電極(5)が設置されている。アノード電極(4)には、白金、金などの不溶性の電極を用いる。カソード電極(5)には、白金、チタン、金、銅などの不溶性電極を用いる。アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀塩化銀などの参照電極(6)が設けられている。参照電極として、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀塩化銀の参照電極を用いずに、白金線による不溶性材料を用いることもできる。参照電極に対するアノード電極を一定に保ち、測定対象であるカソード溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量の測定手段(7)により、電流値及び電気量の測定結果を取り出し、この結果から溶液中の1価銅イオン濃度を定量する。電気量測定手段である電気量測定器は、電流値の経時変化を記録し、積分することにより電気量を測定する手段とすることができる。【0009】アノード電極を一定に保に保つことは、本発明の操作の上では最も重要な事柄である。設定の電位が小さい値として設定されていると、酸化反応が進行しないことがありえるし、また、反応速度が小さいために定量操作に時間がかかりすぎる結果となる。一方、設定電位が大きい場合には、Cu(I)の酸化反応に加え、酸素の発生が起こるために,Cu(I)濃度を正確に定量することが困難となる。最適の電位の範囲は、参照電極に飽和塩化カリウム水溶液を用いた場合には、0〜400mVの範囲であり、参照電極に白金を用い、アノード電極に白金を用い、アノード電極に白金を用いた場合には0〜200mVの範囲となる。これは、参照電極に銀/塩化銀電極を用いた場合には、測定溶液の濃度に関係なく電位が一定であるのに対して白金電極を用いた場合には、時間と共に、Cu(I)が減少し、Cu(II)が増加するために、溶液の電位が上昇するもので、設定電位が大きい場合には、酸素が発生した量の定量が不可能になるためである。参照電極には、塩橋及び銀塩化銀電極を使用することができるが、この他、白金線などの不溶性材料を参照電極として用いる事ができる。【0010】本発明の分析方法は、定電位で電気分解を行うことにより特定の金属イオンから価数の多い特定の金属イオンに変換する。金属としては、銅、鉄、ニッケル、クロムなどを挙げることができる。Cu(I)及びCu(II)の場合を例にして述べると次の通りである。電流のすべてが1価銅イオンの2価銅イオンへの酸化に用いられるものであることを利用するものである。この反応は以下のとおりである。Cu(I)=Cu(II)+eここで、溶液中のCu(I)及びCu(II)は、それぞれアンモニアと錯体を形成している。溶液の体積v(cc)、Cu(I)濃度(mol/cc)、電気量Q(クーロン)、フアラデー定数Fとすると、Cu(I)濃度は次式で表される。C=Q/(F・v)これらの実測した測定値により、目的とするCu(I)の濃度を計算する。Cu(I)及びCu(II)の全体量を他の方法により求めておき、Cu(I)量を差し引き、Cu(II)量を求めることができる。この場合の他の銅の全量を分析する方法としては、ICP発光分光法や、溶液を空気雰囲気下においてCu(II)とし、吸光度法を用いる事ができる。【0011】アノード溶液は、被測定溶液であり、1N硫酸などにより調製される。1価銅の場合には以下の通りである。1価銅イオン水溶液をカソード室に入れる。アノード溶液はマグネチックスタラーなどの攪拌手段を用いる事が必要である。測定の対象となる溶液のpHは8から12、温度は20℃から30℃の範囲であることが望ましい。本発明の操作では、1価の銅イオンは測定中に電気分解以外の酸化反応によって2価銅イオンへ参加されないことが望ましい。そこで、空気中の酸素と反応することを防ぐためには酸素雰囲気等または密閉容器などによる1価の銅イオンの酸化を抑制することが可能な環境で行うことが必要である。アノード溶液は、1N硫酸などが用いられ、アノード溶液はマグネチックスタラーなどの攪拌手段を用いる事が必要である。測定の対象となる溶液のpHは8から12、温度は20℃から30℃の範囲であることが望ましい。【0012】本発明では、電流値は時間と共に減少し、ゼロに近づく。また電気量は時間とともに増加するが、やがて一定値に近づく。したがって、終了時間の決定は重要なことがらである。理論上は電流値が分析開始時間の1%の時点では、分析濃度は正確な値の99%の値を、また、0.5%の時点では99.5%の値が得られる。そこで、電流値が開始時の0.2%になる時点で分析を終了し、電気量を求めることが行われる。【0013】【実施例】以下に実施例により本発明について説明する。本発明はこれにより限定されるものではない。実施例1電解装置の電極として以下の電極を使用した。アノード電極: 白金 (面積8cm2)カソード電極: 白金(面積8cm2)参照電極:飽和塩化カリウム水溶液に浸した銀/塩化銀電極設定電位:200mV溶液:1価銅として6.3 g/L、アンモニア 5mol/L、硫酸アンモニウム1mol/Lを含む溶液2ccを調製した。カソード溶液は1N硫酸2cc温度:25℃時間(通電時間):15分15秒以上の条件より測定した電気量は以下のとおりである。電気量:19.01クーロン結論については以下のとおり。上記電気量から計算した銅(I)の濃度:6.25 g/L調製した溶液の濃度とほぼ同じ結果となった。【0014】実施例2電解装置の電極として以下の電極を使用した。アノード電極: 白金 (面積8cm2)カソード電極: 白金(面積8cm2)参照電極:白金線設定電位:200mV溶液:1価銅として6.3 g/L、アンモニア 5mol/L、硫酸アンモニウム 1mol/Lを含む溶液2ccを調製した。カソード溶液は1N硫酸2cc温度:25℃時間(通電時間):16分35秒以上の条件より測定した電気量は以下のとおりである。電気量:19.41クーロン結論については以下のとおり。上記電気量から計算した銅(I)の濃度:6.39 g/L調製した溶液の濃度とほぼ同じ結果となった。通電時間をながくしたことにより、より正確な値に近い結果となっている。【0015】【発明の効果】本発明によれば、1価及び2価の銅を含有するアンモニア又はアンモニウム溶液の1価の銅濃度を電気化学的手法により正確に定量する方法及び装置が得られる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の測定装置を示す図である。符号の説明10 電気分解槽1 アノード室2 カソード室3 陰イオン交換膜4 アノード電極5 カソード電極6 参照電極7 電流値及び電気量の測定手段 アノード室とカソード室の間が陰イオン交換膜により仕切られた電解槽のアノード室に、1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる被測定溶液入れ、電極にアノード及びカソードに不溶な電極、アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極を配置し、参照電極に対するアノード電位を一定に保ち、測定対象である前記被測定溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量を測定し、前記被測定溶液中の1価銅イオン濃度を定量することを特徴とする特定イオン濃度の定量方法。 参照電極として、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀―塩化銀の参照電極を用いずに、白金線による不溶性材料を用いることを特徴とする請求項1記載の特定イオン濃度の定量方法。 被測定溶液入れたアノード室とカソード室の間が陰イオン交換膜により仕切られた電解槽、アノード及びカソードに不溶な電極、アノード側に塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極、参照電極に対するアノード電位を一定に保ち、測定対象である1価銅、1価銅及び2価銅を含有するアンモニア又はアンモニウム塩水溶液から選ばれる被測定溶液の電気分解を行い、電流値及び電気量を測定し、前記被測定溶液中の1価銅イオン濃度を定量する計測装置からなることを特徴とする特定イオン濃度の定量装置。 参照電極として、塩橋を介して飽和塩化カリウムを水溶液に浸した銀−塩化銀の参照電極を用いずに、白金線による不溶性材料を用いることを特徴とする請求項3記載の特定イオン濃度の定量装置。


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