生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_軸受用グリースの寿命予測方法
出願番号:2002248924
年次:2004
IPC分類:7,G01N33/30,F16C33/66


特許情報キャッシュ

山崎 雅彦 横内 敦 中 道治 JP 2004085451 公開特許公報(A) 20040318 2002248924 20020828 軸受用グリースの寿命予測方法 日本精工株式会社 000004204 森 哲也 100066980 内藤 嘉昭 100075579 崔 秀▲てつ▼ 100103850 山崎 雅彦 横内 敦 中 道治 7 G01N33/30 F16C33/66 JP G01N33/30 F16C33/66 Z 3 1 OL 6 3J101 3J101AA16 3J101AA25 3J101AA32 3J101AA54 3J101AA62 3J101CA12 3J101EA63 3J101FA21 3J101FA31 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、軸受用グリースの寿命予測方法に関する。【0002】【従来の技術】密封軸受(シール軸受、シールド軸受)は、軸受内部にグリースを封入した状態で使用されるため、グリースによる潤滑性能の劣化が軸受寿命に大きな影響を及ぼす。したがって、密封軸受のグリース寿命は極めて重要であり、正確に予測される必要がある。【0003】従来のグリース寿命予測方法としては、軸受の使用前に、新品のグリースの性状と軸受の使用条件とからグリース寿命を求める方法がある。また、従来の方法では、グリースの劣化度合を主に酸価(油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要なKOHのmg数)の増大量で評価している。なお、従来は、軸受の使用開始後に、軸受内のグリースについて残りの寿命を予測することは行われていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸価の増大は主にグリースの熱による劣化を示すものであるため、酸価の増大量でグリースの劣化度合を評価するグリース寿命予測方法は、軸受の使用温度が100℃(酸価がグリース劣化の主な要因でなくなる温度)以下の場合に予測精度が低くなる。【0005】産業機械の分野では、軸受の使用温度が100℃以下の場合が多く、85℃以下の場合も多い。そのため、使用温度が100℃以下である軸受について、グリース寿命を精度良く予測できる方法が求められている。また、軸受の使用開始後にグリースの残りの寿命を正確に予測することができれば、適切なタイミングでグリースを補給したり交換したりすることができるようになる。【0006】本発明は、このような点に着目してなされたものであり、軸受の使用開始後にグリースの残りの寿命を正確に予測できる方法、および、使用温度が100℃以下の軸受であっても精度良くグリース寿命が予測できる方法を提供することを課題とする。【0007】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、使用開始後の軸受からグリースを採取し、このグリースを前記軸受とは別の試験用軸受内に入れ、この試験用軸受に対して加速試験を行い、その結果からこのグリースの残りの寿命を推定することを特徴とする軸受用グリースの寿命予測方法を提供する。【0008】この寿命予測方法においては、加速試験後の試験用軸受からグリースを採取し、このグリースについて、ちょう度、潤滑油分離率、および鉄分含有率のいずれか一つ以上の値を測定し、これらの測定値のいずれか一つ以上の値から、このグリースの残りの寿命を推定することが好ましい。本発明はまた、グリースを軸受内に入れて加速試験を行い、加速試験後のグリースについて、ちょう度、潤滑油分離率、および鉄分含有率のいずれか一つ以上の値を測定し、これらの測定値のいずれか一つ以上の値から、このグリースの寿命を推定することを特徴とする軸受用グリースの寿命予測方法を提供する。【0009】なお、本発明の方法において、加速試験は、所定の条件で所定時間、軸受を回転させることによって行われる。例えば、所定時間毎に、ちょう度、潤滑油分離率、鉄分含有率、酸価等のグリース寿命判断のための値を測定し、その値をグリース使用限界を示す基準と照合して、この基準に達するまで加速試験を行うことにより、グリースの寿命予測を精度良く行うことができる。【0010】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の一実施形態に相当する方法により、鉄道車両(在来線電車)の車軸用の密封軸受について、以下の条件で、軸受用グリースの寿命予測を行った。この密封軸受は、図1に示す、シール付のグリース封入密封形複列外向き円錐ころ軸受である。【0011】図1の円錐ころ軸受は、間座3を介して車軸5に外嵌された二列の内輪7,9と、ハウジング11に内嵌された外輪13と、両内輪7,9と外輪13との間に介装された二列の円錐ころ15と、で構成されている。内輪7,9は、車軸5のボス側に固着された後蓋21と、車軸5の端部に外嵌された油切り23との間に配置された状態で、車軸5のねじ部25にリングナット27を螺合させることにより、車軸5に固定されている。外輪13の内外端にはそれぞれ、鋼板製のシールケース31が圧入、固着されており、これらのシールケース31にオイルシール33が保持されている。オイルシール33は、そのリップ部35が後蓋21および油切り23の外周面に摺接することにより、円錐ころ軸受1からのグリース36の流出と円錐ころ軸受1内への異物の侵入を防止している。【0012】先ず、この車両の70万km走行後に、車軸に取り付けられている密封軸受のシールを外して、軸受内部からグリースを全量採取した。試験用軸受として全く同じ構造の密封軸受を用意し、採取したグリースのみでこの軸受内を満たして密封した後に加速試験を行った。車両走行時の軸受使用条件(断続運転)は、最高回転速度:約800rpm、最大ラジアル荷重:約40kN、最大アキシアル荷重:約10kN、軸受温度最大約70℃であった。【0013】加速試験の条件は、回転速度:1360rpm、ラジアル荷重:49kN、アキシアル荷重:14.7kN、軸受温度83℃とした。この条件で所定時間軸受を回転させることにより、走行距離240万kmに相当する加速試験を行った。加速試験後に試験用軸受内からグリースを採取して、ちょう度と潤滑油分離率と鉄分含有率と酸価を測定した。なお、加速試験前に採取したグリースと、同じグリースの新品についても、同じ方法で、ちょう度と潤滑油分離率と鉄分含有率と酸価を測定した。その結果を下記の表1に示す。【0014】【表1】【0015】グリースの使用限度については、ちょう度が新品より50小さくなった時、潤滑油分離率が40質量%以上となった時、鉄分含有率が0.5〜1.0質量%となった時、酸価の増大量が3(mgKOH/g)以上となった時という基準(昭和シェル石油(株)の資料)がある。したがって、表1の結果から、ちょう度、潤滑油分離率、および鉄分含有率による判定では、この使用開始後の密封軸受内から採取されたグリースの残りの寿命は約240万kmであると予測できる。これに対して、酸価による判定では、このグリースの残りの寿命が約240万kmより大きいと予測されてしまう。すなわち、この軸受は使用温度が100℃以下であるため、酸価による判定ではグリース寿命を精度良く予測できない。【0016】なお、この実施形態では、軸受の使用温度が100℃以下であるため、酸価による判定ではグリース寿命を精度良く予測できないが、軸受の使用温度が100℃を超える場合には、酸価による判定でもグリース寿命を精度良く予測できる。また、この実施形態では、軸受内部からグリースを全量採取して、この採取したグリースのみで全く同じ構造の試験用軸受内を満たして加速試験を行っているが、試験用軸受は必ずしも実機用の軸受と全く同じ構造である必要はない。試験用軸受の内部空間が実機用の軸受の内部空間よりも小さい場合には、グリースの採取量を全量としなくてもよい。【0017】【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によれば、軸受の使用開始後にグリースの残りの寿命を予測することができる。特に、請求項2の方法によれば、軸受の使用開始後にグリースの残りの寿命を、使用温度が100℃以下の軸受であっても精度良く予測できる。また、請求項3の方法によれば、使用温度が100℃以下の軸受であっても精度良くグリース寿命が予測できる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の方法を実施可能な薄膜形成装置を示す概略構成図である。【符号の説明】1 円錐ころ軸受3 間座5 車軸7,9 内輪11 ハウジング13 外輪15 円錐ころ21 後蓋23 油切り27 リングナット31 シールケース33 オイルシール35 オイルシールのリップ部36 グリース 使用開始後の軸受からグリースを採取し、このグリースを前記軸受とは別の試験用軸受内に入れ、この試験用軸受に対して加速試験を行い、その結果からこのグリースの残りの寿命を推定することを特徴とする軸受用グリースの寿命予測方法。 加速試験後の試験用軸受からグリースを採取し、このグリースについて、ちょう度、潤滑油分離率、および鉄分含有率のいずれか一つ以上の値を測定し、これらの測定値のいずれか一つ以上の値から、このグリースの残りの寿命を推定することを特徴とする請求項1記載の寿命予測方法。 グリースを軸受内に入れて加速試験を行い、加速試験後のグリースについて、ちょう度、潤滑油分離率、および鉄分含有率のいずれか一つ以上の値を測定し、これらの測定値のいずれか一つ以上の値から、このグリースの寿命を推定することを特徴とする軸受用グリースの寿命予測方法。 【課題】軸受の使用開始後にグリースの残りの寿命を正確に予測できる方法、および、使用温度が100℃以下の軸受であっても精度良くグリース寿命が予測できる方法を提供する。【解決手段】使用開始後の軸受からグリースを採取し、このグリースを前記軸受とは別の試験用軸受内に入れ、この試験用軸受に対して加速試験を行う。この加速試験の結果から、このグリースの残りの寿命を推定する。グリース寿命判断のための値として、ちょう度、潤滑油分離率、鉄分含有率を使用する。【選択図】   図1


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