生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ポリケトン類の製造方法とその触媒
出願番号:2002246412
年次:2008
IPC分類:C07C 45/29,B01J 23/28,B01J 23/30,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

広田 将司 萩谷 弘寿 JP 4200713 特許公報(B2) 20081017 2002246412 20020827 ポリケトン類の製造方法とその触媒 住友化学株式会社 000002093 中山 亨 100113000 広田 将司 萩谷 弘寿 JP 2002026471 20020204 20081224 C07C 45/29 20060101AFI20081204BHJP B01J 23/28 20060101ALI20081204BHJP B01J 23/30 20060101ALI20081204BHJP C07B 61/00 20060101ALN20081204BHJP JPC07C45/29B01J23/28 ZB01J23/30 ZC07B61/00 300 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平11−158107(JP,A) Bulletin of the Chemical Society of Japan,1999年,Vol.72, No.10,p.2287-2306 2 2003292464 20031015 7 20050413 吉住 和之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ポリケトン類の製造方法とその触媒に関する。【0002】【従来の技術】その分子内にカルボニル基を2つ以上有し、該カルボニル基が隣接していないポリケトン類は、各種化学製品およびその合成中間体、触媒の配位子等として重要な化合物であり、その製造方法として、その分子内に水酸基を2つ以上有するポリオール類と酸化剤とを反応させる方法が知られている。酸化剤としては、一般に重クロム酸カリウム等の重金属酸化物が用いられるが、含重金属廃棄物を処理しなければならず、環境負荷のより小さい製造方法の開発が望まれていた。【0003】【発明が解決しようとする課題】このような状況のもと、本発明者らは、安価で、取り扱い容易で、しかも反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤である過酸化水素に着目し、ポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)を過酸化水素で酸化してポリケトン類を製造する方法について、鋭意検討したところ、入手が容易なタングステン金属やホウ化タングステンやタングステン酸や酸化タングステン等のタングステン化合物、モリブデン金属やホウ化モリブデンやモリブデン酸や酸化モリブデン等のモリブデン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が、良好な酸化触媒活性を示すことを見いだし、本発明に至った。【0004】【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンとホウ素、炭素、窒素またはリンとからなるタングステン化合物およびモリブデンとホウ素、炭素、窒素、リン、酸素または硫黄とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、炭素数5〜10のポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)と過酸化水素とを反応させることを特徴とするポリケトン類の製造方法とその触媒を提供するものである。【0005】【発明の実施の形態】まず最初に、ポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)と過酸化水素とを反応させる際に用いる金属酸化物触媒について説明する。【0006】 触媒としては、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンとホウ素、炭素、窒素またはリンとからなるタングステン化合物およびモリブデンとホウ素、炭素、窒素、リン、酸素または硫黄とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、金属化合物と略記する。)と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒が用いられる。【0009】 かかる金属化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、粒径の小さい金属化合物を用いることが、触媒である金属酸化物の調製をより容易にするという点で好ましい。【0010】かかる金属化合物と反応せしめる過酸化水素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよいが、取扱いが容易であるという点で、過酸化水素水を用いることが好ましい。過酸化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なったものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いればよい。【0011】金属化合物と反応せしめる過酸化水素の使用量は、金属化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。【0012】金属化合物と過酸化水素との反応は、通常水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。【0013】金属化合物と過酸化水素との反応は、通常その両者を混合、接触させることにより行われ、金属化合物と過酸化水素の接触効率を向上させるため、金属酸化物調製液中で金属化合物が十分分散するよう攪拌しながら反応を行うことが好ましい。また金属化合物と過酸化水素の接触効率を高め、金属酸化物調製時の制御をより容易にするという点で、例えば粉末状の金属化合物等粒径の小さな金属化合物を用いることが好ましい。【0014】金属酸化物の調製時の調製温度は、通常−10〜100℃である。【0015】金属化合物と過酸化水素とを水中もしくは有機溶媒中で反応させることにより、金属化合物の全部もしくは一部が溶解し、金属酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができるが、該金属酸化物を、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して、触媒として用いてもよいし、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。【0016】次に、上記金属酸化物を触媒とするポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。以下、ポリオール類と略記する。)と過酸化水素との反応について説明する。【0017】本発明に用いられるポリオール類は、その分子内に二つ以上の水酸基を有し、該水酸基が互いに隣接していない二級炭素原子に結合したものであれば、特に制限されない。【0018】 かかるポリオール類としては、例えば2,4−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−2,5−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、3,4−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,5−ヘプタンジオール、2,6−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、2,4−オクタンジオール、2,5−オクタンジオール、2,6−オクタンジオール、2,7−オクタンジオール、3,5−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、2,4−ノナンジオール、2,5−ノナンジオール、2,6−ノナンジオール、2,7−ノナンジオール、2,8−ノナンジオール、3,5−ノナンジオール、3,6−ノナンジオール、3,7−ノナンジオール、3,8−ノナンジオール、2,4−デカンジオール、2,5−デカンジオール、2,6−デカンジオール、2,7−デカンジオール、2,8−デカンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロオクタンジオール、1,4−シクロオクタンジオール、2,4,6−オクタントリオール等が挙げられる。【0019】本反応は、前記した金属酸化物触媒の存在下に、ポリオール類と過酸化水素を反応させるものであり、アルコール部分が酸化され、対応するポリケトン類が生成する。例えばポリケトン類として、2,5−ヘキサンジオールを用いたときには、2,5−ヘキサンジオンが得られる。【0020】金属酸化物触媒の使用量は、金属として、ポリオール類に対して、通常0.001〜0.95モル倍、好ましくは0.005〜0.1モル倍である。【0021】過酸化水素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なったものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いればよい。【0022】過酸化水素の使用量は、ポリオールの水酸基の数に対して、通常0.8モル倍以上、好ましくは1.2モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多くなると経済的に不利になりやすいので、実用的には10モル倍以下である。なお、触媒として金属酸化物を含む調製液を用いる場合には、該調製液中に含まれる過酸化水素の量を考慮して、過酸化水素の使用量を設定してもよい。【0023】ポリオール類と過酸化水素との反応は、無溶媒で行ってもよいし、水溶媒中、有機溶媒中もしくは水と有機溶媒との混合溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。【0024】本反応は、通常金属酸化物触媒、ポリオール類および過酸化水素を接触、混合させることにより行われるが、例えば金属化合物、過酸化水素およびポリオール類を接触、混合させて、金属酸化物触媒の調製操作と、ポリオール類と過酸化水素との反応を、同時並行的に行ってもよい。【0025】反応温度は、通常50〜130℃であり、通常常圧条件下で実施されるが、減圧あるいは加圧条件下で実施してもよい。【0026】反応の進行と共に、ポリケトン類が生成するが、かかる反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。【0027】反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する過酸化水素を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするポリケトン類を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、ポリケトン類を取り出すこともできる。取り出したポリケトン類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ、再結晶等通常の精製方法によりさらに精製してもよい。【0028】ポリケトン類を晶析処理により取り出した後の濾液や反応液を抽出処理し、有機層を取り出した後の水層は、本反応の金属酸化物触媒を含んでおり、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に再使用することができる。【0029】 かくして得られるポリケトン類としては、例えばアセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3,3−ジメチル−2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,5−ヘキサンジオン、3−メチル−2,5−ヘキサンジオン、3,3−ジメチル−2,5−ヘキサンジオン、3,4−ジメチル−2,5−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、2,5−ヘプタンジオン、2,6−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2,5−オクタンジオン、2,6−オクタンジオン、2,7−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、3,6−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、2,5−ノナンジオン、2,6−ノナンジオン、2,7−ノナンジオン、2,8−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、3,6−ノナンジオン、3,7−ノナンジオン、3,8−ノナンジオン、2,4−デカンジオン、2,5−デカンジオン、2,6−デカンジオン、2,7−デカンジオン、2,8−デカンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロオクタンジオン、1,4−シクロオクタンジオン、2,4,6−オクタントリオン等が挙げられる。【0030】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、分析は、ガスクロマトグラフィにより行った。【0031】実施例1還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.074gおよび30重量%過酸化水素水1.1gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物触媒水溶液を調製した。該水溶液に、2,5−ヘキサンジオール2.4gおよび30重量%過酸化水素水4.3gを仕込み、内温90℃で4時間攪拌、保持した。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうし、2,5−ヘキサンジオンを含む溶液を得た。2,5−ヘキサンジオンの収率は、58%であった(2,5−ヘキサンジオール基準)。【0032】実施例2還流冷却管を付した100mLシュレンク管を窒素置換した後、室温で、タングステン金属0.074gおよび30重量%過酸化水素水1.1gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物触媒水溶液を調製した。該水溶液に、2,4−ペンタンジオール2.1gおよび30重量%過酸化水素水4.3gを仕込み、内温90℃で4時間攪拌、保持した。得られた反応液を冷却し、エタノール50mLを加え、十分に振とうし、2,4−ペンタンジオンを含む溶液を得た。2,4−ペンタンジオンの収率は、29%(2,4−ペンタンジオール基準)であった。【0035】実施例5実施例1において、タングステン金属に代えて、ホウ化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、2,5−ヘキサンジオンを、収率61%で得た(2,5−ヘキサンジオール基準)。【0036】実施例6実施例1において、タングステン金属に代えて、炭化タングステン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、2,5−ヘキサンジオンを、収率51%で得た(2,5−ヘキサンジオール基準)。【0038】実施例8実施例1において、タングステン金属に代えて、モリブデン金属(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、2,5−ヘキサンジオンを、収率22%で得た(2,5−ヘキサンジオール基準)。【0039】実施例9実施例1において、タングステン金属に代えて、ホウ化モリブデン(使用量はタングステン金属と等モル)を用いた以外は実施例1と同様に実施して、2,5−ヘキサンジオンを、収率39%で得た(2,5−ヘキサンジオール基準)。【0040】【発明の効果】本発明によれば、入手が容易タングステン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物やモリブデン金属等のモリブデン化合物と過酸化水素とから、容易に調製できる金属酸化物触媒の存在下に、ポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)と過酸化水素とを反応させることにより、ポリケトン類が得られるため、工業的に有利である。 タングステン金属、モリブデン金属、タングステンとホウ素、炭素、窒素またはリンとからなるタングステン化合物およびモリブデンとホウ素、炭素、窒素、リン、酸素または硫黄とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、炭素数5〜10のポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)と過酸化水素とを反応させることを特徴とするポリケトン類の製造方法。 タングステン金属、モリブデン金属、タングステンとホウ素、炭素、窒素またはリンとからなるタングステン化合物およびモリブデンとホウ素、炭素、窒素、リン、酸素または硫黄とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種と過酸化水素とを反応せしめてなる、炭素数5〜10のポリオール類(ただし、水酸基は、互いに隣接していない二級炭素原子に結合している。)と過酸化水素を反応させて、ポリケトン類を製造するための金属酸化物触媒。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る