タイトル: | 公開特許公報(A)_ジカルボン酸誘導体及びその製造方法 |
出願番号: | 2002240194 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C69/34,C07C67/04,C07C319/20,C07C323/12,C07B61/00 |
中里 克己 斎藤 俊 加藤 行浩 中田 庸 JP 2004075628 公開特許公報(A) 20040311 2002240194 20020821 ジカルボン酸誘導体及びその製造方法 日本油脂株式会社 000004341 中里 克己 斎藤 俊 加藤 行浩 中田 庸 7 C07C69/34 C07C67/04 C07C319/20 C07C323/12 C07B61/00 JP C07C69/34 C07C67/04 C07C319/20 C07C323/12 C07B61/00 300 3 OL 12 4H006 4H039 4H006AA01 4H006AA02 4H006AC48 4H006AC63 4H006BA66 4H006BB16 4H006BP10 4H006KA11 4H006KC12 4H006TA04 4H039CA65 4H039CF10 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジカルボン酸誘導体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、鉛フリーはんだ用フラックス及びはんだペースト、特に亜鉛系のはんだ付け用のフラックスおよびはんだペースト中に配合して活性剤として好適なジカルボン酸誘導体、及びその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、はんだ用フラックス及びはんだペースト中には、有機酸が配合されているが、その有機酸は活性剤として利用されている。その中でコハク酸やアジピン酸等のジカルボン酸は、活性力が比較的強く、RMA(ノンハロゲン有機酸)タイプのフラックス中の活性剤として使用されている。しかしながら、環境汚染の観点からはんだの鉛フリー化が進められ、各種の技術が提案されている(例えば、特開平6−344180号公報、特開平7−51883号公報、特開平7−155984号公報)。これらのはんだ金属の鉛フリー化に伴って、活性力の強い活性剤を使用する必要が生じ、それに伴い接合後に生じるフラックスの残渣のイオン的ないし機械的作用から、接合の信頼性が低下し、はんだペーストの保存安定性も低下する。このような物性の低下傾向は、一般的に、用いられる活性剤の活性が高いほど大きく、活性剤の量が多いほど大きい。特に、亜鉛系のはんだペーストは亜鉛の反応性が高いため、活性力の強い活性剤を使用しなければならないが、その活性剤と亜鉛が反応するため、はんだペーストのはんだ付け性が低下し、また安定性が低下するという問題がある。例えば、特開平11−11649号公報には、ベース樹脂として芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸無水物、脂環族ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸無水物とヒドロアビエチルアルコールとの反応物を使用する方法が開示されている。また、特開2000−317682号公報には、Sn、Zn、Bi等を含むはんだ粉末の表面にステアリン酸銅等の有機酸塩を処理する方法が開示されている。またさらに、特開2002−1581号公報には、オキシ酸、カルボン酸およびアニリドの群から選ばれる2種以上からなる活性剤5〜20重量%とロジン80〜95重量%の配合組成を有するフラックスが開示されている。これらの技術では、芳香族ジカルボン酸やその無水物の融点が高く、量を多く配合できず、また配合するためには溶媒が多く必要になり、環境のVOC(揮発成分)の観点から好ましくない問題がある。また、前記の特開平11−11649号公報に開示されている技術では、活性が低くなる点はあるが、同様に融点が高くなり、溶媒等が多く必要になるなどの問題がある。特開2000−317682号公報に開示された技術では、金属を含有する有機酸で処理するため、1)はんだ金属の組成が変わる、2)処理の手間がかかるなど問題があった。特開2002−1581号公報に開示された技術では、オキシ酸、カルボン酸およびアニリドと、ロジンとを配合しているので活性が強すぎる問題があった。一方、ブロックカルボン酸を使用する技術としては、特開平11−140020号公報には、熱硬化型接着性フラックスの技術が開示されている。この技術は、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸をビニルエーテルで反応させヘミアセタール型とするブロック化されたカルボン酸とエポキシ樹脂を配合し、接着性を有するフラックスであり、金属に対しては、不活性であるが、鉛フリーはんだのようなぬれ性の悪い金属に対してはフラックスとしての活性が必ずしも十分でないなど問題があった。この技術では、非硬化型のフラックスであり、ブロックカルボン酸型の樹脂成分を、通常の樹脂、活性剤を分解して用いる分解型の非硬化型フラックスとしては使用することは知られていない。以上のような背景から、活性力が高く、はんだ付け後の残渣除去後のはんだ接合の信頼性も高く、亜鉛との反応性の低い活性剤が強く望まれていた。このような状況なかで、2,4−ジエチルグルタル酸とビニルエーテルとの反応物はフラクッス剤として好適なことは知られていない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、新規なジカルボン酸誘導体を提供することにある。本発明の第2の目的は、前記の新規なジカルボン酸の製造方法を提供することにある。本発明の目的は、特に鉛フリーはんだ用フラックス及びはんだペースト、中でも亜鉛系のはんだペースト中の配合するのに好適な新規なジカルボン酸誘導体及びその製造方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のジカルボン酸とモノビニルエーテルあるいはモノビニルチオエーテルとを付加反応させて得られる新規なジカルボン酸誘導体が、その目的を達成しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。【0005】〔1〕すなわち、本発明は下記式(1)【0006】【化2】【0007】(式中のXは酸素原子または硫黄原子を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基である。)で表されるジカルボン酸誘導体。〔2〕 2,4−ジエチルグルタル酸とモノビニルエーテル化合物もしくはモノビニルチオエーテル化合物とを付加反応させることを特徴とするジカルボン酸誘導体の製造方法。〔3〕 触媒として酸触媒を使用する前記〔2〕記載のジカルボン酸誘導体の製造方法。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のジカルボン酸誘導体(1)は、下記式(1)【0009】【化3】【0010】で表される。ここで、式中のXは酸素原子または硫黄原子を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基である。、R1の炭素数が21以上であると、原料が入手しにくい。前記式(1)で表される化合物は、下記式(2)【0011】【化4】【0012】で表される2,4−ジエチルグルタル酸と下記式(3)【0013】【化5】【0014】(式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基を示す)で表されるモノビニルエーテルもしくはモノビニルチオエーテル化合物とを付加反応させることにより得ることができる。【0015】前記のモノビニルエーテルあるいはモノビニルチオエーテル化合物としては、より具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられ、さらに前記のモノビニルエーテル化合物に対応するモノビニルチオエーテル化合物が挙げられる。【0016】本発明のジカルボン酸誘導体は、前記2,4−ジエチルグルタル酸と前記ビニルエーテルもしくはビニルチオエーテル化合物とを、(モノビニルエーテルもしくはモノチオビニルエーテル/2,4−ジエチルグルタル酸の酸等量)の当量比で1.0〜3.0の等量比、好ましくは、1.0〜2.0の等量比で、温度30〜200℃、より好ましくは、100〜150℃、反応時間10分〜6時間、より好ましくは20分〜5時間反応することによって得ることができる。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することができる。そのような触媒としては酸性リン酸エステルが挙げられる。より具体的には、第一級アルコールまたは第二級アルコールのリン酸モノエステルもしくはジエステルが挙げられる。前記の第一アルコールとしては、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類が挙げられ、前記の第二アルコールとしては、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール等の第二級アルコール類が挙げられる。【0017】またこれらの酸触媒は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。酸触媒の使用量は、特に制限ないが、2,4‐ジエチルグルタル酸とモノビニルエーテルまたはモノビニルチオエーテルの合計量100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部が好ましく、特に0.1〜1.0重量部が好ましい。【0018】また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶剤も使用することができる。そのような有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メトキシブチル等のエステル及びエーテルエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチルブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶剤のなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が好ましく挙げられる。これらの有機溶剤は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。また、これらの溶剤量としては特に限定されないが、2,4‐ジエチルグルタル酸とモノビニルエーテルまたはモノビニルチオエーテルの合計量100重量部に対して、5〜95重量部、より好ましくは20〜80重量部である。【0019】本発明のジカルボン酸誘導体は、加熱、あるいは紫外線や電子線のような活性線の照射によりモノビニルエーテルまたはモノビニルチオエーテルの脱離が生じ、元の2,4‐ジエチルグルタル酸を再生する。この再生反応は酸触媒により助長される。そのような酸触媒としては、例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル類などのプロトン酸;BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl3、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズなどの有機金属化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチルアセトナト・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジクロロビス(アセチルアセトナト)スズ、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)クロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルトなどの金属キレート化合物;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの金属石鹸等のルイス酸等が挙げられる。また、光酸触媒としては、β−ケトスルホン、イミノスルホナート、ベンゾインスルホナート、O−ニトロベンジルスルホナート、アデカオプトマーSPシリーズ(旭電化工業(株)製、商品名)等が利用できる。【0020】前記の酸触媒及び光酸触媒は、それぞれ1種用いても良いし、2種以上を組合わせても良く、また、その配合量は、2,4‐ジエチルグルタル酸とビニルエーテルまたはビニルチオエーテルの合計量100重量部あたり、通常0.01〜10重量部の範囲で選ばれる。酸触媒及び光酸触媒の量が0.01重量%未満では触媒効果が十分に発揮されないし、10重量%を超えると、分解した低分子化合物が着色したり、副反応を起こすことがあり好ましくない。【0021】【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。実施例、及び比較例で用いた分析方法を示す。1、<酸価の測定>THF溶液に、一定量の樹脂を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、KOH/エタノール溶液にて滴定、測定を行った。2、<1H‐NMRの測定>機種;日本ブルカー(株)400MHzのAdovance400、積算回数;16回、溶剤;CDCl3、TMS標準、3、<13C‐NMRの測定>機種;日本ブルカー(株)400MHzのAdovance400、積算回数;1024回、溶剤;CDCl3、TMS標準、4.<IR測定>機種;日本分光(株)社製 FT/IR−600、セル;臭化カリウムを用いた錠剤法、分解;4cm−1、積算回数;16回。【0022】実施例1温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、2,4−ジエチルグルタル酸 237.2重量部、n−プロピルビニルエーテル162.8重量部、メチルイソブチルケトン100重量部を仕込み、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で4時間反応させた。反応後の酸価が10以下であることを確認し、反応を停止させた。この後、ロータリーエバポレーターを用い、反応液から溶剤及び未反応のビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、無色透明の液体を得た。得られた化合物は前記のIRスペクトル、1H−NMR、13C−NMRの測定方法に従って測定した。その結果を次に示す。【0023】1.IRスペクトルの測定結果;2840cm−1:−CH3の吸収、1730cm−1:−CO−O−の吸収、2.1H−NMRの測定結果;a;5.9ppm、b;3.4−3.6ppm、c;2.3ppm、d;1.4−1.6ppm、e;0.9ppm、なおa−eは次式の水素の添え字記号を示す。【0024】【化6】【0025】3.13C―NMRの測定結果a;175ppm、b;97ppm、c;71ppm、d;45―46ppm、e;34ppm、f;25−27ppm、g;21−23ppm、h;11ppm、なおa−hは次式の炭素の添え字記号を示す。【0026】【化7】【0027】結果を図1〜3に示した。これらの分析結果により、下記(4)に示される誘導体が得られたことが確認できた。【0028】【化8】【0029】参考例1実施例1で得られたジカルボン酸誘導体を用いて、表1に示す組成ではんだペーストを作製し、得られたはんだペーストのぬれ広がり性、粘度の経時安定性について調べた。尚、はんだ粉末は、平均粒系25μmのファインピッチ対応用のものを使用した。【0030】合成例1;アジピン酸とn−プロピルビニルエーテルとの反応物温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、アジピン酸183.6重量部、n‐プロピルビニルエーテル216.4重量部、メチルイソブチルケトン100重量部を仕込み、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で4時間反応させた。混合後の酸価が10以下であることを確認し、反応を停止させた。この後、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から溶剤及び未反応のビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、無色透明の液体を得た。得られた化合物の確認はIRスペクトル、1H−NMR、13C−NMRにより行った。【0031】比較参考例1および2合成例1で得られたジカルボン酸誘導体(アジピン酸とn−プロピルビニルエーテルとの反応物)を用いて、表1に示す組成ではんだペーストを作製し、参考例1と同様に試験した。なお、用いた水添ロジン誘導体は、後述の方法により得た。比較参考例1は、水添ロジンと合成例1で得られたジカルボン酸誘導体(アジピン酸とn−プロピルビニルエーテルとの反応物)との組み合わせ、比較参考例2は、合成例1で得られたジカルボン酸誘導体(アジピン酸とn−プロピルビニルエーテルとの反応物)と合成例2で得られた水添ロジン誘導体との組合わせである。【0032】比較参考例3変性前の2,4−ジエチルグルタル酸を用いて、表1に示す組成ではんだペーストを作製し、参考例1と同様に試験した。結果を表1に示す。【0033】【表1】【0034】表中の水添ロジン誘導体について以下に示す。合成例2;水添ロジン誘導体の合成温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、水添ロジン296.5重量部、n−プロピルビニルエーテル153.6重量部、メチルイソブチルケトン50重量部を仕込み、30分かけて常温から70℃まで上昇させた後、70℃で4時間反応させた。混合後の酸価が10以下であることを確認し、反応を停止させた。この後、ロータリーエバポレーターを用い、混合液から溶剤及び未反応のビニルエーテルを留去し、その後、真空ポンプにより真空乾燥することにより、淡黄色透明の液体を得た。【0035】表中の評価に用いたはんだ粉末を以下に示す。三井金属工業(株)製Sn/8Zn/3Bi、平均粒径25μm【0036】[試験方法]ぬれ広がり性、絶縁性、粘度の経時安定性の試験方法は以下の通りである。1.[ぬれ広がり性]JIS Z 3284の附属書10に準じた。評価は、次のとおりであり、以下の1〜4の4段階の広がり度合いの区分表示に従った。1;はんだペーストから溶解したはんだが試験版をぬらし、ペーストを塗布した面積以上に広がった状態、2;はんだペーストを塗布した部分はすべてはんだがぬれた状態、3;はんだペーストを塗布した部分の大半は、はんだがぬれた状態、(ディウエッティングも含まれる。)4;試験版ははんだがぬれた様子はなく、溶融したはんだは1つまたは複数のはんだボールとなった状態(ノンウエッティング)2.[絶縁性]はんだペーストは、JIS Z 3284に基づき絶縁抵抗試験を行った。○:1011Ω以上〜、△:109 Ω以上〜1011Ω未満、×: 〜109 Ω未満。3.[粘度の経時安定性]25℃で1週間保管したときの粘度と製造直後の粘度の比を指標とした。粘度の測定はTAインスツルメンタル社製レオメーター、AR−1000を用いて測定した。測定は直径4cmの平行円板を用い、ギャップを700μmとし、ずり速度1(sec−1)、温度25℃で行った。【0037】以上の結果から、本発明で得られたジカルボン酸誘導体が特定できた。またこの化合物は亜鉛系はんだペーストの活性剤として、活性が高く、残渣の信頼性も高く、保存安定性に使用するのに好適であることが確認された。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、実施例1の化合物のIRチャートである。【図2】図2は、実施例1の化合物の1H−NMRチャートである。【図3】図3は、実施例1の化合物の13C−NMRチャートである。 下記式(1)(式中のXは酸素原子または硫黄原子を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基である。)で表されるジカルボン酸誘導体。 2,4−ジエチルグルタル酸とモノビニルエーテル化合物もしくはモノビニルチオエーテル化合物とを付加反応させることを特徴とする請求項1記載のジカルボン酸誘導体の製造方法。 反応触媒として酸触媒を使用する請求項2記載のジカルボン酸誘導体の製造方法。 【課題】新規なジカルボン酸誘導体を提供する。前記の新規なジカルボン酸の製造方法を提供する。特に鉛フリーはんだ用フラックス及びはんだペースト、中でも亜鉛系のはんだペースト中の配合するのに好適な新規なジカルボン酸誘導体及びその製造方法を提供する。【解決方法】下記式(1)【化1】(式中のXは酸素原子または硫黄原子を示し、R1は炭素数1〜20のアルキル基である。)で表されるジカルボン酸誘導体。2,4−ジエチルグルタル酸とモノビニルエーテル化合物もしくはモノビニルチオエーテル化合物とを付加反応させることを特徴とするジカルボン酸誘導体の製造方法。【選択図】なし