生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_癌細胞の検出剤
出願番号:2002239076
年次:2004
IPC分類:7,G01N33/48,G01N33/483


特許情報キャッシュ

上岡 龍一 松本 陽子 中野 浩司 岩本 恭典 JP 2004077326 公開特許公報(A) 20040311 2002239076 20020820 癌細胞の検出剤 上岡 龍一 591154304 松本 陽子 502301377 学校法人君が淵学園 594158150 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 上岡 龍一 松本 陽子 中野 浩司 岩本 恭典 7 G01N33/48 G01N33/483 JP G01N33/48 M G01N33/48 A G01N33/483 C 9 OL 11 2G045 2G045AA24 2G045AA26 2G045BA14 2G045BB20 2G045BB25 2G045CB01 2G045CB02 2G045FA16 2G045FB07 2G045FB12 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、癌細胞の検出に用いられる検出剤および癌細胞検出用キットに関する。【0002】【従来の技術】癌細胞、癌による死亡率は年間30万人と病気死亡原因の第一位を座している。このような癌細胞による死亡率を低減するには、癌細胞の早期発見が望まれている。そこで、癌細胞を簡単に検出できる診断剤、すなわち検出剤及びキットが必要になる。例えば、特に肝臓は生命の生理的バランスを保つ役割を担っており、非常に重要な臓器であるが、沈黙の臓器といわれ、肝臓癌を含め肝疾患の多くは自覚症状がなく、かなりの病気が進行しないと症状が現れないので、診断剤による検査は欠かすことができない。これまでに癌細胞の検出剤としては、専ら抗原抗体を利用したものが使用されている。しかし、この抗原抗体反応における抗原は、腫瘍の種類、段階によって異なる場合があり、それによって、その都度、特定の抗体を必要とするため、一つの抗体では癌細胞が検出できない場合があり、あるいは反対に癌細胞でないものを悪性腫瘍細胞として反応し検出する等、検出剤としての性能は必ずしも満足できるものではなかった。また、かかる抗体を用いる方法以外の方法があれば、クロスチェックすることに検出の精度を高められるため、癌細胞を、より早期に検出することが期待できる。【0003】このような抗体を用いない診断薬として、例えば、特開2001−64158号公報には、治療または診断を目的とする薬物を内包するリポソームであって、リポソーム膜構成成分として、塩基性化合物、リン酸モノエステル誘導体またはカルボキシル基またはその塩を有する化合物である酸性化合物、および他のリポソーム構成成分からなるpH5〜7の病巣部位に集積するリポソームが開示されている。しかし、このリポソームでは、pH5〜7の病巣であれば、すべてを検出してしまうので、癌細胞のみを特異的に検出することはできなかった。一方、従来、リポソームは細胞膜のリン脂質と類似した成分を含むために種々の生理活性物質のキャリアーとして有望と考えられている。しかし、リン脂質からなる単一成分のリポソームは不安定で経時変化が大きく、水に対する溶解性も不十分であり、調製も複雑であった。【0004】本発明者らは、リン脂質と界面活性剤と抗癌剤とを含む、安定で調製容易なリポソームが、癌細胞の増殖抑制に効果のあることを見出し、リン脂質、ミセル系界面活性剤及び抗癌剤の3成分を含有する液体膜制癌剤を特許出願し(特開平3−163031号公報)、更に、リン脂質、ミセル系界面活性剤及び脂溶性抗癌剤の3成分を含有してなる脳腫瘍治療用ハイリッド型リポソーム製剤についても特許出願した(特開平8−151333号公報)。更にまた発明者らは、リン脂質、非糖ミセル系界面活性剤及び糖ミセル系界面活性剤の3成分よりなる、癌治療用ハイブリッド型リポソームについても特許出願している(特開2000−290170号公報)。本発明者らは、これらハイブリッド型リポソームの抗癌剤としての働きについて研究を行っている中で、このハイブリッド型リポソームが癌細胞の検出剤として使用できるとの着想を得、検討の結果、本発明に到達した。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、癌細胞の検出能力に優れた、癌細胞の検出剤を提供することを目的とする。本発明は、又、抗体を用いた検出剤とクロスチェックが可能な、抗体を用いない癌細胞の検出剤を提供することを目的とする。また本発明は、人体への毒性のない、in vivoでも使用可能な癌細胞の検出剤を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】発明者らは、リポソーム膜構成成分として(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤、及び(C)標識を含有してなるハイブリッド型リポソームが、効果的に癌細胞のみに集積し、癌細胞の検出を特異的かつ簡便に行うことができることを初めて見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤及び(C)標識を含有するハイブリッド型リポソームを含んでなる癌細胞の検出剤を提供する。本発明は、又、(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤、及び(C)標識を含有するハイブリッド型リポソームを含んでなり、抗原抗体反応を用いないことを特徴とする癌細胞検出用キットを提供する。【0007】【発明の実施の形態】本発明では癌細胞の検出剤及びキットに、ハイブリッド型リポソームを用いる。通常、リポソームとは、リン脂質やグリセロ糖脂質を少なくとも50%以上の水に、なるべくゲル液晶転移温度以上の温度で均一分散させることにより形成される脂質二重層からなる閉鎖小胞である。この小胞は超音波処理することにより一枚膜の小胞とすることができる。これに対して、本発明で用いるハイブリッド型リポソームとは、リポソーム膜の構成成分として(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤及び(C)標識を含有してなるリポソームである。【0008】本発明のハイブリッド型リポソームの膜構成成分として用いられる(A)成分のリン脂質としては、天然リン脂質、合成リン脂質、またはそれらの誘導体など、一般にリン脂質として知られているものであればいずれも用いることができる。通常知られるリン脂質とは、グリセリンエステルにおいて、グリセリンとエステルを形成する酸のうち2つが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数8〜26、好ましくは炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸、またはリノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキドン酸等の炭素数8〜26、好ましくは炭素数10〜20の不飽和高級脂肪酸であり、残りの一つがリン酸を介してコリン、エタノールアミン、セリン、イノシトール等のアルコールが結合されている化合物、例えば、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、フォスファチジルセリン、フォスファチジン酸、フォスファチジルイノシトールなどのリン脂質が好ましく用いられる。【0009】前記フォスファチジルコリンとしては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、水添卵黄レシチン、水添大豆レシチン、大豆由来フォスファチジルコリン、大豆由来水添フォスファチジルコリン等の天然系フォスファチジルコリン;ジオクタノイルホスファチジルコリン、ジノナノイルホスファチジルコリン、ジデカノイルホスファチジルコリン、ジウンデカノイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアリルホスファチジルコリン、ジパルミトオレイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジリノレイルホスファチジルコリン、ジリノレニルホスファチジルコリン、ジアラキドニルホスファチジルコリン、ジエイコサペンタノイルホスファチジルコリン、ジドコサヘキサノイルホスファチジルコリン等のジアシルフォスファチジルコリンが好ましく挙げられる。【0010】前記フォスファチジルエタノールアミンとしては、例えば、大豆由来フォスファチジルエタノールアミン、大豆由来水添フォスファチジルエタノールアミン等の天然系フォスファチジルエタノールアミン;ジオクタノイルホスファチジルエタノールアミン、ジノナノイルホスファチジルエタノールアミン、ジデカノイルホスファチジルエタノールアミン、ジウンデカノイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアリルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン、ジリノレニルホスファチジルエタノールアミン、ジアラキドニルホスファチジルエタノールアミン、ジエイコサペンタノイルホスファチジルエタノールアミン、ジドコサヘキサノイルホスファチジルエタノールアミン等のジアシルフォスファチジルエタノールアミンが好ましく挙げられる。【0011】前記フォスファチジルグリセロールとしては、例えば、ジオクタノイルホスファチジルグリセロール、ジノナノイルホスファチジルグリセロール、ジデカノイルホスファチジルグリセロール、ジウンデカノイルホスファチジルグリセロール、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアリルホスファチジルグリセロール、ジパルミトオレイルホスファチジルグリセロール、ジオレイルホスファチジルグリセロール、ジリノレイルホスファチジルグリセロール、ジリノレニルホスファチジルグリセロール、ジアラキドニルホスファチジルグリセロール、ジエイコサペンタノイルホスファチジルグリセロール、ジドコサヘキサノイルホスファチジルグリセロール等の、天然由来もしくは合成により得られたジアシルフォスファチジルグリセロールが好ましく挙げられる。【0012】前記フォスファチジルセリンとしては、例えば、ジオクタノイルホスファチジルセリン、ジノナノイルホスファチジルセリン、ジデカノイルホスファチジルセリン、ジウンデカノイルホスファチジルセリン、ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアリルホスファチジルセリン、ジパルミトオレイルホスファチジルセリン、ジオレイルホスファチジルセリン、ジリノレイルホスファチジルセリン、ジリノレニルホスファチジルセリン、ジアラキドニルホスファチジルセリン、ジエイコサペンタノイルホスファチジルセリン、ジドコサヘキサノイルホスファチジルセリン等の、天然由来もしくは合成により得られたジアシルフォスファチジルセリンが好ましく挙げられる。【0013】前記フォスファチジン酸としては、例えば、ジオクタノイルホスファチジン酸、ジノナノイルホスファチジン酸、ジデカノイルホスファチジン酸、ジウンデカノイルホスファチジン酸、ジラウロイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアリルホスファチジン酸、ジパルミトオレイルホスファチジン酸、ジオレイルホスファチジン酸、ジリノレイルホスファチジン酸、ジリノレニルホスファチジン酸、ジアラキドニルホスファチジン酸、ジエイコサペンタノイルホスファチジン酸、ジドコサヘキサノイルホスファチジン酸等の、天然由来もしくは合成により得られたジアシルフォスファチジン酸が好ましく挙げられる。【0014】前記フォスファチジルイノシトールとしては、例えば、大豆由来フォスファチジルイノシトール、大豆由来水添フォスファチジルイノシトール等の天然系フォスファチジルイノシトール;ジオクタノイルホスファチジルイノシトール、ジノナノイルホスファチジルイノシトール、ジデカノイルホスファチジルイノシトール、ジウンデカノイルホスファチジルイノシトール、ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール、ジステアリルホスファチジルイノシトール、ジパルミトオレイルホスファチジルイノシトール、ジオレイルホスファチジルイノシトール、ジリノレイルホスファチジルイノシトール、ジリノレニルホスファチジルイノシトール、ジアラキドニルホスファチジルイノシトール、ジエイコサペンタノイルホスファチジルイノシトール、ジドコサヘキサノイルホスファチジルイノシトール等のジアシルフォスファチジルイノシトールが好ましく挙げられる。【0015】上記リン脂質におけるアシル基としては、炭素数8〜26のものが好ましい。以上、本発明に用いられるリン脂質としては、前記したリン脂質以外のリン脂質も広く用いることができ、場合によっては、例えば、前記したリン脂質を原料として、酵素処理の上、アシル基組成を操作したような、合成系もしくは、半合成系のリン脂質などを本発明のリン脂質として利用することも一向にかまわないが、取扱い安さや、癌細胞の検出精度を高める点からは、アシル基部分の炭素数は約10〜22のものがより好ましい。特に好ましいのは、アシル基の炭素数が12〜18のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルグリセロールであり、これらの中でもL−α−ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはL−α−ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)である。このうち、下記に示す式で表される、L−α−ジミリストイルホスファチジルコリン(以下、DMPCと略すこともある)が、分散性能に優れているため、リン脂質として最も好ましく用いられる。【0016】【化1】【0017】本発明でリポソーム膜を構成する成分の一つであるミセル系界面活性剤としては、通常知られているミセルを形成しうる界面活性剤であれば、本発明の目的に反しない限りにおいて、いかなる界面活性剤であっても使用することができる。これらのうち、好ましくは、生体親和性などの点から、公知の非イオン性界面活性剤、例えば高級脂肪酸高級アルコールエステル、ソルビタン高級脂肪酸部分エステル、グリセリン高級脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル等を挙げることができる。これらの中では、ソルビタン高級脂肪酸部分エステル、なかでも低HLBの非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましく、ポリオキシソルビタンジラウレート(TWEEN20)などのポリオキシソルビタンジ脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数としては、10〜18が好ましい)あるいは重合度が10から30のポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数としては、10〜18が好ましい)が、HLBが低くW/Oを形成するミセル系界面活性剤であることから、好ましく用いられる。また、下記に示す式で表されるC12(EO)23も、癌細胞の検出精度を高める点からミセル系界面活性剤として、最も好ましく用いることができる。【0018】【化2】CH3(CH2)11O(CH2CH2O)23H【0019】本発明では、ハイブリッド型リポソームを形成するため、(C)成分として標識を用いる。標識としては、本発明のハイブリッド型リポソームが付着した癌細胞を、該ハイブリッド型リポソームが付着していない癌細胞と識別できる作用を有するものであれば、通常使用されているマーカーや標識化合物を任意に使用することができる。これらのうち、標識として、発色物質や蛍光物質を用いるのが好ましく、本発明の目的を損なわない限り、いかなる発色物質や蛍光物質を用いても良いが、リポソーム膜の構成成分として用いることが可能である脂溶性の蛍光物質が好ましい。このような脂溶性の蛍光物質としては、例えば、疎水場蛍光プローブである1,3−ビス(1−ピレニル)プロパン、膜流動性測定用蛍光プローブである1−(4−トリメチルアンモニウムフェニル)−6−フェニル−1,3,5−ヘキサトリエンヨウ化物、生細胞染色用色素である、5− or 6−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)−3´,6´−O,O´−ジアセチルフルオレセイン等が挙げられる。この他、このような脂溶性の蛍光物質としては、通常知られる蛍光プローブで脂質を標識してある蛍光脂質等を挙げることができ、例えば蛍光プローブであるNBDによりリン脂質を標識して得られるNBD標識リン脂質(以下、NBDPCと略することもある)等が代表的な蛍光脂質として挙げられる。これらの脂溶性の蛍光物質のうち、入手性の点などから、蛍光脂質が好ましく用いられ、特に、取扱い安さ、検出蛍光強度が大きいなどの理由からは、下記式で表されるNBDPCが最も好ましく用いられる。【0020】【化3】【0021】又、標識としては、放射化元素でラベルした(A)リン脂質や(B)ミセル系界面活性剤を用いることもできる。本発明に用いられるハイブリッド型リポソームにおける(A)リン脂質と(B)ミセル系界面活性剤との割合は、任意とすることができるが、(A)が99〜50重量%:(B)が0.9〜50重量%が好ましく、より好ましくは(A)が98〜70重量%:(B)が1.9〜30重量%、特に好ましくは(A)が95〜80重量%:(B)が4.9〜20重量%の範囲である。また、ハイブリッド型リポソームにおける(C)標識の含有量は、0.1〜10重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。この他、糖脂質や安定化成分など、本発明の目的を損なわない限りにおいて、ハイブリッド型リポソームの膜構成成分として、公知の物質を添加することは自由に行われて良い。但し、コレステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロールなどのステロール類に関しては、癌細胞の検出精度を低める場合があるので、ハイブリッド型リポソームの膜構成成分としては、ステロール類を含まない方が良い。【0022】本発明で用いるハイブリッド型リポソームは、前記した上記割合の(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤、及び(C)標識、及び必要に応じて他の成分とを適宜配合や加工を行い原料とし、これを適当な溶媒中に添加して、更にエクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波法、界面活性剤除去法、逆相蒸発法、エタノール注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法などの公知のリポソーム製造方法に従い、ハイブリッド型リポソームを製造することができる。膜構成成分を分散させる溶媒としては、製造方法に応じて適当な溶媒を使用することができるが、一般的には、水系溶媒が好ましく、例えば蒸留水;生理的食塩水;PBS(−);リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液等の緩衝水溶液などが使用できる。【0023】本発明に用いられるハイブリッド型リポソームは、公知のリポソーム製造法の種類及び膜構成成分の配合割合を適宜選択することにより、多重層ハイブリッド型リポソーム、小さな一枚膜ハイブリッド型リポソーム、大きな一枚膜ハイブリッド型リポソームなど、種々の大きさや形態を有するハイブリッド型リポソームとして製造することができる。また、本発明においては、どの形態のハイブリッド型リポソームでも使用することができる。製造されたハイブリッド型リポソームの粒径は特に限定されるものではないが、保存安定性などの点から、粒径は20〜600nmであるのが好ましく、より好ましくは50〜300μmである。【0024】尚、ハイブリッド型リポソームの保存安定性など、品質を高める点からは、膜構成成分を緩衝水溶液もしくはPBS(−)中に添加し、好ましくは高速ミキサー等で攪拌混合後、超音波で分散処理し、更に必要に応じて溶液を濾過することによって、粒径80〜200μmのハイブリッド型リポソームを製造するのが良い。この方法で得られるハイブリッド型リポソームの分散液は、そのまま癌細胞の検出剤として用いることができる。前記の方法で得られた癌細胞の検出剤を用いて、抗原抗体反応を用いずに癌細胞を検出するには、生体から組織の一部を摘出し、細胞を分離した後、ハイブリッド型リポソームを含む培養液で培養し、蛍光顕微鏡などの標識検出器で直接、もしくは写真を撮影することにより観察すればよい。【0025】本発明では、抗原抗体反応を用いないことを特徴としており、癌細胞の検出精度を高めるための条件として、ハイブリッド型リポソームが癌細胞の細胞膜に選択的に融合するに必要な培養温度及び時間は、通常、常温、好ましくは15〜35℃で1〜10時間培養することが好ましい。このようにして、ハイブリッド型リポソームが癌に対し、効果的に融合・蓄積して、癌細胞を早期に検出することができるが、良性腫瘍もしくは正常細胞に対しては、ハイブリッド型リポソームの融合・蓄積が生じない。このことにより、抗原抗体反応を用いなくても、精度の高い癌細胞の検出が可能となる。【0026】本発明のキットは、上記ハイブリッド型リポソーム溶液からなる癌細胞の検出剤及び培養検査容器を含んでなる抗原抗体反応を用いないことを特徴とするキットである。本発明の癌細胞の検出剤は、多くの癌疾患、例えば、脳腫瘍、頭頸部癌、口頭癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、胆嚢・胆管癌、膵臓癌、膵島細胞癌、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、胎児性横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫などの疾患の固形腫瘍を形成する悪性の癌細胞の検出、もしくは、急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症などの造血器腫瘍の癌細胞の検出に有効であり、この他、通常癌細胞に分類される多くの癌細胞を検出することができ、また癌細胞は組織中にあっても、組織から分離した状態であっても検出することができるが、特に、固形腫瘍を形成する悪性腫瘍の癌細胞の検出に最も有効であり、肝臓癌の検出に最も優れている。又、ヒトの癌細胞はもとより、各種動物の癌細胞の検出にも用いることができる。【0027】【実施例】次に実施例を挙げて本発明につきさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例における試料の測定は次の方法で行った。【0028】[動的光散乱法]サブミクロンサイザー(Brookhaven BI−90)を用いた。光源としてHe−Neレーザーの632.8nmの発振線を出力35mWで行い、散乱各90度で測定し、得られた拡散係数(D)からStokes−Einsteinの式(1)に従い、膜の直径を求めた。〔式1〕 dhy=kT/3πηD (1)(但し、κはBoltzmann定数、Tは絶対温度、ηは溶媒の粘度である。)【0029】実施例1[ハイブリッド型リポソームの調製]リン脂質であるDMPC(L−α−ジミリストイルホスファチジルコリン、日本油脂(株)社製、商品名コートソーム4040)1×10−3M、蛍光脂質であるNBDPC(市販品)4.65×10−5M、および非イオン系界面活性剤であるCH3(CH2)11O(CH2CH2O)23H(市販品、以下、C12(EO)23と略記することもある。)1.16×10−4Mの濃度になるように一定量をとり、緩衝水溶液(Phosphate buffer saline:PBS(−))中に加え、BRANSONICモデルB2210を用いて、90W、45℃にて窒素雰囲気下、超音波処理し(5分間/5mL)、均一溶液が得られたことを確認した後、孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌してハイブリッド型リポソームを調製した。尚、動的光散乱法による測定では、このようにして得られたハイブリッド型リポソームは、約1ヶ月間保存しても、ほぼ150nm前後の安定した粒子径を保っていた。【0030】[癌細胞の検出試験]肝臓由来のヒト肝臓癌(Hep−G2)細胞の培養癌細胞を用い、上記ハイブリッド型リポソームを5重量%含む培養した癌細胞懸濁液100μL/wellを滅菌済み96wellマルチプレートに分注し、24時間プレインキュベーション後、試験溶液10μL/wellを添加し、さらに3時間培養した後に蛍光顕微鏡による観察を行った。このとき、悪性腫瘍細胞の検出は、500〜600nmの波長域で蛍光観察を行うことにより検出した。結果を図1に示した。【0031】比較例1実施例1において、悪性腫瘍細胞の代わりに正常ヒト肝臓(HC)細胞を用いる以外は、全て実施例1と同様にして、癌細胞の検出試験を行った。結果を図1に示した。【0032】【発明の効果】本発明のハイブリッド型リポソームは、悪性腫瘍細胞の細胞壁にのみ融合する一方、正常細胞とは融合しないといった選択性が優れていることから検出剤として優れている。また、抗原抗体反応による検出剤に比べて検出のための操作が簡単で、しかも迅速である。本発明の悪性腫瘍の検出剤は主成分が(A)リン脂質と(B)ミセル系界面活性剤であるため、細胞や生体に対して直接に検出剤として用いても毒性がなく、測定対象に対して与える影響が少ないという利点がある。【図面の簡単な説明】【図1】ヒト肝臓癌(Hep−G2)細胞に本発明の癌細胞の検出剤を添加した結果(実施例1)を、正常ヒト肝臓(HC)細胞に本発明の癌細胞の検出剤を添加した結果(比較例1)とともに示す図である。 (A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤及び(C)標識を含有するハイブリッド型リポソームを含んでなる癌細胞の検出剤。 (A)リン脂質がジアシルホスファチジルコリンである請求項1記載の検出剤。 (B)ミセル系界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項1または2記載の検出剤。 非イオン性界面活性剤がポリオキシソルビタンジ脂肪酸エステル又は重合度が10から30のポリオキシエチレンアルキルエーテルである請求項3記載の検出剤。 (C)標識が蛍光試薬である請求項1〜4記載のいずれか1項記載の検出剤。 蛍光試薬が脂溶性蛍光物質である請求項5記載の検出剤。 抗原抗体反応を用いない請求項1〜6のいずれか1項記載の検出剤。 ヒト肺腺癌もしくは肝臓癌の癌細胞の検出に用いるための請求項1〜7のいずれか1項記載の検出剤。 (A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤、及び(C)標識を含有するハイブリッド型リポソームを含んでなり、抗原抗体反応を用いないことを特徴とする癌細胞検出用キット。 【課題】抗原抗体反応による検出剤に比べて検出のための操作が簡単で、しかも迅速であり、抗原抗体反応を用いないことを特徴とする、癌細胞の検出剤及び癌細胞の検出用キットを提供すること。【解決手段】(A)リン脂質、(B)ミセル系界面活性剤、及び(C)標識を含有するハイブリッド型リポソームを含んでなる癌細胞の検出剤、特にヒト肺腺癌もしくは肝臓癌の癌細胞の検出に好適な癌細胞の検出剤、及びハイブリッド型リポソームを含んでなる癌細胞検出用キット。【選択図】 なし


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