タイトル: | 公開特許公報(A)_ビタミンE含有造粒粉末及び該粉末の製造方法 |
出願番号: | 2002237087 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K31/355,A23L1/302,A61K9/14,A61K9/16,A61K47/26,A61K47/36,A61P3/02 |
山田 靖 安部 忍 JP 2004075600 公開特許公報(A) 20040311 2002237087 20020815 ビタミンE含有造粒粉末及び該粉末の製造方法 小川香料株式会社 591011410 山田 靖 安部 忍 7 A61K31/355 A23L1/302 A61K9/14 A61K9/16 A61K47/26 A61K47/36 A61P3/02 JP A61K31/355 A23L1/302 A61K9/14 A61K9/16 A61K47/26 A61K47/36 A61P3/02 109 8 OL 7 4B018 4C076 4C086 4B018LE03 4B018MD26 4B018MF06 4B018MF08 4C076AA31 4C076BB01 4C076CC23 4C076DD67Q 4C076EE30F 4C076EE38F 4C076FF04 4C076FF16 4C076FF63 4C076GG09 4C076GG13 4C086BA09 4C086MA03 4C086MA05 4C086NA02 4C086NA03 4C086ZC29 【0001】【発明が属する技術分野】本発明は、物性に優れたビタミンE含有造粒粉末の製造法及び該製造法によって製造されたビタミンE含有造粒粉末に関する。【0002】【従来の技術】脂溶性ビタミン類の粉末化の製造方法に関しては、賦形剤としてゼラチンを使用する方法(特開昭48−22613号公報)、ゼラチン及びカゼインナトリウムを使用する方法(特公平3−37527号公報)、大豆蛋白部分分解物及び卵白部分分解物、大豆蛋白、卵白等の蛋白質を用いる方法(特開昭58−187174号公報)、グルコース、フラクトース等単糖類、ショ糖、乳糖等二糖類及び澱粉加水分解物を使用する方法(特開昭60−64917号公報)、単糖類、二糖類及びアラビアガム、キサンタンガム等ガム類を使用する方法(特開昭61−60619号公報)、サポニン類の存在下で水相部にビタミンEが乳化若しくは可溶化物を調整し賦形剤を加え噴霧乾燥する方法(特開昭60−64919号公報)、ビタミンE関連物質に対し、30重量%以上のケイ酸カルシウム吸着剤と混合してビタミンE関連物質を含む顆粒を製造する方法(特許第2626975号)などがこれまで提案されており、更には脂肪酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の乳化剤の使用も検討されているが、得られる粉末の物性の改良に関しては、今なお多くの研究がなされているのが現状である。特開平11−193229号公報においては、加工澱粉と植物ガムを併用して乳化し、次いで乾燥することにより、打錠時に油の滲み出しのない物性の優れた粉末ビタミンEの製造方法が提案されているが、流動性の改良という点では必ずしも満足のいくものではなかった。【0003】一方、特開2000−44462号公報においては、ビタミンEと、ゼラチンと、ケイ酸カルシウムとを含有する流動性に優れた粉末ビタミンEが提案されている。しかしながら、上記方法により粉末ビタミンEの流動性は改善されるものの、ゼラチンはアレルギー物質を含む特定原材料であるため使用に際して注意が必要であり、さらなる技術改良が求められていた。【0004】【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目的は、流動性の良い粉末ビタミンEを提供することである。【0005】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明者らは鋭意検討した結果、重質で流動性に優れたビタミンE含有造粒粉末により解決できることを見出すとともに、その造粒粉末が、液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する装置を用いることにより得られることを見出すことにより本発明を完成するに至ったのである。すなわち本発明は、次の(1)〜(8)に存する。(1)液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られるビタミンE含有造粒粉末であって、該粉末の嵩密度が0.5g/ml〜0.9g/mlであることを特徴とするビタミンE含有造粒粉末。(2)ビタミンE含有造粒粉末の平均粒子径が50〜1000μmであることを特徴とする(1)のビタミンE含有造粒粉末。(3)ビタミンEがα−、β−、γ−、及びδ−トコフェロールのミックストコフェロール、若しくは単体のトコフェロール含有油、酢酸トコフェロール含有油、トコトリエノール含有油等の油溶性ビタミン類であることを特徴とする(1)又は(2)のビタミンE含有造粒粉末。(4)液体原料が、アラビアガム及び/又は化工澱粉により乳化されたビタミンEの乳化液であることを特徴とする(1)〜(3)のビタミンE含有造粒粉末。(5)液体原料中に、更に賦形剤として糖類及び/又は澱粉分解物が含まれていることを特徴とする(1)〜(4)のビタミンE含有造粒粉末。(6)ビタミンE含有乳化液を流動層中に直接噴霧することにより製造することを特徴とするビタミンE含有造粒粉末の製造方法。(7)ビタミンE含有粉末及び/又は核粒子を加熱した空気によって流動化させ、流動層の底からビタミンE含有乳化液を噴霧し、流動層の温度を80〜140℃に保持する事により製造することを特徴とするビタミンE含有造粒粉末の製造方法。(8)(6)又(7)の製造方法によって製造されたことを特徴とするビタミンE含有造粒粉末。【0006】【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施の形態に合わせて詳細に説明する。本発明においては、加熱した空気によって流動化させた核粒子の床の中にビタミンE含有乳化液を噴霧し、流動層の温度を80℃〜140℃に保持する造粒方法、すなわち流動層レイヤリング造粒法が用いられる。本発明で用いられる造粒装置としては、流動層レイヤリング造粒法として確立された噴霧乾燥式流動層造粒装置であれば、その構造については特に限定されるものではないが、例えば、アグロマスタAGM−SD型(ホソカワミクロン社製)が挙げられる。この噴霧乾燥式流動層造粒装置では、従来における乾燥(噴霧乾燥又は真空乾燥)、液添(造粒用水分調整)、造粒(流動層又は押出造粒機)、球形化(転動球形化機)、仕上げ乾燥(流動乾燥機)を一つの装置(1プロセス)で実現できるので、効率的、かつ、経済的な造粒乾燥システムで粉末ビタミンEが得られることとなる。この装置の実際については、本発明者らによる特許出願:特願平11−264220号(特開2001−86971号公報)を参照することができる。【0007】本発明で用いられるビタミンEは、トコフェロールを含有するものであれば特に限定されることはなく、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコトリエノール及び酢酸トコフェロールからなる油溶性ビタミン類から選ばれる1種又は2種以上の混合物或いはその製剤が例示される。また、これらビタミンEは他の油溶性物質と併用することにより、より効果的な製剤とすることもできる。その様な油溶性物質とは、例えば、レチノール(ビタミンA1 )、3−デヒドロレチノール(ビタミンA2 )等ビタミンA群、α− 、β− 、γ− カロチン、β− クリプトキサンチン等プロビタミンA群、コレカルシフェロール(ビタミンD3 )、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2 )等ビタミンD群、7−デヒドロコレステロール(プロビタミンD3 )、エルゴステロール(プロビタミンD2 )等プロビタミンD群、フィロキノン、メナキノン、メナジオン等ビタミンK群等脂溶性ビタミン類、及びこれら脂溶性ビタミン類誘導体等から選ばれた1種類又は2種類以上を含む脂質が含まれる。【0008】本発明で用いられる乳化剤は、乳化剤であれば特に限定されることはないが、好ましくはアラビアガム、化工澱粉、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、微結晶セルロース等が例示され、更に好ましくはアラビアガム及び/又は化工澱粉が用いられる。乳化剤の使用量は、使用するビタミンEの種類、量、製剤の場合は含有率により適宜に設定されるものであるが、通常はビタミンEに対して0.1〜10倍量、好ましくは0.5〜5倍量の範囲で用いることができる。【0009】本発明で使用する賦形剤である糖類は、糖であれば特に限定されることはないが、好ましくはグルコース、フラクトース、ガラクトースなどの単糖類、ショ糖、マルトース、トレハロースなどの二糖類、水飴、還元水飴、デキストリンなどの澱粉分解物が例示され、更に好ましくは二糖類、更に好ましくはショ糖があげられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いる事ができる。糖の使用量は、使用するビタミンEの種類、量、製剤の場合は含有率により適宜に設定されるものであるが、通常はビタミンEに対して0.1〜10倍量、好ましくは0.5〜5倍量の範囲で用いることができる。【0010】本発明におけるビタミンE含有造粒粉末の平均粒子径は、好ましくは、50μm〜1000μm、更に好ましくは100μm〜710μmとすることが望ましい。平均粒子径が50μm未満であれば、流動性が悪くなる傾向があり、また、1000μmを越えるものは、口中で異物として感じられる可能性が高くなり、好ましくない。なお、本発明における平均粒子径は、JIS規格篩を使用した篩分法に基づいて測定したものをいう。また、上記粉末ビタミンEの平均粒子径の調整は、流動層の温度、送風量、噴霧溶液の流量、噴霧空気の流量と圧力などの調整により行うことができる。【0011】本発明において上述の流動層レイヤリング造粒法により得られるビタミンE含有造粒粉末の嵩密度は、0.5g/ml〜0.9g/ml、好ましくは0.55g/ml〜0.85g/ml、更に好ましくは0.6g/ml〜0.80g/mlとする必要がある。なお、この粉末ビタミンEの嵩密度の調整は、流動層の温度を80℃〜140℃に保持することにより行うことができる。この粉末ビタミンEの嵩密度を上記0.5g/ml〜0.9g/mlに調整することで、優れた流動性を実現することができる。そして、この嵩密度の範囲と、平均粒径100μm〜710μmの範囲を組み合わせたときに、本発明は最も優れた効果を示すことができる。なお、本発明における嵩密度の測定は、ABD−粉体特性測定器(筒井理化学会社製)にて行った。【0012】本発明で用いられる粉末製造装置は「流動層レイヤリング造粒原理」であるため、噴霧乾燥装置に比べ製品水分(排気湿度)を高く維持でき、顆粒内部は比較的低温に保たれるため、ビタミンEの分解が押さえられる、さらに従来の製造プロセスで顆粒化のために行っていた「再液添加操作」や「仕上げ乾燥操作」が不要である特徴も兼ね備えている。【0013】本発明の好ましい一態様を挙げれば、例えば水233重量部に乳化剤30〜55重量部と糖類5.5〜21.5重量部を溶解させ、ビタミンE含有油33.5〜55.5重量部を添加しT.K.ホモディスパー2.5型(特殊機化工業社製)等を用いて乳化処理を行い、適度な乳化状態が得られるまで攪拌し得られた乳化混合物をアグロマスタAGM−SD型(ホソカワミクロン社製)を用い送風温度130℃で噴霧乾燥およびコーティング造粒(レイヤリング造粒)を行った後、篩がけにより、粒子径100〜710ミクロンの流動性に優れたビタミンE含有造粒粉末(ビタミンE含量30〜50%)を得る事ができる。【0014】【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。【0015】[実施例1]水240gにアラビアガム60g、化工澱粉75g及びグラニュー糖64.5gを80℃で溶解殺菌した後40℃まで冷却した。これにγ−トコフェロール90(タマ生化学社製)100.5gを添加し、T.K.ホモディスパー2.5型(特殊機化工業社製)を用い40〜50℃を維持しながら5000rpm.にて10分攪拌した後、水459gを添加し均一化した乳化液をアグロマスタAGM−SD型(ホソカワミクロン社製)を用い送風温度130℃で噴霧乾燥およびコーティング造粒(レイヤリング造粒)を行った後、篩がけにより、淡黄色のγ−トコフェロール粉末(γ−トコフェロール含量30%)の造粒物(粒子径177〜500μm)249gを得た。【0016】[比較例1]水240gにアラビアガム60g、化工澱粉75g及びグラニュー糖64.5gを80℃で溶解殺菌した後40℃まで冷却した。これにγ−トコフェロール90(タマ生化学社製)100.5gを添加し、T.K.ホモディスパー2.5型(特殊機化工業社製)を用い40〜50℃を維持しながら5000rpm.にて10分攪拌した後、水459gを添加し均一化した乳化液をスプレードライヤー(大川原化工機社製)を用い、送風温度135℃、排風温度90℃で噴霧乾燥し、淡黄色のγ−トコフェロール粉末(γ−トコフェロール含量30%)250gを得た。【0017】[試験例1]実施例1のビタミンE含有造粒粉末と比較例1の粉末ビタミンEの流動性について、嵩密度と安息角を測定することにより評価した。結果を表1に示す。【0018】【表1】【0019】表1の結果から、本発明のビタミンE含有造粒粉末は優れた流動性を示すことがわかる。【0020】【発明の効果】本発明品は、従来技術のビタミンE含有粉末に比して明らかに流動性で優れている事を示す。 液体原料から連続的に直接、球形状顆粒を製造する噴霧乾燥式流動層造粒装置を用いて、流動層レイヤリング造粒法により得られるビタミンE含有造粒粉末であって該粉末の嵩密度が0.5g/ml〜0.9g/mlであることを特徴とするビタミンE含有造粒粉末。 平均粒子径が50μm〜1000μmであることを特徴とする請求項1記載のビタミンE含有造粒粉末。 ビタミンEがα−、β−、γ−、及びδ−トコフェロールのミックストコフェロール、若しくは単体のトコフェロール含有油、酢酸トコフェロール含有油、トコトリエノール含有油等の油溶性ビタミン類であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビタミンE含有造粒粉末。 液体原料が、アラビアガム及び/又は化工澱粉により乳化されたビタミンEの乳化液であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のビタミンE含有造粒粉末。 液体原料中に、更に賦形剤として糖類及び/又は澱粉分解物が含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のビタミンE含有造粒粉末。 ビタミンE含有乳化液を流動層中に直接噴霧することにより製造することを特徴とするビタミンE含有造粒粉末の製造方法。 ビタミンE含有粉末及び/又は核粒子を加熱した空気によって流動化させ、流動層の底からビタミンE含有乳化液を噴霧し、流動層の温度を80〜140℃に保持することにより製造することを特徴とするビタミンE含有造粒粉末の製造方法。 請求項6又は請求項7に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするビタミンE含有造粒粉末。 【課題】汎用性のある、流動性に優れた粉末ビタミンEの提供。【解決手段】ビタミンE含有油、アラビアガム、化工澱粉、二糖類、デキストリン等を使用して流動層レイヤリング造粒法により製造された顆粒状ビタミンE含有粉末を得る。このビタミンE含有粉末は、平均粒径が50μm〜1000μm、好ましくは100μm〜710μmの範囲内のもので、かつ、嵩密度0.5g/ml〜0.9g/mlであり、保存安定性に優れ、重質で優れた流動性を有する特徴を示す。【選択図】 なし