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タイトル:特許公報(B2)_フッ素系界面活性剤組成物
出願番号:2002222848
年次:2009
IPC分類:C09K 3/00,C07C 311/09,C11D 1/02,C11D 1/38,C11D 1/66


特許情報キャッシュ

高野 聖史 坂本 高章 山岡 誠司 木下 宏司 JP 4211313 特許公報(B2) 20081107 2002222848 20020731 フッ素系界面活性剤組成物 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 高野 聖史 坂本 高章 山岡 誠司 木下 宏司 JP 2002019996 20020129 20090121 C09K 3/00 20060101AFI20081225BHJP C07C 311/09 20060101ALI20081225BHJP C11D 1/02 20060101ALN20081225BHJP C11D 1/38 20060101ALN20081225BHJP C11D 1/66 20060101ALN20081225BHJP JPC09K3/00 ZC07C311/09C11D1/02C11D1/38C11D1/66 C09K3/00、 C07C1/00-409/44、 CAplus(STN)、 REGISTRY(STN) 特表平10−513217(JP,A) 特開平10−114846(JP,A) 米国特許第04420434(US,A) 米国特許第04472286(US,A) 特開平04−335354(JP,A) 7 2003292989 20031015 16 20050708 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、印刷材料、感光性材料、写真材料、塗料、接着剤、表面機能性保護膜形成材料、洗浄剤、光学材料、離型剤等の各種コーティング材料、自動車、船舶、車両、航空機、建材、家電、OA機器、電気・電子機器、通信機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、各種封止材料等の組成物に適用し、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性を高めるのに好適なフッ素系界面活性剤組成物に関する。【0002】【従来の技術】フッ素系界面活性剤は、その表面張力低下能力の高さに基づき、炭化水素系やシリコン系界面活性剤に比較し、添加されたコーティング用、成形用等の組成物に対して優れた浸透・濡れ性、レベリング性等を実現する材料であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されてきた。フッ素系界面活性剤による界面活性効果を実現する源であるパーフルオロアルキル(Rf)基の製造方法には、電解フッ素化法、テロメリゼーション法、オリゴメリゼーション法等が挙げられ、何れの方法を用いてもRf基鎖長の異なる界面活性剤を製造することが可能である。【0003】この中で最近、電解フッ素化法により製造されたフッ素系界面活性剤のうち、Rf基鎖長が8のものは、毒性は低いものの生体蓄積性が高いため、各種工業材料としても敬遠される様になってきた。また、Rf基鎖長が7以下のもののみで構成された界面活性剤は、界面活性効果の低さは否めずその用途が限定されてきた。【0004】一方、テロメリゼーション法により製造されたフッ素系界面活性剤のRf基は、四フッ化エチレンの付加反応により製造されるため、通常Rf基鎖長に分布を生じる。即ち、界面活性剤として有用なRf基鎖長を得ようとすると、必然的にそれよりも短鎖および長鎖のものが生成する。目的とする鎖長あるいは鎖長分布よりも、短鎖のものが多く生じると界面活性効果が低下し、長鎖のものが生じると添加される組成物に対する溶解性が低下し、その結果加工作業性を低下させることも少なくなかった。【0005】また、これらの問題点を改良するために、単一鎖長からなるRf基をもつフッ素系界面活性剤も市販されており、一部用途には適用されているが、用途、目的によっては、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と添加される組成物に対する溶解性を満足する十分なものは得られていなかった。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、界面活性効果が高く、溶解性が良好なフッ素系界面活性剤組成物を提供することである。【0007】【課題を解決する手段】本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、界面活性剤としてRf基鎖長の分布幅が狭いフッ素系化合物、つまり、一定以上の純度を有するフッ素系化合物を、Rf基鎖長が異なる組み合わせで2種類以上含有させることにより、界面活性効果が高く、溶解性が良好なフッ素系界面活性剤組成物が得られること等を見出し、本発明をなすに至った。【0008】 すなわち、本発明は、界面活性剤としてF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)にて表わされる部分フッ素化アルキル基を有する純度85重量%以上のフッ素系化合物を2種以上含有するフッ素系界面活性剤組成物であって、該2種以上のフッ素系化合物がそれぞれnの異なる部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物であり、全フッ素系化合物中におけるn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の合計の含有率が5重量%以下であり、全フッ素系化合物中におけるn=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率が5重量%以下であり、かつ前記n=2の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物、前記n=3の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物および前記n=4の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物を含有し、その重量比〔(n=2)/(n=3)/(n=4)〕が(5〜50)/(5〜85)/(10〜90)であることを特徴とするフッ素系界面活性剤組成物を提供するものである。【0009】【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。通常テロメリゼーション法では、パーフルオロブチルアイオダイドに対して四フッ化エチレンを付加して、Rf基鎖長を伸長する。その後、エチレンを付加したパーフルオロエチルアイオダイドとし、これを出発原料とすることにより各種界面活性剤用フッ素系化合物の合成が可能である。従って、テロメリゼーション法にて製造された界面活性剤用フッ素系化合物の多くは、F(CF2)2nCH2CH2−で表わされる部分フッ素化アルキル基を有することになる。【0010】本発明者等の知見によれば、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と、樹脂、溶剤および各種添加剤等の添加されるべき組成物への溶解性を兼備させるためには、F(CF2)2nCH2CH2−で表わされる部分フッ素化アルキル基中のnは目的とする組成物、これらの性能のレベル、加工工程等により異なる。【0011】そこで、目的とする組成物、性能、加工工程等に応じて、nの異なる部分フッ素化アルキル基〔F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)〕を有する純度が85重量%以上のフッ素系化合物を2種以上含有させることことが、界面活性効果と組成物への溶解性を兼備させるためには極めて有効であることを見出した。ここで、フッ素系化合物の純度は、通常ガスクロマトグラフィー(GC)法により測定する。また、GC法では検出できない化合物である場合には、部分フッ素化アルキル基以外の部分、例えば後記する一般式(1)にて表されるフッ素系化合物における2価の連結基Xおよび/または親媒基Yを化学修飾した後、GC法を用いて行う。また、高速液体クロマトグラフィー法、キャピラリー電気泳動法等のその他の各種クロマトグラフィー法、質量分析法等を用いて測定しても良い。該フッ素系化合物の純度は、95重量%以上であることが好ましく、98重量%以上であることがさらに好ましい。【0012】尚、本発明におけるフッ素系化合物の純度とは、F(CF2)2nCH2CH2−で表わされる部分フッ素化アルキル基中のnの分布による違いのみを指し、製造方法によって必然的に副生するその他の化合物は、この純度の算出に含めない。例えば、後記する合成例1では、純度98.6重量%のn=8の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物を合成しているが、その具体的組成は部分フッ素化アルキル基鎖長(n)が4〜12のものの混合物であり、それらの重量比は、(n=4)/(n=6)/(n=8)/(n=10)/(n=12)=0/0.2/0.5/98.6/0.6/0.1(GC分析値)である。【0013】また、本発明で用いるフッ素系化合物は、F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)にて表わされる部分フッ素化アルキル基を有する純度85重量%以上のフッ素系化合物であればよく、該部分フッ素化アルキル基を2個以上有するものであってもよい。従って、本発明のフッ素系界面活性剤組成物は、部分フッ素化アルキル基を1個有する純度85重量%以上のフッ素系化合物のみを2種以上含有するもの以外に、部分フッ素化アルキル基を1個有する純度85重量%以上のフッ素系化合物と部分フッ素化アルキル基を2個以上有する純度85重量%以上のフッ素系化合物を含有するものや、部分フッ素化アルキル基を2個以上有する純度85重量%以上のフッ素系化合物のみを2種以上含有するものであってもよい。ただし、いずれの場合でも、nの異なる部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の組み合わせであることが必須である。【0014】本発明において、純度が85重量%以上のフッ素系化合物を得る方法には特に制限はない。即ち、素原料であるパーフルオロアイオダイドまたはパーフルオロエチルアイオダイドの段階で精製しても構わないし、これらの化合物より目的とするフッ素系化合物を製造する如何なる工程において精製しても構わない。また、精製する方法にも制限はなく、例えば種々の設備を用いた蒸留、各種溶媒を用いた抽出、シリカ、アルミナ、活性炭、イオン交換樹脂等の各種吸着材を用いたカラムあるいはバッチ処理、洗浄処理等の公知公用の操作を利用することができる。【0015】本発明者等の知見によれば、浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果と、樹脂、溶剤および各種添加剤等の添加されるべき組成物への溶解性を兼備させるためには、目的、用途、加工工程に応じて、最適なnを有する上記した純度85重量%フッ素系化合物を2種類以上含有させることが必要である。ここで、2種類以上のフッ素系化合物を含有させる際には如何なる方法で混合されても良い。【0016】本発明者等の知見によれば、nの異なる部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物を2種類以上含有する本発明のフッ素系界面活性剤組成物において、添加されるべき組成物への溶解性に加え、発泡性の抑制、迅速な消泡性が求められる用途、加工工程である場合、該全フッ素系化合物中におけるn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率は5重量%以下であれば好ましく、3重量%以下が特に好ましく、1重量%以下が最も好ましい。このように、n≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物をフッ素系界面活性剤組成物中から積極的に除去することにより、目的とする組成物への溶解性が高まり、添加量の許容範囲が広げることができる。また、発泡性の抑制、消泡性の向上も期待でき、多くの加工工程において工程条件を簡略化できたり、工程時間を短縮することが可能である。【0017】さらに、より低添加量で効率良く界面活性効果を得るためには、本発明のフッ素系界面活性剤組成物としては、n=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率が5重量%以下が好ましく、3重量%以下が特に好ましく、1重量%以下が最も好ましい。目的とする組成物によっては、n=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物が5重量%を越えて含有すると、目的とする界面活性効果が得られないばかりか、高添加量にする必要性に迫られ、結果として添加されるべき組成物本来の性能を損ねることもある。このような観点から本発明者等はさらに、部分フッ素化アルキル基の鎖長とその割合を、目的とする組成物に対してより厳密に選択することにより、従来公知の化合物よりも効率的に界面活性効果が得られ、その結果として目的、用途により多岐に亘る加工条件の許容範囲を広げ得ることを見出した。【0018】具体的には、微細な基材、領域への浸透・濡れ性、10〜3000nmの薄膜塗工において高度なレベリング性等を得るために高添加量が必要な場合、ライン速度、塗工装置等の制約により発泡性を抑制したい場合等には、添加されるべき組成物に対する溶解性が高く、発泡性が抑制され、消泡性が向上しているものが好ましい。即ち、本発明のフッ素系界面活性剤組成物においてn=2の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率が、25重量%以上であれば好ましく、なかでも、40重量%以上であることがより好ましい。【0019】一方、添加されるべき組成物本来の性能を損ないたくない場合、さらには経済的な観点からは、フッ素系界面活性剤組成物の添加量は最小限に留めることが望まれる。このような場合、少量添加であっても効果的に界面活性能を得るために、該フッ素系界面活性剤組成物においてn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率が、25重量%以上であれば好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。【0020】また、本発明のフッ素系界面活性剤組成物を用いた2次的な効果として、コーティング、成形等の目的とする加工工程を行った後、該組成物によって形成される皮膜、ペースト、成形体等の表面を機能化することも可能である。このような、加工後に期待できる表面機能性には、撥水撥油性、滑り性、非粘着性、耐水性、防汚性等が挙げられるが、これらを効果的に実現するためには、該フッ素系界面活性剤組成物においてn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系界面活性剤の含有率が、50重量%以上であれば好ましく、なかでも、70重量%以上であることがより好ましい。【0021】 本発明者等の知見によれば、界面活性効果と添加されるべき化合物への溶解性、更に発泡性の抑制、消泡性の向上について、よりバランスのとれた界面活性剤組成物とするためには、n=2の部分フッ素化アルキル基を有する純度85%以上のフッ素系化合物、n=3の部分フッ素化アルキル基を有する純度85%以上のフッ素系化合物およびn=4の部分フッ素化アルキル基を有する純度85%以上のフッ素系化合物からなる群から選ばれる2種類以上のフッ素系化合物が含有されていることが好ましく、n=2の部分フッ素化アルキル基を有する純度85%以上のフッ素系化合物、n=3の部分フッ素化アルキル基を有する純度85%以上のフッ素系化合物およびn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物を全て併用することがさらに好ましい。この場合、これらn=2、3および4のフッ素系化合物の混合割合は、重量比[(n=2)/(n=3)/(n=4)]が(5〜50)/(5〜85)/(10〜90)であることが必要であり、(10〜40)/(20〜70)/(25〜80)がさらに好ましい。【0022】ところで、上記部分フッ素化アルキル基を含有するフッ素系化合物を、界面活性剤として機能させるためには、下記一般式(1)に示すように同一分子中に樹脂、溶媒等の添加される組成物に対する溶解性を高める親媒基が結合していることが好ましい。F(CF2)2nCH2CH2XY ・・・・・・・・ (1)(式中、nは1〜10の整数を示し、Xは直接結合または2価の連結基を示し、Yは親媒基を示す。)【0023】ここで、Xが直接結合であれば、部分フッ素化アルキル基に直接親媒基Yが結合することになるが、Yを導入する製造法上、目的とするフッ素系界面活性剤組成物が添加される組成物への相溶性等を考慮すると、2価の連結基を介する場合も少なくない。2価の連結基Xは、目的とするY、添加される組成物に応じて設計されるものであり、特に制限はないが、例示されるものとしては以下の如き化合物が挙げられる。−SO2NR−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)−O−−O(CH2)k−(kは1〜8の整数)−(CH2)k−(kは1〜8の整数)−CH(OH)(CH2)k(kは1〜8の整数)−CONR−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基)−(OCpH2P+1)q(CH2)k−(pは2〜6の整数、qは1〜100の整数、kは1〜8の整数)−NR(CH2)k−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、kは1〜8の整数)−SO2NR(CH2)k−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、kは1〜8の整数)−SO2N(CH2CH2OH)(CH2)k−(kは1〜8の整数)−SO2NR1(CH2)k1CONR2(CH2)k2−(R1、R2は共に水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、k1、k2は共に1〜8の整数)−S(CH2)k−(kは1〜8の整数)−S(CH2)k1CONR(CH2)k2−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、k1、k2は共に1〜8の整数)−OCO(CH2)k−(kは1〜8の整数)【0024】これらの中で、界面活性剤としての汎用性、製造方法等を考慮すると、2価の連結基Xは直接結合、−SO2NR−(Rは水素または炭素数1〜18のアルキル基)、−SO2NR(CH2)k−(Rは水素または炭素数1〜18のアルキル基、kは1〜8の整数)、−S(CH2)k−(kは1〜8の整数)が好ましい。2価の連結基Xが導入される場合、添加される組成物によってはYと共にXも親媒基の役割、即ち添加される組成物中の溶媒、樹脂等に対する溶解性の向上等に寄与する。【0025】次に親媒基Yについて述べる。ここで云う親媒基Yとは、目的とするフッ素系化合物を界面活性剤として機能させるために、溶媒、樹脂、顔料、フィラー等の各種添加剤等の組成物に親和させ溶解性を高めるためのものであり、疎水・疎油性を示す部分フッ素化アルキル基に、親水性および/または親油性を付与する官能基、セグメントを言う。Yの選択は目的とする組成物、用途に応じて、系への相溶性、イオン性、機能性等を考慮し行われる。例えば、−SO3H、−COOH、PO(OH)3等の酸基およびそのLi、Na、K、Ca、Mg、Al等の金属塩、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ(n−ブチル)アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、プロパノールアミン、トルイジン、ピリジン等の有機アミン塩、これら酸基と各種アルコールの反応等により得られる硫酸エステル基、カルボン酸エステル基、リン酸エステル基、硝酸エステル基等のエステル基、水酸基、メトキシル基、エトキシル基等のアルコキシル基、アミノ基、スルホニルアミド基、カルボニルアミド基、メルカプト基、エポキシ基、重合度が1〜100のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド等のポリアルキレンオキシド基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のビニル基、下記一般式(2)にて表わされる4級アミン塩残基、−N+R3R4R5・Z- ・・・・・・・・(2)(式中、R3、R4、R5はフェニル基または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Z-はハロゲン、CH3(C6H4)SO3-等のアニオンを示す。)下記一般式(3)にて表わされるアミンと酸の塩残基、−NR1R2・A ・・・・・・・・(3)(ここで、R1、R2は共に水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基、Aは塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸を示す。)等が挙げられる。これらの中でも、公知公用の組成物への汎用性の点から、酸基およびその金属またはアミン塩、ポリアルキレンオキシド基、または4級化アミン塩残基が好ましい。【0026】以上述べてきた、部分フッ素化アルキル基と親媒基を同一分子中に有するフッ素系界面活性剤の具体例としては、例えば、(1) C8F17CH2CH2SO3K(2) C6F13CH2CH2SO3K(3) C4F9CH2CH2SO3K(4) C8F17CH2CH2SO3H(5) C6F13CH2CH2SO3H(6) C4F9CH2CH2SO3H(7) C8F17CH2CH2SO3Li(8) C8F17CH2CH2SCH2COOLi(9) C8F17CH2CH2SCH2CH2COOLi(10)C6F13CH2CH2SCH2CH2COOLi(11)C4F9CH2CH2SCH2CH2COOLi(12)C8F17CH2CH2SCH2CH2COOK(13)C8F17CH2CH2SCH2CH2COONa(14)C8F17CH2CH2SO2NHCH2COOK(15)C6F13CH2CH2SO2NHCH2COOK(16)C6F13CH2CH2SO2N(C3H7)CH2COOK(17)C6F13CH2CH2SO2N(C2H5OH)CH2COOK(18)C6F13CH2CH2SO2N(C6H5)CH2COOK(19)C14F29CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(20)C12F25CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(21)C10F21CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(22)C8F17CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(23)C6F13CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(24)C4F9CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(25)C2F5CH2CH2O(CH2CH2O)nH (nは2〜10の整数)(26)C8F17CH2CH2O(CH2CH2O)n(CH2)4SO3Na(nは2〜10の整数)(27)C6F13CH2CH2O(CH2CH2O)nCH3(nは2〜10の整数)(28)C6F13CH2CH2O(CH2CH(CH3)O)m(CH2CH2O)nH(m、nは共に2〜10の整数)(29)C8F17CH2CH2OPO(OH)2(30)C6F13CH2CH2OPO(OH)2(31)C8F17CH2CH2OSO2N(C3H7)CH2CH2OPO(OH)2(32)C8F17CH2CH2OH(33)C8F17CH2CH2SH(34)C8F17CH2CH2OCOCH=CH2(35)C8F17CH2CH2SO2NH2(36)C6F13CH2CH2SO2NH2(37)C4F9CH2CH2SO2NH2(38)C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3I-(39)C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3Br-(40)C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3Cl-(41)C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3CH3C6H4SO3-(42)C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N(CH3)2HCl(43)C6F13CH2CH2SCH2CH2CON(CH2)3SO3Na等の化合物が挙げられる。【0027】本発明でフッ素系界面活性剤として用いるフッ素系化合物の製造方法には、部分フッ素化アルキル基および親媒基Yいずれに対しても特に制限はなく、目的に応じて公知公用の有機化学反応、公知の設備を用いて製造することが可能である。部分フッ素化アルキル基の導入方法は、工業的にはテロメリゼーション法が有用であるが、予め非フッ素系の相当化合物を製造した後に、フッ素化アルキル化剤等を用いて導入することも可能である。また、得られたフッ素系化合物は公知の方法により精製しても構わないし、用途、目的によっては製造中に副生する化合物を含む組成物としてそのまま用いても構わない。【0028】本発明のフッ素系界面活性剤組成物の目的とする組成物への添加量には特に制限はないが、用途、目的とする性能、経済性、加工工程等を考慮して適宜選択され、通常目的とする組成物100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜2重量部である。また、必要に応じてシリコーン系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤、本発明で用いる部分フッ素化アルキル基を有する純度85重量%以上のフッ素系化合物以外のフッ素系界面活性剤を併用することも可能である。このような異種の界面活性剤の混合により、単独では得られなかった浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性効果が得られる場合がある。【0029】本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加される組成物にも特に制限はなく、公知公用の組成物に添加することが可能である。組成物中に用いられる化合物の例としては、以下の如きものが挙げられる。【0030】先ずは、水および以下の如き有機溶媒である。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、 2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、 2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、 メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト等のプロピレングリコ−ル類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類等が挙げれる。これらの溶媒は、単独系であっても2種類以上の混合溶媒系であっても構わない。尚、ここでいう溶媒とは、系中で分散媒として働いているものも溶媒と称する。【0031】次に、樹脂である。樹脂の例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリパラフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス、ABS樹脂等の熱可塑性および熱硬化性樹脂、SBR、NBR、EPM、EPDM、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ノルボルネンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム類等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても構わない。また、2種類以上の樹脂と本発明に関わる界面活性剤を併用する場合、界面活性効果の一つとして、組成あるいは分子量が異なるの樹脂同士の相溶化剤として作用することも期待できる。【0032】最後に、界面活性剤以外の添加剤である。添加剤の例としては、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系等のカップリング剤、更にフッ素原子含有アルコキシシラン化合物、フッ素原子含有チタンアシレ−ト化合物、フッ素原子含有アルコキシジルコニウム化合物等のフッ素系カップリング剤、有機・無機顔料、染料、カ−ボン等の着色剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ガラスフィラー等の無機粉末・充填材、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン、アクリルビーズ等の有機微粉末、更には感光剤、増感剤、耐光性向上剤、耐候性向上剤、耐熱性向上剤、導電剤、酸化防止剤、防錆剤、レオロジーコントロール剤、増粘剤、沈降防止剤、消泡剤、防臭剤等の各種充填剤が挙げられる。添加剤は、1種類のみを用いても2種類以上を同時に用いても構わない。【0033】本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加された組成物は、公知公用の加工方法を適用することにより、優れた浸透・濡れ性およびレベリング性が得られる。加工方法としては例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、デイッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装、スクリーン印刷等のコーティング方法・装置、インクジェット法、射出、押し出し、中空、圧縮、反応、真空、FRP、熱、ロールシート、カレンダー、2軸延伸フィルム、積層、回転等の各種成形方法、各種金型、スタンパを用いた射出成形等が用いられる。【0034】また、本発明のフッ素系界面活性剤組成物が添加された組成物の用途にも制限はなく用いることができる。優れた塗れ・浸透性とレベリング性を利用し、例えば、PS版等の印刷材料、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用各種フォトレジスト等の感光性材料、LSI製造用反射防止膜剤、LCD、LSI、有機EL、プラズマディスプレイ製造用洗浄剤、エッチング剤、剥離剤、現像液、乳剤等の写真材料、自動車、航空機、船舶、建材、家電用等の塗料、染料、工業用および家庭用等の接着剤、耐擦傷性、滑り性、非粘着性、撥水撥油性、親水性、親油性、ガスバリア性、耐熱性、耐光性、耐候性、生理活性、耐水性、防湿性、防汚性等の表面機能性保護膜形成材料、洗浄剤、フロアポリッシュ、泡消火薬剤、メッキ浴ミスト防止剤、レンズシート、光ファイバ等の光学材料、衣料、家具、靴、雑貨等の繊維、人工皮革、合成皮革不織布等の処理剤、紙、フィルム、カード等の各種コーティング剤、自動車、建材、家電、医用材料、OA機器、電気・電子機器、光学部材、電線・配線材料、各種工業用部品等の成形材料、グリース、ワックス、各種封止材料、離型剤、防錆剤、防曇剤、防霧剤、ブロッキング防止剤、ポリマ−製造用または有機化学反応用分散媒等の組成物に適用し、浸透・濡れ性、レベリング性または各種表面機能性を高めるための添加剤として有用である。【0035】【実施例】次に本発明をより詳細に説明するために参考例、実施例及び比較例を掲げる。文中の「部」は、断わりのない限り重量基準である。【0036】合成例1:ノニオン性フッ素系化合物(S−1)の合成温度計、加熱、冷却、攪拌、減圧装置を備えたオートクレーブ中にC8F17CH2CH2OH(FAl−8)〔但し、ガスクロマトグラフィー(GC)により定量された重量比:C2F5CH2CH2OH/C4F9CH2CH2OH/C6F13CH2CH2OH/C8F17CH2CH2OH/C10F21CH2CH2OH/C12F25CH2CH2OH=0/0.1/0.4/98.5/0.7/0.3〕233g(0.5モル)、ホウ水素化ナトリウム0.76g(0.02モル)、ヨウ素を1.5g(0.006モル)を充填し100℃まで加熱した。次いで、エチレンオキシド(EO)を132g(3.0モル)を導入し、130℃まで昇温し5時間ホールドした。その後室温まで冷却し、減圧下未反応のEOを除去し、目的化合物であるフッ素系化合物(S−1)を得た。本化合物の部分フッ素化アルキル基鎖長は(n=4)/(n=6)/(n=8)/(n=10)/(n=12)=0/0.2/0.5/98.6/0.6/0.1(GC分析値)であり、EOの平均付加モル数qは、5.3であった。【0037】合成例2〜6:ノニオン性フッ素系化合物(S−2)〜(S−6)の合成合成例1と同様の反応を、n=2〜12の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素化アルコールを第1表に示す重量分布で含有するフッ素化アルコール(FA1−8)、(FA1−6)、(FA1−4)、(FA1−M1)、(FA1−M2)および(FA1−M3)について適用し、フッ素系化合物(S−2)〜(S−6)を得た。第2表には、フッ素系化合物(S−2)〜(S−6)および合成例1で得られたフッ素系化合物(S−1)中におけるn=2〜12の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の重量分布およびエチレンオキシドの平均付加モル数について纏めて示した。【0038】【表1】【0039】【表2】【0040】合成例7:アニオン性フッ素系化合物(S−7)の合成温度計、攪拌、冷却装置を備えた4ツ口フラスコに、部分フッ素化アルキル基鎖長が単一なパーフルオロオクチルエチルアイオダイド(C8F17CH2CH2I)を144g(0.25モル)とチオ尿素19g(0.25モル)を、125mlのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で80℃にて3時間攪拌し、チウロニウム塩(C8F17CH2CH2SC(NH2)=NH2+I-)のDMF溶液を調製した。【0041】次に、攪拌、ガス導入管、滴下ロート、冷却装置を備えた4ツ口フラスコ中に、酢酸エチル226gとイオン交換水226gを加え、調製したチウロニウム塩のDMF溶液を滴下しながら塩素ガス16800mlを20℃にて1時間かけて吹き込み、さらに30分間攪拌した。その後、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え過剰に吹き込んだ塩素を分解させた。次いで、300mlのイオン交換水を加え、生じた沈殿をろ過、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液およびイオン交換水で洗浄し、室温、減圧下で乾燥しパーフルオロエチルスルホニルクロライド(C8F17CH2CH2SO2Cl)を得た。【0042】次に、温度計、攪拌、冷却装置を備えた4ツ口フラスコ中に、グリシンエチルエステル塩酸塩42g(0.3モル)と炭酸水素ナトリウム28g(0.33モル)と酢酸エチル100mlと水100mlを仕込み、30℃にて3時間攪拌し、パーフルオロエチルスルホニルクロライド51g(0.1モル)を加え、さらに4時間攪拌した。得られた反応液を酢酸エチルにて有機層を抽出し、減圧下、乾燥することにより、C8F17CH2CH2SO2NHCH2COOC2H5を得た。【0043】次に、温度計、攪拌、冷却装置を備えた4ツ口フラスコ中に、C8F17CH2CH2SO2NHCH2COOC2H547g(0.08モル)と水酸化カリウム4.5g(0.08モル)と、イオン交換水150mlを仕込み、85℃にて4時間攪拌した。次いで、イソプロピルアルコール150mlを加え、減圧下溶媒を留去、乾燥することによりフッ素系界面活性剤(S−7)(C8F17CH2CH2SO2NHCH2COOK)を得た。尚、本反応において、部分フッ素化アルキル基鎖長が単一なパーフルオロオクチルエチルアイオダイドを原料として用い、かつ、何れの工程においても部分フッ素化アルキル基は直接反応に関与しないので、フッ素系界面活性剤(S−7)の本発明に関わる純度は100%とみなせる。【0044】合成例8〜10:アニオン性フッ素系化合物(S−8)〜(S−10)の合成合成例7と同様に、出発原料として部分フッ素化アルキル基鎖長が単一なパーフルオロヘキシルエチルアイオダイド(C6F13CH2CH2I)、パーフルオロブチルエチルアイオダイド(C4F9CH2CH2I)またはパーフルオロデカニルエチルアイオダイド(C10F21CH2CH2I)をそれぞれ用いることにより、相当するフッ素系界面活性剤(S−8)(C6F13CH2CH2SO2NHCH2COOK)、(S−9)(C6F13CH2CH2SO2NHCH2COOK)、(S−10)(C10F21CH2CH2SO2NHCH2COOK)を得た。尚、部分フッ素化アルキル基鎖長が単一な原料を用い、かつ、何れの工程においても部分フッ素化アルキル基は直接反応に関与しないので、フッ素系界面活性剤(S−8)〜(S−10)の本発明に関わる純度は100%とみなせる。【0045】合成例11:カチオン性フッ素系化合物(S−11)の合成温度計、攪拌、冷却装置を備えた4ツ口フラスコ中に、N,N−ジメチルプロパンジアミン36.8g(0.36モル)と酢酸エチル50mlを仕込み、参考例7と同様にして合成したパーフルオロオクチルスルホニルクロライド(C8F17CH2CH2SO2Cl)92.4g(0.18モル)を酢酸エチル250ml中に溶解させた溶液を室温にて攪拌下30分間で滴下した。その後、4時間攪拌した後、イオン交換水300mlを加え、有機層を取り出し、さらにイオン交換水で洗浄した後、減圧下乾燥しC8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N(CH3)2を得た。【0046】次に、温度計、攪拌、冷却装置を備えた4ツ口フラスコ中に、得られたC8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N(CH3)241g(0.07モル)と酢酸エチル300mlを仕込み攪拌下溶解させた後、ヨウ化メチル11g(0.077モル)を徐々に加え、室温にて3時間攪拌、次いで濃縮、減圧下乾燥し、C8F17CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3I-を得た。尚、部分フッ素化アルキル基鎖長が単一な原料を用い、かつ、何れの工程においても部分フッ素化アルキル基は直接反応に関与しないので、フッ素系界面活性剤(S−11)の本発明に関わる純度は100%とみなせる。【0047】合成例12〜14:カチオン性フッ素系化合物(S−12)〜(S−14)の合成合成例11と同様に、出発原料として部分フッ素化アルキル基鎖長が単一なパーフルオロヘキシルエチルアイオダイド(C6F13CH2CH2I)、パーフルオロブチルエチルアイオダイド(C4F9CH2CH2I)またはパーフルオロデカニルエチルアイオダイド(C10F21CH2CH2I)をそれぞれ用いることにより、相当するフッ素系界面活性剤(S−12)(C6F13CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3I-)、(S−13)(C4F9CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3I-)、(S−14)(C10F21CH2CH2SO2NH(CH2)3N+(CH3)3I-)を得た。尚、部分フッ素化アルキル基鎖長が単一な原料を用い、かつ、何れの工程においても部分フッ素化アルキル基は直接反応に関与しないので、フッ素系界面活性剤(S−12)〜(S−14)の本発明に関わる純度は100%とみなせる。【0048】実施例1〜11および比較例1〜5得られたフッ素系化合物(S−1)〜(S−14)は、イオン性が異なる界面活性剤のタイプ別に夫々第3表、第4表、第5表に示す割合で配合した。溶媒には、第3表、第4表に示すノニオン、アニオン性フッ素系界面活性剤にはイオン交換水を、第5表に示すカチオン性フッ素系界面活性剤にはイオン交換水/イソプロピルアルコール=1/1(重量比)の水溶液を用いて、濃度は何れも0.1重量%とした。界面活性剤溶液の評価として、界面活性効果の基準となる表面張力の値と共に、室温での溶解性を第3表、第4表、第5表に伏せて示した。【0049】表面張力は、自動表面張力計CBPV−Z(協和界面化学株式会社製)を用いて、ウィルヘルミー白金プレート法にて20℃で測定した。【0050】室温での水への溶解性は目視にて判定し、表中には以下の基準で記入した。5:クリアな溶液4:沈殿は生じていないがやや濁りがある溶液3:沈殿は生じていないが濁りがある溶液2:僅かな沈殿が発生1:多量の沈殿が発生【0051】【表3】※沈殿が生じたものについては、本濃度での界面活性剤としての機能を果たさないので、表面張力の測定は行わなかった。表では−として示す。【0052】【表4】【0053】【表5】【0054】第3表、第4表、第5表より明らかなように、本発明の界面活性剤組成物は溶媒に対する溶解性が良好で、表面張力低下能力に優れる。【0055】【発明の効果】本発明のフッ素系界面活性剤組成物を用いれば、添加される組成物に対する溶解性の許容範囲が広いため、最適な添加量を選択できるばかりでなく、効果的に浸透・濡れ性、レベリング性等の界面活性能を向上させることが可能である。 界面活性剤としてF(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)にて表わされる部分フッ素化アルキル基を有する純度85重量%以上のフッ素系化合物を2種以上含有するフッ素系界面活性剤組成物であって、該2種以上のフッ素系化合物がそれぞれnの異なる部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物であり、全フッ素系化合物中におけるn≧5の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の合計の含有率が5重量%以下であり、全フッ素系化合物中におけるn=1の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の含有率が5重量%以下であり、かつ前記n=2の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物、前記n=3の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物および前記n=4の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物を含有し、その重量比〔(n=2)/(n=3)/(n=4)〕が(5〜50)/(5〜85)/(10〜90)であることを特徴とするフッ素系界面活性剤組成物。 前記2種以上のフッ素系化合物がいずれも下記一般式(1)にて表わされるフッ素系化合物である請求項1記載のフッ素系界面活性剤組成物。 F(CF2)2nCH2CH2XY (1)(式中、nは1〜10の整数を示し、Xは直接結合または2価の連結基を示し、Yは親媒基を示す。) 一般式(1)中のXが直接結合、−SO2NR−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基を示す。)、−SO2NR(CH2)k−(Rは水素、フェニル基または炭素数1〜18のアルキル基を示し、kは1〜8の整数を示す。)または−S(CH2)k−(kは1〜8の整数を示す。)である請求項2記載のフッ素系界面活性剤組成物。 一般式(1)中のYが酸基、その金属、そのアミン塩、ポリアルキレンオキシド基または4級化アミン塩残基である請求項3記載のフッ素系界面活性剤組成物。 F(CF2)2nCH2CH2−(nは1〜10の整数を示す。)にて表わされる部分フッ素化アルキル基を有する純度95重量%以上のフッ素系化合物を2種以上含有する請求項4記載のフッ素系界面活性剤組成物。 n=2またはn=4の部分フッ素化アルキル基を有するフッ素系化合物の少なくとも一方の化合物の含有率が25重量%以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のフッ素系界面活性剤組成物。 n=2の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物、n=3の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物およびn=4の部分フッ素化アルキル基を含有する純度85重量%以上のフッ素系化合物からなる群から選ばれる2種以上のフッ素系化合物の混合物である請求項1〜5のいずれか1項記載のフッ素系界面活性剤組成物。


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