生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_疲労試験機およびその可変ゲイン校正方法
出願番号:2002215010
年次:2004
IPC分類:7,G01N3/32


特許情報キャッシュ

遠藤 哲太郎 佐藤 浩介 横山 幸弘 上野 直 JP 2004053556 公開特許公報(A) 20040219 2002215010 20020724 疲労試験機およびその可変ゲイン校正方法 カヤバ工業株式会社 000000929 後藤 政喜 100075513 松田 嘉夫 100084537 遠藤 哲太郎 佐藤 浩介 横山 幸弘 上野 直 7 G01N3/32 JP G01N3/32 Z 3 3 OL 8 2G061 2G061AB04 2G061AB05 2G061CA01 2G061DA02 2G061EA01 2G061EA02 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、材料の疲労強さを測定する疲労試験機およびその可変ゲイン校正方法に関する。【0002】【従来の技術】疲労試験機においては、供試品への変動荷重を出力する加振機が備えられ、供試品への変動荷重を荷重検出器で測定しながら、その測定値を目標値(試験条件の設定値)と一致させるべく加振機の出力をフィードバック制御するように構成される(特公昭55−39768号,特公平1−54651号,特開2001−33371号、参照)。【0003】変動荷重の周波数が高くなると、可動部の慣性力が顕著になり、供試品への荷重測定に大きく誤差を生じるようになる。そのため、可動部の加速度を測定する検出器が配置され、その測定値(加速度)と可変ゲインの設定値とから演算される慣性力の分を荷重検出器の測定値から差し引く補正アンプが設けられる。【0004】可動部の等価質量は試験前に実測され、補正アンプの可変ゲインにその実測値に相当する適正値が予め設定されるのである。【0005】【発明が解決しようとする課題】供試品によっては、構成や作動が複雑な場合、可動部の等価質量が容易に実測しがたく、可変ゲインに設定すべき適正な設定値が得られない可能性も考えられる。このような供試品の実例としては、自転車のクランクペダル系が挙げられる。【0006】この発明は、このような不具合に着目してなされたものであり、等価質量の実測に拠らず、可変ゲインを適正に設定可能な疲労試験機を提供しようとするものである。【0007】【課題を解決するための手段】第1の発明は、供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記憶する手段と、供試品を所定の高周波で加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する手段と、高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを調整する手段と、を備えることを特徴とする。【0008】第2の発明は、供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記憶する手段と、供試品を所定の高周波で加振させるように加振機を変位制御しつつモニタにそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データと共に表示する手段と、高周波加振中の変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する手段と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力をモニタの表示に基づいて低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを人為的に調整するための手段と、を備えることを特徴とする。【0009】第3の発明は、供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記録する処理と、所定の高周波で供試品を加振するように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する処理と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを調整する処理と、からなることを特徴とする、疲労試験機の可変ゲイン校正方法である。【0010】【発明の効果】第1の発明〜第3の発明においては、補正アンプの可変ゲインを適正値に設定するため、変動荷重の周波数を変え、他の加振条件は一定に制御しながら、同一の供試品に対し、2回の加振が行われる。1回目の加振は、慣性の影響が殆ど出ない低周波で行われ、そのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力がデータとして採取(記憶)されるのである。2回目の加振は、慣性の影響が大きく出る高周波で行われ、そのときの変位検出器の出力を低周波加振時のデータの変位と一致させるように変位指令が調整される。変位が等しければ、荷重も等しい筈であり、変位が等しく、荷重が異なるのは、慣性の影響の違いによるもの、と推定されるのである。慣性の影響を除去するため、高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時のデータの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインが調整される。この調整により、補正アンプの可変ゲインは、適正値(供試品など可動部の等価質量に近似する相応値)に設定され、自転車のクランクペダル系のような、等価質量を実測しがたい供試品についても、高周波加振の疲労試験により、低周波加振と同程度に正確な測定結果が得られるようになる。【0011】【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る疲労試験機の構成を説明するものであり、固定面10にフレーム11が設置され、フレーム11に加振機12が配置される。加振機12は、油圧シリンダ12aとサーボ弁12bとから構成される。油圧シリンダ12aは、フレームにロッド側が下方へ固定面10と垂直な取付状態に支持され、ロッド先端に荷重検出器13を介在させて供試品20の吊持棒21が同軸上に連結される。【0012】荷重検出器13の供試品側に加速度検出器14が配置され、フレーム11と荷重検出器13の供試品側との間に変位検出器15が介装される。変位検出器15は、油圧シリンダ12の軸方向へ変位可能なロッド15aと、その変位を測定する出力部15bとからなり、フレーム11に出力部15bが固定され、ロッド15aの先端が荷重検出器13の供試品側に連結される。【0013】供試品20は、自転車のクランクペダル機構であり、1対のステイ22a,22bを介して固定面10に支持される。クランクペダル機構20は、ステイ22aに中心軸を介して支持される大径のスプロケット20aと、ステイ22bに中心軸を介して支持される小径のスプロケット20bと、これらの間に掛け回されるチェーン20cと、基端が大径のスプロケット20aの中心部に結合するクランクペダル20dと、から構成される。【0014】クランクペダル20dは、所定の傾斜角に立ち上がる具合に設定され、その自由端に荷重検出器13から垂直に下がる吊持棒21の下端が結合される。小径のスプロケット20bは、図示しないラチェットにより、矢印Bの方向への回転が規制される。供試品20は、油圧シリンダ12aにより、矢印Aの方向へオフセット荷重が掛けられる。【0015】30はコントロールユニットであり、試験条件の設定を目標値に油圧シリンダ12aの出力が目標値と一致するよう、変位検出器15の出力(変位信号)および補正アンプ31の出力(荷重信号)に基づいて、サーボ弁12bをフィードバック制御するのである。供試品20への振幅荷重については、矢印Aの方向へのオフセット荷重以下に制限される。【0016】図1は、図2のような力学モデルに表される。振動系の可動部に関する運動方程式は、(1)式となる。Klは供試品20のばね定数、KSは荷重検出器13のばね定数、Mlは直線運動に対する可動部の等価質量、xlは可動部の変位、xcは油圧シリンダ12aのストローク、である。【0017】Ml・xl’’+Kl・xl+KS・(xl−xc)=0 …(1)供試品20が受ける荷重Fl,荷重検出器13の出力FSは、(2)式,(3)式で与えられる。【0018】Fl=Kl・x …(2)FS=KS・(xc−xl) …(3)(1)式に(2)式,(3)式を代入すると、供試品20が受ける荷重Fl,荷重検出器13の出力FSは、(4)式の関係に表される。【0019】Fl=FS−Ml・xl’’ …(4)図1の補正アンプ31は、(4)式の演算を処理するものであり、加速度検出器14の出力(xl’’)と可変ゲインの設定値(Ml)とから慣性力(Ml・xl’’)を求める乗算器31aと、荷重検出器13の出力(FS)から乗算器31aの出力(Ml・xl’’)を除去する減算器31bと、から構成されるのである。【0020】補正アンプ31の可変ゲインを適正値に設定するため、疲労試験に先立ち、変動荷重の周波数を変え、他の加振条件は一定に制御しながら、同一の供試品に対し、2回の加振を実施する。【0021】1回目は、慣性の影響が殆ど出ない低周波で供試品を加振し、そのときの変位検出器15の出力および補正アンプ31の出力をデータとして採取(記憶)する。低周波加振の場合、慣性項Ml・xl’’が小さくなり、(4)式がFS=Flに近似されるのである。つまり、荷重検出器13の出力は、供試品20が受ける荷重と略同等になる。【0022】2回目は、慣性の影響が大きく出る高周波で供試品を加振し、そのときの変位検出器15の出力を低周波加振時のデータの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する。変位が等しければ、荷重も等しい筈であり、変位が等しく、荷重が異なるのは、慣性の影響の違いによるもの、と推定されるのである。【0023】高周波加振中における、慣性の影響を抑制するため、高周波加振中の補正アンプ31の出力を低周波加振時のデータの荷重と一致させるように補正アンプ31の可変ゲインを調整する。この調整により、補正アンプ31の可変ゲインは、適正(可動部の等価質量Mlに近似する相応値)に設定される。【0024】図3は、このような可変ゲインの調整(校正)に係るコントロールユニット30の処理内容を説明する流れ図であり、補正アンプ31の可変ゲインを調整が要求されると、S1において、所定の振幅荷重に供試品20を低周波(たとえば、1Hz)で加振させるように加振機12を変位制御する。S2においては、低周波加振中の変位検出器15の出力(変位信号のP−P値)および補正アンプ31の出力(荷重信号のP−P値)をデータとして記憶する。【0025】S3においては、所定の振幅荷重に供試品20を高周波(たとえば、25Hz)で加振させるように加振機12を変位制御する。S4においては、高周波加振中の変位検出器15の出力を低周波加振時の記憶データと比較し、高周波加振中の変位信号のP−P値=低周波加振時の変位信号のP−P値、かどうか判定する。S4の判定がyesのときは、S6へ進む一方、S4の判定がnoのときは、S5において、高周波加振中の変位信号のP−P値=低周波加振時の変位信号のP−P値、となるように加振制御の変位指令を調整する。つまり、S4およびS5においては、変位指令の調整により、高周波加振中の変位信号のP−P値が低周波加振時の変位信号のP−P値と等しく設定されるのである。【0026】S6においては、高周波加振中の補正アンプ31の出力を低周波加振時の記憶データと比較し、高周波加振中の荷重信号のP−P値=低周波加振時の荷重信号のP−P値、かどうか判定する。S6の判定がyesのときは、今回の校正処理を終了する(疲労試験へ移行する)一方、S6の判定がnoのときは、S7において、高周波加振中の荷重信号のP−P値=低周波加振時の荷重信号のP−P値、となるように補正アンプ31の可変ゲインを調整する。【0027】この例においては、S7の処理は人為的に行われる。図示しないが、補正アンプ31の可変ゲインを調整する操作部の近辺にモニタが設置され、モニタに高周波加振中の変位検出器15の出力および補正アンプ31の出力を低周波加振時の記憶データと共に表示する機能がコントロールユニット30に設定される。S7の調整は、モニタの表示に基づいて、補正アンプ31の可変ゲインを操作することにより、高周波加振中の荷重信号のP−P値が低周波加振時の荷重信号のP−P値と等しく調整されるのである。【0028】このような構成により、補正アンプ31の可変ゲインは、疲労試験に際して適正値(供試品など可動部の等価質量に近似する相応値)に設定され、自転車のクランクペダル系のような、等価質量を実測しがたい供試品20についても、高周波加振の疲労試験により、低周波加振と同程度に正確な測定結果が得られることになる。【0029】変位検出器15は、図4のように油圧シリンダ12aのストロークを測定対象とする取付状態に設置してもよい。図4において、図1と同じ構成要素に同じ符号を付け、重複説明は省略する。【図面の簡単な説明】【図1】この発明に係る疲労試験機の構成図である。【図2】同じく力学モデルの説明図である。【図3】同じく可変ゲインの調整(校正)処理を説明する流れ図である。【図4】この発明に係る疲労試験機の構成図である。【符号の説明】12 加振機12a 油圧シリンダ12b サーボ弁13 荷重検出器14 加速度検出器15 変位検出器20 供試品30 コントロールユニット31 補正アンプ 供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記憶する手段と、供試品を所定の高周波で加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する手段と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを調整する手段と、を備えることを特徴とする疲労試験機。 供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記憶する手段と、供試品を所定の高周波で加振させるように加振機を変位制御しつつモニタにそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データと共に表示する手段と、高周波加振中の変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する手段と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力をモニタの表示に基づいて低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを人為的に調整するための手段と、を備えることを特徴とする疲労試験機。 供試品への変動荷重を出力する加振機と、供試品側との間で加振機の出力軸の先端部に配置される荷重検出器と、可動部の変位を測定する変位検出器と、荷重検出器の供試品側に配置される加速度検出器と、加速度検出器の出力と可変ゲインの設定値とからこれらの乗算により求められる慣性力の分を荷重検出器の出力から差し引く処理を行う補正アンプと、を備える疲労試験機において、所定の低周波で供試品を加振するように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力および補正アンプの出力をデータとして記録する処理と、所定の高周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する処理と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを調整する処理と、からなることを特徴とする疲労試験機の可変ゲイン校正方法。 【課題】自転車のクランクペダル系のような、可動部の等価質量を実測しがたい供試品についても、高周波加振の疲労試験により、低周波加振と同程度に正確な測定結果が得られるよう、荷重検出器の出力(測定値)から慣性項を差し引く補正アンプの可変ゲインを等価質量の実測に拠らず適正に設定できる、疲労試験機およびそのゲイン校正方法を提供する。【解決手段】所定の高周波で供試品を加振させるように加振機を変位制御しつつそのときの変位検出器の出力を低周波加振時の記憶データの変位と一致させるように加振制御の変位指令を調整する処理(S3〜S5)と、同じく高周波加振中の補正アンプの出力を低周波加振時の記憶データの荷重と一致させるように補正アンプの可変ゲインを調整する処理(S6およびS7)と、を設定する。【選択図】    図3


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