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タイトル:公開特許公報(A)_レクチンの固定化方法及び固定化されたレクチンを含むツール
出願番号:2002214538
年次:2004
IPC分類:7,C12N15/09,C07K14/42,C07K17/00,C07K19/00


特許情報キャッシュ

入村 達郎 小野 高 前沼 圭佐 小松 邦光 松本 真理子 JP 2004016227 公開特許公報(A) 20040122 2002214538 20020618 レクチンの固定化方法及び固定化されたレクチンを含むツール 入村 達郎 501069968 松本 真理子 501069979 川口 義雄 100062007 井上 満 100105131 一入 章夫 100113332 小野 誠 100114188 大崎 勝真 100103920 入村 達郎 小野 高 前沼 圭佐 小松 邦光 松本 真理子 7 C12N15/09 C07K14/42 C07K17/00 C07K19/00 JP C12N15/00 A C07K14/42 C07K17/00 C07K19/00 8 4 書面 65 特許法第30条第1項適用申請有り  4B024 4H045 4B024AA11 4B024BA80 4B024CA04 4B024CA05 4B024CA07 4B024CA09 4B024DA02 4B024EA03 4B024GA11 4B024GA18 4B024GA19 4B024HA03 4B024HA08 4B024HA12 4H045AA10 4H045AA20 4H045AA30 4H045BA10 4H045BA41 4H045CA33 4H045DA80 4H045EA61 4H045FA74 4H045FA82 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、レクチンの固定法、特に遺伝子改変レクチンの固定法、及び、この固定法を用いて固定したレクチンを含む糖鎖解析ツールに関する。【0002】【従来の技術】近年の糖鎖工学の進歩は目ざましく、細胞の安定化に寄与する植物細胞の細胞壁のプロテオグリカン、細胞の分化、増殖、接着、移動等に影響を与える糖脂質、及び、細胞間相互作用や細胞認識に関与している糖タンパク質等の高分子の糖鎖が、互いに機能を代行、補助、増幅、調節、あるいは、阻害しあいながら高度で精密な生体反応を制御する機構が明らかにされようとしている。また、細胞表面の糖鎖や、糖鎖−レセプター間の相互作用異常による疾病の発生、あるいは、エイズなどのウイルス感染における糖鎖の役割等に関して盛んに研究されている。【0003】特に、正常細胞と癌細胞、あるいは分化段階の異なる細胞など、ある細胞を他の細胞と分別し同定するために、細胞がその表面に持つ糖鎖を利用でき、例えば、癌細胞については悪性度の変化に応じて、幹細胞についてはその分化段階により変化するといったような報告が数多くなされている。以上のように、糖鎖に基づく解析(例えば、分別や同定)は、大変有意義であると考える。【0004】このような糖鎖解析の手段として、レクチンは大変有用であると考えられるが、天然に存在するレクチンの種類が限られること、レクチンが利用されやすい形になっているかが重要な関心事である。即ち、多くの種類の糖鎖を識別するには、その数に見合うだけの異なる性質を持つレクチンが理論的に必要である。一方、利用しやすくするには、特定種のレクチンが単離されて担体(又は支持体)に固定されているのが望ましい。【0005】従来は、レクチンを固定化する際に、基材にレクチンを単純に吸着させるか、基材に共有結合させる等の方法が用いられており、単に吸着させただけでは、レクチンを安定かつ強固に固定化することは困難であり、共有結合させる場合は、手間のかかる化学反応を経なければならない。また、固定すべきレクチンと特異的に結合する糖鎖を有する糖鎖高分子を基材に吸着させ、その糖鎖高分子を介して該レクチンを固定することが提案されている(特開平8−319300号公報参照)。この方法では、本来解析に必要なレクチンの糖鎖特異性を利用してレクチンが固定されており、糖鎖に対するいわゆる活性部位が糖鎖解析に十分利用されているとはいい難い。【0006】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題は、所定のレクチンを効率よく安定に固定する方法であって、レクチンの糖鎖解析部位を十分にその解析に役立たせることができるレクチンの固定化方法を提供することである。【0007】【発明を解決するための手段】以上のような課題に鑑みて、本発明では、所定の第1の物質又はその一部に対して、認識能力がある第1の認識部分と、所定の第2の物質又はその一部に対して、認識能力がある第2の認識部分と、を有するレクチンにおいて、第1の認識部分によりレクチンを所定の支持体に固定することを特徴とする。【0008】ここで、第1の物質は、レクチンの糖鎖認識能力以外の能力により認識され、直接又は間接に結合され得る物質を含んでよく、例えば、抗タグ抗体が、この第1の物質に含まれることができ、タグ抗体が前記第1の認識部分に含まれることができる。また、前記第2の物質は、糖鎖を含んでよく、前記第2の認識部分は、当該レクチンの糖鎖識別部位を含んでよい。また、当該レクチンは、遺伝子改変により産生されたレクチンを含んでよく、天然に無い人工レクチンを含んでよい。【0009】より具体的に、本発明においては、以下のようなものを提供する。【0010】(1)レクチンを支持体に固定化する固定化方法であって、レクチン及びタグ・ペプチドをベクターDNAにコード化する工程と、このコード化されたDNAを使用してL−T複合タンパクを作らせる工程と、前記タグ・ペプチドに結合性又は会合性を備える抗タグ抗体が固定されている支持体に前記L−Tタンパクを接触させる工程と、を含むレクチンの固定化方法。【0011】(2)前記レクチンがマメ科のレクチンであることを特徴とする上記(1)に記載のレクチンの固定化方法。【0012】(3)前記レクチンにおいて、そのループC若しくはループDの1又はそれ以上のアミノ酸が改変された改変レクチンを前記ベクターDNAにコード化したことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のレクチンの固定化方法。【0013】(4)前記タグ・ペプチドをC末端領域若しくはN末端領域に付加したアミノ酸配列を前記ベクターDNAにコード化したことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のレクチンの固定化方法。【0014】(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のレクチンの固定化方法によりレクチンを固定した支持体を含む糖鎖解析ツール。【0015】(6)遺伝子改変操作によりタグ・ペプチドが付加されたレクチンと、抗タグ抗体を含む固体支持体と、を含むレクチン固定化支持体。【0016】(7)上記(6)のレクチン固定化支持体を含む糖鎖解析ツール。【0017】(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載された前記タグ・タンパクを前記レクチンに付加するために用いられるタグ抗体ベクター。【0018】ここで、支持体は、固体支持体を含んでよく、例えば、前記固体支持体は、ろ紙のような紙を使った試験紙を、また、ニトロセルロース、ラテックス、または、プラスチック材料等の有機物質を含んでよい。更に、前記固体支持体は、ガラスや雲母等の無機物質や、白金、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン等の金属や、そして、CCコンポジット、カーボン等の非金属材料を含んでよい。また、ゲル状の多孔質体で、比表面積の大きなものを利用すれば、結合部位を多数設けることができるので有利と考えることもできる。このような支持体としては、例えばアガロースゲル、アリルデキストランゲル等が挙げられる。また、この固体支持体の形状は、シート状、板状、球状、ビーズ状、カップ状、矩形等あらゆる形状のものを含んでよく、上述のような種々の物質や材料が複合されて作られる任意の形を含んでよい。タグ・ペプチドは、フラグとも呼ばれることもありえるフラグペプチドを含んでよく、また、フラグ抗体を含んでよい。このようにしてタグが付けられたタンパクは、抗タグ抗体と結合又は会合しうる。タンパクを接触させるということは、この抗タグ抗体との結合又は会合を生じさせうる状態に置くことを含んでよい。【0019】レクチンには、種々の種類のレクチンが含まれてよいが、好ましくは、植物由来のレクチンを含む。より好ましくは、種類の豊富なマメ科レクチンを含む。例えば、図1に示すような、その他のレクチンを含んでよい。より好ましくは、Maackia amurensis hemagglutinin(以下MAHと略)を含む。図2にMAHレクチンの塩基配列と予想されるアミノ酸配列を示す。【0020】一般に、マメ科レクチンでは、ループC及びループDに糖鎖を挟み込むような構造となっているが(図3)、このような糖鎖を挟み込む部位を改変することが好ましい。従って、ループC若しくはループDのアミノ酸を改変するというのは、このような糖鎖認識部位のアミノ酸を改変することを意味してよい。例えば、図2において、466〜498(野生型MAHのN末端のセリンから数えてアミノ酸配列相当では127〜137)が、ループCのアミノ酸に対応する塩基配列で、721〜780(野生型MAHのN末端のセリンから数えてアミノ酸配列相当では212〜231)が、ループDのアミノ酸に対応する塩基配列と考えられ、このような領域が改変の対象領域として含まれてよい。また、ループDにおいて、より好ましくは、742〜756(野生型MAHのN末端のセリンから数えてアミノ酸配列相当では219〜223)の領域が改変の対象として含まれてよい。ここで、塩基配列は、開始コドンから数え、アミノ酸配列は、N末端アミノ酸基から数えた。これらのアミノ酸を改変するというのは、並んだアミノ酸の順序、数、又は、種類等を変更することを含んでよく、1又はそれ以上のアミノ酸を挿入することを含んでよい。【0021】タグ・ペプチドが付加されるのは、C末端領域若しくはN末端領域でよいが、C末端及びN末端の両領域に付加されてもよい。C末端領域は、C末端及びその周辺領域を含んでよく、また、N末端領域は、N末端及びその周辺領域を含んでよい。タグ・ペプチドが糖鎖認識機能を有する部位に影響をあまり与えないようにすることが好ましいため、タグ・ペプチドは、影響が少ない領域に付加されてよい。【0022】上述の方法により固定されたレクチンは、種々の分野において利用され得る。即ち、糖鎖識別能力を利用する糖鎖解析用の手段(ツールを含む)等においてである。例えば、糖鎖識別能力を利用した糖鎖解析により細胞の識別ができる場合は、細胞識別ツール又はキットにおいて利用される。細胞識別ツールとしては、例えば、細胞識別のためのパッドやパレット等を例示できる。このようなツールの概念を1つの例を取り上げて、模式的に図4において示す。ツールの主要素10は、1例としてELISAプレート12(上記支持体に含まれうる1例であり、上記支持体はこれに限られない。)と、その上に固定されている抗タグ抗体14と、その抗タグ抗体とタグ抗体で結合等したタグ融合型人工レクチン16から構成される。このタグ融合型人工レクチン16は、糖鎖を認識できる部位18が、解析すべき糖鎖を挟み込めるように糖鎖との接触可能な状態でプレート12に固定されている。ここでは、ELISAプレート12が支持体として用いられているが、このような支持体には、上述のように種々の物質や材料が適用可能であり、例えば、湿式で解析される場合は水に強い材料を選択する、化学反応が生じると解析が難しいときは、反応性の低い物質を選択するというように、その目的に応じて種々選択すべきである。識別を望む細胞20は、その表面に細胞表面糖鎖22を有しており、そのいくつかが、糖鎖を認識できる部位18に挟み込まれ、糖鎖が認識され、糖鎖解析が可能となる。このように抗タグ抗体は、レクチンに組み込まれたタグ抗体と結合機能を果たすものである。従って、タグ抗体と抗タグ抗体に限られること無く、組合わせ結合性を有する2つのタンパク又はその他の物質の一方が支持体に固定され、他の一方がレクチンに組み込まれることにより、レクチンを固定化することができる。【0023】ここで、「糖鎖解析」とは、糖鎖を有する細胞の同定、タンパクが含まれる生体から生じるあらゆる種類の液体及び/又は固体の中に存在するそのタンパク(尿中タンパク、唾液中タンパク、鼻水中タンパク、血清蛋白質等を含む)の糖修飾(グライコフォーム)の診断、疾病診断、その他の解析を含み、「糖鎖解析方法」は、これらのことを行う方法を含んでよい。疾病(又は健康)状態により細胞の糖鎖の構造(又は状態)や糖蛋白質の糖修飾等に違いが現れる場合であって、糖鎖解析により、疾病(又は健康)状態を判別することができるツール(診断薬、診断装置、等)を含んでよい。例えば、細胞識別を行うために選別されたレクチンを含むウェル(well)又はスポットが、細胞識別を行うのに適切な順列で配列された場合は、視覚的にパターンを認識しやすくなるように表示させるため、予め決められた位置に配置されてよい。ここで、「表示させる」は、直接・間接のいずれであってもよい。視覚的なパターン情報であっても、その数が膨大である場合は、肉眼その他の方法での目視では不十分なことが多く、コンピュータを用いて、クラスター解析等により、細胞同定を行うことも可能である。クラスター解析では、どの部分に比較したいもの(例えば、標準と検討対象物、又は、コントロールと比較物)の違いが大きく出ているかをコンピュータを利用して調べることであってよく、一般のクラスター解析ソフトを用いることもできる。【0024】【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的な例を上げ、図を参照しつつ、より詳しく説明するが、1つの具体的な例として材料等が挙げられているに過ぎず、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。【0025】【実施例】[実験例1: 改変レクチンの作製]シアル酸を含む糖鎖に特異的なマメ科レクチンであるMaacki amurensis hemagglutinin(MAH)を用いた。このレクチンは、炭水化物の鎖がシアル酸残基、即ち、Neu5Acα2−3Galβ1−4GlcNAc(5)からなる炭化水素配列を認識することができる。この糖結合部位に関連すると思われる部分の少なくとも一部を遺伝子工学的手法でランダムに改変し、ランダムに改変したレクチンから複数の種類の異なる糖鎖のバリエーションを見分けられる人工のレクチンのライブラリを作製した。MAHは、相対分子量(relative molecular mass)29,000であり、サブユニットのダイマーからなる。【0026】MAHにエンコードされたcDNAのヌクレオチド配列及びそれから導き出されたアミノ酸配列では、MAHは287のアミノ酸からなり、30のアミノ酸シングルペプチドを含んでいる。図5のA、Bは、MAH糖鎖認識ドメインの変異の生成を示す図である。Aは、変異を導入する部分的重複延長法(overlap extension method)を示す概略図である。Bは、MAHの糖鎖認識ドメインの変異の生成を示す図である。即ち、MAHレクチンの285個のアミノ酸のうち、糖結合部位である127番目から137番目の部分の塩基配列を合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてオーバーラップエクステンションPCRによりランダム化した。ただし、シアル酸との相互作用に必須と考えられるアスパラギン酸135、また金属イオンとの配位に必須と考えられるアスパラギン酸127とヒスチジン132は固定した(図5)。作製されうるレクチンの種類は膨大であるので、以下のパニングによりレクチン及びファージを選別・回収した。【0027】ここで、パニングとは、ファージ上に発現した蛋白質を、その蛋白質が結合する物質(例えば抗原と抗体、レクチンと糖鎖、レセプターとリガント、等)との結合能を利用してファージを回収する手法のことをいい、例えば、ファージに発現させた蛋白質との結合する相手物質を加えて、発現した蛋白質、ファージ、その他の物質を結合させ、前記ファージ溶液を流し出した後に、結合した発現した蛋白質、ファージ、その他の物質を回収する方法である。この回収したファージを大腸菌に感染させて増幅し、再びパニング(上述)を行って結合性の高いファージを回収していくことができる。ここで用いたパニングは、特に、結合性を基準にしてライブラリーから特定のクローンを濃縮し選別する手法である。従って、パニングの回数が少ないと、結合性の低い人工レクチンがまだ十分排除されていないと懸念され、多すぎるとパニングで濃縮が進み、結合の強いごく限られた種類のレクチンしか回収できないことになる。従って、パニング操作の回数には、最適な数があると考えられる。本実施例では、丁度よいと思われる3回のパニングを採用した。【0028】[ファージ形成用VCSM(ヘルパーファージ)の準備]ファージ形成用VCSM(ヘルパーファージ)は、表1に示す材料を用いて準備した。【0029】【表1】【0030】[ファージ形成用VCSMの作製]SB培地(テトラサイクリン最終濃度40μg/ml添加)で一晩培養しておいたXL−1 Blue 200μlとSB培地10mlを37℃で1時間振とう培養した。VCSM原液を1μl加えてから37℃の湯浴で30分間温めてファージを感染させ、カナマイシン(最終濃度70μg/ml)を加えてさらに37℃で8時間振とう培養した。培養液を4℃、3500rpmで20分間遠心して、回収した上清を65℃の湯浴で15分間温めた。もう一度、4℃、3500rpmで20分間遠心して、回収した上清をファージ形成用VCSM(以下ヘルパーファージと略)とした(−80℃保存)。【0031】[ヘルパーファージのタイターチェック]ヘルパーファージの濃度を計算するために、以下に述べる方法でタイターチェックを行った。まず、ヘルパーファージ1/106μlをXL−1 Blue 100μlに混ぜて、37℃の湯浴で30分間温めてファージを感染させた。一度電子レンジで加熱し溶かしてから十分に冷ましたトップアガー5mlとファージを感染させたXL−1 Blueをよく混ぜて2×YTプレートに流し込み、37℃で一晩培養した。形成されたプラーク数からヘルパーファージの濃度を計算した。【0032】[分化型Caco−2細胞を用いたパニング操作]表2に示す材料を用いて、パニングを行った。【0033】【表2】【0034】[パニング用ファージの調製]乾熱滅菌済み坂口フラスコ(1l)で、以下の試薬を37℃で40分間振とう培養した: HEM培地(pH6.9)(200ml)、カルベニシリン(80μl(最終濃度20μg/ml))、テトラサイクリン(400μl(最終濃度10μg/ml))、CaCl2(200μl(最終濃度1mM))、MnCl2(200μl(最終濃度1mM))、パニング用改変レクチン(1ml)。生成物に、ヘルパーファージ(1ml(約1012pfu/ml))を加えて37℃で30分間振とう培養し、さらにカルベニシリン(120μl(最終濃度50μg/ml))、カナマイシン(500μl(最終濃度25μg/ml))を加えて、37℃で12時間振とう培養した。培養液を50mlチューブ6本に分注して、4℃、3500rpmで30分間遠心して、上清を回収した(計3回繰り返した)。回収した上清30mlにPEG/NaClを6mlずつ加え、低温室で氷浴に入れて一晩静置した。4℃、9500rpmで50分間遠心して上清を除き、再び8分間遠心して上清を完全に除いてから、1%BSA/TBS 1.2mlで全チューブの沈殿を懸濁した。最後に4℃、14000rpmで10分間遠心して、回収した上清をパニング用ファージとした(計3回繰り返した)。【0035】[パニング用ファージのタイターチェック]パニング用ファージの濃度を計算するために、以下の方法でタイターチェックを行った。まず、Sure2(200μl)にパニング用ファージを加え(1/108〜1/106μl)、37℃の湯浴で30分間温めてから2×YTCプレートにまき、37℃で一晩培養して形成されたコロニー数からファージの濃度を計算した。【0036】[ファージ感染用Sure2の培養]Sure2をHEM培地(pH7.0、テトラサイクリン最終濃度40μg/ml添加)を用いて、37℃で一晩培養したものをファージ感染用に使用した。【0037】パニング用改変レクチンのパニングには、Caco−2細胞を用いた。ここでは、その細胞の培養について述べる。同細胞の培養は、DMEM培地(Dulbecco’s Modified EAGLE MEDIUM▲2▼(日水社製#05919)4.75g/500ml)において、オートクレーブ滅菌してから行った。その他の条件は、表3に示す。【0038】【表3】【0039】以下に述べるCaco−2細胞培養に関する操作は、クリーンベンチ内で無菌的に行った。実験に用いるチップやスギウラなどは全て、オートクレーブ滅菌あるいは乾熱滅菌済みのものを使用した。Caco−2用培地は、DMEM培地(500ml)、30%グルコース(10ml)、3%L−グルタミン(7.5ml)、1M HEPES(5ml)、10%NaHCO3(10ml)、をよく混ぜた後、50ml分の培地を捨て、非働化FCS 50mlを加えることにより調整した。【0040】次に、細胞を10cmシャーレ(FALCON社製#35−3003)に撒き、37℃、5%CO2インキュベーター内で培養した。細胞の継代はサブコンフルエントまで増えた時点で行った。まず細胞をPBSで2回洗いトリプシン−EDTAをスギウラ半分ほど加えて、37℃で5分間処理して細胞を剥がした。剥がした細胞を培地で懸濁して4℃、1000rpmで5分間遠心して細胞を回収し、20倍希釈でシャーレに撒きなおした(継代間隔は約5日間)。培地の交換は継代の翌日、および1日おきに行った。【0041】[Caco−2細胞の分化誘導とパニング用の細胞の準備]Caco−2細胞を完全にコンフルエントになるまで培養し、最終濃度2mMの酪酸ナトリウムを含む培地に交換して、さらに5日間培養を続けて分化させた。これを回収してパニング用分化型Caco−2細胞として用いた。継代の時と同じ方法で分化型Caco−2細胞を回収した。3回目のパニング用のみ、0.25%グルタルアルデヒド/PBSで室温、30分間振とうして固定した後、TBSで5回洗ったものを使用した。1回目、2回目のパニングでは非固定のまま使用した。細胞はパニング前に、約106cellsを3%BSA/TBSで懸濁し、室温で3時間ブロッキングを行った。【0042】[分化型Caco−2細胞を用いたパニング操作]ブロッキングした分化型Caco−2細胞約106個とパニング用ファージ1012cfu(これがパニング操作におけるファージのinput数)を14ml(IWAKI#2324−015)チューブに入れ、1%BSA/TBS 14mlを加え、4℃で2時間(1、2回目のパニング)または4℃で一晩(3回目のパニング)チューブを回転させながら反応させた。細胞をTBSで3回洗い未結合ファージを除き、細胞の沈殿にファージ感染用Sure2を10ml直接加えて、37℃の湯浴で30分間温めてファージを感染させた。ファージを感染させたSure2溶液の一部でタイターチェックを行いファージの回収率を計算した(後述)。残りはHEMCプレート(SUMILONプレート)に1mlずつまいて37℃で培養し、コロニーがかすかに見えてきた時点(平均8〜9時間)で4℃に移して培養を止めた。ここまでを1回のパニング操作とした。1、2回目のパニング後は、各プレートにHEM培地(pH7.0)を20mlずつ加えてコロニーを回収し、この溶液を回収ライブラリーとして再びパニング用ファージの調製操作に戻った。3回目のパニング後、形成されたコロニーをランダムに拾って、回収レクチンの塩基配列の解析に進んだ。ランダムにクローニングした64個のクローンの解析の結果、35個のレクチンクローンが、ストップコドンなどを含まずに完全長のレクチンをコードしている、改変部位を持つ改変MAHレクチンクローンであることがわかった(図6)。また、35個のクローンで同一の改変部位を有するクローンは存在せず、これら35個のクローンが35種類の新規人工レクチンであることが明らかとなった。これら35個の改変部位の配列は、野生型MAHの配列や、ヒト赤血球を用いたパニングにより回収された新規人工レクチンの改変部位の配列(図7)と全て異なっていた。また、この回収レクチン(「回収改変レクチン」)は、次のレクチンの固定化に用いられた。【0043】[実験例2 回収改変レクチン等のタグ抗体付加と検証]本発明の1つの実施例であるレクチン固定化法は、Reverse cell−ELISA法と呼ばれる方法に適用することができる。このReverse cell−ELISA法は、cell−ELISA法を参考にしつつ、新たに開発した測定法である。ここでのレクチン固定化法は、レクチンをELTSAプレートに固定化するところに適用されるものである。Reverse cell−ELISA法において、レクチンをELISAプレートに固定化するためには、まず、予めELISAプレート上に抗FLAG抗体を固定する。次に、この抗FLAG抗体に結合するタグ・ペプチド(タグ抗体、フラグ抗体、フラグ配列、又は、FLAG抗体等)が導入されたレクチンを含むライセートをこのプレート上に加える。すると、FLAG配列が抗FLAG抗体に結合しレクチンがプレート上に固定される。この過程では、ライセート中のFLAGが付加されたレクチンのみが選択的に抗体に結合されるので、レクチンの精製と定量が可能となる。これは、抗体の特異性によるもので、結合する部位が選択的にFLAGと結合し、その量が結合部位の量によって規定されるからである。【0044】[FLAG融合型レクチン遺伝子の作製とクローニング]この実施例においては、上記回収改変レクチンの遺伝子および野生型MAH遺伝子が用いられた。タグを融合するために、ベクターとして、pFLAG−ATS Expression Vector(SIGMA社製、部品番号#E−5769)が用いられた。表4のプライマーや試薬等が使用された。【0045】【表4】【0046】[回収レクチン遺伝子のインサート側断片の作製]MAH由来の人工レクチン遺伝子および野生型MAH遺伝子を鋳型にして、以下の表5の試薬・条件でPCRを行い、インサート側断片を作製した。【0047】【表5】【0048】PCR終了後、DpnIを1μlずつ添加し、37℃で3時間反応させた。反応産物はPCR Purification Kitで回収し、表6に示すように制限酵素処理を行った。【0049】【表6】【0050】最後に再びPCR Purification Kitで回収して、電気泳動で確認したものをインサート側断片とした。【0051】[FLAG発現ベクターのベクター側断片の作製]表7に示すようにpFLAG−ATS Expression Vectorを制限酵素処理した。この条件で得られたものをPCR Purification Kitで回収して、電気泳動でベクター側断片となることを確認した。【0052】【表7】【0053】[ライゲーションと大腸菌へのトランスフォーメーション]TaKaRa DNA Ligation Kit Ver.2を用いて、表8の試薬等を用いてライゲーションを行った。即ち、16℃で3時間ライゲーション反応を行い、このうち2μlをJM109にトランスフォーメーションして、2×YTCプレートに撒いた。【0054】【表8】【0055】[塩基配列の確認]形成されたコロニーを拾って一晩培養した培養液からプラスミドを回収した。表4の解析用プライマーを用いて正しい塩基配列を有しているかどうかをGenetic Ana1yzer 3100で確認した。さらに、回収したプラスミドを制限酵素XhoI、BglIIで切断し、生成するバンドの大きさが正しいかどうか電気泳動で確認した。正しくクローニングできたものは、グリセロールストックを作製して−80℃で保存した。【0056】[FLAG融合型レクチンのライセート作製]FLAG融合型レクチンのライセート作製には、表9の材料を用いた。【0057】【表9】【0058】[FLAG融合型レクチンクローンの予備培養]HEM培地(カルベニシリン最終濃度50μg/ml添加)4mlにFLAG融合型レクチンクローンのグリセロールストック4μlを加え、37℃で一晩培養した。HEM培地(カルベニシリン最終濃度50μg/ml)4mlに培養液4μlを加えて、もう一度37℃で一晩培養した。【0059】[ライセート回収用の培養とIPTG誘導]50mlチューブに表10に示すような試薬を準備し、37℃、200rpmで3時間振とう培養した。その後、IPTGを200μl添加し(最終濃度1mM)、さらに37℃、200rpmで3時間振とう培養して、タンパク質の発現誘導を行った。【0060】【表10】【0061】[ライセート回収]誘導後の培養液を、9500rpm、4℃で20分間遠心して大腸菌を回収した。ライセート作製用バッファー200μlで大腸菌を懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに移した。液体窒素と37℃の湯浴を使い、懸濁液を計5回凍結融解して、大腸菌を粉砕した。15000rpm、4℃で30分間遠心して、上清をライセートとして回収した。回収したライセートはBCA Protein Assay Kitでタンパク定量を行い、1mg/mlの濃度に調製して分注し、回収レクチンのライセートとして−80℃で保存した。【0062】[回収したライセート中のFLAG融合型レクチンの確認]表11に示すような材料を用いて回収したライセート中のFLAG融合型レクチンの確認を行った。【0063】【表11】【0064】[SDS−PAGE]ライセートに1/3量の4×Sample Buffer(+2ME)を加え、100℃で5分間加熱して熱変成させた。各ライセートを10μgずつ用いて、電気泳動を行った。【0065】[ウェスタンブロッティングによるFLAG融合型レクチンの検出]SDS−PAGE後、PVDF膜にタンパク質をブロッティングした。一次抗体として、抗FLAG抗体または抗MAH抗体を1時間反応させた。TBSTで洗った後、二次抗体としてAP標識−抗マウスIgG抗体またはAP標識−抗ウサギIgG抗体を30分間反応させた。TBSTで洗った後、AlkalinePhosphatase Substrate Kitで発色させて確認した。【0066】作製したFLAG融合型野生型MAHレクチン遺伝子を制限酵素XhoI、BglIIで切断し、電気泳動で確認したところ、インサート側断片とベクター側断片に対応する、正しい大きさのバンドが確認された(図8)。この遺伝子については、DNAシークエンサーによる塩基配列解析によっても、正しくFLAG配列を導入できたことが確認された。【0067】FLAG融合したMAH由来の人工レクチン(C1及びC35)及び野生型MAHレクチンにおいて、抗FLAG抗体および抗MAH抗体を用いたウェスタンブロッティングによって、MAHの分子量である約30kDa付近に、抗MAH抗体と抗FLAG抗体の両方で共通して検出されたバンド現れることがわかった(図9)。従って、FLAG配列を導入した人工レクチンが正しく発現していることが、タンパク質レベルでも確認された。【0068】[実験例3 回収改変レクチン等の固定化][人工レクチンを含むライセートの準備]実験例2のCaco2細胞を用いたパニングと同様に、ヒト赤血球を用いたパニングにより実験例1のパニング用改変レクチンから、回収改変レクチンとして10種類の新規人工レクチンを回収した。この回収改変レクチンについては、実験例2と同様にして、タグ抗体を付加させた。このようなタグ抗体付きの人工レクチンと野生型MAH、さらに人工レクチンを含まないコントロールとして、空ベクターであるpFLAG−ATSについて実験例2と同様の方法でライセートを調製した。以下の実験は、表12に示す材料を用いて行った。【0069】【表12】【0070】[人工レクチンの抗FLAG抗体への結合]96well−ELISAプレートに抗FLAG抗体を50μlずつ入れ(0.25μg/well)、4℃で一晩静置して抗体をwellに固定した。wellをTBSで3回洗い、3%BSA/TBS 170μlを加え、室温で3時間ブロッキングを行った。wellをTBSで3回洗い、各ライセートを50μgずつ入れ(50μg/well)、室温で2時間揺らしてライセート中の人工レクチンを結合させた。【0071】[人工レクチンの抗FLAG抗体への結合量の確認]ライセート中の人工レクチンを結合させた後、wellをTBSTで3回洗い、抗MAH抗体を50μlずつ加え、室温で30分間反応させた。wellをTBSTで3回洗い、HRP標識−抗ウサギIgG抗体を50μずつ加え、室温で30分間反応させた。wellをTBSTで3回洗い、各wellにABTS/H202を50μlずつ加え発色させ、0D405/490を測定した。【0072】[抗FLAG抗体に結合させたレクチンの活性の確認]ライセート中の人工レクチンを結合させた後、wellをTBSTで3回洗い、ビオチン化シアリルTを50μlずつ加え、室温で2時間反応させた。wellをTBSTで3回洗い、HRP標識−ストレプトアビジンを50μlずつ加え、室温で30分間反応させた。wellをTBSTで3回洗い、各wellにABTS/H202を50μlずつ加え発色させ、0D405/490を測定した。【0073】[ヒト赤血球等を用いたReverse cell−ELISA法による測定]表13に示すような材料を用いて、Reverse cell−ELISA法による測定を行った。まず、実験例2と同様の方法により人工レクチンを含むライセートの準備を行った。【0074】【表13】【0075】[赤血球の準備]ヒト赤血球はヒトA型末梢血、又は、4種類の異なる動物赤血球(ニワトリ、ウシ、ウマ、若しくは、ウサギ)を1000g、4℃で5分間遠心して赤血球画分を沈殿させ上清を除き、PBSで懸濁して再び遠心を行う洗いの操作を5回繰り返したものを使用した。測定に用いる際は、5×106個/50μlになるよう1%BSA/TBSTで希釈した。【0076】[赤血球を用いたReverse cell−ELISA法による測定]上述と同様の方法により、ライセート中の人工レクチンを抗FLAG抗体に結合させた。結合後、wellをTBSTで3回洗い、赤血球を50μlずつ加え(5×106個/well)、室温で2時間結合させた。wellをTBSTで3回洗い、各wellにABTS/H2O2を50μlずつ加え発色させ、0D405/490を測定した。【0077】まず各人工レクチンをできるだけ多く固相化できるように、各wellに最大量固定できる抗FLAG抗体の量と、人工レクチンの抗体への結合量を最大化できるライセート量について条件検討を行った。そして、抗FLAG抗体を0.25μg/wellずつ4℃で一晩固定し、各ライセートを総タンパク質量で50μg分、室温で2時間結合させるという条件を確定した。この条件のもと人工レクチンの結合を行うと、各人工レクチンごとの結合量がほぼ一定になることが明らかとなった。またpFLAG−ATSをトランスフォーメーションした大腸菌から回収したレクチンを含まないライセートでは、シグナルがほとんど検出されないことより、ライセート中の人工レクチンが特異的に結合していることが明らかとなった(図10)。また、それぞれ親和性は異なるものの、各レクチンがそれぞれ結合することが分かっているビオチン化シアリルT糖鎖を用いた活性の確認では、各レクチンのシアリルTに対する結合が確認されたことから、活性も保持されていることが確認された(図11)。以上の結果より、Reverse cell−ELISA法を採用することで、ライセート中に含まれる各人工レクチンの活性を保持しつつ、精製および結合量の標準化が達成されることが明らかとなり、多数の人工レクチンライセートを用いても定量的な測定が行えることがわかる。【0078】ヒト赤血球を用いたReverse cell−ELISA法による測定を行ない、各人工レクチンについてヒト赤血球の結合が確認された(図12)。ヒト赤血球表面に存在するシアリルTに対する各レクチンの結合性と、ヒト赤血球に対する結合性が完全には相関しなかったが、これは各レクチンが認識できるシアリルT以外の糖鎖が、赤血球表面に発現していることなどが理由として考えられる。このような比較が行えるのも、Reverse cell−ELISA法においてはライセートを用いても定量的な議論が可能なためであり、今後Reverse cell−ELISA法が実際の細胞の分別や同定に有用であることが期待される。【0079】ヒト赤血球と同様の方法で、4種類の異なる動物赤血球についてもReverse cell−ELISA法による測定を行った。測定の結果、各動物赤血球に対応する結合パターンを描くことに成功した(図13)。この測定では、ヒトA型、ニワトリ、ウマ、ウサギの赤血球は、ある程度似通った結合パターンを示したが、ウシの赤血球は明らかに異なる結合パターンを示した。これらの赤血球がこのような方法により見分けられることがわかる。特に、ウシの赤血球は明確に見分けられる。【0080】[実験例4 回収改変レクチン等のタグ付加]この実験例では、MAHのループDのアミノ酸を改変して、作った人工レクチンを生成し、その人工レクチンにタグ抗体を付けたタグ付き人工レクチンを作った。このタグ付き人工レクチンは、上記実験例3の方法と同様にして、固定化されることができる。【0081】[ループDの伸長]テンプレートとしてMAHのcDNAを使用してPCR法によりループDが延長された(図14)。具体的には、野生型MAH遺伝子(2μl)、インサート断片作製用プライマー(2種)(1μlずつ(各100pmol))、10×dNTP(10μl)、10×PCR Buffer(10μl)、ミリQ(75μl)、ampli Taq Gold(1μl)の混合物を、95℃×9分に保ち、(94℃×1分、54℃×2分、そして、72℃×2分)のサイクルを30サイクル、そして、72℃×10分保持の後、4℃に冷やした。 PCR終了後、DpnIを1μlずつ添加し、37℃で2時間反応させた。反応産物はPCR Purification Kit(QIAGE社製)で回収された。生成物は、制限酵素XhoI.conc及びBglII.concで処理された。そして再び、反応産物はPCR Purification Kit(QIAGE社製)で回収された(D改変レクチン)。【0082】【表14】【0083】[タグ用のベクター」ここでは、上述の方法により、ループDが改変されたレクチンの塩基配列のN末端にタグを付加するために、pFLAG−ATSを用いることにした。このベクターのマルチクローニングサイトにはMAHを組み込むのに都合の良い制限酵素部位がなかったので、Site−Directed Mutagenesisのプロトコールに従い、BglIIsiteをSpeIsiteに作り変えた。まず、改変したい部位を含むプライマーをsense側、anti側でまったく相補的になるように設計した。次にPCRを行い、DpnI 1mlを加え37℃で1時間インキュベートした。このDNA溶液をそのまま用いてXL1−Blueにトランスフォーメーションした。最後に、得られたコロニーをショートカルチャーしてプラスミドを回収し、BigDye Terminator Cycle SequencingによりそのDNA配列を読んで、改pFLAG−ATSを同定した。このとき、PCR反応液の組成は、[template(pFLAG−ATS)1μl、primer(pFLAG−SpeI−sense100ng/ml,pFLAG−SpeI−anti 100ng/ml)各1.25ml、10×PCR buffer 5ml、dNTP 1ml、MilliQ 40.5ml、pfu turbo 1ml]であった。また、PCRの反応条件は[95℃30sec,12cycles of(95℃30sec,55℃1min,68℃10min)]であった。また、プライマーの配列は、表15に示す。【0084】【表15】【0085】[ベクターの移しかえ]上記D改変レクチンと野生型MAHのcDNAをpFLAG−CTSからPCRで増幅して制限消化(XhoIconc.とSpeIconc.(ロッシュ))し、改pFLAG−ATSに組み込んだ。これをJM109にトランスフォーメーションし、得られたクローンをBigDye Terminator Cycle Sequencingにより同定した。このとき、PCR反応液の組成は、[template 0.5ml、primer(N−Flag−XhoI 100ng/ml,MAH−SpeI−anti 100ng/ml)各0.5ml、dNTP 4ml、10×PCR buffer 5ml、TaqGold 1ml、MilliQ 38.5ml]であった。また、PCRの反応条件は一般的なもの[96℃5min,30cycles of(96℃1min,55℃1min,72℃2min),72℃5min]であった。また、プライマーの配列は、表16に示す。【0086】【表16】【0087】[BigDye Terminator Cycle Sequencingプロトコールの変更点]ここでは既存のプロトコールを変更して行った。PCR反応液の組成は、5xSequencing Buffer 2mlから10x PCR Buffer 2mlへと、また、エタノール沈殿により調整後のシーケンスサンプルを溶かす溶媒は、Hi−Di Formamide 20mlからMilliQ 20mlへと変更した。【0088】上記により得られた大腸菌を、カルベニシリンを入れたHEM(HighlyEnriched Medium)で単離して、small−culture(over night)した。翌日、HEM20ml,CaCl2(1M)20ml,MnCl2(1M)20ml,MgCl2(4.9M)81.7mlからなる培地にsmall−cultureした大腸菌液を200ml加えて3時間pre−cultureした。ここへ100mM IPTGを200ml加えて3時間培養し誘導をかけた。次に9,500rpmで10分間遠心して大腸菌を回収し、TBS200mlに懸濁して−80℃に保存した。後日、大腸菌の凍結(液体窒素)と融解(37℃湯浴)を5回繰り返し、15,000rpmで20分間遠心して上清をライセートとして回収した。このライセートはタンパク定量を行った後に−80℃保存し、これを使用する準備が整ってからタンパク濃度1mg/mlに希釈して4℃保存した。【0089】[SDS−PAGE&Western Blotting]上記ライセート中にD改変レクチンのフラッグ付き(改変FLAG−MAH)が存在しているのか調べるために、SDS−PAGE、およびWestern Blottingを行った。抗体染色では、1次抗体としてanti−MAH rabbit polyclonal抗体(当室で準備)またはanti−FLAG M2 monoclonal抗体を用い、2次抗体にはそれぞれAP−goat anti−rabbit IgG抗体とAP−goat anti−mouse IgG抗体を用いてABC Kitで発色させて、確認した。このようにタグ付きのD改変レクチンが得られ、上述と同様な方法により、固定化することができる。【0090】[タグ付きD改変レクチンの固定化]SUMILON H タイププレートに希釈したanti−FLAG M2 monoclonal抗体を50mlずつ入れて(0.25mg/well)、4℃で一晩静置した。翌日TBSで3回洗ったあとに3%BSA/TBS 170mlで3時間ブロッキングした。これをTBSで3回洗い、希釈分注してある上述のライセートを50mlずつ加えて2時間振とうした。このことにより、タグ付きのD改変レクチンがこのタイププレートに固定されることになる。次にTBSTで洗ってから、ビオチン化糖ポリマーを希釈して50mlずつ(0.2mg/well)加えて2時間振とうした。TBSTで洗った後に、1000倍希釈したStreptavidin−HRP Conjugateを50mlずつ加えて30分間振とうし、ABTS/H2O2 50mlで発色させてOD405/490を測定し、D改変レクチンが固定されていることを確認した。【0091】[IgAグライコフォームの識別への適用]以下、本発明のレクチン固定化法を適用した例を示す。改変レクチンライブラリをIgAグライコフォーム識別法に適用には、(1)改変レクチンライブラリーを作成する。(2)IgA腎症患者IgAに親和性の高いレクチンをパニング法により選択し、レクチンサブライブラリーを作製する。(3)上記の(2)で得られたレクチンサブライブラリーの中から必要に応じIgA腎症患者と健常人のIgAの違いをよく反映する改変レクチンを選び、タグを付ける。(4)このタグ付き改変レクチンをマイクロタイタープレートに本発明の方法で固定し、レクチンプレートを作製する(図15)。(5)IgAのグライコフォームのレクチンライブラリーによる識別IgA腎症患者と健常人の血清IgAのレクチンプレートへの結合パターンの比較・解析を行う。(6)血清診断アッセイ条件の検討市販健常人IgAに糖鎖を酵素的・化学的に付加し、人工IgAを作製する。健常人血清に人工IgAを混合し、レクチンプレートを用いたパターン解析を行う。血清中に存在する他の血清蛋白質の影響を検討し、アッセイ条件の最適化を行う。【0092】[骨芽細胞亜集団の識別方法への適用]まず、(1)改変レクチンライブラリーを作成する。次に(2)レクチンライブラリーの作製骨芽細胞に親和性の高いレクチンをパニング法等により選択し、レクチンサブライブラリーを作製する。このとき、タグの選別機能を使うこともできる。(3)上記の(2)で得られたレクチンサブライブラリーの中から必要に応じ分化のステージをよく反映するレクチンを選び、タグを付けてマイクロタイタープレートに本発明の方法で固定化し、レクチンプレートを作製する。(4)骨芽細胞の分化誘導とレクチンライブラリーによる識別培養した間葉系幹細胞を培養・分離する。より具体的には、間葉系幹細胞を培養後、骨芽細胞に分化させ、分化開始から5日目、10日目、15日目、20日目の細胞を分離する。(5)分化過程の各時点で分離した細胞をレクチンプレートにて分析し、細胞表面糖鎖構造と骨形成能との相関を検討する。骨形性能の測定には骨型アルカリフォスファターゼ活性の測定およびオステオカルシン含有量の測定を行う(標準の作成)。即ち、分離した細胞を骨芽細胞を足場となるb−TCPブロックとの複合体の形でラット背部皮下に移植し、移植後4週、8週において摘出後、(i)オステオカルシン含有量と(ii)骨型アルカリファスファターゼ活性を測定する。(6)分化過程が不明の細胞をレクチンプレートで分析し、標準と比較する(図16参照)。【0093】ここで、間葉系幹細胞とは、組織や臓器に成長する元となる細胞である幹細胞のうち、骨髄の中に存在するものをいい、間葉系幹細胞は骨、軟骨、脂肪、心臓、神経、肝臓などの細胞に分化することが確認されており、ほとんどすべての組織にも分化することのできる胚性幹細胞(ES細胞)に近い能力を秘めている。間葉系幹細胞は、β−TCP(β−tricalcium phosphate)というリン酸カルシウムを主成分として生体内に優れた親和性、吸収性および骨伝導性を有する人工材料を培養する足場として用いる。【0094】【発明の効果】以上のような本発明によれば、糖鎖解析に主要な機能を発揮する糖鎖認識部位を阻害することなく、レクチンを支持体に固定することができ、糖鎖解析の効率が向上されるばかりでなく、糖鎖解析条件と異なる条件でレクチンが固定できるという利点がある。また、糖鎖解析用のレクチンの濃度や糖鎖解析部位の濃度が均一にすることができる。更に、特にレクチン及びその他の物質を含むライセート等から直接レクチンを固定できるという利点がある。【0095】【配列表】【図面の簡単な説明】【図1】種々のレクチンのアミノ酸配列。【図2】MAHの塩基配列と予想されるアミノ酸配列を示した図である。【図3】MAHの立体構造の予測図である。【図4】本発明の1つの実施例となるレクチンを固定する方法を用いたツールを示す概念図である。【図5】MAHレクチンの遺伝子改変方法を表した図である。【図6】Caco2によるパニングにより回収された改変MAHレクチンのアミノ酸配列(Cループ)を示した図である。【図7】ヒト赤血球を用いたパニングにより回収されてきたレクチンの改変部位のアミノ酸配列を示す図である。【図8】FLAG融合型レクチン遺伝子の制限酵素処理による確認の例を示した図である。【図9】ウェスタンブロッティングによるFLAG融合型レクチンの発現の確認を示す図である。【図10】抗FLAG抗体への各人工レクチンの結合量に対応する発色状態を示す図である。【図11】抗FLAG抗体に結合した各レクチンのシアリルTへの結合活性に対応する発色状態を示す図である。【図12】ヒト赤血球に対するReverse Cell−ELISA法による測定結果を示す図である。【図13】種々の赤血球に対するReverse Cell−ELISA法による測定結果を示す図である。【図14】MAHレクチンのループDへのアミノ酸挿入位置を示す図である。【図15】レクチンチップの一例およびその使用方法(IgAについて)を示す図である。【図16】レクチンチップの一例およびその使用方法(骨芽細胞の分化度プロファイリングについて)を示す図である。【符号の説明】10 糖鎖解析ツールの一例12 ELISAプレート14 抗FLAG抗体16 FLAG融合型人工レクチン18 糖鎖認識部位20 解析対象の細胞22 細胞表面糖鎖 レクチンを支持体に固定化する固定化方法であって、レクチン及びタグ・ペプチドをベクターDNAにコード化する工程と、このコード化されたDNAを使用してL−T複合タンパクを作らせる工程と、前記タグ・ペプチドに対して結合性又は会合性を備える抗タグ抗体が固定されている支持体に前記L−Tタンパクを接触させる工程と、を含むレクチンの固定化方法。 前記レクチンがマメ科のレクチンであることを特徴とする請求項1に記載のレクチンの固定化方法。 前記レクチンにおいて、そのループC若しくはループDの1又はそれ以上のアミノ酸が改変された改変レクチンを前記ベクターDNAにコード化したことを特徴とする請求項1又は2に記載のレクチンの固定化方法。 前記タグ・ペプチドをC末端領域若しくはN末端領域に付加したアミノ酸配列を前記ベクターDNAにコード化したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレクチンの固定化方法。 請求項1〜4のいずれかに記載のレクチンの固定化方法によりレクチンを固定した支持体を含む糖鎖解析ツール。 遺伝子改変操作によりタグ・ペプチドが付加されたレクチンと、抗タグ抗体を含む固体支持体と、を含むレクチン固定化支持体。 請求項6のレクチン固定化支持体を含む糖鎖解析ツール。 請求項1〜7のいずれかに記載された前記タグ・ペプチドをレクチンに付加するために用いられるタグ抗体ベクター。 【課題】レクチンを支持体に固定する方法を提供する。【解決手段】抗タグ抗体(一例として抗FLAG抗体)14を支持体12に固定し、レクチンに融合させたタグ抗体(一例としてFLAG抗体)を、この抗タグ抗体(一例として抗FLAG抗体)14に結合させて、レクチンを固定する方法である。【選択図】    図4


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