生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_微生物固定化担体及びこれを用いた排水処理方法
出願番号:2002208101
年次:2004
IPC分類:7,C12N11/08,C02F3/08,C02F3/10


特許情報キャッシュ

奥村 敬 藤井 渉 JP 2004049038 公開特許公報(A) 20040219 2002208101 20020717 微生物固定化担体及びこれを用いた排水処理方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 奥村 敬 藤井 渉 7 C12N11/08 C02F3/08 C02F3/10 JP C12N11/08 A C02F3/08 B C02F3/10 Z 5 OL 6 4B033 4D003 4B033NA19 4B033NB02 4B033NB13 4B033NB34 4B033NB64 4B033NB68 4B033NC04 4B033ND04 4B033NE08 4B033NF06 4D003AA14 4D003AB02 4D003EA14 4D003EA15 4D003EA30 4D003EA38 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、生化学的に排水処理を行う際に、表面に微生物を付着させて使用される微生物固定化担体に関する。【0002】【従来の技術】生物学的排水処理方法の一つとして、微生物が付着された微生物固定化担体を槽内で流動させ、同担体の表面に付着している微生物により有機物や窒素を吸着、分解して処理する方法が用いられている。この微生物固定化担体としては、親水性ゲル、多孔質中空樹脂、ウレタンフォーム等が、用いられている。【0003】ポリプロピレン、ポリエチレン等の多孔質中空樹脂は、材料が安価である上、成形が容易なことから広く使用されており、中でもポリプロピレンは、微生物の付着量を増やすため、発泡成形し、多孔質体として用いられることが多い。【0004】ポリプロピレン系樹脂発泡体の発泡性、寸法安定性等を向上させるための方法として、例えば特開平7−241898号公報には、ポリプロピレン系樹脂と、超低密度ポリエチレンとを混合した発泡体が開示されている。【0005】ところで近年、散気管目詰まりが殆どない、酸素溶解効率が高い、広範囲を均一に流動できる、汚濁負荷変動に容易に対応可能、という利点を有する水中エアレーター等の強力な攪拌機を用いる場合が増えているため、より機械的強度の高い微生物固定化担体が要請されている。しかしながら、特開平7−241898号公報に開示された発泡体は、超低密度ポリエチレンを使用しているため、強度が低下しがちであった。加えて、特開平7−241898号公報では、発泡体を微生物固定化担体として用いることに関する記載はなく、樹脂の種類と微生物の親和性との関係については何ら考察されていない。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、排水処理に使用するにあたって、強度が高く、長期間良好な処理水質を維持できる微生物固定化担体を提供することを目的としている。【0007】【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第一の要旨は、ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂とを含有してなる微生物固定化担体、である。【0008】前記ポリプロピレン樹脂と前記高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比は、98/2〜75/25の範囲にあると、強度が高く、かつ微生物との親和性に優れるため好ましい。また、微生物固定化担体の見掛け密度が0.9〜1.1g/cm3であると、流動性に優れるため好ましい。【0009】また、循環流動性が8時間以内であると、微生物固定化担体を使用開始してから良好な処理性能を示すまでに長い時間がかかることがないため、好ましい。【0010】また、本発明の第二の要旨は、前記微生物固定化担体を流動床として使用する排水処理方法、である。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。【0012】本発明の微生物固定化担体に用いるポリプロピレン樹脂としては、プロピレンを主成分として重合したものであれば特に限定されず、通常市販されているポリプロピレン樹脂が使用できる。改質のため少量のエチレンを共重合したプロピレン樹脂も使用できる。更に樹脂との接着性を改善するために、酸変性ポリプロピレン系樹脂も使用できる。また、リサイクル及び原料費低下の観点より再生ポリプロピレン樹脂を使用することもできる。本発明に使用するポリプロピレン樹脂の密度としては、0.90〜0.91g/cm3程度である。【0013】本発明の微生物固定化担体に用いる高密度ポリエチレン樹脂は、エチレンを主成分として重合したものであって、密度が0.94g/cm3以上の市販のポリエチレン樹脂が使用できる。また、リサイクル及び原材料費低下の観点より再生ポリエチレン樹脂を使用することもできる。なお、ポリエチレンの密度の上限は剛性や衝撃強度を考慮すると、0.96g/cm3以下が好ましい。【0014】微生物固定化担体として、微生物との十分な親和性と機械的強度をバランスさせるには、前記ポリプロピレン樹脂と前記高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が、98/2〜75/25の範囲にあることが好ましく、95/5〜78/22の範囲がより好ましい。【0015】前記高密度ポリエチレン樹脂の質量割合が2%未満では十分な流動性が得られない。また、前記高密度ポリエチレン樹脂の質量割合が25%を超えると、機械的強度が乏しくなり、水中エアレーター等の強力な攪拌では担体が割れ易くなるので好ましくない。また、前述の質量割合で高密度ポリエチレン樹脂を混合させると、耐熱性が高くなると共に、連続気泡が適度に形成されやすくなる傾向にある。【0016】さらに、親和性、機械的強度を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いることもできる。他の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。【0017】また、他の成分として、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の比重調整材や、多孔質化のためのアゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸系などの発泡剤、発泡助剤や適当な添加剤、例えば粉系発泡剤を使用した際に、ペレットとの分散性を高めるために、流動パラフィンや非イオン系界面活性剤を主成分とする添加剤、等を含んでいてもよい。これらの成分を用いて微生物固定化担体を製造する際は、これらの成分を直接添加することもできるし、これらの成分を含む樹脂ペレットを用いても構わない。【0018】本発明の微生物固定化担体の形状は、円柱状、円筒状、球状、立方体状等にすることができるが、中空円筒状とすると、微生物の付着性が向上するため好ましい。【0019】本発明の微生物固定化担体は、微生物固定化担体中に含まれる空洞や気泡を除いた体積当たりの質量、即ち見掛け密度として0.9〜1.1g/cm3とすると、流動床として使用した際の流動性が良好となるため好ましい。【0020】本発明の微生物固定化担体は、以下に定義する循環流動性が、8時間以内であることが好ましく、5時間以内であることがより好ましい。本発明における微生物固定化担体の循環流動性とは、固形分含量が1000mg/Lの液1L中に、微生物固定化担体を見かけ容積として100ml添加し、1L/minの流量で曝気したとき、曝気開始から微生物固定化担体が液中を循環流動するまでの時間をいう。【0021】この循環流動性試験において短時間で流動する担体は、実際の装置、例えば生物学的排水処理装置においても速やかに流動する。なお、ここでいう固形分とは、例えば活性汚泥にように、水中の有機成分を代謝、分解する能力を持つ微生物群を含んだものを言い、その含量は蒸発残分の測定により求められる。【0022】本発明の微生物固定化担体を流動床に用いて排水処理を行うと、強度に優れると共に、微生物の付着性が良好で、流動性も優れることから、好適に排水処理を行うことができる。【0023】以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。【0024】1.微生物固定化担体の製造方法原料ペレット(ポリプロピレン樹脂ペレット、ポリエチレン樹脂ペレット、炭酸カルシウム含有ペレット)、添着剤を、タンブラーを用いて十分に混合し、さらに発泡剤を添加した後、タンブラーで再び混合した。この混合物を50m/mφ単軸押出機により押出成形を行い、冷却後、ロータリーカッターを用いて所定の長さに切断して中空円筒状の多孔性微生物固定化担体を作成した。形状は、外径10mm、内径6.4mm、長さ10mmとした。見掛け密度は0.95g/cm3に調整した。【0025】なお、原料ペレットは、以下のものを使用した。ポリプロピレン樹脂ペレット:日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP BC4L」ポリエチレン樹脂ペレット:日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD HB332R」、密度0.952g/cm3炭酸カルシウム含有ペレット:日東粉化工業(株)製、商品名「カルペット A」、炭酸カルシウム含有量=80質量%。その他の成分はポリプロピレン。【0026】2.機械的強度試験曝気エアーで生じる槽内液流動のせん断作用の影響を計るため、図1に示す構造の、内径210mm、長さ2000mmの外塔の内部に、内径99mm、長さ1000mmの内塔を配した2重円筒管内に、水を47.4L入れ、微生物固定化担体を5質量%添加し、空塔速度0.95cm/sにて内塔内部に空気を吹き込んで微生物固定化担体を流動させ、機械的強度試験を行った。【0027】機械的強度の判断基準としては、曝気開始から1ヶ月間、担体の質量減少を経時的に測定し、質量減少が全く認められない場合は◎、質量減少が1質量%以下の場合は○、担体の割れ、又は欠けが認められた場合は×とした。【0028】3.循環流動性試験循環流動性試験は、図2に示す構造の、容量1Lの槽に固定分含量が1000mg/Lの汚泥と、微生物固定化担体を見掛け体積として100ml添加し、1L/minの空気を曝気しながら、人工排水を原水として負荷量0.4kg−COD/m3・日で馴養を行い、担体が流動するまでの時間を観察した。【0029】循環流動性の判断基準としては、曝気開始からの槽内での流動状態を目視観察し、添加した担体の全量が均一流動するまでの時間を測定した。また、8時間以内に全量流動した場合は○、8時間では一部浮上している等、完全に流動していない場合を×とした。【0030】また、この循環流動性試験の曝気開始から7日目の処理水と、処理前の原水とのCOD(Mn)の値を求め、処理水COD(Mn)/原水COD(Mn)からCOD(Mn)除去率を算出した。COD(Mn)は、JISK0102.17にそれぞれ準拠して測定した。【0031】実施例1、2、及び比較例1、2の微生物固定化担体組成、機械的強度、循環流動性、COD(Mn)除去率を、表1に示した。【0032】【表1】【0033】以上の結果より、本発明の微生物固定化担体は、機械的強度に優れ、好適に排水処理を行うことができたことが分かる。【0034】【発明の効果】本発明の微生物固定化担体は、ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂を用いるため、機械的強度に優れると共に、微生物の付着量が良好である。また、ポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比を、98/2〜75/25の範囲とすると、微生物固定化担体として使用した際にさらに良好な処理水質を得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施例の機械的強度試験に用いた装置の概要を示す断面図である。【図2】本発明の実施例の流動性試験に用いた装置の概要を示す断面図である。【符号の説明】1  外塔2  内塔3  空気吹き込み口4  水処理装置10  曝気槽10a 排水導入口10b 処理水導出口11  スクリーン12  微生物固定化担体13  整流板14  散気管 ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂とを含有してなる微生物固定化担体。 前記ポリプロピレン樹脂と前記高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が、98/2〜75/25の範囲にある請求項1記載の微生物固定化担体。 見掛け密度が0.9〜1.1g/cm3である請求項1又は2に記載の微生物固定化担体。 循環流動性が8時間以内である請求項1〜3いずれか一項に記載の微生物固定化担体。 請求項1〜4いずれか一項に記載の微生物固定化担体を流動床として使用する排水処理方法。 【課題】排水処理に使用するにあたって、強度が高く、長期間良好な処理水質を維持できる微生物固定化担体を提供する【解決手段】ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂とを含有してなる微生物固定化担体は、強度が高いことに加えて、微生物との親和性に優れるため、処理槽内に投入したあと、すぐに良好な流動性を示すことから、立上げ時から安定して排水処理を行うことができる、優れた微生物固定化担体である。また、ポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比を、98/2〜75/25の範囲とすると、さらに良好な処理水質を得ることができる。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_微生物固定化担体及びこれを用いた排水処理方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_微生物固定化担体及びこれを用いた排水処理方法
出願番号:2002208101
年次:2009
IPC分類:C12N 11/08,C02F 3/08,C02F 3/10


特許情報キャッシュ

奥村 敬 藤井 渉 JP 4229426 特許公報(B2) 20081212 2002208101 20020717 微生物固定化担体及びこれを用いた排水処理方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 奥村 敬 藤井 渉 20090225 C12N 11/08 20060101AFI20090205BHJP C02F 3/08 20060101ALI20090205BHJP C02F 3/10 20060101ALI20090205BHJP JPC12N11/08 AC02F3/08 BC02F3/10 Z C12N 11/00-11/18 特開2001−000180(JP,A) 特開2001−327986(JP,A) 特開平10−193425(JP,A) 特開平11−000166(JP,A) 1 2004049038 20040219 7 20050712 三原 健治 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、生化学的に排水処理を行う際に、表面に微生物を付着させて使用される微生物固定化担体に関する。【0002】【従来の技術】生物学的排水処理方法の一つとして、微生物が付着された微生物固定化担体を槽内で流動させ、同担体の表面に付着している微生物により有機物や窒素を吸着、分解して処理する方法が用いられている。この微生物固定化担体としては、親水性ゲル、多孔質中空樹脂、ウレタンフォーム等が、用いられている。【0003】ポリプロピレン、ポリエチレン等の多孔質中空樹脂は、材料が安価である上、成形が容易なことから広く使用されており、中でもポリプロピレンは、微生物の付着量を増やすため、発泡成形し、多孔質体として用いられることが多い。【0004】ポリプロピレン系樹脂発泡体の発泡性、寸法安定性等を向上させるための方法として、例えば特開平7−241898号公報には、ポリプロピレン系樹脂と、超低密度ポリエチレンとを混合した発泡体が開示されている。【0005】ところで近年、散気管目詰まりが殆どない、酸素溶解効率が高い、広範囲を均一に流動できる、汚濁負荷変動に容易に対応可能、という利点を有する水中エアレーター等の強力な攪拌機を用いる場合が増えているため、より機械的強度の高い微生物固定化担体が要請されている。しかしながら、特開平7−241898号公報に開示された発泡体は、超低密度ポリエチレンを使用しているため、強度が低下しがちであった。加えて、特開平7−241898号公報では、発泡体を微生物固定化担体として用いることに関する記載はなく、樹脂の種類と微生物の親和性との関係については何ら考察されていない。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、排水処理に使用するにあたって、強度が高く、長期間良好な処理水質を維持できる微生物固定化担体を提供することを目的としている。【0007】【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂とを含有し、該ポリプロピレン樹脂と該高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が95/5〜78/22の範囲である微生物固定化担体である。【0008】 本発明の微生物固定化担体は、その見掛け密度が0.9〜1.1g/cm3であると、流動性に優れるため好ましい。【0009】また、循環流動性が8時間以内であると、微生物固定化担体を使用開始してから良好な処理性能を示すまでに長い時間がかかることがないため、好ましい。【0010】 また、本発明は、前記微生物固定化担体を流動床として使用する排水処理方法である。【0011】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。【0012】本発明の微生物固定化担体に用いるポリプロピレン樹脂としては、プロピレンを主成分として重合したものであれば特に限定されず、通常市販されているポリプロピレン樹脂が使用できる。改質のため少量のエチレンを共重合したプロピレン樹脂も使用できる。更に樹脂との接着性を改善するために、酸変性ポリプロピレン系樹脂も使用できる。また、リサイクル及び原料費低下の観点より再生ポリプロピレン樹脂を使用することもできる。本発明に使用するポリプロピレン樹脂の密度としては、0.90〜0.91g/cm3程度である。【0013】本発明の微生物固定化担体に用いる高密度ポリエチレン樹脂は、エチレンを主成分として重合したものであって、密度が0.94g/cm3以上の市販のポリエチレン樹脂が使用できる。また、リサイクル及び原材料費低下の観点より再生ポリエチレン樹脂を使用することもできる。なお、ポリエチレンの密度の上限は剛性や衝撃強度を考慮すると、0.96g/cm3以下が好ましい。【0014】 微生物固定化担体として、微生物との十分な親和性と機械的強度をバランスさせるには、前記ポリプロピレン樹脂と前記高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が、95/5〜78/22の範囲にあることが好ましい。【0015】前記高密度ポリエチレン樹脂の質量割合が2%未満では十分な流動性が得られない。また、前記高密度ポリエチレン樹脂の質量割合が25%を超えると、機械的強度が乏しくなり、水中エアレーター等の強力な攪拌では担体が割れ易くなるので好ましくない。また、前述の質量割合で高密度ポリエチレン樹脂を混合させると、耐熱性が高くなると共に、連続気泡が適度に形成されやすくなる傾向にある。【0016】さらに、親和性、機械的強度を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いることもできる。他の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。【0017】また、他の成分として、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の比重調整材や、多孔質化のためのアゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸系などの発泡剤、発泡助剤や適当な添加剤、例えば粉系発泡剤を使用した際に、ペレットとの分散性を高めるために、流動パラフィンや非イオン系界面活性剤を主成分とする添加剤、等を含んでいてもよい。これらの成分を用いて微生物固定化担体を製造する際は、これらの成分を直接添加することもできるし、これらの成分を含む樹脂ペレットを用いても構わない。【0018】本発明の微生物固定化担体の形状は、円柱状、円筒状、球状、立方体状等にすることができるが、中空円筒状とすると、微生物の付着性が向上するため好ましい。【0019】本発明の微生物固定化担体は、微生物固定化担体中に含まれる空洞や気泡を除いた体積当たりの質量、即ち見掛け密度として0.9〜1.1g/cm3とすると、流動床として使用した際の流動性が良好となるため好ましい。【0020】本発明の微生物固定化担体は、以下に定義する循環流動性が、8時間以内であることが好ましく、5時間以内であることがより好ましい。本発明における微生物固定化担体の循環流動性とは、固形分含量が1000mg/Lの液1L中に、微生物固定化担体を見かけ容積として100ml添加し、1L/minの流量で曝気したとき、曝気開始から微生物固定化担体が液中を循環流動するまでの時間をいう。【0021】この循環流動性試験において短時間で流動する担体は、実際の装置、例えば生物学的排水処理装置においても速やかに流動する。なお、ここでいう固形分とは、例えば活性汚泥にように、水中の有機成分を代謝、分解する能力を持つ微生物群を含んだものを言い、その含量は蒸発残分の測定により求められる。【0022】本発明の微生物固定化担体を流動床に用いて排水処理を行うと、強度に優れると共に、微生物の付着性が良好で、流動性も優れることから、好適に排水処理を行うことができる。【0023】以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。【0024】1.微生物固定化担体の製造方法原料ペレット(ポリプロピレン樹脂ペレット、ポリエチレン樹脂ペレット、炭酸カルシウム含有ペレット)、添着剤を、タンブラーを用いて十分に混合し、さらに発泡剤を添加した後、タンブラーで再び混合した。この混合物を50m/mφ単軸押出機により押出成形を行い、冷却後、ロータリーカッターを用いて所定の長さに切断して中空円筒状の多孔性微生物固定化担体を作成した。形状は、外径10mm、内径6.4mm、長さ10mmとした。見掛け密度は0.95g/cm3に調整した。【0025】なお、原料ペレットは、以下のものを使用した。ポリプロピレン樹脂ペレット:日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP BC4L」ポリエチレン樹脂ペレット:日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD HB332R」、密度0.952g/cm3炭酸カルシウム含有ペレット:日東粉化工業(株)製、商品名「カルペット A」、炭酸カルシウム含有量=80質量%。その他の成分はポリプロピレン。【0026】2.機械的強度試験曝気エアーで生じる槽内液流動のせん断作用の影響を計るため、図1に示す構造の、内径210mm、長さ2000mmの外塔の内部に、内径99mm、長さ1000mmの内塔を配した2重円筒管内に、水を47.4L入れ、微生物固定化担体を5質量%添加し、空塔速度0.95cm/sにて内塔内部に空気を吹き込んで微生物固定化担体を流動させ、機械的強度試験を行った。【0027】機械的強度の判断基準としては、曝気開始から1ヶ月間、担体の質量減少を経時的に測定し、質量減少が全く認められない場合は◎、質量減少が1質量%以下の場合は○、担体の割れ、又は欠けが認められた場合は×とした。【0028】3.循環流動性試験循環流動性試験は、図2に示す構造の、容量1Lの槽に固定分含量が1000mg/Lの汚泥と、微生物固定化担体を見掛け体積として100ml添加し、1L/minの空気を曝気しながら、人工排水を原水として負荷量0.4kg−COD/m3・日で馴養を行い、担体が流動するまでの時間を観察した。【0029】循環流動性の判断基準としては、曝気開始からの槽内での流動状態を目視観察し、添加した担体の全量が均一流動するまでの時間を測定した。また、8時間以内に全量流動した場合は○、8時間では一部浮上している等、完全に流動していない場合を×とした。【0030】また、この循環流動性試験の曝気開始から7日目の処理水と、処理前の原水とのCOD(Mn)の値を求め、処理水COD(Mn)/原水COD(Mn)からCOD(Mn)除去率を算出した。COD(Mn)は、JISK0102.17にそれぞれ準拠して測定した。【0031】実施例1、2、及び比較例1、2の微生物固定化担体組成、機械的強度、循環流動性、COD(Mn)除去率を、表1に示した。【0032】【表1】【0033】以上の結果より、本発明の微生物固定化担体は、機械的強度に優れ、好適に排水処理を行うことができたことが分かる。【0034】【発明の効果】 ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂からなる本発明の微生物固定化担体は、機械的強度に優れ、槽内で1ヶ月間流動させた後の重量減少が1質量%以下である。また、本発明の微生物固定化担体におけるポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が、95/5〜78/22の範囲であるので、微生物固定化担体の機械的強度と循環流動性を両立でき、さらに良好な処理水質を得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の実施例の機械的強度試験に用いた装置の概要を示す断面図である。【図2】 本発明の実施例の流動性試験に用いた装置の概要を示す断面図である。【符号の説明】1 外塔2 内塔3 空気吹き込み口4 水処理装置10 曝気槽10a 排水導入口10b 処理水導出口11 スクリーン12 微生物固定化担体13 整流板14 散気管 ポリプロピレン樹脂と、密度0.94g/cm3以上の高密度ポリエチレン樹脂とを含有し、該ポリプロピレン樹脂と該高密度ポリエチレン樹脂との質量組成比が95/5〜78/22の範囲である微生物固定化担体。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る