タイトル: | 公開特許公報(A)_芳香族化合物の水素化方法 |
出願番号: | 2002201900 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C07C5/10,C07B61/00,C07C13/18,C07C29/19,C07C35/08,C07C67/303,C07C69/75,C07C209/72,C07C211/35 |
柴原 敦 碇屋 隆雄 JP 2004043344 公開特許公報(A) 20040212 2002201900 20020710 芳香族化合物の水素化方法 三井化学株式会社 000005887 金田 暢之 100088328 伊藤 克博 100106297 石橋 政幸 100106138 柴原 敦 碇屋 隆雄 7 C07C5/10 C07B61/00 C07C13/18 C07C29/19 C07C35/08 C07C67/303 C07C69/75 C07C209/72 C07C211/35 JP C07C5/10 C07B61/00 B C07B61/00 300 C07C13/18 C07C29/19 C07C35/08 C07C67/303 C07C69/75 Z C07C209/72 C07C211/35 4 OL 9 特許法第30条第1項適用申請有り 平成14年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第81春季年会 2002年 講演予稿集I」に発表 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成13年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構超臨界流体利用環境負荷低減技術研究開発の委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの) 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC11 4H006BA23 4H006BA32 4H006BA44 4H006BB11 4H006BB30 4H006BB31 4H006BE20 4H006BJ20 4H006BU42 4H006FC22 4H006FE11 4H006KA31 4H039CA40 4H039CB10 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は水素化方法に関する。更に詳しくは本発明は芳香族化合物の芳香環を水素と反応させて水素化する方法に関する。【0002】【従来の技術】芳香族化合物の芳香環を貴金属触媒の存在下において水素化すると、対応する脂環式化合物が得られることは公知であり、これまでに数多くの文献が開示されている。例えば、固体触媒を用いた流通式反応の例がこれまでに数多く開示されている。このような反応では、触媒として例えばラネーNi又はCoなどのラネー系触媒、例えばPd,Rh,Ruなど貴金属系の担持型触媒、その他卑金属系の担持型触媒等が使用されている。【0003】しかしながら、これらの反応では比較的高い反応温度が必要な上、放出される多大な反応熱(約200kJ/mol)のために反応温度の制御が難しく、除熱に大きな労力を要するという問題が存在する。また、固体触媒または錯体触媒を用いた回分式反応の例も数多く開示されているが、これらの例では通常有機溶媒を使用するために、反応後、溶媒分離に多大なエネルギーを必要とする上、更に錯体触媒を用いた均一系反応の場合は、触媒の回収が非常に困難である。【0004】水溶媒存在下、有機相−水相の二相反応系で核水素化反応を行い、触媒の分離を簡略化する方法が例えば「ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー」539巻1997年の163頁で開示されている。この文献では、触媒を水相中に存在させることにより、有機相側に存在する生成物及び未反応原料と触媒の分離を簡略化している。しかしながらこの方法は、実質的に水に溶けない生成物を与える原料に対してしか適用できず、水に溶ける原料の場合や水溶性の生成物を与える場合は、触媒を分離するために別途有機溶媒を使用した抽出操作等が必要となる。【0005】また、超臨界流体と水溶媒存在下、核水素化反応を行う方法が「ケミカルコミュニケーション」2000年の941頁で開示されている。この文献ではコロイド状ロジウムを触媒として用いているが、酸性条件下では反応が進行しないという制限がある上に、安価に入手でき、良好な環境認容性を有する二酸化炭素を超臨界流体として使用できないという難点が存在する。【0006】【発明が解決しようとする課題】このように、従来公知の核水素化方法にはさまざまな産業上不利な問題が存在する。従って、本発明は反応系内に酸性度等の条件の制限がなく、反応制御が容易で触媒分離、生成物の回収が容易な核水素化反応方法を提供することを目的とする。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは、あらゆる核水素化反応系を鋭意検討した結果、かかる公知技術の問題点を克服する核水素化反応方法を見出し、本発明に到達したものである。すなわち、本発明は水素ガスを用いて芳香族化合物の芳香環を水素化する方法において、ルテニウム触媒存在下、反応媒体として水と超臨界流体を用いることを特徴とする芳香環の水素化方法である。【0008】超臨界流体が二酸化炭素、エタン及びプロパンから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。また、ルテニウム触媒が部分構造式(1)【0009】【化3】【0010】(式中、Rは同種または異種の、水素原子または炭素原子数1ないし20の炭化水素基である。さらには同一芳香環上で隣接する二個のRが互いに結合して環構造を形成することもできる。また、Ruとベンゼン環との結合は配位結合を表す。)で表される化合物が好ましく利用でき、中でも一般式(2)【0011】【化4】【0012】(式中、Rは同種または異種の、水素原子または炭素原子数1ないし20の炭化水素基である。さらには同一芳香環上で隣接する二個のRが互いに結合して環構造を形成することもできる。Xはそれぞれ独立して塩素、臭素もしくはヨウ素原子を表す。)で表される化合物が好ましい。【0013】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0014】本発明で使用される超臨界流体としては、二酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ノルマルペンタン、フルオロホルム、亜酸化窒素、六弗化硫黄などの流体(以下、流体化合物という)が挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、二酸化炭素(臨界温度31℃、臨界圧力7.4MPa)、エタン(臨界温度32℃、臨界圧力4.9MPa)、プロパン(臨界温度97℃、臨界圧力4.3MPa)が、入手しやすく、比較的低い臨界点を有する点で好ましい。【0015】また、水素化反応の際に、超臨界流体の溶解力及び溶解特性の選択性を更に上昇させるために少量の添加剤を加えることができる。添加剤としては、水素化反応に顕著な影響を与えない限り特に制限はないが、アルコール、エーテル、炭化水素並びに弗素/塩素−炭化水素が好適である。添加剤の使用量は特に制限はないが、例えば用いる超臨界流体に対して0.1重量%〜50重量%の範囲で使用することができる。【0016】本発明の方法を実施する際の温度は、超臨界流体として使用する流体化合物の臨界温度Tcr〜Tcrの10倍の温度(以下、10・Tcrのように表す)の範囲、好ましくはTcr〜7・Tcrの範囲である。【0017】本発明の方法を実施する際の圧力は、超臨界流体として使用する流体化合物の臨界圧力Pcr〜6・Pcrの範囲.、好ましくはPcr〜4・Pcrの範囲である。【0018】水素の圧力は、水素分圧で0.1〜20MPa 、好ましくは0.2〜15MPa、さらに好ましくは0.5〜15MPaの範囲である。この範囲の水素分圧を用いることで、より良好な水素化速度が得られ、かつ経済的にも効率のよい水素化反応を行うことができる。本反応に使用する水素ガスは、必ずしも高純度である必要はなく、水素化反応に顕著な影響を与えない窒素やメタンなどの不活性ガスが含有されていても差支えない。【0019】水溶媒の使用量は、基質である芳香族化合物に対し1〜50重量倍の範囲、好ましくは1〜30重量倍の範囲で実施される。【0020】本発明の方法で用いるルテニウム触媒における置換基Rの炭素原子数1ないし20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6の環状アルキル基、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等のアリール基が挙げられる。また、同一芳香環上で隣接する二個のRが互いに結合して環構造を形成することもできる。このような環構造の例としては、例えばシクロヘキサン環、シクロヘキセン環等の脂環式環、5−ノルボルネン環等の橋かけ式炭化水素環、ベンゼン環、ナフタレン環等、縮合環を含む芳香族性環などが挙げられる。また前記環はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等のアリール基等の置換基を有していてもよい。【0021】ルテニウム触媒の使用量は、通常、基質である芳香族化合物に対し、0.01〜50重量%、好ましくは0.02〜25重量%程度の範囲で選択される。【0022】本発明で使用される芳香族化合物としては、本発明の反応条件下で水と反応しなければ特に制限はなく、例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、テトラリン、スチレン、アリルベンゼン、1,2−ジヒドロナフタレン、スチルベン、ビフェニル、クロロベンゼン、ベンジルクロライド、フルオロビフェニル、アニソール、p−メトキシスチレン、アリルフェニルエーテル、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、メトキシビフェニル、スチレンオキサイド、フタラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、キサンテン、2−フェニル−1,3−ジオキソラン、1,3−ベンゾジオキソール、トリメチルオルソベンゾエート、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、フェノキシフェノール、フェニルフェノール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体、4,4’−ビフェノールのプロピレンオキサイド付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエチレンオキサイド付加体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ベンジルアルコール、ベンゼンジメタノール、フェノキシベンジルアルコール、ビフェニルメタノール、スチルベンメタノール、1,5−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、4−クロマノール、9−ヒドロキシフルオレン、シンナミルアルコール、ヒドロキシ安息香酸、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸、ビフェニルジメタノール、アニリン、1−フェニルピペリジン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリンのエチレンオキサイド付加体、4,4’−メチレンジアニリンのプロピレンオキサイド付加体、フェニレンジアミン、フェニレンジアミンのエチレンオキサイド付加体、フェニレンジアミンのプロピレンオキサイド付加体、アミノビフェニル、ベンジルアニリン、フェノキシアニリン、ベンジルアミン、アミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、キシリレンジアミンのエチレンオキサイド付加体、キシリレンジアミンのプロピレンオキサイド付加体、アミノベンジルアミン、インドリン、ニトロソベンゼン、ニトロベンゼン、ジニトロビフェニル、1,3−ジフェニルアセトン、テトラロン、アセトフェノン、デオキシベンゾイン、4−アセチルビフェニル、ベンゾフェノン、4−クロマノン、フェニルアセトアルデヒド、ベラトロール、ベンズアルデヒド、ピペロナール、フェニル酢酸、マンデリックアシッド、4−ビフェニル酢酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−フェニレンジ酢酸、フェニルグリオキシル酸、フェニルグリシン、N−フェニルグリシン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、トリプトファン、ベンジルアセテート、メチルフェニルアセテート、メチルベンゾエート、4,4’−オキシビス(メチルベンゾエート)、ジメチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルテレフタレート、フェニルアセテート、ハイドロキノンジアセテート、ジアリルテレフタレート、ベンゾイックアンハイドライド、フタル酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、アセトアニリド、ベンズアミド、フェニルウレア、ベンジルウレア、フェニルカーバメート、ベンジルカーバメート、1−フェニル−2−ピロリジノン、フタルイミド、2−フェニル−2−オキサゾリン、5−メチル−5−フェニルヒダントイン、ベンジルシアニド、1,4−フェニレンジアセトニトリル、ベンゾイルアセトニトリル、ベンゾニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、4−ビフェニルカルボニトリル、トルニトリル、トリフェニルホスフィン、ピリジン、ジピリジル、ピコリン、ビニルピリジン、ルチジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、メチルエチルピリジン、メチルビニルピリジン、2,3−シクロヘキセノピリジン、クロロピリジン、メトキシピリジン、ヒドロキシピリジン、アミノピリジン、アミノメチルピリジン、アセチルピリジン、ベンゾイルピリジン、ジ−2−ピリジルケトン、ピリジンカルボキシアルデヒド、ピコリン酸、ニコチン酸、ピリジル酢酸、ピコリン酸エチル、ニコチン酸メチル、イソニコチン酸メチル、3−アセトキシピリジン、ニコチニックヒドラジド、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、3,4−ピリジンジカルボキシイミド、メチル−3−ピリジルカーバメート、1−(3−ピリジルメチル)ウレア、シアノピリジン、ピリジルアセトニトリル、ピリジンスルホニン酸、メチルピリダジン、3,6−ジクロロピリダジン、3,6−ジヒドロピリダジン、ピリミジン、4−メチルピリミジン、4−フェニルピリミジン、2−クロロピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、2−アミノピリミジン、ピラジン、メチルピラジン、クロロピラジン、メトキシピラジン、アミノピラジン、アセチルピラジン、ピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、1,3,5−トリアジン、メラミン、ナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、クロロナフタレン、クロロメチルナフタレン、メトキシナフタレン、ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ナフタレンメタノール、アミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、ナフタレンメチルアミン、ニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、アセトナフタレン、ナフトアルデヒド、ナフチル酢酸、ナフトイックアシッド、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、メチルナフタレンアセテート、ナフチルアセテート、ジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ナフタレンアセトアミド、2,6−ジイソプロピルナフタレン、シアノナフタレン、ナフチルアセトニトリル、ナフタレンスルホン酸、キノリン、メチルキノリン、クロロキノリン、メトキシキノリン、ヒドロキシキノリン、アミノキノリン、ニトロキノリン、キノリンカルボキシアルデヒド、キノリンカルボン酸、キノリンカルボニトリル、イソキノリン、メチルイソキノリン、ヒドロキシイソキノリン、アミノイソキノリン、ニトロイソキノリン、イソキノリンカルボン酸、メチルイソキノリンカルボキシレート、イソキノリンカルボニトリル、イソキノリンスルホン酸、キノキサリン、メチルキノキサリン、キノキサリノール、エチルキノキサリンカルボキシレート、キノキサリンカルボン酸、2,3−ジクロロキノキサリン、フタラジン、1,4−ジクロロフタラジン、キナゾリン、ヒドロキシキナゾリン、シノリン、シノリンカルボン酸、アントラセン、アクリジン、フェナントロリン、などが挙げられる。これらの芳香族化合物は単独で用いても、2種以上の混合物を用いてもかまわない。【0023】【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。【0024】(実施例1)内容量50mLのステンレス(SUS316)製オートクレーブに蒸留水5g、ジクロロベンゼンルテニウムダイマー4mgを仕込み、容器内を二酸化炭素で置換した。その後、アニリン745mg(8mmol)をシリンジで挿入し、反応容器を100℃まで昇温した後、水素を6MPa圧入した。その後すぐに二酸化炭素送液ポンプで二酸化炭素を9MPa圧入し、100℃で13時間反応させた。反応後、ドライアイス−メタノールで反応容器を冷却し、系内をテトラヒドロフラン中にバブリングさせながらゆっくり放圧することで、ガス抜きの際同伴する生成物や未反応基質を捕捉した。反応生成物をガスクロマトグラフ(島津製作所製GC−17A GLサイエンス社製カラムCP−WAX 51 for amine 0.25mm×25m 膜圧0.20μm)により内標法(内標 デュレン)で分析した結果、アニリンの転化率58%、シクロヘキシルアミン収率45%であった。【0025】(実施例2)二酸化炭素圧力が18MPaである以外は実施例1と同様に反応を行った結果、アニリンの転化率74%、シクロヘキシルアミン収率58%であった。【0026】(実施例3)蒸留水の添加量が10gである以外は実施例1と同様に反応を行った結果、アニリンの転化率86%、シクロヘキシルアミン収率66%であった。(比較例1)水を添加しない以外は実施例1と同様に反応を行った結果、アニリンの転化率11%、シクロヘキシルアミン収率4%であった。【0027】(実施例4)蒸留水の添加量を2g、ジクロロベンゼンルテニウムダイマーの代わりにジクロロ(パラサイメン)ルテニウムダイマー49mgを用いた以外は実施例1と同様に反応を行った結果、アニリンの転化率15%、シクロヘキシルアミン収率5%であった。【0028】(実施例5)アニリンの代わりにベンゼン624mg(8mmol)、反応時間を2時間とした以外は実施例1と同様に反応を行った結果、ベンゼンの転化率47%、シクロヘキサン収率40%、シクロヘキセン収率2%であった。【0029】(実施例6)アニリンの代わりにベンゼン624mg(8mmol)、二酸化炭素圧を18MPa、反応時間を2時間とした以外は実施例1と同様に反応を行った結果、ベンゼンの転化率35%、シクロヘキサン収率28%、シクロヘキセン収率1%であった。【0030】(実施例7)アニリンの代わりにフェノール752mg(8mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った結果、フェノール転化率74%、シクロヘキサノール収率53%、シクロヘキサノン収率13%であった。【0031】(実施例8)アニリンの代わりにフェノール752mg(8mmol)、二酸化炭素圧を18MPaとした以外は実施例1と同様に反応を行った結果、フェノール転化率68%、シクロヘキサノール収率46%、シクロヘキサノン収率15%であった。【0032】(実施例9)蒸留水添加量を2g、アニリンの代わりに安息香酸メチル1088mg(8mmol)、ジクロロベンゼンルテニウムダイマーを40mg、反応時間を4時間とした以外は実施例1と同様に反応を行った結果、安息香酸メチル転化率99%、シクロヘキサンカルボン酸メチル収率96%であった。【0033】(実施例10)蒸留水添加量を2g、アニリンの代わりにパラキシレン848mg(8mmol)、ジクロロベンゼンルテニウムダイマーを40mg、反応時間を6時間とした以外は実施例1と同様に反応を行った結果、パラキシレン転化率94%、cis−1,4−ジメチルシクロヘキサン収率68%、trans−1,4−ジメチルシクロヘキサン収率18%であった。【0034】【発明の効果】本発明により芳香族化合物の芳香環を水素化する単純且つ効率的な反応方法を提供することができる。すなわち、反応媒体として超臨界流体と水溶媒を用いることによってプロセス全体、特に生成物と触媒の分離および精製を簡略化することができる。より具体的には、触媒は水溶媒中に存在したまま生成物を超臨界流体で取り出すことができる。また、超臨界流体は通常加圧ガスであるので、超臨界流体に溶解した反応生成物を減圧するだけで生成物と超臨界流体を容易に分離できる。 水素ガスを用いて芳香族化合物の芳香環を水素化する方法において、ルテニウム触媒存在下、反応媒体として水と超臨界流体を用いることを特徴とする芳香環の水素化方法。 超臨界流体が二酸化炭素、エタン、プロパンから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の方法。 ルテニウム触媒が部分構造式(1)(式中、Rは同種または異種の、水素原子または炭素原子数1ないし20の炭化水素基である。さらには同一芳香環上で隣接する二個のRが互いに結合して環構造を形成することもできる。また、Ruとベンゼン環との結合は配位結合を表す。)で表される化合物である請求項1または2記載の方法。 ルテニウム触媒が一般式(2)(式中、Rは同種または異種の、水素原子または炭素原子数1ないし20の炭化水素基である。さらには同一芳香環上で隣接する二個のRが互いに結合して環構造を形成することもできる。Xはそれぞれ独立して塩素、臭素もしくはヨウ素原子を表す。)で表される請求項1または2記載の方法。 【課題】芳香族化合物の芳香環を水素化する単純且つ効率的な反応方法を提供する。【解決手段】水素ガスを用いて芳香族化合物の芳香環を水素化する際、ルテニウム触媒存在下、水と超臨界流体を反応媒体として使用する。【選択図】 なし