タイトル: | 公開特許公報(A)_角膜上皮障害治療剤 |
出願番号: | 2002201450 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,A61K38/00,A61K9/06,A61K9/08,A61P27/02 |
石田 成弘 吉田 篤史 平井 慎一郎 JP 2004043341 公開特許公報(A) 20040212 2002201450 20020710 角膜上皮障害治療剤 参天製薬株式会社 000177634 岸本 瑛之助 100060874 渡邊 彰 100079038 日比 紀彦 100083149 清末 康子 100069338 石田 成弘 吉田 篤史 平井 慎一郎 7 A61K38/00 A61K9/06 A61K9/08 A61P27/02 JP A61K37/02 A61K9/06 A61K9/08 A61P27/02 3 OL 6 4C076 4C084 4C076AA06 4C076AA12 4C076BB24 4C076CC10 4C076DD23 4C076DD26 4C084AA02 4C084DB01 4C084MA17 4C084MA28 4C084MA58 4C084NA14 4C084ZA33 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、レプチンを有効成分とする角膜上皮障害治療剤に関する。【0002】【従来の技術】角膜上皮障害とは、角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾燥症、慢性表層角膜炎、角膜びらん、遷延性角膜上皮欠損など種々の要因により、角膜上皮が損傷を受けることをいい、その治療剤として様々な薬物が検討されている。【0003】一方、レプチンは、肥満症ポリペプチドであり、皮膚創傷治癒促進作用を有することが知られている。レプチンに関しては、例えば特表平9−506264号には肥満症ポリペプチドの一つであるレプチンが糖尿病、高血圧、高コレステロール症などの治療に有用であることが記載されている。また、WO01/18040号には、レプチンやレプチン類縁体は、内皮細胞の増殖抑制作用を有し、血管退行を誘発することから、血管腫、白血病などの血管新生が関与する疾患に有効であることが記載されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかし、レプチンの角膜上皮障害への応用研究は未だなされていないので、レプチンについて眼球乾燥症、角膜上皮剥離などの角膜上皮障害に対する治癒効果を研究することは興味のある課題である。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は、レプチンについて角膜上皮創傷治癒促進試験を実施したところ、レプチンが角膜上皮細胞層の伸展を効果的に促進することを見い出した。そして、レプチンを用いた角膜上皮創傷治癒促進試験の結果より、レプチンが角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾燥症、慢性表層角膜炎、角膜びらん、遷延性角膜上皮欠損などの角膜上皮障害の治療剤として有用であることが明らかとなった。【0006】【発明の実施の形態】本発明は、レプチンを有効成分とする角膜上皮障害治療剤であり、後述の薬理試験からも明らかなように、レプチンは、優れた角膜上皮創傷治癒促進作用を有するので、種々の角膜上皮障害の治療に有用である。【0007】角膜上皮障害としては、例えば角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾燥症、慢性表層角膜炎、角膜びらん、遷延性角膜上皮欠損等の疾患が挙げられる。【0008】本発明のレプチンを有効成分として含有する角膜上皮障害治療剤は、必要に応じて、医薬として許容される添加剤を加え、汎用されている技術を用いて調製することができる。また、本発明の角膜上皮障害治療剤は、経口でも、非経口でも投与することができる。【0009】本発明の角膜上皮障害治療剤の投与剤型は特に制限されないが、好ましくは点眼剤、眼軟膏、錠剤等が挙げられ、より好ましくは点眼剤または眼軟膏である。これらは汎用されている技術を用いて調製することができる。例えば、点眼剤は、添加物として、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、保存剤等を適宜配合して調製することができる。また、pH調節剤、増粘剤、分散剤などを添加し、薬物を懸濁化させることによって、安定な点眼剤を得ることもできる。【0010】等張化剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ソルビトール、マンニトール等を挙げることができる。【0011】緩衝剤としては、例えばリン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸、ε−アミノカプロン酸、トロメタモール等を挙げることができる。【0012】pH調節剤としては、例えば塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。【0013】可溶化剤としては、例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等を挙げることができる。【0014】増粘剤、分散剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を、また、安定化剤としては、例えばエデト酸、エデト酸ナトリウム等を挙げることができる。【0015】保存剤としては、汎用のソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられ、これらの保存剤を組み合わせて使用することもできる。【0016】本発明のレプチンを含有する点眼剤は、そのpHを4.0〜8.0に設定することが望ましく、また、浸透圧比を1.0付近に設定することが望ましい。【0017】点眼剤におけるレプチンの濃度は症状、年齢等に応じて設定すればよく、特に限定する必要はないが、0.0001%〜15%、好ましくは0.01%〜10%である。投与量としては、点眼剤を例にすれば1回1滴〜数滴、1日1〜数回点眼すればよい。点眼剤は、通常の点眼液のほか、用時溶解型の点眼液でもよい。【0018】以下に、本発明の実施例を示すがこれらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。【0019】【実施例】[製剤例]レプチンを用いた代表的な製剤例を以下に示す。【0020】実施例1100ml中レプチン 10mg塩化ナトリウム 900mg滅菌精製水 適量レプチンの添加量を変えることにより、濃度が0.03%(w/v)、0.1%(w/v)、0.3%(w/v)、1.0%(w/v)、3.0%(w/v)の点眼剤を調製できる。【0021】実施例2100ml中レプチン 100mg塩化ナトリウム 800mgリン酸水素二ナトリウム 100mgリン酸二水素ナトリウム 適量滅菌精製水 適量レプチンの添加量を変えることにより、濃度が0.3%(w/v)、0.5%(w/v)、1.5%(w/v)、3%(w/v)の点眼剤を調製できる。【0022】実施例3100g中レプチン 0.3g流動パラフィン 10.0g白色ワセリン 適量レプチンの添加量を変えることにより、濃度が1%(w/w)、3%(w/w)の眼軟膏を調製できる。【0023】[薬理試験]角膜上皮創傷治癒促進試験雄性SDラットを用い、Cintronらの方法(Ophthalmic Res., 11, 90−96 (1979))に準じ、角膜上皮創傷面積を指標にして角膜上皮創傷治癒促進効果を検討した。【0024】(実験方法)雄性SDラットを用い、その腹腔内にネンブタールを35mg/kgの割合で投与して全身麻酔を施した。ついで、塩酸オキシブプロカイン0.4%点眼液を用いて角膜表面に麻酔を施した。【0025】つぎに、n−ヘプタノールを浸した濾紙を角膜中央部に接触させ、濾紙を除去した後、角膜を生理食塩水で洗浄した。こうして角膜上皮を剥離した後、0.1%レプチン生理食塩水溶解液およびコントロール(生理食塩水)を1日4回点眼した。【0026】角膜上皮の剥離直後および剥離から20時間経過後に、角膜上皮の創傷部分をフルオレセインにて染色し、創傷面積を算出した。【0027】(結果)角膜上皮剥離直後の創傷面積を100としたときの20時間経過後の創傷面積(%)を表1に示す。なお、表中の数字は各6例の平均値を示す。【0028】【表1】【0029】【0030】【発明の効果】表1に示すように、レプチンは優れた角膜上皮創傷治癒促進作用を有している。かかる薬理試験の結果から、本発明に係るレプチンを有効成分として含有する薬剤は、角結膜上皮障害の治療に有用である。 レプチンを有効成分とする角膜上皮障害治療剤。 角膜上皮障害が角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾燥症、慢性表層角膜炎、角膜びらんまたは遷延性角膜上皮欠損である請求項1記載の角膜上皮障害治療剤。 剤型が点眼剤または眼軟膏である請求項1または2記載の角膜上皮障害治療剤。 【課題】眼下領域において優れた角膜上皮創傷治癒促進効果を発揮する化合物を提供する。【解決手段】レプチンは優れた角膜上皮伸展促進作用を発揮する。角膜上皮障害は角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎、眼球乾燥症、慢性表層角膜炎、角膜びらんまたは遷延性角膜上皮欠損である。剤型は点眼剤または眼軟膏である。角膜上皮障害治療剤は、経口でも、非経口でも投与することができる。【選択図】 なし