生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_柑橘オイルおよびオーラプテンの採取方法
出願番号:2002194439
年次:2004
IPC分類:7,C11B11/00,C07D311/16,C11B1/00,C11B1/10,A61K31/37,A61P35/00,A61P43/00


特許情報キャッシュ

後藤 元信 王 宏涛 増原 繁夫 JP 2004035709 公開特許公報(A) 20040205 2002194439 20020703 柑橘オイルおよびオーラプテンの採取方法 チッソ株式会社 000002071 後藤 元信 王 宏涛 増原 繁夫 7 C11B11/00 C07D311/16 C11B1/00 C11B1/10 A61K31/37 A61P35/00 A61P43/00 JP C11B11/00 C07D311/16 101 C11B1/00 C11B1/10 A61K31/37 A61P35/00 A61P43/00 111 7 OL 11 4C062 4C086 4H059 4C062EE28 4C086AA01 4C086AA02 4C086AA04 4C086BA19 4C086NA14 4C086ZB26 4C086ZC41 4H059AA06 4H059BA23 4H059BA36 4H059BB14 4H059BB15 4H059BB18 4H059BB19 4H059BB22 4H059BB45 4H059BC23 4H059CA09 4H059CA14 4H059CA24 4H059CA72 4H059CA73 4H059DA09 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は柑橘オイルの採取方法およびオーラプテンの採取方法に関する。【0002】【従来の技術】農産物加工業からの有機性廃棄物には、抗酸化性、腫瘍・がん細胞の増殖阻害、抗菌・抗ウイルスなどの機能を持つ物質(生理活性物質)が含まれている場合がある。しかしながら、有機性廃棄物の大半は有効に利用されることなく処分されている。有機性廃棄物から生理活性物質を回収するプロセスを開発することは、有機性廃棄物を新たな資源として活用することを可能とし、循環型社会構築の一助となり得る。【0003】柑橘は果肉部分がそのまま食に供されるほか、果実が搾汁されてジュースとしても利用されている。柑橘からジュースを得る場合は、原料果実の約1/2(重量)がジュースとなり、残りの約1/2(重量)の果実は搾汁滓となる。この搾汁滓の有効利用が期待されている。【0004】柑橘のうちでも特に夏柑等の搾汁滓には、下記化学構造式で表されるクマリン系化合物であるオーラプテン(aurapten)が含まれている。特開平9−157166号公報には、オーラプテンが、抗発がんプロモーター活性をもつエプスタインバーウイルス早期抗原誘導抑制剤として有効であることが開示されており、オーラプテンの健康食品や食品添加物、医薬品への応用が期待されている。<オーラプテンの化学構造式>【0005】植物体からそれに含まれる成分を得る方法としては、有機溶媒で抽出する方法が一般に用いられている。オーラプテンが含まれている柑橘オイルを得る方法としては、果汁・果実飲料事典412頁(日本果汁協会監修、朝倉書店、1997年)において、柑橘の搾汁時に浸出し装置に付着するオイルを洗い落として得られるオイルスラリーを、シャープレス型遠心分離機を用いて回転数18000 rpmで処理することで柑橘オイルを得る方法が示されている。その他の方法としてさらには、搾汁滓をスクリュープレスして分離されるエマルジョン液を遠心分離することで柑橘オイルを得る方法が一般に知られている。【0006】柑橘オイルからオーラプテンを採取する方法として特開平11−29565号公報には、柑橘オイルを吸着した吸着剤を特定の溶媒で洗い流し、オーラプテンを溶出させる方法が示されている。【0007】【発明が解決しようとする課題】柑橘オイルさらにはオーラプテンを採取(分離、濃縮)する際に有機溶媒を用いた場合には、得られた柑橘オイルやオーラプテンに少量の有機溶媒が残留しやすい。このような有機溶媒を含有する柑橘オイルやオーラプテンは、健康食品、食品添加物、医薬品などの用途には使用しにくい。また、オイルスラリーやエマルジョン液から遠心分離法を用いて柑橘オイルを採取する方法には、柑橘オイルの収率が低いという課題があった。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは前述の従来技術の課題に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、1×105 ×G以上の遠心加速度を柑橘搾汁液にかけ柑橘オイルを採取する方法であれば、有機溶媒を用いることなく柑橘オイルを高い収率で得ることが可能であること、さらに、柑橘オイルからのオーラプテンの分離を超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行えば、有機溶媒を用いることなくオーラプテンを得ることが可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。【0009】本発明は以下の構成を有する。(1)遠心分離法を用いて柑橘搾汁液から柑橘オイルを採取する方法において、柑橘搾汁液に1×105 ×G以上の遠心加速度をかけることを特徴とする柑橘オイルの採取方法。【0010】(2)遠心加速度が1×105〜1×106 ×Gの範囲であることを特徴とする前記第1項記載の柑橘オイルの採取方法。【0011】(3)柑橘オイルからオーラプテンを分離採取する方法において、柑橘オイルからのオーラプテンの分離を超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行うことを特徴とするオーラプテンの採取方法。【0012】(4)超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーに用いるカラムが、オクタデシル基、トリアコンチル基、オクチル基、ブチル基、メチル基、フェニル基、シアノ基、またはアミノ基から選ばれた1種以上を結合させたシリカゲルが充填されたカラムであることを特徴とする前記第3項記載のオーラプテンの採取方法。【0013】(5)超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにおいてカラムにかける圧力が、15〜100MPaの範囲であることを特徴とする前記第3項記載のオーラプテンの採取方法。【0014】(6)柑橘オイルが、前記第1項または第2項記載の柑橘オイルの採取方法によって得られた柑橘オイルであることを特徴とする前記第3項〜第5項の何れか1項記載のオーラプテンの採取方法。【0015】(7)柑橘オイルが、超臨界二酸化炭素抽出法によって得られた柑橘オイルであることを特徴とする前記第3項記載のオーラプテンの採取方法。【0016】【発明の実施の形態】〔柑橘オイルの採取方法〕本願第一の発明は、遠心分離法を用いて柑橘搾汁液から柑橘オイルを採取する方法において、柑橘搾汁液に1×105 ×G以上の遠心加速度をかけることを特徴とする柑橘オイルの採取方法である。柑橘は何れの種、品種であっても本発明の採取方法の原料として使用することが出来る。その中でも夏蜜柑や八朔などの夏柑、カボス、および柚子などはオーラプテンを多く含有することから、本発明の原料として好ましく使用することが出来る。【0017】また、柑橘の使用部位は特に限定されるものではなく、果実、果皮とも本発明の原料に使用することが出来る。その中でも果皮の部分は、オイル成分の含有量が多いことから本発明の原料として好ましく使用することが出来る。【0018】遠心分離処理に供する柑橘搾汁液は何れの方法によって得られたものであっても本発明に使用することが出来る。具体的には、柑橘の搾汁時に浸出し装置に付着するオイルを洗い落として得られるオイルスラリーや、インライン搾汁により排出される搾汁滓をスクリュープレスして分離されるエマルジョン液などを本発明の原料として使用することが出来る。その中でも、搾汁滓をスクリュープレスして得られるエマルジョン液は排出量が多いため本発明に好ましく使用することが出来る。【0019】さらに、前述のエマルジョン液を、2000〜4000 ×Gの遠心加速度で5〜30分間遠心分離処理し、柑橘オイル分を豊富に含むペースト状物質をその上層に形成させ、このペースト状物質に対して1×105 ×G以上の遠心加速度をかける方法であれば、少ない遠心分離処理回数で、且つ高い収率で柑橘オイルを得ることが出来る。【0020】本発明において、柑橘搾汁液にかける遠心加速度は1×105 ×G以上である。その際の遠心処理時間は、柑橘搾汁液の量や遠心加速度のレベルによって変動することから、一義的に限定することは出来ないが、通常、60〜120分間であることが好ましい。また、遠心加速度が3×105 ×G以上である場合には5〜30分間であることが好ましい。本発明において遠心加速度は、1×105〜1×106 ×Gの範囲であることが好ましい。遠心加速度がこの範囲である場合、遠心分離処理時間は5〜120分間の範囲であることが好ましい。【0021】本発明において遠心分離法は特に限定されるものではなく、バッチ式であっても連続式であっても良い。具体的には、分離板型または円筒型のバッチ式遠心分離機を用いた方法、および連続式遠心分離機を用いた方法などを挙げることができる。【0022】柑橘から柑橘オイルを得るその他の方法としては、柑橘搾汁液(エマルジョン状のもの、オイルスラリーも含む)に遠心加速度をかけ柑橘オイルを採取する方法(遠心分離法)、柑橘搾汁液の絞り滓や柑橘果皮(以下「抽出原料」と言う。)を、二酸化炭素を溶媒とする超臨界状態におくことにより柑橘オイルを採取する方法(超臨界二酸化炭素抽出法)、有機溶媒で抽出することによって柑橘オイルを得る方法(有機溶媒抽出法)などを挙げることができる。【0023】前述の超臨界二酸化炭素抽出法について説明する。超臨界二酸化炭素抽出法において使用する抽出原料は、予め乾燥させたものを使用する。例えば柑橘果皮は通常70〜80重量%の水分を含んでいるが、凍結真空乾燥、真空乾燥、通風乾燥などの方法により水分を40重量%以下、さらには10重量%以下としたものを使用することが好ましい。また、乾燥時の温度は抽出原料中のオーラプテンの分解を防ぐ目的から100℃以下であることが好ましい。【0024】さらに超臨界二酸化炭素抽出法において使用する抽出原料は、その直径が1mm程度になるように粉砕されたものを使用することが好ましい。抽出原料の直径が1mm程度のものを用いれば、柑橘オイルからの抽出が容易となる。【0025】超臨界二酸化炭素抽出装置の一例を図1に示した。抽出原料は抽出容器5に充填する。この抽出容器5に超臨界二酸化炭素を通し、この超臨界二酸化炭素に柑橘オイルを溶解させ、次いで柑橘オイルを含有するこの超臨界二酸化炭素を大気圧下まで落圧することによって柑橘オイルを得ることが出来る。【0026】超臨界二酸化炭素抽出の際、抽出温度が低いと超臨界流体状態が得られず、また高すぎるとオーラプテンの分解を招く。本発明において抽出温度は31〜100℃の範囲、好ましくは31〜50℃の範囲である。抽出圧力は、低すぎると超臨界流体状態が得られず、高すぎると抽出装置の大型化が必要となることから7.4〜100 MPaの範囲、好ましくは20〜45 MPaの範囲であることが好ましい。【0027】使用する二酸化炭素の量は抽出原料(乾燥状態)の重量に対して10〜50 倍の重量であることが好ましい。二酸化炭素の量が少ないと抽出効率が低下し、また多すぎると抽出コストが高くなる。【0028】超臨界二酸化炭素抽出法を用いれば、柑橘搾汁滓をスクリュープレスして得られるエマルジョン液からも柑橘オイルを得ることが出来る。その際は該エマルジョン液にその重量に対して1/10〜1/2倍量の珪藻土を添加したうえで、前述の操作方法に準じて抽出を行えばよい。【0029】さらに、前述のエマルジョン液を、2000〜4000 ×Gの遠心加速度で5〜30分間遠心分離処理し、柑橘オイル分を豊富に含むペースト状物質をその上層に形成させたペースト状物質を超臨界二酸化炭素抽出法に供すれば、少ない超臨界二酸化炭素抽出操作回数で且つ高い収率で柑橘オイルを得ることが出来る。【0030】〔オーラプテンの採取方法〕本願第二の発明は、柑橘オイルからオーラプテンを採取する方法において、柑橘オイルからのオーラプテンの分離を超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行うことを特徴とするオーラプテンの採取方法である。本発明に使用する柑橘オイルは、柑橘から得られたものであれば、何れの柑橘オイルであっても本発明に使用することが出来るが、その中でも夏蜜柑や八朔などの夏柑、カボス、および柚子などはオーラプテンを多く含有することから、これらから得られた柑橘オイルは、本発明の原料として好ましく使用することが出来る。採取方法にもよるが、通常、甘夏蜜柑から採取された柑橘オイルには、約1重量%のオーラプテンが含まれている。【0031】遠心分離法または超臨界二酸化炭素抽出法により得られた柑橘オイルは、残留有機溶媒を含まないことから、本発明に好ましく使用することができ、さらに、本願第一の発明により得られた柑橘オイルは特に好ましい。【0032】本発明において柑橘オイルからのオーラプテンの分離は、超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行う。超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーに使用するカラムは、シリカゲルに置換基を化学的に結合させたものが充填されたカラムであることが好ましい。特に、オクタデシル基、トリアコンチル基、オクチル基、ブチル基、メチル基、フェニル基、シアノ基、またはアミノ基から選ばれた1種以上の置換基を結合させたシリカゲルを充填剤とするカラムは、入手が容易であることから本発明に好ましく使用することが出来る。【0033】充填剤の粒子径は、1〜20μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜5μmの範囲である。本発明に特に好ましく使用することが出来るカラムとして、具体的には関東化学(株)製マイティーシルRP−18 ODS(商品名、粒子径5μm、内径10 mm、長さ250 mm)を挙げることができる。【0034】超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーを行う際のカラムにかける圧力は、15〜100MPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜45MPaの範囲である。該圧力がこの範囲であれば、小さな装置であっても良好な超臨界粒体状態を起こすことが容易であり、オーラプテンの分離が良好であり、且つカラム内に不溶出成分が残留しにくい。【0035】以下、超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置の図面(図2)に沿って、本発明を詳細に説明する。ボンベ1の液化二酸化炭素は、ポンプ2によりサンプルインジェクター部3に送出される。ポンプ2は安定して液化二酸化炭素を送出するため、ポンプヘッド部分が冷却されることが好ましい。サンプルインジェクター3にはサンプルループ4が接続されている。サンプルループ4の容量は、注入する柑橘オイルの量に応じて適する容量のものを使用することが好ましい。【0036】サンプルインジェクター3はロード側に流路を変えると超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置からサンプルループ4が切り離され、インジェクション口からサンプルループ4に柑橘オイルを注入することができるようになる。そして流路を注入側に戻すとサンプルループ4は再び本装置の流路の一部となり、サンプルループ内の柑橘オイルがコイル5に送られる。サンプルインジェクター3およびサンプルループ4を用いた柑橘オイルの注入は、自動注入装置を用いた自動処理が可能である。【0037】コイル5は温度が31.5〜50 ℃に制御された恒温槽6の内部に設置され、コイル5内を通る柑橘オイルおよび二酸化炭素は昇温される。このとき液体二酸化炭素は超臨界状態の二酸化炭素となる。コイル5から送出された柑橘オイルおよび超臨界二酸化炭素は恒温槽6内のカラム7に送られ、柑橘オイル中のオーラプテンが分画される。【0038】サンプルループ4に注入する柑橘オイルの量は使用するカラムによってかわる。例えば、関東化学(株)製マイティーシルRP−18 ODS(商品名、粒子径5 μm、内径10 mm、長さ250 mm)を用いた場合には、一回に100〜1000μlの柑橘オイルを処理することが出来る。サンプルループ4に注入する柑橘オイルの量がこの範囲内であれば、オーラプテンとそれ以外の成分との分離が良好に行える。カラム7により分画された柑橘オイルは検出器9に送られる。【0039】検出器9は紫外可視分光光度計やフォトダイオードアレイ検出器などを使用することが出来る。超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置内の圧力(カラム7にかかる圧力)は、圧力計8で観察され背圧弁12で制御される。本発明において該圧力は、超臨界流体状態となる圧力であればよく、特に限定されるものではない。【0040】この背圧弁12により柑橘オイル分画物を含む超臨界二酸化炭素は大気圧に減圧される。このとき断熱膨張により二酸化炭素の温度が下がり、背圧弁12出口でドライアイスの詰りが発生することがあるので、背圧弁12は加熱装置を有するものが好ましい。該加熱装置として具体的には、電熱線を鋳込んだヒーターブロックをボルトで固定した構造のものがあげられる。【0041】溶媒送出ポンプ10は分画されたサンプルの分析のみを目的として、少量の柑橘オイルを分画するときに使用する。溶媒送出ポンプ10は少量の分画物を効率よく捕集するため溶媒容器11の溶媒を送出する。背圧弁12を通った分画物は分画物捕集容器13に捕集される。捕集容器は2つ以上用意し、検出器の信号により手動または自動でオーラプテンを含む画分を捕集する。捕集容器には分画物の飛散ロスを防ぐためにミストセパレーターを装着することが好ましい。【0042】【実施例】以下に本発明について実施例を用いて説明するが、これらは発明を限定するものではない。なお、オーラプテンの含有量は、次の条件の高速液体クロマトグラフィーによる絶対検量線法にて定量した。<検出条件>カラム:関東科学(株)製マイティシルRP−18 GP(商品名、粒子径5 μm、長さ150mm、内径4.6mm)移動相:メタノール/水=75/25流速 :1.0 ml/min検出器波長:325 nm【0043】実験例1〔柑橘オイルの採取〕甘夏ミカン果皮372gを、乾燥重量が100gになるまで凍結真空乾燥した。これを粉砕機で粉砕し、図2に示した抽出容器5(内径30 mm、長さ50 cm)に充填した。該抽出容器5を恒温槽4に接続し、次の条件で超臨界二酸化炭素抽出を行った。<抽出条件>温度:40 ℃圧力:20 MPa二酸化炭素使用量:2000 g二酸化炭素流速(ガス):20 L/min【0044】この操作により4.94 gの柑橘オイルを得た。この柑橘オイルに含まれるオーラプテンを高速液体クロマトグラフィーにより定量したとところ、オーラプテンの濃度は1.11 重量%である事がわかった。【0045】〔オーラプテンの採取〕前述の超臨界二酸化炭素抽出により得られた柑橘オイルから、図3に示した超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置を用いてオーラプテンを分画した。カラム7には関東化学(株)製マイティーシルRP−18 ODS(商品名、粒子径5 μm、内径10 mm、長さ250 mm)を使用し、サンプルループ4は400 μlのものを使用した。恒温槽の温度は40 ℃とし、二酸化炭素送出ポンプは送出量を20 ml/minに設定した。背圧弁は20 MPaに調整した。【0046】該柑橘オイル372 mgを、サンプルサンプルインジェクター3から超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置に注入し、分画を開始した。分画開始後0〜8分の間に流出した成分をフラクション1とし、8〜10分の間に流出した成分をフラクション2とし、10〜55分の間に流出した成分をフラクション3として分け取った。【0047】柑橘オイルの注入は5回行い、合計2232 mgの柑橘オイルを分画した。フォトダイオードアレイ検出器で検出された2次元クロマトグラムを図3に、波長325 nmのクロマトグラムを図4に示す。各フラクションの重量はフラクション1が94.0 mg、フラクション2が49.0 mg、フラクション3が1444.7 mgであった。各フラクションが含有するオーラプテン量はフラクション1が0.02 mg、フラクション2が 18.53 mg、フラクション3が1.59 mgであった。表1に各フラクションの重量、オーラプテン重量、オーラプテン濃度、オーラプテン回収率を示した。【0048】【表1】【0049】実験例2〔柑橘オイルの採取〕甘夏ミカン果実をインライン搾汁機で搾汁した。得られた搾汁滓をスクリュープレスして分離されたエマルジョン液600 gを、4個の200 ml遠心分離容器に分け入れ、遠心分離機(本体:久保田製作所製5200、ローター:久保田製作所製RS−410)に装填し、回転数3000 rpm、処理時間5 分遠心分離処理を行った。このとき遠心容器内の該エマルジョン液が受けた遠心加速度は1500×Gであった。この処理によって柑橘オイルを含むペースト状物質20 gを上層に得た。【0050】このペースト状物質を8本の4 ml遠心分離容器に分け入れ、超遠心分離機(本体:日立工機製CS−100GX、ローター:日立工機製S100AT6)に装填し、回転数1×105 rpm、処理時間10 分超遠心分離処理を行った。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受ける遠心加速度は6×105 ×Gであった。この処理によって柑橘オイル2.48 gを該ペースト状物質の上層に得た。【0051】実験例3〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数7×104 rpm、処理時間10 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い2.40 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は3×105 ×Gであった。【0052】実験例4〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数7×104 prm、処理時間30 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い2.46 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は3×105 ×Gであった。【0053】実験例5〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数4×104 rpm、処理時間10 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い1.38 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は9.7×104 ×Gであった。【0054】実験例6〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数4×104 rpm、処理時間30 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い1.60 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は9.7×104 ×Gであった。【0055】実験例7〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数2×104 rpm、処理時間10 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い0.56 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は2.4×104 ×G であった。【0056】実験例8〔柑橘オイルの採取〕超遠心分離の処理条件を、回転数2×104 rpm、処理時間30 分とした以外は実施例2に準じて柑橘オイルの採取を行い0.94 gの柑橘オイルを得た。このとき超遠心容器内のペースト状物質が受けた遠心加速度は2.4×104 ×G であった。【0057】実験例2〜8における超遠心分離操作時の各条件、およびその結果を表2に示した。なお、柑橘オイル取得率は、分離に使用したペースト状物質重量に対する得られた柑橘オイルの重量比百分率で示した。【0058】【表2】【0059】【発明の効果】本発明の柑橘オイルを採取する方法は、有機溶媒を用いることなく柑橘オイルを高い収率で採取することを可能にし、本発明のオーラプテンの採取方法は、有機溶媒を用いることなくオーラプテンを採取することを可能にする。【図面の簡単な説明】【図1】図1は超臨界二酸化炭素抽出装置の概略図である。【図2】図2は超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置の概略図である。【図3】図3は柑橘(甘夏蜜柑)オイルを超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置で分画したときのフォトダイオードアレイ検出器によるクロマトグラムである。【図4】図4は柑橘(甘夏蜜柑)オイルを超臨界二酸化炭素クロマトグラフィー装置で分画したときの波長325nmでの吸光度の変化を示すクロマトグラムである。 遠心分離法を用いて柑橘搾汁液から柑橘オイルを採取する方法において、柑橘搾汁液に1×105 ×G以上の遠心加速度をかけることを特徴とする柑橘オイルの採取方法。 遠心加速度が1×105 〜1×106 ×Gの範囲であることを特徴とする請求項1記載の柑橘オイルの採取方法。 柑橘オイルからオーラプテンを分離採取する方法において、柑橘オイルからのオーラプテンの分離を超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行うことを特徴とするオーラプテンの採取方法。 超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーに用いるカラムが、オクタデシル基、トリアコンチル基、オクチル基、ブチル基、メチル基、フェニル基、シアノ基、またはアミノ基から選ばれた1種以上を結合させたシリカゲルが充填されたカラムであることを特徴とする請求項3記載のオーラプテンの採取方法。 超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにおいてカラムにかける圧力が、15〜100MPaの範囲であることを特徴とする請求項3記載のオーラプテンの採取方法。 柑橘オイルが、請求項1または2記載の柑橘オイルの採取方法によって得られた柑橘オイルであることを特徴とする請求項3記載のオーラプテンの採取方法。 柑橘オイルが、超臨界二酸化炭素抽出法によって得られた柑橘オイルであることを特徴とする請求項3記載のオーラプテンの採取方法。 【課題】有機溶媒を用いることなく柑橘オイルを高い収率で採取ことを可能にする柑橘オイルの採取方法の提供。有機溶媒を用いることなくオーラプテンを採取することを可能にするオーラプテンの採取方法の提供。【解決手段】1×105 ×G以上の遠心加速度を柑橘搾汁液にかけ柑橘オイルを採取する。柑橘オイルからのオーラプテンの分離を超臨界二酸化炭素クロマトグラフィーにより行う。【選択図】 なし


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