生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_キレート剤
出願番号:2002187720
年次:2006
IPC分類:C09K 3/00,C02F 1/62,C07C 233/47,C11D 3/32


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倉内 雅彦 JP 2006022123 公開特許公報(A) 20060126 2002187720 20020627 キレート剤 味の素株式会社 000000066 倉内 雅彦 C09K 3/00 20060101AFI20051222BHJP C02F 1/62 20060101ALI20051222BHJP C07C 233/47 20060101ALI20051222BHJP C11D 3/32 20060101ALI20051222BHJP JPC09K3/00 108CC02F1/62 CC07C233/47C11D3/32 5 OL 6 4D038 4H003 4H006 4D038AA01 4D038AA08 4D038AB68 4D038AB87 4D038BB13 4H003DA01 4H003EB17 4H003FA07 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB82 4H006BS10 4H006BS70 4H006BV34 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なキレート剤に関する。さらに詳しくは、水処理剤、金属回収剤、写真用剤、染色用剤、洗浄剤等として有用な新規な両親媒性キレート剤に関する。【0002】【従来の技術】アミノ酸のNα,Nα−二酢酸型誘導体は、親水性のキレート剤であるが、これに疎水性側鎖を導入したものは、強力なキレート力と両親媒性を併せ持ち、水処理剤、金属回収剤、写真用剤、染色用剤、洗浄剤等として有用である。これら両親媒性のキレート剤の例としては、グリシン−N,N−二酢酸誘導体などが知られている(特開平8−209550号公報、特開平10−175929号公報、特表2001−512174号公報、特表2001−512179号公報)。【0003】しかし、これらの両親媒性キレート剤は、長鎖α−オレフィンをヒドロホルミル化(オキソ反応)により先ず長鎖アルデヒドとした後、ストレッカー反応等の通常用いられる方法により、側鎖に長鎖アルキル基を持つアミノ酸へと変換し、次いでそれにα−ハロゲノ酢酸を反応させるか、またはシアン化水素とホルムアルデヒドを反応させた後、加水分解することにより得る必要がある。【0004】そして、これらの製造には、特殊な装置を必要とし、操作も煩雑であるという問題がある。さらに、この方法で得られる化合物は何れも生分解性の劣るDL体であり、より高い生分解性を期待し得るL体の化合物を得るためには、さらに光学分割等の煩雑な操作が必要となる。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、水処理剤、金属回収剤、写真用剤、染色用剤、洗浄剤等として有用で、簡便な方法により製造可能な、高い生分解性を期待し得る新規な両親媒性キレート剤を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者は、塩基性アミノ酸を原料とすることで上記問題点を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、一般式(I)で示される新規なキレート剤に関する。【化2】(式中、Rは炭素原子数1〜24のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基を、nは1〜6の整数を、M1、M2およびM3はそれぞれ水素イオンまたは金属イオンを示す。但し、Rを構成する炭素原子数とnとの和は4以上である。また、M1、M2およびM3はそのうち2つまたは3つが一緒になって2価または3価の金属イオンを表すこともできる。)【0007】【発明の実施の形態】本発明の一般式(I)で示されるキレート剤において、Rとして表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシルなどの基を挙げることができる。【0008】Rとして表されるアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘンイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニルなどの基を挙げることができる。【0009】Rとして表されるシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの基を挙げることができる。【0010】Rとして表されるアリール基としては、フェニル、ナフチル、アンスリル、フェナンスリルなどの基を挙げることができる。【0011】本発明のキレート剤の原料として用いるアミノ酸としては、塩基性のアミノ酸であれば特に限定されないが、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、オルニチン、リジン、2,7−ジアミノヘプタン酸などを挙げることができ、なかでも、リジン、オルニチンが好ましい。【0012】本発明のキレート剤は、塩基性アミノ酸を先ずNω−アシルアミノ酸とした後、これにα−ハロゲノ酢酸またはその誘導体を反応させるか、或いはこれにシアン化水素とホルムアルデヒドを反応させ、次いで加水分解することにより得ることが出来る。【0013】なお、Nω−アシルアミノ酸は、塩基性アミノ酸を公知の方法で銅塩とした後、アルカリの存在下、水等の溶媒中、カルボン酸クロライドとを反応させる所謂ショッテン−バウマン反応により製造することが出来る。別の方法としては、アミノ酸をカルボン酸との塩とした後、加熱する等の方法で脱水縮合することによっても得ることができる。また、一部の化合物については市販されているものを利用することもできる。【0014】Nω−アシルアミノ酸とα−ハロゲノ酢酸またはその誘導体との反応には、水またはアルコール等の溶剤が用いられる。反応温度は0℃乃至120℃、好ましくは20℃乃至100℃である。反応時間は、反応が完結する限りにおいて任意である。α−ハロゲノ酢酸またはその誘導体は、Nω−アシルアミノ酸に対して2倍モル乃至4倍モル、好ましくは2倍モル乃至3倍モル用いられる。反応系には、反応の進行に従って発生するハロゲン化水素を捕集するため、α−ハロゲノ酢酸またはその誘導体と等モル以上の苛性アルカリ、炭酸アルカリまたは3級アミン等の塩基が添加される。これらは、反応の開始時に全てが添加されても良いが、ハロゲン化水素の発生に応じて逐次添加されても良い。【0015】【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。【0016】<実施例:Nε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸の合成>Nε−ラウロイル−L−リジン(味の素株式会社製、商品名アミホープLL)3.29g(10mmol)を1規定水酸化ナトリウム10mlに溶解し、クロロ酢酸2.84g(30mmol)を1規定水酸化ナトリウム30mlに溶解した溶液を加えた。次いで、オイルバス中、反応液の温度を75℃に昇温し、1規定水酸化ナトリウムを逐次加えることによりpHを10.5〜11.0に保ちながら8時間撹拌した。室温で一夜撹拌した後、反応液のpHを6規定塩酸で2.5に調整することにより白色の沈殿を得、これを濾取、乾燥して目的とするNε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸4.21g(収率94.7%)を得た。ここから0.89gを取り分け、1規定水酸化ナトリウム6mlとメタノール6mlの混合物に溶解した後、撹拌下に1規定塩酸6mlを滴下することにより生じた結晶を、濾取、乾燥して分析試料とした。【0017】質量分析計(日本電子製MS700)を用いてこれを正イオンFAB測定に賦したところ、445にM+Hイオン、467および489にナトリウム付加イオンを観測し、分子量を確認した。また、精密質量測定では、445.2913にピークが観測された。この値はNε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸の分子式(C22H40N2O7)に対応するM+Hの質量として期待される計算値とよく一致し、構造が確認された。【0018】<試験例:水中の銅の回収>実施例1で製造したNε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸2.23g(5mmol)を1規定水酸化ナトリウム15mlに溶解し、さらに純水を加えて全量を25mlとすることにより、Nε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸3ナトリウム20mmol/dl溶液を調製した。硫酸銅5水和物202.6mgを純水に溶解して100mlとした溶液を95mlと5mlに分割した。5mlの溶液は正確に希釈した後、IPC分析装置(日本ジャーレル・アッシュ製ICAP−750)により銅の濃度を測定した。95mlの溶液については、Nε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−2酢酸3ナトリウム20mmol/dl溶液5mlを加え、さらに6N塩酸数滴を添加することによりpHを4.55に調製した後、n−ブタノール100mlで抽出操作を行った。水相と有機相を分離し、有機相については濃縮乾固後、残滓を数滴の5規定水酸化ナトリウムを加えた水に溶解し、正確に希釈した上、銅の濃度を測定した。水相(87.0ml)は正確に2等分し、片方は濃縮乾固後、水を加えて溶解し正確に希釈した上、銅の濃度を測定した。もう片方には同量(43.5ml)のn−ブタノールを加えて抽出操作を行った。再度、水相と有機相を分離し、有機相については濃縮乾固後、残滓を5規定水酸化ナトリウムを1滴加えた水に溶解し、正確に希釈した上、銅の濃度を測定した。水相については濃縮乾固後、水を加えて溶解し正確に希釈した上、銅の濃度を測定した。【0019】各検体の銅の濃度は、原液が490.96ppm、抽出1回後の水相が29.872ppm、抽出2回後の水相が0.5698ppmであった。即ち、2回の操作で99.9%の銅が抽出されており、この実験により本発明の両親媒性キレート剤の有用性が確認された。【発明の効果】本発明により、簡便な方法により製造可能な、高い生分解性を期待し得る新規な両親媒性キレート剤を提供することが可能となった。 一般式(I)で示されるキレート剤。(式中、Rは炭素原子数1〜24のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基を、nは1〜6の整数を、M1、M2およびM3はそれぞれ水素イオンまたは金属イオンを示す。但し、Rを構成する炭素原子数とnとの和は4以上である。また、M1、M2およびM3はそのうち2つまたは3つが一緒になって2価または3価の金属イオンを表すこともできる。) 立体配置がL体である請求項1記載のキレート剤。 nが3または4である請求項1または2記載のキレート剤。 Rが炭素原子数4〜18のアルキル基である請求項1乃至3記載のキレート剤。 Nε−ラウロイル−L−リジン−Nα,Nα−二酢酸またはその金属塩。 【課題】製造が容易で、生分解性の高い両親媒性のキレート剤を得る。【解決手段】一般式(I)で表わされる新規のキレート剤を用いる。(式中、RはC1〜24のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基を、nは1〜6の整数、M1、M2及びM3は水素イオンまたは金属イオンを示す。但し、Rを構成する炭素原子数とnとの和は4以上である。また、M1、M2及びM3はそのうち2つまたは3つが一緒になって2価または3価の金属イオンを表すこともできる。)【選択図】 なし


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