生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_制汗防臭剤
出願番号:2002186148
年次:2004
IPC分類:7,A61K7/32


特許情報キャッシュ

川口 芳広 JP 2004026730 公開特許公報(A) 20040129 2002186148 20020626 制汗防臭剤 株式会社片山化学工業研究所 000154727 川口 芳広 7 A61K7/32 JP A61K7/32 4 OL 7 4C083 4C083AB172 4C083AB211 4C083AB212 4C083AB222 4C083AB432 4C083AC352 4C083AC442 4C083AC581 4C083AC662 4C083AC692 4C083AC771 4C083AD152 4C083AD411 4C083AD412 4C083CC17 4C083DD08 4C083EE01 4C083EE03 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE18 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、制汗防臭剤に関する。さらに詳しくは、不快な体臭を防止し、使用感触に優れ、使用後の白さが目立たず、さらには衣類へ付着した場合においても変色しない制汗防臭剤に関する。【0002】【従来の技術】不快な体臭を防止することを目的として皮膚外用剤である防臭化粧品の主要な態様の一つとして、その汗を抑制する制汗機能により、過度の発汗による不快感を抑制すると共に、主に汗を原因として発生する不快な体臭を抑制する「制汗剤」が用いられている。【0003】従来から、パウダースプレー、ロールオン、スティック、ジェル、クリームなどの様々なタイプの制汗剤が使用されている。これらは、通常、制汗成分、殺菌成分、消臭成分などと粉体、油成分、界面活性剤やワックスなどからなっており、人間の身体から発する臭気を防止するために、銀塩及び/又は亜鉛塩が配合された防臭化粧料(特開昭62−289512)などが提案されている。また、これらの制汗剤は、使用時、発汗時及び発汗乾燥後にべたつきを生じるという問題点も指摘されており、この問題点を解決するために、無水ケイ酸などの吸汗・吸皮脂効果を有する粉体、球状粒子粉体、シリコーン処理された粉体や、他の油成分より軽い使用感を有するシリコーンを配合したり、清涼感を目的としてエタノール等を中心とした揮発性を有する成分を配合するなどの様々な使用感の改良が試みられている。【0004】しかしながら、これらの方法では、使用直後のべたつきはある程度抑制できるものの、発汗時のべたつきや、発汗後乾燥した後のべたつきに対しては十分な効果が得られなかった。また、球状粒子粉体は使用感向上に効果があるものの、大量に配合すると白浮きしてしまい、銀などの殺菌成分が配合されたものを使用した場合、衣類に付着した時に黒く変色してしまうという問題があった。このため、発汗時及び発汗後乾燥した後にべたつかない、使用感に優れた制汗剤の開発が望まれていた。【0005】一方、本発明の発明者は、人体や食品などに直接接触する場合の安全性を考慮すると共に、銀含有率が高くて、抗菌性の銀が蛋白質から容易に離脱しない水不溶性の銀含有複合蛋白質を提案した(国際出願公開WO00/59937号公報参照)。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、不快な体臭を防止し、使用感触に優れ、使用後の白さが目立たず、さらには衣類へ付着した場合においても変色しない制汗防臭剤を提供することを課題とする。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明者が先に提案した、蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させて得られる水不溶性の銀含有複合蛋白質(以下、「複合蛋白質」という)からなる薬剤が、不快な体臭を防止し、使用感触に優れ、使用後の白さが目立たず、さらには衣類へ付着した場合においても変色しない事実を見出し、本発明を完成するに到った。かくして、本発明によれば、複合蛋白質からなる制汗防臭剤が提供される。【0008】【発明の実施の形態】本発明の制汗防臭剤の必須成分である複合蛋白質としては、国際出願公開WO00/59937号公報に記載のものを用いることができる。【0009】複合蛋白質は、蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させて得られる水不溶性の蛋白質である。具体的には、複合蛋白質は、水可溶性の蛋白質と、この蛋白質1gに対して0.005〜3g程度の硝酸銀、酢酸銀などの銀塩とを水中で接触させる方法、例えば、水中で蛋白質を攪拌しつつ、これに銀塩の水溶液を徐々に加えて、水中の銀イオン濃度を徐々に上げることにより得ることができる。【0010】「水可溶性の蛋白質」としては、活性チオール基の含有割合が0,1〜200μモル/gの範囲にある蛋白質であれば特に限定されないが、ホエー蛋白質、ホエー蛋白質の加水分解物、ホエー蛋白質の水可溶化物、卵殻膜蛋白質の加水分解物および卵殻膜蛋白質の水可溶化物が好ましい。【0011】なお、「活性チオール基」とは、重金属化合物の水溶液と容易に反応して金属メルカプチド誘導体を生成するメルカプト基(−SH)を意味する。その含有割合は、所定量の蛋白質の水溶液を調製し、DTNB法(エルマン法)によりL−システイン相当量として測定することができる(生物化学実験法10「SH基の定量法」、学会出版センター発行、第86〜93頁参照)。【0012】「ホエー蛋白質」は、元来、シスチンを比較的多量に含有する蛋白質であり、チーズ製造時に副生する乳清(ホエー)中に多く存在する。また、「卵殻膜蛋白質」は、鳥類の卵の卵殻の内膜を構成する水不溶性の蛋白質であり、食品工業などにおいて大量に消費されている鶏卵やウズラの卵などから得られる。ホエー蛋白質や卵殻膜蛋白質の加水分解物または水可溶化物は、それらをアルカリ加水分解、酵素分解または還元性処理などに付すことにより得られる。【0013】また本発明の複合蛋白質に、さらにチオール基を有する化合物を加えることにより、衣類等へ付着した場合において、変色を防止することができる。【0014】この発明におけるチオール基を有する化合物としては、1,1,3,3−テトラデカンチオール、1,1,3,3−テトラメチルブタン−1−チオール、1,10−デカンジチール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−ドデカンチオール、1−ブタンチオール、1−ブタンチオール銅(II)塩、1−プロパンチオール、1−ヘキサデカンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−ペンタンチオール、2−ジエチルアミノエタンチオール塩酸塩、2−ブタンチオール、2−プロパンチオール、2−プロペン−1−チオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、2−メチル−2−プロペン−1−チオール、n−ノナンチオール、t−テトラデカンチオール、t−ドデカンチオール、t−ノナンチオール、t−テトラデカンチオール、t−ドデカンチオール、t−ノナンチオール、t−ヘキサデカンチオール、エタンチオール、グルタチオン、還元型グルタチオン、システアミン塩酸塩、システアミン硫酸塩、システイン(L−システイン、D−システインとこれらの混合物)、システイン誘導体(例えば、N−アセチル−L−システイン)、システイン酸、システイン酸エチルエステル塩酸塩、ジチオエリトリトール、チオアセチル酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩(例えば、チオグリコール酸ナトリウム)、チオリンゴ酸、フェノチオール、メチルメルカプタン、メルカプトアセチル酸、メルカプトエタノールなどの脂肪族化合物;【0015】1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼン−ジメタンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、2−アミノチオフェノール、2−ナフタレンチオール、2−ブロモチオフェノール、2−メトキシベンゼンチオール、3,4−ジクロロベンゼンチオール、3−フェニル−1−プロパンチオール、3−メトキシベンゼンチオール、4−メトキシ−α−トルエンチオール、4−メトキシベンゼンチオール、o−メルカプト安息香酸、p−クロロフェニルメタンチオール、p−シクロヘキシルメタンチオール、p−メトキシベンジル−S−(4,6−ジメチルピリジン−2−ニル)チオールカーバネート、シクロヘキシルメタンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、トリフェニルメタンチオール、トルエン−α−チオール、ヒノキチオールなどの脂環式化合物または芳香族化合物;および【0016】1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−チオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チジアゾール、2−アミノ−5−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン、2−フランメタンチオール、2−メチル−1,3,4−チアゾール−5−チオール、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンゾキシアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール、3−メルカプトベンズイミダゾール、6−メルカプトブリンモノ水和物、テトラチアフルバレンなどの複素環式化合物などが挙げられる。【0017】これらの化合物のうち、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1,4−ブタンジチオール、メルカプトエタノール、システインおよびその誘導体(例えば、N−アセチル−L−システイン)、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩(例えば、チオグリコール酸ナトリウム)などの脂肪族化合物が好適に用いられ、システインおよびそれらの誘導体、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩が工業的に利用しやすく、コストの点などにおいて好ましい。これらのチオール基を有する化合物は単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。【0018】本発明で用いる複合蛋白質とチオール基を有する化合物からなる薬剤の配合割合は、複合蛋白質中の銀イオン1molに対して、チオール基を有する化合物を0.01〜5.0 mol、さらに好ましくは、0.1〜0.4molを加えることにより、衣類等へ付着した場合において、より効果的に変色を防止することができる。【0019】さらに、本発明の制汗防臭剤を調製する場合、通常に用いられる種々の公知の制汗成分、殺菌成分、消臭成分等を加えてもよく、制汗成分としては、酸化亜鉛、p‐フェノールスルホン酸亜鉛等の亜鉛化合物や硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、クロルヒドロキシアルミニウム(ACH)、アラントインアルミニウム誘導体、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレートグリシンコンプレックス、フェノールスルホン酸アルミニウム、β−ナフトールジスルホン酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、酢酸鉛、過ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。【0020】殺菌成分としては、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン(ヒビテン)、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、植物抽出物等が挙げられる。【0021】消臭成分としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の化学反応による消臭成分、ゼオライト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸等の吸着による消臭成分、フラボノイド類等が挙げられる。【0022】また必要に応じて、タルク、無水ケイ酸、球状合成樹脂粉末、セルロース、シリコーンオイル、環状シリコーンオイル、エタノール等の成分、公知の保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、着色剤等種々の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で併用することができる。【0023】上記の各成分および添加剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合割合は、特に制限されないが、その用途に適しかつ本発明の目的を損なわない範囲である。【0024】本発明の制汗防臭剤は、例えば、前記制汗防臭成分である複合蛋白質を配合して原液を調製し、これに噴射剤(液化石油ガス、ジメチルエーテル、窒素、炭酸ガス等)、パウダースプレー、ロールオン、スティック、ジェル、クリーム等を配合することにより製造できる。また、前記任意添加成分は、本発明の制汗防臭成分の調製において、適当な段階で配合できる。そして、本発明の制汗防臭成分は、例えば、内袋を利用した2重構造のエアゾール容器および一般的なエアゾール容器(缶、バルブ、ボタン等)等に、通常の手法により充填できる。そして、使用時は、これを噴射して脇の下等の汗をかきやすい部位に塗布すればよく、塗布直後から優れた制汗作用が発揮される。【0025】【実施例】この発明を調製例及び試験例により以下に説明するが、これらの調製例及び試験例によりこの発明が限定されるものではない。【0026】(複合蛋白質の調製)容量300mlのビーカー中で、ホエー蛋白質(太陽化学株式会社製、商品名:サンラクトN−5、蛋白質含有率72%、活性チオール基の含有割合47μモル/g)2gを脱イオン水200mlに溶解した。この混合溶液に50mMの硝酸銀水溶液200mlを添加し、1時間、攪拌した。得られた混合溶液を一晩静置し、濾過した(濾紙No.2を使用)。濾別した残渣を脱イオン水100mlで2回洗浄し、これを乾燥して複合蛋白質1646gを得た。【0027】表1の製剤例1〜7に示す各成分を、エアゾール容器に充填して、下記の評価(1)〜(4)の確認試験を実施した。試験結果を表1に示す。【0028】〔評価(1):使用後の白さの目立ち具合〕使用後の白さの目立ち具合を専門パネラー6名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。◎・・・専門パネラー5名以上が、使用後の白さが目立たないと認めた。○・・・専門パネラー3〜4名が、使用後の白さが目立たないと認めた。△・・・専門パネラー1〜2名が、使用後の白さが目立たないと認めた。×・・・専門パネラー全員が、使用後の白さが目立つと認めた。【0029】〔評価(2):使用後のさらさら感〕使用後のさらさら感を、専門パネラー6名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。◎・・・専門パネラー5名以上が、使用後のさらさら感があると認めた。○・・・専門パネラー3〜4名が、使用後のさらさら感があると認めた。△・・・専門パネラー1〜2名が、使用後のさらさら感があると認めた。×・・・専門パネラー全員が、使用後のさらさら感がないと認めた。【0030】〔評価(3):使用後の悪臭防止効果〕使用後の悪臭防止効果を専門パネラー6名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。◎・・・専門パネラー5名以上が、使用後の悪臭防止効果があると認めた。○・・・専門パネラー3〜4名が、使用後の悪臭防止効果があると認めた。△・・・専門パネラー1〜2名が、使用後の悪臭防止効果があると認めた。×・・・専門パネラー全員が、使用後の悪臭防止効果がないと認めた。【0031】〔評価(4):使用後の衣類の変色〕使用後の衣類の変色について、その状態を確認した。評価基準は以下の通りである。◎・・・まったく変色なし。○・・・わずかに変色あり、もしくは部分的に変色あり。×・・・変色あり。【0032】【表1】【0033】表1に示すように、製剤例1〜4は、使用後の白さの目立ちがなく、肌へのさらさら感や、発汗による悪臭防止効果を兼ね備えていることがわかった。特に製剤例4については、N−アセチル−L−システインを配合したことにより、衣類等への変色のない優れた制汗防臭剤であることがわかった。これに対し、製剤例5は、衣類が黒く変色した。さらに、製剤例6〜8は、使用後において白さが目立ち、悪臭の防止効果をあまり示さないことがわかった。【0034】【発明の効果】本発明によれば、不快な体臭を防止し、使用感触に優れ、使用後の白さが目立たず、さらには衣類へ付着した場合においても変色しない制汗防臭剤を提供することができる。 蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させることにより得られる水不溶性の銀含有複合蛋白質を含むことを特徴とする制汗防臭剤。 水可溶性の蛋白質が、ホエー蛋白質またはその加水分解物もしくは水可溶化物であるか、あるいは卵殻膜蛋白質の加水分解物もしくは水可溶化物である請求項1に記載の制汗防臭剤。 さらに、チオール基を有する化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の制汗防臭剤。 チオール基を有する化合物が、システインおよびその誘導体、還元型グルタチオンならびにチオグリコール酸およびその塩から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の制汗防臭剤。 【課題】本発明は、不快な体臭を防止し、使用感触に優れ、使用後の白さが目立たず、さらには衣類へ付着した場合においても変色しない制汗防臭剤を提供することを課題とする。【解決手段】蛋白質中の活性チオール基の含有割合が0.1〜200μモル/gである水可溶性の蛋白質と銀塩とを水中で接触させることにより得られる水不溶性の銀含有複合蛋白質を含むことを特徴とする制汗防臭剤が提供される。【選択図】 なし


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