タイトル: | 公開特許公報(A)_スラリーの評価方法及びスラリーの調製方法 |
出願番号: | 2002168641 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01N15/02,B28C7/02 |
茂野 交市 岡内 亨 加賀田 博司 JP 2004012373 公開特許公報(A) 20040115 2002168641 20020610 スラリーの評価方法及びスラリーの調製方法 松下電器産業株式会社 000005821 岡田 和秀 100086737 茂野 交市 岡内 亨 加賀田 博司 7 G01N15/02 B28C7/02 JP G01N15/02 Z B28C7/02 9 1 OL 16 4G056 4G056AA07 4G056DA09 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、積層構造を有する、コンデンサやインダクタなど、あるいはこのような部品を含む積層複合部品等の製造に用いられるセラミックグリーンシートにおいて、セラミツクグリーンシートの材料であるセラミックスラリーを粉体の分散により作成する際におけるセラミックスラリーの混合状態の評価方法、及び、その評価方法を用いたセラミックスラリーの調製方法に関するものである。【0002】【従来の技術】近年、電子部品の小型化、高機能化を目的として、積層構造を有するコンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等、積層デバイスが積極的に採用されている。【0003】以下に、従来における積層デバイスの作成方法について説明する。原料であるセラミツク素材を含む無機粉体と、有機バインダー、可塑剤、分散媒等とを所定量調合し、ボールミルあるいは媒体撹絆ミルなどで混合・分散を所定条件で行うことで、セラミックスラリーが得られる。なお、スラリーの混合状態を評価するため、スラリーの粘度測定、分散媒で希釈したスラリー試料の粒度分布測定、希釈を行わないままのスラリー試料の粒度分布測定が一般的に行われる。【0004】次に、このセラミックスラリーが、膜厚制御されながら、ドクターブレード方式、ロールコーティング方式あるいはダイコーティング方式によりフィルム上に塗工される。その後、セラミックスラリーを乾燥させることでセラミツクグリーンシートが得られる。【0005】次に、このセラミツクグリーンシート上に、必要に応じてパンチングあるいはレーザによりビアと呼ばれる穴開け加工が行われた後、スクリーン印刷によって導電性ペーストが前記穴開け加工された部分に印刷され、その導電性ペーストによって穴が埋められる。その後、設計された回路パターンが導電性ペーストによりシート面に対してスクリーン印刷され、電極が形成される。次に、これらのシート複数枚を各々のシートに形成された電極パターンが電気的に接続されるよう、高い位置精度で積層することで積層体が形成される。なお、所望の容量が精度良く取得できる積層セラミツクコンデンサの製造方法として、従来、特開平08−09074号公報に開示されているように、積層枚数をセラミックグリーンシートの厚み測定値を基にして決定するといった方法が採用されている。【0006】そして、得られた積層体をシート面の垂直方向に加圧し、積層体を圧着する。その後、この積層体に対して所定の温度で脱バインダー及び焼成が行われることにより積層デバイスが得られる。【0007】ところで、積層デバイスの特性を確保するには焼成後のシートの厚みが所定厚みで一定となるようにすることが必要である。なぜなら、例えば、シートの両端に電極を形成して焼成することでコンデンサとしたときの容量値は、シートの厚みにより直接影響が及ぼされるからである。焼成後のシートの厚みはシートに含まれる単位体積当たりの粉体の量で決まる。【0008】このため、シート中に含まれる粉体の単位面積当たりの量が一定になるようにしなければならない。つまり、シートに含まれる粉体の単位面積当たりの量が作成ロット内、ロット間で一定であることが必要である。そこで、作成したシートの評価としては、シートの密度と膜厚の積であり、シートの単位面積あたりの重量を表す指標である塗着量を一定にすることが求められる。すなわち、ロット内やロット間で塗着量が一定でないならば、複数枚のシートを積層、加圧、焼成などによりデバイスとしたときの特性がロット内やロット間で安定せず、所望の仕様を満たさないデバイスが多数生産されてしまうことになる。【0009】また、塗着量とともに、シートの密度、シートの膜厚も個々に制御する必要がある。なぜなら、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間でのばらつきにより、同一配合比による一律のスラリー調製方法では、スラリーの混合状態がロット内・ロット間で変動し、それに伴い、シート密度がロット内、ロット間で変動するからである。この場合、シートの膜厚の制御のみでは塗着量が制御できない。【0010】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のスラリー評価方法では、可塑剤を含有することに起因した分散性の低下によりスラリーが不安定であるため、スラリー粘度や希釈を行わない状態でのスラリーの粒度分布測定では、スラリーの混合状態の評価が精度よく行えないという問題点がある。それゆえに、スラリーを分散媒で希釈した希釈系の粒度分布測定が従来行われているが、この方法のみでは、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間ばらつきにより、測定値とスラリー混合状態を反映するシート密度の相関性が良好に求められにくく、スラリーの混合状態の評価が高精度に行えないという問題点がある。【0011】また、従来のスラリー調製工程及びシート作成工程では、シート作成工程において膜厚を制御、あるいは膜厚測定によって積層枚数を制御しているのみであり、シート密度に影響を及ぼすスラリー調製方法は分散時間を一定にするといった一律の調製方法しかとられていなかった。このため、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間ばらつきにより、同一配合比による一律のスラリー調製方法では、例えば、一次粒子の実際の粒径は小さいにもかかわらずその一次粒子が凝集したものも一つの粒子として凝集した状態で見かけの粒径が測定されてしまうなどの理由によって、スラリーの混合状態が変動し、それによりシート密度のロット内・ロット間でばらつきが生じることを十分抑制できるものではなかった。【0012】つまり、このような従来のスラリー調製工程及びシート作成工程では、シートを実際に作成するまでシートの密度を精度良く予測して、スラリーの調製を行うものとなっていなかった。このため、スラリーの作成混合途中で、インラインでスラリーの混合状態を制御することができないという問題がある。【0013】さらに、スラリーを作成する粉体混合工程終了後からグリーンシート塗工までの期間中、従来のスラリー調製工程では、一定期間以上放置するとスラリーの混合状態が経時変化することによって、シート密度のロット内・ロット間ばらつきの一因となるという問題点がある。それゆえに、粉体混合工程終了後からグリーンシート塗工までの期間中、プロペラ攪拌やローラーミルによりスラリー混合状態の経時変化を抑制する方法が用いられるが、この方法ではシート塗工までプロペラ攪拌やローラーミルを連続的に行わなければならないため、エネルギー効率が著しく悪化し、また、スラリーが発熱するなどの理由により経時変化の抑制も十分ではなかった。【0014】そこで本発明は上記課題を解決するため、スラリーの混合状態を高精度に評価することのできるスラリーの混合状態評価方法及びそれを用いてスラリーの混合状態を混合途中にインラインで制御し、シート密度を常に一定にすることのできるスラリーの調製方法を提供することを目的とする。【0015】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、第1の本発明におけるスラリーの評価方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、可塑剤を含むスラリーを粉体混合手段で調製している途中に、その調製中のスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈して得られたスラリー試料における粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたスラリー試料の粒度分布に基づいて、スラリー中の粉体の混合状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とするスラリーの評価方法である。【0016】つまり、試料のスラリーの粒度分布を測定することにより、可塑剤を含有するスラリーにおける粉体の混合状態を高精度に評価することが可能になる。したがって、粉体の混合途中でスラリーの混合状態の時間変化や、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間ばらつきによる混合状態の相違を高精度に評価することが可能になる。【0017】第2の本発明におけるスラリーの評価方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を含むスラリーを粉体混合手段で調製している途中に、その調製中のスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求め、この相対値から、スラリー中の粉体の混合状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とする。【0018】つまり、試料のスラリーを分散媒で希釈し強分散手段を用いて分散することで、可塑剤を含有するスラリー中の粉体を凝集のない一次粒子あるいは一次粒子に近い状態にまで解すことができる。この状態での粒度分布とスラリーを分散媒で希釈のみ行った試料の粒度分布との相対値を測定することにより、その試料のスラリーが凝集のない一次粒子あるいは一次粒子に近い状態にどの程度近似したものとなっているか判明することになる。このため、従来不可能であった、可塑剤を含有するスラリーにおける粉体の混合状態を高精度に評価することが可能になる。したがって、粉体の混合途中でスラリーの混合状態の時間変化や、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間ばらつきによる混合状態の相違を高精度に評価することが可能になる。【0019】第3の本発明におけるスラリーの評価方法は、第2の本発明において、前記強分散手段が超音波による分散を行う手段であることを特徴としている。【0020】つまり、スラリーを分散媒で希釈し超音波による分散手段を用いて分散することで、可塑剤を含有するスラリー中の粉体を粉砕することなく、凝集のない一次粒子あるいは一次粒子に近い状態にまで解すことができる。この状態での粒度分布とスラリーを分散媒で希釈のみ行った粒度分布の相対値を測定することにより、従来不可能であった、可塑剤を含有するスラリーにおける粉体の混合状態を高精度に評価することが可能になる。このため、粉体の混合途中でスラリーの混合状態の時間変化や、粉体の粒径をはじめとする原料のロット間ばらつきによる混合状態の相違を高精度に評価することが可能になる。また、必要以上にスラリー中の粉体が粉砕されて細分化されると、小さい粒径のものにおける凝集が促進されやすくなる傾向があって、その凝集したものの見かけの粒径も測定されることにより、粒度測定精度が低下するおそれがあるけれども、そのような粉体の不必要な細分化も回避できる。【0021】第4の本発明におけるスラリーの評価方法は、第2または第3の本発明のスラリーの評価方法において、前記測定工程で粒度分布の測定を終了した後の前記第1スラリー試料に対して、強分散手段による分散を行って前記第2スラリー試料を得ることを特徴とするスラリーの評価方法である。【0022】この場合、同一の試料に対する粒度分布を測定することになるから、測定精度がより一層高いものとなる。【0023】第5の本発明におけるスラリーの調製方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、該相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、スラリーの混合状態を制御する制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法である。【0024】つまり、スラリーを一律の方法で調製するのではなく、第1ないし第4の本発明による可塑剤を含有するスラリーにおける粉体の混合状態の評価方法を用いることにより、スラリーの調製ロットによる混合状態の変動に応じた制御を行って調製することができる。これにより、粉体混合工程終了後ではなく、混合途中のスラリーに対して、インラインで粉体の混合状態を制御することが可能になる。【0025】第6の本発明におけるスラリーの調製方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、該相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、スラリーを膜状に成形、乾燥し、シートとしたときのシート密度を算出するシート密度算出工程と、このシート密度算出工程で算出されたシート密度に基づいて、所望の前記シート密度が得られるように前記スラリーの混合状態を制御する制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法である。【0026】つまり、スラリーを一律の方法で調製するのではなく、第1ないし第4の本発明による可塑剤を含有するスラリーにおける粉体の混合状態の評価方法を用いることにより、スラリーの調製ロットによる混合状態の変動に応じて調製することができる。これにより、粉体混合工程終了後ではなく、従来不可能であった、混合途中のスラリーに対して、所望のシート密度に相当する混合状態までインラインで粉体の混合状態を制御することが可能になる。このため、シートのロット内及びロット間の密度ばらつきは抑制され、塗工機の膜厚管理のみでシートのロット内及びロット間の塗着量ばらつきは抑制される。【0027】第7の本発明におけるスラリーの調製方法は、前記第5または第6のスラリーの調整方法において、前記強分散手段が超音波による分散を行う手段であることを特徴としている。【0028】つまり、スラリーを一律の方法で調製するのではなく、第3または第4のスラリーの調整方法において、超音波による分散を行うスラリーにおける粉体の混合状態の評価方法を用いることにより、スラリーの調製ロットによる混合状態の変動に応じて調製することができる。これにより、粉体混合工程終了後ではなく、混合途中のスラリーに対して、所望のシート密度に相当する混合状態までインラインで粉体の混合状態を制御することが可能になる。このため、シートのロット内及びロット間の密度ばらつきは抑制され、塗工機の膜厚管理のみでシートのロット内及びロット間の塗着量ばらつきは抑制される。【0029】第8の本発明におけるスラリーの調製方法は、前記第7のスラリー調整方法において、粉体混合工程終了後からシート塗工までの期間中、所要時間間隔で、スラリー混合状態の経時変化を抑制する超音波分散をスラリーに対して行うことを特徴とするスラリーの調製方法である。【0030】スラリーの混合状態が著しく経時変化し始める時間をあらかじめ把握しておけば、スラリーの混合状態が著しく経時変化し始める時間間隔以内で複数回の超音波分散を繰り返し行うことで、より少ない超音波分散時間で粉体混合工程終了後におけるスラリーの混合状態の軽時変化が効率よく抑えられ、スラリーの発熱も少ないため、粉体混合工程終了直後におけるスラリーの混合状態を反映したシートの成形が可能になる。このため、スラリーの混合状態の経時変化に起因するシート密度のロット内・ロット間ばらつきは抑制され、塗工機の膜煙管理のみでシートのロット内及びロット間の塗着量ばらつきは抑制される。【0031】第9の本発明におけるスラリーの調製方法は、少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、前記相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、前記スラリー混合状態の経時変化を抑制する制御を行う経時変化抑制制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法である。【0032】これにより、粉体混合工程終了後におけるスラリーの混合状態をインラインで制御できるため、より少ない超音波分散時間で、効率よくスラリーの混合状態の経時変化が抑えられ、スラリーの発熱も少ないため、粉体混合工程終了直後におけるスラリーの混合状態を反映したシートの成形が可能になる。このため、スラリーの混合状態の経時変化に起因するシート密度のロット内・ロット間ばらつきが抑制され、塗工機の膜厚管理のみであってもシートのロット内及びロット間の塗着量のばらつきが抑制される。【0033】【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について実施形態を示して説明する。なお、以下の各実施形態では、積層構造を有する、コンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等に用いられるセラミツクグリーンシートを製造する場合を例にとって説明する。【0034】(実施の形態1)請求項1ないし4に関する発明の実施形態1について説明する。まず、セラミックスラリーにおける粉体の分散・凝集の度合いと粒度分布、フィルム上に薄いセラミックグリーンシートを作成したときのシート密度の関係について説明する。【0035】セラミックスラリーでは、その調製の際、粉体の分散・凝集の度合いによって見かけの粒径が変わり、粉体間の空隙の頻度が異なるため、薄いシートを作成したときのシート密度は強い影響を受ける。これを図2及び図3に基づいて説明する。【0036】セラミックスラリーの調整において、混合が不十分なときは粉体同士が凝集し、見かけの粉体の径は大きく、一次粒子径との相対値が大きい。ここで、一次粒子とは、実質的な個別の粒子、つまり凝集して擬似的に一つの粒体とみなされるものでないもともとの粒子のことをいう。また、粉体が凝集した見かけの粉体では空隙を多数含んでいる。このような状態で図2のようにフィルム201上にシート202を作成すると、見かけの粉体203の径は大きく、粉体間の隙間204は広く、粉体の内部の空隙205が多いため、シート密度も小さくなる。【0037】そして、混合が十分に行われているときは、スラリーに含まれる粉体同士の凝集が壊れ、見かけの粉体の径が小さく、一次粒子径との相対値も小さくなる。このような状態で図3のようにフィルム301上にシート302を作成すると、見かけの粉体303の径が小さくなることで粉体間の隙間が狭くなり、粉体の内部の空隙も少なくなるため、シート密度も大きくなる。【0038】以上の関係を踏まえて、本実施の形態のスラリー評価方法ならびに調製方法を説明する。【0039】さらに具体的に説明する。まず、原料である0.1〜10μmの平均粒径を有するアルミナを主成分とする無機粉体100重量部に対して、有機バインダー1〜20重量部、分散媒10〜120重量部、可塑剤1〜20重量部、を配合した。これを玉石φ5mmのジルコニアを用いたボールミルで混合した。一定の時間おきに、スラリーを採取し、複数種類の混合時間を変えたスラリーを調製した。それぞれのスラリーの一部を試料として採取し、同種の試料において、分散媒で希釈した第1スラリー試料と、分散媒で希釈し、かつ強分散手段による分散を行った第2スラリー試料との粒度分布をそれぞれ測定し、前記粒度分布の累積平均径D50の相対値ΔD50を算出した。さらに、これらのスラリーをダイコーティング方式で膜厚を制御し、一律の条件で塗工、乾燥後、シートを作成し、その密度を測定した。この粒度分布の累積平均径D50は、各試料において所定個数の粒子の径を測定し、それぞれの測定された粒子のうち最も小さい径のものから順にその個数を累積していき、全数累積するまでにおけるその所定個数の中間値の粒子の径の値である。図10のグラフにその一例を示している。図10において、横軸は、測定された粒子の粒径に対応し、縦軸は、測定された粒子の総数を百分率の100パーセントに対応させた粒子の個数の累積数に対応している。そして、図10において、実線のグラフは、第2スラリー試料の粒度分布を示し、一点鎖線のグラフは、第1スラリー試料の粒度分布を示す。この図10に対応して、測定された粒子の各粒子径の頻度をグラフにしたものを図11に示している。この図11において、横軸は、測定された粒子の粒径に対応し、縦軸は、測定された粒子の存在頻度に対応している。そして、図11において、実線のグラフは、第2スラリー試料の粒度分布を示し、一点鎖線のグラフは、第1スラリー試料の粒度分布を示す。【0040】ここで、相対値ΔD50は、第1スラリー試料の累積平均径D50´と第2スラリー試料の累積平均径D50との差の値である。すなわち、第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値となっている。この相対値は、第1および第2スラリー試料の粒度分布がどの程度近似したものとなっているか示す一指標である。所定以上第1および第2スラリー試料の粒度分布が近似していると判断されると、所望状態にスラリーが調整されたものと判断される。したがって、この実施形態1の場合値ΔD50が所定以下の値となったとき、所望状態にスラリーが調整されたものと判断される。【0041】この図10に対応して、測定された粒子の各粒子径の頻度をグラフにしたものを図11に示している。この図11において、横軸は、測定された粒子の粒径に対応し、縦軸は、測定された粒子の存在頻度に対応している。そして、図11において、実線のグラフは、第2スラリー試料の粒度分布を示し、一点鎖線のグラフは、第1スラリー試料の粒度分布を示す。【0042】図4に混合時間とスラリー粒度分布の相対値の関係を示した。図4より3つの傾向があることがわかる。これを図5、6、及び図7により説明する。まず図4(a)に示すように分散が不十分なときは図5のようにスラリー501中において粉体502が凝集し、凝集粉体503を形成する。前記凝集粉体503の見かけ粒径は大きいため、一次粒子径との相対値ΔD50が大きいものとなる。図4(b)に示すように分散が進行すると、図6のようにスラリー中において粉体同士の凝集が壊れ、見かけの粉体の径が小さく、したがって、一次粒子径との相対値ΔD50も小さくなる。図4(c)に示すようにさらに分散が進行すると、図7のようにスラリーに含まれる粉体の微粉化などに起因する、粉体同士の再凝集が現れ、見かけ粉体の径の減少が時間に対してゆるやかとなる、もしくは、見かけの粉体の径が大きくなることによって、図6の場合と比較して、一次粉体径との相対値ΔD50は幾分大きくなる。これは、セラミックスラリーの場合、粉体の粒子径が所定径以上に小さくなると凝集されやすくなる傾向があるからである。【0043】図8に、スラリーの粒度分布の相対値と作成したシート密度との関係を示している。図中の(a)(b)(c)は、図4の(a)(b)(c)に対応している。粉体の混合条件を一定にしたときに、調製したスラリーのシート作成条件が一定ならば、スラリーの粒度分布の相対値とシート密度には相関関係があることがわかる。すなわち、シート密度が高いものほど粉体の凝集したものの存在割合が小さいものとなっているのであって、測定された粒子分布に基づく相対値ΔD50と、シート密度とが一対一に対応している。これにより、スラリーの粒度分布の相対値ΔD50を測定することによりシート密度を算出することができる。【0044】粉体の累積平均径D50が10μm以下である場合や、粉体の粒度分布のロットばらつきがD50の平均値に対し±1%以上である場合、スラリーの混合状態が安定でないおそれがあるため、本発明の評価方法を採用することは、スラリーの混合状態を所定に維持する上で特に有効である。【0045】(実施の形態2)請求項5,6及び7に関する実施形態2について説明する。図1は本発明のスラリーの評価方法及びそれを用いたスラリーの調製方法を実施する装置を断面やブロック等で示す説明図である。スラリー1は、スラリー混合制御装置2による制御で媒体攪拌ミルを用いたスラリー混合装置3で混合が行われている。前記スラリー混合装置3から、塗工機にスラリー1を誘導する経路4と、スラリー混合状態測定装置5に誘導する経路6が分岐している。スラリー混合状態測定装置5は分散媒供給装置7によって希釈されたスラリー8の、粒度分布測定と超音波分散が同時に可能である。また9はシート密度変換装置、10はスラリー供給装置である。【0046】以下に、シート作成までの流れを説明する。まず、原料である0.1〜10μmの平均粒径を有するアルミナを主成分とする無機粉体100重量部に対して、有機バインダー1〜20重量部、分散媒10〜120重量部、可塑剤1〜20重量部を配合し、スラリー1とする。【0047】前記配合比で予備分散されたスラリー1は、媒体攪拌ミルを用いたスラリー混合装置3の容器に投入され、混合される。混合容器内の一部に、量産で使用する塗工機に向かう経路4とは別に、混合途中のスラリーをスラリー混合状態測定装置5に誘導する経路6を持っている。混合が終了するまでは量産で使用する塗工機に向かう経路4にはスラリーを流さないようにする。【0048】混合途中のスラリーの混合状態を評価するために上記混合途中のスラリーを一定時間間隔おきにスラリー混合状態測定装置5に誘導する経路6からスラリー混合状態測定装置5にスラリー1をスラリー供給装置10により供給する。スラリー供給はギアポンプやチューブポンプなどのポンプを用いても圧縮空気を用いてもよい。【0049】スラリー混合状態測定装置5に供給されたスラリーは、分散媒供給装置7によって供給された分散媒で所要の希釈が行われる。そして、分散媒で希釈されたスラリー8の粒度分布を測定する。次にこの希釈されたスラリー8を超音波分散による30W以上の強分散を行う。そして、このスラリーの粒度分布を測定する。測定値のデータをシート密度変換装置9に送信する。そして、図8のような、あらかじめ測定によって求められた粒度分布の相対値ΔD50とシート密度の関係が入力されているシート密度変換装置9において、受信されて入力された粒度分布のデータから粒度分布の累積平均径D50の相対値ΔD50を算出し、シートの密度に変換する。変換したシート密度のデータをスラリー混合制御装置2に送信する。前記スラリー混合制御装置2で受信したシート密度のデータから、粉体混合をこれ以上すすめるかどうかを決定し、所望のシート密度に相当する混合状態までスラリーの混合状態を制御する。混合状態制御は、例えば、媒体攪拌ミル等の攪拌装置の攪拌速度や攪拌時間を調整制御することにより行うことができるが、安定した混合状態のスラリーを調製する点からは、混合時間を制御する方法が望ましい。【0050】所望のシート密度までスラリーの分散がすすんだとき、スラリーの分散を終了し、スラリーが完成する。このようにして調製したスラリーを量産で使用する塗工機に向かう経路3に流し、ダイコーティング方式で膜厚を制御し、塗工、乾燥後、シートが完成する。【0051】(実施の形態3)請求項8に関する実施形態3について図9を用いて説明する。上記実施形態2と同様の方法で混合を終了したスラリー901を図9に示すスラリー保存装置903に保存する。スラリー保存装置903の壁面には超音波発振子904を有しており、超音波分散を行うことができる。この装置を用いて、塗工機で塗工するまでの期間中、スラリーの混合状態が著しく経時変化し始める時間間隔以内の一定の時間間隔おきに一定の時間超音波分散を行う。【0052】スラリーの混合状態が著しく経時変化し始める時間間隔以内の一定時間間隔おきに超音波分散を行うことで、より少ない超音波分散時間で、スラリーの発熱も少なく、粉体混合工程終了後におけるスラリーの混合状態の経時変化が効率よく抑えられる。【0053】(実施の形態4)請求項9に関する実施形態4について図9を用いて説明する。上記実施形態2と同様の方法で混合を終了したスラリー901を図9に示すスラリー保存装置903に保存する。スラリー保存装置903の壁面には超音波発振子904を有しており、超音波分散を行うことができる。この装置を用いて、塗工機で塗工するまでの期間中、一定の時間間隔おきに超音波分散を開始する。【0054】さらに、超音波分散を行いながら上記実施形態2と同様の方法で、粒度分布の相対値ΔD50を測定することにより、粒度分布の相対値ΔD50が所定の一定の値となるように超音波分散を制御する。【0055】所望のシート密度に相当する混合状態までスラリーの分散がすすんだとき、スラリーの超音波分散を終了し、一定の時間間隔おきにこの操作を繰り返すことにより、粉体混合終了後から塗工までの期間中、より少ない超音波分散時間で効率よく、スラリーの発熱が少ない安定したスラリーを調製することができる。このため、粉体混合工程終了直後におけるスラリーの混合状態を反映したシートの成形が可能になる。【0056】なお、実施の形態3及び4では超音波分散の方式として、スラリー保存装置の壁面に超音波分散を行うことのできる発振子を有する方式としたが、スラリー保存装置と超音波発振子が分離して、これらの間をスラリーが循環する方式をとってもよい。【0057】なお、以上に示した実施形態は本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。【0058】上記各実施形態ではスラリーの構成材料を上記のようにしているが、本発明においてはスラリーの構成材料は少なくとも粉体、バインダー、分散媒を含むものであればよい。粉体は鉄、ステンレス、アルミなどの金属、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸バリウム、フェライトなどのセラミック、シリケート系、ボレート系などのガラス、のうち少なくとも1つを含む。バインダーはポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、工チルセルロース、ポリウレタンなどが用いられる。【0059】分散媒はアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、水などが挙げられる。可塑剤はグリセリン、ポリエチレングリコールなどのグリコール系、ジブチルフタレート、ベンジルブチルフタレートなどのフタール酸系が挙げられる。また、分敢剤なども適宜用いることができる。【0060】また、上記実施形態では粉体の混合手段を媒体攪拌ミルとしたが、ボールミル、高速攪拌ミル、サンドミル、振動ミルなど他の分散手段を用いることも可能である。【0061】また、シート作成方法は、ダイコーティング方式による塗工のほか、ロールコーティング方式あるいはドクターブレード方式等を用いることもできる。また、乾燥炉の温度は、用いる粉体や分散媒の種類、配合比率によって異なるが、通常は10〜120℃、好ましくは60〜100℃で乾燥するのがよい。【0062】また、前記粒度分布の相対値として、累積平均径D50の差を用いるのが好ましいが、D10やD90など粒度分布の累積値の差を用いてもよい。また、体積平均径や面積平均径、個数平均径を用いることも可能である。また、粒度分布の分布幅の差を用いることも可能である。【0063】【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。【0064】(実施例1)原料である1±0.1μmの平均粒径を有するアルミナを主成分とする無機粉体100重量部に対して、有機バインダーであるポリビニルブチラール10重量%、分散媒である酢酸エチル80重量%、可塑剤であるフタル酸ジブチル8重量%を混合し、スラリーとした。スラリー全量は1ロット10kgとした。【0065】前記スラリーについて、攪拌機で2000rpm、1時間の予備混合を行った後、媒体攪拌ミルを用いたスラリー混合装置に投入し、3000rpmの混合を行い、乾燥後のシート密度が1.75g/cm3となるように、スラリーを調製した。【0066】混合終了直後に、ダイコーティング方式で乾燥後の膜厚が20μmとなるように膜厚を制御し、毎分5mの塗工速度で塗工、乾燥炉温度80℃で乾燥し、シートを作成した。作成したシートのうち、連続する100mを試料とした。上記試料を以下の3通りのスラリー調製方法にて10ロット作製した。【0067】(試料1)実施の形態2によるスラリー調整方法を用いた。分散媒で希釈したスラリーの粒度分布をマイクロトラックHRA(Honeywell社製)で測定し、次にこの希釈されたスラリーを超音波により、400Wで60秒間の強分散を行った。そして、この強分散を行ったスラリーの粒度分布を測定した。これら粒度分布の累積平均径D50の差△D50を算出し、所望のシート密度に相当する差までスラリーの混合が進んだとき、スラリーの混合を終了した。【0068】(試料2)比較例として、混合時間を一定とした。所望のシート密度に相当する時間までスラリーの混合がすすんだとき、スラリーの混合を終了した。【0069】上記のように作成したセラミックグリーンシート試料に対して、各ロットにおけるシート密度を50点測定した。これをもとに、測定したシート密度50点の平均値、ロット間のばらつきを標準偏差で評価した。結果を表1に示した。【0070】【表1】【0071】表1より、試料1と試料2とを比較すると、試料1は全てのロットでシート密度の讃定値1.75g/cm3をほぼ満足しており、ばらつきも小さい。それに対して試料2では各ロットのシート密度のばらつきは極めて大きくなる。【0072】(実施例2)粉体混合工程終了後からシート塗工までの間以外に関しては、実施例1における試料1の場合と同様とした。混合終了60時間後に、ダイコーティング方式で乾燥後の膜厚が20μmとなるように膜庫を制御し、毎分5mの塗工速度で塗工、乾燥炉温度80℃で乾燥し、シートを作成した。作成したシートのうち、連続する100mを試料とした。上記試料を以下の3通りのスラリー調製方法にて10ロット作製した。【0073】(試料3)塗工機で塗工するまでの期間中、1000Wで60分おきに超音波盆敷を開始したさらに、超音波分散を行いながら、上記実施例1と同様の方法で、粒度分布の累積平均径D50の差ΔD50を測定することにより、相対値が一定の値となるように超音波分散を制御した。【0074】(試料4)比較例として、塗工機で塗工するまでの期間中、50rpmでプロペラ攪拌を行った。【0075】上記のように作成したセラミックグリーンシート試料に対して、各ロットにおけるシート密度を50点測定した。これをもとに、測定したシート密度50点の平均値、ロット間のばらつきを標準備差で評価した。結果を表2に示した。【0076】【表2】【0077】表2より、試料3と試料4とを比較すると、試料3は全てのロットでシート密度の設定値1.75g/cm3をほぼ満足しており、ばらつきも小さい。それに対して試料4ではシート密度のばらつきは大きくなる。【0078】【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、スラリーの混合状態を高精度に評価することができるため、スラリーの混合をインラインで制御し、スラリー混合状態を常に一定に調製でき、スラリー混合状態と相関のあるシート密度を一定にすることができる。このため、塗工機の膜厚管理のみでシートのロット内及びロット間の塗着量ばらつきは抑えられる。【0079】また、本発明の方法で調整されたスラリーを用いて作製したシートを、コンデンサやインダクタ、あるいはこれらを含む積層複合部品等の積層デバイスの積層シートに用いることにより、ロット振れの少ない安定した品質の積層部品を、効率よく生産することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明によるスラリーの調製方法の実施形態2を示す説明図【図2】混合が十分に進んでいない粉体より作成したシートを示す断面図【図3】混合が十分に進んだ粉体より作成したシートを示す断面図【図4】混合時間と粒度分布の相対値の関係を示すグラフ【図5】混合が十分に進んでいないときのスラリーの混合状態を示す図【図6】混合が進んだときのスラリーの混合状態を示す図【図7】粉体同士の再凝集が現れたときのスラリーの混合状態を示す図【図8】粒度分布の相対値とシート密度の関係を示すグラフ【図9】本発明によるスラリーの調製方法の実施形態3を示す説明図【図10】調製中のスラリー中の粒体の累積粒度分布を示すグラフ【図11】調製中のスラリー中の粒体の粒径に対応する存在頻度を示すグラフ【符号の説明】1 スラリー2 スラリー混合制御装置3 スラリー混合装置4 塗工機にスラリーを誘導する経路5 スラリー混合状態測定装置6 スラリー混合状態測定装置に誘導する経路7 分散媒供給装置8 希釈されたスラリー9 シート密度変換装置10 スラリー供給装置201 フィルム202 シート203 見かけの粉体204 粉体間の隙間205 粉体の内部の空隙301 フィルム302 シート303 見かけの粉体501 スラリー502 粉体503 凝集粉体901 混合を終了したスラリー903 スラリー保存装置904 超音波発振子 少なくとも無機粉体、バインダー、可塑剤を含むスラリーを粉体混合手段で調製している途中に、その調製中のスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈して得られたスラリー試料における粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたスラリー試料の粒度分布に基づいて、スラリー中の粉体の混合状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とするスラリーの評価方法。 少なくとも無機粉体、バインダー、可塑剤を含むスラリーを粉体混合手段で調製している途中に、その調製中のスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求め、この相対値から、スラリー中の粉体の混合状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とするスラリーの評価方法。 請求項2に記載のスラリーの評価方法において、前記強分散手段が超音波による分散を行う手段であることを特徴とする請求項1記載のスラリーの評価方法。 請求項2または3に記載のスラリーの評価方法において、前記測定工程で粒度分布の測定を終了した後の前記第1スラリー試料に対して、強分散手段による分散を行って第2スラリー試料を得ることを特徴とするスラリーの評価方法。 少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、該相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、スラリーの混合状態を制御する制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法。 少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、該相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、スラリーを膜状に成形、乾燥し、シートとしたときのシート密度を算出するシート密度算出工程と、このシート密度算出工程で算出されたシート密度に基づいて、所望の前記シート密度が得られるように前記スラリーの混合状態を制御する制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法。 請求項5または6に記載のスラリー調製方法において、前記強分散手段が超音波による分散を行う手段であることを特徴とするスラリーの調製方法。 請求項7に記載のスラリーの調製方法において、粉体混合工程終了後からシート塗工までの期間中、所要時間間隔で、スラリー混合状態の経時変化を抑制する超音波分散をスラリーに対して行うことを特徴とするスラリーの調製方法。 少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を混合する粉体混合工程と、前記粉体混合工程の途中でスラリーの一部を試料として採取する試料採取工程と、採取された前記試料を分散媒で希釈のみして得られた第1スラリー試料と、前記試料を分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2スラリー試料とのそれぞれにおける粒度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された前記第1および第2スラリー試料の粒度分布の近似の度合いに対応する相対値を求める相対値算出工程と、前記相対値算出工程で求めた前記粒度分布の相対値に基づいて、前記スラリー混合状態の経時変化を抑制する制御を行う経時変化抑制制御工程と、を有することを特徴とするスラリーの調製方法。 【課題】スラリーの混合状態を高精度に評価することのできるスラリーの混合状態評価方法、及びそれを用いて、シート密度に直接影響を与えるスラリーの混合状態を混合途中にインラインで制御し、シート密度を常に一定にすることが可能となるスラリーの調製方法を提供する。【解決手段】少なくとも無機粉体、バインダー、分散媒、可塑剤を含むスラリーに関し、粉体混合機によりスラリーを調製する際におけるスラリーの評価方法において、調製途中に試料として採取したスラリーを分散媒で希釈のみして得られた第1のスラリー試料と、調製途中に試料として採取したスラリーを分散媒で希釈した後、強分散手段による分散を行って得られた第2のスラリー試料とのそれぞれの粒度分布を測定し、この測定された第1および第2のスラリー試料の粒度分布の相対値から、スラリー中の粉体の混合状態を評価する。【選択図】 図1