生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_全窒素の測定方法
出願番号:2002150273
年次:2008
IPC分類:G01N 31/00,G01N 21/77,G01N 31/22,G01N 33/18


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矢幡 雅人 JP 4045859 特許公報(B2) 20071130 2002150273 20020524 全窒素の測定方法 株式会社島津製作所 000001993 野口 繁雄 100085464 矢幡 雅人 20080213 G01N 31/00 20060101AFI20080124BHJP G01N 21/77 20060101ALI20080124BHJP G01N 31/22 20060101ALI20080124BHJP G01N 33/18 20060101ALI20080124BHJP JPG01N31/00 FG01N21/77 BG01N31/22 122G01N33/18 Z G01N31/00〜31/22 G01N33/18 特開平08−285834(JP,A) 特開平07−151767(JP,A) 特開2002−107353(JP,A) 2 2003344381 20031203 7 20040910 三木 隆 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は試料水中の全窒素濃度を測定するための全窒素測定方法とその実施に用いる測定装置に関するものである。【0002】【従来の技術】工場からの試料水中の全窒素化合物総量を窒素の濃度であらわす全窒素の測定方法は、日本工業規格の「工場から排出される排水の試験方法」に規定されている、「紫外吸光光度法」(JISK0l02 45.2)が一般に利用されている。この方法は、酸化剤であるペルオキソ二硫酸カリウムを添加した試料水をオートクレーブ法、すなわち高温・高圧下で試料を加熱する処理を採用する方法である。そして、その方法を実現するための装置は耐圧性と耐熱性が要求され、材質や設計が特殊なものになっている。【0003】一方、上記「紫外吸光光度法」に「紫外線酸化分解」を組み合わせた方法(以下、「紫外線酸化分解法」という)を採用した全窒素測定装置も市販されている。紫外線酸化分解法では、温度、圧力を下げる改善も進められ利用されている。すなわち、紫外線酸化分解法では酸化に必要な温度が「紫外吸光光度法」での120℃から60℃程度まで下げられ、圧力も常圧下で行える。【0004】紫外線酸化分解法においては、採取された試料水は、計量され、試料水中の窒素化合物が分解されやすいように前処理として試料水をアルカリ性とするために水酸化ナトリウム液が添加される。次に、酸化剤としての試薬であるペルオキソ二硫酸カリウムが添加された後、試料水は紫外線酸化分解工程へ移される。【0005】そして、試料水は100℃以下の加熱条件下で紫外線が照射され、試料水中の窒素化合物は反応して硝酸イオンにまで酸化分解される。その後、吸光度測定のためにpHを調整するための塩酸や硫酸が添加され、220nm付近の吸光度測定によって試料中の窒素濃度について全窒素の測定が行われる。【0006】【発明が解決しようとする課題】紫外線酸化分解法による全窒素測定法は、100℃以下、常圧下で処理できるまでに改善されるが、220nm付近の紫外光の吸光度測定によって全窒素濃度を測定することは「紫外吸光光度法」(JISK0l02 45.2)と共通である。220nm付近の吸光度測定では、紫外域に吸収をもつ金属イオンや臭化物イオンを含む試料では測定値に誤差を与える。また酸化剤として用いるペルオキソ二硫酸カリウムも220nm付近に吸収をもつため、その酸化後にペルオキソ二硫酸カリウムの残量があれば、これも測定に影響を与える。このように、220nm付近の吸光度測定は紫外域に吸収を持つ物質の影響を受けるという問題を有している。【0007】この問題回避のために、酸化後の試料を銅−カドニウムカラムに通過させて硝酸イオンを亜硝酸イオンヘ還元させたあと、N−(1−ナフチル)エチレンジアミン法により発色させ、540nm付近の吸光度を測定する方法がある(JISK0l02 45.4)。しかし、この方法は有害な銅、カドニウムカラムを使用しなければならず、また活性化のため頻繁に再生処理が必要であり、特にオンライン測定には不適である。【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡便で、保守性に優れた全窒素測定法及びその装置を提供することを目的とするものである。【0009】【課題を解決するための手段】 本発明は、上記の課題を解決するための手段を以下のように構成している。 すなわち、本発明の全窒素測定方法は、試料水にアルカリと紫外線照射により分解する酸化剤としてペルオキソ二硫酸カリウム又はオゾンを添加し加熱条件下で紫外線照射を行いながら試料水中の窒素化合物を酸化分解して硝酸イオンとする酸化工程と、酸化分解により得られた試料水へ酸化剤がなくなった後もさらに紫外線を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元工程と、この還元工程により得られた試料水を発色試薬により発色させた後にその発色波長領域で試料水の吸光度を測定する吸光度測定工程とを含み、その吸光度によって全窒素を定量する方法である。【0011】【作用】従来の220nm付近の吸光度測定によって試料水中の全窒素測定を行う場合では、紫外域に吸収をもつ共存金属イオンや臭化物イオンの濃度の影響を受け測定に誤差を与えるが、発色試薬により吸光度測定波長域を220nm付近とは異なる波長域に移動させることにより、共存金属イオンや臭化物イオンの妨害を防ぐことができる。【0012】そして、酸化後生成した硝酸イオンの亜硝酸イオンへの還元には紫外線ランプを用いるため、還元力の寿命が長く、頻繁に活性化処理を行う必要がなく、オンライン測定用装置にも適用可能となる。【0013】 酸化工程と還元工程は同じ紫外線を連続して照射することにより連続した工程として実行することができる。紫外線照射は酸化作用と還元作用の両方の機能をもっている。そして、酸化剤がある間はその酸化剤も作用して硝酸イオンが生成するが、酸化剤がなくなると酸化作用が終了し、続いて還元作用が始まり硝酸イオンが亜硝酸イオンへ還元される。酸化剤は窒素化合物を酸化して硝酸イオンとすることにより消費される。窒素化合物の酸化後に残った酸化剤があった場合にも、紫外線照射によって酸化剤が分解する。 酸化工程と還元工程は同じ紫外線を連続して照射することのほかに、それぞれの工程で反応効率のよい波長を選択して照射するようにしてもよい。【0014】【発明の実施の形態】発色試薬は亜硝酸イオンとジアゾ化反応及びカップリング反応を起こすものであればよく、例えばN−(1−ナフチル)エチレンジアミンやスルファニルアミドなどを用いることができる。発色試薬がN−(1−ナフチル)エチレンジアミンの場合には、吸光度測定工程は波長540nm付近で行うのが好ましい。酸化剤の好ましい一例はペルオキソ二硫酸カリウムであり、この酸化剤は溶液窒素化合物の酸化後に残った場合にも紫外線照射によって分解して酸化力を失う。酸化剤の好ましい他の例はオゾン(O3)である。オゾンは紫外線照射により酸化力が増強され、またオゾンも溶液窒素化合物の酸化後に残った場合には紫外線照射によって分解して酸素になり、酸化力を失う。【0015】【実施例】次に、本発明を実施例によって、具体的に説明する。図1は本発明の全窒素測定装置の一実施例の概略構成図で、図2はその実施例による全窒素測定フローである。【0016】図1において、1は試料調整槽で、例えば、工場廃水や環境水などの試料水が連続して取り込まれるようになっており、第1のポートバルブ9aの1つのポートに接続されている。ポートバルブ9aの他のポートにはスパン液入り容器7、ブランク水入り容器8、測定部15、及び反応器13が接続されている。ポートバルブ9aのさらに他のポート10は測定後の液を廃棄する廃棄ポートである。【0017】反応器13は試料水に紫外線を照射する紫外線ランプ11と、試料水の酸化反応温度を制御するヒーター12とを備えており、試料水中の窒素化合物を硝酸イオンまで酸化したあと亜硝酸イオンヘ還元するために使用される。測定部15は窒素化合物が亜硝酸イオンヘ還元された後の試料水でN−(1−ナフチル)エチレンジアミン発色反応液の吸光度を測定するものである。【0018】この測定装置にはもう1つのポートバルブ9bが第2のポートバルブとして設けられている。ポートバルブ9bの各ポートには、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液入り容器2、水酸化ナトリウム溶液入り容器3、スルファニルアミド・塩酸溶液入り容器4、N−(1−ナフチル)エチレンジアミン溶液入り容器5、及び第1のポートバルブ9aの各ポートのいずれにも接続できるポートバルブ9aの共通ポートが接続されている。ポートバルブ9bのさらに他のポート6は大気解放ポートである。【0019】ポートバルブ9bの各ポートに接続できる共通ポートにはシリンジポンプ14が接続されている。ポートバルブ9aと9bの切換により、容器1,2,3,4,5,7又は8からの液をシリンジポンプ14へ計量したり、試料水をシリンジポンプ14から反応器13へ配送したり、反応後の試料水を反応器13からシリンジポンプ14へ採取したり、発色後の反応液をシリンジポンプ14から測定部15へ配送したりすることができる。【0020】この実施例の動作を図2のフローチャート図を参照して説明する。全窒素測定は、はじめに必要に応じて試料調整槽1の試料をシリンジポンプ14中でブランク水8を用いて希釈する。【0021】次に、シリンジポンプ14中の試料水に容器2のペルオキソ二硫酸カリウム液と容器3の水酸化ナトリウム溶液を添加して試料反応液とした後、その試料反応液はシリンジポンプ14からヒーター12によって約80℃に加熱された反応器13へ導入する。【0022】続いて反応器13では、試料反応液に紫外線ランプ11により約20分間紫外線を照射し、窒素化合物を硝酸イオンまで酸化分解するとともに、ペルオキソ二硫酸カリウムを硫酸カリウムに分解する。ペルオキソ二硫酸カリウムがなくなった後もさらに紫外線ランプ11により5−20分間照射することにより、硝酸イオンを亜硝酸イオンへ還元する。【0023】反応終了後、試料反応液の一定量をシリンジポンプ14で計量して採取し、それに容器4のスルファニルアミド・塩酸溶液及び容器5のN−(1−ナフチル)エチレンジアミン溶液を添加し、ナフチルエチレンジアミン反応による淡赤褐溶液を生成させる。【0024】この発色反応液をシリンジポンプ14から測定部15に送り、測定部15にて540nmにおける吸光度を測定する。その吸光度測定値に対してダーク補正とゼロ点補正を行い、全窒素濃度を求める。【0025】表1に本発明の紫外線酸化・還元−ナフチルエチレンジアミン発色法による標準試料の回収率を示す。試料は窒素化合物試料1ppmNである。この酸化還元反応条件は、試料量5ml、反応温度:80℃、反応時間を30分とした。【0026】【表1】【0027】このように酸化還元反応条件を一定にすることにより、スパン液とした硝酸カリウム溶液に対して、硫酸アンモニウム溶液も尿素溶液も良好な回収率を示しており、本発明が種々の窒素化合物の全窒素測定に有効であることを示している。【0028】以上のように、本発明により、紫外線酸化分解に続き、そのまま紫外線還元反応を行い、ナフチルエチレンジアミン発色法を用いることで全窒素測定が可能であることが示された。【0029】【発明の効果】本発明は、試料水に酸化剤とアルカリを添加し加熱条件下で紫外線照射を行いながら試料水中の窒素化合物を酸化分解して硝酸イオンとし、その後さらに紫外線を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元した後、亜硝酸イオンと反応して発色する発色試薬により発色させた後にその発色波長領域で試料水の吸光度を測定するようにしたので、紫外線照射により酸化と還元の両作用を兼ねさせる簡単で保守性に優れた方法及び装置により全窒素濃度を定量することが可能となる。また、本発明はカドニウム等の有害な還元剤を用いないため、安定で環境に負荷が掛からない全窒素測定が可能である。また、発色剤を使用するため、試料に共存する金属イオン等の干渉物質の影響を受けず、安定した高精度な測定値を得ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】一実施例を示す概略構成図である。【図2】同実施例の動作を示すフローチャート図である。【符号の説明】1 試料調整槽2 ペルオキソ二硫酸カリウム溶液入り容器3 水酸化ナトリウム溶液入り容器4 スルファニルアミド・塩酸溶液入り容器5 N−(1−ナフチル)エチレンジアミン溶液入り容器7 スパン液入り容器8 ブランク水入り容器9a,9b ポートバルブ11 紫外線ランプ12 ヒ−ター13 反応器14 シリンジポンプ15 測定部 試料水にアルカリと紫外線照射により分解する酸化剤としてペルオキソ二硫酸カリウム又はオゾンを添加し加熱条件下で紫外線照射を行いながら試料水中の窒素化合物を酸化分解して硝酸イオンとする酸化工程と、 前記酸化分解により得られた試料水へ前記酸化剤がなくなった後もさらに紫外線を照射して硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する還元工程と、 前記還元工程により得られた試料水を亜硝酸イオンと反応して発色する発色試薬により発色させた後にその発色波長領域で試料水の吸光度を測定する吸光度測定工程とを含み、 その吸光度によって全窒素を定量することを特徹とする全窒素測定方法。 前記発色試薬はN−(1−ナフチル)エチレンジアミンであり、前記吸光度測定工程での吸光度測定波長は540nm付近である請求項1に記載の全窒素測定方法。


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