生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_酸化鉄と酸化チタンの複合酸化物の製造方法及びその酸化物
出願番号:2002144510
年次:2008
IPC分類:C01G 49/00,G01N 27/18


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佐藤 孝二 JP 4035373 特許公報(B2) 20071102 2002144510 20020520 酸化鉄と酸化チタンの複合酸化物の製造方法及びその酸化物 株式会社サンスプリングス 591225154 平山 俊夫 100095739 佐藤 孝二 20080123 C01G 49/00 20060101AFI20071227BHJP G01N 27/18 20060101ALN20071227BHJP JPC01G49/00 AG01N27/18 C01G 49/00 G01N 27/18 CA(STN) 特開昭50−051128(JP,A) 特開2001−040288(JP,A) 色材,1984年,Vol.57,No.12,p652-659 2 2003335523 20031125 6 20050124 大工原 大二 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、酸化鉄と酸化チタンとの混合物を微粒化した後高温処理したのち再結晶化させて得る物質で、電気的特性に特異性が認められる物質の製造方法及びその物に関する。【0002】【従来の技術】酸化チタンは、光触媒として知られ、該光触媒はバンドキャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると価電子帯から伝導帯へ電子が励起され、伝導帯に電子が価電子帯に正孔が生じる作用が確認され、励起された光触媒として機能することが知られている。一方酸化鉄は、上記酸化チタンのような光活性は示さないが、n型半導体に属し、鉄系触媒として触媒機能に優れた物質であることが知られている。そこで、本発明者は、この光触媒について研究を重ねるうち、この酸化鉄と酸化チタンとの混合によって新たな化合物及び機能が得られないかとの着想に至り、これを鋭意研究に努めた。【0003】【発明が解決しようとする課題】その結果、酸化鉄と酸化チタンとの混合物を高温処理した後、再結晶の過程を踏んで複合酸化物が得られ、それはFe2TiO5 の疑ブルッカイト構造を呈する酸化物と、ルチル型に変化したTiO2 であることが判明し、更にこの構造体について研究を進めたところ、電気的特性に極めた特異的な性格のあることを見い出し本発明に至ったものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明複合酸化物の製造方法は、酸化鉄と酸化チタンとを数μm程度の微粒子に粉砕し、これを10〜300μm程度の顆粒状に造粒し、該顆粒状体を1000℃〜1500℃の範囲で高温に約1.5〜2.5時間程度保持し、これを徐冷して再結晶化物を得ることを特徴として構成される。【0005】又本発明酸化鉄と酸化チタンの複合酸化物は、微粒子に粉砕された酸化鉄と酸化チタンとを顆粒状に造粒し、該顆粒状体を1000℃〜1500℃の範囲で高温に約1.5〜2.5時間程度保持した後徐冷して再結晶化させて得る複合酸化物である。【0006】【発明の実施の形態】上述の如く、本発明は、酸化鉄(Fe2O3)と、酸化チタン(TiO2)との二つの物質を対象とする。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型とがあり、アナターゼ型は中央のチタンの周囲に酸素が配位した縦に長い長方形の結晶構造で、バンドキャップが3.23eVのものである。一方、ルチル型は、中央のチタンに酸素が配位し、背の低い密な構造でバンドキャップが3.02eVである。酸化鉄は、上記酸化チタンのような光活性は示さないが、n型半導体に属し、鉄系触媒として触媒機能に優れた物質である。【0007】この両者を、微粒子に粉砕し、例えば、ボールミルに投入する等してマイクロメートル単位の微粒子にまで粉砕する。微粒子とするのは、後述の高温処理において、両者の比表面積を増大させて処理効率を向上させると共に表面特性の変化を狙いとするものであり、両者が0.5〜3μm程度の微粒子となって混合される。【0008】次いで、この微粒子を顆粒状の粒子に造粒し、その手段は、例えば、噴霧乾燥システムによる。噴霧乾燥システムは、酢酸ビニル等の有機溶剤を噴霧させて原微粒子を凝集させる一方で、これを乾燥雰囲気に置き、その乾燥過程にあって微粒子を顆粒状に造粒させるシステムをいう。これによって、上記微粒子は、10〜300μm程度の顆粒状に形成される。【0009】上記粒子は、顆粒状のままであっても良いが、取扱を容易化するためペレット化させても良く、例えば、直径7mm×高さ9mmの中に直径2mmの孔が空いた円筒形とすることができる。このとき、ペレット化のために加圧するが、中空状を維持する状態に圧接する。【0010】上記ペレット化した造粒体又は顆粒状のままのものを高温処理する。高温処理とは、約1000℃〜1500℃の範囲、望ましくは1320℃の温度で約2時間程度保持することをいい、この高温に保持した後、自然冷却して再結晶化し、新たな複合酸化物の生成を促す。【0011】その再結晶化作用によって得た化合物の構造式を、X線回析にかけて求めたところ、以下の如き結果を得た。即ち、化合物の試料をX線回析したチャート図を示したのが図1で、■印の部位に鋭いピークが描かれ、これを検討するとFe2TiO5 が該当した。又、●印の部位にピークが描かれ、これはルチル型のTiO2 が該当した。この結果、上記二つの物質の混合物を高温処理して得られた再結晶化物は、鉄のチタンとの複合酸化物であるFe2TiO5 とルチル型のTiO2と推定される。【0012】又、この複合酸化物の電子顕微鏡写真(SEM)で表面観察したのが図2、図3で、この結果顆粒状サンプルには粒子の内部に空洞が存する中空構造が確認された。【0013】次いで、上記再結晶化物に対し、ICZメータによりインピーダンス、キャパシタンス等の温度特性を測定し、電気的性質を検討した。抵抗の温度特性に関しては、図7に示す如くで、室温での抵抗値は約69kΩで、これを抵抗率に換算すると約3*102 Ω・m程度であり、半導体の領域と捉えられる。又、抵抗の温度変化を見ても温度の上昇と伴に抵抗値が低下しており、半導体的性質をもっていることが判明した。そして、室温付近で曲線の勾配が小さいのは、後述の図6のtanδの温度変化を考慮すると吸湿が原因と推定される。【0014】次いで、比誘電率とtanδの温度特性は、図5,6の如くで、比誘電率は測定したキャパシタンスから計算したもので、室温での静電容量、tanδ等は下表図4に示した通りである。温度上昇と共に比誘電率が増大し、特に10kHzの周波数ではその傾向が大であった。又、周波数による誘電分極が大きく、又、誘電損失が非常に大きいものであった。この結果、上記再結晶化物の等価回路を推定すると抵抗とコンデンサの並列接続と考えられる。【0015】【実施例1】酸化鉄(Fe2O3)4.8kgと、酸化チタン(TiO2)4.2kgとを、ボールミルに投入し、24時間粉砕した。酸化チタンは、アナターゼ型のものとした。この結果、0.5〜3μm程度の微粒子となって両者が混合した。これを造粒、乾燥装置(日本車輌製造(株)アトマイザー)に掛け、酢酸ビニルを有機剤としてスプレーし、乾燥雰囲気下で造粒し、10〜300μmの顆粒体とした。これを成形機で、直径10mm×高さ12mmの中に直径3mmの孔が空いた円筒形のペレットに成形した。これを加熱機に掛けて、約1320℃で2時間保持した後、自然冷却し、直径7mm×高さ9mmの中に直径2mmの孔が空いた円筒形のペレットを得た。その結果、X線回析機によっては、図1に示す如きFe2TiO5 の疑ブルッカイト構造物と、ルチル型のTiO2 の化合物が得られた。その電気特性は、図4〜図7に示す通りであった。【0016】【発明の効果】上記構成に基づいて本発明は、微粒子の再結晶化の過程を踏んでFe2TiO5 の疑ブルッカイト構造を呈する酸化物とルチル型に変化したTiO2 と推定される複合酸化物が得られ、且つ、この酸化物は特異な電気的性格を有することが確認できた。この電気的性格、例えば、抵抗の温度変化が湿度の影響をに大きく受けることを利用して湿度センサーとしての活用が可能である等、その他広い応用が期待できる。【図面の簡単な説明】【図1】 X線回析チャート図。【図2】 電子顕微鏡SE図。【図3】 電子顕微鏡SE図。【図4】 周波数と静電容量、比誘電率とtanδの誘電的特定の表図。【図5】 電気特性の比誘電率の温度変化を示すグラフ。【図6】 電気特性のtanδの温度変化を示すグラフ。【図7】 電気特性の抵抗の温度変化を示すグラフ。 酸化鉄と酸化チタンとを数μm程度の微粒子に粉砕し、これを10〜300μm程度の顆粒状に造粒し、該顆粒状体を1000℃〜1500℃の範囲で高温に約1.5〜2.5時間程度保持し、これを徐冷して再結晶化物を得ることを特徴とする複合酸化物の製造方法。 再結晶化物が、Fe2TiO5 とルチル型TiO2 の混合物である請求項1記載の複合酸化物の製造方法。


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