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タイトル:特許公報(B2)_ユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれによる三次元画像の撮影方法
出願番号:2002135870
年次:2005
IPC分類:7,G01N23/04


特許情報キャッシュ

三澤 雅樹 イオン ティセアヌ 平嶋 龍介 若林 直浩 小泉 和人 JP 3694833 特許公報(B2) 20050708 2002135870 20020510 ユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれによる三次元画像の撮影方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 株式会社ユニハイトシステム 502168323 林 宏 100072453 財団法人日本産業技術振興協会 801000016 三澤 雅樹 イオン ティセアヌ 平嶋 龍介 若林 直浩 小泉 和人 20050914 7 G01N23/04 JP G01N23/04 7 G01N23/00-23/227 特開2000−193609(JP,A) 特開2001−281168(JP,A) 特開平11−218503(JP,A) 特開2001−249086(JP,A) Y.Ikeda 外2名,“A New U-centric Radioscopy System for BGA and LSI”,15th World Conference on Nondestructive Testing (WCNDT) Proceedings,2000年11月,URL,http://www.ndt.net/article/wcndt00/papers/idn383/idn383.htm 5 2003329616 20031119 7 20031201 ▲高▼場 正光 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ユーセントリック型傾斜三次元X線CT(コンピュータ・トモグラフィ)及びそれによる三次元画像の撮影方法に関するものであり、更に具体的には、産業用X線CT装置や、半導体部品、プリント基板、ICチップ、半田接合部の検査、あるいは、機械部品、複合材料、プラスチック類の検査等に利用するのに適したユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれによる撮影方法に関するものである。【0002】【従来の技術】従来から知られている三次元X線CTでは、図3に示すように、X線源A、測定物D、検出器Bを同一平面上に配置し、回転軸Cの周りに回転する測定物Dに対して、X線源Aから、その回転軸Cに垂直な方向にX線を投射し、それに対向する位置に配置した検出器Bで投影データを収集している。この場合、平面面積の大きな測定物Dの一部を拡大撮影したくても、測定物の回転半径が大きく、X線源Aと測定物Dとが干渉するので、測定物DとX線源Aとを近づけて拡大率を上げることができない。また、測定物Dの回転軸Cに対して垂直方向から投影データを収集する場合、平面面積の大きい測定物では、平面方向にビームハードニング偽像が発生するという問題もある。一方、測定物の回転軸に対して斜めから撮影する方法にラミノグラフィがあるが、出力されるのは二次元画像データ(図4参照)であり、三次元データではない。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする技術的課題は、平面面積の大きな平たい測定物の全体を撮影できるばかりでなく、一部の高拡大率三次元断層撮影も行えるようにしたユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれによる三次元画像の撮影方法を提供することにある。本発明の他の技術的課題は、X線が透過しにくい物質の断層撮影で発生するビームハードニングを低減できるようにした上記三次元X線CT及びそれによる撮影方法を提供することにある。また、本発明の他の技術的課題は、X線が透過しにくい平たい物質の撮影で、低エネルギーX線を利用して画像のコントラストを改善するとともに、X線源の寿命を延長させること可能にした上記三次元X線CT及びそれによる撮影方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するための本発明のユーセントリック型傾斜三次元X線CTは、測定物を載置するための、回転軸を測定物の任意の位置に設定できるユーセントリックテーブルと、X線源とそれに対向配置されてユーセントリックテーブル上の測定物の投影像を検出する二次元検出器と、該二次元検出器により得られた投影像をその法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換する画像変換手段と、この変換された投影像にX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び下記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けてデータ処理するデータ処理手段とを備え、上記X線源と上記二次元検出器とを、それらを結ぶ軸線が上記回転軸に対して90度より小さい角度θで交わるように配置し、90度より小さいあらゆる角度で三次元断層撮影を可能にしたことを特徴とするものである。【0005】 上記ユーセントリック型傾斜三次元X線CTにおいては、X線源としてマイクロフォーカスX線源を用い、ユーセントリックテーブル上の測定物とX線源の位置関係を任意に調整可能とし、それによって測定物の任意部分の投影像を任意倍率で撮影可能にするのが有効である。【0006】 また、上記課題を解決するための本発明のユーセントリック型傾斜三次元X線CTによる三次元画像の撮影方法は、回転軸を測定物の任意の位置に設定できるユーセントリックテーブル上に測定物を載置し、上記ユーセントリックテーブル上の測定物に対して、X線源とそれに対向配置されて投影像を検出する二次元検出器とを、それらを結ぶ軸線が上記回転軸に対して90度より小さい角度θで交わるように配置して、上記検出器により測定物の投影像を撮影し、この投影像の撮影を、ユーセントリックテーブルにより上記回転軸の周りに測定物を微小角度間隔で回転させて、各角度ステップごとに行い、各投影像をその法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換し、この変換された投影像にX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び上記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けてデータ処理を行って測定物の三次元画像再構成を行い、1セットの撮影で複数の断層像を得ることを特徴とするものである。【0007】 上記本発明の方法においては、検出器の検出面中心に立てた法線がX線源の焦点(すなわち、X線焦点)を向くように検出器を配置して得られた投影像を、その法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換するステップ、この変換された投影像に、X線源の焦点を含む平面内に原点を持つ座標系から求めたX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び上記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けて重み付き投影データを作成するステップ、この重み付き投影データとフィルタ関数にフーリエ変換を施し、畳み込み演算を行うステップ、上記畳み込み演算の結果に基づき、三次元再構成グリッド上に逆投影して、三次元の吸収係数分布を求めるステップを有するアルゴリズムで上記投影像を処理するのが望ましい。【0008】上記構成を有するユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれを用いた撮影方法においては、ユーセントリックテーブルの回転軸を任意の位置に設定できるので、測定物をテーブル上で移動させたりすることなく、面積の大きな平たい測定物の一部を拡大して三次元断層撮影することができ、特に、測定物の回転軸に対して斜めからX線を照射して投影データを収集するので、X線源と測定物が干渉することはなく、X線源を測定物の近くに配置して、高倍率の三次元断層撮影を行うことが可能となる。しかも、測定物の回転軸に対して斜めからX線を照射することにより、X線の測定物内の透過距離が短縮するので、ビームハードニングの影響を大きく低減させることができる。【0009】【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るユーセントリック型傾斜三次元X線CTの実施例を示している。この傾斜三次元X線CTは、回転軸を任意の位置に設定できるユーセントリックテーブルTを備えている。このユーセントリックテーブルTは、上記回転軸を図1では仮想回転軸Eとして示しているが、この仮想回転軸Eの位置をテーブルT上の測定物Dの任意の位置に設定でき、また、測定物DをテーブルT上で移動させる必要はなく、ユーセントリックテーブルTをその姿勢を保持したままで3次元的に移動させて調節でき、そのため、面積の大きな平たい測定物の一部を拡大して三次元断層撮影することもできる。【0010】X線源Aとそれに対向配置されてユーセントリックテーブルT上の測定物Dの投影像を検出する二次元検出器Bは、それらを結ぶ軸線が上記仮想回転軸Eに対して90度より小さい角度θで交差するように配置され、テーブルT上に載置された測定物Dに対して、X線源AからのX線コーンビームGを透過させ、その投影像を上記検出器Bで検出するようにしている。上記X線源としては、高倍率で鮮明な画像を得るため、焦点径の小さいマイクロフォーカスX線源が用いられる。大きな広がり角のX線コーンビームGの一部を利用する上記方式のほかに、X線源Aを検出器Bに正対させて配置させる、X線源A’の構成も可能である。測定物Dの一部の拡大領域Fは、X線源Aと検出器Bを結ぶ軸線の角度θを変えることで、X線減衰が過度に大きくならないようなX線照射方向を選択することができ、また、測定物Dの一部の拡大率は、X線源Aと測定物Dの間の距離を、ユーセントリックテーブルTの高さ調節によって変えることで、任意に調整することができる。【0011】上記構成を有するユーセントリック型傾斜三次元X線CTを用いて、例えば、上記テーブルT上に置かれたプリント基板等の、平面面積が大きく、厚みの薄い測定物Dの一部の三次元画像を得るには、先ず、図1に示すように、ユーセントリックテーブルT上に置かれた測定物Dの一部に上記X線源AからのX線を透過させ、その投影像を二次元検出器Bで検出する。このとき、X線源と検出器とを結ぶ軸線が、仮想回転軸に対して角度θで交わっているのは勿論である。【0012】三次元CTを行うには、X線源Aと二次元検出器Bを固定し、ユーセントリックテーブルTの仮想回転軸Eのまわりに、測定物DをそのテーブルTとともに微小角度間隔で回転させ、各角度ステップごとに、検出器Bに投影された投影像をデータ収録用のデータ記録装置(パソコン)に記録する。そして、記録された各投影像を使って、解析装置(パソコン)における傾斜三次元X線CTの計算コードにより、測定物Dの一部のみを画像再構成し、三次元画像を得る。【0013】 上記三次元画像の撮影においては、次のようなステップを有するアルゴリズムで投影像を処理するのが望ましい。上記ステップとは、(1).検出器の検出面中心に立てた法線がX線源の焦点を向くように検出器を配置して得られた投影像を、その法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換するステップ、(2).この変換された投影像に、X線源の焦点を含む平面内に原点を持つ座標系から求めたX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及びX線源と二次元検出器とを結ぶ軸線と測定物の回転軸とが交わる角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けて重み付き投影データを作成するステップ、(3).この重み付き投影データとフィルタ関数にフーリエ変換を施し、畳み込み演算を行うステップ、(4).上記畳み込み演算の結果に基づき、三次元再構成グリッド上に逆投影して、三次元の吸収係数分布を求めるステップ、である。【0014】上記画像を得るに際し、測定物Dの一部の拡大率は、ユーセントリックテーブルTの高さによりX線源Aと測定物Dの間の距離を変えることで、任意に調整することができる。また、仮想回転軸Eの位置は、すべてユーセントリックテーブルTの移動により測定物Dの任意の位置に設定でき、このとき、X線をとめたり、測定物Dを人が移動させる必要はない。【0015】先に図2を参照して説明したように、従来の三次元X線CTでは、X線源A、測定物D、検出器Bは同一平面上にあるので、測定物Dの一部を拡大断層撮影しようとすると、平面面積の大きな測定物Dが回転するときに、X線源Aと測定物Dが干渉し、測定物DをX線源Aに近づけて拡大率を大きくすることができないが、上述したユーセントリック型傾斜三次元X線CTによれば、図1からわかるように、平面面積の大きな測定物Dと同一平面上にX線源がないので、X線源Aを、拡大撮影したい領域の極近傍に接近させ、拡大率を大きくしたうえで、測定物Dを回転できるので、局所的な三次元X線CTが可能となる。【0016】更に、図1に示すような測定物DとX線源の位置関係では、測定物Dの平面方向にX線を透過させないため、X線の透過距離が短くなり、ビームハードニングの影響を大幅に低減できるとともに、よりコントラストの高い鮮明な画像を得ることができる。また、低エネルギーのX線を使用できるので、X線源の寿命も長くなる。【0017】図2に、実装後のプリント基板の一部を、45度の傾斜角度で拡大断層撮影し、三次元可視化した例を示す。半田接合部に発生したボイドの形状が三次元的に可視化されている。一方、図4に、ラミノグラフィでプリント基板の一部を可視化した例を示す。これは、ある高さの位置の二次元平面表示であるため、二次元面は良好に見えるが高さ方向の分解能が悪く、厚み方向のボイドの様子はわからない。その結果、測定物の全体像がつかみにくい。これらの対比により、本発明の三次元X線CTによれば、測定物の全体像がつかみにくいラミノグラフィに比して、三次元的な可視化によりボイドなどの構造も明確に把握できることがわかる。【0018】【発明の効果】 以上に詳述した本発明のユーセントリック型傾斜三次元X線CT及びそれを用いた撮影方法によれば、多層プリント基板内部や多数の半田ボールが平面状に分布したチップの接合部のように、平面面積の大きな平たい測定物の全体を撮影できるばかりでなく、一部の高拡大率三次元断層撮影も行うことができ、また、X線が透過しにくい物質の断層撮影で発生するビームハードニングを低減でき、更に、X線が透過しにくい平たい物質の撮影で、低エネルギーX線を利用して画像のコントラストを改善するとともに、X線源の寿命を延長させること可能にすることができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係るユーセントリック型三次元傾斜X線CTについて説明するための構成図である。【図2】本発明のX線CTによるプリント基板の一部の拡大断層撮影例を示す図面代用写真である。【図3】従来の三次元X線CTの概要を示す構成図である。【図4】ラミノグラフィによる二次元断層撮影例を示す図面代用写真である。【符号の説明】A X線源B 二次元検出器D 測定物E 仮想回転軸F 拡大領域T ユーセントリックテーブル 測定物を載置するための、回転軸を測定物の任意の位置に設定できるユーセントリックテーブルと、 X線源とそれに対向配置されてユーセントリックテーブル上の測定物の投影像を検出する二次元検出器と、 該二次元検出器により得られた投影像をその法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換する画像変換手段と、 この変換された投影像にX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び下記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けてデータ処理するデータ処理手段とを備え、 上記X線源と上記二次元検出器とを、それらを結ぶ軸線が上記回転軸に対して90度より小さい角度θで交わるように配置し、90度より小さいあらゆる角度で三次元断層撮影を可能にした、ことを特徴とするユーセントリック型傾斜三次元X線CT。 X線源としてマイクロフォーカスX線源を用いる、ことを特徴とする請求項1に記載のユーセントリック型傾斜三次元X線CT。 ユーセントリックテーブル上の測定物とX線源の位置関係を任意に調整可能とし、それによって測定物の任意部分の投影像を任意倍率で撮影可能にした、ことを特徴とする請求項1または2に記載のユーセントリック型傾斜三次元X線CT。 回転軸を測定物の任意の位置に設定できるユーセントリックテーブル上に測定物を載置し、上記ユーセントリックテーブル上の測定物に対して、X線源とそれに対向配置されて投影像を検出する二次元検出器とを、それらを結ぶ軸線が上記回転軸に対して90度より小さい角度θで交わるように配置して、上記検出器により測定物の投影像を撮影し、 この投影像の撮影を、ユーセントリックテーブルにより上記回転軸の周りに測定物を微小角度間隔で回転させて、各角度ステップごとに行い、 各投影像をその法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換し、 この変換された投影像にX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び上記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けてデータ処理を行って測定物の三次元画像再構成を行い、1セットの撮影で複数の断層像を得る、ことを特徴とするユーセントリック型傾斜三次元X線CTによる三次元画像の撮影方法。 検出器の検出面中心に立てた法線がX線源の焦点を向くように検出器を配置して得られた投影像を、その法線が測定物の回転軸に垂直になるように画像変換するステップ、 この変換された投影像に、X線源の焦点を含む平面内に原点を持つ座標系から求めたX線焦点と測定物の回転軸との距離、投影像の画素座標、及び上記角度θに基づく数式からなる重み係数を掛けて重み付き投影データを作成するステップ、 この重み付き投影データとフィルタ関数にフーリエ変換を施し、畳み込み演算を行うステップ、 上記畳み込み演算の結果に基づき、三次元再構成グリッド上に逆投影して、三次元の吸収係数分布を求めるステップ、を有するアルゴリズムで上記投影像を処理する、ことを特徴とする請求項4に記載のユーセントリック型傾斜三次元X線CTによる三次元画像の撮影方法。


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